幕は下りず
「80日間世界一周」という映画音楽がラジオから流れると、若かりし頃を思い出してしまう。恋に明け暮れていた20代の頃にテレビで見た映画の情景が、昨日のように浮かぶからである。もし80日間の休みとお金があったらば、世界一周とまでは言わずとも、日本各地の名勝を旅してみたいと、あの頃は夢見たものである。その80日間を超える月日を、我々小金井市議会議員は、議会に追われていた。
9月定例市議会が始まったのは、セミがあまりの暑さに泣き叫ぶ8月30日。白熱した議論が展開されていた9月もセミは叫び、ようやくセミの声がしなくなった10月は、セミの代わりに新聞記者が毎回のように姿を見せ、10月終盤からはテレビカメラが登場。ゴミ収集ストップ問題がなんとか乗り越えられたと思ったら、いつのまにか市役所には市長がいなくなっていた。そして11月18日、9月定例市議会がようやく終わり振り返ってみると、この議会は実に81日間を要していたことがわかった。
しかし、一息ついている間もなく、目の前には12月議会が口をあけて待っている。12月議会が短期間で終わるとはいっても、その後ろに待ち構えているのは市長選挙。息つく暇もなく市長選挙へと突っ走り、気がつくとジングルベルの季節に 。9月議会そのものは81日間で幕を下ろしたものの、我々議会人にとっては、新市長が選出される12月18日までは幕は下りてはこない。それほどまでに、この9月定例市議会はさまざまな出来事が起こり、来る12月18日は一連の事態に区切りをつける役割を果たすのである。
新市長が旧態以前の顔になるのか、それともヨソ者になるのか、あるいは新進気鋭の人物になるのか。当選する人物によって、「区切り」の意味合いも変わるのである。
市長選挙の予算可決
4月の一斉地方選挙で当選した市長が、就任半年でまさかの「辞職」となったことによって、12月18日投票で市長選挙が行なわれることになった。今月18日まで会期が延長されている9月定例市議会は11月14日(月)、市長職務代理者に就いた企画財政部長から提案された、市長選挙を実施するための補正予算が全会一致で可決された。内容は4月の市長選挙時のものと変わらず、投票所は20箇所、公営掲示板設置箇所は149箇所、立候補者を4人で見込んでいる。
立候補者「4人」が妥当なのかどうかは、なんともいえない。最低でも4人は立候補するのではないかと、私の頭脳は勘定している。あわせて、市議会議員の補欠選挙はないのだろうか?とも思ったりする。選挙管理委員会の説明によると、「11月30日までに現職市議の辞職の報告が選挙管理委員会事務局に届け出されれば、市議会議員の補欠選挙も行なわれる」とのこと。このことを私が質問している最中に、議員席からは「11月30日までに辞職した場合だよ」との声が飛び交っていたので、議員それぞれに関心が高く、何人かは事前に調べていた様子。「議員辞職」ということもありうるのだろうか。今回の「市長選」だけの予算では不足する可能性もあるのでは?と思ったりする。
市長が辞職しているため、新しい市長が就任するまでの間は市長不在となる。新市長が就任するのは、投票結果が出た翌日の12月19日(月)となる。それまでの期間は、実に37日間、市長不在の期間となる。
大変なのは市役所の各部署である。12月19日からは新市長名での事務処理のスタートとなるのだが、誰が新市長になるかは、その前夜でないとわからない。翌日からの事務処理に間に合わせるために、もしかしたら徹夜をして、新市長名での事務処理に間に合わせる作業が行なわれるのかもしれない。その点も質問したが、「とどこおりなくすすめる」との答弁のみ。意地悪な私は、こんな答弁をほのかに思い描いた。市長職務代理者の企画財政部長がニヤッと笑って「ご安心ください。昨年度の市長名でのデーターがしっかりと保存されていますので、簡単に入れ替えることができます・・・」。簡単に入れ替えることができないように、我々は全力で頑張っていきたい。
企画財政部長は一般職である。小金井市は副市長(定員2名)も欠員のため、市長職務代理者は特別職者ではなく、一般職者となっている。全国でもこんな例は、東日本大震災で一般職者が就いた東北の自治体以外には、例を見ないのではないだろうか。だから、企画財政部長は今回の議案を提案するにあたって、その点を最初に説明した。あわせて企画財政部長が市長職務代理者となって本会議に臨んだ今回、議会事務局は写真撮影を行なった。まれに見る光景だからであろう。しかも企画財政部長は、この土曜・日曜のあいだに、しっかりと散髪を済ませていた。用意万端である。
佐藤和雄市長が辞職
就任わずか半年余で、小金井市の佐藤和雄市長が辞任する。佐藤和雄市長は11月1日(火)の昼前、議長のもとに「11月12日付で退職する」との辞職願いを提出。市議会は午後、これを承認した。これによって、12月中旬には市長選挙が行なわれることになる。
市長辞任の理由は、4月の一斉地方選挙での自身の、ゴミ処理経費「20億円のムダ使い」と記した選挙公約にある。小金井市は2007年度から、他市のゴミ焼却施設に燃やすゴミ処理を依存せざるをえなくなった。自前の焼却施設が老朽化で使えなくなったからである。小金井市からゴミ処理の依頼を受けた自治体は、地域の住民と議会に対して説明し、小金井市の窮状を救うために汗を流した。そしてこの4年間、小金井市のゴミを引き受け、その費用が4年間で20億円になったのである。ところが佐藤和雄市長は、その額を「ムダ使い」と宣伝したのである。
「ムダ使い」となれば、小金井市のゴミを受け入れた側は「ムダ使い」に加担したことになる。「それはないだろう。小金井市が『頼む』と言ってきたから、住民と議会を説得して引き受けたのに」────それが小金井市のゴミを受け入れた側の気持ちである。「それなら、自分で処理すればいいではないか」と小金井市に伝え、11月中旬には小金井市の燃やすゴミの受け入れがストップする事態を迎えるようになった。佐藤和雄市長が、この間の経過を無視した自身の選挙公約に責任をとって辞任せざるをえなくなったのは、このようなことからである。
1日の本会議での佐藤和雄市長の辞職願いに対して、市議会での承認は「賛成多数」であった。つまり、反対した議員がいるということである。反対したのは、佐藤和雄市長を選挙で応援した議員。「辞める必要がない」と言うのだ。ということは、「20億円のムダ使い」の選挙公約は問題がないとでもいうのであろうか。あるいは「ゴミの受け入れストップもやむなし。辞めるほどのことでもない」とでもいうのであろうか。ゴミ処理は日常の暮らしの問題である。それに対して「受け入れストップ危機」打開の道筋を見いだせずにいることは、市民からすれば、たまったものではない。しかも、その原因は市長の選挙公約にある。市民からすれば、「市長はなんということをしてくれたんだ」となるであろうし、その市長を擁護するような議員の対応も、これまた、たまったものではない。日本共産党市議団は「責任をとって市長職を辞めたい」と佐藤和雄市長が決断したことを受け入れ、辞職願いに賛成した。
市民交流センター附帯設備・備品の予算
わからん。市長が変わったら、モノが変わるとでも言うのだろうか。彼女らの対応はあまりにも不自然で、一貫性が見られない。ことは9月22日の本会議。佐藤市長が2日前に提出した、市民交流センターの附帯設備と備品を購入する予算への「市民自治こがねい」「生活者ネット」の採決態度である。
佐藤市長は9月20日、市民交流センターの附帯設備(舞台緞帳などの舞台装置や照明・音響装置)の取得予算2億3,166万9千円と市民交流センターの備品類の購入予算1億489万2千円の合計3億3,656万1千円を議会に提出した。この予算は「附帯設備と備品の取得価格の交渉を都市再生機構と行なうために必要」との理由から提出されたもので、まずは予算を成立させ、価格交渉を行ない、やがて到来するであろう市民交流センター取得契約議案の議会への提出の際に、附帯設備と備品の取得価格を市民交流センター取得契約議案のなかに一括で入れるための事前準備とされるものである。よって、今回の予算成立が即、附帯設備と備品の取得・購入となるものではない。しかし、今回の予算成立によって附帯設備と備品の取得・購入の価格交渉にはいる条件が整ったことは確かであり、このことは、市民交流センターの取得に向けた道筋に乗ることを意味する。
当然に日本共産党市議団は反対した。他にも数名、反対する議員がいるものと思われた。ところが事実は違っていた。市民交流センターの取得に反対していたはずの「市民自治こがねい」と「生活者ネット」が自民党や公明党、民主党と一緒になって賛成してしまったのである。
予算委員会で「市民自治こがねい」の議員はこう述べた。「今回の予算は、あくまでも価格交渉のためのものであり、取得契約のものではない」。だから賛成するというのである。しかし、従来の対応と比べれば、あきらかに異なる。昨年の当初予算の審議の際に同会派の青木ひかる議員(市民の党)は、附帯設備や備品を含む市民交流センターの取得予算に対して、市民交流センターとともに附帯設備の一つひとつを取り上げて問題点を指摘し、本会議採決では会派を代表して反対討論を行なっている。この時の予算も今回と同様に取得・購入予算であり、最終的な取得を意味する「取得契約議案」ではない。“昨年は反対だが、今回は賛成"という道理がまったくわからない。だから、予算委員会の「市民自治こがねい」議員の発言に対して、稲葉前市長時代の与党議員からは「苦しい説明だ」「その苦しい気持ちはわかるぞ」とのヤジが飛び交った。
ようするに「佐藤市長を応援した議員としては、佐藤市長が提出した議案だから賛成せざるをえない」ということにすぎない。そこにはなんら道理はないのである。しかし、確実に言えるのは、附帯設備や備品の取得・購入予算を可決したということは、市民交流センター本体の取得に向けたレールに乗るということであり、一つひとつ、取得へのトビラを開いていく道筋である。
いまや、稲葉前市長の与党である自民・公明・民主と一緒になって、佐藤市長も、そして佐藤市長を応援した議員も同じレールの上を歩いている。「75億円のムダづかい」と宣伝したはずの市民交流センターの取得に向かって。
小金井市の放射能測定器に持ち込まれた製茶
小金井市にはチェルノブイリ原発事故以後に購入された放射能測定器がある。食品などの固形物の放射能を測定するもので、「ヨウ化ナトリウム(タリウム)シンチレーションディテクタ」という機器である。市民団体の「小金井市放射能測定器運営連絡協議会」に小金井市が委託して測定を行なっているもので、市民であればだれでも、測定してほしいものを持ち込み、放射能測定を依頼することができる。福島原発事故による放射能不安が広がるなかで、ここでの活動は多忙を要しているという。
この放射能測定器のもとに8月24日、市民から埼玉県入間市産の製茶(新茶)が持ち込まれた。放射能測定器運営連絡協議会が測定したところ、暫定基準値を超えるセシウムの値が検出され、検査機関で再度測定してもらったところでも、セシウム濃度 1,240ベクレルが検出されたという。そのため小金井市は入間市にそのことを報告し、入間市は9月6日(火)に公表したという。以上のことを小金井市の佐藤市長は、9月6日(火)午後5時15分過ぎ、市議会本会議の席上で、議員の一般質問終了後に発表した。
市長の発表後、議場はざわめいた。一番の理由は、そのお茶が、どのような経路を経て、小金井市の放射能測定器に持ち込まれたのかということが、市長の説明ではわからないからである。測定器に持ち込んだ市民が小金井市内の店舗で購入したものであれば、大変である。市内の全ての店舗に対して、入間産の新茶を売ってはならないというお知らせを至急、出さなければならないからである。また、市民に対しては、お茶を購入する際には、入間産のモノでないかどうかを確認せよとのお触れを出さなければならない。しかし、市長の説明では、そのことは触れてはいなかった。市民や店舗はどうすればよいのであろうか。もしかしたら、入間産はすでに店舗から消え去っているのであろうか。
市役所から帰宅途中の車のラジオからは、入間産の新茶から基準値を超えた放射能が検出されたというニュースが流れ、そのなかには、「小金井市で測定された入間産の新茶」の報もあった。入間市はただちに、出荷停止措置をとったという。生産農家の苦悩が目に浮かんでくる。
政策調整監
小金井市役所の役職に「政策調整監」というものができるらしい。8日付で佐藤市長が決めたもの。といっても、市長だからといって勝手に役職を増やすことはできない。市役所の組織機構の変更になるばかりでなく、役職を増やせば人件費もそれだけ必要になるし、執務場所の確保も必要になるのだから。ところが、役職を増やすことを市長が勝手に決めてしまったというのだから、驚いた。
どの役所にも「庁議」というものがある。「行政運営に関する重要事項を審議し、その方針を策定するとともに、各行政分野の統合調整を行ない、もって行政の効率的遂行を図る」(「小金井市庁議に関する規則」)ことを目的に。その庁議に審議案件を提出し、出席者から意見を聞き、調整し、出席者の意見がまとまったところで市役所としての意思を決定していく、という場が「庁議」である。その庁議は9日(火)に開かれた。臨時庁議である。
臨時庁議であるために、構成員の全員が出席したわけではない。構成員で出席できなかったのは、税務担当部長と庁舎建設等担当部長、企画財政部長である。「臨時庁議ならば、欠席もやむを得ない」と思うかもしれないが、そうもいかないのである。少なくとも、企画財政部長の出席は必須要件となっている。というのも「庁議の進行は、企画財政部長が行なう」と、「小金井市庁議に関する規則」で明記しているからである。「欠席の場合には、別の役職者に委任できるのでは?」との素朴な疑問も当然に起きる。私もその一人であった。しかし「小金井市庁議に関する規則」には、企画財政部長が欠席の場合の委任規定がない。その理由は、企画財政部長の役割が大きいからである。「小金井市庁議に関する規則」を見ると、「庁議に付議する事案は、庁議開催日の5日前までに企画財政部長に提出する」とされている。また、以下の記述も出てくる。「企画財政部長は、付議事項を整理し、庁議に提出しなければならない」。
企画財政部長は、各部調整会議の責任者でもある。「各部調整会議」とは、「市機構の拡大、複雑化に伴う各部の関係を緊密にするため、各部の調整を図り、市行政運営を円滑に遂行することを目的」に設置されている。つまり、企画財政部長は市機構の要の位置にいるのである。しかし、その要の人物が進行役を務めるはずの庁議で、佐藤市長は「政策調整監」の新設を持ち出した。しかも、各部の調整を図る役職にいる企画財政部長の仕事を取り上げる形で・・・。というのも、「政策調整監」は「市長が定める特命事項の統合調整を行ない、担当部局を支援し、必要に応じて市長に助言する業務を所掌する」とされ、「市民ホール、ごみ、庁舎建設、行政改革、まちづくり等の重要課題」を「特命事項」で扱い、統合調整するというのである。しかもこの「政策調整監」は、企画財政部に置かれるという。ようするに“政策調整監が企画財政部に所属しながら、企画財政部長が行なってきたことを業務として行なう”ということに等しい。
さて、9日の臨時庁議。佐藤市長は「政策調整監」の新設をどのような形で出してきたのか・・・。臨時庁議に出席した面々は一様に驚いた。「事後報告」だというのである。「このようにしましたので、よろしく」というものである。市の機構を大きく変え、人件費を要し、執務場所も確保しなければならず、加えて、企画財政部長のみならず、「特命事項」にうたわれた業務を担ってきた部長職の、仕事にも関わってくる役職を新設するというのに。
さらに驚くことがある。この「政策調整監」の給料である。2年間の「特定任期付職員」として採用するというのだが、月々の給料が「特定任期付職員」に規定されている金額の最高額「79万7千円」だというのである。年収でみると、副市長職を上回るとも言われている。小金井市の「特定任期付職員」の格付は1号給から7号給まであるが、最高ランクの「7号給」に位置付けるというもの。ではこの「7号給」になるには、どのような要件が必要なのか。「小金井市一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例施行規則」によると、「極めて高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有する者がその知識経験等を活用して極めて困難な業務で特に重要なものに従事する場合」とされている。では、この「政策調整監」に就く人物は、「極めて困難な業務で特に重要なものに従事する」にふさわしい人物なのか。ところが臨時庁議では、氏名や現在の仕事、経歴等は一切、明らかにされなかったという。考えられない事態である。ちなみに、「7号給」が付くような人物とは、弁護士や裁判官など、特別な仕事に就いていた者を迎え入れる場合に充てられるというのが、担当部署の私に対する説明である。なお、最高号給で「特定任期付職員」を招いている自治体は「三多摩には存在しない。東京都にもいるかどうか」というのが、担当部署の説明である。小金井市は今年度、「財政力が低下した」と判断されて、国からの交付金がくる、普通交付税の交付団体に9年ぶりに転じた。その小金井市が、他自治体でも位置付けていない最高号給の「特定任期付職員」を置くことが許されるのだろうか。
さて、この「政策調整監」。きくところによると、決裁権がないらしい。行政がものごとを決めていく場合には、担当部署の課長職や部長職の決裁は欠かせない。決裁することによって、意思決定が確定していくからである。その決裁権がないということは、どういうことになるのか。「ようするに、責任を負わないということですよ」と、ある管理職が私に説明した。責任を負わない?。・・・ということは、議会の答弁席にも着かないということになる。答弁した内容の責任を問おうにも、責任はないのだから。なのに「特命事項の統合調整を行ない、担当部局を支援し、必要に応じて市長に助言する業務を所掌する」というのである。そして、給料は月額79万7千円。年収では副市長を上回るという。
ちまたの話では、「政策調整監」に就く人物は、7月に佐藤市長が各会派に「副市長職」として持ち出してきた人物と同一らしい。もしそうであるならば、佐藤市長のやり方は、さらにひどいものとなる。なぜならば、「副市長職」は議会の議決を経て人物が確定される。しかるに、「政策調整監」は議会の議決を経る必要がない。佐藤市長が「この人を採用したい」となれば、今回のように勝手に採用できるのである。しかも高額の待遇で。ある人いわく、「脱法行為に等しい」。
もし、「副市長職」で佐藤市長が持ち出してきた人物であるならば、危険である。この人物は東京都の管理職時代に、各地の駅前開発を手がけてきた経歴を持っているからである。佐藤市長は、「武蔵小金井駅南口第2地区の再開発の着実な事業化」「駅前開発の推進」をうたった、稲葉前市長のもとでつくられた「長期基本構想」を「私の公約と齟齬(齟齬)がない」と述べており、「政策調整監」に就任する人物と二人三脚で、駅前開発を推進する恐れがあるからである。そのような人物だったことから、日本共産党市議団は佐藤市長に対して、この人では副市長職はダメですよと伝えたのである。
佐藤市長は「市政方針」で、「やさしさとは『他者が抱える痛み』への想像力ではなかろうか」と述べ、「職員の『やる気』『能力』を引き出すこと」が「私の掲げる『市役所改革』」だと述べている。「職員の『やる気』『能力』」を奪う今回の佐藤市長のやり方に対して、市職員は一様に疑問と不信感を示している。佐藤市長に言いたい。「あなたこそ、『他者が抱える痛み』への想像力が必要だ」と。
住民投票条例案づくりのためのパブリックコメント
武蔵小金井駅南口交通広場の南側に建っている「市民交流センター」は、独立行政法人「都市再生機構」が管理・運営している。この建物は再開発事業のなかで小金井市が購入する予定だったが、購入するための条件が整っていないことから、再開発を行なった都市再生機構が現在も所有している。
この春、小金井市長に当選した佐藤和雄市長は、この建物を購入する場合には、国からの交付金を受けられる今年度中に購入したいと述べ、選挙公約の「住民投票」を今年11月には行ないたいと表明した。
しかし「住民投票」を行なう前提は、市民交流センターの「欠陥」部分である、「不動産登記ができない建物」「専用の荷捌き駐車場が確保できていない問題」の2点が解消されることであり、少なくとも、「解消される見通しが出てきた段階」になるまでは、「住民投票は行なえないとされている。都市再生機構からは今日の時点においても「解消される見通し」すら示してこず、今年11月はおろか、年度内の「住民投票」実施さえ、まったく見えてはこない。
ところが驚いたことに、佐藤市長は突如、「住民投票の条例案をつくるために、市民からの意見を募集する『パブリックコメント』を実施する」と、7月15日付「市報」で発表した。「11月に住民投票を行なおうとする場合、7月からパブリックコメントを実施しないと、条例案の作成に間に合わなくなるから」というのが理由である。
では、このパブリックコメントは、日の目を見るのか。パブリックコメントによって、「住民投票条例案」はできあがるかもしれない。しかし、「住民投票条例案」を市議会に上程し可決されなければ、「条例」にはならないのである。けれども、都市再生機構から「欠陥解消の見通し」がまったく示されていないなかで、市議会は「住民投票条例案」の審議に入れるのか。市議会が仮に条例案を可決して、正式な「条例」になったとしても、「条例」の施行期日は決まらないのである。あるいは「欠陥解消」がならずに、条例はつくっても、条例の履行はできない状況が続くことすらありうる。そして年度を超えれば、国からの交付金はこなくなる。そうなると、住民投票を行なうこともなくなるであろう。その可能性が強いなかでは、市議会は「住民投票条例案」の審議に応じられるものではない。市議会での議論が実を結ばなくなるからである。
市長が市議会に条例案の審議を求めるならば、条例の履行が確実であることの証を示すべきである。そうでなければ、たんに公約履行のためにパブリックコメントを行ない、市議会を利用するだけのものとなるであろう。今回の市長の行為は、昨年秋の「市民交流センター取得議案」への長時間の議会審議が、12月の「取得議案の可決無効」で崩壊したことを想起させるものである。
日の目を見るかどうかもまったくわからない「条例案」づくりのためのパブリックコメント実施に向けて、市の担当職員は、佐藤市長の指示のもとに働いている。そんな仕事に、はたしてモチベーションは上がるのだろうか。いや、佐藤市長はきっとこう述べるだろう。「日の目を見なくても全力で頑張るべき。それが私の求める『市役所改革』だ」と。しかし私は言いたい。「『結果的に日の目を見なかった』というのと、『最初から日の目を見ないことは明らか』とは大きく異なる」と。佐藤市長は果たして、市職員の人心をとらえることができるであろうか。
小金井市の『福祉避難所』
「福祉避難所」とは何か。小金井市の「地域防災計画」では「二次避難所」の記述で紹介されている。「福祉避難所」とは、「高齢者、障害者、乳幼児等、一般の被災者と一緒に避難所における生活が困難な災害時要援護者に対し、医療や介護等必要なサービスを提供する」施設であり、対象となるのは「災害時要援護者」である。小金井市では「障害者福祉センター」「小金井保育園」「くりのみ保育園」「さくら保育園」「わかたけ保育園」の5箇所が指定されている。いずれも、「耐震・耐火・鉄筋構造に加えてバリアフリーを備えた建物」(地域防災計画)という条件をクリアした建物である。
一方、小金井市内には「災害時要援護者」が3,120人いる。“イザ!大震災”という時に、この5箇所で対応しきれるのか?。東日本大震災の今日の避難状況を目の当たりにするときに、「とても足りない」と誰もが述べるであろう。もちろん、小金井市では「津波」の被害は考えにくいので、さしあたっては地震による建物倒壊での避難者が想定されるところである。
私は6月市議会の一般質問で、この「福祉避難所」問題を取り上げた。「福祉避難所」は他にも2人が質問したが、いずれも「5箇所では足りない」という視点からのものであった。もちろん「足りない」のは明らかであり、増やすことは必要であるが、「足りない」というだけでは解決しえない問題を、現行の市内の福祉避難所は抱えているのである。
では何が問題なのか。私は以下の質問を展開した。「福祉避難所は『医療や介護等、必要なサービスを提供する』施設となるが、健在指定されている5箇所について、イザ!という時には、どこの医療・介護機関がその福祉避難所にかけつけて対応されるのか」「福祉避難所には、自家発電や飲料水の確保が欠かせないが、5箇所には設備は整っているのか」。答弁は、「障害者福祉センター」以外は、「対応する医療・介護機関がなく、自家発電もない」というものであった。つまり、「5箇所」ではなく「障害者福祉センター」の「1箇所」しかないということである。施設数を増やすどころか、「5箇所」そのものが机上のものであった。佐藤市長は選挙公約で「福祉避難所を拡充」と記しているが、はたしてこの実態を把握していたのか、真相を聞いてみたいものである。
私は市長の選挙公約を紹介しながら、「市長の選挙公約は、施設数を増やすというだけでなく、対応する医療・介護機関の体制確立や自家発電の確保も念頭に入れているのか」と質問し、「そのためには、当然に予算措置も必要となるが、そのように理解して良いか」と問うた。市長は「板倉議員と同じ認識を持っている。当然に、予算措置が必要」と述べた。
そこで私は「選挙公約の『福祉避難所の拡充』は、当然にこの4年間のうちに実現させようとしている公約だと認識して良いか」と質問。市長は「そのとおり」と述べた。市長のこの答弁は歓迎すべきものであるが、そのための予算措置が果たしてなされるのか?。佐藤市長の6月議会の答弁の変遷をみるにつけ、答弁を真に受けるわけにも行かないと思ってしまうのである。
佐藤市長の選挙公約『市民交流センター』
この文章の意味はなんだろうか?。なぜこんな答弁が返ってくるのだろうか?。6月1日から始まった小金井市議会6月定例会は冒頭から、新市長の耳を疑う答弁で掻き回された。
4月後半の市長選挙で、小金井市はそれまでの自民・公明に支えられた市長から、そうではない市長に変わった。当選した市長はこれを「政権交代」と表現している。ただ、今日の政界では「政権交代」イコール「政権担当勢力が変わっただけ」という受け止め方が主流である。
新市長は6月市議会に「施政方針」を提出した。今後の市政運営に臨むうえでの考えを示したものである。新市長は新聞記者出身ということもあってか、職員からの情報では、文章の読解力が早く、自ら施政方針を書き上げたという。たしかに前市長の施政方針とは語調が異なり、固い表現は見られない。ただし、漠然的・抽象的という印象が強い。理念が語られているという感じである。市政のことが未経験なうえに当選したばかりなので、やむを得ないといえばそれまでである。
施政方針への質問を行なうにあたり、施政方針文書を読み解くのはもちろんのこと、新市長の選挙中に発行したチラシや文書類、選挙公報を手元に置き、新市長が何を公約し、何を行なおうとしているのかを事前につかんでおくことは、質問を行なう上での大前提となる。当然に私も、そのようにした。
施政方針への質問を行なうにあたって、私がもっとも聞きたかったのは、前市長のもとで取得議案可決が無効となった「市民交流センター」への対応と、前市長のもとで策定された今年度から10年間の「長期基本構想」に対する新市長の対応である。前市長の市政運営を批判して当選された市長であることから、答弁内容は一定、予測できるところではあるが。
さて、「市民交流センター」。新市長の選挙公約は「取得金額75億円」は「稲葉市政のムダ使い」と告発している。しかしその一方で「欠陥が解消されたら、購入の是非を住民投票で決める」とも述べている。そして今回示された「施政方針」では見直しが加えられ、「欠陥が解消されたという前提で、購入するかしないかの意向を住民投票で確認します」に変化をした。この点をどのように見たら良いのか?。
市民交流センター問題で最初に口火を切ったのは、民主党の村山秀貴議員。彼は「なぜ住民投票に固執するのか。市長になったのだから、自分で判断できること。住民投票は経費削減に反する」と質問。市長は「市民交流センターに対しては、予算・条例・取得のいずれも議会議決で決められた。しかしいずれも僅差であり、市民参加条例がある中で、住民の意見を聞いていく必要があると考えている」と述べ、「パブリックコメントも行なう」と付け加えた。つまり、住民投票条例案を議会に上程する前に、条例案の内容に対する意見を市民にうかがうというのである。
新市長を応援した議員からも質問が出た。青木ひかる議員である。「市民交流センターが小金井市に引き渡されないのは、あげて都市再生機構側の責任。市は買う必要はない。ただし、住民投票は是とする」。これに対して市長は「市民交流センターは、議会議決が白紙になったことで状況が変わったという認識は持っていない。議会の3度の議決は重く、今後2年間は議会構成が変わらない中での、住民投票という判断」と述べた。いまにして思えば、この答弁内容は、佐藤市長の頭脳を把握するうえでの重要なカギである。
公明党の宮下誠議員は、市民交流センターを買うべきとの立場から質問し、「住民投票条例はいつ頃に予定しているか」と聞いた。市長は「今年の9月末までには実施したい」と述べ、「そのために、部局にも準備をすすめさせている」と述べた。そこで議場がざわめいた。“この6月議会に住民投票条例案が提案されていないのに、なぜ9月末までに住民投票を実施できるのか?。しかも、条例案をパブリックコメントに付すと言っているではないか”。
ここまでの答弁を受けて、私が質問に立った。議場がざわめかざるを得ない当然の疑問をまず、ぶつけた。市長は「9月末までに住民投票実施は可能と、部局側は述べている」と答弁した。しかし誰も納得はしていない。続いて私は、当初から予定していた質問をぶつけた。長くなるが、以下その質問原稿を掲載する。ご一読ねがえれば幸いである。
〔市民交流センター問題に対する板倉真也の質問原稿〕
「取得金額75億円」は「稲葉市政のムダ使い」と述べながら、「欠陥が解消されたら、購入の是非を住民投票で決める」との選挙公約が、施政方針では「欠陥が解消されたという前提で、購入するかしないかの意向を住民投票で確認します」に変化している。「ムダ使い」と自身で認めているものを「住民投票で購入の是非を決める」ということ自体が、市民に責任を転嫁するもの。
市民の多数が「購入する」となった場合には、購入のための起債の発行と、年間で2億3,000万円もの赤字となる建物を「ムダ使い」と選挙公約で述べながら、市長自らが取得することになる。しかも市長の事前ビラでは、市民交流センターは「使い勝手の悪さ、CO2の大量排出などの問題点」を指摘している。住民投票で市民が購入すべきと判断したら、市長は購入するというのか。「市民が決めたから」と市長は説明するのだろうが、それは市民への責任転嫁でしかほかならない。政治家としては問題である。
しかも、今回の施政方針では、欠陥が解消されていない段階で「住民投票」を行なうとなっている。これはさらなる問題点を抱えることになる。なぜなら、欠陥が解消される見通しがないからである。住民投票には 3,000万円の市税が必要となる。3,000万円もの税 金を使いながら結局、欠陥が解消されないままであれば、住民投票に費やした金額が「ムダ」となる。現時点での推移から見ると、市民交流センターを管理している都市再生機構が建物の「欠陥」を是正できる見込みはない。
市民交流センターの購入財源には、市民の税金投入や借金に加えて、国からの交付金が含まれているが、これまでは「まちづくり交付金」があったが、この交付金は2010年度末で終了。そのため今年度は「社会資本整備総合交付金」を充てることになった。しかしこの交付金も今年度末で終了するとされている。国からの交付金が充てられなくなると、まるまる市が負担することになる。今年度、市民交流センターへは「社会資本整備総合交付金」を9億9,870万円予定。しかし市民交流センターの 購入が2012年度に食い込むと、9億9,870万円がそのまま市の負担となっていく。
すでに市民交流センターは、都市再生機構の管理・運営によって、この6月から市民に有料で開放されている。利用料金は、昨年4月に市議会が議決した額と同じである。公会堂がなくなったいま、市民は、市民交流センターを使いたいと思っている。すでにこの6月から市民も行政も使うことができるようになっており、あえて買う必要はない。
政治家は、自分の信念を確固として持つべきである。「ムダ使い」であるのならば、「買わない」となるべきである。「住民投票の実施」は聞こえはよいが、結局、最終判断を市民に委ね、「ムダ使いであっても市民が決めたのだから」と、市民に責任を転嫁するものとなる。その結果、市財政を窮地に追い込むものとなっていく。よって「買いません」となるべきである。
一方、施政方針では、市の権利分26億円の「機能発揮」を述べている。市民交流センターを取得できない支障物件にしたのは、都市再生機構である。賛否はあるにせよ、昨年、小金井市は取得議案を議会に提出し、12月に市議会は取得議案を可決した。そのことによって、小金井市の責任は果たされている。よって、問題を起こしている都市再生機構にたいして「26億円の権利分を返せ」と通告し、交渉するのが小金井市の役割である。住民投票をするまでもなく、権利分を「機能発揮」できるように、都市再生機構に求めていくのが当然の道筋である─────。
議場内からは「そうだ」の声や「なるほど」の声が掛かり、質問が終わった後には、市民交流センターを買うべきとの立場の議員からも「立場は違うけど、言っていることは明快」との声が掛けられた。
さて、市長。答弁が迷走を始めた。「市民交流センターの75億円が、まるまるムダとは言っていない」。“なにを言ってるんだ。選挙公約をしっかり見てみろ!”と、ヤジが飛ぶ。「『欠陥が解消されたという前提で』とは、解消される見込みが見えてきた段階で、住民投票を実施するということ」。“おい、おい。施政方針の内容とは違うじゃないか”。議会が昨年12月に議決したことで、小金井市の責任は果たされているという指摘に対しては、「私はこの点には立っていない」。────このあたりから、“なぜこんな答弁が返ってくるのだろうか?”との疑問が、脳裏に渦巻いてきた。
翌日も施政方針に対する質疑は続いた。4月下旬まで市長与党だった議員も、いまは野党。自民党も公明党も、積極的に発言をする。施政方針への最後の質問に立ったのは、佐藤市長を応援した漢人明子議員。時間は夜の10時である。漢人議員は「75億円のムダ使いなのだから、買うべきではない」と質問。しかし市長は「それを住民投票で判断したい」と述べる。わかったことは、市長を応援した側の議員と、応援された側の佐藤市長とでは、市民交流センターへの対処の仕方が異なるということである。応援した側は「住民投票の結果、購入ノーとなったら、買うべきではない」。一方、応援された側は「購入ノーの判断が下されても、買わないとは言い切れない」。
ここまできて再度、施政方針を読み返してみると、市長の内面がわかってくる。施政方針ではこう記している。「市民交流センターについては10年前から市民参加で検討が進められてきた経緯や、この市民交流センターを含む市街地再開発事業では、国や東京都から補助金として相当の支援を受けてきたという経緯があります」。だから、そのことを考えると、“買わないとはなりにくい"というのであろう。
施政方針の質疑は終了したが、翌日も私の質問を皮切りに、市民交流センターに対する市長の認識を問う質問が展開された。この日も市長の答弁は迷走を続けた。たまり兼ねた年輩議員が「市長、考えを整理しろ!」と怒った。議会は休憩に入り、長い休憩を経て市長が議会に提出した「市長答弁について」では、「(市民交流センターの)取得をする選択肢がある状況では交付金を充てることが、市民の利益に資するものと考えています」との活字が登場し、「交付金を充てるためには今年度中の市民交流センターの保留床取得が必要なことから、機構から課題の解消が示される時期によっては、時間的な制約から、市民の方の意向をお聞きする他の手段をとることも視野に入れなければならないと考えております」との文言が現れた。
市長の考えはいっそう明瞭になった。これまでの経緯があるから、「買わない」とはなりにくい。ならば早急に住民投票を実施して、国からの社会資本整備総合交付金が出る今年度中に買ってしまいたい。しかしそうはいっても、議会で条例を可決しないと住民投票が実施できない。ああだこうだ言っているうちに交付金の交付期限がきてしまうので、他の手段をとることも視野に入れる必要がある─────。概ね、そういうところが市長の胸の内ではないか。ついに「住民投票を行なう」という部分も崩れ去った。
市長の施政方針には「行政の安定性が何よりも重要」「継続性ということを重視」との文言が登場する。「自分のせいで市政が混乱したという批判だけは受けたくない」との意識が実にわかりやすいかたちで表現されている。ならばなぜ「75億円のムダ使い」と選挙公約で示したのか?。はっきりしている。そう記さないと、市民の注目を浴びないからである。佐藤市長は三多摩の自治体にお願いしているゴミ処理費用も「20億円のムダ使い」と選挙公約で表現し、稲葉前市長がいかにヒドイ市政運営を行なってきたかをアピールした。選挙戦術としては、成功したのであろう。しかし、記した公約に愛着はなかった。
佐藤市長は、前市長が策定した今年度からの小金井市の「長期基本構想」についても、「基本的に私の公約と齟齬はない」と述べた。ならばなぜ市長選挙に出て「市政を変えよう」と訴えたのか。変わる必要はなかったではないか。佐藤市長に投票した市民も、きっとそう思うであろう。まるで国政の自民党と民主党の「政権交代」劇を見ているようである。
JR中央線ラインモール構想
JR東日本は、あくどいことをやるものだ。街を南北に分断するJR中央線による「開かずの踏切」を解消するために中央線の高架化事業が行なわれ、2009年12月に市民待望の高架化事業が完成した。この事業に小金井市が投じた費用は78億1,830万円、東京都も16億3,970万円を支出している。高架化によって線路がなくなった地べた部分に空き地が生まれ、今後はこの空き地部分を小金井市とJRでどのように活用していくかが注目の的となっている。ところがJRは、この空き地の駅にもっとも近い部分を「自分たちが優先的に使う」と主張し、こともあろうに、商業施設を入れていくと言うのである。
「中央ラインモール構想」と呼ばれるこの計画は、「国鉄」から「JR」へと民間の株式会社になったJR東日本が、いっそうの利益を追求するために始めた構想であり、中央線の乗降客が駅中や改札口を出たところで買物をして帰れるようにする仕組みである。
乗降客にとっては便利が良くても、地元商店街にとっては死活問題である。JR東日本の資料によると、「駅をご利用のお客さまや沿線にお住まいの方々を対象に、利便性の向上や日常生活をサポートするような店舗構成とする」と述べ、「通学で駅を利用する学生を対象に加え、キャンパスライフを充実させる店舗展開、商品展開も行う」としている。ようするに、地元商店街と競合する日常製品を扱うということである。
商業展開することによって、JR東日本には、店舗利用者のための自転車駐車場の設置が義務づけられる。店舗面積20平方メートルあたり1台の割合である。小金井市が市議会に提出した資料によると、東小金井駅の高架下への店舗展開によって、JR東日本は140台分の駐輪場の設置義務が生じる。ところがこの駐輪場をJRは、駅からはるかに離れた高架下に設置する計画だという。しかも、東小金井駅から下りた乗客が、JRがつくった商業施設の中を通って駐輪場へ行くように計画がつくられ、商業施設の中を歩かせるために、駅からすぐに商業施設に行けるように、そのための改札口までつくるというのである。高架下なので、雨が降っても濡れずに駐輪場まで行けるというわけである。
「これでいいのか?」と多くの議員が市長に見解を問うた。5月31日の市議会全員協議会でのことである。ところが市長は「私のもとには、改札口を設けてほしいという市民からの要望もきている」「市民の利便性も考えていきたい」と述べ、商店街の存亡よりも、市民が便利かどうかに判断の基準を置く姿勢を示した。
駅を利用する人にとっては、駅の直近に買物ができる店舗があることにこしたことはない。しかしそれは、駅を利用する人のことのみである。小金井市もご多分に洩れず、高齢化社会へと突き進んでいく。車や自転車などに乗れない高齢者や障がい者にとって、地域の商店街は生活の糧である。また、地域の商店街は地域の様々な行事の中心的役割を担い、消防団の活動に加わっている若者も多い。その商店街の火が消えたならば、街は駅周辺のみが栄えるばかりとなる。こんな小金井市で良いのか?、これで安心して暮らせる街になるのか?。先を見据えた視点や、まちづくりの観点から物事を見ていく必要がある。しかし、佐藤市長にはその視点が欠けている。
小金井市は「法令上、JRに変更を求めるのは難しい」と言う。しかし私は、小金井市の自転車条例や大規模店舗立地法をもとに、頑張れる余地は十分にあると考えている。自転車条例の第6条には「鉄道事業者の責務」がうたわれ、「事業者は市長の施策に協力しなければならない」と明記している。また、東小金井駅高架下のJRの商業施設の店舗面積は2,800平方メートルであるが、これは「1,000平方メートル以上」とされる大規模店舗立地法の要件に該当すると考える。この点を十分に研究・活用して、小金井市は頑として首を縦に振るべきではない。
JR東日本が小金井市に計画の同意申請を求めてきたのは4月20日である。小金井市が同意をすれば、東京都は商業施設の建築を許可することになる。小金井市の行政手続条例では、同意申請から45日後には、何らかの処置をすることが必要になる。この場合の処置とは一般的には「同意する」ということになるのだが、先述したとおり、自転車条例や大規模店舗立地法などをもとに、徹底的に頑張ることが必要である。よって、45日を迎えたからといって、首を縦に振ることがあってはならない。JRに食い下がるべきである。
あわせて私はあえて言いたい。JRの「中央ラインモール構想」は、地元の商店街の死活にかかわる問題であるのみならず、市のまちづくりや市民の暮らしにも、大きな影響をおよぼすものとなる。たとえ法令上で頑張るスベがなくなったとしても、同意をすべきでない。佐藤市長は、担当部署から同意のための起案書が回ってきたとしても、了承の印を押すべきではない。それが11万市民の暮らしに責任を負う市長の果たすべき役割である。
後半の議会人事決まる
5月24日の臨時市議会で、市議会議員の任期後半2年間の議会人事が決まりました。議長には、4月の市長選挙で当選した佐藤和雄氏を応援した、野見山修吉議員(みどり・市民ネット)が、副議長には、自民党の中根三枝議員、議会選出の監査委員には、民主・社民クラブの武井正明議員が選出されました。これは、議会人事を決める協議会を前に日本共産党市議団が各会派に申し入れた内容に沿うものとなっています。しかし、この構成になるまでには会派間のやりとりが激しく続けられ、まる2日間、協議がいっさい進展しない状況にありました。
日本共産党市議団が各会派に示したのは、「最大会派から議長を選出する」こと。「みどり・市民ネット」は、当選した候補者とは異なる候補者を応援した渡辺大三議員を含めた6人会派で、最大会派となっています。「6人会派」とはいっても、渡辺大三議員以外の5人は当選した佐藤和雄氏を応援しており、「5人+1人」というのが正確な表現となります。仮に「5人会派」であっても、最大会派であることには変わりありません。この「みどり・市民ネット」から議長を送り出すのは当然のことです。しかも、そのうちの5人は、佐藤和雄市長を応援してきたのですから。誰が見ても、議長職を出すのは自然なことです。ところが、「嫌だ!」と彼らは拒否しつづけました。
「嫌だ!」と言われても、「ああ、そうですか」とはなりません。「みどり・市民ネット」の5人は、当選した佐藤和雄氏を応援した、れっきとした市長与党議員。そこが議会運営に責任を負わずして、市長提出議案を審議するための議会を円滑にすすめることができるというのでしょうか。もちろん日本共産党市議団も、市民のくらしにとって良い施策や予算に対しては評価をするし、積極的に後押しもします。しかし、問題のある内容に対しては改善を求め、受け入れられない場合には、反対の意思表示をすることになります。そんな議会の状況であっても、市長与党議員は、議会が円滑にすすむように責任を果たさなければなりません。そうならなければ、応援している市長の提出議案の審議にも入れないからです。
「そこまで、我々は責任を負えない」と、もし「みどり・市民ネット」の5人が言うとすれば、佐藤和雄氏に投票した市民は、「なんのための応援議員なのか」と、首をかしげることになるでしょう。「我々は責任を負えない」と言う前に、市長に対して事前にモノを言っていくのが、選挙で応援した5人の務めです。けれども、何ら対応策を持とうとしないのであれば、その程度の「応援議員」だったということになります。
「当然に『みどり・市民ネット』が責任を果たすべき」と、他の会派から質されていく中で、議会人事の協議開始から3日目になって、ようやく彼らは議長職を受け入れることになりました。野見山修吉議員は5期目。前半の議会では副議長職に就いていたので、議長職に就任するのは、いたって当然のことです。
6月議会は6月1日から始まります。市長与党議員の市長応援ぶりを、しかと見届けたいものです。 ※「議会・委員会などの人事一覧」をPDFファイルで掲載します
会派
「会派」とは何か?。「広辞苑」によると、「政治上の主義・主張を同じくする人々が結成したグループ」と記されている。だから、同じ会派に属している人々は、議案に対する態度が、国会でも都議会でも市議会でも同じ方向となるのである。・・・・たまには「賛成」と「退席」とに分かれることもあるかもしれないが。一方、会派執行部の方針に反する態度をとった議員は、会派内で責任追及を受けることになる。このことは、企業社会においても社会通念上でも当然であろう。しかし、小金井市議会では、社会通念と異なることが起きている。
先の小金井市長選挙には3人が立候補し、それぞれの主義・主張のもとに選挙戦をたたかった。それぞれに応援する議員が付き、結果は、小金井市議会の「みどり・市民ネット」という6人会派のなかの5人が応援した新人が当選した。「みどり・市民ネット」の残る1人は、別の新人候補を応援した。応援する候補者が別々になった理由は、主義・主張・政策などが異なるからであろう。よって、この時点で「みどり・市民ネット」は5人対1人に袂を分かつこととなった。
ところが、小金井市議会の後半2年間の議会人事を決める5月17日からの協議会の場に、袂を分けたはずの議員同士が「みどり・市民ネット」を代表して出席した。市長選以前と同じように「みどり・市民ネット」は6人の会派で交渉に臨むというのである。「冗談じゃない!」と他の会派から異論が出るのは当然である。これでは、単なる寄せ集めの集団ではないか。とても「政治上の主義・主張を同じくする人々が結成したグループ」とはなりえない。この6人の「みどり・市民ネット」は市長選前の2年間の市議会の案件採決においても、「賛成」「退席」「反対」に分裂することが何度も見られた。それでも平然顔で同一会派を名乗っているのである。
「人数が少ない者同士が集まり、他の会派とわたりあう必要がある」という論を述べる者がいる。市民にとって良くない案件や市政運営をくい止めるために、議員や会派同士が力を合わせることは当然である。しかし、「政治上の主義・主張」が異なる者同士が一つの会派に収まるというのは、論外である。単なる寄せ集めの集団にほかならない。
市を破滅に導く『第4次基本構想』
日本は「少子高齢化」の社会へ突入している。結婚しない、あるいは良き伴侶と出会う機会にめぐり合えない若者が増え、結婚しても、子どもが2人以下の世帯が増えているからである。ちなみに、我が家も子どもは2人である。
小金井市においても、人口構成は65歳以上が年々増加する反面、15歳から64歳までの階層は、2015年以降つまりはあと4年後には減少していくことが予測されている。このことは、給与所得世帯が減少し、年金収入世帯が増加することを意味しており、市税収入の根幹となる個人市民税の減少は避けられないことを表している。加えて、日本社会は今後、人口減へと向かい、東京などの都会においても、人口はやがて減少に向かうと、多くの専門家が指摘する。
そんななかにおいても、多くの財源を投入する駅前開発を推進するという第4次基本構想は、常軌を逸しているとしか言いようがない。市長は「駅前開発によって税収構造を変え、固定資産税や市民税の増収を見込む」という考えだが、人口は今後、減少していくのである。「駅前の開発ビルも今後、空き家が出てくる」と、専門家は指摘しているのである。
自民・公明が推す市政では街全体が歪むだけでなく、市財政を破綻に導くことになる。こんな市政は一日も早く、変えることが必要だ。以下、小金井市の2011年度から10年間の「第4次基本構想」に対する日本共産党市議団の2月15日の市議会本会議で行なった反対討論を掲載。ぜひ、ご参照のほどを。
小金井市「第4次基本構想」策定への反対討論
日本共産党市議団を代表して、議案第46号「第4次小金井市基本構想の策定について」に反対する立場で討論を行ないます。
2011年度から2020年度までの10年間の、小金井市の市政運営の指針となる第4次基本構想では、今日の市民の置かれている実態を真正面から見据え、市民がこの小金井市で安心して働き暮らせる「まちづくり」をどのようにすすめていくかを明らかにし、市民に夢と希望を指し示していくことが求められます。その観点から、今回の長期基本構想の全体を見ていく必要があります。
いま、市民の暮らしはどういう状況に置かれているでしょうか。今日、市民の台所状況は長引く景気低迷下のもと所得が減少へと向かい、逆に、支出は増えるばかりとなっています。夫婦共働きでなければ食べていけない時代のなかで、頼みの保育所は依然として100人前後の待機児を数え、特別養護老人ホームは400人近い入所待ちをかかえています。高すぎる国保税のために保険料を払いきれない世帯も多く、介護費用や医療費の自己負担の増加のなかで、利用や受診をひかえる事態も多くなっています。この声に応えることができるかどうかが、長期基本構想では問われています。
しかし、第4次基本構想では、市民のくらしの現状や課題、将来像は記されているものの、打開するための具体的な対応策は示されず、もっぱら現行の取り組みの「充実」「拡充」などの表現で済まされてしまっています。一方「市街地整備」においては駅前開発の「推進」を明記し、開発をさらに推し進めることを表明しています。これでは、地方自治法で明記された「福祉の増進」は後景に追いやられ、市民に夢や希望を指し示していくものにはなりません。
また、第4次基本構想の主語は「私たち」となっています。「私たち」とは「市、市民、団体及び事業者全体を指す」となっており、一人ひとりの市民の暮らしに対する行政の責任があいまいにされています。同時に、冒頭の「基本構想の目的と策定意義・役割」では、「地方自治の本旨にのっとり、市民のしあわせを推進することを目的に」と記されていますが、「しあわせ」は漠然とした表現の仕方であり、10年間の市の指針を明示する文言としては適切ではありません。「地方自治の本旨」をいうならば、地方自治法第1条で明確にうたわれた「福祉の増進を図る」とするべきであり、「しあわせ」という曖昧な表現で済ませるべきではありません。
基本構想を審査する特別委員会では、各会派から多くの訂正要望が出されました。そうしたなかで「発達障害への相談支援体制の構築」や「格差や貧困などの問題」「地域での見守り体制の充実」、ごみ処理の「非常事態」を加えられたことは、評価できるところです。また、いじめや不登校など、子どもと教育を取り巻く状況についての記述が加えられたことは評価できますが、実態が記されておらず、学校教育現場を直視したものにはなっていません。子どもたちは今日、競争社会の中で居場所がなくなり、「自己責任論」のなかで自分に自信が持てなくなっています。子どもたちが自己肯定感を持てる教育をうたうべきです。
今回の訂正によって一定、評価できる部分はあるところですが、以下に述べる根本的なところでの訂正が行なわれていないことから、反対を表明するものです。
第1に、駅前の大型開発を「推進」するものになっていることです。この間すすめられてきた武蔵小金井駅南口の再開発事業は、地権者合意を得ずにすすめてきたことから、民間権利者とのあいだで多くの課題をかかえることとなり、市民交流センターに至っては、都市再生機構任せにすすめてきたことから、登記の見通しがたたない事態に直面しています。このことへの教訓をなんら省みることなく、第4次基本構想では「武蔵小金井駅南口第2地区の再開発の着実な事業化」をうたい、その他の駅周辺地域についても「推進」の方向性が述べられています。しかも、武蔵小金井駅南口再開発区域に大型店舗が進出したことにより、地元商店の売り上げに大きな影響が出ているにもかかわらず、地域商業や工業の振興策の具体化は見られません。「駅周辺の整備」に頭を向ける前に、まずは市民の暮らしや営業に全神経を注ぐべきです。
第2に、新庁舎建設の方針が明確化されていないことです。庁舎建設地の検討を行なってきた市民検討委員会は今年1月下旬、「蛇の目跡地」を新庁舎の建設場所に「答申」しました。昨年7月に行なわれた「市民1万人アンケート」でも回答者の62.6%が「蛇の目跡地」と答えており、市民多数の意思は明確になっています。しかし基本構想では「新庁舎の建設」としか明記されず、蛇の目跡地への明確な建設の意思が示されていません。これでは「リース庁舎の早期解消」をうたっても、実態が伴わないことにもなりかねません。「蛇の目跡地への建設」と明確に記すべきです。
第3に、第4次基本構想で「推進」がうたわれた駅前開発の財政的裏付けとして、「第3次行財政改革大綱」が位置付けられていることです。「第3次行財政改革大綱」は市民施策の民間委託化や公民館・集会施設の有料化、健診事業の有料化が明記されているように、市民サービス低下・負担増が中心となっています。このサービス低下・負担増で得る財政効果は6年間で2億7千7百万円余。ここで得られた財源が、結局は莫大な経費を必要とする駅前大型開発事業に充てられていくこととなり、断じて認められるものではありません。市民のくらしが大変な時だからこそ、財源は市民の暮らしや福祉・教育の充実にこそ充てるべきです。
しかもここにきて、第4次基本構想の財政的裏付けとなる「中期財政計画」の根幹を土台から覆す事態が起きています。小金井市の財源不足を補完してきた「臨時財政対策債」の発行額が今後3年間で段階的に縮減され、3年後には発行されなくなるというのです。小金井市は地方交付税の不交付団体であるため、これまで借りてきた100億円近くもの「 臨時財政対策債」は、まるまる返済を余儀なくされ、一方で財源不足の補完となる「臨時財政対策債」のような財源確保策は3年後にはあてがなくなってしまいます。なのに市民の暮らしを脇において、駅前大型開発を「推進」できる状況だとでも言うのでしょうか。
市長は、税収構造を変えるために駅前開発などの「まちづくり」をすすめると述べていますが、税収構造を変える前に、市財政も大本の市民の暮らしも崩壊してしまいます。大型開発計画の中止・見直しをうたうべきです。
第4次基本構想の全体に貫かれているのは「参加と協働」です。これはボランティアや各種団体、NPOの力を借りて小金井市の事業にかかわってもらおうというものですが、裏を返せば、行政が果たさなければならない役割を、低い委託料でNPOや各種団体に担わせるというものです。これでは、行政の役割放棄と言われてもしかたがありません。行政の役割や責任を曖昧にする「参加と協働」を全体の基調にするあり方は、賛成できるものではありません。
今日、若者からお年寄りまでをも覆っている「無縁社会」が、大きな社会問題として指摘されています。社会がますます一人一人をバラバラに切り離し、生きていくのもままならない状況をつくりだしているもとで、小金井市の10年間をかたちづくる長期基本構想が市民のくらしの実態を直視し、小金井市で安心して住み続けられる具体策を打ち出していくものになるべきと考えるものです。その市民の期待に応えられていない第4次基本構想には反対をするものです。
大手ゼネコン共同企業体が最低制限価格で応札
このような落札金額で、工事は安全・確実に行なわれるのだろうか?────こんな危惧を抱いたのは、私だけではないと思う。
2月2日の小金井市議会臨時会にかけられた案件は「旧 二枚橋衛生組合施設解体等工事請負契約」。2007年3月末に、1958年4月以降、半世紀にわたって小金井・調布・府中のゴミを燃やし続けてきた「二枚橋焼却施設」が稼働を停止し、施設の解体と埋設物の除去工事が行なわれることとなった。今回の案件は、施設解体および埋設物除去を行なう業者と小金井市との間で締結された契約議案である。
工事は総合評価方式による制限付一般競争入札で実施され、大手ゼネコンによる共同企業体など4者が応札。入札予定価格の事前公表が行なわれ、予定価格は「18億952万3,000円」となっている。その結果、落札したのは、総合評価の技術評価点が4者中2位ではあったものの、もっとも入札価格の低かった「戸田・JFEエンジ建設共同企業体」。入札金額は「12億634万9,000円」である。
ところでこの「12億634万9,000円」は、予定価格「18億952万3,000円」と比べると66.666・・・というバーセント。実に、3分の2の価格で落札しているのである。予定価格は、国の定めた積算基準にもとづいて、工事に必要な資材や機材、労務費などを一つひとつ積み上げて設定される、いわば、この工事に関しては、これくらいは当然に必要という額である。その額を大幅に下回った数字で、「戸田・JFEエンジ建設共同企業体」は応札したのである。
公共工事では、最低制限価格が設定される。安い金額で受注した場合の手抜き工事や、不良資材等を使用したり下請業者が劣悪な労働条件で請け負わされるという事態を避けるためである。よって、最低制限価格を下回った額で応札した業者は失格となる。では、66.666・・・%という今回の金額はどうなのか。失格になっていないということは、最低制限価格を下回ってはいないということになる。
では、今回の入札案件の最低制限価格は、どれくらいだったのか。もちろん、その額は明らかにはされない。しかし、その額は今回の場合、おおよその見当がつく状況となっている。
どの自治体も法令や条例・規則・要綱・要領などをもとに、行政運営を行なっている。契約事務の場合には、「契約事務規則」というものが各自治体にある。小金井市の「契約事務規則」では、最低制限価格を設ける場合には、「予定価格の10分の9から3分の2までの範囲内において」とうたっている。つまり、最低制限価格の下限は「予定価格の3分の2」ということになる。今回の落札価格は「12億634万9,000円」。この額は入札予定価格の66.666・・・%。つまり、この額が「最低制限価格」ということである。大手ゼネコンの「戸田・JFEエンジ建設共同企業体」は、最低制限価格で応札したのである。
この額で果たして、安全で確実な工事ができるのか?。資材や機材、労務費など、工事に係る経費を国の基準で積算していけば、それよりも6億円高い「18億952万3,000円」(予定価格)になるというものを・・・。「戸田・JFEエンジ建設共同企業体」は公共工事の元請けである。実際の現場作業は下請・孫請けが行なうこととなる。現場で働く下請・孫請けの作業員は、どんな労働条件で仕事を行なうことになるのであろうか。
小金井市の契約事務規則でうたう最低制限価格は、「予定価格の10分の9から3分の2までの範囲内」となっている。しかし、この数値は国の指針とは異なった設定となっている。国土交通省は2009年4月に、最低制限価格を「予定価格の10分の9から10分の7.5までの範囲内」に改定している。ようするに、国は最低制限価格の下限を「10分の7.5」(75%)にしているにもかかわらず、小金井市はあいかわらず「3分の2」、つまりは66.666・・・%にとどめている状況である。この結果、今回の異常に低い入札結果を生み出したのである。国の指針に反し、下請・孫請けにしわ寄せが押しつけられ、しいては、安全で確実な工事となるのか懸念を抱かざるを得ない事態をつくりだす小金井市の基準は、早急に見直されるべきである。
同時に私は、「予定価格の事前公表」も見直すべきと考えている。これまでは「談合防止」「情報公開」の立場から、予定価格の「事前公表」が推奨されてきたが、予定価格が事前に公表されている場合は、入札参加業者が予定価格とともに最低制限価格のおおよそを事前に把握することができるようになる。しかしそのことは、景気低迷下のなかでの仕事確保のためのダンピングに近い低価格競争につながり、事業者の設計価格の積算能力をも低下させることにつながっていく。このことは、しいては、業界の健全な発展をも阻害する要因につながるものとなる。だから、政府自身も2008年12月22日付の「公共工事の入札および契約の適正化の推進について」との文書で、予定価格の事前公表の取りやめ要請を各自治体に行なっているのである。
「情報公開」を重視するというのであれば、「事後公表」でも良いと考える。はっきり言えるのは、「事前公表」を行なっても「談合はなくなっていない」と、多くの専門家が指摘していることである。
市民交流センターに振り回された12月定例市議会
12月定例市議会は「市民交流センター」に振り回された格好となりました。定例市議会冒頭に1票差で建物の購入(取得)議案が可決され、翌年(2011年)3月の不動産登記の結果を待つのみ・・・と思いきや、定例会終盤に都市再生機構のどんでん返しの不始末が勃発し、市民交流センター購入議決が「白紙」に戻るという事態となりました。仮に「1棟」登記が可能となったにしても、購入議決を再度、行なうことが必要になります。一方、「分棟」登記となった場合には、権利変換計画のやり直し時点にまでスケジュールが巻き戻しとなり、終止符のない事態へと突入することが予想されます。いずれにしても、市民交流センターをめぐる議会審議は、この先、ずっと続くことは明らかであり、市議会の総務企画委員は大変です。
12月定例市議会の最終本会議は23日(木)未明までずれ込みました。市民交流センター問題で、市議会の与野党5会派が11月12日と22日の両日、「1棟」登記が本当に可能なのかの申し入れを都市再生機構に行なっても、都市再生機構からは「可能」という明確な根拠が示されずに12月議会に突入し、今回の事態を迎えたことに対して、市議会として都市再生機構に抗議決議を突きつけることが必要になったためです。この決議には、11月の2回の都市再生機構への申し入れに応じなかった自民党や公明党も加わりました。決議に加わらないとバツが悪いとでも思ったのでしょうが、都市再生機構いいなりの姿勢は自民党も公明党も、稲葉市長と同類です。このような政党には市政は任せられません。
12月議会の最終本会議に、各会派から提出された国や東京都への意見書の採決が行なわれました。時間も夜中を迎え、各会派が意見書採決での討論実施をひかえたことから、議会運営委員長を送り出している日本共産党市議団も、討論実施を見送りました。ただし、しっかりと討論用の原稿は準備しておきましたけれど・・・。私が準備した「ロシア大統領の北方領土訪問に対し、毅然とした外交姿勢を求める意見書」(自民党提出)への反対討論を以下に掲載しますので、ご参照ください。また「12月定例会の主な議案・意見書・陳情書の採決結果」をPDFファイルで掲載しますので、ご覧ください。
北方領土問題に対する意見書への反対討論
日本共産党市議団を代表して、本意見書への反対討論を行ないます。
日本共産党は、今回のロシア大統領の国後島などへの訪問は、日本の歴史的領土である千島列島と歯舞・色丹の不当な領有を将来にわたって固定化しようとするものであり、絶対に容認できるものではありません。あわせて、ロシアにこうした強硬姿勢を許した根本に、歴代自民党政権が、日ロ領土問題について、国際的道理のない立場と方針で対応し続けてきたという点を指摘せざるを得ません。領土問題を公正に解決しようとすれば、国際社会はもとより、ロシア国民にも説得力をもった強い論立てが必要です。しかし、今回の意見書を含め、その観点は依然として欠落をしています。
今回の意見書の最大の問題点・欠点は、歯舞・色丹・国後・択捉のいわゆる北方四島のみを、日本の領土とみなしている点にあります。これでは、国際社会に対しても、説得力を持つものではありません。
今日の日ロ領土問題の根源には、第二次世界大戦終結時におけるソ連側の領土拡張政策にあります。当時のソ連の最高指導者のスターリンは、ヤルタ会談でソ連の対日参戦の条件として千島列島の引き渡しを要求し、アメリカ・イギリスもそれを認めてしまい、この取り決めを根拠にソ連は、日本の歴史的領土である千島列島、つまりは、国後・択捉から「占守(しゅむしゅ)」までの全千島列島を併合してしまいました。これは1943年11月に開かれた「ヤルタ会談」などに明記され、ソ連側も自ら認めた、「領土不拡大」という戦後処理の大原則を蹂躙するものであり、到底、認められるものではありません。しかもソ連は、千島列島には含まれない北海道の一部である歯舞群島と色丹島まで占領してしまいました。この「領土不拡大」の大原則を破った戦後処理の不公正をただすことこそ、日ロ領土問題解決の根本に据えられなければならないことがらです。
しかし、歴代の自民党政権が、戦後処理の不公正をただせというこの主張を、国際社会にも、ロシアに対しても、ただの一度もしてこなかったことが、戦後65年たった今でも、日ロ領土問題がまったく解決のめどすらたっていない最大の要因になっています。
ロシアに対して領土交渉を行なう際には、日ロ両国間で平和的に画定された国境線は何だったのかを歴史的に再検討し、それを交渉の土台にすることが必要です。歴史の事実に照らせば、千島列島全体=国後島・択捉島の南千島と得撫(うるっぷ)島から占守(しゅむ しゅ)島までの北千島が、日ロ間の外交交渉の末に結ばれた、1855年の日魯通好条約と1875年の樺太・千島交換条約で、平和的に日本領と確定した正当な領土となります。この歴 史の事実こそ土台にすべきです。
しかし1993年の「東京宣言」をはじめ、90年代以降の日ロ両国政府間で一連の「合意」がなされていますが、領土交渉の対象を国後・択捉・歯舞・色丹の4島に限定したため、北千島の返還要求は最初から放棄されてしまいました。また、全千島列島が返還されるべき正当な根拠をもった日本の領土であり、北千島と南千島を区別する条約上の根拠はまったくないにもかかわらず、その一部分である北千島を最初から領土返還交渉の枠の外に置いたために、残りの部分である国後・択捉についても返還を要求する正当な根拠を失うこととなりました。しかも、千島の一部である国後・択捉と、北海道の一部である歯舞・色丹の性格の異なる4島を同列に並べ、一括返還の立場をとったことによって、歯舞・色丹の早期返還への道を閉ざす結果となりました。このように道理のない、国際的にも通用しない「4島返還」論に立つ意見書には賛成できるものではありません。
民主党政権は、政権交代をした以上、これまで自民党政権がすすめてきた日ロ交渉の方針を無批判に引き継ぐのではなく、この間の自民党政権の領土交渉を根本的に再検討し、歴史的事実と国際的道理に立った方針への転換を図るべきです。以上、日本共産党の見解を述べ、本意見書には反対をするものです。
前代未聞! 市民交流センター『可決』無効
それは突然やってきた
それは突然やってきた。12月議会終盤の12月20日(月)のことである。午前9時30分、その日の議会のすすめ方を協議するために議長室に集まった、市議会議長・副議長、議会運営委員長・副委員長の協議の場に、議会事務局から「市長が相談したいことがあるそうです」との連絡が舞い込んだ。何の相談であろうか?と市長を迎え入れると、緊張した面持ちの市長の口から予期せぬ言葉が飛び出した。「『12月28日の期限までに、市民交流センターの引き渡しができない』と、都市再生機構から連絡があった」。議会にどのような段取りで報告したらよいか?という相談である。
市長の説明では、都市再生機構側が17日(金)午後3時に小金井市役所にやってきて、「市民交流センターの登記の見通しが立たない。工事完了の時期も見通しが立たない。そのため、『12月28日』が期限となっている売買契約の締結と建物の引き渡しを延期したい」との申し入れをされたという。しかし、「12月28日」を延期するというのは、たんに期日の変更では済まされない、重大な内容を含むものとなる。
小金井市と都市再生機構との従前の取り決め内容
武蔵小金井駅南口再開発区域に完成間近の「市民交流センター」は、小金井市の依頼にもとづいて都市再生機構が建設し、12月28日までに「小金井市との売買契約の締結」「小金井市への建物の引き渡し」が都市再生機構と小金井市との間で約束されていた。また、その期日に合わせるように、「工事完了の官報公告」と「建物の管理規約の認可手続き」「登記申請」を都市再生機構の責任で行なうことが小金井市との間で取り決められていた。
可決した取得議案が「無効」に
その取り決めや約束を前提に小金井市は、市民交流センターを都市再生機構から購入するための議案(「市民交流センター等の取得議案」)を9月市議会に提出。市議会の総務企画委員会は計10回の委員会開催、日時にすればあしかけ12日間の審議の末に、12月定例市議会初日の11月29日、取得議案を委員会で可決。翌30日の本会議でも賛成12、反対11の僅差ながら、取得議案を可決した。だが、議案にうたわれている文言は、建物の引き渡しおよび売買契約の締結期限を「12月28日」としている。つまり、「12月28日」が延期ということは、11月30日に可決した「取得議案」に明記された文言とは異なる事態となるのである。このことは何を意味するか?。11月30日に可決した取得議案の議決が「無効」になるということである。
市議会に衝撃走る
12月20日の午前9時30分からの市議会正副議長と議会運営正副委員長の打ち合わせは、緊迫の場に変身した。取得議案の可決が無効になるということ自体が大事件であるが、ことはそれだけでは済まされない。12月市議会に提出されている市民交流センターにかかわる補正予算と条例の扱いにも影響が及ぶからである。補正予算には、取得議案に含まれていた駐輪場に関わる予算と、市民交流センターの開館イベントに関する予算が組まれている。条例は、その駐輪場の開設と利用料金を明示している。補正予算と条例の前提となる取得議案が「無効」になるのだから、扱いをどうするのかが問題になる。市長は「補正予算を取り下げたい」と説明。一方、条例の方は「継続でお願いしたい」と述べた。
時間を15分超過して打ち合わせが終了した。情報はただちに各会派に伝えられた。与党側も事前には知らされていなかった。議会内の建物を、緊張した面持ちで与党議員が慌ただしく歩き回る。10時から始まる予定の議会運営委員会は、1時間近くも遅れての開会となった。そして議会運営委員会の冒頭に幹事長会議を開き、市長から説明を受けることとなった。しかし、市長も担当部署も、ことの重大性は認識できても、都市再生機構が今後、どうしていこうとしているのかは皆目わからない状況。担当部署は善後策に追われる事態に直面した。都市再生機構からは翌21日に文書が届けられるということから、その文書を待つことでこの場は終わった。
都市再生機構からの文書
12月21日、都市再生機構が小金井市に文書を持って来訪。その文書が同日午後5時からの幹事長会議に配布された。「12月28日」の期限を守れない理由を文書は次のように記している。「現時点では、本再開発事業における権利変換計画に則した不動産登記がされるという明確な見通しが立たないことから」。市民交流センターの利用については、次のように記している。「別途、当機構と権利床については事前使用契約を締結し、保留床等については使用貸借契約を締結した上で、お引渡し前に無償で使用していただくことが可能であることを申し添えます」。これを「都市再生機構の小金井市に対する、せめてもの償い」と見るべきなのか、「これくらいは当然のこと」と見るべきなのか、あるいは「登記もできないような建物を貸すとは何様だ!」と見るべきなのか、はたまた「『貸す』のではなく、都市再生機構みずからが管理・運営すべき」と突き返すべきなのかは、市民交流センターへの身を置く場所や見渡す位置によって異なるであろう。
なぜ「引き渡し延期」になったのか
引き渡し延期の理由は「権利変換計画に則した不動産登記がされるという明確な見通しが立たないことから」となっている。これはどういうことか?。
武蔵小金井駅南口に建てられた「市民交流センター」は単独の建物ではない。JR所有ビルと民間地権者ビルとの複合ビルである。「1筆1棟」の建物のなかの一角を「市民交流センター」にあてるという形態をとっている。しかし、複合ビルの外見からも明らかなように、それぞれのビルの間に幅1mほどの空間があり、3つのビルは階上の外側通路によって結ばれる形態となっている。「どうみても3棟に見える」というのが、普通の感覚である。しかし小金井市は「都市再生機構が1棟と言っており、『1筆1棟』で登記申請すると言っている」と主張し続けてきた。ところが、都市再生機構が登記所の登記管に事前に相談をしたところ、「1棟」登記に難色が示されたという。
JRと小金井市と地権者の、再開発前の権利分をこの複合ビル内に組み込む「権利変換計画」は、「1筆1棟」方式となっている。その「権利変換計画」に則した登記の見通しが立たないということは、「1棟」登記ができない状況に至っているということになる。「1棟」登記がムリとなれば、「権利変換計画」そのものをやり直すことが求められる。つまり、白紙の状態からやり直すということに等しい。登記申請ができない事態におちいり、複合ビルのJR・小金井市・地権者の使用ルールを定めた「管理規約」も白紙に戻る可能性が生じ、登記申請もできない建物であるため「工事完了公告」もできず、当然に、小金井市との「売買契約の締結」もできない事態となっている。だから「建物の引き渡しができない」となったのである。これは大変な事態である。
小金井市が行なおうとしている措置
小金井市は市民に対して、「来年4月には、待望の市民交流センターがオープンします」と宣伝している。しかし、このままではオープンできるかどうかが危うい。一方で、小金井市の文化関係者は来年4月に期待を抱き、さまざまな趣向を予定している。そこへの影響も、小金井市は考えなければならない。同時に、市長とともに市民交流センターを推し進めてきた与党議員も混乱におちいった。来年4月オープンを宣伝してきたからである。小金井市は、このような状況を真正面から浴びるなかで、都市再生機構の通知文書にうたわれた「権利床については事前使用契約を締結し、保留床等については使用貸借契約を締結した上で、お引渡し前に無償で使用していただくことが可能であることを申し添えます」に飛びつき、4月から市民が利用できるようにすることを考えている。そのために市長は、来年1月下旬に市議会全員協議会を開いて、「事前使用契約」「使用貸借契約」を示すと述べた。
しかしこれに対しても、議会のなかで異論が出されている。そもそも、登記ができない建物を行政が借りてよいものか。しかも、3千万円のピアノや譜面代、机・椅子などの備品類などを小金井市が購入し、用意しなければならないのである。「都市再生機構の責任で備品なども用意すべき」「都市再生機構の責任で運営すべき」との声が出るのも当然である。仮に「無償使用」を行なうにしても、「開館イベント」はおかしな話である。小金井市は購入していないばかりか、この先、どうなるかも不透明な代物だからである。
最大の責任は都市再生機構。独自の研究を怠った小金井市も同罪
今回の出来事の最大の責任は、都市再生機構である。都市再生機構は全国各地で開発事業を手がけ、国の外郭団体でもある。その専門家集団が今回の不祥事を起こしたのだから、責任は重大である。しかし、小金井市の責任も不問にはできない。再開発事業は小金井市にとっては初めての取り組みであった。しかし、都市再生機構に物事を聞かないと議会答弁が出来ないような状態を繰り返し、箸の上げ下げまでも都市再生機構にうかがうような実態であった。「1筆1棟は無理ではないか」と議会で再三再四、問われても、「都市再生機構が可能と述べているから大丈夫」の一点張りである。議会から指摘がされたら、施行主の都市再生機構に聞くのではなく、独自に研究を行ない対応するのが行政の責務である。よって、小金井市も同罪である。もちろん最大の責任者は稲葉市長である。
一部に、担当部課長の責任を問う者がいる。その者は「関係職員の人事上の処置を」と22日の議会で発言をしている。たしかに、部課長の責任も問われなければならない。しかし、部課長などの管理職や職員は市長の動向に左右される。市長が「市民交流センターを購入する」との方針を示せば、それに沿って対応策を講ずるのが任務である。「1棟」であろうが「分棟」であろうが、あるいは民間地権者との間で混乱が生じていても、「購入する」との方針が示されれば、それにそった対応策を講ずるのが仕事である。だから私は、その者の発言とは異なる見解を持つ。
しかし、副市長に対しては、違う。副市長は市長の過ちをただし、是正させていく任務を負う。たとえ市長から、「解任」をちらつかせられても、ただすべきものはただすべきなのである。副市長も市長と同様に、罪ははるかに大きい。
今回の出来事で思うのは、稲葉市長が議会から指摘されたときに「待てよ」と立ち止まり、指摘されたことを部課長に調査・研究させる意思を持つべきだったということである。そうすれば、今回のような都市再生機構の失態に巻き込まれることはなかったのではないか。稲葉市長は来年4月で4年間の市長の任期が切れる。市長は議会の責任を問う追及に対して、「私自身の責任は、しかるべき時に判断していきたい」と述べたが、たんに減給処分だけでは済まされない状況である。
小金井市が市民交流センターを取得するのはいつ?
都市再生機構は小金井市に対して「1カ月半から2カ月間、時間がほしい」と説明している。この「1カ月半から2カ月間」とは何を指しているのかとの問いに対しては、「今後どうしていくのかの検討期間であり、方向性が定まること」だという。また、都市再生機構は「あらゆる方策を検討していく」と説明しているが、この「あらゆる方策」が完了するまでには「おおよそ1年」かかるという。つまり、仮に「分棟」登記となった場合には、権利変換計画の確定に半年、その後、登記完了の手続きとなり、すべてが完了するのに1年はかかるというものである。しかもこれは、一般的なことだという。しかし、民間地権者が権利変換計画の見直し・確定に応じる可能性はない。そうなれば、建物の登記ははるか彼方に先送りとなる。
市長は、市民交流センターの取得議案の再提出のメドについては「想定できていない。議会の議決を得られる条件が整ってから」と説明。加えて、「たとえ分棟登記になろうとも、瑕疵ある物件にならない状況になることが条件」と明言した。つまり、「権利変換計画の見直し・確定」と「登記完了」の道筋が明確にならなければ、議案の再提出には至らないということである。小金井市が市民交流センターを購入する時期は、まったく見えてはこない。永久的に都市再生機構が建物を所有し続ける道筋のみが見えてくる。
都市再生機構の責任で管理・運営を
小金井市には、都市再生機構側に対する「不履行」はない。賛否分かれるにしても、取得議案を議会に提出し、「可決」をした。よって、一連の取り決めは履行されている。かたや都市再生機構側は、専門家集団とは思えない大失態を演じた。「分棟」登記になれば、最初からやり直しである。
市民交流センターは小金井市が購入し、小金井市の持ち物になった場合においても、小金井市が利用する場合には、利用料金を管理運営する委託業者に支払わなければならない。これ自体、市民には説明のつかないものであるが、今回の都市再生機構の大失態・不祥事をみるにつけ、私は声を大にして言う。「都市再生機構の責任で管理・運営を行なうべし」と。小金井市や市民が利用したいときには、利用料金を都市再生機構に支払い、利用すればよいのである。こんなゴタゴタした建物を、莫大な財源を投入してまで小金井市は買う必要はないのである。稲葉市長の決断を強く求めるものである。
都市再生機構の責任で市民交流センターの管理・運営を
9月市議会に上程され、総務企画委員会で10回にわたって審議してきた「市民交流センター」取得議案が、12月市議会初日の11月29日の総務企画委員会で賛成多数で可決され、翌30日の本会議で賛成12、反対11の僅差で可決されました。
11月29日の総務企画委員会での採決は、その3日前の11月26日の総務企画委員会で、我が党とともに取得議案に真っ向から反対していたはずの渡辺大三議員が「次の委員会で採決してもらって構わない」と発言したことから、急転直下の成り行きとなったものです。しかも、29日の総務企画委員会では、市民交流センターの指定管理委託業者を選定する議案も審議され、我が党は徹底審議で臨んでいたにもかかわらず、「29日中に委員会で採決することが、与党側との約束だったので」と渡辺大三議員が所属する会派の幹事長が述べる有り様。理由は、渡辺大三議員が作成した市民交流センターへの「決議」に、民主党などの与党系会派も提案議員に名を連ねてもらうことが、「29日中の委員会採決」の条件となっていたためである。
問題の多い「市民交流センター」取得議案は可決されたものの、10回にわたる委員会審議で勝ち取ったものもある。それは「議案可決後すぐに取得代金支払い」とされていたものを、「登記後に取得代金支払い」に変更させたことである。市民交流センターは建物の一角を「市民交流センター」として使用するという、分譲マンションと同様の区分所有の建物になっているため、さまざまな課題がある。その一つに「1棟」で登記できるかどうかという課題が残っている。仮に「分棟」で登記された場合には、これまでの10回にもわたる審議が振り出しに戻るだけでなく、議案も出し直しとなる。そればかりか、かぎりなく使いづらい建物になってしまう。議会側は「そんな建物など買えるか!」となるのである。よって「登記後に代金支払い」に変更させたのである。都市再生機構にとっては、痛い変更である。
以下は、11月30日の本会議で、私が行なった反対討論の内容です。ご一読ねがえれば幸いです。
問題の多い「市民交流センター」は都市再生機構の責任で管理・運営を
日本共産党市議団を代表して、議案第57号「市民交流センター等の取得について」に反対する立場での討論を行ないます。
日本共産党市議団が本議案に反対する理由の第1は、今回の議案に明記された取得金額41億8,331万7,220円に加えて、旧 公会堂や市道部分の権利部分および市民交流センター 取得にともない購入する備品やもろもろの経費、起債(借金)の利子6億1,300万円を合わ せた、総額で約77億円にものぼる買物を、市民生活が大変な時に認めることはできないからです。
この間、市民からはくらしや福祉・教育にかかわる多くの願い・要望が寄せられています。しかし小金井市は「財政が厳しい」の一言で、これらの願いに応えようとはせず、逆に「第三次行財政改革大綱」では6年間で2億7,747万円の財源確保のために、学童保育 や児童館・保育園・ピノキオ幼児園・図書館・小学校給食調理業務の民間委託を打ち出し、多くの市民が利用している公民館や集会施設の有料化、病気の早期発見・早期治療に欠かせないガン健診や健康診断事業に自己負担を導入しようとしています。景気低迷の長期化のもと市税の根幹を成す個人市民税は伸び悩み、しかも小金井市の借金が増え続ける中で、市民交流センターの購入のために借金を26億6,770万円も行ない、貯金を3億4,100万円取り崩し、今年度の税収を2億5千万円も充てるあり方は、今後の市民のくらしや福祉・教育の施策に充てる費用を圧迫するだけでなく、市の財政そのものを破綻の道に導くこととなります。よって、このような高額な買物は行なうべきではありません。
反対する第2は、約束が破られて事業がすすめられてきたからです。そもそも市民交流センターは、小金井市議会の建物取得の議案可決後に建物の譲渡契約を結び工事着工に入ることが、小金井市と都市再生機構との間で結ばれた「覚書」で確認されていました。ところが市議会へ提案する議案の影も形もまったくない時期に突然、都市再生機構は工事着工に入り、反対地権者の建物の明け渡し処分を裁判所に求めるまでにいたりました。しかも、当初は市民交流センターとJRビルのみの計画であったものを変更し、再開発事業に反対している民間地権者の権利分を建物の一角に加える権利変換計画を策定しています。それが今日の問題山積の事態を生み出す最大の要因となりました。「覚書」を破り、反対地権者を入れた権利変換計画をつくった都市再生機構に最大の責任があります。
ところが驚いたことに、都市再生機構が「覚書」を破って工事着工に入ったにもかかわらず、小金井市はその時点で何ら都市再生機構側に抗議も是正も求めずに容認し、そればかりか、反対地権者を入れる権利変換計画が公告縦覧された2週間のうちに、市長も副市長も変換計画の図書を見ずに、担当部長からの報告のみで了承してしまいました。小金井市にとっては初めての再開発事業による公共施設建設という出来事であるにもかかわらず、手取り足取りでの都市再生機構任せになっている有り様です。小金井市の行政責任も重大です。この責任はすべて長である稲葉市長にあります。
反対する第3は、市民交流センターが数々の問題点を抱えているからです。問題点の第一は、地価がもっとも高い駅前にあることに加えて、再開発事業でつくられた建物であるため、他の自治体のホールよりも高い買物となっていることです。地価が高い分、敷地面積は狭くなり、成人式も敬老会も小中学校の連合音楽会も、一同に会して実施することはできません。市民交流センターは完成しても、これまで同様に中央大学附属高校の講堂を借りなければならない状況です。
問題点の第二は、市民交流センターを利用しようとする際に、支障が生じる可能性が極めて高いことです。市民交流センターは全体の建物の一角を市民交流センターとして使用する形態となっているため、分譲マンションの場合と同様に、建物を管理するための協定書・管理規約が必要になりますが、示された管理規約(案)は権利者全体の合意なしに内容が決められているため、争いが起きることが懸念されます。しかも市民交流センター用の荷捌き駐車場は小金井市の専用使用がうたわれているものの、施設周囲の敷地や外壁、障がい者用の駐車場などは共有部分とされ、小金井市も市民も自由に利用できる保障がありません。
問題点の第三は、建物全体を「1筆1棟」で登記できるかどうかが不明であることです。建物は市民交流センターとJR所有ビル、民間地権者ビルとの3つの建物からなっています。1棟となるためのビル間の連絡通路はあるものの、建物入口は常時、施錠されており、1棟であるための条件に欠けることが指摘されています。登記官が現場を見て「1棟」か「分棟」かを判断するとされており、「分棟」となった場合、現在示されている管理規約(案)が白紙に戻り、市民交流センターへの荷物搬入に欠かせない荷捌き駐車場の小金井市の専用利用が消滅することになります。市民交流センターでのさまざまな行事運営に大きな影響が起きるだけでなく、東京都駐車場条例による駐車場の付置義務違反も問われる事態となります。
問題点の第四は、市民交流センターの公演者用の専用駐車場や一般利用者用の駐車場が確保されていないことです。小金井市は市民に対して「車でのご利用は控えていただきたい」と述べ、バスや電車、自転車等での来場を求めています。しかし、公演する人にまでそのことを求めるわけにはいきません。ところが、専用の駐車場はこれから探していくというのが、今日に至っての市の説明です。このように利用しにくいホールは、全国ひろしといえども、そうあるものではありません。
問題点の第五は、市民交流センターの年間収支が2億3千万円もの赤字になることがすでに想定されていることです。市はことあるごとに「駅前のホールは立地条件が良く、利用度が高い」と説明していますが、指定管理者に予定されている事業者の試算でも年間利用は5割を下回る状態です。しかも、施設の管理・運営のすべてを民間事業者任せにしていることから、小金井市の文化行政に対する責任がどこまで果たせるのかが疑問となります。委託業者は利益を確保するために、従業員の人件費や下請業者の委託費の抑制を行なう可能性があり、従業員の短期間での入れ代わりや施設の維持管理の不十分さが生じる恐れがぬぐえません。
このように、建物や附帯設備・緞帳などの購入に多額の借金をしてまで財源を投入し、しかも権利者間の合意もなく、加えて建物利用に支障が起きる恐れが十分にあり、毎年、2億円以上もの赤字をつくりだすような代物は、購入すべきではありません。
市民交流センターは小金井市が取得しても、小金井市自身が利用する場合においてでさえも利用料金を委託事業者に支払います。市民が利用する場合でも、小金井市が利用する場合でも利用料金を支払うのであれば、あえて多額の税金を使い、多額の借金をしてまで小金井市がホールを購入する必要性はありません。「覚書」を破り、問題の多い建物にしてしまった都市再生機構の責任で管理・運営を行なうことこそ、市民にも小金井市にも負担の少ない市民交流センターとなります。よって、このように問題の多い、しかも市民負担が増えるだけの取得議案には賛成できるものではありません。
2010年9月市議会を振り返って
9月定例市議会が閉幕して3週間。けれども、一息もつけないほどに慌ただしい。なぜなら、定例会の最大の争点議案であった「市民交流センター等の取得」議案が定例会閉幕後も審議が継続し、今日までに2回、閉会中審査が行なわれているからだ。また、2009年度一般会計決算も市民交流センターに関わる部分の審議が継続扱いとされているため、決算委員会も11月中旬に再開される。加えて、来年度から10年間の第4次長期基本構想の議案も9月定例会に提出され、こちらはまるまる閉会中審査扱いとなっているため、このための委員会も11月中旬前に3日間、開かれる。しかも、小金井市は常任委員会が議会運営委員会含めて4つ、通常の特別委員会が4つあり、それらの委員会日程もこの秋に目白押しとなっている。手帳を見ると、12月の定例市議会が始まるまでの間に、毎週、少なくとも1つは私の担当する委員会が開かれ、11月最初の週などは土日、祭日以外は毎日、議会に顔を出すという有り様である。
閉幕した9月定例市議会も8月30日から10月5日までの37日間も開かれ、この期間に、地元の貫井神社の祭礼や自治会連合会の敬老祝賀会などが行なわれているため、その準備等にも追われて、8月の盆明け以降、てんやわんやの日々を過ごした。毎年、この時期は同じように大変ではあるが、なにしろ今年は夏が特別に暑かったために、一段と厳しい日々を送ったのである。時々周囲からは「板倉さんは体が細いから、夏は強いでしょう」と聞かれるが、それは大きな誤りである。直に太陽の日差しが骨に届き、薄っぺらな皮と肉がカラカラに干からびて、スルメみたいになってしまうのである。うちのカミさんみたいに保熱機能はないにしても、骨に直にしみこむというのは、これまた大変なのである。当然に寒くなれば、今度は冷気が直に骨に到達する。どっちに転んでも、細身の体は厳しいのである。
9月議会には市民から様々な陳情が提出された。その中に、小金井市議会が昨年12月定例市議会で可決した「定住外国人への地方参政権の付与を求める意見書」の見直しを求める陳情書なるものがある。この陳情書は9月定例市議会の終盤の本会議で採決され、賛成少数で不採択となったが、このテーマに対しては日本共産党としての見解を明らかにする必要があるとの観点から、日本共産党小金井市議団を代表して私が「見直しを求める陳情書」に反対の討論を行なった。以下、本会議で行なった討論原稿を掲載しますので、ご一読を願います。なお、PDFファイルで「2010年9月定例会の主な議案・意見書・陳情書の採決結果」を掲載しますので、ご覧ください。
[定住外国人の地方参政権の意見書見直しを求める陳情書への反対討論]
日本共産党小金井市議団を代表して、本陳情に反対する立場で討論を行ないます。
小金井市議会は昨年12月定例市議会で議員提案の「定住外国人への地方参政権の付与を求める意見書」を、日本共産党市議団を含む賛成多数で可決しました。日本共産党が定住外国人への地方参政権の付与を支持するのは、以下の点からです。
第一に、地方政治は、すべての住民の要求に応えるために、住民自身の参加によってすすめるべきと考えるからです。そのため、日本共産党は都道府県・市区町村の首長・議会議員についての選挙権だけでなく、被選挙権も含めて、条例制定などの直接請求権、首長・議員リコールなどの住民投票権も認め、選挙活動の自由も保障すべきと考えます。その立場から、日本共産党は1998年12月に永住外国人地方参政権法案を国会に提出して以降、何度も法案を提出し続けています。
第二に、定住外国人への地方参政権の付与は「地方自治体の首長、議員は『住民』が選挙する」と明記する憲法第93条の規定とも合致するからです。地方自治体の運営は本来、すべての住民の参加によってすすめるのが憲法の保障する地方自治の精神です。永住外国人を地方自治の担い手として迎え、日本国民と等しく参加する政治を実現することは、日本の民主主義の成熟と発展につながると考えるものです。なお、国政に対しては、憲法第43条で「国会は『国民』が選挙する」と規定していることから、国政レベルの選挙権等を認めることは適切ではないと考えるものです。
第三に、外国人であっても、日本の地方自治体で住民として生活し、納税をはじめ一定の義務を負っている方々に対して地方参政権を認めることは、憲法第14条でうたう「法のもとの平等」からも当然であり、外国人であることを理由に参政権を認めないのは、行政的差別にもつながるものと考えるものです。
今回、陳情書を提出された方は、2005年2月28日の最高裁判決を引き合いに、「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等を付与する法律の制定は、憲法に違反する」と述べています。しかし、この判決では同時に「法律でもって地方自治体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは憲法上、禁止されているものではない」と明確に述べており、法律を制定する国会の判断に委ねる考えが示されています。このこともあり、民主党や公明党も1998年秋以降、国会で法案を提出するに至っているわけです。
総務企画委員会の質疑のなかで、昨年12月の意見書に賛成した議員が、母校の教授が考え方を変更したことを理由に、自身の態度を見直すことを表明する出来事がありましたが、ものごとを正面から見つめ、あらためて考え方を検討するという積極的な姿勢ではないことに対して、遺憾な思いをもつものです。また、稲葉市長は、沖縄の普天間基地の移設問題を例にあげて、地方の出来事が国政を左右することになるからと、永住外国人への地方参政権付与に消極的姿勢を示しましたが、沖縄の人々が長年、米軍基地の騒音や米兵犯罪・事故で苦しめられてきた歴史を見ることなく、しかも、永住外国人に参政権を与えると、米軍基地撤去の運動に拍車がかけられるとでもいわんばかりの発言は、地方自治を推進すべき地方自治体の長としては到底、評価できるものではありません。
日本共産党市議団は、憲法の保障する地方自治の精神を活かすためにも、永住外国人への地方参政権のすみやかな立法化を国に求めるとともに、小金井市議会も胸を張って、そのことを主張できる議会であるべきと考えるものです。以上、本陳情への反対を表明して討論を終わります。
権利者の代理人
「代理人」とはなんであろうか。国語辞書によれば、「他人に代わって、事を処理する人のこと」と記されている。ようするに「当事者が不在の時に、物事の処理を一任された人」であり、見様によっては、依頼人と一心同体といっても過言ではない。その「代理人」が市議会議員の場合、ややもすると、ゆゆしき事態を招くことにもなりかねない。
小金井市は現在、武蔵小金井駅南口の再開発区域に建てられたビルの一角を事業主の都市再生機構から取得するための議案を市議会に提出している。再開発ビルの一角を取得することから、このビルに権利を有するJR東日本と民間権利者2人との間で、建物の使用方法などを取り決める協定書(管理規約)を結ばなければならない。その話し合いの場が今年2月16日から今日までの間に5回、開かれている。
この5回の「協議録」が私の手元にもあるが、第1回から4回までは渡辺大三議員が議員各位に配布し、5回目の協議録は小金井市が総務企画委員会に提出した。市が総務企画委員会に提出した5回目の協議録は、公共団体である都市再生機構と小金井市の発言が、文中に登場する個人名の部分をアルファベットに換えた以外はそのままに掲載し、JR東日本と民間権利者が発言した部分は全て墨塗りにされている。一方、渡辺大三議員が議員各位に配布した1回から4回までの協議録は、JR東日本と民間権利者が発言した部分も、個人名の部分をアルファベットに置き換えた以外は掲載されている。ただし、両方ともに、民間権利者側の出席者の氏名は「B」「C」とされており、誰が出席したかは明らかにされていない。もちろん、民間権利者は2人しかいないので、出席者がどういう方々なのかは推測できるのだが。
この「協議録」に不可思議なアルファベットが登場する。「B′」「C′」である。「′」を議員側も市側も「ダッシュ」と呼んでいる。「Bダッシュ」「Cダッシュ」である。「ダッシュ」とはなんぞや?。その説明が、渡辺大三議員が各議員に配布した第2回協議録に登場する。「ダッシュ」とは「代理人」だというのである。民間権利者が出席できない場合に第三者が代理人として出席し、その代理人を「ダッシュ」で区別するらしい。
では、この「ダッシュ」はだれなのか?。協議録を読んでいくと、市議会議員であることがわかる。代理人として話し合いの場に出席している市議会議員は誰なのか?。そのことを9月4日の総務企画委員会で篠原議員が市側に問いただした。しかし小金井市はこの「ダッシュ」が誰なのかはコメントできないと述べた。ところがその直後に、「それは私です」と発言する者が現れた。渡辺大三議員である。渡辺大三議員は、「B′」が協議録に登場する当日、話し合いが行なわれる会場に行き資料を入手したと、自身のブログに書き綴っている。周囲は、渡辺議員が名乗らなくても、アンタだ!と誰もがわかっていた。
さて、「B′」「C′」(渡辺大三議員)は、協定書(管理規約)の内容を話し合う場で、再開発ビルにおける民間権利者の権利分確保のために奮闘している。民間権利者が出席できない場合の「代理人」でありながら、依頼人が出席しているときも何故か出席し、依頼人といっしょになって奮闘している。あるときは民間権利者の「応分の収益」確保のために、あるときは民間権利者の「利益をあげる」ために。相当に興奮しているのであろう。自身は権利者でもないのに、権利者と一心同体の感覚で「我々は」と言い放っている。完全に民間権利者に同化し、民間権利者の権利分確保のために大奮闘している。頼もしいかぎりの「代理人」である。
ところで、小金井市には「市議会議員の政治倫理に関する条例」というものがある。その第3条「政治倫理」の第2号に、次のような文言がある。「市が行う業務に関し、特定の企業、団体、個人等のために有利な取り計らいをしないこと」。渡辺大三議員は、民間権利者の代理人として民間権利者の権利関係を話し合う場に出席し、一心同体のごとく民間権利者の「収益」「利益」のために論陣を張った。この行為は「政治倫理に関する条例」第3条第2号の規定に反する行為ではないだろうか。加えて私には、もう一つの視点がある。総務企画委員会に付託されている「市民交流センター取得」議案の審議と採決に、渡辺大三議員は加わることができるのか?。地方自治法第117条には「議長及び議員の除斥」という規定がある。その条文に以下の文言がある。「自己若しくはこれらの者の従事する業務に直接の利害関係のある事件については、その議事に参与することができない」。「基本法コンメンタール」の解説によると、「議会の審議の公正を期すため、審議案件と一定の利害関係を有する議長・議員は審議に参加できない。除斥事由に該当する議長ないし議員が審議に加わったときは、その議決は違法な議決となる」────。渡辺大三議員は「代理人」である。「市民交流センター取得」議案は、著しく、利害関係を有する審議案件と言えるのではないだろうか。
渡辺大三議員は我々と同じく、「市民交流センター」は買ってはならないと一貫して追及している議員である。その点からも、彼の論戦力は敬意を表するものであり、傾聴に値するものである。しかしだからといって、踏み越えてはならないものを越えてしまっている場合には、同じ線上で彼を擁護するわけにはいかない。ダメなものはダメなのである。少なくとも、「政治倫理に関する条例」には明白に違反していると、私は判断している。みなさんの考えはいかに?
遅れた参議院議員選挙公報
7月11日投票で行なわれた参議院議員選挙の「選挙公報」が、東京で大幅に遅れて配布された地域があったのをご存じでしょうか。原因は、東京選挙区のある候補者の選挙公報が、候補者の意図した原稿と異なるモノが掲載されてしまったため途中で配布中止となり、刷り直しとなったため。その結果、我が家の郵便受けに「選挙公報」が届いたのは、7月5日(月)であった。
カミさんからは「都内の職場ではとっくにきているのに、なぜ小金井では遅いのか?」と言われ、「そういえば遅いな」と思う事態。7月2日の立川駅頭での志位委員長と小池あきら候補の演説の際に「みなさんのお宅にもすでに選挙公報が届いているでしょう」と小池あきらさんが呼びかけたときも、「いや、見てないな」と首を傾ける始末であった。そこで、同僚の議員が選挙管理委員会に問い合わせたところ、「ある候補者の選挙公報に誤りがあり、刷り直しとなった」との返事であった。しかし到底、納得はいかない。なぜなら、東京選挙区の候補者の選挙公報に誤りがあるのであれば、東京全体に影響が出るはずだからである。そう思っているところへ、「ウチには2回、配られた」「私のところでは早く配られていた」との声が、同じ市内の方々から寄せられ、ますます「?」となってしまった。そこで私は、7月22日の総務企画委員会で、事実経過を選挙管理委員会に質問した。以下は、選挙管理委員会事務局長の答弁である。
「6月29日(水)に6万部が配布委託先のシルバー人材センターに、千部が小金井市選挙管理委員会事務局に届けられた。6月30日午前中から配布開始。ところが午前10時過ぎに東京都選挙管理委員会から『東京選挙区の選挙公報に誤りがあるので、配布ストップ』のFAXが来た。東京都選挙管理委員会は7月2日に臨時委員会を開き、一部地域での差し替え版の発行を決定。小金井市には7月3日に差し替え版の選挙公報が納品され、翌4日から8日にかけて、全戸配布を行なった」。
選挙管理委員会事務局長は、東京都選挙管理委員会からの連絡として、さらに詳しく述べた。「差し替え版発行の経緯としては、6月30日に候補者の選挙事務所より東京都選挙管理委員会に対して、『選挙公報の掲載文が候補者の意図した原稿と異なる』旨の申し出があった。発行された選挙公報は候補者側の意図しないものであることから、本来はすべてを回収し発行し直す必要があるが、法定配布期限の7月9日までにすべてを回収し再発行することは時間的に不可能であることから、候補者側と話し合い、了解のもと、いまだ各世帯に配布されていない区市についてのみ差し替え版を発行することとした。すでに発行された選挙公報についても、申請手続きをはじめ、選挙公報としての要件を満たしているため、正規のものである」「差し替え版発行の区市は全部で16区市。区部では、墨田区・江東区・豊島区・北区・足立区・葛飾区の6区。市部では、武蔵野市・三鷹市・府中市・小金井市・小平市・東村山市・国立市・東久留米市・あきる野市・西東京市の10市」。
東京都選挙管理委員会からの連絡内容であるため、小金井市の選挙管理委員会事務局長にそれ以上、問いただしてもどうにもならないのだが、以下の疑問は残る。(1)なぜ、「候補者の意図した原稿と異なる」モノが、候補者陣営から東京都選挙管理委員会に持ち込まれたのか?。(2)候補者陣営が持ち込んだものであるのだから、候補者陣営の落ち度ではないのか?。(3)候補者陣営が持ち込んだものであっても、候補者本人が「異」を唱えた場合は、無効となるのか?。(4)すでに発行された選挙公報は「申請手続をはじめ、選挙公報としての要件を満たしているため、正規のものである」と言うのならば、なぜ、刷り直しとなるのか?。(5)選挙区の選挙公報に誤りがあるのであれば、誤りのない比例区の選挙公報だけでもなぜ、早々に配布しないのか?。比例区の選挙公報まで巻き添えを食って、選挙区の選挙公報と一緒に、遅れて配布される事態となってしまった。
選挙公報は有権者が政党や候補者を選ぶ際の有力な判断材料である。その選挙公報が「期日前投票」期間の半ばを迎え、あと数日で投票日という時に配られるとは、重大な問題である。選挙管理委員会事務局長の説明を聞くかぎりでは、「選挙公報の掲載文が候補者の意図した原稿と異なる」旨の申し出を行なった、東京選挙区の候補者陣営に問題があると思わざるを得ない。誤ったモノを持ち込んだ側に、そもそもの問題があるのである。この申し出のために東京都選挙管理委員会は、207万1,100部の差し替え版を発行することになり、新たに約930万円を費やすこととなった。この「候補者陣営」とは、自由民主党の中川まさはる陣営である。
小金井市の難病者福祉手当
小金井市は今年度から、難病者福祉手当の金額を従来の「月額6,500円」から「月額7,000円」に引き上げました。6,500円の段階での小金井市の金額は、三多摩26市のなかでは金額の高い方から10番目というのが市議会に提出された資料の中身。月額7,000円ともなれば、8番目となります。
小金井市の難病者福祉手当の受給人数は1,000人弱。人口比率でいえば高いほうだと思います。なぜなら、小金井市の難病者福祉手当の支給範囲は他の自治体と比べると対象疾病範囲が広いうえに、様々な制約が加えられていないからです。
まず「対象疾病範囲」について。小金井市の対象疾病範囲は(1)東京都難病医療費等助成対象疾病(81疾病)に罹患し、かつ医療券の交付を受けている者、(2)特定疾患登録者証の交付を受けている者(軽快者)、(3)東京都難病医療費等助成対象疾病(81疾病)に罹患している者、(4)小児慢性疾患医療券を交付され、東京都難病医療費等助成対象疾病(81疾病)に罹患している者、(5)点頭てんかん(ウエスト症候群) このいずれかに該当していれば対象疾病となります。
つぎに「制約」について。一般的には、所得制限や年齢制限、併給制限というものがありますが、小金井市の場合には所得制限も年齢制限も併給制限も一切、ありません。長年にわたっての関係者団体の運動の成果が今日の到達を築いているのです。
小金井市は「難病者福祉手当」制度を1987年4月からスタート。支給月は3月・7月・11月の年3回となっており、今回の月額7,000円は、7月支給の際に4月分からさかのぼって適用されます。※小金井市が市議会に提出した三多摩26市の「難病患者に対する福祉手当等の支給状況」資料を掲載しますので、ご覧ください。
2010年3月議会の主な議案の各議員の採決結果
2010年3月市議会では市長提出議案30件、議員提出議案27件、市民からの陳情・請願が33件の合計90件が採決されました。他市と大きく異なるのは、議員提出議案の数と市民からの陳情の数が多いこと。議員提出議案の大部分は国や東京都への「意見書」であり、小金井市の場合には、提案者が少人数であっても議会に提出することが認められています。一方、陳情の数はおそらく三多摩26市、いや、東京都区内含めても、最大級ではないかと思います。特定の人が議会ごとに何本も出している状況にあるからです。今定例会では33件の陳情・請願が採決されましたが、採決されずに継続審査扱いとなっているモノも当然にありますから、提出されている陳情・請願はもっと多いということになります。
日本共産党市議団は意見書4本と条例5本、予算の組替え案を提出。意見書は4本すべてが可決されたものの、条例5本と予算組替え案は賛成少数で否決となりました。しかしこの取り組みを通じて、党市議団は条例作成の力量や予算組替え案作成の力量を徐々に培っていくものとなり、他の会派には真似できない専売特許になりつつあります。PDFファイルで「2010年3月定例会の主な議案・意見書・陳情書の採決結果」を掲載しましたので、ご参照ください。なお「採決結果」には、4月13日の臨時議会で採決された「市民交流センター条例」の結果も加えています。
2010年4月臨時議会 難題かかえた市民交流センター条例を可決
小金井市議会は4月13日(火)、武蔵小金井駅南口再開発区域に建設中の「市民交流センター」の使用を規定するための条例を、賛成13、反対10で可決しました。しかし、肝心の建物はまだ取得しておらず、取得するまでに片付けなければならない難題も横たわっているなかでの条例提案となっています。私は条例が付託されている総務企画委員会で様々な角度から質問を行ない、臨時議会の前日(12日)の委員会では、条例内容を中心に質問。「ご指摘いただいた点をふまえ、今後、条例の改正も視野に入れる」との答弁もあり、提案されている条例が十分なものではないことも浮き彫りとなりました。条例が採決された13日(火)の臨時議会で私は、日本共産党市議団を代表して反対討論を行ないました。その内容を見ていただければ、条例の不十分な点や、なぜ日本共産党市議団がこの条例に反対するのかがわかると思います。
市民交流センター条例への反対討論
日本共産党市議団を代表して、議案第20号・小金井市民交流センター条例への反対討論を行ないます。日本共産党市議団は、公会堂の役割をもつ市民文化ホールは必要と考えています。しかし、以下の点で問題があるため反対するものです。
反対する第一は、条例提案そのものに問題があると考えるからです。建物の使用方法を規定する条例を提案する場合には、対象となる施設の所有が大前提となります。しかし、対象施設を取得する議案が提案されておらず、対象となる施設を持たないなかでの条例提案となっています。これでは、条例提案そのものに整合性が欠けます。しかも、対象施設である市民交流センターの建設そのものが権利者全体の合意なしにすすめられ、完成間近となった今日においても施設が実際に使用できるのかどうか不透明なままの状態です。そのため条例が可決されたとしても、条例の施行日は「2年を超えない範囲内において規則で定める日から」とせざるを得ない状況となり、小金井市が目標としている来年4月の開館も、厳しい事態に直面する可能性をはらんでいます。そのうえ、権利者の共用部分を使用するための話し合いがまとまらなければ、予定している9月定例会での財産取得の議案上程も事実上、不可能となり、条例は可決したものの、対象となる施設を小金井市は持っていないという事態が続くことにもなりかねません。このような整合性がなく不安定ななかでの条例提案は認められません。
反対する第二は、対象となる市民交流センターは駅前施設であるため、狭くて高い買物となってしまうことです。地価が高い駅前に建てられているため、施設規模が小さい割には金額が高い買物となり、文化ホールは客席が578席しかとれません。そのため、 毎年600人以上が集まる成人式も、1000人以上が集う敬老会も、また、小学校6年生のオーケストラ鑑賞教室や中学校2年生の合 唱鑑賞教室、あるいは中学校の校内合唱発表会でさえも、市民交流センターでは一同に会して実施することができない代物となっています。市民の生活が大変なときに、権利床分や附帯設備・備品、起債の利子などを含めて77億円もの市財政を使うあり方は問題です。高い買物のわりに利用勝手が悪い施設の取得を前提とした条例には、賛成できるものではありません。
反対する第三は、指定管理者制度を導入するものとなっているためです。市民交流センターの管理・運営のあり方を協議してきた市民を交えた検討委員会では、「直営」での管理・運営を提言しました。しかし、その提言に背いて小金井市は指定管理者に委ねるものとしています。指定管理者の場合、総務省が2006年度に公表した調査結果でも、経営破綻や倒産、運営困難あるいは詐欺行為の発覚などで指定取り消しとなっている事例が全国で発生し、そのことによって休館や業務休止に追い込まれた施設も出ています。だからこそ、小金井市が委員会に提出した資料でも、デメリットとしてそのことを述べているところであり、指定管理者に委ねる場合には、その点でのリスクがあることを、委員会質疑で担当課長も認めているところです。休館や業務休止に追いこまれるリスクを背負う指定管理者の導入は容認できません。しかも、指定管理者は原則「5年間」で期限を終えます。5年ごとに業者選定が行なわれるということは、経験が引き継がれていかないということになります。運営顧問(1人)を置くことにはなっていますが、指定管理者の扱う業務内容が多岐にわたっていることから、とても経験を蓄積し、引き継がせて行けるものではありません。条例でうたっている「市民の多彩な交流活動の推進を図る」を達成できるかどうかも疑問です。指定管理者の導入は以上の点から問題です。また、条例では「休館日」や「開館時間」、団体の「独占的な使用」に対しての例外扱いの判断を指定管理者に委ね、そればかりか「使用の不承認」「使用承認の取り消し」まで、指定管理者に判断を委ねるものとなっています。少なくとも、「使用の不承認」「使用承認の取り消し」といった利用者の権利に関わる部分は、指定管理者が市と協議して判断する文言に改めるべきです。
反対する第四は、利用者に利用料金を課す施設であるにもかかわらず、「附帯設備」については条例ではなく、規則に委ねてしまっていることです。規則に委ねるということは、議会議決を経ずに市が金額を変更することが可能ということであり、議会人として容認できるものではありません。しかも、規則に委ねるとしていることから、資料で示されている「附帯設備」「備品」のどの物品が有料になるのか、逆にいえば、どの物品が無料で利用できるのかもわかりません。利用者に料金を課すものは条例で金額を明示すべきです。ところで、「施設」と「附帯設備」を使用する場合には、利用料金が発生しますが、小金井市が使用する場合においては、条例で明記されているのは「附帯設備」の利用料が「免除」ということだけです。「施設」はどうなるのか?との質問に対して担当課長は「行政使用でも小金井市は利用料を支払う」との説明でした。つまり、小金井市の建物を小金井市が使用する場合であっても、小金井市は利用料金を支払うというわけです。そこで支払われた利用料金は指定管理者の収入になっていきます。指定管理者に管理・運営を委ね、指定管理者の収益を確保させるということから、市民には理解できない規定となっているわけです。
条例は提案したものの、さきほど指摘した様々な課題を抱えている大本には、権利者の合意なしに駅前の地価の高い場所にホールを建設する再開発事業を強引にすすめてきたことにあり、その結果、このような問題点を生み出してしまったものです。よって、多くの課題を内包するこの条例には到底、賛成できるものではありません。
2010年3月議会 当初予算に56億9千万円の組替え案を提案
日本共産党市議団は3月定例市議会の最終日に、2010年度小金井市一般会計当初予算に対して、総額56億9,130万6,000円の組替えを提出しました。組替えの基本は、景気低迷・所得の低下・負担増に苦しめられている市民の暮らしを守り、応援していくこと。そのために、市財政に大きな負担となっている大型公共事業を見直すものとなっています。
組替えの内容は以下の通りです。「歳出」では、JR武蔵小金井駅南口再開発事業経費と関連する市民交流センター経費、東小金井駅北口区画整理事業経費および不要不急の都市計画道路拡幅に関する経費など10事業を削除し、関連する「歳入」部分では、大型開発事業等に充てられる国庫支出金、都支出金、市債(借金)、基金からの繰入金を削除。これによって一般財源を3億6,415万6,000円活用することが可能となり、この財源を使った新たな事業として、日本共産党市議団が3月定例市議会に提出した5つの条例項目含む17事業を予算化。それでもなお一般財源が9,841万3,000円残ることから、9,800万円を臨時財政対策債(借金)の発行額抑制に充てることとし、「歳入減」の「市債」部分に「臨時財政対策債」の項目を加えて、2010年度に予定している臨時財政対策債の発行額15億円を9,800万円減額する。残り41万3,000円は予備費に組み入れ、歳入・歳出ともに56億9,130万6,000円の減額としています。
予算組替え案の作成は、予算委員会が始まった3月中旬あたりから私(板倉)が着手し始め、財政課や職員課および関連部署に数字などを確かめながら、最終本会議前日にようやく完成。私が手がけてきたことから、最終本会議での提案説明は私が行なうこととなりました。数字の積算根拠や制度の仕組みなどを記したメモと資料を提案説明の机上に置きながら、どんな質問が来るかと待ち構えていましたが、最終本会議を迎えるまでに深夜議会が連日続き、この最終本会議での組替え案の提案も夜の9時を回っていたため、質問はありませんでした。
残念ながら、組替え案はその後の採決で、私たち日本共産党市議団のみの賛成で否決されましたが、日本共産党市議団がどういう視点で予算を見つめ、どういう角度で予算を改めさせようとしているのかを、だれの目にもわかりやすい形で示すものとなりました。
日本共産党市議団は毎年、一般会計当初予算に対して組替え案を提出しています。5〜6年前までは「組替え案」ではなく「修正案」を提出していましたが、「修正案」の場合には可決された場合、市長部局の行為を拘束することになることから、事業名も金額もしっかりした裏付けや一字一句間違いのないものが求められ、そのために手が付けられる項目・事業・金額も一定、制約がありました。そのため現在では、仮に可決された場合でも市長部局を拘束せずに、市長部局に判断を委ねる「組替え案」に変更しています。もちろん「拘束されない」とはいえ、組替え案が可決された場合は、「組替え内容を市長が採用しない時は市長提出の予算には賛成できない」との意思表示になりますから、市長部局は組替え案に記された内容を反映させた予算を提出しなおすことが必要となります。
日本共産党市議団が提出した組替え案(A4×3枚)と、質問に備えて作成しておいた資料(B4×2枚)をPDFファイルで掲載しますので、ご覧ください。
行政の意思決定が『ゴミ処理施設建設場所の決定』?
小金井市は今年度、八王子市、昭島市、国分寺市、日野市、三鷹市および多摩川衛生組合(調布市・狛江市・府中市・国立市で構成)の6箇所に、燃やすゴミの焼却処理を依頼している。それまで利用していた二枚橋焼却場が2007年3月末で、老朽化のために利用停止となったからである。
他市の焼却場にゴミ処理をお願いする条件として小金井市は、「2009年2月までに、新たな焼却施設の建設場所を決定する」を約束していた。しかし約束を果たせず、他市の慈悲によって今年度もゴミ処理を受け入れてもらっている。しかし今年度、ゴミの受け入れをしていただいている6箇所のうちの昭島市、日野市、国分寺市との間で結んだ覚書(協定書)では、「2009年度中の建設場所決定」が明記されており、建設場所決定がゴミ処理の受け入れ条件になっている。一年前に約束を果たせなかった小金井市が、またしても「ダメでした」では、もはや、他市の「慈悲」にすがれるような状態ではなくなるであろう。さて、「2009年度中の建設場所決定」の期限も2カ月弱と迫っている。「場所の決定を」と迫られても、小金井市が当初から意図している「二枚橋焼却場用地」は、用地を持っている調布市や府中市から土地を取得できる見通しはたっておらず、到底「決定」できる状態ではない。どうするのか?────ところが小金井市は、誰もが到底理解できない詭弁で、この場を乗り越えようとしている。
2月1日に開かれた小金井市議会のゴミ処理施設建設等調査特別委員会で私は、次のような質問を行なった。(1)新ゴミ処理施設建設にあたっての建築基準法51条による、各行政区(小金井市・調布市・府中市)での都市計画審議会は、小金井市の「新たな焼却施設の建設場所を決定する」の前に開かれることになるのではないか。(2)二枚橋焼却場用地の「行政区域」と「行政区の持ち分」は異なる。調布市区域内にある府中市の持ち分を使用する場合は、調布市の都市計画審議会の同意が必要になるのではないか────。これに対する答弁は、(1)実際に、建設場所での計画がすすんだ中で、環境アセスメントを行ない、各行政区での都市計画審議会となる。(2)調布市の都市計画審議会の議決が必要────。この答弁自体は、とくに疑問はない。(1)の答弁内容は、小金井市が2006年10月31日の市議会全員協議会に示したスケジュールにもうたわれているものであるため。
答弁を受けて、次のように質問した。「小金井市が新焼却施設の建設場所を決定したとしても、3〜4年後に行なわれる調布と府中市の環境アセスメントの際の都市計画審議会で同意が得られない場合は、建設できないことになるが、どうなのか」。答弁は「小金井市の『決定』以降、指摘される懸念はある」。つまり、小金井市が「二枚橋焼却場用地」を建設場所に「決定」しても、そこに焼却施設を建てられるかどうかは不透明ということである。この答弁も理解できるものである。
問題の「答弁」は、私の次に質問を行なった渡辺大三議員への答弁の際に生まれた。渡辺大三議員は私と市とのやりとりを聞いて、「『決定』以前に調布市や府中市での都市計画決定がなくても、二枚橋焼却場用地内に土地の所有権があれば、行政区としての『決定』はできるのか」と質問。これに対して担当部長は「可能と考えている」。渡辺議員が理事者の答弁を求めたところ、副市長は「行政としての『意思決定』ということになる」と述べた。わかりにくいかもしれないが、現時点で小金井市が「決定」するにしても、調布市や府中市の同意が得られていないもとでは小金井市としての「意思決定」しかできず、その「意思決定」を「決定」と位置づけたいというものである。つまり、「2009年度中の建設場所決定」を遂行するために現時点で小金井市が考えていることは、当初から意図している「二枚橋焼却場用地」を「建設場所」に「決定」するが、それは小金井市としての意思決定というものにすぎないということ。問題は、それで他市が納得するのかということ。
私は、この答弁を受けて再度、質問に立った。「場所『決定』は行政としての『意思決定』であるということについて、そのような対応で、4月以降のゴミ処理を他市で受けられると認識しているのか」。答弁は「小金井市の行政による決定、『意思決定』は、イコール、4月からのゴミ処理支援の確定とはならない。しっかり、各施設へ説明していかなければならない」(担当部長)。「行政としての『方針の確定』が求められていると考えている。これを『意思決定』と称している。これは小金井市が最低限、やるべきこと。『方針の確定』は、行政の最高意思決定機関の庁議で行なわれることになり、議会にも相談したい。これで、他市の理解が得られるかどうかは交渉による」(副市長)。
この答弁を聞いて、“待てよ”と思ったのは、私だけではなかった。すかさず副議長が「『意思決定』はすでに市自身が、『二枚橋焼却場用地』で最初から示しているではないか」とクレーム。最初から小金井市が述べている「二枚橋焼却場用地を建設場所に」を、「2009年度中の建設場所決定」の期限が迫った今、再度、同じことを表明して、ゴミを受け入れてくれている他市に理解を求めようというのである。これにはどだい、無理がある。だから答弁する側も「4月からのゴミ処理支援の確定とはならない」「他市の理解が得られるかどうかは交渉による」と言わざるを得ないのである。情けない限りである。
調布市が一貫して反対し、府中市もOKを明確に示していない「二枚橋」にしがみ続けているために、いまだにこんな事態に陥っているのである。さしあたっては4月からのゴミ処理。2カ月前だというのに、先は見えていない。
おそるべき小金井市の旅費規定
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静かな武生駅前の通り
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4年前の10月、我が郷里・福井県今立町は隣接の武生市と合併し、越前市となった。しかし帰省のおりに下車する駅名は「武生」のままであるため、私の中では以前のままの地名で息づいている。高校は当時の武生市、現在の越前市の中心部から南西に1.5キロほどのところに位置する県立武生工業高校に通い、とくに見るべきものもない街なかをいつもぶらぶらしたものである。その越前市に、市議会総務企画委員会が行政視察に出向くことになった。同僚議員からは「越前市の見どころは何か?」と問われたが、「何もない」というのが率直なところである。
昼間、大阪狭山市の「中学校区ごとの予算編成権」を学んだ一行は、11月4日(水)の午後7時、特急「雷鳥」号から武生駅に降り立った。「駅前はけっこう明るいじゃないか」と同僚議員が言う。私が「さびれたところだ」と言っていたので、そんな言葉が出たのだろう。ホテルは駅前である。与えられた9階の部屋に入って窓から外を眺めると、日野川にかかる橋や堤防沿いの街路灯がきらめき、けっこうステキな景色である。一週間前の米沢市のホテルからの景色があまりに寂しかったために、郷里・越前市の眺めの方に魅力を感じたのかもしれない。
この街にはとくに見るべきものはないはずなのだが、翌日の朝、ホテルのレストランで朝食をとっていたら、同僚議員から「朝、街なかをぐるっと散歩してみたが、けっこういいところがあるじゃないか。蔵の辻もなかなかだし、寺も多い」と声をかけられた。そういわれてロビーにあるパンフレットを見ると、たしかに寺があちこちにある。昔、この地は越前の国府が置かれ、「府中」と呼ばれていたことからすれば、寺が多いのも理解はできる。また、幸いにして太平洋戦争中に空襲の被害を受けていないことから、昔からの家屋が残っていることも、一つの魅力として映るのであろう。しかし高校時代の私は、そんな街並みや歴史を感じ取る感性などなく、自宅と学校の往復に明け暮れていたのである。
「何がおいしい?」と問われて、私は迷うことなく「越前おろし蕎麦」と応えた。冷たい蕎麦の上におろし大根がかけられているもので、大根の辛さと蕎麦の冷たさが融和し、なんともいえない味をかもしだしているのだ。視察を終えての昼食は、みんなで市役所近くの蕎麦屋に入り、越前おろし蕎麦を食べた。「う〜ん、うまい!」のみんなの声を耳にして、私ははじめて、郷里を自慢できたと思った。
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冷酷発祥地「武生駅」
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駅前で越前の土産を買い込み、冬の気配が押し寄せている越前市をあとにする時間となった。帰路は武生駅から滋賀県の米原駅までを北陸線、そこから新幹線で東京駅へと向かうことになる。ところが、私たちに手渡された北陸線の切符には、特急券がない。なぜか?。同行の議会事務局職員が言うには「小金井市の旅費規定には『特急列車に乗れるのは、移動距離が100km以上』という文言があり、武生駅から米原駅までは80kmくらいしかないので・・・・」。だから特急列車には乗れないと、議会事務局職員は言うのである。
北陸線は特急列車の他には普通列車、つまり各駅停車しかない。我々一行は、80kmの道のりを、各駅停車で米原駅まで向かうことになった。しかも、武生駅から米原駅までを直通で行く普通列車はないのである。で、どうなったかというと、武生駅から敦賀駅まで行き、そこで25分待って列車を乗り換え、敦賀駅から長浜駅へと向かい、長浜駅で米原駅に向かう各駅停車に乗り換えたのである。途中、総延長13kmの北陸トンネルを9分かけてくぐり抜け、先生に引率された遠足帰りの小学生がぞろぞろと乗り込み、一般乗客も入れ代わり立ち代わりし、なかなか賑やかな米原までの帰路となった。そして、我々一行は特急列車であれば一時間弱で到達できるところを、列車の乗り換え時間を含めて2時間弱で米原駅になんとかたどり着いたのである。しかし世の中は、普通列車で到着した人間を、さらに冷酷に扱った。
新幹線の到着時刻というのは、特急列車の時間に合わせられている。米原駅に特急列車で到着した人が新幹線に乗り換えやすいようにと、新幹線の到着時刻は設定されている。けっしてJRや世の中は、新幹線に乗るために、武生駅から普通列車でやってくる人間がいるなどとは想定していないのである。だから、普通列車でへとへとになって到着した我々に対して、新幹線の乗換時間は都合よくはなっていないのである。結局我々は、新幹線に乗車するまでに40分近くの待ち時間が与えられ、あまりにも静かな米原駅前で外の景色をただ眺めるだけとなってしまった。この旅費規定、なんとかなりませんかね。
※以下に、大阪狭山市と越前市の行政視察の感想を掲載しますので、ご一読いただければ幸いです。
[大阪狭山市/中学校区ごとの予算編成権]
この取り組みを耳にして、まっさきに思い描いたのは、第一に、市全体の予算額が決まっているもとでの取り組みにならざるをえないことから、「与えられた予算枠内での編成権」にならざるをえないだろうということ。第二に、誰が中心になって予算をまとめあげていくのだろうかということ。例えば、その区域の有力者が中心に座った場合は、地域的な偏りや政治的なものに左右されかねないだろうかという懸念。第三に、市税収入が厳しい自治体であれば、中学校区域に与えられる予算編成額も減る傾向にあるだろうし、そのことを市民は「止むをえぬ」と受け入れて行けるのだろうかということ。このことを胸に抱きながら、説明を聞く場に臨んだ。
この取り組みは、現市長が2期目に挑戦する2007年4月の市長選のマニフェストでうたった事業で、「地域のことは地域で考える」をモットーに、3校の中学校区域ごとに地域協議会を設置し、その地域内の事業に関する予算編成を委ねるというものとなっている。もちろん市民は玄人ではないので、市役所では担当職員を配置しコーディネートする体制をとっている。今年2月には一つの中学校区域で地域協議会が設立され、今年11月には二つ目の中学校区域で設立されるという。
さて、冒頭に私が抱いた問題について、実際はどうなっているだろうか。一つ目の「与えられた予算枠内での編成権」では、一つの中学校区域あたり「500万円」とのことであ る。しかし大阪狭山市はけっして安心できる財政状況ではない。「失礼ながら・・・」と、 そのことを問うたところ、三つ目の中学校区域の段階では、500万円が組めるかどうかは あやういとの説明であり、財政担当部の職員は苦しげな答弁をされていた。現下の財政状況から、まずは一区域あたり「500万円」でスタート。しかしこの先、予算枠は減額され ていく可能性が大きいと感じた。いずれにしても、与えられた予算枠内での編成権である。
二つ目の「予算をまとめあげる中心人物」については、「地域担当職員が、自治会やNPO、市民活動団体などの方々と一緒になって話し合い、合意に達した事業について、市に予算要求していく」となっており、地域担当職員が最終的にまとめあげていく構図がわかる。私の懸念はとりあえずは払拭された。地域協議会の中心は自治会代表のようである。
三つ目の「与えられる予算編成額も減る傾向にある」については、一つ目の市側からの説明でその恐れは十分にあるが、事業がスタートしたばかりであり、今後の動向を見守るしかない。ただ、この事業はなかなか難しいと思う。というのは、この事業では「土木・建築工事などのハード整備事業は対象外」となっており、しかも「地域が合意に達した事業」が条件。そのため実際には「500万円」の事業を組むのは至難の業で、パソコンなど の資機材や地域コミュニティ誌の発行などに集約されている様子。小金井市でもそうであるが、地域社会でのハード面の要求はかなり高いものがある。そこを除外してしまったら、なかなか500万円の事業を生み出すのは難しい。しかも「地域の合意」が必要となって いる。先行きが懸念される。
さて、なにゆえに市長は、この事業をマニフェストに書き込んだのであろうか。「地域に予算編成権を委ねる」は魅力的な響きではある。しかし市長の意図は別のところにあったのではないか。大阪狭山市でいただいた資料のなかに、この事業の説明会資料というものがある。そこには次のように明記されている。「三位一体改革の名のもと、本市では平成16年度からの3年間で地方交付税などがほぼ15億円も削減されてきましたが、今後も財源が縮小していく可能性を踏まえ、行政需要が多様化しながら増大する現状のもとでは、効果的に財源を施策に投資するためには、何を優先し、何を諦めるかを市民に納得していただける仕組みを作り上げていかなければならないと考え、新たに作り上げたのがこの制度です」。つまり、市民からは多様な要求が出されてくる現状のもとで、「市財政は厳しいので諦めてください」を告げる場に地域協議会はなりうるし、「土木・建築工事などのハード整備事業以外であれば、とりあえずは500万円までは応えることができますよ」と 、お茶を濁すこともできるというもの。私は、今回の事業の説明を受けて、このような感想を抱いた。大阪狭山市長は、市長になる前は大阪狭山市の職員であったという。市の重要な施策に税金を投入するためには、地域要求を聞き入れていたのではどうにもならない。だからこの制度を立ち上げたのだと、私は思うのだが。
[越前市/指定管理者の外部評価制度]
社会福祉法人や民間事業者に公共施設の管理運営を委ねる「指定管理者制度」が導入され、小金井市でも体育館や運動施設、少年自然の家などが指定管理者制度に移行している。指定管理者制度は導入されてから今年で5年目。法律では「5年」をひとくくりとしており、今年度で5年が満了する施設において引き続き指定管理者制度を取り入れていくのであれば、来年度以降の事業者を今年度中に検討し選定していく必要が出てくる。福井県越前市は満了を迎える施設に対して、指定管理者制度を取り入れたことへの効果を把握しさらなる効果を得るために、市役所内部だけの評価ではなく、外部の人々による第三者機関による評価体制を確立。それが2007年12月に設置された、委員10名以内の「指定管理者評価委員会」。管理運営を任されている指定管理者への聞き取りや質問を行ない、改善を求めていくというものである。
現在の評価委員会委員の構成は、越前市自治会連合会から1名、民間企業から2名、公認会計士から1名、社会福祉士から1名、公募委員が2名、それに越前市総務部長を加えた計8名。評価の会議は原則、公開で行なわれているという。
越前市は来年3月末に指定期間が終了する19施設の評価を行なった。評価の方法は、まず指定管理者による自己評価を実施。次に、該当施設を管轄する市の担当部署による評価。最後に、評価委員会による評価。評価委員会による評価では、現地調査、指定管理者および市の担当部署からの聞き取り調査も行なっている。19施設の評価結果を見ると、指定管理者による自己評価は比較的「良」であり、市担当部署の評価もそんなに悪くはない。ところが最後の評価委員会になると、ランクが下がっている施設が少なからず見られた。そこで私は「指定管理者側の言い分もあるのでは?」と水を向けてみると、「施設がつくられてきた歴史もあり、一般の人が利用するものではないものもあるので、単純に利用人数では判断できないものがある」と述べ、評価を何に置くかの点で難しさがあることを示した。しかし、その「利用人数では判断できない」一つの施設が評価結果を受けて、「今後廃止の方向」となっていた。
第三者機関による評価(外部評価)は、役所と事業者との馴れ合いを防ぐという面ではプラスであるが、一方で、単純に経済性や効率性でものごとを判断していくあり方には疑問も感じる。そのことは、新しい政権下で実施されている「事業仕分け」のあり方にも言えることである。外部評価であれ、市役所内部による評価であれ、評価する側と評価される側の相互信頼と血肉の通ったやり取り・意見交換が行なわれれば、必ずや前向きに改善されていくのではないかと思う。外部評価が必ずしも悪いとは思えないが、越前市の取り組みを見る限り、少なからず考えさせられるものがある。
2009年9月議会 直営の維持補修業務を維持せよ
小金井市に限らず多くの自治体では、道路の陥没やひび割れ、道路にはみ出た樹木の伐採などにすぐに対応できるようにするために、役所のなかに職員による補修業務を専門とする部署を置いています。小金井市でも総勢11名の「道路管理係」という部署があり、現場に出かけて直接作業にあたる4名の担当者(正規職員2名、再任用職員2名)を配置しています。ところが職員が詰めている建物の土地を今年度かぎりで貸主に返還せざるをえなくなったことを機に、小金井市は直接作業を行なう部門の廃止を打ち出し、民間業者に業務を委託する方針を打ち出しました。問題は、民間業者に委託することによって、市民からの要望にすぐに対応できるのかどうか。
小金井市の道路維持補修業務で、職員が現場に出かけて直接作業を行なった件数は昨年度319件。これは昨年度の道路維持補修業務全体の94.1%を占めており、職員による現場作業(「直営」と称す)がいかに大きな役割を果たしているかがうかがえる数字です。そのことから10月13日の決算委員会での私の質問に対して担当課長は、「直営の役割は必要と考えている」と答弁せざるを得ないものとなっています。
実際に市民から道路陥没などの情報が入り、対応が迫られる事態になった場合の業務の流れはどのようになっているでしょうか。担当部署に市民から電話が入ると、「直営」の職員が現場にかけつけます。そして陥没が何によって起きたのかを判断し、陥没原因に応じた対応策をとります。例えば、陥没が下水道管の劣化等で起きた場合には、現場に市役所の下水道課職員に来てもらい、委託業務契約を結んでいる市内の指定業者(8社と契約を結んでいる)に連絡。業者がかけつけ対応します。水道管の場合には水道課の職員に来てもらい、小金井市の指定業者と連絡し対応してもらいます。単なる穴ぼこ等の場合には、市役所の「直営」(現場作業担当職員)で補修します。また、樹木の散乱・倒木、あるいは豪雨などでの溢水の場合には、市役所の「直営」部隊と、市役所第2庁舎の道路管理係で対応しています。小金井市は、ここでいう「直営」部分をなくすという方針です。
問題なのは、第一に、陥没の原因把握と対処法に精通できている人が現場にかけつけることができるかどうかということ。担当部署の道路管理係は、現場作業担当職員を含めて総勢11名。現場を精通している現場作業担当者は職員削減方針のなかで来年度には再任用職員2人のみとなるなかで、果たして原因把握と対処法を手際よく措置できる体制がとれるのかどうか。第2庁舎で仕事をしている道路管理係の職員は事務職のために、現場はほとんどわかりません。現場で任務にあたれる人を育成することが求められます。第二には、委託業者の場合、業者自身が様々な仕事に就いているためにすぐには対応できない場合も多いということ。道路の大きな陥没の場合には冊を設けて、委託業者による補修工事が完了するまで通行規制がとられますが、穴ぼこ程度ではそこまではいきません。しかし、穴ぼこも自転車やバイクの通行には危険が伴うため対応が必要です。市では「常温防材」という、簡単な道路補修資材を所持しており、それで補修することになりますが、作業には道路管理係の職員があたることになります。事務職員は事務に追われているために、どうしても「直営」部隊が必要です。その部隊が廃止されてしまったら、敏速な対応ができるでしょうか。第三に、樹木の散乱や倒木に対しての対応です。10月8日、関東地方を台風18号が襲いました。小金井市では樹木の散乱が各地で発生し、市民からは散乱樹木の撤去依頼が相次いで寄せられました。散乱樹木の撤去で必要なのは、人間とトラック。人間は現在いる4名の「直営」部隊で対応し、トラックは第2庁舎にいる係長が「直営」部隊に送り届けることになりました。ところがトラックは、後部の荷台部分が上下できる2トントラックでしかもマニュアル車。日頃、2トントラック運転に慣れていない係長は、マニュアル車の発進用のギアレバーと勘違いして、誤って荷台を上げるレバーを作動させてしまいました。運悪く、荷台には溢水にそなえてたくさんの土嚢が積まれていたため、土嚢が地面に次々と転落。転落した土嚢を再度、トラックに積み込む作業に手間取り、直営部隊にトラックを送り届けるのに時間がかかってしまいました。ようするに、マニュアルの2トントラックを運転し慣れた人を育成することが必要になるということです。小金井市はトラックの他にも、ショベルカーとトラックバックフォーというユンボに似た機材を持っていますが、これらの運転技術者育成も今後、問われてきます。
この指摘に対して小金井市は、第一の点と第三の点については十分な答弁ができず、第二の点に対しては「委託業者が現在では7社に増えており、対応可能な状況となってきている」「道路の小さな陥没等に対しては、これまでのように道路管理係の職員が常温防材を使って対応していく」と答弁しました。一方、トラックパックフォーやショベルカーは、運転できる人がいなくなった時点で処分すると述べました。基本的には「業者任せ」の感がぬぐえません。
私は、その他にも様々な観点から質問を行ないましたが、小金井市は、業者委託を基本とする考えをくずさず、来年度は委託費の増額も予定しているといいます。では来年度以降、これまでの現場作業担当職員はどのような業務を行なうことになるのでしょうか。その点に対しては、「市内パトロールやガードレールの補修」の答弁が返ってきました。「維持補修業務(現場作業部門)の4名体制は維持する」との答弁も同時にありましたが、ようするに、道理管理係11名のうち7名は内勤(事務方)なので、残る4名でできる範囲の業務を行なうというものです。それが「市内パトロールやガードレールの補修」なのです。これで、道路陥没等への迅速な対応がとれる体制といえるでしょうか。しかも、現場を精通した職員がどんどんいなくなっていくなかで。私の疑問点・課題を指摘した一連の質問に対して、市長は「板倉さんの指摘された内容をよく検討し、今後、市民生活に遺漏のないように対応していきたい」と述べましたが、「直営」を維持し確実な体制をとることこそ「市民生活に遺漏のない対応」だと私は思うのです。
2009年9月議会 中央線の高架化にともなう課題
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※写真は、小金井街道踏み切り
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JR中央線の前身「甲武鉄道」が新宿−立川間で開通したのは1889年(明治22年)のこと。以来120年間にわたって、小金井市の街は線路によって南北に分断されてきた。線路が横たわっていれば、当然に道路と交差する箇所が生まれる。「開かずの踏み切り」で一躍、全国にその名をとどろかせた「小金井街道踏み切り」は武蔵小金井駅の東側にあり、小金井市そのものがあまり良いイメージには受け取られない状況をつくってしまった。その踏み切りが予定よりも3カ月早く、今年12月初旬に無くなるというのだ。
今年9月7日の東京都議会定例会の所信表明で石原都知事は、今年12月に中央線の三鷹−立川間の高架化が実現することを表明。12月5日(土)の夜9時から翌6日(日)の午前6時までの間に、高架化に切り換えるというのである。すでに下り線は高架に移行しており、今回の上り線の高架によって、電車は踏み切りのない頭上を走ることになる。交通渋滞を引き起し、街を南北に分断していた線路が消えていくことは、小金井市民の積年の悲願である。
踏み切りが無くなることによって、これまで踏み切りで交通渋滞を引き起こしていた7箇所の道路が電車の通過待ちをせずに自由に渡たりきることができるようになり、線路があることによって冊などが設けられ、南北の行き来をふさいできた8箇所の道路が開通することになる。あわせて小金井市は、あらたに2〜3箇所の道路の新設も検討している様子。高架化によって、小金井市の街は大きく変化を遂げていくであろう。
しかし、諸手をあげて喜んでばかりはいられない状況を迎えることにもなる。高架化事業の進捗状況が報告された9月18日(金)の市議会駅周辺整備調査特別委員会で各議員から、踏み切りがなくなることによる問題点が相次いで指摘されたからだ。もっとも強く出された意見は、武蔵小金井駅東側の都道「小金井街道」の横断問題。踏み切りがある現在は、自動車が一時停止を行なうために徐行しながら踏み切りに近づく。遮断機が下りていれば、車は前の車に続いて停止する。小金井街道を横断しようとする歩行者や自転車は、その間に横断することが可能であり、徐行しながら走ってきた車は、停止してくれる。しかし、踏み切りがなくなり徐行する必要がなくなった車は、スピードを落とさずに走り抜けていくであろう。横断者は一瞬のスキを突いて横断しようと試みるに違いない。「せめて信号機の設置を」と求められるのは当然である。しかし東京都は、「武蔵小金井駅南口の駅前広場が完成するまでは設置する考えがない」態度だという。さすがに市長も、「非常に危険な状態にあると認識している。何らかの対応をしなければならないと考えている」と述べざるを得ない事態である。
中央線の高架化によって、交通安全の問題など、深刻な課題を抱えることになった。一方で小金井市は、高架化で人の流れが変化することにあわせて、小金井市のコミュニティバス「ココバス」の路線の改編や小中学校の学校区域の見直しなどをこの間、明言しており、高架化によってどのような課題を解決しようとしているのか、高架化によって新たに、どのような問題・課題が生まれてくるのか────そのことを整理する必要性に迫られている。
「甲武鉄道」開通以来120年。街を分断してきた踏み切りや地上の線路がついに消え去り、踏み切りの「チンチンチン」という音も消滅する。小金井市民はこの120年間、経験したことのない事態を迎えるのである。歴史的な瞬間といっても過言ではない。
2009年9月議会 小金井市耐震改修促進計画
近頃、地震があちらこちらで起きている。幸いにして大きな地震には至っていないが、14年前の阪神淡路大震災以降、少々の揺れに対しても不安をおぼえる。1923年の関東大震災からすでに86年。いつ起きてもおかしくないという東海地震や東京直下型の地震にそなえるためにも、日頃からの準備は必要である。
この間、政府は各自治体に対して、公共施設や民間建築物に対する耐震改修の促進を呼びかけ、そのための計画の策定を求めている。小金井市も政府の指導にもとづき、昨年3月、「小金井市耐震改修促進計画」を策定。「建築基準法における新耐震基準(1981年6月1日施行)以前に建てられた住宅、公共建築物、民間特定建築物の耐震改修の促進」をうたい、2008年度から2015年度までの8年間で、住宅の耐震化率を90%へ、公共建築物では防災上重要な建築物および不特定多数の者が利用する建物を100%、民間特定建築物では90%にまで引き上げると述べている。また、「おおむね3年間を目途として、本計画の実施状況等に関する検証を行ない、必要に応じて計画内容の見直しを行なう」と明記。そのうえで、耐震化計画をすすめるために、公共建築物に対しては「耐震診断・耐震改修の実施計画を策定、公表するとともに、耐震改修が必要な建築物については年次計画を作成し、着実に耐震化促進を図るものとする」と述べている。しかし、「耐震改修促進計画」が策定されてから1年半。議会の側にはいっこうに「耐震診断・耐震改修の実施計画」が策定されたとの報告はない。
なぜ、「実施計画」が策定されないのか。それにはワケがある。9月9日の小金井市議会9月定例会の一般質問で私は、その「ワケ」を明らかにした。「耐震改修促進計画」では、「公共建築物の耐震化の現状、診断結果および今後の改修予定等については、平成20年度策定予定である『公共施設整備計画(仮称)』により定めることを検討する」と述べているが、その「公共施設整備計画(仮称)」がまだ、作られていないのである。「公共施設整備計画(仮称)」とはなにか。それは、「それぞれの施設について、建て替えていくのか、改修していくのかについて考えていくもの」(昨年12月3日の議会答弁)である。既存の公共建築物の今後のあり方が明確にされていないために、耐震診断の実施計画も作れないというのである。
加えて、市役所内の体制上の問題が絡み合っている。地震などの災害から住民を守るべき専門部は「防災」関係の部署である。小金井市では「総務部地域安全課」がそれにあたる。ところが、「耐震改修促進計画」を担当するのは「都市整備部まちづくり推進課」であり、「公共施設整備計画(仮称)」は「企画財政部企画政策課」となっている。つまり、防災のための施策を先頭に立って推し進めようとする地域安全課とは別のところで「耐震改修促進計画」が策定され、一方で、「公共施設整備計画ができるまでは」との条件を付けて、マッタをかける部署がある。いったい、なんのための地域安全課であろうか。「企画政策課」と「まちづくり推進課」の協議が整うのをひたすら待ち続けなければならない状況に置かれているのが「地域安全課」である。ようするに、地震などの災害から住民を守るべく最前線にいる地域安全課は、主役になれないのである。いったい、こんな組織運営で、住民の安全を守る市役所といえるのだろうか。危機管理体制はどうなっているのだろうか。少なくとも「公共施設整備計画(仮称)」だけでも切り離して、早急に耐震改修に踏み出すべきではないだろうか。
しかし企画財政部長の答弁は「現在検討中の、平成23年度からの第4次基本構想に合わせる」と述べるのみで、「公共施設整備計画(仮称)」からの切り離しには言及せず。「耐震改修促進計画」を担当する「まちづくり推進課」を受け持つ都市整備部長も、のらりくらり。防災の先頭に立つ地域安全課を部内に持つ総務部長も、企画政策課の「公共施設整備計画ができるまでは待て」の対応を全く問題にしなかった。総務部長は、防災を推進する立場である。企画政策部門に対して、「なんとかせい!」と言うべきではないのか。なさけないかぎりである。
小金井市の防災拠点は、市役所本庁舎の1階である。防災の担当部署と防災無線などの機材が置かれている。ところが市役所本庁舎の建物は、あと6年で建物の耐用年数を過ぎてしまう。直下型の大きな地震が起きて建物が崩れた場合、防災部門の職員に危険が及ぶばかりか、防災機材そのものが機能しなくなる。当然に電話は不通、頼みの防災無線も使えなくなるとなれば、東京都や国との連絡網は途絶えてしまう。よって、安全な建物に移すべきである。ところが「移る場所がない」を理由に、応えようとはしないのである。ますます、小金井市の危機管理体制に疑問を抱く始末である。
小金井市の武蔵小金井駅南口は大規模開発によって、どんどん変わっていく。一方「お金がない」を理由に、市公共施設の耐震補強は後回しである。気がつけば、学童保育所など、多くの市民・子どもたちが利用する施設の建物耐用年数が過ぎはじめている。駅前開発には借金をしてでも推進し、いつ大地震が起きるかわからないにもかかわらず、市施設の耐震化は先送り。こんな市政で市民の安全は守れるのだろうか。国と同じく市政の舵取り役を代えることが必要だ。
共産党市議団の議会役職報酬の使い方
4月16日の市議会臨時会で、市議会議員選挙後の新しい議会のもとでの議会・委員会等の人事が決められました。日本共産党の4人の議員は、常任委員長1、常任副委員長2、特別委員会副委員長1に就任し、4人全員が何らかの役職に就くことになりました。また、小金井市が関わる一部事務組合の議会に派遣する人事も決まりました。
一部事務組合議会に派遣されると、議会報酬が支給されます。この報酬に対しては「報酬の二重取り」との指摘もあり改善が必要だと考えていますが、小金井市議会内のこととは異なり、他の市議会から派遣されている議員との調整が必要になることから、なかなか改善へと向かわない痛し痒しの面があるのも事実です。小金井市議会内の他の会派のことはとりたてて論評するものではありませんが、日本共産党小金井市議団は、一部事務組合議会および農業委員会から月々いただいた報酬(税引き後の手取り額部分)は全額、議員団財政に出し合い、1議員あたり月々3万円支給される「政務調査費」では不足する市議会報告チラシやアンケート作成費用の補てん、各議員が年に2回発行する市政報告ハガキ(各議員1回あたり600〜700枚発行)の購入費用、市役所会派控室のパソコン経費や備品等に充てています。なお、党議員団から議長や副議長を選出していた時には、議長報酬のなかから月々5万円、副議長報酬のなかからは月々2万円を議員団財政に出し合っており、今回のように常任委員会の委員長職に就いた場合には、委員長職手当の月1万5千円のなかから1万円を議員団財政に出し合っています。
今回の議会人事では事前の話し合いの段階で、「共産党市議団から副議長職」ですべての会派の了承を得ていましたが、議会人事を早期にまとめ、バランスの取れた議会人事構成にしていくとの観点から、共産党市議団は「副議長職の内定」を自ら取り止め、議会運営委員長職に就きました。副議長職に就くと市内の様々な団体の会合に議長の代行で出席し、多くの方々に自身をアピールすることができるとともに、報酬額も3万円アップの「月額52万円」(税込み)となります。一方、議会運営委員長は議会向けの役職であるために特段、市民の前でのアピールがあるわけではなく、報酬も「月額50万5千円(議員報酬49万円+委員長手当1万5千円)」(税込み)となり、副議長職と比べると月額1万5千円の減となります。にもかかわらず、共産党議員団が「内定していた副議長職を取り止め、議会運営委員長職に変更したい」と述べたことから、他会派からは驚きの声があがり、「大人の対応をした」と言われたものです。しかし前述したように、共産党議員団は、役職報酬や一部事務組合議会報酬を出し合って議員団活動の充実に充てているため、議員個人のフトコロをあたためることにはなっていません。また「どの役職に就いたら市民にアピールできるか」では判断していないため、議員団のなかでの役職の割り当てで苦心することもなく、議会人事の早期解決に向けた決断をすばやく下すことも可能となるのです。
2009年4月 会派結成届け
市議会議員選挙を終えての、当選議員の初顔合わせが8日(水)に行なわれました。関心事はどのような会派構成になるのかということ。会派構成の結果如何で、正副議長などの議会人事に影響が生じてくるからです。前期の最大会派は、それぞれが5人を擁した「自由民主クラブ」と「みどりの風」。自由民主クラブが議長職を辞退したため、2人会派の「改革連合」に議長職がころがりこみましたが、本来であれば与党第一会派から議長職が出るのが通常の見方です。
今回、議会事務局に届けられた会派構成を見て驚いたのは、自民党の4人が2会派に分裂したこと。4人とも自民党公認で当選しておきながら会派が分かれるというのは、まったく不可解なところです。そのため、様々な憶測が飛び交いました。「与野党伯仲が予想されるなか、議案が通るかどうかが不安定な事態を避けるために、多くの会派人数を擁する野党会派に議長職を譲る作戦か?」「議会運営委員長を与党が握り、そのうえで与党側が議会運営委員会の過半数を確保するために与党を分裂させ、与党側からの委員数を増やす作戦か?」「このような策略を練っている後ろ楯は誰か?」などなど。しかし、実態はそこにあるのではなく、もっと低次元な御家事情があるというのが真相のようです。
前期にひきつづき、無所属を中心とした「○」「×」「△」会派が結成されました。議案や陳情・意見書の採決の際に態度が分かれ、賛成する者、反対する者、退席する者に分かれる会派のことです。しかも前期は、一つの案件に対する本会議討論が、その会派から複数おこなわれるという珍事態も生まれ、「会派の体を成していない」との指摘も出される始末でした。そもそも、選挙中はまったくの個人という立場で戦った人や、特定のグループの一員という立場で戦った人など、それぞれが異なった立場での選挙を行なっており、投票された支持者に対しても説明できないような会派結成のあり方です。しかも議会人事では会派人数を前面に出してポストを要求してくることが目に見えており、議会人としてはとても容認できるあり方ではありません。
議会人事は9日(木)・10日(金)・13日(月)の議員連絡会で調整が行なわれ、16日(木)に予定されている臨時議会で決定する見込みです。以下は8日に届けられた会派構成です。
◎=幹事長、○=副幹事長
みどり・市民ネット (6人) |
◎青木ひかる、○漢人明子、片山薫、田頭祐子、野見山修吉、渡辺大三 |
日本共産党 (4人) |
◎森戸洋子、○関根優司、板倉真也、水上洋志 |
民主党・社民クラブ (4人) |
◎村山秀貴、○武井正明、宮崎晴光、鈴木成夫 |
公明党 (4人) |
◎宮下誠、○紀由紀子、渡辺ふき子、小林正樹 |
自由民主党 (2人) |
◎中根三枝、○露口哲治 |
自由民主クラブ (2人) |
◎遠藤百合子、○中山克己 |
改革連合 (1人) |
◎篠原ひろし |
こがねい市民会議 (1人) |
◎斎藤康夫 |
2009年2月議会 市議会特別委員会の中間報告書
市議会議員の4年間の任期も、あとわずかな日数を残すのみとなりました。小金井市議会には三つの特別委員会がありますが、各委員会とも議員の任期が終了する間際の委員会で、この間の調査のまとめ(中間報告)を作成しています。
2月27日の市議会本会議では、このうちの「行財政改革調査特別委員会」と「駅周辺整備調査特別委員会」の調査報告書(中間報告)概要が委員長から報告され、この報告をもって、今期の委員会が閉じられました。
報告書では各会派の主張が述べられていますが、「行財政改革調査特別委員会」では少なくない会派が「第三者機関による行政評価」「外部参加者による事業仕分け制度の導入」「小学校給食調理業務、学童保育所、保育園、児童館のそれぞれの委託化」を求め、そのことを主張している会派の多くが「駅周辺整備調査特別委員会」の報告書では、駅前開発事業の推進を求めています。結局は、開発を推進するための財源確保のために事業の民間委託化を求め、委託化を推進するために外部による行政評価、事業仕分けの実施をうたっていることがわかります。
なお、日本共産党市議団の調査報告書(中間報告)を以下に掲載しますので、ご参照いただければ幸いです。
[行財政改革調査特別委員会]
日本共産党市議団は、市民の切実な要求を実現させていく上でも、行財政改革は必要と考えている。
「行財政改革」の目的は、市役所組織機構のあり方や税金の使い方、施策の状況を検討し、不効率・ムダを省いて、市民福祉やサービスを向上させることにあるとともに、国が新たな負担増を市民に押し付けてくる中で、小金井市が自治体の役割を発揮し、市民のくらしを守る防波堤になることである。同時に、国や東京都が自ら責任をもって行わなければならない業務を地方自治体に押し付けてくるもとで、円滑に業務が行われるように国や東京都へ支援策を求めるとともに、職員体制を充実し、市民サービスに影響が生じないようにしていくことである。その観点から日本共産党市議団は行財政運営をチェックし、業務運営の見直しとともに具体的な提案を行ってきたところである。
小金井市の現況において、行財政改革で見直すべき最大のものは、武蔵小金井駅南口再開発事業である。バブル時代と同じ感覚で莫大な財源を投入する駅前大型開発は、規模の面からも小金井市が投入する費用の面からも、今日の市財政をめぐる状況とは大きく逸脱したものとなっている。市の方針は第一地区の開発に続いて第二地区の開発も行い、第二地区の開発を成立させるために駅前に市役所を入れるというものになっている。そのため、第二地区の開発が進まないかぎり借家庁舎は続くことになり、市民の貴重な税金が借家庁舎の家賃等に消えていくことになる。この最もムダで不効率な駅前市役所計画こそ見直し、市役所を建てるために議会が全会一致で購入したジャノメ跡地に市役所を建てるべきである。
しかし、当委員会の質疑の中心は、施設の民間委託化や市民サービスの後退・負担増を求め、市長が推し進めている駅前開発事業を推進させるものとなっている。また、国や東京都の地方自治体無視の制度変更・事業押し付け・補助金改廃に対しては、そのまま受け入れていく一方で、学校給食検討委員会の両論併記の答申にもかかわらず、行財政改革調査特別委員会では、中学校給食調理業務の民間委託化を進める市長の政策を無批判に受け入れ、新たに、小学校給食調理業務の民間委託化まで主張する事態となっている。また、児童福祉審議会の答申では「民間委託によって十分な効果が速やかに生じると判断することはできません」、「水準を保ちながら委託化を進めるにはまだ課題もある」と総括されているにもかかわらず、委員会の議論は答申内容をまったく無視したものとなっている。「市民が主役」と言いながら、長時間の議論の末に示された委員会の答申からも逸脱するあり方は、市民無視でしかありえない。日本共産党市議団がこのようなあり方に対して、答申内容を示しながら是正を求めてきたのは当然である。
一方、行政の見込み違いから、燃やすゴミの処理を国分寺市の処理施設以外にもお願いせざるを得なくなり、燃やすゴミの処理経費は2007年度から、前年度比で5億円ものアップとなった。この間、市民には国保税や介護保険料の値上げ、生活保護世帯の夏冬一時金の廃止、家庭ゴミ収集の有料化などで負担を求め、その分、市の負担額を削減しておきながら、その削減額を吹き飛ばすゴミ処理経費の大幅アップは市民に対する背信行為であり、責任は重大である。ゴミ処理経費の削減のためにも、広域支援の早期解消を目指した議論こそ求められる。
今日深刻なのは、市職員の労働環境である。国の新たな施策への対応や制度変更への対応とともに、国や東京都から次々に業務が移管され、市独自の業務量も増えていく中で、監査委員からも連続して指摘されるほどに市職員の長時間労働は健康の面からも家庭との調和の面からも改善が強く求められるものとなっている。しかし当委員会で議論されている中身は、「第二次行財政改革大綱」の目標数値をやりきることのみに置かれ、市職員の労働環境の改善とは、かけ離れたものとなっている。市民サービスを向上させ、行政としての責任を負っていくためにも、市職員が健康で元気に働ける職場体制づくりは欠かせない。職員の確保と体制の充実は強く求められるところである。目標数値のみに目を奪われ、現場の実態に目を向けようとしない当委員会の今日のあり方は、改めるべきである。
市役所組織機構のあり方や税金の使い方、施策の状況を検討していく上でも、市財政をめぐる動向は重要となっている。今日、アメリカ発の金融危機のもとで、小金井市も認めるように、今後、市税収入は減少に向かう事態となる。このような中で駅前大型開発事業だけは聖域扱いされ、枠配分方式によって新たな施策を展開するためには、たとえ必要な施策であっても切り捨てていかなければならない状況を背負わされる。このような行財政改革では、市民施策の充実は果たせないことになる。駅前大型開発事業の見直しこそ必要である。また、燃やすゴミの他施設への持ち込み経費や二枚橋焼却場の取り壊し経費、新ゴミ処理施設建設経費など、市民生活にとっては待ったなしの費用が求められる事態となり、市財政をめぐる状況は大きく変化している。ところが、いまだに財政計画(財政フレ ーム)の見直しは示されていない。今後の市財政を見通す上でその指標となる財政計画が 旧態依然のままでは、到底、市政運営を安心して行える状況とはならない。なのに、莫大な財源を投入する駅前大型開発だけは着実に進めようとしている今日のあり方は、誰がみても驚きを禁じえないものである。羅針盤を持たない、このような市政運営のあり方は、直ちに改めるべきである。
行財政改革調査特別委員会は設置当初から、日本共産党市議団はそのあり方自体に疑問をもってきた。なぜなら、当委員会で行われている議論の内容が、常任委員会で十分に対応できるものとなっているからである。現に、行財政改革調査特別委員会は、開かれても短時間で終わるケースも少なくない状況である。しかも、行財政改革調査特別委員会は、発足した当初から2000年3月に市長が打ち出した武蔵小金井駅南口再開発事業や東小金井駅北口区画整理事業を前提とした「財政健全化計画」を推し進める議論が展開されることとなり、市民生活にかかる経費をいかに削減するか、そのために市職員をいかに削減するかに重点が置かれてきた。そのことから、行財政改革調査特別委員会は市民生活とかけ離れた、市民生活とは無縁の存在となっている。このような中で設けられている当委員会は、あえて設置する必要もないばかりか、当委員会の存続自体を「行財政改革」の調査事項や「行政評価」項目に入れてもいいくらいとなっている。
よって今日、行財政改革調査特別委員会のあり方そのものを検討し直すことが何よりも求められるとともに、市民からかけ離れた委員会は閉じるべきものと考えるものである。
[駅周辺整備調査特別委員会]
1 武蔵小金井駅南口市街地再開発事業第1地区について
■武蔵小金井駅南口再開発事業について
反対地権者のビルが強制収用されるという最後の手段によって、取り壊される結果となった。当初、市は強制収用という強制手段は行わないようにしたいと言っていた。私たち日本共産党は話合いをするように求めたが、市長は全く地権者合意の努力をしてこなかった。その責任は極めて大きいと言わざるを得ない。現在、東小金井駅北口区画整理事業も、地権者の合意を取らないで進めようとしているが、強権的なやり方はやめるべきである。
■1-III街区の市民交流センターについて
途中で東京都たま建築事務所に提出されていた設計図と市議会に説明されてきたものが変更されていたにもかかわらず、市議会にも説明がなく進められてきた。また都市再開発法では、設計変更が行われた場合は、事業計画変更の承認申請をしなければならなかった。しかし、この点では1議員と日本共産党の指摘があったにもかかわらず、「都市機構が責任を持って進めている」、「事業計画変更は私たちがやることではなくて、機構が適正に判断をしてやっている」と他人事のような答弁を繰り返してきた。しかし結果的に、事業計画変更の認可の申請を提出するため、工事が数か月間中断された。市民交流センターは小金井市の所有となるものである。その施設が法令を遵守して進められているか、常に責任を持つ必要がある。ここでもまちづくりに責任を負わなければならない小金井市の責任が問われる結果となった。
■1-III街区のJRビル内に設置される駐車場について
1−III街区の駐車場の問題である。もともと市の説明では市民交流センターの駐車場は、隔地駐車場として公共駐車場を使用するという説明をしてきた。ところが1−III街区は一筆一棟のために、都の駐車場条例に基づく附置義務の台数48台分があり、市民交流センターもこの条例にもとづき、48台分のうち24台分は使用できることが明らかになった。JRに所有権がある48台分の立体駐車場を、小金井市も含めてどう使用するかということについては、共同で使うということを都市再生機構がJRに伝えてあるということだった。しかし小金井市は、公共駐車場をできる限り使用し、1−III街区の駐車場は避けていただきたいと説明している。が、問題は1−III街区のビルとして付置義務が課せられている駐車場であることからすれば、使用する義務が発生する問題である。いまだに、どのような使用方法になるのか、そのための負担がどうなるのかも調整ができていない。市民交流センターの取得の議決までに、その内容を明らかにすべきである。
■フェスティバルコート問題について
フェスティバルコートの管理運営について、市も管理運営する選択肢を持っているという前提で、いろいろ調整を機構も考えるという課題が残っていたが、結局いまだに結論も出されていない状態である。前提として、こちらの権利者、地権者の方から、どのようにここを市に管理してほしいという話が出てくるのかどうかというのも、まだ定かでないことを理由にして、使用形態も決まらない事態となっている。
いかにも、誰もが使用できる多目的広場としているが、実質はフェスティバルコートの大部分を所有する地主さんの意向で決定されるもので、小金井市が自由になるものではないことは明らかである。専門家からも将来にわたって、管理運営に問題を残す広場であり、適切な対応が求められるという指摘もある。使用に当たっては、法律の上でも将来に禍根を残さないようにすべきである。
■イトーヨーカドーなどの大規模店舗の出店について
イトーヨーカドーの出店は、商圏を3キロメートルとしており、小金井市内の商圏をすべて取り込む形となっており、今日の経済状況も反映し、市内の商店に与える影響は大きい。
前原一、二丁目付近の坂下地域には、生鮮3品を扱う商店がなくなり、高齢者はバスを利用して買い物に行かなければならない事態に立ち至っている。今後、商店の営業を守る小金井市の独自の施策が求められている。
2 武蔵小金井駅南口市街地再開発第2地区について
第2地区については、昨年4月に地権者総会が流れるという結論に至った。日本共産党は、この間、92億円の駅前の市役所建設の方針を撤回するよう市長に求めてきたが、市長は「再開発を成立させるために市役所を建設する」という方針を変えなかった。
現在の第2地区の再開発の計画は、92億円の市役所建設とマンションによって、成立させようとしている。しかし、アメリカ発の金融不況は、マンション業界にも影響し、経営不振に陥っている事態である。
第1地区の「プラウドタワー」マンションも、キャンセル住戸が出ている事態である。第2地区はすでに、ビルを建設している地権者がある中で、まちづくりのあり方については、あらためて地権者で話し合い、地権者も小金井市も身の丈にあったまちづくり計画に見直すべきである。
また、日本共産党は、駅前市役所建設の市の方針を撤回するよう要請する。市役所建設場所を選ぶ住民投票条例を求める直接請求は、市長の「住民投票を実施する合理的な理由がない」という反対意見が附され、市議会は反対と賛成が1票差で否決された。
この間の当委員会の調査でも、駅前の市役所建設は5年で終わらず、そのため、リース庁舎は借り続けなければならないことが明らかになった。
市民が、ムダ遣いをやめてという声をあげたことは、小金井市政にとってもこれまでにない行動であり、私たちは軽視することはできない。
また、この住民投票条例案の審議の中で、稲葉市長が進めようとしている駅前市役所の建設に賛同する議員は、過半数にも満たない。三者三様の意見が述べられた。ますます市民の投票によって、市役所の位置を決定することが必要になってきた。
金融危機のもとで、今後の小金井市の税収は激しい落ち込みを見せることは明らかである。こうしたもとで、駅前再開発に莫大な税金投入や、リース庁舎のムダ遣いの継続はやめるべきである。
3 中央線連続立体交差化事業について
中央線の連続立体交差化事業は着々と進んでいる。事故のないように万全を期しての工事完成を求める。
また高架下の利用については、自転車置き場を中心に、東小金井駅には市役所出張所の設置がすみやかに進められるよう求める。また、駐輪場は鉄道事業者に設置の責任がある。その点では公租公課分に含まないで設置すべきであることを要望する。
4 武蔵小金井駅北口について
2月にURリンケージへ武蔵小金井駅北口の包括的なまちづくりの方向を委託した都市再生機構は、小金井市議会が予算の提案を受ける前に、北口再開発の検討に着手したことになる。
また、一貫して今に至るも規約も会員数も不明な「北口再生協議会」の意向を受け、都市再生機構へ小金井市は北口のまちづくりの検討を委託してしまった。そしてできあがった成果品をみると、南は中央線から北はけやき通りまで、東は小金井街道から西は競技場通りの西側の通りまでという広大な面積の私有地まで中小の私有地まで広範囲に含めた地域を、地権者に知らせず勝手に計画図面を引き、パブリックコメントに附している。これら一連の経過は、出発点から北口のまちづくりを中小地権者無視の非民主的で不明朗なものにしてしまった。
北口をどうするかという議論は、中小権利者の意向と商店街の意向をきちんと把握し、市民にも公開しながら民主的な議論を組織すべきである。また、「ホテル」「スパ」「宴会場」などを北口につくるべきとの議会での与党議員と市長による勝手な議論は、財政破綻へ小金井市を導くものと言わざるを得ない。
中央線の地下に特別快速を止めるなどという議論は現下の経済状況では非現実的であり、地下化に賛成できるものではない。
5 東小金井駅北口土地区画整理事業について
2007年2月27日〜3月12日の日程で、仮換地案の第一次個別説明会、2008年6月に第二次仮換地案の個別説明会が開催され、2008年7月15日付けで換地設計案が決定された。2008年度すでに道路築造の工事が開始される状況にある。
しかし、区画整理事業については、いまだに事業そのものも含めて多数の反対の声が根強く残っているのが現状である。拙速に事業を推進すべきではない。
地権者には、換地が示されたものの、移転補償や精算金についてはいまだ明らかにされておらず、不安の声が寄せられている。移転補償や精算金の地権者負担に最大限の配慮を行い、換地図を明らかにするなど地権者の 要望に配 慮し、権利を守り、合意と納得を得ることが必要である。
また、区画整理事業の事業計画の変更が決定されたが、土地価格の下落により市の負担が17億5000万円も増加するものとなっている。事業が過大な財政負担を強いるものであることをさらに明らかにするものであ る。
用途地域の変更・地区ルール策定の都市計画決定も今年度行われたが、かねてから意見してきたように東小金井駅北口の地域の発展にとって問題がある計画であると考える。
一つは、住環境への影響である。近隣商業地域・高さ制限が26メートル・8階建てと設定され、その隣接地域が低層住宅地域となっていることは、今後の日照など住環境への影響を懸念せざるを得ない。また、都市計画道路に面する建物に対してのセットバックや1階部分の商業施設以外のものを認めないこと、生け垣の在り方など、私権を制限する内容が盛り込まれていることに、地権者全員の合意が必要である。三つ目に、過度な商業的な発展を期待する内容で、地域の商業のにぎわいを創出するものとは考えられない。東大通りの拡幅で商売の存続が危ぶまれる現状が進行しているが、地域に密着した商業の発展や住環境をしっかり守るまちづくりこそ必要である。
東小金井駅北口土地区画整理事業は、1995年の都市計画決定以来、14年目を迎え、ようやく道路の一部が築造され始めるという状況で、総事業費は140億円、市の負担も38億円から56億円に増加した。
東小金井駅北口の整備を望む声は大きいが、結局、住民合意を得られない区画整理事業の手法で事業を強行してきたことが、地権者への大きな負担を押し付け、まちづくりを大きく遅らせ、財政的な負担も過大なものとなったと言わざるを得ない。
大規模な開発ではなく、駅前広場整備と駅前の道路整備を買収などに住民合意に基づいて進めていくことこそ本来必要な事業であったと考える。区画整理事業を進めることに改めて反対の意志を表明する。
なお、まちづくり事業用地への市民施設の建設を市民の要望を聞き促進すること、けやき保育園・ピノキオ幼児園の移転は利用者の声を反映させ、保育の充実に資する施設として整備することを要望するものである。
兵庫県の三木市と三田市を総務企画委員会で訪問
10月30日(木)と31日(金)の両日、市議会総務企画委員会の行政視察に参加した。視察先は、兵庫県三木市にある「兵庫県広域防災センター」と兵庫県三田市の「災害時援護者支援制度」。当初、この時期の前後に解散・総選挙が言われていたために視察日程の再検討も議論されたが、委員長の「公務優先」のゆるぎない一言で決定。解散が行なわれなかったことから、結果的には胸を張っての視察になった。
ところで、三田市。私はカミさんに「みた市に行く」と述べたところ、カミさんは「ふ〜ん。兵庫県に『みた市』っていうのがあるんだ」と少々、腑に落ちない様子。しかし私は確信を持って「みた市」へ出かけるために、30日朝、市役所受付で「これから委員会視察で兵庫県の『みた市』に行ってきます」と告げた。すると職員団体の執行委員を努めたことのある某氏が「板倉さん、それは『さんだ市』っていうんですよ」と思わぬ一言。へ?『さんだ市』?。「ホントに『さんだ市』ですか?。ウソじゃないでしょうネ。向こうに行ったら『みた市』って読んでるなんてことないでしょうネ」と、疑心暗鬼。ホントに『さんだ市』なのかなと心配なので、集合場所に集まっていた他の議員に次のように述べた。「『みた市』って書いて、『さんだ市』っていうんだよネ!」。だれもが頷くので、かくして私は『さんだ市』へ向かうことが決定された。
これまで兵庫県は神戸市などの賑やかな地域への視察は経験があったが、今回訪れた三木市や三田市は郊外にあり、そこへたどり着くまでの電車の車窓から見える景色は、東京で言えばさながら西のはずれの五日市線を彷彿させるものがあった。しかも神戸駅からほどなくして、そのような景色が飛び込むのである。電車は東京と同じように、時間帯を決めた「女性専用車両」もあった。ところが東京と異なるのは、「早朝を除く平日ダイヤの終日」と記されていることである。東京では、「土・日・祝日を除く早朝の時間帯」が一般的に「女性専用車両」となるのだが、こちらでは「早朝以外は女性専用車両」ということになる。昼間の時間帯に「女性専用車両」に乗り込んだ何人かの視察団一行は、周囲の女性陣の冷たい視線を全身に浴びながら、あわてて男性が待ち構える車両に移った。「早朝よりも昼間の時間帯のほうが、痴漢が多いのかネ」と、我々は顔を見合わせた。
三田市には立派な公共施設があちこちに建ち並んでいた。ところが、三田駅前の再開発ビルにはテナントが半分しか入っておらず、再開発ビルの最上階はテナントが入らないために市の施設が入る事態となっていた。駅ビルもテナントは半分しか埋まらず、再開発ビルも駅ビルも、ガランとした空間が横たわっていた。駅前は人通りが多いわけではなく、集客力をあてこんだのかもしれないが、再開発は完全な失敗だといえる。武蔵小金井駅南口も同じ道を歩まなければよいがと思う。
三田市からの帰途、かの「JR福知山線」に乗車した。事故が起きた右曲がりのカーブに近づくにつれ、当時のテレビ映像がよみがえる。電車が突入したマンションはいまも存在していた。宝塚市を通るときには「おお!。これが『タカラヅカ』で有名な宝塚市か」と、車窓に映し出される景色に見入る。目を見張ったのは、山の中腹から頂上にかけてまで、戸建て住宅やマンションが所狭しと建ち並んでいたこと。その景色は、異様であった。こんな建て方がよく認可されるものだと、建築基準のあり方に疑問を抱く。
帰路の新幹線は新大阪駅からの乗車である。乗車まで若干の時間があったので、買い物をするために駅構内で売店を見て歩いていたところ、「吉本興業」のキャラクターグッズを扱っている店に行き当たった。これはいいや▽と、中学3年生の息子と中学1年生の娘の携帯ストラップとボールペンを購入。カミさんには饅頭を買ってやった。この小さな店には修学旅行と思われる女子中学生も顔を見せていた。土産も買ってこれで大丈夫と、構内を歩いていたら、目の前を男性が立ちふさがり私に声をかけた。なんと!。小金井市の前原町に住む知人がいるではないか。会社の出張でやってきたという。偶然とはいえ、不思議なものである。これが若い女性であったなら、「赤い糸で結ばれている」と勝手に思い込むのだが・・・・。この男性とは思想が「赤い糸」で結ばれていた。
さて、肝心の視察の内容だが、以下が市議会事務局に提出した私の感想文である。ご一読いただけれぱ幸いである。
兵庫県広域防災センター
小金井市が梶野公園(約1ha)を「防災機能を有する公園」に位置付けるなかで、他自治体の「防災公園」を学ぶために兵庫県三木市にある県立・三木総合防災公園を視察することになった。
行ってみて驚いたのは、その規模の大きさ、広さ・・・・。広域防災センター、実験施設などが建ち並び、陸上競技場や野球場、屋内テニス場まで設置されている。約308haという 総合防災公園の面積は小金井市域の27.2%分にも相当し、規模がいかにすごいかがわかる。全体が丘陵地帯となっており、緑・自然を削ってつくられたことは残念なところ。
梶野公園をどのようなものにしていこうかを目的に訪れてみたが、規模が違いすぎてとまどうばかり。兵庫県には申し訳ないが、ほとんど活用されない野球場がはたして必要だったのか、陸上競技場がこの地に必要だったのか、そもそもなぜ防災とは無縁な施設が、坂を上らなければならない丘陵地帯につくられたのかなど、別の面で考えるところばかりとなった。
梶野公園は地域住民とのワークショップも終盤に入り、今後、どのような公園にしていくかの具体化がはかられることになる。「防災公園」はヘリコプターが昇降できる2ha以上の面積がないとダメなので、面積の及ばない梶野公園は、防災倉庫の配備、災害時の一時避難所および救援部隊の配備所等に活用されると思われる。今後の具体化を待ちたい。
三田市の災害時要援護者支援策
「災害時に一人では避難できない方々を、どのようにして地域住民の力で救護していくのか」。このことが各自治体での大きなテーマとなっていると同時に、阪神・淡路大震災の経験を学んできた地域の町会・自治会・防災会の課題でもある。
自治会の仕事に携わるなかで、自主防災会の方々からは「どのようにしたら高齢者や障害者など、一人では避難できない人たちの個人情報を防災会や自治会で把握することができるだろうか」との相談を受けるようになった。個人情報を持っているのは市役所。しかし個人情報保護の観点から、情報をオープンにすることはできない。民生委員も高齢者宅の情報を持っているが、法律で守秘義務が課せられている。よって、地域の自治会や防災会は情報を得ようにも、得るための手だてがない状態となっている。
もちろん、自治会・防災会独自で一件一件訪問して調査する手法は残されている。しかし、それが行なえるのは近所づきあいが密接であり、自治会・防災会に対する信頼の高さ、および加入率が高くなければ難しい。しかし、小金井市の自治会・町会加入率は45%しかなく、しかも住民の入れ代わりが激しいなかでは、独自調査は事実上、不可能。こうしたなかで三田市はどうしているのか、このことが私の最大の関心事であった。
三田市では、支援を受けたい人が、自分の情報が自治会に渡されるのを了解のうえで市に登録するという「手あげ方式」がとられていた。住所、生年月日、電話番号、同居の有無、自力避難が困難な理由、緊急時の連絡先、そして地域の自治会名と担当民生委員を記載して市役所に提出するというもの。また、記載欄には「かかりつけ医」「常用薬」を記入してもらう部分もあり、この間の震災での現場の教訓がことこまかに生かされていることがわかる。
この「登録書」がそのままコピーされて地域の自治会に渡されるのだが、イザッ!という時には新たな問題が生じる。「救援を受けたい側が、誰に救援されるか」という問題。「救援してもらうのだから、誰であろうと問題はないではないか」と助ける側は言いたいところだが、高齢者や障害者にとっては、このところがデリケートな部分であり、一番のプライベートな部分、ネックでもある。救援を受ける側の高齢者や障害者からすれば、できるだけ身近な人、見知っている人に来てもらいたいというのが本音となっている。よって三田市の「登録書」には、誰に救援してもらいたいのかを記入する「避難支援者」記載欄がある。ただし、実際に市役所に届けられた登録書では、氏名を特に指定していないものも多いとのこと。
今年度の登録者は9月末時点で約1,100人というから、反響の大きさがうかがえる。し かし、その影には制度を根付かせるための担当部署の努力がにじみでている。今年5月に要介護(要支援含む)認定者全員と身障手帳、療育手帳、精神保健福祉手帳の所持者全員に登録を呼びかけるダイレクトメールを発送し、6〜7月には民生委員による要援護高齢者調査のもとでの登録勧奨が行なわれてのこと。この取り組みが行なわれる前の今年4月の段階では、登録者はわずか10人弱であったという。
自治会の加入率は80%。広報を行なっていても自治会の役員からは「なぜ制度が必要か理解できない。地域ばかりに負担を押し付け、市は何をしてくれるのか。避難支援者は責任が重い。地域での支援体制をどうすればよいか」などの意見が出されているという。三田市は「今後、1,100人を超える登録者の一人ひとりを誰がどのようにどこへ避難させる かといった計画を立てる必要がある」と述べ、「支援者対象の研修が必要」と述べていた。また、未登録者への災害時の対応や支援体制の確立など、課題は山積しているという。
大震災を教訓に始まった試行錯誤。小金井市でも現在、研究が始まっているが、避けることのできない地震等の災害に対して、要援護者支援体制の確立は待ったなしである。
2008年9月議会 障がい者福祉施策の拡充を
昨年12月議会に引き続き、障害者の福祉施策の拡充めざして一般質問を行ないました。今回の質問の主眼の第一は、障害者自立支援制度に移行する障害者の共同作業所や事業所が、支援制度に移行後も安定的に施設や事業所を運営できるように、小金井市に家賃補助などを実施させること。第二は、小金井市が現在練り上げている、来年度から3年間の障害者計画・障害福祉計画の見直し版に、障害者や関係者の意見・要望をいかに反映させていくか。第三は、共同作業所や事業所の利用にあたっての食費や利用料に対する助成を実現させること。第四は、障害者にも施設側にも大きな負担や影響をおよぼしている「応益負担」や「日払い」制の廃止などを国へ求めさせていくことです。
2006年4月に一部がスタートし、2006年10月から本格施行となった「障害者自立支援法」は、法律の附則で明記された「3年後見直し規定」に沿って来年の通常国会で法律の改定が提案され、法律施行から5年目に入る2010年度が改正された法律の実施年度になると言われています。障害者自立支援法は条文で明記された「障害者および障害児の福祉の増進を図る」とは裏腹に、障害者も家族も、そして施設側も大きな影響を受け、法律の改正を求める関係者の国会前での座り込みなど大きな怒りが沸き起こりました。そうしたなかで政府は、低所得者の負担軽減を中心とした「障害者自立支援法円滑施行特別対策」(06年12月発表)、「障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けた緊急措置」(07年12月発表)を行ない、本来の形としては法改正を前提としなければならないような二度にわたる大規模修正を行なわなければならない状況に陥りました。障害者自立支援法の問題点については、小金井市議会でも厚生文教委員会を中心に議論が行なわれ、私自身も2年前の12月の一般質問、昨年12月の一般質問で取り上げ、小金井市での対応策・改善策を求めてきたところです。
三多摩の自治体のなかには、施設や利用者の負担軽減のために、自治体独自で支援策を講じているところが生まれています。しかし、関係者によると、小金井市の支援策は他の自治体と比べて遅れていると指摘されており、自立支援法にもとづく「新体系」に移行すると、施設の事業費は現行よりも減ると見込まれています。しかも、東京都の加算事業が廃止されるといわれ、事業費はいっそう激減することが明らかとなっています。仮に東京都の加算が継続されたとしても、施設の運営は現行よりも厳しくなることは明白であり、施設の存続が危ぶまれる事態となります。なかでも「精神」の場合はより深刻です。国は精神障害者の退院促進をすすめており、地域の事業所・共同作業所が減少すれば行き場がなくなり、ひきこもりになるケースが続出することにもなりかねません。法律の谷間で支援の対象にならない人たちを積極的に受け止め、障害のある人の社会参加を実現してきた地域の事業所・共同作業所が存続できるように、自治体としてできることを積極的に行なうことが求められます。
また、自立支援法のもとで施設が運営されるようになると利用者には原則1割の利用料金の支払いが求められ、食費や入所施設の水光熱費などの実費も自己負担となります。そのため「精神」の施設を中心として、施設利用が落ち込むことが懸念されます。しかも施設への報酬の仕組みが「月額制」から「日額制」に変更されるため、「精神」のように施設利用が日によって変動が激しいところでは、いっそうの影響が生じます。利用者の食費や利用料金に対する助成を行ない、利用者が利用しやすいものにする必要があります。なお、政府は低所得者の負担軽減を中心とした「特別対策」と「緊急措置」を講じていますが、これはあくまで「応益負担」を根底においたものであり、関係者が求めている従来の「応能負担」とは相容れないものです。しかも「緊急措置」であり、長く継続される保障はありません。
以上のことを述べた上で私は小金井市に対して、質問の主眼である、冒頭の四点に対する小金井市の考えをただしました。小金井市の答弁の要約は以下のとおりです。
主眼の第一、家賃補助を求める質問に対しては、「新体系移行に伴い事業所運営が円滑に行なえるように、現行の補助水準を維持し、利用者の方々に対するサービスの低下を招くことがないよう、他市の状況等を調査し、どのような支援が行なえるかを研究していきたい」。主眼の第二、障害者計画・障害福祉計画の見直し版に、障害者や関係者の意見・要望をいかに反映させるかに対しては、「今年5月に障害者計画に関する市民アンケートを障害者団体や障害のある人に送付しており、このアンケートを分析し、改訂作業を行なっている地域自立支援協議会の意見をもとに作成していく」。主眼の第三、食費や利用料に対する助成の実施に対しては、「食費については、知的の作業所は現在、障害者福祉センターでつくった給食を配食しており、1食あたり350円で提供している。新体系移行後についても、このような形で提供できればと考えている。利用料については、地域生活支援事業の一部を見直して軽減措置をすることを検討している」。主眼の第四、「応益負担」や「日払い」制の廃止などを国へ求めさせていくことに対しては、「地域自立支援協議会のなかで十分に協議し、そこで出された問題点を国および都に対して積極的に要望していく」。
私は今回の質問では何よりも、共同作業所や事業所への家賃補助を実現させなければと決意していました。しかし「他市の状況等を調査し、どのような支援が行なえるかを研究していきたい」との答弁にとどまったことは残念なことです。すでに今秋には一つの知的作業所が新体系に移行するといわれ、精神の作業所も一箇所が今年度中に移行すると言われています。利用者減や「日払い」による収入減の影響が懸念されており、財政支援を切に願うものです。
「他市の状況等を調査し」と、小金井市は答弁しました。その調査結果が9月議会の決算委員会に提出されました。調査資料のタイトルは「三多摩26市の新体系移行後の施設補助及び利用者負担軽減措置実施状況」。26市の家賃補助状況も掲載されています。ところが家族会の方々からは、「市の資料は調査が不十分」との指摘がされています。家族会の方々は独自に各自治体に足を運び、聞き取り調査を行なっており、「小金井市の資料は、各自治体の到達状況を低く記している」と指摘しています。各自治体の補助事業の到達が低いレベルでまとめられているとすれば、小金井市はその低いレベルを「三多摩26市の基準」に位置付けることになり、小金井市の補助事業の基準も下げられてしまうことになりかねません。三多摩26市の今日の到達状況はいったいどうなっているのか。正確に把握することが必要です。
市内の障害者団体は10月14日、小金井市に対して補助事業の拡充を求める交渉を行ないました。障害者自立支援法にもとづく新体系移行を目前に控えたなかでの、必死の交渉です。駅前開発には何億というお金を投入できても、障害者の生きるか死ぬかの必死の願いにはお金を出し惜しみする小金井市。こんな市政は大本から変えていくしかありません。
2008年6月議会 義務教育での保護者負担の軽減を
憲法26条では「義務教育は、これを無償とする」とうたい、教育基本法でも「教育の機会均等」や「義務教育無償の精神」を明記しています。ところが「無償」は「授業料」と「教科書」のみで、現実には小学校でも中学校でも、少なくない額の保護者負担が覆いかぶさっています。そのことから私は、6月議会の一般質問で、義務教育における保護者負担の軽減を求めて、小金井市の見解をただしました。
質問するにあたり、教育委員会の学務課から、小金井市の小中学校の保護者負担の状況がわかる資料を作成していただきました。それによると、小学校の場合には「学用品や通学用品」などの「教科活動費」や「遠足」「移動教室(5年)」「林間学校(6年)」などの行事費、「卒業アルバム」や「学校給食費」などが必要となり、単純計算で、児童一人当たり年間で51,218円の保護者負担となっています。一方、中学校の場合には、「修学旅行(3年)」や「移動教室(2年)」があることから、年間で一人当たり84,679円を保護者が負担せざるを得なくなっています。加えて、中学校に入ると「部活動」もあり、スポーツクラブとなるとユニホームや備品等で、相当な出費を迎えることになります。
これら、義務教育にかかる費用については、各自治体で保護者負担を軽減するための一定の措置がとられ、小金井市においても「小金井市立学校特別活動補助金」という制度があり、小学校では「海の移動教室」「林間学校」「オーケストラ鑑賞教室」に対して、中学校では「山の移動教室」「合唱鑑賞教室」「修学旅行」および、特別支援学級の「移動教室」に交付されています。しかし、補助対象は「交通費、食費、宿泊費等」とされ、しかも「予算の範囲内」とされているため、市の補助割合は、きわめて低い状況となっています。
一方、中学校の「部活動」に対しても補助制度があり、「部活動に伴う費用」や対外試合などの「交通費」「大会参加費」「宿泊費」が対象となっています。「経費の実費」を補助するとなっているものの、この場合も「予算の範囲内」であるため、すべてが補助されるとはかぎりません。ようするに“部活の沙汰も金次第”というものであり、兄弟の多い家庭にとっては、手痛い出費となります。少子化を危惧するならば、このような義務教育での保護者負担も見直すべきです。
私はまず、「保護者負担とする根拠」を質問しました。今回の質問をするにあたって、義務教育でありながら保護者負担が許される根拠は何かと、いろいろ探してみたものの、根拠となるものに行き当たらなかったためです。答弁では「昭和39年2月26日の最高裁の判例(義務教育費の負担請求事件)」を持ち出し、「『憲法の義務教育は無償とするの規定は、授業料の他に教科書、学用品、その他教育に必要な一切の費用までは無償としなければならないことを定めたものと解することはできない』とされている」と説明。また、「教育基本法第5条第4項でも『地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない』と規定され、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律第3条では『教科用図書の無償給付』について規定している」と述べ、「これらを根拠として、授業料と教科書のみを無償としている」と説明(学校教育部長)しました。
次に私は、就学援助受給者の学校行事などの一時たてかえ制度の改善を質問しました。小金井市でも、生活保護基準以下の所得で生活している家庭および、この家庭に準ずる家庭に対して、就学援助制度が適用されています。小金井市では、就学援助が適用されると学校行事など9つの項目に対して全額、援助されますが、9つの項目のうち7つの部分で、かかった経費を保護者が一時たてかえなければならない状況となっています。保護者が一時たてかえる、つまりは、学校で生徒から徴収し、授業の実施後に保護者が負担した分を保護者の銀行口座に振り込むというやり方で行なわれるモノとしては、(1)学用品費および通学用品費、(2)海の移動教室参加費、(3)林間学校および山の移動教室参加費、(4)修学旅行参加費、(5)校外活動費、(6)入学時学用品費および通学用品費、(7)卒業時諸経費であり、保護者は支払わずに学務課で関係機関に支払うモノとしては、(1)学校給食費、(2)医療費(学校病の治療に限る)という状況となっています。
この質問は2年前の6月議会の一般質問でも行なっており、その時の答弁は「いくらかかるかというところがまだ確定していないので、一定保護者に負担してもらっている」「年度当初からこういう額だと決まっていれば、保護者に負担がかからないようにできるかと考える」というものでした。そこで私は「海の移動教室(鵜原)」や「林間学校(清里)」「山の移動教室(蓼科)」は行く場所も例年同じであり、学用品等についても例年、大差のない金額。予算化し、保護者のたてかえをなくすべき」と質問しました。
答弁は「補助金の申請をしていただき、学校に補助金を渡すという格好をとっているので、事務手続き的に無理。金額の誤差が起き、額が確定しないことから無理」というものでした。しかし、私は納得できません。一定の額を予算化しておけば対応できると考えるからです。我が息子は今年の7月初旬、中学校の修学旅行でしたが、1週間ほど前に経費の請求があり、旅行会社が指定した口座に全額、振り込んでいます。同じ方法で小金井市が経費を振り込めば、就学援助世帯の一時たてかえを防げるはずです。
前述したように、「小金井市立学校特別活動補助金」は「予算の範囲内」でしか交付されません。また「部活動」への補助制度も「予算の範囲内」であるため、経費の一部分しか補助されてはいません。私は、この数年間、横ばいとなっている教育振興費を増額し、保護者負担を軽減していくこと。少なくとも、義務教育に直接関係する教材費・副教材費・学用品費などの保護者負担を軽減すべきと主張しました。しかし答弁は「予算の増額については、なかなか難しい」と述べるにとどまりました。憲法26条の「義務教育は、これを無償とする」が泣いています。それにしても、駅前開発には莫大な財源を投入しながら、子どもたちの教育に関わる経費は増額できないというのは、いったいどういうことなのか。子どもたちのことよりも駅前開発を選ぶ稲葉市政を続ける限り、義務教育でありながらも家計の負担は増え続けていくのではないでしょうか。
2008年3月議会 下水処理経費の削減に向けた考察
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2006年4月4日の野川
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下水処理方式には「合流方式」「分流方式」という言葉が使われます。「合流方式」とは、雨水と汚水(家庭内で使用した雑排水など)が一つの下水管に集約されて下水処理施設に流れていく仕組み。「分流方式」とは、雨水と汚水が別々の下水管で扱われ、雨水は川へ放流、汚水は下水処理施設へ流れていくというものです。2月21日から始まった小金井市の3月定例議会では、小金井市が負担している下水処理施設の経費分担金をいかに減らしていくべきかとの観点から質疑が展開されました。
質問をしたのは、民主党の小川和彦議員。「下水処理分担金は、水道使用量と行政面積、降雨量で計算される。しかし、小金井市は雨水浸透マスで屋根に降った雨水の50%を地下にしみこませており、その分、下水処理施設への負担を減らしているのだから、分担金の負担軽減があってもよいはず」。この論理は当然のことであり、そのことが反映されたものになっていなければなりません。しかし、雨水浸透マスで吸収される雨量は、そう多くないのが実情です。
小金井市は雨水浸透マスの設置率が50%を超え、屋根に降った雨量の半分を地下に浸透させています。しかし、屋根で受け止める雨量は小金井市全体に降る雨量からみると限られたものであり、大部分は屋根以外のところに降り注いでいます。そのため、雨水浸透マスで地下に浸透させた雨量を除外して処理施設の分担金を計算したとしても、「現在の分担金とさほど変化はない」というのが関係者の説明。それよりも「下水処理の『分流方式』をいかに増やすかが肝心」と、関係者は述べます。
冒頭に述べたように、下水処理方式には「合流方式」と「分流方式」があります。小金井市の下水処理は「合流方式」が約85%、「分流方式」が約15%となっており、雨水と汚水を一つの下水管に集約する「合流方式」が主流になっています。「合流方式」は、天から降ってきた雨水まで下水処理施設に流していくため、家庭で使用した水(汚水)だけでなく、処理施設に流れ込んだ雨水の量までも下水処理施設の経費分担金の算出に加えられてしまいます。一方、「分流方式」は雨水を川に放流するため、その部分が処理施設経費から除外されます。つまり、「分流方式」が多いほうが、分担金が少なくなるということです。
小金井市内の85%を占める「合流方式」で集められた雨水と汚水は、まとまって下水処理施設に送られます。ただし、一定の降雨量に見舞われた場合は下水の処理能力が追いつかないため、雨水と汚水が混ざったモノを川へ放流する仕組みが設けられています。しかし、このことが、やっかいなことを引き起こしています。
放流された中身は、雨水だけではありません。「合流方式」のため、家庭から排出された汚水(雑排水)も含まれています。つまり、台所の汚れた水だけでなく、風呂の水やトイレの汚物も放流水となって、川に流れ込むということです。だから、大雨の翌日などはトイレットペーパーやゴミが、川に浮かぶ状態が起きるのです。小金井市域には、下水の処理能力を超える分を川に放出する排出口が野川に10箇所つけられており、そのうち2箇所で汚物やゴミが川に流れ込まないようにするためのスクリーン設置が施されています。また、2008年度には新たに2箇所でスクリーンを設置する予定となっています。一番よいのは、「合流方式」から「分流方式」に全面的に切り換えること。しかしその経費は全額、小金井市の負担となり、下水道料金に跳ね上がってしまいます。「国や都からの補助金が必要」と、市の担当者は述べているところです。
小金井市は、屋根に降った雨を地下に浸透させるだけでなく、2006年度からは道路脇にも雨水浸透マスを設置しはじめました。雨水を地下水へ還元させる地道な努力が小金井市の下水道課を中心に取り組まれ、いまでは小金井市の雨水浸透マスの設置率は世界一にまでなろうとしています。私に、雨水浸透マスや下水処理方式の状況を話してくれた担当者の瞳は、好奇心にあふれた子どもの目のように輝いています。その瞳があるかぎり、小金井市の環境への取り組みは歩みを止めることはないでしょう。
暮らし語れぬ『施政方針』に正面から追及
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(当日使用の質問原稿と施政方針書)
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小金井市の3月定例市議会が2月21日から始まり、2月24日の日曜議会では、稲葉市長の新年度の「施政方針」に対する会派ごとの質問が行なわれました。
小金井市議会は4年前の2004年から、3月定例会で「日曜議会」を実施しています。2004年は市長の「施政方針」に対する会派ごとの代表質問を、2005年と2006年は各議員の一般質問を、昨年の2007年は市長の「市政方針」に対する会派ごとの質問を行ないました。施政方針に対しては「会派ごとの代表質問」となっていましたが、「会派で複数の人が質問に立っても良い」となっているため、2004年は11会派・16人が、2007年は6会派・16人が質問に立ちました。そのため、昨年からは単なる「質問」と称するようになりました。
日本共産党市議団は2004年は私が、2007年は森戸洋子議員が質問に立ち、今回は私が質問を行ないました。そのため市役所の管理職からは、「共産党さんは、森戸議員と板倉議員が交代で行なうようになっているんですね」と言われています。私たちは、そんなことは考えずに役割分担をしているだけにすぎないのですが・・・・。はっきりしているのは、私たちの場合は、会派を代表して一人が質問に立つということ。今回は、日常のスケジュールの関係から、私が担当することになったにすぎません。なお、一人が代表して質問を行なったのは、少数会派を除いては、共産党と民主党のみでした。
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(推敲重ねる質問原稿)
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会派を代表して質問するということは、事前に会派内で相談しながら原稿を仕上げていくことになります。しかし、これがなかなか大変なところ。最初の原稿を議員団に提出したのが2月19日。しかし、あれやこれやと意見が飛び交い、書き直しに。第二稿は21日に提出。しかし、またしても「不十分」の声。第三稿は質問前日の23日に。この段階ではさすがに大きな書き直しとはならず、質問の組み立ての入れ替えや質問内容の追加がメインに。そして当日(24日)の朝、「これでどうだ!」と提出した第四稿に、またしても修正が加えられる。そのため、読みやすいように用意したA4版ヨコの本番用の原稿(第四稿)には、赤のボールペンで書かれた挿入文書がいくつも登場し、「ここは削除」と注意書きされ、読まない部分をサインペンで囲んだ箇所が踊っていました。
日本共産党市議団に与えられた時間は50分。3つの角度から稲葉市長の市政運営を追及し、真正面から一歩も引かない論戦が展開できたと、自負しています。この日の質問原稿を作成するために、明けても暮れても原稿の推敲に追われ、質問の翌日以降、どっと疲れが出てきました。しかも5日後には、一般質問を行なわなければなりません。資料チェックと原稿づくりに追われ、我が家の前を我が物顔で歩いているノラネコの手も借りたいほどでした。 ※施政方針に対する原稿完結版をPDFファイルで掲載しましたので、ご参照ください。
草生栽培と農業の実際
近年、農地の底地(地面)に植物を植えて景観をつくりだす「草生栽培」という手法が脚光を浴びている。果樹園などに多く見られ、栗や桃、林檎などの樹木の地面に可憐な花びらを咲かせた草花が、見る者を楽しませている。小金井市の貫井南町2丁目にもかつて、ムラサキハナナを栗畑に植え、春先になるとカメラ愛好家の注目を集める場所があった。いまでは相続の関係でマンションが建ち、ムラサキハナナは宅地開発による提供公園のなかで、ひっそりと顔を見せるだけとなった。
そんななか、小金井市議会の2007年6月議会に「花咲く果樹園の再現に向けて、肥培管理、草生栽培のあり方の検討に関する陳情書」が提出され、市議会は9月議会で賛成13、反対0、退席10で採択した。陳情書の趣旨は「生産緑地の果樹園(相続税納税猶予特例農地は除く)の底地に、ムラサキハナナなどを含む雑草による草生栽培法を認めるよう、市長並びに農業委員会に要請してほしい」というもの。日本共産党市議団は、陳情者の願いを実現すべきとの思いから陳情書に賛成し、ムラサキハナナが農地に咲き広がる光景を願った。
私は陳情書の審議が行なわれた市議会総務企画委員会で、おおむね、次のような主張を行なった。「陳情書が採択されたとしても、肝心なのは農地所有者の理解が得られるかどうか。農業従事者の代表が集まる農業委員会が法律上の代表機関となるので、農業委員会での議論を待ちたい」。陳情書が採択されて以後、10月の農業委員会をかわきりに、陳情書に対する意見が交わされていった。
私は農業委員会の委員であるが、農地は持っていない。議会では陳情書に賛成したが、実際に対応を迫られる農業従事者の意見を重視する必要があるとの考えから、農業委員会のメンバーに率直に意見をうかがった。農業従事者を代表して出席している農業委員の意見はおおむね、次のようなものであった。「ムラサキハナナは最大で50〜60cm伸びる。花が咲くと、やがて種子が風で近隣の農地に飛び、種子をまき散らす。ムラサキハナナが伸びれば害虫も発生し、害虫が近隣の農地に被害を及ぼす」「ムラサキハナナなどの植物の種子が近隣の農地に飛ばないように、また、害虫が発生しないようにするためには、草生栽培による底地の雑草は、最大10cm程度で刈り取ってもらわないと困る」。決論的には、草生栽培は構わないが、10cm程度で刈り取ってもらわないと、農業を営む上で被害が生じるというものであった。
では、なぜ、かつて貫井南町2丁目の栗畑にムラサキハナナが植わっていたのか?。その理由を農業委員会事務局は次のように述べる。「その当時は、農業委員会の農地パトロールは相続税納税猶予特例農地を対象に行なっており、それ以外の農地は対象外としていた。しかし現在は、相続税納税猶予特例農地も生産緑地も宅地化農地も全て「農地法」にもとづいて農地パトロールを実施しており、その際の「農地」の適応基準を『底地の植物は最大10cmまで』としている」。つまり、法令上での異なる農地が混在しているもとで、統一基準で対応しているということである。
私は、「10cm程度で刈り取り」の適否についての判断は持ち合わせてはいないが、「影響を及ぼし、かつ、及ぼされることになる農業従事者がその基準で一定の集約を行なっているのであれば、その集約点は尊重していきたい」との意見を、1月21日の農業委員会で表明した。
ところが、議会選出の農業委員の一人から「議会で陳情を採択した意味がない」との発言が出され、採択された陳情書に沿って、ムラサキハナナなどの植栽を認めよとの意見が強く出された。これに対しては、農業従事者のなかから「景観がどうのこうのというのと、農業の実際とは異なる」との意見が相次いで出された。農業に携わっている農業者は、草生栽培を「肥培管理」の観点から述べ、議会選出の農業委員の一人は「景観」の観点から述べているのである。
景観は誰もが望むもの。しかし、農業経営がそれによって支障を被るようであっては、問題となる。農業従事者は農地の肥培管理を行ない、自身の農地の豊作を願い、かつ、近隣農地へ被害を与えないように、細心の注意を払っている。農業従事者の代表機関である農業委員会は、教育委員会同様、市長から独立した行政機関となっており、だから陳情書では「農業委員会に要請して」となっているのである。陳情採択を受けて市長は、農業委員会に対応策を求めた。その結果が農業従事者の総意として「草生栽培は構わないが、10cm程度で刈り取ってもらわないと、農業を営む上で被害が生じる」との結論となった。もちろん、ムラサキハナナなどの光景を夢見る私としては、残念なことではある。しかし、「農業経営に支障が生じる」と言われてしまっては、それ以上の言葉は難しい。農業委員会は、農業者が安心して営農できるように調整することも任務の一つであるのだから。
私は農地を持ってはいない。持っていない私が持っている人に対して「農業経営に関係なく認めよ」とは言えないのである。何事も、相手がある。相手側の実情もわかった上での対応が求められる。
2007年12議会 精神障がい者福祉施策の拡充を
国の財政負担の削減を最大の目的とした「障害者自立支援法」がスタートして1年8カ月。障害者福祉の現場はどうなっているのか。どのような問題を抱え、なにが求められているのか────。日本共産党市議団は12月市議会を迎えるにあたって、議会で取り上げる課題を議論し、障害者福祉の分野で表の場に声が届きにくくなっている「精神障害者福祉」の分野を一般質問(持ち時間一時間)で取り上げることを確認。「板倉、お前が質問しろ!」の至上命令のもと、急きょ、にわか勉強を開始しました。
とはいっても、活字を読むだけでは実態がわかりません。質問を行なうにあたって、小金井市内の精神障害者作業所を2箇所訪問し、精神障害を患っている子どもがいる方からも話をうかがいました。以下は、その時に寄せられた声です。
[精神障害者の家族の声]
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親自身が、子どもの将来のことが不安で、うつ病になっている人が増えています。
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「親ひとり、子ひとり」が増えており、中でも「母親と子ども」という家庭が多くなっています。
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精神障害者の家族は、社会の表面に出ようとはしません。そのため、「精神」の施策が発展していかない状況となっています。
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精神障害の発症の多くが20歳前後から30歳台となっているため、親は高齢になっています。しかも、年金暮らしが多い状況です。子どもが若ければ、一人暮らしもチャレンジできるのですが。
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親が死んだ場合、知的障害の人の多くは施設に入ります。けれども、精神障害の人は病院に逆戻りするか、あるいはグループホームに入るしかありません。親は、障害を持っている子どもの受け入れ施設を早く求めています。
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精神障害の人は、日常の生活スタイルのリズムがとれません。家から一歩も出ない人も多く存在するのが実情です。
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親が具合が悪くなると、精神障害の子も具合が悪くなります。食事や薬の管理ができないためです。
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国は精神障害の人を病院から追い出す方針です。行き場がなくなってしまい、ひきこもりになってしまいます。
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自宅への訪問事業を引き受けてくれるヘルパーさんや法人がいません。精神障害者と聞いて、嫌がる事業者が多いからです。
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精神障害は、誰もがなりうる病気です。今日、精神障害者は100人に一人とも言われています。
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[共同作業所を運営する側の声]
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グループホームの運営や新体系に向けての事務量の多さで、本来業務のメンバーのケ アができなくなっています。自立支援法のもとでの新事業体系になると運営費が減るので、人材そのものが離れていきます。せめて、現在の質は落とさないようにしてほしいです。
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現行の施設でも、府中市や三鷹市は、運営費補助を上乗せして支給しています。小金井市では、良い人材が施設に来なくなります。
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以前に職員がやめてしまったので非常勤職員の募集を行なっていますが、いまだに何の応募もありません。仕事が忙しいわりに、あまりにも報酬が低いので、この私も何度、作業所の職員をやめようと考えたことか。
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精神障害者は、アパートに入るときの保証人がいなくて困っています。そのため、グループホームや病院から出られません。
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学校の義務教育のなかで、障害者のことをもっと学ぶ場をつくってください。
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グループホームは、その場所に障害者が住みこむから補助金は安定的に入ります。けれども作業所は通う施設なので不安定となります。精神障害の人は、知的障害の人よりも、施設に通わなくなる恐れがあるからです。そのため、新体系になったら、施設側は通所が不安定な人や手のかかる人は断わることになってしまいます。
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いずれも、胸が締めつけられるほどに切実な声です。これらの声に応えていくのが、自治体の仕事です。私は、この声と、昨年12月13日に、小金井市障害者施設連絡会「りんく」と懇談した際に寄せられた声(私のホームページの「活動日誌」の「相次ぐ悲鳴・障害者自立支援法」参照)を、12月6日(木)の一般質問で紹介しました。傍聴席には、精神障害者福祉を質問する議員がいるということを聞きつけた年配の方々が10名前後、詰めかけました。
質問項目は全部で7項目。1共同作業所への家賃補助、利用料金の助成を、2在宅への訪問体制の強化を、3グループホームへの配食サービスの実施を、4就労支援センターの職員体制の充実を、5ショートスティ、授産施設の確立を、6新事業体系移行によって行き場をなくす人への対応策を問う、7都立府中病院の独立行政法人化の動きに対する見解を問う。
■共同作業所への家賃補助、利用料金の助成を────
東京都は新事業体系に移行していない作業所への補助金を、廃止する動きを示しています。そのため、作業所はいやがうえでも新体系に移行せざるをえません。けれども、新体系になると事業所報酬が「月払い」から「日払い」になり、報酬単価の引き下げによる大幅な減収に見舞われます。そのため、新体系に移行する時期を先のばしにせざるを得ない事態となっています。それでも、2011年度中には新体系に移らざるを得ません。
私は、新体系にスムーズに移行できるようにするために「新体系に移った事業所・共同作業所への家賃補助、利用料金の助成をおこなうべき」と要求しました。
ちなみに、小金井市の障害福祉課が提出した三多摩26市の「精神障害者共同作業所への家賃補助調べ」によると、新体系移行後の施設に対する家賃補助を行なっているのは、三鷹市、調布市、小平市の3市。補助する方向で検討中が立川市、府中市、町田市、清瀬市の4市、その他の自治体は「まだ検討していない」となっており、明確に「実施しない」と答えているのは、八王子市のみ。なお、福生市は「該当施設なし」と回答しています。
答弁は「国が利用者負担等の軽減措置の延長や新たな対応等を検討しているので、それらの動向を見守りたい」というものでした。
■在宅への訪問体制の強化を────
「親自身が、子どもの将来のことが不安で、うつ病になっている人が増えている」「親が具合が悪くなると、障害の子も具合が悪くなる。食事や薬の管理ができないため」「家から一歩も出ない人も多く存在する」との声があるように、自宅への訪問事業が大切になっています。けれども、「保健士が訪問にきたことがない」の声が出されており、訪問体制の確立と強化が求められています。
ちなみに、小金井市には保健士が4人います。いずれも障害福祉課に所属しており、常勤職員は1人(精神保健福祉士)。残り3人は非常勤職員です(週4日勤務。午前8時30分〜午後5時)。
答弁は「訪問している」「市と保健所の双方の役割があり、保健所は重い人に対応している」というものでした。
しかし、家族会の方からうかがっているところでは、「問題のある事例には訪問している様子。安定している状態の人には、たとえ引きこもりであっても訪問にこない」「保健所は、困難ケースに対応している。電話をすると来てくれる」という状況です。
小金井市には2005年度の時点で、身体障害者手帳所持者が 2,259人、愛の手帳(知的障害者・児)が 412人、精神障害者保健福祉手帳が 309人となっていますが、通院医療費公費負担を受けている精神障害の人が 1,062人います。小金井市は、保健所が年間300件近く訪問していると述べていますが、家族の方々の実感とはかけはなれているようです。
■グループホームへの配食サービスの実施を────
小金井市は、グールプホームへの配食サービスを「グループホームは訓練施設であり、世話人もいる」との理由から認めていません。けれども関係者は、「グループホームからの退所を考えている人に配食サービスを提供することが、退所を促進する効果につながる」と指摘しています。グループホームは「2〜3年で退所」が基本とされ、小金井市も、一日も早い一人暮らしによる自立を求めています。であるならば、配食サービスを認めるべきです。しかし答弁は、「ダメ」の一点張り。「ケアホームとは違う」との理由から。
■就労支援センターの職員体制の充実を────
小金井市でもようやく、12月3日に就労支援センターがオープンしました。場所は、市役所第二庁舎一階。NPO法人「りんく」に委託しています。体制は、常勤2人・非常勤1人で、非常勤の人は都内の「精神」授産施設の職員経験者といわれています。
関係者からは最低でも4人体制が必要と指摘されています。小金井市は、「まずは、この体制でスタートし、今後の状況を見たい」と、つれない答弁でした。
■ショートスティ、授産施設の確立を────
小金井市には「精神」のショートスティおよび、授産施設がありません。一方、「身体」「知的」の障害者は、小金井市立の障害者センターにショートスティ(2ベッド)、授産施設が設けられています。
ショートスティに対しては、三多摩に12施設あるので、そちらを利用してほしいと小金井市は言いますが、関係者からは「遠い」と指摘されています。実際、12施設とも、小金井市の精神障害の当人も家族も利用してはいません。
ショートスティは、家族に用事ができたり体調を崩したときに、障害者自身が利用する場合と、障害者がパニックを起こし暴力などを起こしたときに、家族の一時避難的な場所にもなります。私は、早期にショートスティを市内に設けることを求めるとともに、「それまでの間、障害者センターのベッドを『精神』も利用できるようにすべき」と要求。あわせて「グループホームとの併用方式も考えるべき」と要求しました。
答弁は、障害者センターの利用については「検討中」。グループホームとの併用は「事業者から、ショートスティ併用のグループホーム確立の申し出がある」というものでした。
一方、授産施設については、精神共同作業所が実質的に「授産」の役割を果たしているとの、理由にならない「理由」を持ち出して、お茶をにごす答弁となりました。
精神共同作業所が「授産」的な業務を行なっているのは、小金井市が精神障害者のための授産施設をつくらないためであり、しかも、共同作業所の運営が厳しいためです。新体系に移ったら作業所への報酬が「月払い」から「日払い」方式になり、報酬単価も減るため、作業所の存続事態が危ぶまれます。市が責任をもって、授産施設を確立することが必要です。
■新事業体系移行によって行き場をなくす人への対応策を問う────
小金井市内の精神障害者共同作業所4箇所は、障害の軽い人も利用しています。作業所が新事業体系に移った場合、作業所を利用するためには「障害程度区分判定」を受け、障害状況の認定を受けなければなりません。これは、介護保険の「介護認定」と同じものです。認定区分は1〜6段階に分かれ、段階に応じて、生活介護事業や居宅支援事業などのサービス内容やサービス量がきまります。
問題なのは、「障害程度区分判定」の結果、これまで受けていたサービスが受けられなくなったり、ひきこもりなどで区分判定を受けずに、サービス供給を遮断される事態が起きることです。サービスを受けられなくなる人や行き場をなくす人への対策が必要です。福祉保健部長は「検討していきたい」と答弁しました。
■都立府中病院の独立行政法人化の動きに対する見解を問う────
石原都知事は、清瀬、八王子、梅ヶ丘などの小児病院を統廃合し、府中病院、広尾救急・災害医療センターなど都立の病院を、直営から民間委託、地方独立行政法人化を視野に入れた「再編整備」をすすめています。この動きに対して、隣接する国立市や国分寺市、府中市の市民や関係者、患者会が直営を維持させるための取り組みをすすめています。もし法人化された場合は、病院経営の採算性が重視されるようになり、職員の削減や労働条件の後退が行なわれ、医療そのものにも影響が起きます。
精神障害者の場合、さらに深刻です。なぜなら、精神障害者の救急医療窓口は都立府中病院だからです。独立行政法人になったら職員の体制不足、手がかかるなどの理由で、受け入れ拒否になる恐れがでてきます。
私は稲葉市長に、「府中病院を都立病院として存続させるために、行動を起こすべき」と迫りました。
ところが稲葉市長は、「市長会で、府中病院にかかわる話は出ていないし、聞いていない」と門前拒否の答弁。そのうえなにを血迷ってか、「板倉さんは今定例会で14人目の一般質問。あれもこれもというのではなく、財源を確保するために、板倉さんも行財政改革に協力してほしい」と放言。自らは「財政健全化」と称して市民の施策を削る一方、駅前の大型開発に固執し続ける態度を一切顧みないありさまでした。
精神障害者の切実な願いを実現していくためにも、大型開発の無駄遣いを改めさせることがなによりも大切だということが、傍聴に来られた方々にもハッキリとわかった市長の答弁だったのではないでしょうか。
明石市の図書館の指定管理者制度と、岡山市の事業仕分け制度を視察して学んだこと
11月13日(火)・14日(水)の二日間、市議会の行財政改革調査特別委員会の視察で初日は明石市へ、二日目は岡山市へ出かけました。明石市では図書館の指定管理者制度の導入による実態を、岡山市では事業仕分け制度を学びました。
小金井市議会では、委員会視察や政務調査費を使った会派視察の場合には、視察後に視察報告書や感想文を提出することが義務付けられています。以下に、私が議会事務局に提出した感想文を掲載しますので、ぜひご覧ください。
なお、初日の新幹線途中下車駅「西明石駅」ではハプニングが起きました。その詳細を私のホームページの「エッセイ(随想)」に「JR西明石駅窓口の温情措置」と題して掲載しましたので、そちらもご覧ください。
[明石市の図書館の指定管理者制度導入]
地方自治法の改定によって、自治体が行なっていた従来の業務を指定管理者制度に移行する自治体が次々に生まれている。それまで管理を委託していた公の施設は、「直営」に戻すか「指定管理者制度」にするかの二者択一が迫られるもとで、「指定管理者制度」に移行する自治体が増えている。自治体側では、「住民サービスの向上」をうたい文句としているが、導入の最大の目的は、自治体の財政負担の軽減にあることは明白である。
今回の視察で私が最も注目したのは、指定管理者制度の導入にって、そこで働く職員の労働条件がどうなっているのかということである。明石市は、図書館はそれまで直営で運営していたが、指定管理者制度の導入によって、図書館にかかる財政負担は4千万円軽減されたとしている。では、そこで働く職員の人件費はどうなっているのか────。
指定管理者制度のもとでの図書館の職員体制は、フルタイム職員が16人、パートタイム職員が38人の計54人。直営の時が正規職員13人、非常勤・臨時職員が20人の計33人なので、図書館の財政負担が4千万円軽減されたなかでの職員体制の増は、これだけでも、一人ひとりの人件費がどうなっているのかが懸念される。明石市の資料によると、フルタイム職員16人、パートタイム職員38人の計54人の人件費総額が9,979万9千円だという。この 金額は社会保険料込みというのだから、実際に手元に入る給料は、その半額程度と考えられる。ということは、人件費総額の半額の5千万円前後しか給料には振り向けられていないことになる。
今日、「公契約条例」を自治体で制定しようとする取り組みが生まれているが、「行財政改革」と称して自治体の仕事を民間事業者に委ねるところが増えているもとで、自治体がワーキングプアを生み出すようなことがあってはならないという思いが、「公契約条例」の取り組みの背景に流れている。
図書館の指定管理者制度の導入によって、図書館の開館日数と開館時間が拡充された。抑えられた人件費に加えて職員一人当たりの労働時間・労働日数の延長が行なわれているのであれば、手放して喜べるものではない。職員の勤務体制が資料には載っていないので、実態は不明ではあるが。
明石市の図書館の指定管理期間は「3年間」である。指定管理者制度で職員に占める「司書」有資格率は直営の時の34%から81.8%に大きく拡大した。しかし、資格を持っている人が厳しい労働条件で働き、しかも3年間という不安定な身分であることは、けっして良いことではない。小金井市議会のなかでも図書館を直営から指定管理者制度などに移すべきとの意見があるが、自治体が、働く人の所得格差を拡大させる施策をつくりだすことが、果たして正しいことだと言い切れるだろうか。今回の視察は、実態を把握する上でたいへん有意義な視察となった。
なお、明石市では図書館を指定管理者制度に移行した際に、コンピューターのセキュリティシステム確立のために1,800万円を要したという。直営の時には市役所内部とオンラ インになっており、指定管理受託事業者が市役所の情報をオンラインによって入手できないようにすることが求められたためとのことであった。
[岡山市の事業仕分け制度]
岡山市は、2年前の10月に初当選した民間企業出身の市長によって「事業仕分け」制度が導入された。「事業仕分け」を導入したキッカケは「年間予算の3倍にも膨れ上がった借金財政のもとで、いかに行財政をきりもりしていくか」との理由から。しかも、「職員では事業運営の見直しは難しい」と判断した市長は、「外部の意見を取り入れる」との見地から、経済界など外部のメンバーを招へい。庁内メンバーと一緒に税金投入の優先度を決めていくシステムをとった。そのうえ、評価の低い事務事業(見直しをする事業)を「3割程度設定」とうたい、あらかじめ見直し数値の目標を定めた上で作業を行なうようにしている。
「なぜ、こんなに借金を背負ったのですか」との質問に対して、「建設事業。国の施策にのって、公共事業を行なったため」と正直な説明。そのため予定している土地区画整理事業も、見直しの対象にうたわれている。
岡山市の「事業仕分け」を視察して痛切に感じたことは「大型公共事業は危険である」ということ。国は中央線の高架化事業に合わせて駅前の開発を誘導しているが、国の誘導にのって開発事業をすすめていけば、現在は財政危機でなくてもやがては莫大な借金を背負い、その結果、岡山市のように外部のメンバーも招いて事業仕分けを行ない、どんどん市民施策を見直していかざるを得なくなる事態を小金井市も迎えるということを、岡山市の実態は如実に語っている。駅前を開発して市税収入をアップするなどという発想は時代遅れであることを、貴重な市民の税金で行かせていただいた岡山市の視察で学ばせていただいたことに感謝する。
福島市の市民電子会議室
市議会総務企画委員会の行政視察が10月30日(火)・31日(水)に行なわれ、初日は栃木県足利市へ、二日目は福島県福島市へ出向きました。初日(30日)の午後に市民健康づくり審議会が入っている私は、初日の視察は参加せず、二日目から参加。あわただしい視察となりました。
「市民電子会議室」────これが福島市での視察の目的。小金井市でも「市民電子会議室」の設置を求める声があることから、先進自治体の福島市を訪問することになったものです。
私は「市民電子会議室」は、なかなか運営が難しいと考えています。なぜなら、インターネット上での意見交換・意見交流が主であり、その場所(電子会議室)に参加する人たちが増えていかなければ、議論はなかなか進展せず、広がりもみせなくなるからです。最大の課題は、インターネットを利用する人が増えているとはいえ、「市民電子会議室」にアクセスし、意見を表明する人がどれだけ見込めるかということ。意見を表明し、それに対して責任ある応答があるならばまだしも、お互いが意見を述べあうというだけでは、なかなか進展は見込めないのではないでしょうか。もちろん、テーマ内容によっては、白熱した意見表明が展開されていくかもしれませんが。
福島市でも同様のことが生まれています。設置当初は意見表明(書き込み件数)が多かったものの、次第に件数が減り、尻すぼみになっています。福島市は「テーマを絞り込むのではなく、携帯からのアクセスで書き込みもできるようにしたい」と、今後の方向性を述べていますが、なかなか思ったようにはいかないだろうなというのが、私の率直な感想です。
行政に対して意見や声を出す機会の少ない市民層からも意見を集め、行政への参加の機会を拡大することを目的とする「市民電子会議室」は、ともすれば特定のユーザーだけの意見表明・意見交換の場になるきらいがあります。それよりは、現行の「市長と語る会」やパブリックコメントを充実させ、市民からの意見・要望をスムーズに行政に反映させていく努力をすすめることのほうが、効果はあるのではないでしょうか。新しい施策を取り入れている自治体を訪問し、そこから教訓を学ぶ────福島市の視察は、市民参加をすすめていくうえでの試行錯誤を間近に拝見でき、有意義な視察となりました。
しかし、福島市の日帰りも結構、疲れるものですね。東京駅から新幹線で1時間40分。福島駅で委員会のメンバーと合流し、福島市役所へ。「市民電子会議室」の模様を2時間余うかがい、とんぼ返りでまた東京へ。「新幹線が通っていなかったころは、福島で一泊する人も多かったのですが」とは福島市役所の職員。いまでは宮城県の仙台市でさえも日帰りする人が多いという。交通の便が良くなったことはいいことではあるけれど、地域経済にさまざまな面で影響が出ていることも事実のようです。
2007年9月議会 『職員の時間外勤務の縮減を』監査委員が3年連続指摘
前年度(2006年度)の市政運営全般を審査する決算委員会が、10月1日から5日未明まで開かれました。決算に対しては毎年、市の監査委員が審査意見書を提出しています。注目されるのは、今回も「時間外勤務の縮減に向けての取組について」と題するコメントを寄せていること。監査委員からの職員の時間外勤務の多さに対するコメントは、3年連続となります。
審査意見書では「平成17年度(2005年度)の時間外勤務の時間数を更に 7,183時間も上回り、117,590時間となっている」と述べ、「職員の健康保持と公務能率の向上を図るため、具体的かつ抜本的な対応を要望したにもかかわらず、この間の対応状況は誠に遺憾である」と指摘。「時間外勤務の実態を的確に把握したうえで、何が原因なのか、どのような措置をとることができるのか、全庁的な問題として早急かつ具体的に対応するよう、再度、強く要望する」と締めくくっています。
副市長は時間外が増えている理由として「(1)国や東京都の施策の制度改定、(2)新規事業のスタート、(3)市役所の休日窓口の開設、(4)市民参加による時間外会議の開催等」を説明。そのうえで、「今年4月〜8月においては、前年(2006年)の同時期より 5,800時間の減少となっている」と述べ、今年度は大きく削減できる見込みであることを力説しました。
職員の時間外勤務(残業)の総数は、私の手元にある資料で見る限り、この7年間で最悪となっており、職員一人当たり平均の時間外も、この7年間で最悪となっています。質問で明らかになったことは、(1)2006年度の個人の最長時間外勤務が保険年金課の 989時間、2番目が再開発課の 974時間、3番目が介護福祉課の 968時間であること。(2)メンタル(精神)面で1カ月以上欠勤した職員は12人にのぼること。(3)保険年金課で最長時間外の職員が生じている理由は、今年12月に小金井市役所の税総合システム統合への作業があり、しかも来年4月の医療制度改定に向けた業務があるため。「保険年金課の一人平均残業時間はそんなに多くないのに、何故、特定の人に残業が集中するのか」との疑問に対しては、「保険年金課は3つの係に分かれているため」との答弁。このことから、最長時間外勤務の職員は、保険年金課の老人医療係ということが見てとれます。
小金井市は今年3月末の職員数 710人を、2009年度末には 690人に削減しようとしています。市長は「職員の負担増にならないようにしながら削減する」と述べますが、「地方分権」の名による業務の増加、市民参加のさらなる推進による時間外会議の増加、行政評価システムや枠配分予算導入などの新たな業務などで、仕事量は増えることが予測されます。また、今年度からの新たな組織改正スタートで時間外は抑制されると説明はするものの、小金井市の重点施策の推進や国の制度改定・変更などで、時間外勤務に追われる職場は依然として出てきます。監査委員が指摘するように「職員の健康保持と公務能率の向上を図るため」の具体的かつ抜本的な対応は待ったなしの状態と言えます。
私は週に1回、朝の駅頭宣伝を行なっていますが、朝8時30分の市役所の始業時刻よりも1時間も前から出勤する管理職と数多く出会います。その一人、総務部長は「電話がかかってこない時間帯に集中して仕事をするために、朝早く出勤している」と、9月議会の行財政改革調査特別委員会で自らの早朝出勤の理由を説明。つまり、管理職自らが、しかも時間外を抑制するための手だてを講ずるべき担当部長自らが、早朝出勤という時間外労働を行なっているわけです。管理職者が悪いのではなく、管理職自らが時間外出勤をせざるをえない状況を引き起こさせている、国や東京都の「地方分権」という名の業務の地方自治体への押しつけ、何度も繰り返される制度改定・変更にあります。しかも、市長は職員削減の号令を発しているわけです。民間よりは恵まれている公務員とはいえ、民間と同じ生身の人間。心と身体を守るための対策は、当然に必要です。
2007年9月議会 市民税・国保税の減免制度の拡充と周知徹底を
地方議会には「一般質問」と称される制度があります。行政全般について、どんなことでも自治体当局に質問できるというもので、小金井市議会では議長を除く23人が等しく、毎定例議会ごとに持ち時間1時間の一般質問を行うことが保障されています(議長も制度上は一般質問を行なうことは可能)。私は14年半前に市議会議員に就任して依頼、定例議会ごとの一般質問を欠かさず実施しており、今回は「市民税・国保税の減額免除制度の適用範囲の拡大と市民への周知徹底を」と、「高齢者・障害者の住み替え時における公的保証人制度の確立を」の2項目を質問しました。
「市民税・国保税の減額免除制度の適用範囲の拡大と市民への周知徹底を」の質問の主眼は、(1)国民の間の所得格差の拡大、増税・負担のアップのなかで、税負担の軽減制度を該当する市民に積極的に活用してもらうこと、(2)税負担の軽減施策を拡充し、軽減対象範囲を拡大させることによって、市民のくらしを応援する小金井市にしていくことの2点。「高齢者・障害者の住み替え時における公的保証人制度の確立を」は、高齢者や障害者が借家やアパート住まいを求めても、不動産会社が斡旋してくれない、大家さんが受け入れてくれないという問題に対して、国分寺市や三鷹市のように、住居確保のために行政として手助けをする制度を確立させることにあります。
質疑の内容は後日、小金井市のホームページの「市議会会議録」に掲載されますので、そちらの方をご覧ください。今回のこのホーページでは、質問を終えての感想を記させていただきます。
まず、市民税に対する質問。市民税はどの自治体でも減免規定があります。しかし、低所得者が増えているにもかかわらず減免件数が少なく、しかも「生活保護」「災害減免」以外に減免実績がないのは、広報不足と広報内容に不十分さがあるのではないかと、私は小金井市に見解を求めました。答弁に立った税務担当部長は「減免は例外中の例外」との認識を示し、「個々のケースで条件が異なり、より慎重な対応が必要ということで、積極的な広報はしていない」と述べました。もちろん、それぞれに生活条件が異なるので、「個々のケースで条件が異なる」というのは当然のことです。けれども、市が決めた基準に合致していれば減免を行なうのは当然であり、その基準どおりに対応していくことを「例外」扱いすることは重大な問題です。また、「より慎重な対応が必要」だから「積極的な広報はしていない」というのは主客転倒の考えであり、市政の主人公は誰なのかをはきちがえた議論です。市政の主人公である市民・納税者に積極的に制度を知らせ、基準に該当する場合には減免を行なっていく この立場が行政には求められます。どのような基準なのかもわからなければ、市民は自分の位置を客観的に見ることができなくなってしまいます。税務担当部長は「広報の必要性は否定するものではない。今後、前向きに対応していきたい」と答弁を締めくくったので、注意深く見守っていきたいと思います。
同じく市民税について。小金井市の条例には、市民税の減免規定が記されています。「生活保護を受ける者」や「学生および生徒」とともに、「所得が皆無となったため生活が著しく困難となった者又はこれに準ずると認められる者」あるいは「特別の事由がある者」も減免の対象となっています。ところが、どのような基準で減免の可否が決まるのかは一切、記載されていません。で、記されているところはといえば、市役所内部で取り扱われている「減免判定基準」という文書。つまり、市民の目の届かないところに規定されているわけです。私は、市民が目に触れることができる「例規類集」「要綱集」に掲載させることが必要との観点から、「減免判定基準」を「要綱」に格上げすること、市役所の窓口に「減免判定基準」を置き、市民が手にすることができるようにすべきと主張しました。答弁では「要綱集に掲載する」と明言。しかし市役所窓口に置いて、市民が自由に手にすることができる措置をとることには、難色を示しました。小金井市の「行政手続条例」では、「審査基準を公にしておかなければならない」と明記しています。私は、この条文を示し実現を迫りましたが、総務部長は「行政手続条例では『公』という言葉を使っている。『公表』と『公』は意味が違う。『公』は“審査基準を秘密にしない”ということであり、要求があった場合は見せられる状態にしておくというのが『公』である」と、解説しました。『公表』ではなく『公』なので、窓口に置かなくてもいいというのです。しかし問題なのは、基準を記した文書があるかどうかさえわからない市民がいるということ。あることさえ知らなければ、窓口で「見せてほしい」とはなりません。『公表』と『公』がどう違うのかが重要なのではなく、市民が知らされていないことが問題なのです。そこを何故、市役所側はわからないのでしょうか。おな、この「減免判定基準」は、今から25年前につくられたもの。ところがこの25年間、一度も見直されていません。「要綱集」に掲載する時には、今日の市民のくらしの実態に合致したものに改めることは当然です。
次に、国保税。3年半前の2004年3月議会の一般質問で私は、国保税の減免基準の緩和を求め、あわせて規定の整備を要求しました。これを受け、担当の保険年金課は1年かけて基準の見直しや整備を行ない、翌2005年4月に要綱を新たに整備しました。そのこともあって、市民税とは比較にならないほどに整備されています。小金井市は、国保税の納付書・通知書に「減免制度のお知らせ」を同封しています。しかし、お知らせの内容は条例にうたわれている項目のみで、条例の項目を具体的に記した「要綱」部分は広報されていません。そこで私は、要綱部分含めて広報すべきと要求しました。しかし、保険年金課長は「要綱の項目だけで減免に該当するかどうかの判断は難しい」「個々の事情に基づいて行なわれる」との理由で、要綱部分まで広げて広報することに難色を示しました。しかしこれも市民税と同様に、条例の漠然とした項目だけでは、自分がこの規定にあてはまるのかどうかの判断がつかず、結局は一歩前に足を踏み出すことが難しくなります。答弁内容は納得できません。
減免制度は、市民からの申請手続が前提となります。減免制度の周知徹底とあわせて、制度を利用しやすくすることが必要です。そのためにも、減免申請書を市民の手の届く市役所窓口に設置し、自由に持って帰られるようにすべきです。しかし国保税・市民税ともに、「減免基準に合致するかどうかで、何度も市役所に来てもらうことになってしまうから」と難色。「機械的に申請書を渡すことはできない」と答弁しました。けれども、北九州市の生活保護を受けられずに餓死した事件では、申請書を渡さずに窓口でいろいろ説明して、それで市民が諦めて帰って餓死するという事態になっています。申請書を渡さずに、申請前に調査や指導を行なうというのは、結局は申請を抑制することにもなりかねません。「まずは申請を受ける」 そのことが重要だと、私は考えます。
2つ目の「高齢者・障害者の住み替え時における公的保証人制度の確立を」は、すでに小金井市の「障害者計画」で「平成17年度から19年度にかけて検討する」と明記されており、福祉保健部長も「そんなに遠くないところで、形を示したい」と答弁。早期の制度確立を求めるところです。なお、公的保証人制度は三多摩26市のなかで導入されているのは8市、今年10月から実施されるのが1市となっています。
一般質問は前述したように、議長以外の議員23人に保障されています。しかし、この権利をほとんど行使しない議員もおり、なんのために議員になったのかと首をかしげたくなる人もいます。一方、税金問題は制度がなかなか複雑で、この種の質問を行なう議員もあまりいません。私自身この間、税金に関わる質問を何度か行なってはいますが、勉強が不十分で二の矢がつげずに質問を終わることがしばしばです。ぜひ多くの議員が税金問題を取り上げ、頭の悪い私を刺激していただければと思います。なお、今回、私が一般質問時に作成した「小金井市の市民税・国保税の減免規定調べ」をPDFファイルで掲載しますので、ご覧ください。
2007年9月議会 安全・安心まちづくり条例
小金井市が9月市議会に「安全・安心まちづくり条例」を提案してきました。同様の条例は9月時点で三多摩15市で制定され、東京都もすでに制定済みとなっています。
小金井市においては、昨年(2006年)3月市議会の一般質問で与党議員から条例の制定を求める質問が行なわれ、それを受ける形で小金井市は同年4月、警視庁から現職警察官を「人事交流」の名目で当時の防災交通課に係長職の待遇で招致。そのもとで「安全・安心まちづくり条例」の準備がすすめられていきました。
小金井市の条例は第1条の「目的」で、「犯罪を防止し、もって安全で安心して暮らすことのできる小金井市を実現する」と明記するように、「防犯」に主眼を置き、そのために、防犯協会や警察、消防署などとの密接な連携を図ることをうたっています(第2条)。第4条以降では市民や事業者等に対して「市が実施する施策に協力するよう努めるものとする」との努力規定を設け、「安全・安心まちづくり」の推進を図るために、委員20人で構成する「協議会」を設けるとうたっています(第6条)。
私の最大の関心事は、警察関係者が加わる「協議会」で議論されたものを、小金井市がどのように扱っていくのかということ。質疑のなかで小金井市は、「協議会から出された提言は、最終的には私たちの方で検討していく」と述べ、「市民の権利に関わる部分が出てくれば、別途、条例化していくことになる」と述べました。つまり、「協議会」が市民の権利制限に関わる施策を求めた場合には、この条例とは別に、権利制限をうたう条例を制定することがありうるということ。すでに「安全・安心まちづくり条例」が制定された三多摩の自治体の中には、市民の基本的人権や権利を制限する条文をうたったところもでており、小金井市においても、同じような状況がつくられる恐れが出てきました。
すでに小金井市は、現行においても「安全・安心まちづくり」のための様々な施策をすすめており、条例を制定せずとも、一定の効果をあげてきています。また、多摩市や狛江市、稲城市では条例を制定せずに「協議会」のみを立ち上げ、「安全・安心まちづくり」のための具体的な施策を展開しています。条例に賛成する議員は、条例の制定で犯罪が抑止できると主張していますが、自治体と住民の「安全・安心のまちづくり」にむけた自主的な取り組みによって犯罪は抑止されているのであって、条例がないために犯罪が増えるというものではなく、条例があることで犯罪が抑止できるというものでもありません。ようは、市民と自治体の主体的な取り組みが、地域の犯罪の目を断ち切る大きな要素となっているわけです。
条例に対しては、審議された委員会に修正案が出されました。しかし、その内容は評価に値するものではなく、賛成少数で否決されました。一方、市長提案の原案は、委員会でも本会議でも賛成多数で可決され、6カ月以内に施行されることとなりました。以下、私が本会議で行なった反対討論を掲載しますので、ぜひご覧ください。なお、小金井市が委員会に提出した関連資料の一部をPDFファイルで掲載いたします。
[安全・安心まちづくり条例への反対討論]
日本共産党市議団を代表して、本条例の制定に反対する討論を行ないます。
昨今の、凶悪犯罪が全国いたるところで起きていることに対して、市民のなかに不安が起こり、行政として何らかの対応策をとることは当然のことです。そのために小金井市は現行の仕組みのなかでも、教育委員会をはじめとする様々な取り組みを展開し、犯罪防止への効果をあげているところです。
今回、小金井市が提案してきた「安全・安心まちづくり条例」は、「犯罪を防止し、もって安全で安心して暮らすことのできる小金井市を実現する」とうたいつつも、「防犯」のための具体的なことがらは来年2月に設置予定の「協議会」に議論を委ねるものとなっており、本会議や委員会の質疑で小金井市は、協議会から提言を受けたものを担当部局で具体化するとしています。
「協議会から、市民や事業者の権利・自由を規制するものが提言された場合、どうするのか」との質問に対して小金井市は「市民の権利にかかわる部分が出てくれば、別途、条例化していくことになる」と述べており、今回の条例では市民や事業者に対して、犯罪抑止にむけた市の施策への協力を求めるという規定にとどまっていても、別の条例で市民・事業者の基本的権利やプライバシーを規制していくものが出てくる可能性を含むものとなっています。現に、すでに条例が制定されている自治体の中には「公共の場における禁止行為」を明文化し、行政の判断で市民の権利・自由を規制することがうたわれているところもでており、その自治体では、市民のなかに批判や疑問の声が上がっています。
「安全・安心まちづくり条例」は、石原都知事のもとで副知事をつとめた警察官僚出身者の要請にもとづき各地でつくられ、各自治体では警察関係者が中心になって施策を練り上げていく状況が生まれています。そのことから市民を取り締まりの対象、規制の対象としていく条例がつくられている自治体が生まれているのも事実です。
すでに東京都においても「安全・安心まちづくり」条例が制定されており、屋上おくを重ねるようなものは、あえて必要ではありません。しかも、警察が行なうべき「防犯」の仕事を自治体が肩代わりするものともなりかねず、場合によっては、自治会・町会が行政の下請け的役割を担わされることにもなりかねません。
東京都内の犯罪件数は減少傾向にあります。都内各地で市民参加で地域のコミュニケーションづくりがすすめられ、犯罪が起きにくい地域づくり、犯罪の根を断ち切る地域づくりがすすめられているからです。条例をつくれば犯罪が減るのではなく、市民参加による地域のコミュニケーションの輪を充実させていく取り組みが、犯罪の起きにくいまちづくりをつくりだしているのです。
犯罪を根本から断ち切っていくためには、犯罪を生み出す温床となっているリストラ・合理化や低賃金、長時間労働、お金がすべてというような風潮のあり方など、人間の心と暮らしをむしばむいまの社会のあり方をただしていくことが大切です。同時に、あいもかわらず後を絶たない「政治とカネ」をめぐる不正や疑惑など、政治家みずからが国民に対してエリを正し、模範を示していくことが必要です。
「安全・安心のまちづくり」にしていくための施策を充実させることは当然です。しかし、条例で上から決めていくというやり方ではなく、これまでのように、教育関係者や自治会・町会など地域住民をまじえてすすめてきた、市民参加のまちづくりにしていくことこそ大切であり、現在ある施策を市民と協力してさらに充実させていくことが、犯罪が起きにくいまちづくりへとなっていきます。
本条例に対しては修正案が提案されましたが、上から規制していくという観点は市長提
出原案と基本的に変わらず、しかも「防犯」のみならず「災害」「薬害」「交通事故等」にまで範囲を拡大し、このことによって、対象となる市民や事業者も拡大する結果となっています。よって、修正案自体も評価できるものではありません。
条例で上から決めていくという考え方ではなく、市民参加で現行の施策を練り上げ、充実させ、地域住民が行政とともに犯罪の起きにくい地域づくり、住民のコミュニケーションがすすむまちづくりを自主的に取り組んでいくことが、なによりも求められています。よって、このような条例はつくる必要はなく、本条例の制定に反対するものです。
2007年9月議会 国保税・介護保険料の値下げ条例を採決
9月議会終盤の9月28日、日本共産党市議団が提出した国保税の引き下げ条例(市税賦課徴収条例の一部を改正する条例)と、介護保険料の引き下げ条例(介護福祉条例の一部を改正する条例)の本会議採決が行なわれました。
採決にあたり国保税の引き下げ条例には、党議員団の水上洋志議員が、介護保険料の引き下げ条例には私・板倉真也が賛成の討論を行ないました。残念ながら、いずれの条例改正案も賛成少数(国保税は賛成10人、反対13人。介護保険料は賛成9人、反対14人)で否決されましたが、引き下げ条例に反対する議員は質疑でも討論でも何ら異論を述べることがなく、単に、昨年4月からの値上げに賛成しているとの理由だけで、引き下げ条例に反対する始末でした。なお、私が本会議場で行なった「介護福祉条例の一部を改正する条例」に対する賛成討論内容を以下に掲載しますので、ご覧ください。
[介護福祉条例の一部を改正する条例への賛成討論]
日本共産党市議団を代表して「介護福祉条例の一部を改正する条例」への賛成討論を行ないます。
本条例は、介護保険料第2段階を昨年4月の値上げ前の第1段階と同額に、第2段階以外の第1段階から第6段階までの保険料を値上げ前の額に引き下げるものであり、市民負担を軽減させる、市民にとって待ち望まれた提案となっています。
小金井市は昨年4月から、介護保険料を平均で12.5%・予算ベース総額で 9,518万6千円、値上げしました。同時に、国民健康保険税は 8.7%も値上げされ、この年から始まった庶民への大増税、医療費負担増と合わさって、市民の暮らしに大打撃を及ぼす事態となりました。
介護保険料を値上げする時の小金井市の説明は、現在の保険料では介護保険特別会計が立ち行かなくなるというものでした。ところが今年9月に発表された昨年度決算では、介護保険会計は1億7,476万6千円の黒字。しかも、予定していた基金からの繰入金4,567万円を繰り入れず、財源補てんのために予定していた一般会計からの繰入金も、4,181万1,963円、繰り入れずにすみました。つまり、介護保険料を値上げせずとも、介護保険会計は成り立って行けたということにほかなりません。
昨年度は制度改定によって「介護予防」の利用が大きく下がり、なかでも「介護予防サービス給付費」は大幅に減少しました。そのことは決算の「主要な施策の成果に関する説明書」で、「保険給付費の対前年度比の減少は、平成12年度に介護保険制度が施行されてから初めてのもの」と総括されているところです。保険料は上がり、サービスは利用しにくくなる。これではたまったものではありません。
日本共産党市議団が今回提案したものは、8段階まである介護保険料のうち、中・低所得者部分の第6段階までの保険料を値上げ前に戻すというもので、値下げ対象者は被保険者の92.1%、総額 9,372万円で可能というものです。先程述べたように、昨年度の介護保険会計は1億7,476万もの黒字となっており、財源は充分にあります。
景気は上向きになっているとの政府の説明とはうらはらに、非正規雇用の増加やワーキングプアの拡大、生活保護受給者の増大など、所得格差はさらに拡大しているなか、暮らしを応援する施策がいまほど求められているときはありません。医療費負担ではすでに「現役並みの所得がある」とみなされた人は医療費が3割負担とされ、来年4月からは75歳以上を一つの医療制度に取り込む後期高齢者医療制度がスタートし、国民健康保険税より2倍も3倍も高い保険料を徴収されようとしています。
こうした時だからこそ、住民の一番身近な自治体が、住民の暮らしを守るために頑張ることが必要です。値上げする根拠が崩れた介護保険料を値上げ前に戻す条例は、だれがみても当然の措置です。ぜひ多くの方々がご賛同いただけますようお願いしまして、賛成討論とさせていただきます。
2007年9月議会 国保税と介護保険料の値下げ条例を提案
日本共産党市議団は9月定例市議会に、国民健康保険税と介護保険料の値下げ条例を提案しました。国民健康保険税は「みどりの風」が共同提案に加わり、介護保険料は我が党の単独提案です。
小金井市は昨年4月、国民健康保険税を平均8.7%・総額で2億1,917万1千円(予算ベース)、値上げしました。理由は「国保財政が厳しく、このままでは運営に支障が生じるため」。ところが今年9月に発表された昨年度決算では、国保会計は1億9,271万4千円の黒字に。しかも、財源補てんのために予定していた一般会計からの繰入金も1億8千万円、繰り入れずにすみました。
日本共産党市議団は、1億9,271万4千円の黒字分を高すぎる国保税の軽減に充てようと、低所得者の大きな負担となっている「均等割」の軽減策を重視。「均等割」を値上げ前の金額に戻す条例(値下げ総額 1億5,553万9,423円)を提案しました。ただし、来年度から医療制度が大きく改編されることをふまえ、値下げの適用は今年度一年限りとしました。
介護保険料についても、小金井市は昨年4月、平均で12.5%・総額で9,518万6千円(予算ベース)、値上げしました。ところが今年9月に発表された昨年度決算では、介護保険会計は1億7,476万6千円の黒字に。しかも、予定していた基金からの繰入金 4,567万円を繰り入れず、財源補てんのために予定していた一般会計からの繰入金も、4,181万1,963円、繰り入れずにすみました。
日本共産党市議団は、1億7,476万6千円の黒字分を中・低所得者の介護保険料の軽減に充てるために、保険料第2段階を値上げ前の第1段階と同額に、第2段階以外の第6段階までの保険料を値上げ前の額に減額する条例(値下げ総額 9,372万7,200円)を提案しました。
9月13日の厚生文教委員会では、ほとんど質疑もなく、いずれの条例案も賛成少数で否決されてしまいましたが、誰一人として、値下げ条例案への疑問・注文を出すことができず、我が党議員団の条例提案の正当性を浮き彫りにする結果となりました。なお、提案した条例概要をPDFファイルで掲載しましたので、ご覧ください。
※写真は、国保税値下げ条例を本会議で提案した時のものです。
2007年6月議会 自民・遠藤百合子議員の業者斡旋問題
自民党の遠藤百合子市議会議員が小金井市役所に特定の業者を斡旋していた―――6月27日付の各新聞の武蔵野版に登場した記事は、多くの市民を驚かせた。私にも「遠藤議員のことが大きく載っていましたね」とか、「いったい、どういうことですか」などの質問が少なくない人から寄せられた。
ことの発端は、市民から我が党議員団に「遠藤百合子市議会議員が特定の生ゴミ処理機を紹介するチラシを配布していますよ」という情報が寄せられたことによる。小金井市では今年4月から、生ゴミ処理機購入者に対して購入経費の最大8割を助成する事業をスタートしている。そのもとでの遠藤議員の行為は、「市が行う業務に関し、特定の企業、団体、個人等のために有利な取り計らいをしないこと」と定める「小金井市議会議員の政治倫理に関する条例」に違反するのではないか・・・・。日本共産党市議団は6月11日の会派等代表者会議でこのことを指摘し、議長に調査を要請。同時に、条例にもとづき本会議での弁明を遠藤議員に求めた。
6月26日、遠藤百合子議員は「小金井市議会議員の政治倫理に関する条例」の「その責任を明らかにするため、自ら誠実にその事実を解明し、直近の本会議において弁明しなければならない」にもとづき、弁明を行った。議員いわく、(1)4月初旬から6月初旬にかけて100枚程度のチラシを市内数箇所で配布した、(2)某スーパーの要請に応え、特定の電動式生ゴミ処理機を紹介した、(3)市役所ごみ対策課に業者を引き合わせ、講演会講師として市内団体に紹介した、(4)業者との間に金銭の収受はない、というもの。
議会でだれもが驚いたのは、(3)の「市役所ごみ対策課に業者を引き合わせた」ということ。それまで得ていた情報を超えたものが、本人の口から飛び出したのである。
議会ではその点を中心に事実解明に向けた質疑が行なわれた。わかったことは、(1)4月9日、遠藤議員が市役所ごみ対策課に生ゴミ処理機を扱う特定の業者を引き合わせ、ごみ対策課は業者から消滅式の生ゴミ処理機の説明を受けた、(2)4月12日、ごみ対策課のもとに遠藤議員から「自身の市政報告会で使用した消滅式の生ゴミ処理機が貫井南センターに置いてあるので取りにきてほしい」との連絡が入った、(3)4月13日、ごみ対策課が貫井南センターに生ゴミ処理機を取りにいった、(4)4月16日、遠藤議員から言われて貫井南センターに取りにいった生ゴミ処理機が、市役所ごみ対策課の窓口カウンターに展示された、(5)4月17日、遠藤議員が引き合わせた業者が、「小金井市の全面支援」と記した消滅式の生ゴミ処理機の紹介チラシを市内で配布しはじめたため、ごみ対策課は窓口で展示していた処理機を職場の隅に引っ込めた、(6)しかし、その処理機は現在も、ごみ対策課の隅で実験用に使用されている、(7)ごみ対策課では、この一連の措置に対して事務連絡文書を一切作成せず、課内の独断で対応していた、(8)遠藤議員に言われて取りにいった処理機の所有者は「ジェネシス」という業者であるにもかかわらず、ごみ対策課はこの業者との間で、処理機貸し借りの契約書を結んでいなかった、(9)遠藤議員は4月12日に貫井南センターで市政報告会を開き、その場に「ジェネシス」の消滅型生ゴミ処理機を展示し、市政報告会に参加した市民に紹介をしたというもの。
しかし遠藤議員は「政治倫理に関する条例」にもとづく弁明では、この事実を述べず、本会議での市当局との質疑のなかで実態が判明するという状況であった。前述したように「政治倫理に関する条例」では「自ら誠実にその事実を解明し」となっている。遠藤議員の対応は、あまりにも不誠実である。他にも隠された事柄があるのではないだろうか。
本人は「金銭の収受はない」と述べているが果たしてそうであろうか。業者側は遠藤議員を通じて、自らの利益をあげるために市役所に取り入ろうとしていた。だから、ごみ対策課が処理機を展示した翌日から市内に「小金井市の全面支援」とのチラシをまきはじめたのである。そもそもこのチラシ、何日も前から準備していなければ対応できるものではない。遠藤議員は自民党の議員である。国政でも各自治体でも、自民党議員にまつわる汚職事件は枚挙にいとまがない。「金銭の収受はない」との言葉に、どれだけの市民が納得するであろうか。遠藤百合子議員!。あなたは条例にもとづき、どこまで事実を語っているのか?。市民の疑いの目が消えていないことを真摯に受け止めるべきである。
6月28日、市議会は「遠藤議員に反省を求める決議」を可決した。しかし自民党議員は5人全員が採決にあたり退席をした。自民党が市民に対して今回の問題を申し訳ないと感じているなら、自らの所属議員の問題ではあっても賛成し、市民に対して真摯に対応すべきである。遠藤議員のみならず、自民党全体が反省していないことを示す結末であった。
2007年6月議会 消えた年金問題
6月13日付の「朝日新聞」に「納付記録、191市町村が廃棄」という記事が掲載された。厚生労働省が行なった「2001年度末まで国民年金保険料を徴収していた自治体を対象にした納付記録の保存状況調査の中間集計の内容」というもので、「全1,827市町村のうちすでに廃棄したと回答した自治体は191」と記されている。問題なのは「これら191市町村で国民年金の保険料を納めた人で、社会保険庁にその記録が残っていなければ、それを確認する有力な手段が減ることになる」こと。
私はこの記事をもとに、6月18日の予算特別委員会で小金井市が記録を保持しているかどうかを質問。答弁は「被保険者名簿の台帳は保管していない。平成14年度から国の直接執行事務となり、市の保管義務がなくなったことから」。しかし「社会保険事務所で被保険者名簿台帳の紙ベース記録をデーター化し、マイクロフィルム化している」「そのデーターは、小金井市に配信されている」とのこと。同時に「国民年金の過去の記録も現在の記録も小金井市で保管している。ただし、国民年金から厚生年金や共済年金に移った人は、国民年金以外の部分については小金井市では把握していない」。つまり、国民年金の加入記録は、小金井市でデーターを持っているということ。ただし「年金支給がスタートしている人の記録は持っていない」と付け加えた。
国に執行事務が移管する2002年度以前までは小金井市でも、国民年金の資格取得・喪失、国民年金加入者の転入・転出業務などを扱っており、国民年金保険料の納付書発行業務や確認作業等も行なっていた。それが2002年度からは、国民年金保険料の納付書発行業務や保険料徴収業務を取り扱わなくなった。
小金井市の保険年金課では「国民年金資格の確認と納付の確認は小金井市で対応できる。しかし厚生年金や共済年金については、社会保険事務所に問い合わせてほしい」と説明。「消えた年金」報道以降、一日平均21件の割合で、市の保険年金課に市民から問い合わせが寄せられているという。老後の生活に直接響く年金問題。社会保険庁の体質改善とともに、「消えた年金」を生み出した菅直人元厚生大臣以下、この10年間の厚生労働大臣の責任は重い。
2007年6月議会 住民税大増税に対する減免措置を
3年前に自民・公明が強行した庶民大増税が、昨年に続き今年も市民の家計を直撃しています。政府は「税源移譲によって、所得税と住民税とを合わせた全体の税負担が変わることは基本的にありません」と宣伝していますが、定率減税の廃止で全ての納税者が増税になることを認めざるを得なくなりました。
同時に、昨年とくらべて今年が大幅に所得が減る人の場合、税源移譲によるものだけでも、所得税と住民税合わせた額が増税になることが明らかになりました。所得税は今年の所得をもとに計算し、住民税は前年の所得をもとに計算するからです。
政府は地方税法を改定し、今年の収入が所得税の課税最低限以下にまで低下した人(今年の所得税がゼロになる人)を対象に、今年度の住民税額を税源移譲前の低い税率で計算する制度を導入。しかし、納税者本人が各自治体に申告することが条件とされ、申告受付も来年7月というありさまです。
一番の問題は、今年の収入が大幅に減っているのに、税源移譲で2倍にも3倍にもなった住民税を今年度、支払わなければならないこと。今年、年金生活を迎えた人やリストラされた人、年収が大幅に減少した人は、住民税を払うにも払える見込みがありません。
小金井市は、低所得者への市民税の減免要求に対して条例でうたう「特別の事由がある者」で対応すると述べていますが、この規定が活用されたことはこれまでに皆無です。住民税を減額せよの怒りの声を挙げていくことが求められています。
2007年6月議会 住民税増税に悲鳴続出
小泉政権時の2004年、自民・公明は大企業の減税を継続する一方、庶民には増税を押しつける税制改定を強行しました。税制改定による庶民増税は昨年から本格化し、今年は定率減税の廃止と所得税から住民税への「税源移譲」によって、住民税(市・都民税)がいっきに跳ね上がりました。
小金井市は6月6日、住民税の納付書を25,785人に送付。翌7日から12日までの6日間に「どうしてこんなに高くなったのか?」「何かの間違いではないのか」の問い合わせや抗議の声が、電話で650件余、市役所窓口での直接の対応で250件にのぼりました。それでも市の担当者いわく「昨年のほうが件数は多く、苦情や抗議もすごかった。今年はマスコミで事前のPRがあり、市民はある程度、予測していたのではないか」と述べています。
3月の市議会に小金井市は、税制改定による今年の増税の予測数値を議会に示しました。それによると、定率減税の廃止で市民税が3億7,624万6千円の増、所得税から住民税への税源移譲で市民税が1億8,808万円の増、65歳以上の住民税の非課税限度額の段階的廃止で市民税が420万円の増というもの。また、影響総額は示さなかったものの、介護保険料と国民健康保険税の激変緩和措置による今年度の個人負担アップ状況も示されました。
市議会開会中の6月8日、私は3月市議会に示された資料も示しながら、負担増に苦しむ市民のくらしを守るために負担軽減策を拡充するよう要求。しかし市長は「市民には負担能力に応じて負担していただく」と述べ、新たな軽減策をとる考えは示しませんでした。また、「生活保護水準以下の収入しかないにもかかわらず、生活保護を受給していないために課税義務を負っている人の住民税を免除する仕組み」を求めたところ、税務担当部長は「条例にうたわれている『特別の事由がある者』を適用し、ケースバイケースで対応していきたい」と述べました。
いま、若者だけでなく中高年含めて「ワーキングプア」とよばれる「まじめに働いても生活保護水準以下の生活しかできない貧困層」が激増し、その数は10世帯に1世帯にまでなっているとされています。そんななかで、厳しい生活を強いられている人たちに対して行政が手をさしのべていくことが今ほど求められているときはありません。税務担当部長は条例の「特別の事由がある者」を適用し、ケースバイケースで市民税の減免に対応していくと述べていますが、この事項を適用して市民税を減免したケースは「ない」という状況。若者や働き盛りであれば、生活保護受給を申請しても申請前の段階で「仕事を探しなさい」と指導され、申請すら受け付けてはくれません。仕事を探した結果、パートや派遣、アルバイトしかなく、「ワーキングプア」に追いやられているのが現実です。「特別の事由がある者」が今日まで適用されてこなかった最大の原因は、窓際で追い返されているからではないでしょうか。若者の生活は今日、大変になっています。そのことを証明するように、2005年度の小金井市の国民健康保険税は、20歳台の33.06%が滞納、30歳台は25.28%が滞納する状況となっています。
小金井市には「ネットカフェ」が3件あると言われています。お隣の国分寺市のネットカフェには寝泊まりしている青年も存在し、すでに2年間くらいそこを宿泊施設にしている者もいるとのことです。増税・負担増はサラリーマン世帯や高齢者世帯を直撃し、年金も国保税も住民税も払えず、生活保護以下の収入でその日その日をかろうじて生きている若者が街中であえいでいます。それでも日本は「経済大国」だと言われているのです。
2007年3月議会 新年度予算への態度
2月21日にスタートした3月議会は会期を一日延長して、3月21日に終了しました。2月21日の本会議初日には閉会中委員会で結論を出した4件の陳情書と、当日市長から提案された2件の議案の採決が行なわれ、3月2日には議員提案の政府に対する意見書1件の採決が、3月20日には市長提案の議案24件と議員提案の議案4件、市民からの陳情書14件が採決されました。また会期を1日延長した翌21日の最終本会議では議員提案の国や東京都に対する意見書8件と議員提案の議案1件、市民からの陳情書21件が採決されました。
今議会の特徴は、第一に、市民からの陳情書が多数寄せられたこと。その結果、今議会では、市財政に大きな負担を負わせるだけでなく、地権者の十分な合意も得ずに強引にすすめようとしている武蔵小金井駅南口再開発事業に関わる陳情書19件と、10年以上も前から対策を求められながら、今日に至るもドタバタを繰り広げている新焼却施設建設問題に関わる陳情書10件が、本会議での採決に付されました。
第二に、陳情書の件数にみられるように、議会論戦では、施政方針に対する質疑でも、一般質問でも、各委員会の質疑においても、武蔵小金井駅南口再開発事業やゴミ処理問題に対する論戦が激しく展開されました。また、ゴミ処理問題では新聞各紙が報道し、民放2局のテレビ番組で取り上げられたこともあり、市内外で大きな関心を呼ぶこととなりました。
第三に、小金井市議会史上初めて、経済的援助の充実を求めた議員提案の条例が全会一致で可決・成立したこと。条例名は「私立幼稚園等園児保護者補助金の交付に関する条例」。日本共産党市議団が条例を作成し、2005年6月、昨年3月、そして今回と、3度目の提案となったものです。厚生文教委員会では自民・公明が反対したものの、委員会で退席した民主党が本会議では賛成に回ることが明らかになり、自民・公明も枕をならべて賛成しました。このことにより今年10月から、市補助金月額2,800円が3,200円に400円アップされることになりました。
第四に、議員提案の国や東京都への意見書が全て可決されたこと。今議会では9件の意見書が提出され、日本共産党市議団は「柳沢厚生労働大臣の辞任を求める意見書」「ホワイトカラー・エグゼンプションを導入する労働法制改悪案の撤回を求める意見書」「最低賃金の抜本的な引上げと全国一律の制度とすることを求める意見書」の3件を提出しました。
第五に、新年度予算に対する組替え案もしくは修正案を提出したのが日本共産党市議団以外にいなかったこと。これまでは「みどりの風」も提案してきましたが、今回は我々のみとなりました。組替え案や修正案は、その政党や議員が、市民生活をどのように改善し充実させようとしているのかを議会内外に知らせる、一番のバロメーターです。当初予算に賛成できない場合は、本会議での討論でその理由を述べるだけでなく、「自分だったら、このような予算を組む」という対案を示すことが、あるべき姿ではないでしょうか。
なお、新年度予算に対して民主党は全員が賛成しました。新年度予算は市長の年間の市政運営の根幹を示すものであり、それに対する態度は、市長の市政運営を「了」とするのか「否」とするのかの大きな基準となります。その新年度予算に賛成した民主党議員のうちの2人が、なぜか現市長に対抗する新人市長候補の応援を行なっています。この議員2氏の政治感覚はどうなっているのでしょうか。ようするに、現市長でも新人候補でも、この2氏にとってはどちらが市長になっても受け入れられる中身ということでしょう。モラルハザードもここまできてはおしまいです。
余談。「私立幼稚園等園児保護者補助金の交付に関する条例」の可決は、市側にとっては寝耳に水でした。可決された3月20日、この条例を扱う担当部局の課長は家族に病人が出たことから休暇を取得。翌21日が「春分の日」の休日のため、22日になって出勤した課長の耳に「条例が可決」の報。「頭の中がパニックになりました」と課長の言葉。何故なら、現行の金額で予算化しており、現行の金額で書類を作成しているからです。「早ければ6月議会に補正予算を提出し、合わせて条例の改正をお願いしなければなりません」と言う。条例を改正する理由は、議会が可決した条例が、園児保護者補助金の金額を条例に明記しているため。補助金は東京都と小金井市がそれぞれに支出しており、東京都が支出する金額は「所得の基準」に応じて決められています。その「所得の基準」がここにきて毎年変更されているのです。その理由は、政府の定率減税の半減や全廃、各種税制度の改変により、保護者が受けていた補助金額が従来よりも下がることのないように、東京都が調整しているからです。東京都は4月に、新たな「所得の基準」を提示してきます。条例変更がいやおうなしに迫られます。
条例の趣旨を生かすのではあれば、議員提案の条例を否決し、かわりに小金井市が行なっている「要綱」の手法で、要綱の規定を条例の内容と同じものに変更し、今年10月から要綱の変更によって月額400円アップを実施していくものなのでしょう。しかし、与党サイドはその道をとらず、条例賛成に歩調を合わせてしまった。しかも、部局と一切協議せずに。担当課長は私の前で頭を抱えて嘆くばかり・・・・。
2007年3月議会 約束反故『学校給食委託で捻出した財源の使い道』
昨年9月から小金井市は、市立中学校5校のうちの2校(第一中学校と第二中学校)で、学校給食調理業務を民間委託するようになりました。昨年度は年度途中のため、委託経費は2校合計で2,718万5千円(予算)。2007年度は年間経費となり、第一中学校が2,000万円、第二中学校が2,100万円となっています。委託業者の職員配置は今年3月現在、第一中学校(株式会社 メフォス)が正規調理員3人・パート調理員3人、第二中学校(一富士フードサービス 株式会社)が正規調理員6人・パート調理員1人となっており、市職員が給食調理業務を行なっていた時と比べて、どれくらいの経費節減になるのかの質問に対して「2007年度は2校合計で812万円」と述べています。
小金井市は学校給食調理業務を民間業者に委託するにあたり、昨年6月に各学校ごとに保護者説明会を実施。「民間委託で浮いた財源は、学校給食設備予算に充てる」と述べ、議会の答弁でも「浮いた財源は教育費に充てる」と述べています(2006年12月18日「行財政改革調査特別委員会」での助役)。その「浮いた財源」は2007年度は812万円に。しかし小金井市は、そのうちの557万円を第一中学校と第二中学校の給食用食器の買替えに充て、残額255万円の使途は明らかにしていません。
3月15日の予算委員会総括質疑で私はこの点を指摘。「保護者への説明どおり、全額、教育予算に充てろ」と主張しました。ところが企画財政部長は「財源捻出額の2分の1以上を充てるということになっているので、残額は他の予算に充てる」と答弁。保護者にも議会にも述べてこなかった「2分の1以上」を突然、口にしました。小金井市の計画では、早ければ来年4月から残り3校の中学校も給食調理業務を民間委託するとしています。仮に5校全校が民間委託になった場合の財源捻出額は5千万円。「2分の1以上」を教育予算に充てるとなると、半分の2,500万円は駅前大型開発事業で税収が食われていくなか、財源不足となる部門の事業費に回されていくことになります。保護者と議会を欺いてまで学校給食の民間委託を強行した稲葉市政は、許すことができません。
2007年3月議会 東京都の主税職員が市を指導
「市税収入アップのため」(2月28日の市長の言葉)、小金井市は今年1月から2月まで東京都主税局の徴収部門職員3人を市役所に受け入れ、市税滞納分の徴収業務の指導を仰いでいたことが3月議会のなかで明らかになりました。小金井市が受け入れていた期間は1月4日から2月28日までの2カ月間。納税部門を中心に東京都が2004年度から2006年度までの3カ年計画で実施しているもので、要請を求めてきた自治体に対して東京都が派遣する制度です。身分は、東京都職員と小金井市職員の併任で、東京都が人件費を出しています。
小金井市は昨年12月中に、滞納者の困難ケースを抽出。1月4日から東京都職員を受け入れ、滞納者の徴税対応をすすめました。“成果”は、相手方の了解を得ての家宅捜索が2件、土地の差し押さえによる公売が2件となり、その結果、滞納分の一括納付が1件、土地の公売・入札により売れた土地の代金で滞納分を納付したのが1件となりました。捜索には主税局職員も同行しました。
自民党・公明党の悪政のなか、所得格差が拡大しています。日本共産党市議団は、税金を納める能力のある人が滞納をすることは問題だと考えますが、収納率アップのために、滞納者の実情を踏まえない対応があってはならないと主張しています。党市議団のもとには、滞納分を催促する市の対応への苦情や不安の相談が寄せられています。東京都の指導のもと、行き過ぎた対応にならないように、目を光らせていくことが必要です。
飲酒運転に対する小金井市職員の懲戒処分基準
2006年12月11日、小金井市は「小金井市職員の懲戒処分に関する指針」を発表しました。この「指針」は、地方公務員法第29条に規定する「懲戒処分」に付すべきものと判断した事柄について、処分の内容を決定するにあたっての参考にするために設けたものです。
「指針」の特徴は、昨今の公務員の飲酒運転にまつわる不祥事を念頭に、「飲酒運転」に関わる処分規定を設けたこと。しかし、その内容は「酒酔い運転『免職せず』も」と新聞に報道(2006年12月14日付「読売」)されるように、市民感覚からは不十分な内容になっています。例えば「飲酒運転で人身事故を伴うもの」において、『酒気帯び運転で人に傷害を負わせた場合』や、『飲酒運転であることを知りながら、これに同乗した場合または、同乗しない場合でそれを容認した場合』でも「停職」処分で済む場合があり、同じく「飲酒運転で人身事故を伴うもの」において、『飲酒運転となることを知りながら他の者に酒類を提供し、または飲酒を勧めた場合』でも「停職または減給」で済むことがありうることです。一方、人身事故にはならなくても、交通法規を違反した場合はどうなるか。『酒酔い運転をした場合』は「免職または停職」、『酒気帯び運転をし、または著しい速度超過等の悪質な交通法規違反をした場合』でも「停職または減給」と規定されています。
「酒気帯び運転や酒酔い運転程度で免職は厳しすぎる」との意見があるかもしれませんが、公務員という仕事の性格・役割を考えてみれば、そうはいかないと思います。なぜなら、公務員は公僕だからです。公務員は市民の暮らし向上やスムーズな生活を送れるように働き、あるいは、保育園や学童保育所の入所の可否の判定、税金・使用料・手数料の徴収および行政処分など、市民のくらしを左右する業務を行なっています。そしてその対価として、市民の税金で生活を保障されています。その公務員が飲酒運転をしても、人身事故でなければ情状酌量がはたらき免職を免れるというのでは、税金を収めている市民は納得できるものではありません。
そもそも「酒酔い運転」も「酒気帯び運転」も道路交通法では「飲酒運転」であり、重大な違反行為です。職員の給料が高いから給料、手当て、一時金、退職金を下げろという範疇のものではありません。「酒を飲んでハンドルを握る」行為そのものが、法的に問われるわけです。同時に、自身がハンドルを握らない場合であっても、相手が飲酒運転を行なうことが見込まれる状態においては、ハンドルを握ることをやめさせる対応をとることも、公僕としての当然の役割だと考えます。
私は、3月7日の小金井市議会総務企画委員会で小金井市の「指針」の問題点を指摘し、見直すことを求めましたが、総務部長は「『指針』はあくまでも基準であり、停職や減給になると決まったものではない」と述べる程度。しかも「国では法律が厳しすぎるとの指摘を受け、罰則の見直しが始まっている」と述べ、小金井市の「指針」には問題がないという認識を示しました。みなさんは、どうお考えになるでしょうか。
2006年12月議会報告 その1
小金井市は2007年度の当初予算から、「枠配分予算方式」を試行的に導入しようとしています。「枠配分予算方式」とは、削る予算枠を各部局ごとに配分する方式。削減された予算枠が割り当てられるため、その部で新たな財源を必要とする事業や増額が求められる事業が発生した場合は、スクラップアンドビルドで、部内の別の事業を削らなければならなくなります。そればかりか、予算枠そのものがマイナスシーリングで削られているため、既存の事業の縮小を行なわなければならなくなるという代物です。
小金井市は2007年度から教育部と企画財政部で「枠配分予算方式」を導入するとしており、枠配分予算で削減する金額は2006年度当初予算比で6,800万円(削減率△1.44%)。このうち教育部で1,603万8,000円の削減、企画財政部で616万円の削減を予定し、残額は各部署におけるマイナスシーリングで対応する計画です。
なぜ教育部と企画財政部なのか。市の文書によると「教育費として予算の把握が比較的に容易である」との理由から教育部を、企画財政部は「枠予算編成施行部局として枠配分予算編成の問題点を共有し検証することにより今後の改革につなげていくため」との理由で選定されたとしています。
困ったのは教育部。1,600万円もの予算をどのように削ったらいいのか。そこでヒラメイタのが、昨年9月から強行された「中学校2校の給食調理の民間委託による人件費削減分を充てればよい」。2006年12月議会での私の一般質問にたいして教育部長は「学校給食2校の民間委託化で経費が削減できたので、教育部の1,600万円の枠配分予算での削減は達成可能」と答弁しました。しかし待てよ。給食調理民間委託化の保護者説明会でも、この間の議会答弁でも「生み出された財源は、教育予算に充てる」と述べていたではないか。すかさず、後日の厚生文教委員会で同僚議員が、私も行財政改革調査特別委員会でこの点を指摘すると、助役はしぶしぶ「教育費に充てる」と答弁せざるを得ない状況に。しかし、その後の教育部関係者の話によると、助役の答弁とはうらはらに、学校給食2校の民間委託化で削減できた分を、枠配分予算方式による1,600万円の削減経費に充てていく方向になっているとか。裏を返せば、それほどまでに、枠配分方式は無茶な方式であるということになります。いずれにしても、2月21日からスタートする定例議会は、この点でも注意が必要です。
「三位一体の改革で一般財源の確保が厳しくなる」との理由から、小金井市は枠配分予算方式を導入するとしていますが、2007年度の当初予算見込みでは、投資的経費を2006年度当初予算比で22.43%もアップしようとしています。つまるところは、駅前大型開発事業の予算確保のために、教育部と企画財政部の予算を大幅に削減し、マイナスシーリングを全部局にかけるというもの。国の開発優先のお金の使い方と同じ図式になっています。小金井市は、2008年度から全部局での本格実施を検討するとしており、こんなことを許してしまっては市民サービスに多大な影響が生じてきます。すでに小金井市は、これまで77歳・88歳・99歳・100歳以上に支給されていた「高齢者記念品支給事業」を見直すとしており、12月議会の質疑のなかで小金井市は、100歳未満についての見直しを検討していることを明らかにしています。大型開発優先の市政を転換すること以外に、道は残されていません。
いじめ実態報告
小金井市の市立小中学校の「いじめ」件数が56件にのぼっていることが、現在開かれている12月市議会で報告されました。「いじめ」の実態調査は毎年、実施されていますが、「いじめ」を苦にして自殺に追いこれまる子どもたちが後を絶たないなか、改めて、根絶に向けた対応策が求められます。
小金井市の教育委員会は11月8日、市内の市立小中学校長に対して「いじめ」の実態把握を要請。今年4月から現在に至るまでの「『いじめ』を把握した件数」「把握した『いじめ』の中で解決した件数」「現在も『いじめ』解消に向けて取り組み中の件数」を調査するというもの。その結果、11月8日時点で、「いじめ」の件数は、小学校9校全体で24件、中学校5校全体で32件、このうち解決した件数は37件というものでした。また、過去3年間の「いじめ」件数は、2003年度が18件、2004年度が11件、2005年度が12件とされています。
しかし、この結果については、「実態を確実に把握したものではない」との指摘が議会内外から聞かれています。何故なら、小金井市教育委員会の調査は、「小学校はアンケート形式や教員からの聞き取り。中学校は各学校へのアンケート形式」と報告されているように、子どもたちから直に聞き取ったものではないからです。また、「解決37件」についても、「『いじめ』を受けた児童からの聞き取りや、休み時間の児童のすごし方を見て判断した」というように、教師の主観で報告されたもの。そのため市教育委員会は「今後、小中学校ともに、児童・生徒へのアンケートを実施していく」と約束しました。また、週1日しか配置されていない小中学校への「スクールカウンセラー」を、週2日に拡充することも表明。日本共産党市議団が毎年、予算要求してきたことが実現します。
12月市議会には「児童・生徒の不登校人数」も報告されました。それによると、2005年度の不登校児童・生徒は、小学校で22人、中学校で35人となっており、この5年間では、小学校が横ばい状況、中学校は減少しています。
今日の日本は弱肉強食や格差拡大を助長する政治が横行し、子どもから大人まで、不安やストレスに覆われています。自民・公明の政治は「教育再生」と称して、「いじめ」を行なった児童・生徒を処罰することで「いじめ」を根絶させるとしていますが、「いじめ」が起きる背景に手を付けずに、どうして「根絶」できるというのでしょうか。教育基本法の改定では、政府が教育に介入することをうたい、「愛国心」を教育現場で教えることをうたっています。また、来年4月24日には、小学校6年生、中学校3年生を対象に「全国一斉学力テスト」が実施され、テストの成績で、子どもたちや学校を判断する傾向に拍車がかけられようとしています。このようななかで育った子どもたちは、やがて大人になっていきます。学歴や勉強ができるかどうかで人間を判断していく社会を、いつまで続けていくのでしょうか。
国民保護計画(素案)への意見募集
小金井市は10月26日に、「武力攻撃事態」に対処するための「国民保護計画(素案)」を発表しました。計画は第1編「総論」から第5編「緊急対処事態への対処」までの5つで構成され、A4版116ページに及びます。総務省消防庁のモデル計画をもとに、市が契約したコンサルタント業者が素案を作成し、同日の第2回小金井市国民保護協議会に提出されました。
内容を見ると、「武力攻撃事態」に対処するための項目・記述が明記され、海岸線からの敵の上陸侵攻やゲリラ・特殊部隊による攻撃、核・生物・化学兵器を用いた攻撃までも想定。自治会や自主防災会、市内のボランティア団体とも連携しながら、警察や自衛隊をも交えて訓練を行なうとしています。また、武力攻撃事態が発生した場合には死者が出ることも想定し、埋葬や火葬、死体の捜索や処理までを事細かに明記しています。
小金井市は、この計画(素案)に対する意見を11月16日から12月15日までの1カ月間、募集すると述べ、市のホームページに全文を掲載。また、市役所の防災交通課、情報公開コーナー、公民館の各館、福祉会館、婦人会館、総合体育館、図書館本館、保健センターに原文を置き、閲覧できるようにするとしています。
私は、11月13日の総務企画委員会で、「計画(素案)」の意見公募方法に対して、次のような意見を述べました。「子どもの権利条例(案)など、さまざまな答申書や報告書に対する意見公募を行なう場合、全文を公民館などの窓口に置き、欲しい人が自由に持っていけるようにしている。たしかにA4版116ページは枚数があり、『誰でも自由に』に対する躊躇はあるかもしれないが、全市民の明日の生活や生命にかかわる事柄を計画にまとめあげるのであれば、その場で閲覧ということは、コトの性質からいって、よくない。第一、116ページもの文章をその場で閲覧など、時間がかかりすぎてできるものではない。市民の生活に影響を与える計画ともなるわけであり、自宅でじっくりと検討できるようにすべき」。
しかし、市は分量が多いことを理由に、その場での閲覧に固執。どうしても欲しいという人は、市役所本庁舎1階の防災交通課に来てもらって、有料でコピー(116ページ×10円=1,160円)してもらうと答弁しました。私は、市民参加条例にもとづく意見募集(パブリックコメント)の意義や役割を経費の面でしか見ない狭い考えに、腹が立ってしようがありません。しかも市民生活に制限を加えたり、市民の土地や建物、所有物の使用・収用を行なう条項もあるというのに。
小金井市が示したスケジュールによると、「保護計画(案)」の答申を1月末の第3回国民保護協議会で得て、東京都と調整し決定する。決定されたものを2月下旬から始まる定例市議会に報告するとしています。こんな重要なものであるにもかかわらず、政府は「議会の議決事項にはしない」という扱いにしています。今回の「保護計画」とは別に、「住民避難マニュアル」も作成するとしており、引き続き、目を光らせることが大切です。
なお、11月14日付の日本共産党の「しんぶん赤旗」日刊紙1面の『潮流』で、小金井市の「国民保護計画(素案)」が題材になっています。ぜひ、ご一読ください。
新焼却場建設スケジュール(案)
稲葉市長は10月31日の市議会全員協議会に、国分寺市と共同使用を予定するゴミ焼却場の建設スケジュール(案)を発表しました。その内容を見て誰もが眉をひそめたのが、建設候補地を決める前に当然行なわれるべき、候補地周辺の住民に対する説明会が設定されていないこと。市役所内の検討委員会で候補地を決め、市議会に説明したら、すぐに国分寺市に提示。その月のうちに候補地を決定してしまおうというのです。
しかも、焼却施設の規模や焼却方式を検討する前に、候補地を決定するというのです。新焼却施設は2017年4月稼動の予定。今後、国分寺市と協議していく過程で当然、両市あわせた焼却ゴミ量の推量や、どのような焼却方式の施設にするのか、それに合わせて、どのようなゴミ分別にしていくのかが検討課題となっていきます。その結果を見て、その内容に適した建設場所が候補地となっていくものです。ですから、公害発生を十分に抑えられる最新鋭施設の導入ともなれば、候補地が数多くあがっても不思議ではありませんし、焼却方式の選定次第によっては、候補地も様々になっていきます。その議論なしに、候補地を決定するというのですから、候補地にされた住民は到底、納得できるものではありません。
施設規模や焼却方式の議論もなく、事前の住民説明会も行なわれずにコトが進められれば、当然に反発が起きます。小金井市は、候補地が決まってからでも住民の合意は得られると考えているようですが、それはあまりにも愚かなこと。地域住民にとっては、焼却施設が来るだけでなく、ゴミ搬入車両が小金井市だけでなく、国分寺市からも来ることになります。臭い、煙、交通騒音、排気ガスなど、様々な事態を考えねばなりません。稲葉市長が提案したスケジュール案では、「2017年4月稼動」どおりに行く保障は見えてきません。
このことは、「2017年4月まで、小金井市の焼却ゴミを受け入れればいい」と考えていた国分寺市民にとっても、大迷惑なこと。受け入れる年月がさらに延長され、いつまで延長すれば良いのかさえ、先が見えない状況にもなりかねません。小金井市がこのような行き当たりばったりのやり方をこの間、行なってきたからこそ、他市からも相手にされなくなっているのです。
いま大切なことは、候補地をどこにするのかということではなく、小金井市がゴミ処理政策と計画を自立して練り上げ、その到達にもとづき施設の規模や処理方式を確立し、それにふさわしい施設と候補地を選定していくことです。
稲葉市長のやり方は、ゴミ処理政策を確立してこなかった自らの無策を顧みることなく、「時間がない」を強調して、候補地にされた住民の反発を、ゴミ処理を願う市民に対する「抵抗勢力」とレッテルを貼り、小金井市民や国分寺市民から孤立させるやり方です。そうなれば、ますます事態は混迷し、新焼却施設建設のメドは遠のくばかりです。日本共産党市議団は、このような事態をつくりだす今回のスケジュール案は受け入れることができません。なお、稲葉市長が議会に提出したスケジュール(案)をPDFファイルで掲載します。
『総合窓口』『NPOとの協働』実施の自治体を訪問しての感想
小金井市議会の総務企画委員会(8人)は10月17日(火)・18日(水)、岩手県内の2つの自治体を視察で訪問しました。17日(火)は宮古市。ここでは「総合窓口」を導入しており、どのような形態で実施しているのか、その仕組みはどうなっているのかを学んできました。18日(水)は盛岡市。「NPOとの協働」を推進しており、その内容と課題、留意点を学んできました。以下の2つの文書は、市議会に提出したそれぞれの感想文です。
[宮古市「総合窓口」]
総合窓口制度は、小金井市の長年の懸案事項である。小金井市は来年度実施の組織改定に向けた協議を職員団体と協議する過程で、組織改定の協議がまとまったら、総合窓口についての検討・協議を開始することを表明しており、小金井市がどのような形で具体化していくのか注目されるところとなっている。とくに今日、福祉関係部門の窓口相談業務が増えているなかで、福祉推進課、障害福祉課、介護福祉課などを一つの窓口で手際よく受け応えできるシステムが求められており、今回の宮古市の視察には関心を抱いていた。
宮古市は、各種証明書や住民票等の発行業務と各種の申請・届出業務、そのうえ給付業務まで、総合窓口で行なっている。その範囲は小金井市でいえば、市民課、保険年金課、福祉推進課、子育て支援課、健康課、下水道課、選挙管理委員会、学務課、課税課、資産税課と多岐に渡るものであり、「住民情報システム」によって、それを可能にしている。
市役所1階の総合窓口を入ったところに「フロアマネージャー」と呼ばれる職員がいて、そこで総合窓口コーナーあるいは相談コーナーへと案内をする。総合窓口コーナーでは整理番号発券機が設置され、自分の順番がわかるようになっている。窓口コーナーに座ると、自分の用件に則した書類を職員がプリントアウトし、必要事項を書き込むだけで用件が終了する仕組みになっている。また、総合窓口で処理しきれないときには、総合窓口職員が担当部署に問い合わせて対応することも可能で、その時に処理しきれない時は「処理保留文書」というものが発行され、次回来庁した際にこの文書を提出すれば、次の段階から処理をスタートさせることができるという次第であった。このシステムは、職員の業務経験、知識の多少にかかわらず標準的な事務処理が行なえれば十分で、市民からは歓迎されている様子。一方、相談コーナーでは、専門的な手続きや相談が行なわれるという。「住民情報システム」が、このことを可能にさせているが、このシステムは市独自に開発し、5億円の経費がかかっているとのこと。当然、毎年のメンテナンス経費も必要。
システムとしては、市民にとっても職員にとっても利便性が高く、市民があちこちの窓口を歩き回らなければならないといった不便さは解消される。ただし、導入経費5億円が果たして費用対効果の点でどうなのかとなると、一考を要する。また、福祉や医療関係の制度改変がめまぐるしいなか、「住民情報システム」との連関がうまく果たせるのかどうかなど、検証も必要。
いずれにしても、小金井市が市独自のシステムを導入する可能性は薄いし、ましてや5億円などという経費を投入することは、現在の小金井市にはありえないだろう。コンピューターシステムによる総合窓口ではなく、人的な工夫・努力で総合窓口を実施している自治体を研究し、小金井市ではまずは、総合的なフロアマネージャーの充実と、福祉関係部門の総合窓口の確立から始めてみてはどうかと思う。
[盛岡市「NPOとの協働」]
NPOと行政との協働は、NPOの法人化が認められて以降、注目を集めている課題である。小金井市においても、この10月から「ひがし児童館」をNPO法人に委託し、今後、さまざまな挑戦が試行されていくものと思われる。そんななかで訪問した盛岡市では、NPOとの協働をすすめるためのガイドラインを制定し、庁内に「NPO協働推進係」を配置。2004年8月の「NPO市民協働フォーラム」を皮切りに、NPOへの事業委託を開始し、主に、NPOの活動紹介や、NPO支援のための講座、組織づくりの講義などを行なっている。いただいた資料や説明の範囲では、指定管理者制度や委託方式によるNPO法人への業務供給は見当たらない。現時点では、NPOと行政との協働事業をめざし、NPOの育成、市民への理解を中心に置いている様子。
とはいっても、盛岡市におけるNPOとの協働の目的には「行政がすべての地域課題に対応することは、組織的にも財政的にも困難な状況になっている」「行政経費の適正化等の観点からNPO等との協働を検討していく必要がある」としており、NPO法人を経費節減の観点から活用したいとする思惑が見える。
この点で見ていけば、今後、経費節減の観点から、指定管理者制度や委託で、NPO法人を積極的に活用していくことは明らかだ。そのためのNPO育成・支援、市民理解のための事業が現在、すすめられていると見てとれる。
NPOを活用していくこと自体には異論はないが、経費節減や市の事業軽減のためだけの活用であるならば、再考の余地がある。むしろ、行政ではなかなか対応しきれない市民施策・サービス等において、その弾力性や機動力性を有効に生かし、市民サービスを拡充させていくとの視点が、NPOの活用には求められているのではないだろうか。そんなことを考えながら、晴天にきらめく岩手山をあとにした。
2006年9月議会報告 その3
「要介護1以下(要支援1.2と要介護1)」と判断された高齢者は、4月から「一定の条件に該当する者」を除いて、車椅子や介護ベッドなどが保険給付の対象外となり、貸与が認められなくなりました。従来の利用者への経過措置も9月末が期限とされ、高齢者は深刻な状況となっています。
今年3月31日現在の状況によると、要支援・要介護1で特殊寝台(介護ベッド)と車椅子の貸与を受けている小金井市の介護保険被保険者は、特殊寝台が247件、車椅子は114件となっており、改定された介護保険制度では、特殊寝台と車椅子を借りている合計361件の方々が、今年9月末で原則、貸与終了となりました。
高齢者の不安が高まるなか、9月27日の都議会本会議で日本共産党の、かち佳代子都議は東京都に対して、高齢者が介護ベッドを利用継続できるよう、助成や貸し出し事業を実施する自治体に対して財政支援するよう要求。これに対して東京都福祉保健局長は、介護ベッドを購入する世帯への購入費助成を行なう自治体に対して「時限的な支援をする」と表明。介護ベッド購入で独自の制度を持つ自治体に、ベッド購入済みの場合もさかのぼって東京都が半額補助することを明らかにしました。
私はこのことを紹介しながら、小金井市独自の購入費助成事業を行なうよう要求。介護福祉課長は「明後日に東京都の説明会があるので、それを受けて前向きに考えていきたい」と答弁しました。
2006年9月議会報告 その2
日本共産党市議団は9月定例市議会に「小金井市高齢者緊急生活支援手当の支給に関する条例」を提案しました。これは、今年度、高齢者に襲いかかった増税・負担増に対して、負担増の痛みを少しでも軽減させることを目的としたもので、とりあえず今年度にかぎり、一人当たり12,000円の手当を支給するというもの。支給対象者は65歳以上の、老年者控除の廃止や公的年金等控除の縮減、65歳以上の非課税限度額の廃止によって、住民税が非課税から課税にさせられた人で、おおよそ1,300人が該当し、1,600万円前後の財源で可能です。
条例を提案した本会議および、審議を付託された厚生文教委員会では、だれからも質問が出されず、提案した側は拍子抜け。厚生文教委員会では賛成多数(賛成4人、反対3人)で可決されたものの、本会議では賛成9、反対12、退席2で否決となりました。私は、本会議の採決にあたって討論を行ないましたので、その内容を紹介します。
小金井市高齢者緊急生活支援手当の支給に関する条例への賛成討論
日本共産党市議団を代表して、本条例への賛成討論を行ないます。
自民党・公明党に支えられた小泉内閣の庶民増税政策によって今年度から、65歳以上の方々を中心に負担増が押し寄せています。この間、小金井市が議会に示した資料を見ても、老年者控除の廃止で65歳以上の方々のうち5,500人に影響が押し寄せ、市民税・都民税・所得税あわせて一人あたりの負担増は年間で88,720円に、公的年金等控除の縮減でも同じく5,500人に負担が襲いかかり、この部分だけでも市都民税・所得税あわせて、一人あたり年額で48,034円の増税となりました。そのうえ住民税の非課税限度額の廃止や段階的廃止も加わり、65歳以上の5人に1人が負担増になったといわれています。
老年者控除の廃止や公的年金等控除の縮減、65歳以上の非課税限度額の廃止は、市都民税や所得税に影響するだけでなく、国民健康保険税や介護保険料にも連動し、70歳以上の医療費の負担割合をも引き上げる雪だるま式の大増税となっています。そのため、住民税や国保税、介護保険料の納付通知書が送付された翌日から市役所の窓口には問い合わせや苦情の電話、訪問者が押し寄せ、市役所の担当者は応対に追われる大変な状況を迎えることとなりました。
80歳代のある男性の方は、今回の負担増により「住民税が9倍に跳ね上がり、介護保険料は4万2,200 円から5万7,800円に、国保税は11万 900円から13万2,300円になった。そのうえ所得税がゼロから7万 960円となって、負担増の合計は14万6,000円になった。高齢者は早く死ねということなのでしょうか」と 悲鳴の声をあげ、別の65歳の男性は「今年で65歳になり、市役所から介護保険料の通知がきました。夫婦で約10万円。今まで国保税に含まれて支払っていましたが、国保税と介護保険料の総額で年額5万円の負担増となりました。住民税も上がっているし、値上げ値上げで、このままでは家賃が安いところに引っ越さないといけない」と語っています。
昨年に比べて8倍にも10倍にも住民税が増え、生活保護基準以下の年収の人にまで住民税の均等割を課税するという苛酷な増税、しかも連続して増える国保税や介護保険料も含めれば、年金1カ月分が吹き飛ぶほどの大きな負担増は、高齢者にとってあまりにも苛酷で理不尽なものです。その人たちに対して暮らしを応援する手だてをとることは、市民の暮らしを第一に掲げる行政としては当然すぎるほど当然のことです。
ところが市長は、日本共産党市議団が今回の一般質問で、負担増に苦しむ市民に対して生活支援策をとるよう求めたにもかかわらず「そのような考えはない」とあっさり退けました。そのため日本共産党市議団は議員提案権を活用して、本条例を提案するに至ったものです。
今回提案した条例の内容は、小泉内閣の税制改定により、市民税が非課税から課税にされた65歳以上の市民に対して、生活を応援する観点から今年度に限り年額1万2,000円を支給するというもので、対象人 数は1,300人余り。1,600万円前後で可能となります。
小金井市は今回の補正予算に前年度の繰越金8億9千万円を計上。そのうち2億円を財政調整基金に積み込もうとしており、2005年度中には4億円を財政調整基金に積み込んでいます。なによりも小泉内閣の高齢者を中心とした負担増によって今年度、市民税が5億6千万円、増収になると見込んでおり、負担増で増収になった分を、負担増で苦しむ市民に還元するのは当然のことです。
生活にかかわる経費負担の軽減をはかり、市民生活を応援し、少しでも痛みをやわらげることを目的とした今回の条例提案に、すべての方々がご賛同いただけることを求めて、賛成の討論とさせていただきます。
2006年9月議会報告 その1
小金井市の2005年度決算に対して、市監査委員が「恒常的な時間外勤務について」と題した意見を述べています。これは2004年度決算に続くもので、2年連続の指摘は異例です。
監査委員は決算への意見で「平成17年度の時間外勤務の状況をみると、前年度よりも19,361時間増加し、110,407時間にもなっている。平成13年度からの5年間をみても、最も多い時間数である。しかも、この間、問題解決に向けた具体的な取り組みはほとんどなされていない状況である」と市の姿勢を厳しく指摘しています。
私の手元には、2000年度(平成12年度)から2005年度(平成17年度)までの6年間の各職場の残業時間調べがあります。それによれば、市役所機構を形成する46の職場中、20の職場で残業時間がこの6年間で最高値となり、職員一人当たりの平均では、46職場中21の職場で、この6年間で最高値を占めています。また32職場で一人当たりの残業時間が前年度(2004年度)を超え、10職場で職員団体と行政側が合意している、「残業時間は年間360時間以内」を超える状況となっています。
2004年度(平成16年度)の残業時間が年間600時間を超えた職員は、介護福祉課では1,055時間を筆頭に、621時間、613時間の計3人。管財課では950時間、937時間、720時間、610時間と4人が数えられ、福祉推進課の生活福祉では874時間と771時間、財政課でも600時間を超えた職員が3人いました。そうしたなかで、メンタル面の長期欠勤職員が2005年度では18人にのぼっています。
この間の答弁で小金井市は、来年度(2007年度)の市役所組織改正に合わせて、残業時間の軽減をはかっていきたいと述べていますが、行革大綱によって小金井市は今後新たに110人前後の職員削減を打ち出しており、地方分権の名による業務の増大や職員削減で、組織改正での残業時間軽減は期待できません。
決算委員会での職員課長の報告では、2005年度の個人残業時間のワースト3は、第1位が福祉推進課で1,131時間、第2位が介護福祉課で1,078時間、第3位が福祉推進課で914時間となっています。2004年度は千時間を超えたのが一人だったのが、2005年度には2人になり、しかも時間数が増えています。
民間のみならず公共の職場でも、長時間労働が深刻になっていることを、このことは示しているのではないでしょうか。こんな日本社会で大丈夫なのでしょうか。
2006年6月議会報告 その3
JR中央線の武蔵小金井駅南口第一地区再開発事業の工事がスタートしました。6月10日(土)・11日(日)の両日には、小金井工業高校の体育館で工事計画の説明会が開かれ、住民と事業施行側との間で質疑が行なわれました。当日配布された資料をもとに、工事スケジュールを一覧表にまとめましたのでご参照ください。また、当日、施行側が説明した再開発区域内の駐車場および駐輪場台数の概要がわかりましたので、あわせてPDFファイルでご紹介します。 なお、この工事による工事車両の台数は、今年11月から来年2月にかけて平均一日100台から150台、来年3月および7月から9月には平均一日300台、来年4月から6月の間は平均一日360台にもなるというものです。これだけの工事車両が幹線道路を連日、走り抜けることになります。
2006年6月議会報告 その2
小金井市は今年7月に、「第2次行財政改革大綱『改訂版』」を決定し、国に小金井市の行革計画を示す予定です。小金井市は、2002年に現行の「第2次行財政改革大綱」を決定し、その方針にもとづき、「行財政改革」をすすめてきました。ところが国はこの間、各地方自治体にさらなる行革を行なわせるための「指針」を発表し、各自治体は、この「指針」にもとづき、みずから制定し推進してきた「行財政改革計画」の見直しを余儀なくされました。小金井市は今回、国の「指針」にもとづき、従来の計画の見直しを発表しました。
小金井市の従来の計画は、2001年度から2007年度の7年間のもの。市はこの計画をさらに2年間延長させ、計画期間を2009年度までの9年間としました。それにもとづき「第2次行財政改革大綱」の『改訂版』を作成し、6月議会には計画を推進した場合の財政効果を表す「第2次財政健全化計画『改訂版』」を発表(概略をPDFファイルで掲載)。計画最終年度の2009年度には、行革をすすめる前年の2000年度比較で、17億 750万円の財源を捻出できるとしています。
ところが、市が議会に示した「第2次財政健全化計画『改訂版』」の内容は、「第2次行財政改革大綱『改訂版』」の記載内容と符号しておらず、しかも、現実の実態とも合致しないものとなっています。このことを6月市議会の行財政改革調査特別委員会でただしたところ、担当の課長は「財政健全化計画はあくまでも2002年に定めたものをベースにしており、その時点の財源捻出計画年度を基本に、今回さらに2年間延長したものを提出している」と述べました。つまりは、現実とは合致しない、「このようになれば、このような財源効果が得られるだろう」との考えで、机の上で練り上げた計画にすぎないということ。私は、「そのような計画が一人歩きすること自体、問題がある。実態にそぐわないものを議会に提出されても良くないので、財政健全化計画『改訂版』を撤回し、出し直すべき」と要求。しかし助役は、「撤回する考えはない」と述べました。
なお、6月市議会の行財政改革調査特別委員会の冒頭、小金井市の「第2次行財政改革大綱『改訂版』」に対する各会派の意見が表明され、日本共産党市議団を代表して私が意見を表明しました。その全文を以下に紹介します。
第2次行財政改革大綱『改訂版』への党市議団の意見(全文)
日本共産党は、「行財政改革」の目的は、行財政改革をすすめることによって市民の福祉やサービスが向上することにあると考えている。また、国が新たな負担増を市民に押しつけてくるなか、小金井市が自治体の役割を発揮し、市民のくらしを守る防波堤にならなければならないと考えている。ところが今回提案された「改訂案」には、その視点は見えてはこず、逆に、後退の方向に向かっていると言わざるを得ない。そのことは、以下の点から明らかである。
第一に、今回の「改訂案」は、学校給食調理、保育園、学童保育、児童館の民間委託化をうたった従来の計画を踏襲し、さらには学校事務業務や公民館業務の一部非常勤嘱託化を図るなど、市民サービスに直結する部門の職員削減と民間委託化を促進させるものとなっていることである。4月の閉会中の行財政改革調査特別委員会で市長は、「平成21年度までに、必ず計画をやり切る」と述べており、関係する市民の意見等を聞いてすすめる以前に、先に計画ありきの姿勢となっている。新年度予算では市民や職員団体との合意もなしに学校給食調理業務と児童館の民間委託経費が計上され、独断的な市政運営を強行しようとしていることに対して、抗議するものである。
第二に、「受益者負担の適正化」「特別会計の健全化」の名による市民負担増を今後も継続し、「高齢者記念品支給事業の見直し」を明記するなど、さらなる市民サービス低下を招くものとなっていることである。「枠予算方式」の導入が明記されたことはその典型である。「枠予算方式」とは、各部や課ごとの予算額を限定し、その額の範囲内でしか事業を行なわせないという考え方であり、事業の拡大や新規事業を行なおうとする場合は、やむなく従来の事業を見直し、市民が必要としている事業であっても、スクラップアンドビルドの視点で事業の改廃が行なわれてしまうこととなる。「枠予算方式」の導入は断じて認められない。
第三に、「財政再建」を口にしながら、財政に一番負担をかける大型開発事業を聖域化し、その財源確保のために「職員削減」の名による市民サービス直結部門の民間委託化や非常勤嘱託化、市民サービス低下、市民負担増をすすめようとしていることである。バブル時代と同じ感覚で駅前に巨費を投入し、駅前開発で「市税収入増」や「財政構造の見直し」が果たせるまでは、いかに切実な市民要望であっても、「財政再建道半ば」を理由に、拒み続けることにならざるをえない。
今年度から本格スタートとなった武蔵小金井駅南口再開発事業は、第一地区だけでも市財政を約百億円も投入する巨大なもので、今年度以降5年間で、南口再開発事業に地方債や基金、一般財源合わせて59億4千万円余も充てるというものである。一方、小金井市は今年度から国保税の増税、介護保険料の引き上げを強行し、障害者自立支援法や介護保険制度の改悪でサービス低下、負担増に苦しむ市民生活の負担軽減策、独自サービス拡充への具体策を示しえていない。生活保護世帯は5年間で2倍にふくれあがり、就学援助を受ける児童・生徒も12%を超えている。「行財政改革」をいうならば、巨費を投入し、しかも無駄遣いとなる駅前の大型開発こそ改め、市民生活を応援する市政へと転換すべきである。
最後に、今回の改訂案は、国が「指導」の名のもとに「行革」の指針を示し、各地方自治体を競わせるというなかでの提案となっていることである。「地方分権」に反した今回の国のやり方は地方自治を無視するものであり、断固抗議するものである。同時に、それに唯々諾々と従い、市民サービス低下につながる新たな項目を加えて2年間延長することを打ち出した小金井市の姿勢は、地方自治の精神に反するものである。国の悪政から市民のくらしを守る立場を踏み外した今回の「改訂案」は、ただちに撤回することを強く求める。
2006年6月議会報告 その1
小金井市には現在、780人の正規職員が在籍しています。しかし、半数近くが50歳台を占め、今後5年間に職員の3割近くが定年を迎えます。ここで問題になるのが、今後の小金井市の人材となる管理職後継者の人数そのものが足らないということ。
現在、小金井市には部長職、課長職、課長補佐職の「管理職者」が72人います。この72人がいなければ、組織運営はうまくいきません。ところが、この管理職者の後継となる40歳台の人数が少なく、しかも、その大部分は現業職場で働いています。これらの人たちを管理職に就けるためには、事務職に配置換えし、そこで一定の経験を積ませることが必要になります。しかし、それにしても人数に限りがあります。結局は、若手からの抜擢を行なう必要が生じます。しかし、若手が管理職に就いて、はたして周囲がついてくるのか・・・・。
小金井市もご多分に洩れず、病気や心の病で休職している職員がいます。管理職者も例外ではありません。いきなり管理職に抜擢され、責任を負い、しかも周囲がついてこないとなれば、病欠者が増えることにもなりかねません。
私は、2つの資料(PDFで掲載)を6月市議会の行財政改革調査特別委員会に提出し、市当局の見解を求めました。総務部長は「小金井市の今日の重要課題であり、喫緊の課題と考えている。職員研修を充実させるとともに、民間企業経験者の中途採用含め、対処していきたい」と述べました。
職員の年齢構成がいびつになったのは、この間の自民・公明市政が新規採用を極端に減らしてきたことによるものですが、ここでその責任論を述べあうことよりも、今日、求められるのは、現在のこの状況を直視し、管理職後継者不足をどのように解決していくかということです。議会に資料を提出し、質問を行なったのは、この状況を市職員および議会全体の共通認識にし、全体で考えていかなければならない課題だと感じているからです。今回の私の問題提起を機に、年配の職員も若手の職員も、そして議会側も、ともに考えていただけることを期待します。
2005年12月議会報告 その2
小金井市は、事務事業の「行政評価」を2005年度から本格的に実施し、2005年12月には、評価の結果を公表しました。市の方針では「結果は、長期計画の進行管理、予算編成等に活用する」としており、2006年度の予算では、「効率」の名で必要な事業が縮小・廃止される恐れが出ています。なお、「廃止」「縮小」「終了」「減額」等に評価された事業を一覧にまとめ、PDFファイルで掲載します。
2005年12月議会報告 その1
小金井市役所の2001年度から2004年度の、各課ごとの時間外勤務(残業)状況をまとめてみました。PDFファイルをご覧下さい。
小金井市監査委員会は2004年度決算の審査意見書で、市職員の恒常的な時間外勤務を取り上げ、「早急に改善策を講じるように」と異例の指摘を行ないました。小金井市は2001年度に市役所組織の大改正を実施。功を奏してか、2001年度の時間外勤務の合計は71,855時間となり、前年度(2000年度)の75,816時間よりも約4,000時間減少しました。しかし、監査意見書が指摘した2004年度には91,046時間となり、組織改正年度の2001年度よりも19,191時間、26.7%増となっています。
一方、この間の「行財政改革」による職員削減と「地方分権」の名による国や東京都からの事務事業の移管・移譲によって職場は仕事量が増え、小金井市役所でも職員が精神的な病などで、休業(病欠等)に追い込まれるケースが年々増えてきています。
私は2005年12月16日の行財政改革調査特別委員会で、時間外勤務削減への打開策を示すべきと要求。答弁に立った企画財政部長は「19年度(2007年度)に組織改正を行なうので、その際に各課の事務量が平準化するようにしたい」と述べました。
2005年4月臨時市議会報告
市議選後に開かれた臨時議会で、今後2年間の議会人事を決定しました。日本共産党市議団は「第一会派から議長、第二会派から副議長、第三会派から監査」を主張。本来であれば自民党が議長を出すべきところを、自民党は「監査」を早々とノミネート。そのため、公明党が議長職に就きました。みどりの風は議会三役就任を辞退。そのため、日本共産党が副議長職に就くことになり、私が担当することになりました。議会人事一覧をPDFで掲載します。
2004年9月議会報告
9月28日(火)に閉会した小金井9月市議会は、大型開発予算の年度内執行を凍結する決議を付けて年間予算を可決し、6カ月におよんだ暫定予算にピリオドを打ちました。また、稲葉市長が提案した家庭ごみの収集有料化条例は、引き続き審議することになりました。以下のPDFファイルは、家庭ごみ収集有料化条例の問題を扱った市議団発行のチラシと、9月議会の結果を報道した「しんぶん小金井」です。また、年間予算可決に対する市議団見解のチラシも掲載しました。
2002年3月議会での一般質問
市議会3月定例議会の一般質問で、2つの質問を行ないました。1つ目の質問が「障害者が安心できる支援費制度に」。2つ目の質問が「雇用確保と中小業者支援に向けて」。その際に使用した質問原稿をPDFファイルで掲載します。なお、当日(3月5日の板倉真也の一般質問)の会議録が必要な方は、ご連絡をお願いいたします。後日、コピーを送付させていただきます。
2002年12月議会での一般質問
稲葉市長は昨年6月、市民負担増・福祉部門の民間委託等を明記した「第2次財政健全化計画」を決定。2001年度から2007年度の7年間で、総額47億6,570万円の財源を捻出するとしています。一方、長引く不況下、市民生活は大変。そのことは、市や都が発行している資料からも明白です。
私は、昨年12月議会で具体的な数字をあげて、市民に更なる負担を求める「財政健全化計画」の見直しを要求。また、同時期に進められようとしている、駅周辺の大型開発事業と「財政健全化計画」の関連も指摘しました。以下のPDFファイルは、その際の資料をまとめ、市政報告会で配布したレジュメです。
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