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『指定管理者制度』『文化芸術振興条例』実施の自治体を訪問しての感想

  小金井市は2006年4月から、「障害者福祉センター」「高齢者在宅サービスセンター」「福祉会館」「自転車駐車場」を、2006年9月から「清里少年自然の家」を指定管理者制度に移行する計画を持っています。市議会の総務企画委員会では、いち早く指定管理者制度を導入している仙台市へ2005年11月1日(火)に訪問し、仙台市の実情や考え方を学びました。あわせて、翌2日(水)には仙台市役所の真向かいにある宮城県庁を訪れ、宮城県文化芸術振興条例を学んできました。
 後日、総務企画委員会に提出した感想文を紹介します。参考までに、ご覧いただければ幸いです。写真は、仙台市の指定管理者制度を取り入れた高齢者福祉施設で話をうかがう視察団の模様です。

仙台市「指定管理者制度」

写真
仙台市の指定管理者制度を取り入れた高齢者福祉施設で話をうかがう視察団

 仙台市は、指定管理者制度をいち早く取り入れた自治体である。基本方針は「現在、公共的団体等に管理を委託している公の施設のうち、指定管理者制度の対象としないものを除く全ての施設について、導入する」というもの。そのため実に、307施設に指定管理者制度が導入された。ただし「当初においては、現在受託している団体を指定する」としたのは、混乱を避ける意味で当然と考える。
 「当初においては、現在受託している団体を指定する」ではあっても 原則、公募にかけることを方針としているため、次年度には、公募事業者が管理・運営を行なう施設が登場。そのなかで特に説明されたのが、老人福祉センターへの指定管理者制度の導入であった。
 私がこの制度の導入にあたって懸念するのは、利用者と従来の委託事業者職員との人間的関係を断ち切ることになるのではないかということ。その点を仙台市側も懸念し、施設開放利用的な事業については今年度から公募事業者へと移行したが、デイサービスを行なっている施設は、3年間は公募を行なわないこととしている。説明された市職員は、「デイサービスは現在、社会福祉協議会などが受託しているが、利用者との関係もあり、公募は難しいと考えている」と述べたが、当然であろう。
 事業者を選定する「選定委員会」は各部ごとに設置(たとえば「老人福祉センター」の指定選考であれば「健康福祉局指定管理者選定委員会」)し、1委員会6人制。構成メンバーは会計士1人、学識者1人、関係団体1人、市職員3人となっている。“なるほど”と感じたのは、「関係団体1人」という部分。たとえば、老人福祉センターを選定する際の選定委員の「関係団体」は「老人クラブ」となっており、利用者の代表という観点から選出されている。なお、選定委員の氏名は公表しない。「公表すると、指定を受けたい事業者から選定委員のところにアプローチが予測される」とのこと。
 公募の事業者を選定する方法は、事業者の事業内容および提案内容、面接で行ない、点数制にして判断するとしている。選定基準は公募の際の募集要項で公表し、事業者に求める提案内容も公表している。公募開始から、事業者が指定管理者としてスタートするまでに半年かかっているので、小金井市の部局も、公募する場合は時間に余裕をもって対応してほしいと思う。
 なお、仙台市の指定手続条例は、あまりにも簡略されたものであった。情報公開の項目がなく、議会や利用者・市民がどれだけチェックできるのかも曖昧。また昨今、行政と事業者の癒着や不正が全国的に取り沙汰されているなか、この条例ではたして大丈夫なのかとも・・・。その点に関する質問に対しては「そこまでは考えていなかった」と述べ「仙台市議会での質疑よりも、本日の質問の方が厳しかった」と苦笑された。
 仙台市での現時点での課題は、第一に、指定管理者の評価(モニタリング)をどのように行なうのかということ。そのためにも、報告書提出、立ち入り調査、利用者アンケートの3つが必要だと考え、この結果を公表していきたいとのこと。第二に、とりあえず3年間、外郭団体にお願いしている施設を、どういう基準で公募していくのか。第三に、外郭団体の意識改革。「外郭団体を守っていくという考えはダメ」とキッパリ述べていた。
 指定管理者制度を先進的に取り入れたものの、政令指定都市では後発の横浜市、川崎市、京都市、北九州市の方が公募に関しては進んでいるとのこと。ただし、この制度を取り入れたことによって、市職員の意識は変わったと断言していた。いずれにしても、小金井市は今日、手続条例が上程されており、12月議会以降は、個別条例も出てくる。自治体業務を民間団体に負わせるものであることからも、慎重に対応することが必要だと、あらためて感じる視察であった。

宮城県「文化芸術振興条例」

 小金井市では来年度から、はけの森美術館が直営でスタート。また、市長の方針に沿えば、市民交流センターも、やがてはやってくる。そうしたなかで、文化芸術を振興するための条例は必須である。
 宮城県では昨年、議員提案で条例が成立した。その後、審議会を5回開催し、今年5月に審議会から答申。7月に振興ビジョンを発表し、県民にはパブリックコメントを実施したという。同時に、県内市町村への照会と県内の文化芸術団体への照会を行なっている。
 条例にいたる経過については、文化振興の議員連盟が振興条例的なものをつくりたいと発案し、部局と意見交換を行ないながら、部局の合意のもと、最終的には全会派による共同提案方式がとられている。条例文言は、国の法律を参考にしているとのこと。
 条例を見ると、私が思っていたものを越える範囲まで網羅していた。たとえば、公共の建物等の建築に当たっては、「地域の歴史及び文化、周囲の自然環境及び景観等との調和に配慮するもの」とされ、「振興ビジョン」では「文化的景観の保護、創造」「自然環境との調和への配慮」がうたわれている。いわゆる景観条例的なものまで含んでいた。また、「文化財保護」の項目があり、「公立文化施設職員の専門性に配慮した適正配置及び資質向上を図る研修の充実」も登場している。さしずめ、文化に関わるあらゆるものを条例の中に取り込み、それぞれの施策の拡充を求めていくものとなっている。
 条例では県の責務として「文化芸術振興施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」とうたい、「市町村がその地域の特性に応じた文化芸術振興施策を策定し、及び実施するために必要な支援及び調整を行なうよう努めるものとする」となっているが、説明によると、「条例化の前と後とでは、とくに変わったものはない」「なにぶん、財源がない」であった。しかし「意識を新たに対応していく機会になった」と述べている。
 小金井市でも今後、さまざまな条例がつくられていくであろうが、仏つくって魂入らずにならぬように、議会の一員として肝に銘じる視察であった。


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