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市議会最終日の退任挨拶


 2021年第1回定例会最終日の3月8日(月)、議員生活に終止符を打つこととなった私を含めた3人の議員が、退任の挨拶を行なった。議席順で挨拶を行なうことから、私は3人目のトリを担った。

 私の前に挨拶した2人は女性である。議員生活の思い出や出来事を実直に話され、なるほどなぁと思いめぐらされた。そして、私の登壇である。話す内容を用意してはいたが、前の2人の内容を聞きながら若干手直しし、以下の内容となった。私は真面目に話しているのだが、なぜか議場は笑いの渦に包まれた。

市議会最終日の退任の挨拶

 28年間、お世話になりました。もっとも印象に残っているのは、3期目途中の2004年。武蔵小金井駅南口の再開発と東小金井駅北口の区画整理事業をめぐって、議会が真っ二つに分かれていた時のことです。

 前年の2003年と同様に当初予算が否決となった2004年は、2カ月ごとの暫定予算が半年間続き、暫定予算に121項目もの組み替え案を提出し可決したり、暫定予算に修正案を提出し可決させたりなど、小金井市議会は議会運営のデパート・百貨店ともいえる状況が続いていました。また、稲葉孝彦市長が任期途中で辞職し、返り咲くということが行なわれたのもこの2004年のことです。

 この頃に、ベテランの他の会派の議員(佐野浩さん)から、こう言われました。「板倉くん。質問というのは法律や条例・規則・要綱、これまでの市長や部局の答弁、小金井市が発行している資料などを引用しながら、筋道を立ててやるべきだよ」。しかし、どう間違えたのか、「筋道を立てる」のではなく、青筋を立てて質問をしてきたように思います。ようやく6期目あたりから、このアドバイスに沿った質問の組み立てができるようになってきました。

 けれども、このような質問を行なうには、けっこう準備期間が必要になります。一方で、議会や地域での果たすべき役割も増えてきます。しかし、体力は徐々に弱まっていきます。ようするに、疲れがたまるようになってきたわけです。こうしたなかで、還暦を迎えるあたりから次の選挙をどうするかを考えるようになり、若手に引き継ぐという道を選択しました。

 初めて当選したのは34歳の時。あのころは「紅顔の美少年」と言われていました。28年たった62歳のいまは、「厚顔無恥」と言われています。あと10年もすれば、亡くなった父親と同じように「抗ガン剤」を打つのではないでしょうか。

 28年は長いようで、あっという間。市議会議員という裃(かみしも)を脱いでふつうの人となった板倉真也と、今後はおつきあいください。貫井南町の盆踊りやお祭り、もちつき大会でお会いできるでしょう。長い間、お世話になりました。以上で、担任の挨拶といたします。

(2021年3月30日付)


多数意見を無視『都市計画マスタープランたたき台の案』


 以下の文章は、12月9日(水)の市議会建設環境委員会で、私が主張した内容です。これらに対する答弁は、12月6日の日曜議会の答弁内容の繰り返しとなっています。市民を欺く答弁であり、到底、認められるものではありません。

12月9日(水)の建設環境委員会の私の主張

 小金井市は現在、2022年3月末に策定予定の「都市計画マスタープラン」の協議をすすめている。11月20日に開催された第4回策定委員会では、都市計画マスタープランの構成骨格案、いわゆる「たたき台の案」が示され、この内容に対する質疑が過日の日曜議会で行なわれた。

 たたき台の案では「都市計画道路の整備」について記述文書が3点明記され、優先整備2路線含めて都市計画道路全体を一括で扱っている。その理由は「市民アンケート、策定委員会、市民協議会、市議会での審議や個別に要望書や面談等、さまざまな機会を通じて、非常に多くの意見をいただ」き、「多くの方から否定的な意見をいただいている状況だが、一方で、整備推進の要望も寄せられている」。そのため「優先整備路線についての特段の記述は行なわず、中長期的な視点に立って、地域全体のまちの将来像を示していくものとして、都市計画道路全体の記述で考え方を示している」(日曜議会答弁)というものである。

 私は、この答弁を聞いて違和感を覚えた。第一に、「多くの方から(優先整備2路線の整備に対して)否定的な意見をいただいている」としながら、「整備推進の要望も寄せられている」から「優先整備路線についての特段の記述は行なわ」なかった、としている点である。

 優先整備2路線に対する 2,000人へのアンケートは「すでに東京都のパブコメに対する意見・要望で明らかなように、市民の意見は明白」との議会や市民から意見が出ているにもかかわらず、市長があえて実施したものである。その結果は、3・4・1号線も3・4・11号線も「景観が変わる」「生態系に影響を及ぼす」「莫大な費用と時間がかかる」との回答が1位から3位を占め、「道路の広域ネットワークが形成され、緊急車両の到着時間や市外の救命救急センターへの到着時間が短縮される」との回答数・率を上回っている。

 市長は、このアンケート結果は「今後の道路整備に対する考え方の参考にさせていただく」と、アンケートの実施段階で述べており、「参考」にするというのなら、アンケートの結果を反映した2路線への記述となるべきである。しかるに、寄せられた多数の意見を避けるならば、アンケートに応えられた方々への背信行為となる。しかし、たたき台の案では「道路整備を計画的に進めます」と、他の都市計画道路と一括で、まとめてしまっている。

 日曜議会の答弁では、都市計画マスタープラン全体に関する 3,000人を対象に実施した市民アンケートも登場している。では、この 3,000人アンケートでは、どのような回答結果になっているだろうか。

 「道路・交通」の分野では、「道路ネットワークを構築し、災害時にも役立つ幹線道路の整備」を選択した回答は23.7%で、「誰もが安全に移動できるバスなどの交通ネットワークの再構築」(40.8%)や「高齢化社会など、福祉に対応した道路や駅などのバリアフリー化の推進」(37.0%)、「自転車道(自転車通行帯)や駅前自転車駐車場の整備」(38.6%)の回答数・率を10数パーセントも下回っている。「20年後の小金井市の姿」という項目でも同様の回答状況を見せている。

 一方、「緑・環境」の分野では、「みどり、水環境、生態系に配慮した自然環境の保全と景観の形成」を求める声が54.8%と多くの支持を得ており、市民の声はどれを見ても明白である。

 では、答弁の中にある3回実施された「市民協議会」はどうか。都市計画道路の整備促進を求める声も「まとめ」の資料には登場しているが、懸念の声や、否定的な声の方が多く登場し、その結果、「将来のまちに求める視点」(第1回市民協議会)という項目では、「安全な道路は、新しくつくるのではなく、機能を変化させるべき」との方向付けがされ、「防災道路のネットワークは必要なので、現道を活用する」「大きな道路計画による景観や魅力の低下がないように配慮し、現道を活用した道路拡幅等も検討が必要」との意見・アイデアが掲載されている(第2回市民協議会)。つまり、「市民協議会」でも、都市計画道路を「計画的に進める」などという方向性は出ていない。

 市議会での審議はどうか。見直しを求める意見書が賛成多数で可決されてきており、多数の意見は明白である。

 これらの市民や、市民を代表する市議会の意見および、アンケートや市民協議会などの意見・結果を分析しつつ、多角的に見定め集約するのが「策定委員会」の役割となる。だから策定委員会では、2路線の是非を議論するのではなく、明白となっている市民多数の意見・声を都市計画マスタープランに反映させることが求められるわけである。

 ところが日曜議会の答弁では、「学識経験者を含めた複数の委員から、2路線についての是非を策定委員会で議論すべきではないとの意見をいただいている」ので、「優先整備路線について特段の記述を行なわず、都市計画道路全体の記述で考え方を示している」と述べ、一括りにした記述の仕方を合理化している。

 混同してはならないのは、「策定委員会での議論の是非」と「市民多数の意見を反映させる」は次元が異なるということ。答弁は到底、容認できるものではない。

 日曜議会で答弁されている「市民アンケート、策定委員会、市民協議会、市議会での審議や個別に要望書や面談等」は、いずれも優先整備2路線に対して否定的な意見が多数となっている。「優先整備路線について特段の記述を行なわず、都市計画道路全体の記述で考え方を示している」との説明は、市民の多数意見を反映してはいない。

 第1回策定委員会に示された資料では、「都市計画マスタープランの見直しの視点」が明記されている。そのなかの「『都市計画マスタープラン』の構成(方向性案)と策定方法」では、基礎調査として3項目が明記されており、その3項目の一つに「市民アンケート調査」がうたわれている。この「市民アンケート調査」も踏まえて、「小金井市都市計画マスタープラン(都市計画に関する基本的な方針)」を策定するという流れになっている。

 つまり、3,000人市民アンケートや優先整備2路線への 2,000人アンケートの結果が、都市計画マスタープランに反映されていくという流れとなる。3,000人市民アンケートでは、都市計画道路全体に対して「計画的に進める」との声は少数であり、たたき台の案に明記された記述内容が都市計画道路全体を網羅したものであったとしても、アンケートの結果とは異なる記述にされてしまっている。

 いわんや、優先整備2路線は 3,000人市民アンケートと切り離して市民アンケートをとっている。優先整備2路線においては、他の都市計画道路と区分けした記述にならなければおかしいし、アンケート結果を踏まえた記述にならなけばならない。都市計画マスタープラン策定のために実施したアンケートなのだから、優先整備2路線は区分けしなければ、なんのためのアンケートだったのかといわざるをえない。全体を一括りにした記述の仕方は、アンケートに応えた市民の多数意見を不問にする、許されざる行為である。自ら定めた「見直しの視点」にも反する記述となっている。

 日曜議会の答弁では、「『なお、社会経済情勢及び地域のまちづくりの変化などを踏まえ、必要に応じて今後の方針を検討します』との文言を入れている。この記述は、東京を取り巻く社会経済情勢や道路に対するニーズが日々変化し、多様化しており、都市計画道路の検証を不断に行なっていく必要があると考えていることから記載している」との、弁明にも似た説明がされた。

 都市計画マスタープランは20年間を見据えた計画となっているが、「社会経済情勢及び地域のまちづくりの変化などを踏まえ」の文言は、いったい何年先のことを考えてのことであろうか。

 「東京を取り巻く社会経済情勢や道路に対するニーズが日々変化し、多様化」が、この文言を入れた理由とのことだが、ニーズの変化や多様化が、2〜3年で起きるという根拠はどこにあるのか。つまり、東京都が優先整備2路線の事業認可に向けた動きを開始した時点、もしかするとあと2〜3年のうちにくるかもしれないが、この文言によると、その時点で「東京を取り巻く社会経済情勢や道路に対するニーズが日々変化し、多様化」が到来していなければ「必要に応じて今後の方針を検討します」とはならない、そうとらえられる記述となっている。

 その場合、「社会経済情勢及び地域のまちづくりの変化などを踏まえ、必要に応じて今後の方針を検討します」の規定は、どのような形をとって発動されるのか。どのような発動の仕方になるのか。

 日曜議会の答弁では、優先整備2路線に対して「東京都の今後の動向を注視しながら、必要に応じて対応を検討していきたい」と答弁しているが、たたき台の案のどの文言を差して、そのことができると言っているのか。その文言は、なにを差して東京都への歯止めになると言えるのか。

 西岡市長は、昨年12月の市長選挙で「市民が望まない道路は作らせない」を公約に掲げた。選挙期間中に配布されたチラシでは、次のように記している。「3・4・11号線は賛同できません」「3・4・1号線は路線変更も含めて見直しを求めます」。ところが、たたき台の案では、その文言が一切、記されていない。では、どのように記されているか。「道路整備を計画的に進めます」「必要に応じて今後の方針を検討します」。これは明らかに公約違反である。この「たたき台の案」からわかるのは、西岡市長の選挙公約は空手形にすぎなかったということである。

 来年1月12日の第5回策定委員会で「中間まとめ」が行なわれ、新庁舎・福祉会館の時と同じように、市民からどんな意見が出されても、たたき台の案を大きく見直すことは到底、期待できない。これが西岡市長の市政の運営方法である。

以上。

(2020年12月10日付)


保健センターに発熱外来設置


 新型コロナウイルス感染症の収束が見えず、季節性インフルエンザの同時流行も懸念される中、小金井市は12月13日からの予定で、小金井市保健センター内に保険診療で対応する発熱外来を開設する。保健センターの大会議室の改修工事を行ない、待合室、受付、診療室を設ける。受診者と一般利用者との動線を区分けするために、発熱外来専用の出入り口およびトイレも確立する。

 診療日は、日曜・祝日・年末年始を予定。休日診療医療機関からの紹介にもとづき、休日診療実施日に行なうという。医師1人、看護師1人、医療事務員2人の4人体制。医師は小金井市医師会の医療機関から派遣し、看護師と医療事務員は医療専門スタッフを派遣する事業所に依頼するという。

 受診までの流れは以下のとおり。大前提として、日曜・休日・年末年始の当日であること。そのうえで、発熱のある人はまず、休日診療を実施している医療機関(現在4箇所)に電話で状況を説明する。電話を受けた医療機関の医師が、発熱外来を受診してもらったほうがよいかどうかを判断する。コロナの疑いがぬぐえない場合は、医師が発熱外来に連絡し、発熱外来受診時間を予約する。そのうえで、発熱のある人は、公共交通機関を利用せずに発熱外来のある保健センターに行ってもらう(紹介状は不要)。

 30分くらいで結果がわかる抗原検査で、新型コロナウイルス感染症か季節性インフルエンザかの診断を行なう。新型コロナウイルス感染症の診断がくだった場合は、自宅待機か東京都が用意するホテルでの待機となる。当然、そこまでの道のりも公共交通機関の利用は厳禁である。

 保健所は土曜・日曜・祝日・年末年始がお休みのため、年末年始以外は翌日、保健所と連絡をとり、入院等の措置を行なう。年末年始期間中は別途、検討することになる。入院先へのコロナ患者の搬送は、小金井市が用意する専用車両で行なう――。おおよそ、こんな具合であるが、細部については小金井市医師会と調整すべき点があるとのこと。

 補正予算が提案された10月21日の臨時議会の質疑では、保健センター近隣住民への丁寧な説明と理解を得る取り組みや、発熱外来との往復の交通手段の在り方、なぜPCR検査ではなく抗原検査なのか、小金井市が受け取る診療報酬の使途はどうするのかなど、多くの質問が出された。

 答弁では、発熱外来との往復も小金井市が用意する専用車両で対応する方向性が示されたが、専用車両の増車が必要となること。PCR検査は検体を専門機関に送ることになるが、専門機関へは平日にならないと送れず、結果が出るまで時間がかかることなど課題が多いこと。診療報酬の額が多くなる場合は専用のシステムが必要となり、システム構築に診療報酬で得た額を当てざるをえないことなどが示された。

 私は、9月議会の一般質問で、保健センターの活用も含めた発熱外来設置の必要性を述べた。そのときの答弁は、なかなか難しいの一点張りであったが、水面下では医師会との詰めが行なわれていたことがうかがえる。ならば、もう少し色良い答弁があってもよかったのではないか。なんと水臭いことであろうか。

 この保健センター、出るらしい。土曜や日曜に出勤し、夕方以降、一人で事務室で仕事をしていると、誰もいないはずの2階で歩く音がしたり、床をつつく音がするという。1階でも扉のあたりに人影を見たり、扉がひとりでに閉まったりするという。歴代の健康課長も同様に述べる。健康課長を経験された職員が、この場所の歴史を調べたところ、動物の墓があったという。

 発熱外来の開設時間は、日曜・祝日・年末年始の午前9時から夕方5時である。それ以降はいない。事務室で一人、議会の答弁書作成に追われる健康課長。本心は、夜まで開設してほしいのではないだろうか。

(2020年10月22日付)


新庁舎建設と『財政計画』


 老朽化し、耐震不足の築55年の市役所本庁舎と、27年近く借り続けている第2庁舎。加えて、閉館から4年7カ月になる福祉会館を一箇所に集めて複合施設を建てる計画が、西岡市長のもとで進行している。福祉会館の早期建設は必要だが、複合施設となると、様々な課題や問題点が浮上してくる。

 過日、小金井市は、この複合施設を建てた場合、どれくらいの経費がかかり、そのための財源てはずをどのように行なうかの「財源計画(案)」と、来年度から5年間の「財政計画」を示した。おりしも、新型コロナウイルスの影響が全世界を覆い、税収への影響も懸念される事態となっている。このまますすめてよいのか?。少なくない人が不安を抱いている。

 来年10月頃から建設着工を予定している新庁舎・(仮称)新福祉会館には、建設工事に83億4,875万円、外構工事に8,342万3千円を要し、これまでの経費や関連費用を合わせると、総額で106億7,416万5千円との数値が示されている。財源の大半は貯金(基金)の取り崩しと借金(地方債)になるが、貯金が潤沢にあるわけではなく、借金をすれば利子が発生する。そのため、市財政がどうなるかの「財政計画」が、判断するうえで不可欠となってくる。

 小金井市の財政を担当する部署は、新型コロナウイルスの税収への影響を最大▲5%と見立てて収支状況を試算している。その結果、決算値が明確となっている2019年度の地方税との比較では、来年度は▲10億9,400万円になると想定。新型コロナによる影響が長期化することを見越して、その後の税収は回復せず、平衡状況を続けるとしている。

 税収が減少すれば、歳入はこれまでどおりとはならない。そのため、前年度の黒字額が減少すると判断し、繰越金を今年度よりも12億2,500万円少ない10億円に抑えている。一方、借金(地方債)は新庁舎・(仮称)新福祉会館の建設工事費や、同じく来年度から工事が始まる清掃関連施設に多額の財源が必要となることから、今年度をはるかに上回る地方債を計上している。

 歳出の方は、福祉部門の扶助費を150億円としている。2019年度より22億2,200万円増としているが、「子育て環境日本一」や高齢化、生活保護受給者の増、新型コロナの長期化を前に、果たして大丈夫か?との思いがある。それ以降、1億円ずつの増を見込んでいるのは、高齢化や生活保護受給者の増を計算に入れているものと考えられる。ちなみに、今年度の259億9,400万円は、新型コロナの一人あたり10万円の特別定額給付金など、国や都からの交付金が数値を押し上げている。投資的経費が増えているのは、新庁舎・(仮称)新福祉会館建設や清掃関連施設の整備費があるからである。

 問題なのは「収支」。基金からの繰入金を大幅に増やすことでバランスをとる仕組みとなっている。庁舎・福祉会館建設に充てる庁舎建設基金と地域福祉基金の残高が減り、清掃関連施設の整備費に充てる環境基金が減っていくのは当然だが、一般財源として活用できる財政調整基金が恐ろしい勢いで目減りしていく。財政計画5年間の最終年度には7億6,100万円にまで落ち込むというのである。しかも、基金総額でも10億3,200万円になるという。あくまでも、税収が市の想定どおりに収まり、投資的経費が現在想定している額よりも増えないことを前提としている。税収がさらに落ち込み、投資的経費が増えれば、どんな事態になるのであろうか。

 2012年3月、小金井市は突如「危機的財政状況」を表明した。「世界的な経済不況や東日本大震災の影響から、大幅な市税収入の減と社会保障関連経費等の増により」が理由。同年6月には「危機的な財源不足」を訴えはじめ、小金井市行財政改革市民会議や小金井市監査委員は相次いで「行革推進」を要求しはじめた。そこから小学校給食調理の民間委託化、学童保育所の委託化、公立保育園委託化の協議開始、貫井北町地域センターの委託化が怒濤のように押し寄せてきたのである。

 2012年3月末時点(2011年度末)の財政調整基金の残高は16億1,216万6千円であった。ところが、翌年の2012年度末には11億1,258万9千円に、2013年度末には8億7,294万6千円へと落ち込んでいる。なぜ、ここまで落ち込んだのか。小金井市は「市税収入の減と社会保障関連経費等の増」を挙げているが、それだけではない。

 2011年度、小金井市は市民交流センター(現 宮地楽器ホール)取得のために42億円近くを投入。基金や一般財源をつぎ込み、27億9,120万円の借金を行なった。その前年の2010年度は、武蔵小金井駅南口第一地区の再開発事業に4億円、東小金井駅北口区画整理事業に9億3,600万円を投入。財源確保のために4億4,120万円の借金を行なっている。駅前開発に多額の費用があてがわれていたのが実態である。では、今回はどうなのか。今回は、新庁舎・(仮称)新福祉会館の建設、清掃関連施設の整備が、それにあたる。少なくとも、新庁舎・(仮称)新福祉会館の建設費を削減する手立てをとるべきであろう。しかし小金井市は今日まで、経費が膨らもうともしゃにむに走り続けている。

 昨年度(2019年度)は、中町3丁目の庁舎建設予定地への新庁舎・(仮称)新福祉会館建設に向けた動きが本格化した年度である。基本設計業務委託が行なわれ、設計業者からの技術提案書が5月の連休明けに議会と市民に説明された。設計業者から示された技術提案書は、あくまでも「案」。ところがまるで確定されたもののように、スケジュールが次々と組まれて行った。

 募集定員30人の「市民ワークショップ」は5月から11月まで4回開かれ、募集定員5人の「こがねいミーティング」は6月から12月まで4回開かれた。設計業者からの技術提案書は5月15日号の「市報こがねい」に掲載されたが、同じ「市報こがねい」には突如、「市民ワークショップ参加者募集」の記事が登場し、「こがねいミーティングのメンバー募集」の記事も登場している。しかも、議会に設計業者から説明があったのは5月9日という慌ただしさ。5月9日の議会で私たちは設計業者から技術提案書の説明を受けたが、議会では技術提案書の善し悪しを議論する段階には至らなかった。ところが、スケジュールは次々と組まれて行った。

 設計業者は技術提案書をもとに、基本設計へと走り出した。しかし、技術提案書が示された段階からすでに、「小金井ひろば」の真ん中に駐車場があることや、駐車場スペースを確保するため「小金井ひろば」が狭くなること、「小金井ひろば」に太陽の日が当たりにくい、市庁舎の上部がせりだす構造はメンテナンスがやっかい、東京オリンピックや大阪万博、都心の大型開発を踏まえた物価動向などから建設費が高騰するのではないか、など様々な意見が市民や議会から噴出していた。

 ところが小金井市は技術提案書を若干見直しただけで突き進み、今年の2月上旬から3月上旬にパブリックコメントを迎えることとなった。ところが、このパブリックコメントや今年2月に行なわれた「市民説明会」でも「ひろば」の在り方や建物構造の在り方などに多くの意見が出されたにもかかわらず、小金井市は基本設計を若干手直しできる程度の見直しでお茶を濁し、今年度に入ってから実施設計の作業を強行するに至った。そして登場したのが、「財政計画」である。

 このまま突き進めば、かつての「危機的財政状況」の二の舞である。「行革」が吹き荒れることになる。値上げ・負担増、民間委託の雨嵐が襲う。これでいいのか。このまま突き進んでいいのか。このことがいま、問われている。

 ※PDFファイル「私が打ち直した『財政収支表』『財源計画(案)』その他」

(2020年10月9日付)


優先整備2路線と西岡市長


 小金井市域に敷かれている都市計画道路のうち、2本を東京都が「優先整備路線」に指定してから4年7カ月を経た。稲葉孝彦市政時代に、小金井市都市計画マスタープランに「すすめる」と明記したものだが、この計画を知った多くの市民からは「優先整備路線」指定に反対の声が沸き上がり、ハケの緑や野川の自然を守る闘いが続いている。

 5年前に誕生した西岡真一郎市長。選挙用チラシでは、野川に膝までつかった写真を大きく掲載し、我こそ計画に待ったをかける、とのイメージを市民に植えつけた。しかし、現実はどうであろうか。

 東京都は、西岡市長はこの計画に反対していないと見ている。なぜなら、西岡市長は「すすめる」と明記した小金井市都市計画マスタープランを「尊重する」と明言しているからである。果たして、西岡市長の腹の内はどうなのか。

 小金井市は現在、2022年3月末策定を目途に、小金井市都市計画マスタープランの改定作業をすすめている。この改定計画のなかで、西岡市長は当該2路線に対する記述をどのように指示するのか。注目すべきはここにある。

 一方、改定作業中の小金井市都市計画マスタープランに影響を及ぼす東京都の区域マスタープランが、来年(2021年)3月末に策定される。小金井市の計画よりも1年早く策定されるのである。この東京都の計画に、都市計画道路の部分がどのように記述されるのか。内容次第では、小金井市の都市計画マスタープランの記述を左右することになりかねない。どうするのか、このことも問われてくる。

 ところが小金井市は、東京都の区域マスタープランの記述内容と改定作業中の小金井市都市計画マスタープランの記述内容との「整合性を図る」と言う。そのために、東京都との協議や照会は必要と考えていると言い切った。前述のように、東京都の区域マスタープランが先に作られる。これと「整合性を図る」ということは、小金井市の計画は、東京都の計画と同じ方向を向くということになる。なんということか。

 東京都の区域マスタープランの素案が今年2月に作成され、内容に対する意見照会が小金井市にもあった。ところが小金井市は「意見なし」と答えたという。理由は「区域マスタープランは、広域的な観点から基本的方針を定めるもの。本市域の個別の優先整備路線について具体的に記載しているものではない。そのため、広域的な基本方針としては妥当であると判断した」から。

 では、東京都の区域マスタープラン(素案)のどの部分と「整合性を図る」のか。「骨格幹線道路を補完し、地域レベルの交通を担う補助幹線道路を整備し、骨格幹線道路や鉄道駅を結ぶ道路ネットワークを形成する必要な都市計画道路の整備を着実に進める」という箇所とのこと。優先整備2路線は、ここでいう「補助幹線道路」。この補助幹線道路を「整備」し「着実に進める」という記述と「整合性を図る」というのである。とんでもないことである。

 たしかに、都市計画法第18条の2では「都市計画区域の整備・開発および保全の方針(ここでは、東京都の区域マスタープランのこと)に則し、当該市町村の都市計画に関する基本的な方針を定めるものとする」と記されてはいる。しかし、小金井市自身が「都市計画マスタープランは小金井市決定なので、東京都に対する協議は義務づけられていない」(2月14日の策定委員会)、「東京都の許可は必要ない」(8月4日の建設環境委員会)と述べているではないか。つまり、先述の「東京都との協議や照会」は義務ではなく、東京都の区域マスタープランを横目で見ながら、これが小金井市の「則した」考え方ですよと、堂々と進めばよいのである。しかも、「基本的な方針」で構わないのである。

 東京都は、優先整備路線に指定した「3・4・11号線」の整備事業をすすめるために、当該地域の動植物の生息・生育状況を把握するための環境概況調査を行なう。期間は来年11月までの1年余となっている。東京都はその後、調査内容を分析し、「3・4・11号線」をどのようにすすめるかの具体化に入るものと考えられる。それは、2022年度に入ってからではないだろうか。一方、小金井市の都市計画マスタープランは、その前の2022年3月(2021年度末)に策定される。

 西岡市長の昨年12月の市長選挙の公約は、このようになっている。「市民の理解や環境への配慮が十分ではなく賛同できません」。

 さて、西岡市長殿。「環境概況調査」の分析による具体化が行なわれる前に、小金井市の都市計画マスタープランが策定されると考えられる。都市計画マスタープランが策定される2022年3月の時点でも「市民の理解や環境への配慮が十分ではない」場合は、「3・4・11号線」に対する記述は現行の記述内容とは異なり、「賛同できない」となるので しょうね?。

 小金井市は、今年11月に予定している第4回の策定委員会に「個別路線の考え方については、道路交通分野の考え方として、方針や説明文書を示す」という。どのようなものが示されるのか、注目である。

(2020年10月7日付)


小金井市も『保健所の機能強化』求める


 新規感染者数が減少傾向にあるとはいえ、新型コロナウイルスは見えない恐怖を私たちに与え続けている。その最前線に立っているのが、医療機関と保健所である。なかでも保健所は感染の疑いのある場合に、真っ先に相談が寄せられる。クラスターでも発生したならば、感染源の特定や追跡調査など、寝る間もないほどに走り回ることになるのである。

 「電話をしても、つながらない」「職員が夜遅くまで業務に追われ、疲弊している」「集団感染が起きるとパンク状態になる」など、保健所から聞こえてくるものは耳をふさぎたくなるものばかり。第2波まっただなかの現在も、状況は4月初めの頃と大きな違いはないと言われている。では、私たち小金井市民は、忙殺に追われている保健所だけを頼りにしなければならないのだろうか。

 貫井北町に小金井市の保健センターがある。かつてこの建物は、小金井市と国分寺市を所管区域とする「東京都小金井保健所」だった。だが1997年4月に、現在の「小金井市保健センター」に転身。東京都の施設から小金井市の施設に切り替わり、小金井市が責任を持つようになった。

 この「小金井市保健センター」、どのような事業を行なうのだろうか。「小金井市保健センター条例」の第3条に内容が記載されている。(1)から(10)まで列挙されているが、最初の(1)に「感染症予防に関すること」と記されている。つまり、小金井市保健センターは、感染症予防に携わるのである。

 「感染症予防」に携わるための職員体制はどのようになっているだろうか。8月17日の小金井市議会・行財政改革調査特別委員会に提出された資料によると、健康課で資格を有しているのは、「養育医療事業」「妊婦等相談事業」「母子・成人保健」「保健衛生事業」「歯科衛生士業務」となっており、「歯科衛生士業務」は「歯科衛生士」の資格を、それ以外は「保健師」の資格を有するとされている。しかし「感染症」という文字は、どこにも登場してはこない。つまり「感染症」に携わる担当職員はいないのである。

 「地域保健法」という法律がある。第3条1項では次のように明記している。「市町村は、当該市町村が行う地域保健対策が円滑に実施できるように、必要な施設の整備、人材の確保及び資質の向上等に努めなければならない」。

 また、第3条第2項では「都道府県は、(中略) 市町村に対し、前項」、「前項」というのは、第3条1項の、市町村における「必要な施設の整備」「人材の確保及び資質の向上等」のことであるが、この「前項の責務が十分に果たされるように、その求めに応じ、必要な技術的援助を与えることに努めなければならない」。次いで、第8条では「都道府県の設置する保健所は、(中略) 市町村の求めに応じ、技術的助言、市町村職員の研修その他必要な援助を行うことができる」と明記している。

 「地域保健法」のこの規定に従い、小金井市保健センターの機能を充実させるべきではないか。ウイルス感染症は10年周期で世界を襲うとされている。保健所に頼るだけでなく、小金井市保健センターも感染症に対応するべく人的体制を確保し、充実させるべきではないか。私はその見地から、9月7日(月)の本会議・一般質問で、市の考えを質した。以下が、その時の答弁である。

 「10年周期に対応できるところを目指すのか、何年単位での体制構築をするのかということはあるが、(庁内からの)応援体制でいくのか既存事業の大幅な見直しを行なえるのか、委託なのか、人的体制なのかについては、早急に方針を定める時期にきているものと、担当では考えている」(福祉保健部長)。

 「保健センターをいま、現時点でこうするというハッキリしたものはないが、第2波、長期的な対応を踏まえて、適切に対応できるものを構築していくべきと考えている」(健康課長)。

 この答弁を聞いて、私は“ホゥ‥”と思った。市役所内では、そこまでの議論が行なわれているのか。では、本丸の保健所についてはどうか。

 新型コロナウイルスの事態および経験からも、保健所の機能強化と増設は不可欠である。東京では、今から30年前の1990年に都内に保健所が71箇所あったが、現在は31箇所へと半分以下に減っている。小金井保健所もなくなり(1997年3月末)、府中市に置かれている多摩府中保健所が、小金井市を担当することになった。

 この多摩府中保健所が所管する区域は、小金井市を含めて6自治体(小金井市、武蔵野市 、三鷹市、府中市、調布市、狛江市)。抱える人口は103万2,700人となっている。100万人を超える人々を一箇所の保健所と、武蔵野市内に設置された1箇所の支所で対応している。

 しかし、103万人の住民をこれだけの体制でまかなうのは容易ではない。23区内にはすべての区に保健所が設置されているが、人口のもっとも多い世田谷区が人口91万7千人、ついで練馬区が73万9千人、3番目の大田区は73万4千人である。人口91万7千人の世田谷区には保健所の他に支所が5箇所、練馬区には支所が6箇所、大田区は7箇所あり、103万2,700人の人口を抱える多摩府中保健所がいかに過酷な状況に置かれているかは、これだけでも明らかである。

 9月7日(月)の本会議・一般質問で私は、次のように問うた。「小金井市保健センターの機能強化とともに、保健所の増設・拡充を東京都に求めるべきではないか」。答弁は、以下のようになっている。

  「多摩府中保健所は都内最大の管轄内人口で、また、管轄内の自治体も人口や面積の大小に特徴があり、地理的にも中央線沿線の自治体と京王線沿線の自治体、また、多摩川に接する自治体と、それ以外の自治体ということもある。そういった自治体間での保健所がどうあるべきかという意識は、異なるイメージを持っているとも考えられるところ。コロナも災害とは言えるが、風水害・地震などへの保健所としての対応はどうあるべきかとのパターンもさまざま考えられるところ。そういう課題をふまえ、本市で望ましい保健所のあり方については、本市の立場を明確にして、都との意見交換や連絡調整の場を活用し、要望等はしてまいりたい」(福祉保健部長)。

 「保健所は、分割のような形が良いのか、何らかの支所みたいなものを設けていただくのが良いのか、6市でのアンケート調査などの声かけをしていただいている自治体もあるので、6市の中での調整、都みずからの、どうあるべきかの検証を、各市の意見をききながら、一つの形にまとめていく段階にある」(健康課長)。

 この答弁も“ホゥ‥”である。新型コロナウイルスとの戦いの渦中のなかで、それぞれの自治体は「感染症への体制はこれで良いのか?」「これでは市民を守ることができない」と痛切に感じ取ったのではないだろうか。頑張れ!。東京都にも言うべきことは言うべし!。財源も人材も機材も大いに求めるべし!。私は心から、担当部局にエールを送る。

(2020年9月11日付)


『廃止』先にありきリサイクル事業所


画像 小金井市中町3丁目に、シルバー人材センター運営の「リサイクル事業所」という施設があった。「あった」と言うのは、8月末日で「廃止」されたからである。市の「ごみゼロタウン小金井」方針のもと、「リデュース(廃棄物の発生抑制)」「リユース(再利用)」「リサイクル(再生利用・再資源化)」を推進するため、長年、奮闘し続けてきたのである。

 小金井市は、この施設を、ことあるごとに廃止しようとしてきた。理由は「社会状況の変化のなかで、役割が終わったから」。しかし、私の目には「建物の維持費に金がかかるから廃止する」というふうに見える。なぜなら、役割が「終わった」どころか、この施設は「ごみゼロタウン小金井」の方針に合致した活動を展開しているからである。

 小金井市は、施設が置かれている場所が小金井市の庁舎建設予定地であることから、今後、建設工事に入ることを見越して、維持費のかかる施設を今のうちに終わらせようと躍起になっていた。その結果が今回、市民や議会を無視する暴挙となって現れたのである。

 小金井市議会建設環境委員会は、リサイクル事業所の存続・継続を求める市民からの陳情書を審査していた。8月4日の委員会でも、陳情書を審査していたのである。ところが8月4日の委員会審査の過程で、小金井市が前日の8月3日に、リサイクル事業所の廃止合意書をシルバー人材センター側と交わしていたことが明らかになった。議会での結論が出ていないなかでの「廃止」である。しかも廃止期日は「8月末日」だという。

 存続・継続を求める陳情書は、委員会では反対多数で不採択となった。しかし、9月1日の本会議では賛成多数で「採択」に。これが議会意思である。「市民の意見を聞く」「議会のみなさまと力を合わせて」と西岡市長は、ことあるごとに述べる。どの口からそんな言葉が出てくるのであろうか。言葉が実に軽々しい。

 9月議会の真っ只中である。建設環境委員会もあれば、予算委員会、決算特別委員会もある。あまりにも言葉の軽い西岡市長に、議会側が黙っているわけにはいかない。もちろん、環境部長も同罪である。いや、環境部長こそ「廃止」へのシナリオを操ってきた張本人ではあるまいか。ついでに言わせてもらえれば、我が横浜ベイスターズを3タテした罪も許せない。まずは建設環境委員会で火を噴くべし。

 9月1日の本会議で私は「現リサイクル事業所の存続を求める陳情書」への賛成討論を行なった。以下が、その時の討論内容である。

陳情書への賛成討論

 日本共産党小金井市議団を代表して、本陳情書への賛成討論を行ないます。
 冒頭、私は小金井市のやり方に、強い憤りを覚えるものです。小金井市は、本陳情書を審査していた建設環境委員会のメンバーに一言の説明もなく、リサイクル事業所を閉鎖するための協議をシルバー人材センターと重ね続け、こともあろうに、建設環境委員会が開かれた8月4日の前日、すなわち8月3日に、リサイクル事業所を閉鎖するための「解約合意書」を交わしてしまいました。しかも、閉鎖期日は「8月末」となっています。
 このことは、委員会冒頭での説明がなく、私・板倉真也の質疑のなかで明らかにするという事態です。建設環境委員会の正副委員長さえも事前に知らされず、しかも、本日の本会議での採決はもとより、委員会での採決すら行なわれていない中での「解約合意書」の取り交わしです。陳情者を無視し議会をも軽視するやり方に対して、日本共産党市議団は断固、抗議するものです。ただちに解約合意書を改め、リサイクル事業所の再開を求めるものです。
 そのうえで、陳情書に賛成する理由を以下に述べます。
 日本共産党小金井市議団が本陳情書に賛成する第一の理由は、地球環境を保全するという観点から、廃棄物の発生抑制・再利用・再資源化の、いわゆる「3R」を推進し、ゴミを発生させない取り組みを推し進める必要があるからです。小金井市も同様の観点から今年3月に策定した「一般廃棄物処理基本計画」で、この3Rの推進を掲げ、「循環型都市『ごみゼロタウン小金井』」をめざしています。リサイクル事業所の存続と充実は、小金井市がみずから掲げた基本計画に沿うものとなっています。
 理由の第二は、ゴミの処理施設を他の地域に依拠せざるをえない小金井市において、ゴミの排出量を抑えることが求められているからです。小金井市が今年3月に策定した「一般廃棄物処理基本計画」および今年度の「一般廃棄物処理計画」でも「リユース(再利用)」の必要性を明記し、6月12日の建設環境委員会での質疑においても担当課は「『リユース(再利用)』は、小金井市民の燃やすゴミ、燃やさないゴミに限らず、減量に寄与する」と明確に答弁しています。
 理由の第三は、リサイクル事業所の役割は高くなることはあっても、けっして低くなるものではないからです。リサイクル事業所は毎年、多くの方々に利用され、再利用をしてもらうために市民から持ち込まれる量も一定数あり、販売個数でいえば毎年1万3千点余、重さでいえば毎年80トン前後にのぼります。これほどの量のものが再利用・再生利用されているからこそ、小金井市民の排出するゴミの量は抑えられているのではないでしょか。
 敷地内の建物の改修工事や電気系統の工事など理由はあるにせよ、リサイクル事業所を「一時お休み」ではなく「閉鎖」するというのは、小金井市がみずから策定した計画にうたわれた「3R」に、真正面から反するやり方です。このことを指摘された担当部局は、二枚橋に建設する清掃関連施設内へ「再配置する」と述べました。しかし、清掃関連施設内に「再配置」されたモノは「年数回のイベント販売」されるのみで、リサイクル事業所のように常設販売ではありません。そのうえ、リユース(再利用)できるものを市民が持ち込むことや、小金井市が市民から集めることも想定されてはいません。みずから策定した計画に背くものであり、到底、認められるものではありません。
 リサイクル事業所内に置かれているリサイクル品の扱いについても問われてまいります。8月末で閉鎖となれば、残されたリサイクル品は廃棄物として処分される可能性が出てきますが、担当部局は8月4日の答弁で「売り切ることを求めている」と述べました。8月末までのわずか1カ月足らずの間に、所狭しと置かれている品物を「すべて売るように」と言ってのける感覚が信じられません。ここでも「一般廃棄物処理基本計画」に反して、使えるものが、あっさりと「廃棄物」にされてしまうのではないでしょうか。これのどこが「循環型都市『ごみゼロタウン小金井』」だと言えるのでしょうか。
 小金井市のこの間の対応および議会答弁で見えてくるのは、ただ一つ。「リサイクル事業所は廃止する」ということのみです。陳情者からの説明や議会質疑で、小金井市がみずから策定した計画に反していること、他の自治体では常設型のリサイクル事業所やショップが多いこと、小金井市のリサイクル事業所が「3R」に十分な役割を果たしていること、および、さらなる充実が求められていること――などを事実や資料を示してどれだけ指摘しても、小金井市はリサイクル事業所を閉鎖するための答弁に終始し、あげくには「リサイクル事業所の役割は終わった」と、事実から目を背け、既定方針に沿った答弁を繰り返すありさまです。市民から選ばれた議会人として、このような小金井市の姿勢は、断じて認めるわけにはいきません。
 ただちにリサイクル事業所を再開するとともに、庁舎建設工事などでやむなく閉鎖せざるをえない事態がやってくることを見越して、市民が利用しやすい駅から近い場所に、常設のリサイクル事業所・リサイクルショップを早期に開設することを強く求めるものです。
 すべての方々が本陳情書に賛成され、小金井市がみずから策定した「一般廃棄物処理基本計画」をすすめるための取り組みが充実されることを切に求め、本陳情書への賛成討論といたします。

(2020年9月7日付)


しゃにむに『実施設計』へ


 「実施設計をすすめていきたい」と西岡市長は述べる。スケジュールでは、たしかに今年度から新庁舎・(仮称)新福祉会館建設に向けた『実施設計』へと向かうことが明記されている。しかし、小金井市が2月から3月にかけて実施したパブリックコメント(市民意見公募)では数多くの意見・要望が寄せられ、議会からも7会派・14人の議員から文書で意見・要望が寄せられている。

 この意見・要望は基本設計に対するものであり、パブリックコメントや議会の声を反映させるのであれば、まずは基本設計を見直すという作業になるべきであろう。しかしそうはならず、スケジュールどおりにすすめるというのである。

 パブリックコメントや議会の声でもっとも多かったのは、◎『小金井ひろば』の位置の見直しや面積拡充、◎福祉会館も庁舎と同じ免震構造にすべき、というものである。これに対しては「工期および建設費用等を比較して耐震構造を採用している。免震構造にした場合は8億円の経費増となり、福祉会館の早期竣工が難しくなる。実施設計も半年程度長くなり、外構部の形状も変わってくる。第二庁舎の賃貸借契約期間にも影響してくる」との説明があった。ようするに、経費やスケジュールの関係から「ダメ」というのである。

 一方、『小金井ひろば』に対しては、基本設計委託事業者選考委員会から「より市民の皆さんからの納得感が得られるものとなるよう、さらなる検討を」との意見が出ていることから、「実施設計において、敷地北西の広場面積を広くできるよう検討をすすめていく」との説明があった。つまり、実施設計のなかで見直し可能なもののみ対応するというスタンスである。これではなんのために、基本設計に対するパブリックコメントを行なったのかといわざるをえない。

 「建物の完成が遅れてもいいのか?」と述べる人がいるかもしれない。ならば問う。パブリックコメントとはいったいなんぞや。市民から広く意見を募るために行なっているのではないのか。そのパブリックコメントでは数多くの意見・要望が出され、建物構造のあり方や広場のありかたに対するものが実に多い。それを反映させなくて、どうしてパブリックコメントなのか。先にスケジュールありきでは、意見を寄せた市民に対して失礼である。

 工事経費に対しても、懸念される事態となっている。建物の建設費は、プロポーザルの技術提案書で示された時点(2018年12月)よりも10億円近くも増加しており、今後もアップすることがありうると、担当課長は3月16日の予算特別委員会で答弁している。

  西岡市長は「コスト削減に努める」とは言うものの、5月14日(木)の庁舎及び福祉会館建設等調査特別委員会で「建設コストの上限というものを念頭に入れているのか」とただしたところ、担当課長は「条件は設けていない」と述べた。「実施設計を練り上げている最中に、さらなる建設コスト上昇の事態が免れないとなった場合でも、そのまま実施設計を続行するのか」と問うても、「コスト削減に努める」の一点張りであった。ならば立ち止まり、パブリックコメントの意見を踏まえて、建物形態や構造含め、経費節減を視野に検討し直すべきである。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、今年度の税収含めて今後の財政状況は厳しいことが想定される。世田谷区では区の庁舎を来年2月に着工予定だったが、区の財政への影響が見通せないことから、庁舎建て替え工事の入札を延期した。「かつて経験したことのない財源不足に陥る可能性がある」と区長の言葉が報道されている。小金井市も例外ではない。

 そのため私は5月14日の特別委員会で「今年の秋口に示される『今後の財政フレーム(財政計画)」を見て、経費節減に向けた構造計画の見直しや小金井ひろばの充実へと舵取りを改め、そのうえで、実施設計含めた今後の判断を行なうべき」と主張した。西岡市長は「そのことは当然、考えなければならない」と述べつつも、「設計作業については、すすめさせていただきたい」の繰り返しであった。

 5月14日の特別委員会に向かうまでの間に、西岡市長のなかには葛藤があったのではないだろうか。というのは、3月24日に開かれた第12回庁舎等複合施設建設庁内検討委員会の会議録に、西岡市長の注目すべき発言があるからである。西岡市長は次のように述べている。「(6会派9名から及び1会派5名からの)申し入れに関しては、パブリックコメント、市民説明会でいただいた市民のご意見を踏まえたものであるとともに、市議会との合意形成という面からも重く受けとめなくてはならない。よって、判断に当たっては熟慮を要する」。

 これに対して、出席者から質問が出ている。「申し入れを受けるとした場合、設計料が増になるのではないか。実施設計の費用を当初予算に計上しているので、申し入れを受けることは難しい」。これに対しては「一定の作業を要することから、所要経費を求められることは考えられる」との発言が記載されている。また、市長の発言を受けて次のような質問も出ている。「構造計画を見直すことは可能なのか」。これに対しては「設計者の回答は、市がどう考えるかということであった」。

 推測である。市長は3月24日の庁内検討委員会で「重く受けとめなくてはならない」と述べたものの、その後、関係部署からハレーションが沸き起こり、軌道修正を行なったのではないか。いずれにしても、西岡市長の心は揺り動いていたのである。

 議会では共産党や公明党、自民党から様々な意見が出された。ところがこの意見を「雑音」と言い放った議員がいる。しかし、この議員にとっては「雑音」に聞こえる意見・要望に対して、3月24日の庁内検討委員会で西岡市長は「パブリックコメント、市民説明会でいただいた市民のご意見を踏まえたものである」と評価しているのである。「雑音」と言い放った議員は、パブリックコメントや市民説明会での意見・要望も「雑音」と位置づけたに等しいことになる。この議員は、自身の資質が問われることになる。

(2020年5月14日付)


優先整備2路線に対する西岡市長の欺瞞的対応


 私は、小金井市の西岡市長を「15代将軍と同じ『二心者』」と称してきたが、小池都知事が具体化しようとしている小金井市内を走る優先整備2路線への対応も『二心者』と呼ぶにふさわしいと考えている。

 西岡市長は、2期目をめざす昨年12月の市長選時の配布物に「市民が望まない道路は作らせない」との公約を掲げた。ここでいう「道路」とは、東京都が指定した優先整備2つ線の都市計画道路3・4・1号線と3・4・11号線のことである。この2つの都市計画道路を「作らせない」と公約し、2020年度の施政方針では「適切に対応する」と表明した。では、その真意はいかに‥。

 私は2月23日の施政方針質疑で、「作らせない」ために市長はどのように行動するのか?と質した。しかし、西岡市長の口からは明確な答弁は聞かれなかった。

 施政方針質疑で私は、次のように具体的な質問を行なった。「小金井市は2年後を目途に新たな都市計画マスタープランを策定する。そこで問われるのは、庁内検討委員会が優先整備2路線に対して、どのような素案を準備するのかということになる。『作らせない』ということであれば、両路線とも『必要なし』という結論に立った記述になると理解してよいか。西岡市長は担当部局に、どのような指示をされるのか」。

 ところが、西岡市長は質問に真正面から応えず、3千人を対象に行なう市民意向調査がこれから行なわれるので、それを参考にしていくと応えるのみであった。3月12日の建設環境委員会でも再度、市長に見解を求めたが、施政方針質疑の答弁の範囲を出るものではなかった。

 しかし、3月12日の建設環境委員会では、注目すべき答弁が担当部局から示された。私は、2019年9月24日の予算特別委員会で都市計画課長が「東京都の区域マスタープランには、具体的な小金井市の一つ一つの都市計画道路の方針までは記載されていない。都市計画マスタープランに当該の路線について記載したとしても、区域マスタープランには縛られないものと考えている」と述べたことを紹介し、次のように質問した。

 「小金井市は都市計画マスタープランの見直しを行なおうとしているが、現行の内容と異なる表現をしても問題ないと理解してよいか」。これに対して都市計画課長は「異なる表現があることもありえると考えている」と答弁した。

 都市計画マスタープランの見直し作業の手順は、3千人を対象とした市民アンケートの結果をふまえながら、まず、庁内検討委員会が開かれ、次いで公募市民を含めた策定委員会の開催となる。その繰り返しが2年間行なわれるものとなる。つまり、庁内検討委員会が先行するのである。だから私は「担当部局がどのような素案を準備するのか」と問うのである。

 西岡市長は、昨年12月市長選挙で「作らせない」と公約した。ならば「担当部局には『両路線とも必要なし』との文案を作成するように指示する」と明確に答弁すべきであろう。しかし、西岡市長は明言を避け続けている。なぜか。

 西岡市長は、もともと自民党側の人間であった。小金井市議会議員時代は自民党に推された稲葉孝彦市長の与党席に陣取り、市長提案の議案に全て賛成するという生粋の自民党側の人間であった。しかし都議会議員になるために、登り上昇中の民主党側に身を委ね、「革新的」イメージを装って、自民・公明市政に批判的な有権者の支持を集める戦略をとっていった。そしてその流れのなかで、4年前の市長選挙で初当選したのである。しかし、西岡市長の応援団には市議会議員時代からのつながりも多く、そのことから、保守層からも、自民・公明陣営に批判的な層からも支持を集める構造を敷くことになるのである。つまり、優先整備2路線に「反対」の支持層からも、「賛成」の支持層からも支援される位置にいることが、西岡市長には求められているのである。

 そのため、昨年12月の市長選挙の公約では「作らせない」との大きな見出しを掲げつつも、説明文では「市民の理解や環境への配慮が十分ではなく賛同できません」「市民の理解を深めるための意見交換の機会を継続するよう東京都に求めます」「市長が了承しない限り、事業化しないよう都知事に求めました」にとどめて、「反対」「賛成」という明確な記述を避けたのである。しかも「あくまでも自分は第三者」的な表現にして、自分に責任がこないようにしているのである。

 「都市計画道路のことは東京都が決めること」というのが、これまでの西岡市長の見解であった。そのため「あくまでも自分は第三者」となっているのである。しかし3月12日の都市計画課長の答弁で局面は変わった。「小金井市が独自の表現を行なうことは可能」となったからである。

 西岡市長に今後突きつけられるのは「作らせない」というのであれば、庁内検討委員会にどのような素案作成を指示するのか――――。のらりくらりはもはや、通用しない。

(2020年4月7日付)


膨らむ新庁舎・新福祉会館建設費


 2021年9月に工事着工が予定されている新庁舎・(仮称)新福祉会館の建設費が、当初の計画よりも膨れ上がっている。プロポーザルの技術提案書で示された時点(2018年12月)よりも10億円近くも増加しているのである。

 予定される形状・新庁舎と新福祉会館をL字型に重ね合わせる構造は、建設コストが高くなるといわれており、その額は技術提案書時点で74億7,602万9千円と算出されていた。ところが1年余の間に金額は膨れ上がり、基本設計(案)が示された今年2月時点では、概算で約84億4千万円にのぼっている。理由は、建設資材や労務単価が上昇しているからだという。約10億円も膨れ上がった建物を、このまま計画どおりにすすめていいのか?。このことがいま、問われている。

 3月16日(月)の小金井市議会予算特別委員会で私は、次のように主張した。「今月13日の庁舎及び福祉会館建設等調査特別委員会で担当課長は、今後の財政フレーム(財政計画)を示せるのは『今年の秋口』と答弁した。御存知のように、新型コロナウイルスの感染が世界中に広がっており、日本を含めて世界経済は大きく後退すると指摘されている。そのことによる影響は、2021年度、つまり1年後の個人市民税、法人市民税に出てくることになる。財政フレームが示される今年の秋口は、実施設計がすでに佳境に入っており、税収の大幅減が確実視される来年の春には実施設計が終了し、あとは9月の建設着工に向けた準備に入ることになる。しかも、建設コストがさらにアップすることがありうる。なぜなら、建設資材の大部分を中国から調達しており、今回の新型コロナウイルスの影響がコストアップにつながる可能性が否定できないからである。つまり、建設着工が行なわれる2021年度、つまりは来年の4月以降の税収は大きく落ち込むことが確実視されているのに、建設コストはいま示されている以上にアップする可能性が高く、もしかすれば、来年9月の工事着工自体が、税収の大幅減とコストの大幅増を前に、身動きできない事態になるのではないかということ。しかも、L字型のように『重ね合わせる』手法は、コストが高くなるとされている。このまますすめてよいのかが、いま、まさに問われているのではないか」。

 そのうえで私は、次のように質問した。「少なくとも、新型コロナウイルスによる小金井市の税収への影響をふまえた財政フレームが示されるまでは、実施設計に入ることを『留保』すべきではないか。立ち止まって、建物の形態やコストを含めて、しっかりと考え直す時ではないか。そうしないと、イザッという時に、前へも後ろへも動くことができない事態を迎えることになる。私はそう思うが、どうか」。

 しかし答弁は「予定どおりすすめていきたい」(担当課長)、「税収への影響は庁舎建設にとどまらず、市の施策全体に関わってくる。しかし、実施設計はすすめていく」(市長)というものであった。

 そのため、日本共産党市議団は新年度予算の組み替え案を提出し、西岡市長が提出した予算のどこに問題があるのか、どうあるべきなのかを明確な形で提示。組み替え案が否決されたことから、西岡市長の予算原案に真正面から反対した。

 2月19日から始まった第1回定例市議会は、2月27日の安倍首相の「一斉休校」発言で、議会日程が一変した。3月2日(月)から一週間、休会となり、委員会は午前に一つの委員会、午後に別の委員会を入れるという前例のない措置がとられた。6日間くんでいた予算特別委員会は3日間に短縮され、おおよその持ち時間制も敷かれた。そのうえで最終本会議は当初計画どおりに3月24日に設定。「一斉休校」と新型コロナウイルス対応に全面的に協力するためである。

 こうしたなかで、当初予算の組み替え案作成に手を着けるのは、けっこう勇気がいることであった。なにしろ時間が少ない。予算特別委員会で我々が主張したことを中心に入れ込むことから、走りながらの作業となるからである。

 今回は断念するか?‥ちらりと頭をよぎったが、たとえ組み替え項目が少なくなろうとも、我々の考え方を明確にすることは必要と決意し、準備に入っていった。幸い?にして、夕方には議会を終えることが確認されていたことから、議会終了後の時間帯を作業に当てることができた。

 PDFファイル「2020年度一般会計予算組替え動議」
 PDFファイル「2020年度一般会計の予算組み替え項目」

(2020年4月6日付)


安倍首相『全小中高への休校要請』


 学校の一斉休校はあってしかるべきだと、私は思う。しかし、あまりにも唐突すぎる。これでは、現場はたまったものではない。だれもがそう感じたことだろう。

 安倍首相が2月27日(木)午後、突如打ち出した「全国すべての小中学校、高校、特別支援学校の3月2日から春休みまでの臨時休校要請」は、学校現場や自治体、保護者を驚愕させるものであった。3月2日(月)は目前、土・日を除くと、準備期間は28日(金)の一日しかないからである。

 学童保育所や保育園は対象にしないという。“だから、親が働いていても子どものことは大丈夫”というのが安倍首相の考えなのかもしれない。しかし、現実はそうではない。学童保育入所対象外の家庭では、子どもが学校に行っている間に親がパートなどで働いているケースが多いのである。

 ならば子どもたちは児童館などへ行けばよいのか?。公園などで遊べばよいのか?。しかし政府の指示は「人の集まる場所等への外出を避け、基本的に自宅で過ごすように」というものである。親はパートやアルバイトに行かずに、自宅で子どもの面倒を見ろと言っているに等しい。

 現場を無視した安倍首相の突然の発表を聞き、私はまず思った。学童保育所は朝から対応できるのか?。小金井市では半数の学童保育所が社会福祉法人やNPO法人に委託されている。朝からの開所は春休みや夏休み、冬休みを除けば、土曜日のみである。いきなり3月2日の月曜日から土曜日と同じように体制をとってくれと言われても、職員体制が確保できるのだろうか。次に思ったのは、学校給食が出ないということは、学童保育所の親御さんは弁当を用意しなければならないし、親が出かけても留守番ができるという子どもに対しても、昼食は用意しておかなければならない。当然に、パート・アルバイトに行けなくなる親も出てくるであろう。

 学校給食の食材はすでに発注しているのではないか?。キャンセルは可能なのか?。キャンセルされた業者は、どんな状況に陥るだろうか・・・。しかも、小金井市の場合は中学校全校で給食調理が委託。小学校も半数が委託。雇用されている委託職員はどうなるのだろうか。3月から春休みが明けるまでの一カ月余、給料は支払われるのだろうか。

 どの自治体も、2月27日(木)の安倍首相の突然の発表に耳を疑うとともに、わずか28日(金)のみという保護者や教育現場への対応に追われた。

 小金井市は28日(金)午前9時から市長・教育長を中心に対策会議を開催。おりしも小金井市議会の第一回定例会真っ只中。28日(金)は一般質問の3日目を迎えていた。午前9時過ぎ、市議会議長・副議長、議会運営委員長・副委員長の4者が当初予定の9時30分からの打ち合わせを前倒しで開催。「今日の議会開催は難しいかもしれない。その場合は、どうするか」と意見交換。9時30分、議長室に市長、副市長、教育長が訪れ、「本日と3月2日の2日間の休会」を要請。前述の4者は「休会」要請を議会運営委員会に諮ることで合意し、10時の本会議開議宣告後、議会運営委員会を開いた。議会運営委員会では若干、質問は出されたが、休会を了承し、その後の本会議で議決された。

 小金井市の方針はおおよそ、次のようになっている。3月2日(月)から春休みに入るまで臨時休校とし(小学校は23日まで、中学校の3年生は18日まで、中学校の1・2年生は24日まで)、小学校の3月24日(火)の修了式と翌25日(水)の卒業式は実施。中学3年生の3月19日(木)の卒業式も実施。中学1・2年生の3月25日(水)の修了式も実施とする。ただし、小学校の卒業式も中学校の卒業式も「参列者を減らし、時間短縮する方向」。

 学童保育所は開所するが、午前8時30分から11時30分までは学校の教室等で「自習」。学年ごとに部屋を分け、教職員を配置する。体育館も使える方向だという。弁当は各自、持参となる。議会からは「パートやアルバイトに行っている家庭の児童受け入れを行なうべき」との意見が出されたが、「これでしばらく状況をみてみたい」と教育長の言。児童館・公民館・図書館を朝のうちから開けてもらうという。まずは、これでスタートしたいと述べる教育長や学校教育部長は、政府の突然の動きに当惑を隠せない状況であった。

 これで終わったわけではない。今後の議会日程をどうするか・・・。午後2時から前述の4者が議長室に集まり、眉間にしわを寄せる。そして一つの「案」を準備し、会派代表者会議に臨んだ。

 →3月2日(月)から6日(金)を「休会」とする。→9日(月)と10日(火)を一般質問。→11日(水)が議会運営委員会、その後、厚生文教委員会。→12日(木)が建設環境委員会、その後、総務企画委員会。→13日(金)が行財政改革推進調査特別委員会、その後、庁舎及び福祉会館建設等調査特別委員会。→16日(月)、17日(火)、18日(水)が予算特別委員会。→19日(木)が本会議の予備日。→23日(月)が議会整理日。→24日(火)が最終本会議────
この「案」が、意外にすんなりと受け入れられた。「非常事態」という状況が疑いのない有り様で目の前に広がっているからである。ただし、委員会の終了時間や質疑のあり方は、各委員会に委ねられることとなった。

 今後の議会日程をとりあえずは決めたものの、新型コロナウイルスの今後の感染状況によっては、再度、見直しが迫られる事態を迎えることになる。部課長や議員の中に感染者が出た場合は、議会開催そのものが中止となってしまうであろう。考えたくはないが、その場合の対応も検討しておく必要があろう。感染者となるのは、もしかしたら私?。だれが感染してもおかしくない事態を迎えている。

(2020年2月29日付)


駅前開発と児童生徒数の相関性


 来年5月竣工予定で、武蔵小金井駅南口第2地区再開発事業が進められている。地上24階建てと26階建ての2つのタワービルが登場し、地権者47戸含めた総戸数716戸が出現する。再開発事業を手がけている大手不動産の広告チラシによると、今年9月中旬からマンションの販売が始まり、来年6月中旬に引き渡たされるという。

 716戸といえば、最低でも2千人は暮らすことになる。同時に、小中学校に通う子どもたちも相当数、このマンションに住むものと思われる。区域内の第一小学校や第二中学校の受入れ体制は大丈夫なのか、児童生徒数の増にともなう教室確保は可能なのか等、この間、様々な角度から私は質問をしてきた。ところで‥‥。

 9月定例市議会の一般質問で、村山ひでき議員が南口第2地区再開発事業の概要を述べた。そのとき私は“まてよ‥”となった。さらなる疑問が浮かんできたのである。

 6月中旬にマンションが買い手に引き渡たされるということは、年度途中から第一小学校と第二中学校の児童生徒数が増えるということである。年度途中から児童生徒数が増えた場合、年度途中でのクラス増、教員増は果たして可能なのだろうか‥‥。

 市教育委員会に問い合わせてみた。回答は「小中学校の学級編成は4月7日時点の児童生徒数で決められる。それに合わせて教員数も決まっていく」。つまり、年度途中にいくら児童生徒数が増えても、4月7日時点の学級数で一年間、すすめられていくというのである。

 東京都の学級編成基準は以下の通りである。(1)小学校1年生は「35人」、(2)小学校2年生と中学校1年生は「35人もしくは少人数指導やチーム・ティーチングによる教員の加配」、(3)それ以外の学年は「40人」。つまり、学級によっては40人を大幅に超える事態が出てくるということ。しかもその状態が年度末まで続くのである。

 そのことは市教育委員会も懸念していた。しかし担当者は述べる。「南口第1地区再開発事業で同じようにタワーマンションが誕生したが、思ったよりも児童生徒数は増えなかった。分譲マンションの価格が高かったことから、ファミリー層が思ったほどに入居しなかったため。逆に、第三小学校区域の5千万円クラスの戸建て住宅に、ファミリー層が多く入居してきている」。

 大手不動産の広告チラシに目を移す。2つのタワーマンションの販売価格は「未定」となっている。しかし、国分寺駅北口のタワーマンションは専有面積1㎡あたり100万円といわれており、この基準で計算すると、武蔵小金井駅南口第2地区再開発のタワーマンションはワンルーム形式で3,403万円、4LDKならば9,655万円となる。この他に、駐車場や自転車置場、バイク置場は全て有料、管理費なども月々、必要になる。

 こうしてみると、市教育委員会が述べるように、思ったほどには児童生徒数は増えないのかもしれない。だが、市教育委員会は述べる。「入居が始まってみないと、実際のところはわからない」。不安を抱えながら、市教育委員会は来年6月を迎えることになる。

(2019年9月13日付)


議員定数削減で喜ぶのは誰か


 現在開かれている小金井市議会6月定例会に、小金井市議会の議員定数を2人削減する条例が提出された。議員提案によるもので、提案者は湯沢綾子議員(自民党・信頼の小金井)、宮下誠議員(公明党)、渡辺大三議員(情報公開こがねい)の3人。現行定数24人を22人にするというものである。

 提案者は削減理由をこう述べる。@市役所の職員数が18年間に284人削減され、一定の努力がされている。Aしかし、議員定数は2001年の市議選以降変化がなく、議会の自覚が問われている。B多摩26市のなかで人口11万〜12万人の自治体では議員定数が22人となっている。C他市なみに議員定数を抑え、市民サービスの財源を確保すべき───。

 この理由を聞きながら、私はこんな疑問を持った。第一に、議員・議会の役割はなんなのか、ということである。市役所には膨大な業務や情報がある。この間の地方分権一括法で多くの業務が国や東京都から下ろされ、毎年のように新たな施策が確立され、制度の改定も行なわれている。プロ集団である市役所職員であっても、一つひとつ支障なくこなすのに四苦八苦しているのが実情である。あってはならないことだが、実務上のミスや条例・規則に反した業務運営もこの間、指摘されている。この膨大な市役所業務を市民の立場に立って様々な角度からチェックし、市民の利益のために改善させていくのが我々市議会議員なのではないか。様々な角度からチェックし、多くの眼で一つひとつを見定めていくべきであるのに、その眼、角度を減らしてしまっていいのか。

 第二に、職員数が減ったというが、正規職員を減らした代わりに非常勤嘱託職員や臨時職員は増えている。正規職員を減らしたからといって業務を無くすわけには行かず、民間委託も行なわれてはいるが、業務を放棄しているわけでもない。事業・業務を自治体の責任で確実にすすめなければならないからである。では、議員数を減らした代わりに、だれかが議員に代わって市民の立場で頑張るのか?、議員が果たすべき役割を民間委託で誰かに担ってもらうのか?────。そんなことはあり得ない。議員が頑張らなければならないのである。

 第三に、議員定数削減条例の提案議員は、いずれも「行革」推進派である。この間、国保税の増税、介護保険料の引上げ、がん検診の有料化など、市民負担が次々と行なわれているが、情報公開こがねいの議員を除いては、市長提案にのきなみ賛成している。加えて、莫大な財源を投入する駅前大型開発にも、もろてを上げて賛成するだけでなく、行政の尻をたたくことまで行なっている。では自民党や公明党に聞きたい。2人削減したら、市民負担増には今後賛成しない、莫大な財源を必要とする駅前開発も取りやめるのか?。「財政が大変」という小金井市の主張に呼応して市民負担増を押し進めながら、一方で大型開発を推進する────。結局、駅前開発の財源を確保するために、市民負担増を行なっているのである。「議会も身を削るから、市民も負担増を我慢せよ」という流れである。

 議員定数が削減されたら、誰が喜ぶであろうか。真っ先に浮かぶのは市長の顔である。市民負担増の提案や大型開発の予算を提出しても、議員数が減れば口数が減り、議会の審議時間も減る。条例や規則に反した業務運営が行なわれていたとしても、議員数が減る分、チェック・監視する力量が減り、気づかずにそのまま進むことがありうる。そのことで一番被害を被るのは、小金井市の主人公である市民である。

 もう一度述べるが、自治体の業務量は増えることはあっても減ることはない。民間委託を行なっても、業務遂行の責任は自治体側にある。膨大な事務量・業務量をだれが市民の立場に立ってチェックするのか────、その観点が、議員定数削減を標榜する側には欠落している。

(2019年6月10日付)


自衛隊員適齢期名簿の閲覧提供


 2月13日の衆院予算委員会での「(自衛隊員募集に際して)6割以上の自治体は法令に基づく防衛大臣の求めに応じず、資料を提出しない」の安倍首相の発言は、憲法9条改悪を狙う安倍内閣の本質を示すものとして見過ごすことができません。

 安倍首相は根っからの改憲論者。74年前まで続いた日本の侵略戦争を「やむにやまれぬ戦い」「聖戦」と述べ、日本の軍備力増強と日米軍事同盟強化を推進。2014年にはアメリカ軍と自衛隊が一体となった武力行使を念頭に、集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行し、2015年には集団的自衛権行使のための法律・安保法制(戦争法)を、国民多数が反対するなかで強行成立させました。

 憲法無視、解釈改憲をゴリ押しする安倍内閣の姿勢が鮮明になりはじめたあたりから、自衛官の採用数が定員を割り込み、防衛大学校卒業時の任官辞退(拒否)者数も増加しはじめました。そのため安倍内閣は、自衛隊入隊適齢期の名簿を入手するために地方自治体に名簿提供を求めるようになり、「閲覧」ではなく、名簿そのものを交付するよう圧力をかけるようになりました。その最たるものが、冒頭の発言です。

 しかし、どの法律、どの条文を見ても、地方自治体が自衛隊・防衛省に若者の名簿を提供しなければならないといった義務規定はありません。「閲覧」自体も、住民基本台帳法では「できる」というものです。ですから、安倍首相が「法令に基づく防衛大臣の求めに応じず、資料を提出しない」といくら叫んでも、閲覧や提供に応じないこと自体に、なんら問題があるわけではありません。ここには、安倍首相の焦りを見て取ることができます。

 私は、3月の小金井市議会予算特別委員会で法律や条例を紹介し、地方自治体が「閲覧」に応じなければならない義務規定が存在しないことや、応じなくとも罰則はないことを明らかにさせる論戦を行ないました。その概要をPDFファイルにまとめましたので、ぜひご覧ください。

 安倍内閣になって、日本という国がどんどんキナ臭い方向へすすんでいます。自衛隊の若者を戦場へ送る安保法制の発動をくい止め、憲法改悪を許さないためにも、小金井市などで行なわれている自衛隊・防衛省への名簿閲覧自体をやめさせる取り組みが求められます。

(2019年4月13日付)

  ※PDFファイル「自殺等で裁判が起きている自衛隊への名簿閲覧」


4月から個人情報集積の市民課窓口を委託


 3月26日の市議会最終本会議で2019年度予算が賛成多数で可決・成立したことから、小金井市で初となる窓口委託が、市役所第2庁舎1階のフロア案内業務と市民課内での郵送請求業務を皮切りに開始された。

 市民課は個人情報が集積された場所である。住民基本台帳や戸籍、マイナンバー情報が蓄えられ、わずかな情報でも外部に漏洩すれば、市役所の信用は失墜する。よって、そこで働く職員の個人情報に対する接し方は十分すぎるほどに慎重さが求められる。

 市役所といえども人事異動は毎年ある。しかし、業務の遂行能力・体力を維持向上させる観点から、人事異動は必要最小限にとどめ、業務遂行に支障が生じないように最大限の注意がはかられる。だから市役所業務はつつがなく持続・継続するのである。

 小金井市は委託する理由に(1)窓口に民間事業者のスタッフを常時配置することで、受付までの待ち時間を削減することができ、最終的には来庁者にお帰りいただくまでの時間を短縮することができる。(2)市職員の人事異動や退職にともなう力量低下の影響を抑えることができる。(3)民間ならではの接客技術を発揮できる。(4)労務管理コストの大幅削減になる────をあげる。しかし、いずれもこの間の論戦で市が述べる委託の優位性が崩れ、しかも、3月議会に提出された経費比較では、委託した方が経費増となることが明らかとなった。加えて、個人情報持ち出しの不安や偽装請負の懸念が指摘され、そのことから「市民にとって、委託のメリットは一切ない」と酷評されるものとなっているのである。

 懸念材料が山積の窓口委託であるにもかかわらず、問題点を指摘し続けているのは日本共産党市議団だけとなっている。偽装請負の懸念を述べた自民党議員はいるものの、委託に反対する立場からのものではない。子どもにかかわる事業の委託では厳しい意見を述べる野党系の議員も、窓口委託では何も言わず、従来、委託で経費増となる場合には「問題だ」と指摘していた議員も、今回はだんまりを決めている。実に不思議な議会風景である。

 市民課窓口の委託化に対する議会の反応をみる中で、私は、12月の市長選挙の構図を見る感がする。そのことは、2019年度予算への賛否を見ても思うところである。

(2019年4月6日付)

  ※PDFファイル「4月から個人情報集積の市民課窓口を委託」


西岡市政は前市政と中身は同じ


 西岡真一郎氏が市長になって3年4カ月が過ぎた。市長選挙では民主党が全面的に支援したこともあって、少なくない人が市政の流れは変わるのではと期待したことであろう。しかし実態はどうか。税金を費やす駅前開発を推進し、市民負担増・市民施策縮減の「行革」を推進。自民・公明の前市政と変わるところはないと気がついた人も多いのではないだろうか。

 違うところがあるとすれば、前市政は、蛇の目跡地での新庁舎建設に乗り気でなかったことと、前市政は議会の数を背景に、一気に「民間委託」を推し進めていったというところ。一方、西岡市政は「6施設複合化」という途方もない構想をぶちあげたあげくに頓挫し、福祉会館と新庁舎の複合化という現実的なところにようやく着地。それでも、リース庁舎からの脱却スケジュールを明確にしたことは評価できる。「行革」では自民・公明から「進みかたが遅い」と揶揄されるものの、施策縮減・負担増をさらに進め、市長選挙で自身に投票してくれたと思える人をも退ける市政運営は、前市政に負けずと劣らずである。ただし「八方美人」は、いただけない。声の大きい方に揺れ動く有り様は、現場を右往左往させるだけである。

 3月定例会最終盤、西岡市長が編成した新年度予算案が賛成多数で可決された。大方の見込みは「暫定予算」、少なくとも一年前と同様に、自民・公明が予算組み替えを提案し、市長与党会派を組み替え案に賛成させて予算成立という流れであった。ところが自民・公明は組み替え案を出さず、「付帯決議」なるものを提出した。「付帯決議」とは、決議に明記された内容を西岡市長が受け入れるならば、当初予算に賛成しますよという、いわば当初予算に賛成するための条件、当初予算とセットのものである。ところが、この「付帯決議」が否決されてしまった。一方、当初予算は、付帯決議を採決する前の時点で、自民・公明も賛成するなかで可決・成立しているのである。

 なんだこれは。付帯決議が当初予算の後に採決されるのであれば、少なくとも、付帯決議の提案議員の箇所に市長与党会派全員に署名させておくのが常套手段ではないか。自民・公明はいったい何を考えていたのか。「ボ−っと生きてんじゃね−よ!」とチコちゃんに叱られるであろう。

 見方を変えれば、自民・公明が組み替えを提案するまでもないほどに、自民・公明も許容しうる当初予算の中身だったということになる。「この予算に反対できるものならば、どうぞ反対してください」と、自民・公明が市長与党会派から突きつけられた内容だとも言えるのである。そう考えると、付帯決議は、たんなる“いちゃもん"に過ぎなかったのではないだろうか。西岡市政も前市政も中身は同じということである。

 当初予算に賛成してしまった自民・公明。12月の市長選挙で対抗馬をどういうスタンスで打ち立てるつもりであろうか。ネタは「行革」のスピードくらいしかないと思うのだが。いずれにしても、市民犠牲・負担増は西岡市政と同じである。

 小金井市議会3月定例会の「行財政改革推進調査特別委員会」で、委員会の2年間の中間報告が各会派から行なわれ、私が日本共産党市議団の報告を行ないました。その全文を以下に掲載します。また、PDFファイルで「西岡市政3年4カ月の市民負担増など『行革』概要」を掲載します。ぜひ、ご覧下さい。

(2019年4月2日付)

行財政改革推進調査特別委員会での中間報告

 日本共産党小金井市議団を代表して意見・要望を述べる。
1、行財政改革の在り方について
 行財政改革は市も述べるように「手段」であり「目的」ではない。負担増・施策削減を押し付ける国や都の悪政から市民生活を守りつつ、市民生活に少しでもプラスになるようにと市の施策や税金の使い方を見直し、改善へと進めていくのが行財政改革のあるべき姿である。
 しかるに、この間、取り組まれている「行財政改革」の実態は、本来あるべき姿を踏み外し、国や都と一体となって、市民に更なる負担増・施策削減を負わせるものとなっている。そのことから日本共産党小金井市議団は、あらゆる場で市の姿勢を厳しく正すとともに、市民犠牲の市の在り方を追認し、尻を叩くだけの特別委員会の設置に一貫して反対してきた。
 西岡市長の下で進められている「アクションプラン2020」は、前市長の行財政改革計画を引き継ぎ、一層、市民負担を求めるものとなっている。西岡市長は直ちに「アクションプラン2020」を撤回すべきである。

2、各調査項目に沿っての意見・要望
(1)財源確保について
 市民生活を守りながら創意工夫を行い、財源を捻出・確保していくことが、この部分では求められる。しかし、実際に行われているのは、「受益者負担の適正化」の名で市民に新たな負担を求めることや、「事務事業の見直し」の名で市民施策の縮減や人件費削減のための事業の民間委託が行われ、そこで生まれた財源を駅前開発につぎ込むという流れである。市民生活を犠牲にする大型開発や道路整備などは見直すべきである。
 市内には公務員住宅や都営住宅などの国有地・都有地が数多く存在している。国有地に対しては、路線価を基に国から固定資産税に代わるものとしての交付金が交付されているが、都市計画税分は交付の算定には含まれていない。都市計画税分の財政措置を求めるべきである。
 日本共産党小金井市議団は、道路占用料の見直しを、財源確保策として求めてきた。市は2020年4月から改定する意向を明らかにしているが、適正な額に見直すことを改めて求めるものである。
(2)事務事業の簡素・効率化について
 「事務事業の簡素・効率化」の名で前市政時代から今日まで行われてきたことは、市民施策の縮減、事業の委託化、値上げ・有料化である。学童保育所の委託化では、さわらび学童保育所で問題が生じ、直営に戻さざるを得ない事態を迎えた。「子育て環境日本一」を口にしながら就学援助の認定基準引下げが強行され、少なくない児童・生徒が制度の対象外に追いやられた。「子育て環境日本一」とは逆方向の施策の縮減、民間委託は直ちに改めるべきである。
 婦人相談員の非常勤化問題は、女性が置かれている社会状況に対する認識の欠如・不十分さを示すものとして看過できるものではない。年々、婦人相談員への相談件数が増加し、抱える事案が複雑化しているにもかかわらず、相談業務に精通したベテラン職員から時間外勤務が制約された非常勤職員に置き換える在り方は、婦人相談員の業務をどのように理解し評価しているのかを疑わざるを得ないものである。早急に、正規職員を配置するよう強く求める。
 この4月からは小金井市で初めてとなる「窓口委託」が予定されている。「市民サービスの向上」を言うものの、「向上」の具体的中身を示すことはできず、偽装請負と個人情報漏洩の不安を常に抱える委託と引換えに、職員削減を行うというものである。経費の節減にもつながらない、このような在り方は到底、容認できるものではない。委託化計画を撤回することを強く求める。
 「受益者負担の適正化」においては、三多摩一高い国民健康保険税が生活を直撃し、市民からは悲鳴と怒りが上がっているにもかかわらず、西岡市政になってから連続的に値上げが強行され、2019年度も更なる値上げが予定されている。あまりに高い国民健康保険税のために滞納を余儀なくされる人々が出ているにもかかわらず、小金井市は税額を引き下げるのではなく、逆に徴収強化で納税者を苦しめている。国民健康保険という社会保障制度が生活を押し潰す今日の事態は異常である。しかもこの4月からは、下水道使用料の値上げまでもが控えている。アベノミクスの掛け声とは裏腹に、負担増ばかりが押し付けられる今日、小金井市は国や東京都の悪政から市民生活を守る防波堤となるべきである。値上げ・負担増は直ちに撤回すべきである。
 西岡市長の下で強行された認可保育料の値上げは子育て世帯を直撃し、子育てへの出費が年々増加する世帯を更に苦しめるものとなっている。「サービス拡充のため」と説明するが、保育園に通う保護者に負担増を求め、負担増で得た財源を子育て世帯の「サービス拡充」に充てることは本末転倒である。財源を求める相手は国や東京都に対してである。「子育て環境日本一」を掲げて市長に就任しながら、子育て世帯に負担を押し付ける市政運営は、市民に対する裏切り行為であり、断じて認められるものではない。
 2018年度に有料化された大腸がん検診は、12月に追加検診を実施したものの、前年度、前々年度と比較して受診者数・受診率ともに減少し、早期発見・早期治療が目的であるはずの検診事業に重大な後退を招く結果となった。「受益者負担の適正化の中で有料化している」を理由に、有料化の是非は事業見直し検証の対象にならないと述べているが、有料化によって事業の後退が起きたことは否定できない事実である。市民の生命・健康を守るためにも、有料化を改めるべきである。
(3)市役所改革について
 社会福祉委員報酬の誤支給問題に見られるように、事務のミスや条例や規則どおりに事業が行われていないケースがこの間、相次いで起きている。うっかりミスや勘違い、確認作業の不十分さなど、理由は様々ではあるが、行政に対する市民の信頼を損なうものであることは否めない。ミスを招いた職員に非があることは事実であるにしても、なぜそうなったのか、誤りに気が付いた時点でいかに対応すべきなのか、再発防止策はどうあるべきなのかなどの掘り下げた究明はされなければならない。しかるに、問題発覚以降の社会福祉委員の報酬誤支給問題への対応は、市民を二重に裏切るものであり、市長の政治姿勢が大きく問われる問題である。市長が率先して自らを改革すべきである。
 今日、国を挙げての「官から民へ」の掛け声の下、自治体業務の委託・民営化が進められ、正規職員の削減、非常勤化が自治体間競争のごとく押し付けられている。そうした中で、正規職員一人一人の肩に業務への責任が重くのしかかるようになり、加えて国や東京都からの「権限委譲」という名の事務移管による業務範囲の拡大、相次ぐ法律改正による業務量の増加と煩雑化、変更された内容の把握・周知に追われる事態となっている。
 これら増大・煩雑化する業務に迅速・正確に対応しなければならないにもかかわらず、「職員数削減」「類似団体との職員数比較」が叫ばれ、市役所現場では増員要求があるにもかかわらず、非常勤で補う事態となっている。しかも、前年度比10%の時間外勤務の削減が求められ、時間に追われながらの日常業務となっている。これでは根本的な打開策にはなりえず、問題は解決できない。
 市職員がその持てる能力を最大限にいかして、住民の福祉の向上のために頑張れるよう、他自治体との職員数の比較という視点にとらわれることなく、適切な職員配置を行うよう求める。それこそが、職員の力量アップと更なる挑戦へと結びつき、住民の福祉の向上という地方自治の本旨につながるものとなる。「市役所改革」「職員のスキルアップ」を言うならば、しっかりと職員を配置するよう求める。

3、今後、市が予定する行財政改革の中身に対して
(1)市立保育園の民営化について
 委託を挟まず、いきなり民営化へ移行という市の進め方に、保護者から不安や怒りの声が上がっている。2022年度に民営化という「行革ありき」の進め方ではなく、保育の質を守るためのガイドラインを最優先で策定するとともに、保護者の理解を得ない保育園の民営化はただちに撤回することを求める。
(2)学童保育所、児童館、学校給食調理業務の更なる委託化について
 学童保育所は9施設中5施設が委託され、児童館は1施設が委託されている。学校給食調理業務は小中合わせて14校中10校で委託されており、これ以上の委託化は、事業委託の安全・安定性を検証していく観点からも行うべきではない。学校給食調理業務は、委託以降も委託校の調理業務を担う人を募集する求人広告が頻繁に登場し、事業の安定性、継続性が問われるものとなっている。また、さわらび学童保育所は、委託法人側の都合で混乱が生じ、保護者や児童に多大な迷惑を与えるものとなった。委託によって懸念が生じた事業は直ちに委託を中止すべきであり、更なる委託はもってのほかである。
(3)図書館業務委託、公民館センター化・業務委託について
 図書館や公民館などの生涯学習施設は、誰もが等しく利用でき、学ぶ権利が保障されなければならない施設である。中でも図書館は、利用者の知識や想像力を高めるための情報を提供する重要な場所となっており、公民館は、自身の知識や地域での活動の幅を高めるために欠かせない場所となっている。そのためには、思想・信条に関わりなく、公平・公正に、誰もが利用できる体制を確立する必要があり、社会教育に関する法律や条例等を十分に把握しうる立場にある市職員が業務を担うべきである。
 市がうたう委託化・センター化は、生涯学習施設に求められる役割や目的に逆行する流れであり、到底認めるわけにはいかない。計画からの削除を求めるものである。公民館の有料化計画も、生涯学習施設の役割・目的から逸脱するものであり、認めるわけにはいかない。
(4)補助金等交付の基準見直し、新基準に基づく受益者負担の見直し、給付水準の見直しについて
 この取組で2億5千万円の財政効果を得るとされている。市民の自主的な取組や、本来、市が担うべき施策を取り組んでいる団体への補助金の交付基準を見直すことは、団体の体力を奪い、取組の足を引っ張ることにもなりかねない。また、受益者負担の見直し、給付水準の見直しは、更なる負担増やサービス低下へと直結する。
 ここで得る「財政効果」は、つまるところは「市民施策の後退」「市民負担増」「経費削減」以外の何物でもなく、影響は市民生活全般に及ぶものとなる。「行財政改革」の名で平然と記されているところに、西岡市長の「アクションプラン2020」の本質を見ることができる。このような市政運営を、3年前の市長選挙でどれほどの市民が望んでいたであろうか。断じて容認できるものではない。

4、調査を締めくくるに当たって
 「財政効果」を求めて値上げ、有料化、委託化を行っているが、市民から負担を求めるのではなく、不要不急の開発や道路拡幅・整備を中止し支出を見直せば、財源はおのずと生まれてくる。また、「アクションプラン2020」は6億8千万円の財政効果と目標を掲げているが、その根拠が明確でないことが委員会の質疑で明らかとなっている。何のための、何に使う6億8千万円かも定まっていない中で、とにかく財源を生み出すことが目的となっており、「行革」が手段ではなく、目的化していることがいよいよ明白となっている。このような「行財政改革」は改めるべきである。
 行財政改革推進調査特別委員会で議論してきた事柄は、常任委員会で議論できる事柄であり、現に、特別委員会で議論している事柄を常任委員会でも議論している。説明し答弁する部局は、同じ内容を特別委員会と常任委員会で行うという事態を迎え、その都度、議会に出席しなければならない。これでは、それぞれの部署が果たすべき市民に対する時間が、その分そがれてしまうものとなる。市民にとっても残念なことである。
 よって、行財政改革を扱う特別委員会の継続ではなく、各常任委員会で行財政改革を含めて議論すべきと考える。直ちに本特別委員会を閉じることを求める。

  PDFファイル「西岡市政3年4カ月の市民負担増など『行革』概要」


国保税が2年連続値上げ


 賛成する議員の胸の内を知りたい。三多摩で最も高い国保税をさらに値上げする議案になぜ賛成できるのだろうか。賛成討論を行なっていただければ理由もつかめるのだが、それさえなしに賛成されては、負担増となる市民にとって納得できるものではない。

 市の財政が厳しいからというかもしれない。けれども、小金井市の普通預金に相当する財政調整基金は2018年度末時点で27億3,400万円となっており、小金井市が安定的基金残高とする目標額「20億円から30億円」を満たしている。27億3,400万円の基金残高から1,458万円、わずか0.53%を国保会計に増額繰入れするだけで、今回の値上げ・負担増はしなくてすむのである。

 国保税滞納世帯は被保険者の10.8%・2,700世帯に及んでいる(2017年度)。なかでも20代、30代の単身世帯が多くを占めているとされ、背景に非正規雇用による貧困化がかいまみえる。

 小金井市が三多摩一高い国保税となっている最大の理由は、一般会計から国保会計への「法定外繰入金」を出し渋っているからである。では、出し渋らなければならないほどに小金井市の財政は厳しいのだろうか。先述したように、財政調整基金は確保すべき額を満たしている。しかも小金井市は毎年、翌年度への繰越金・余剰金を二桁の億単位で生み出している。2017年度決算では実に24億6,500万円もの余剰金を2018年度へ繰り越しているのである。

 ならばなぜ、お金を出し渋るのだろうか。理由は明瞭である。開発にお金を当てたいからである。2019年度は、武蔵小金井駅南口第2地区再開発に市財源を3億3,600万円、都市計画道路3・4・8号線の整備に1億7,387万円当てる(起債と一般財源)。それでも毎年、二桁の億単位の余剰金が生じる。しかし、南口開発の次には北口開発を進めようとしていることから、余剰金を基金に積み、市民に負担増を求めるのである。

 誰かが言っていた。「市職員も国民健康保険への加入が義務づけられたら、値上げに慎重になる」。協会健保など被用者保険に比べて国民健康保険の税額は1.7倍も高いのである。しょせん、自分のフトコロに痛みが届かなければ、負担増で苦しむ人のことはわからないのである。

 以下、私が3月26日(火)の本会議で行なった、国保税値上げ条例への反対討論を掲載します。PDFファイル「国保値上げが賛成多数で可決」もご覧ください。

(2019年3月29日付)

国民健康保険税値上げ条例への反対討論

 日本共産党市議団を代表して、議案第12号「小金井市国民健康保険税条例の一部を改正する条例」に反対する立場で討論を行ないます。
 反対する第1の理由は、収入が増えず景気低迷が続くなかで、今回の値上げ・負担増によって、暮らしがますます厳しくなっていくからです。最近行なわれた世論調査では「景気回復の実感はない」が8割を超え、内閣府も景気動向指数が3カ月連続で悪化していることを認めざるをえなくなっています。値上げなどとんでもないことです。
 国民健康保険の加入者は、年金生活者や非正規の若者、景気低迷にあえぐ自営業者などの低所得者が多数を占めています。ところが国民健康保険は、サラリーマンの組合健保よりも保険税額が1.7倍も高く、保険税が高すぎることから、やむなく滞納に追いこまれる人が、小金井市においても1割を超える事態となっています。さらなる負担増は、滞納せざるをえなくなる人をさらに増やすことになります。
 反対する第2の理由は、一般会計からの「法定外繰入金」を毎年度、削減する計画に沿った予算対応となっているからです。2018年度に国民健康保険の都道府県化が強行され、小金井市は、国保税の高騰を抑えるために一般会計から国保会計に繰り入れている「法定外繰入金」を12年間で「ゼロ」にする計画を打ち立てました。そのことから2018年度は前年度比で1億8千万円、2019年度は前年度比で5千万円、法定外繰入金が減額され、そのことによって国保税が2年連続で値上げされることとなりました。
 東京都が各自治体に示す「標準保険税率」は、一般会計からの法定外繰入れをなくすことを前提に算出されています。しかし、法令上も「標準保険税率」に従う義務はなく、厚生労働省も、地方自治の原則にもとづき、自治体の判断で、負担軽減などの一般会計からの繰入れを認める国会答弁を行なっています。
 ところが小金井市は、東京都が示した「標準保険税率」を前提に、保険税額を算出しています。これでは毎年、保険税額が上がることになり、小金井市が示す「国保財政健全化計画(案)」では、法定外繰入金がゼロになる2029年度には、予算特別委員会での市の説明によっても、2017年度比較で、被保険者一人当たり平均で1万3千円の負担増、4人家族の場合、5万2千円もの負担増となります。いまでも滞納者が1割もいるのに、滞納者がさらに増え、社会保障である国民健康保険が、暮らしを破壊する保険制度になっていきます。こんなことがあってはなりません。法定外繰入金を毎年削減する「国保財政健全化計画(案)」を撤回するとともに、一般会計からの法定外繰入金を十分に確保することを求めるものです。
 反対する第3の理由は、今回の条例改定案で均等割額の引き下げが行なわれてはいるものの、それでは不十分なためです。小金井市が示した「世帯例及び所得階層別国民健康保険税額の推移」によれば、国民健康保険に加入している人数が多い世帯ほど、所得に占める国保税額の負担割合が高くなっていることがわかります。最大の問題は、所得のない赤ちゃんであっても国保税の算出の際に税額を加える「均等割」があることです。この均等割を廃止もしくは軽減することがなによりも求められています。
 今回の条例改定では、均等割を年額2千円引き下げるとしていますが、その一方で、すべての所得割を引き上げ、その結果、多くの世帯で値上げになる仕組みが敷かれています。これでは均等割を引き下げた意味がなくなってしまいます。所得割の負担増との抱き合わせではなく、均等割の軽減、廃止こそ行なうべきです。
 反対する第4の理由は、賦課限度額を引き上げることです。今日、中間層と呼ばれる世帯においても教育費や医療費、家賃・家のローンなど日常生活にかかる費用がかさみ、けっして余裕があるわけではありません。そこにきてさらなる国保税の負担増、限度額の引上げは、厳しい生活を直撃することになります。賦課限度額引き上げの対象となるのは夫婦2人の合計所得が1千40万円以上となりますが、今日、夫婦で働かなければ食べていけない世帯は増加し、賦課限度額に達する世帯は増えていくことが見込まれます。これらの世帯にさらなる負担増となる賦課限度額の引上げは、改めるべきです。
 日本共産党は、国保税を引き下げるために三つの提案を行なっています。第一は、国からの1兆円の公費投入で高すぎる国保税を抑えることです。これは日本共産党だけが言っていることではなく、全国知事会も2014年に政府・与党に対して1兆円の公費投入を求めています。第二は、そのための財源として、法人税の実質負担率が中小企業は18%に対して、大企業は10%という不公平な税制を改め、大企業にも中小企業並に法人税を負担してもらうということです。第三は、所得が1億円を超えると所得税の負担割合が下がっていく、株の取り引きにかかる税率が一律20%のために大株主になればなるほど儲けが増大していくという不公平税制をただしていくというものです。
 しかし安倍内閣は、全国知事会からの切実な願いに耳を貸さず、大企業や大金持ちの不公平税制を改めず、介護や医療など福祉関係予算の抑制を行ない、モノを買う体力が奪われている庶民に対して、消費税増税でさらなる負担を求めようとしています。これでは国民・庶民は、たまったものではありません。お金の集め方、使い方を改めるべきです。
 日本共産党市議団は、その立場から、当初予算の組み替えを提案するとともに、国保税を押し上げる均等割の負担軽減に向けた条例改定を提案しています。社会保障である国民健康保険を暮らしを破壊する制度にさせないためにも、三多摩一高い国保税をさらに引き上げる本条例改定案には断固反対するものです。

  PDFファイル「国保値上げが賛成多数で可決」


不十分『みどり号』廃止の代替措置


 1965年3月から市民団体に愛され、活用されてきた社会福祉協議会の福祉バス「みどり号」が、この3月末で活動を終えようとしている。理由は、(1)現在の6代目「みどり号」が老朽化し、買い換える資金がない、(2)運転手が一人のため、安全性、安定運行、管理上も厳しい状況になっている、(3)駐車場で利用している場所が新庁舎・福祉会館の建設工事に入れば使えなくなり、新たな駐車スペース確保が困難、というもの。社会福祉協議会の努力だけでは、たしかに厳しいものではある。

 そのことから昨年、市議会に、「みどり号」の存続もしくは小金井市に代替措置を求める陳情書が提出され、陳情書は昨年12月に全員一致で採択された。小金井市は陳情採択を受けてどうするのか?────そのことがいま、問われている。

 20日(水)から小金井市議会の第1回定例会が始まる。送付された新年度予算をくってみると、陳情採択を受けた措置が施されていた。その内容は(1)公立保育園の遠足用に民間バスを借り上げる、(2)「みどり号」を利用していた子ども会が他の交通手段を利用することを想定して、子ども会等への補助金を増額する、(3)公民館の高齢者学級野外研修用に民間バスを借り上げる、というものである。しかし、けっして十分といえる措置ではない。

 議会に提出された資料によると、2016年度の「みどり号」の利用実績は、社会福祉協議会が55件、福祉団体が35件、子ども会が26件、保育園が24件、町会・自治会が19件、行政が8件、その他となっている。これに対して、新年度予算に計上された代替措置は、これら利用実績を到底、網羅してはいない。市が予算化した代替措置を厳しく言わせてもらうとすれば、行政関係には対応するが、それ以外は切り捨てるというものである。これで納得しろと、市長は市民や議会に言うのであろうか。

 2月16日(土)の夜、貫井坂下自治会連合会(2,000世帯)の役員会が開かれた。議題は、新年度定期総会の準備である。会計担当から新年度事業に対する意見が出された。「みどり号が廃止されるため、毎年行なっているバス研修旅行を引き続き行なうかどうか」「実施する場合は、参加費はこれまでよりも1.5倍から2倍になる。それで果たして参加する人がいるだろうか」。

 「みどり号」を自治会会員の親睦のために利用してきた貫井南町東自治会からも発言があった。「いままで『みどり号』で年2回、懇親旅行を行なっていたが、今年からは年1回にせざるをえない」。

 小金井市は自治会・町会をどう位置付けているのであろうか。自治会・町会は、社会福祉協議会の会費集金や日赤募金の集金、赤い羽根共同募金の集金、一円貨募金の集金など、集金担当の班長さんに苦労を背負わせながらも、少なくない額を社会福祉協議会や小金井市に納めてきた。加えて、謝礼金が交付されるとはいえ、市役所や警察署、消防署などの行政機関からのお知らせを回覧して会員に周知し、ときには市役所の要請に応えて会合に出席したり行事に参加し、総合防災訓練や水防訓練にも積極的に参加している。自治会・町会が市の要請に応えるからこそ、成しえる業務もあるのではないだろうか。なのに新年度予算を見るかぎり、小金井市の自治会・町会への真摯な対応は見られない。

 貫井坂下自治会連合会の活動範囲の中には、市議会議員が4人いる。自民、公明、立憲民主、共産の各一人ずつである。これら4人が果たして黙っていられるであろうか。一人が口火を切れば、導火線のごとく反応するであろう。市長与党の立憲民主の議員も、貫井南町東自治会区域で活動し続ける意思があるのであれば、黙っているわけにはいかないであろう。

 西岡市長は新年度の施政方針でこう述べている。「市役所は市民の役に立つ所と書いて市役所である」。よくもこんなことが言えたものである。ならば、なんとかしろと声を大にして言いたい。貫井坂下自治会連合会の2月16日の役員会の結論は「バス研修旅行は『保留』」である。20日から始まる市議会での議論を待つことになった。

 西岡市長殿。議会で集中砲火を浴びる前に英断を下してはいかがですか。貫井南町の各自治会は、困難なことを百も承知で「避難行動要支援者支援事業」のモデル事業を取り組み、日夜頑張っているんですよ。しかも、あなた自身、貫井坂下自治会連合会の区域で暮らしているのではありませんか?。

(2019年2月18日付)


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