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秋の北杜市
 

写真 長野県と接する山梨県北西部に、10年前に近隣自治体合併によって誕生した「北杜市」がある。世帯数で2万余、人口は4万8千人の市であるが、国立公園や国定公園に指定された山々を抱えていることから、総面積は602.89平方キロメートルにもおよぶ。市を二分する形で中央自動車道がJR中央本線に沿って走り、北側には八ケ岳が胸を張ってそびえている。この北杜市へ10月17日(金)、小金井市議会の食育推進議員懇談会の一員としてやってきた。

 私は、北杜市は初めての訪問である。中央自動車道で走り抜けたことはあるが、降り立ったことはない。特急「かいじ」でJR八王子駅から甲府駅まで行き、そこからJR中央本線で北杜市役所の最寄り駅「穴山駅」で下車。小金井市の武蔵小金井駅から2時間20分で到着した。

 穴山駅に降り立ったのは小金井市議会議員5名。私の他には小林正樹議員、紀由紀子議員、岸田正義議員、中山克己議員である。快晴、しかも暖かい。普段、喧騒のなかに過ごしている我々は、秋の北杜市の優しい風を受けて解放感にひたった。時間はちょうど正午。市役所での視察は午後1時からなので、それまでに昼食をとらなければならない。

 改札口に駅員はいない。無人駅である。その無人駅「穴山駅」を降り立って、我々一行は足が止まった。何もない。食事をする場所はおろか、タクシー乗り場もない。いくつかの人家と、穴山駅を利用していると思われる人の自動車が何台か、駅前の駐車場に置かれているだけである。駅から北側に伸びた突き当たりの山肌に「城跡」の看板が見える。山城跡である。南側のかなたには名の知らぬ高い山がそびえ、北西側には八ケ岳と思われる見事な峰々がのぞいている。さて、どうしたものか。

 小林正樹議員が駅前の観光案内看板に記された電話番号に電話し、タクシー会社を紹介してもらった。タクシーが到着するまでの15分間、我々は駅前周辺をぶらぶら。カメラに景色を収める者や、足をのばして「城跡」の看板方面に行く者、あるいは無人の改札口を通って、ホームの方へ散歩する者などなど。静かである。やがてワンボックス型のタクシーが到着。我々を乗せたタクシーは途中、コンビニに立ち寄り、昼食弁当を手にした我々を北杜市役所に運んだ。

写真 視察の目的は、北杜市の「食育」の取り組み。北杜市は4年前に産業観光部の中に「食と農の杜づくり課」を設立し、正規職員4人(課長含む)・臨時職員2人の6人体制で「食育・地産地消」の取り組みを専門的に行なってきている。もっとも力を入れているのは「保育園における『おやこ食育教室』」。子育て支援課の協力のもと、公立15箇所の保育園で年長児の親子を対象に、園児を主体とした調理実習を行なうというもの。公立15の保育園すべてに「保育園教育ファーム」があり、そこで取れた作物を利用しているという。小学校でも「食育」の取り組みを行なっているが、学校側の理解がなかなか得られないために、9校ある小学校のうち5校のみの到達だという。

 「食と農の杜づくり課」では、「文化・民俗行事の継承」にも力を入れている。神社の奉納相撲や畑の虫送り、田んぼでの泥んこ相撲、案山子づくりなど。なぜなら、「日本の文化や地域の行事などは、農業との関わりが深い」ため。

 北杜市は、農業や林業などの第一次産業就業者が就業人口の16.3%を占め、65歳以上が人口の3分の1を占める。代表的な観光地は高原や温泉、ひまわりの里などの自然であり、基幹産業の一つに農業が位置付けられている。その北杜市が「食と農」を重視し「食育」に力を入れるとともに、「食と農の杜づくり課」を「産業観光部」に配置し、地域の文化・行事を育む役目を負わせている理由が、わかるというものである。北杜市は「太陽光発電」でも名が知られており、自然とともに歩んでいることがうかがえる。

 我々に説明をしていただいた職員は2人。「産業観光部 食と農の杜づくり課」課長の伴野法子さんと「保健福祉部 健康増進課」管理栄養士の佐藤悦子さん。佐藤さんは、保健福祉部でありながら、「保育園における『おやこ食育教室』」を担当をしているとのこと。笑顔のステキな人であった。

 北杜市役所は、3階建ての鉄筋建物の他にプレハブ建物も使用している。議会はプレハブ建物の2階にあり、委員会室もしくは議場と思われる部屋で「食育」の説明を受けた。市役所の周囲はまばらに人家があり、いたって静かである。南東側のかなたには、雲一つかかっていない富士山が前日の初冠雪の姿でたたずみ、真っ青な空からは秋の西陽がやわらかに射し込む。プレハブ庁舎1階の「情報公開コーナー」には、10数冊の資料・会議録が置かれており、それを見た小林正樹議員は「平和な市」と語った。

 武蔵小金井駅から電車で2時間20分、車で来てもそう遠くはないまち「北杜市」。いただいた資料のなかの「ほくと物語」と題した北杜市を紹介したパンフレットは、「甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳南麓、茅ヶ岳、瑞牆山 周辺エリアガイドマップ」。春夏秋冬の写真をふんだんに盛り込み、メインは夕日に浮かぶ八ヶ岳である。11月ともなれば紅葉シーズン。「来てごらん。ステキだよ」と、パンフレットが私をいざなう。


(2014年10月20日付)

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