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消防団
 

 どの自治体にも「消防団」がある。常備消防と呼ばれる消防署とともに、災害から住民の暮らしを守るための任務にあたる組織である。団員の中心は農業や商店、個人経営の事業所などの自営業の方々である。しかし今日、この「消防団」の存立そのものが危うくなる事態を迎えている。団員のなり手が不足しているからである。

 小金井市には現在、消防団の分団が5つ存在し、市内を5地域に分けて担当している。各分団とも定員は15人。今春から任期2年の新体制でスタートしたばかりである。しかし団員のなり手がなかなか見つからず、スタート時点で分団の一つが欠員1人、別の分団では定員どおりの15人体制でスタートしたものの、6月に2人が退団するという事態を迎えた。学生にも門戸を広げ、今年度、3人の学生を消防団に迎えたが、3人とも市外の大学に通っているという。

 7月8日(火)夜、小金井市消防団運営審議会が開かれた。小金井市消防団の現状報告が行なわれ、いかにして団員を迎え入れるかの議論が交わされた。議論のなかでは「市内最大の事業所である小金井市役所から若手職員を消防団に迎え入れるべき」や「市内事業所を可能な限り訪問して、従業員を消防団に送り込んでもらうべき」などの意見が出されたが、組織的な日常業務を行ないながらの消防団活動兼務では限界があることから、なかなか有効策とはならないでいる。

 市議会でも、消防団の充実をもとめる質問が多くの議員から出される。しかし、そのためにどうすべきかの具体策は、示せ得ないでいるのが現状である。そうしたなか、ある議員がこのような意見を市議会で述べていた。この意見は、調整すべき多くの課題を含んではいるが、議場でその意見を聞いた時に「なるほど」と考えさせるものがあった。

 その議員は言う。「消防団の団員が農家や商店、事業所であれば、市の契約においてなにかしらの利点を与えるべき」。これに対しては「消防団だけが特別扱いされるのは問題」という声が上がると思うし、声が上がるのは当然だと思う。たとえば、民生委員もなり手がみつからず、何年も欠員をかかえたままとなっている。「民生委員の場合も、なにかしらの利点を」との意見になるだろうし、「他の審議会や協議会の場合はどうなのか」の声が上がっても不思議ではない。だから、調整すべき多くの課題はあるが、では「どうしたら消防団のなり手をふやせるのか」は依然として残る。提案した内容の善し悪しは別として、私は具体的な提案を行なったその議員に敬意を表したい。

 消防団の団員は全国で、かつては200万人を超えていたという。しかし今日では80万人に減少。小金井市においても、かつて小金井町と呼ばれていた太平洋戦争直前の頃には386人を数えた団員が、戦後徐々に減少に向かい、1957年11月以降は、今日の体制にほぼ落 ち着いたとのこと。

 貫井南町西自治会の自治会名簿に掲載されている「自治会の歴史、経緯について」では、その頃の消防団の状況を次のようにまとめている。「昭和26年11月段階では10の分団だったが、その後、分団ごとの統合が進み、昭和32年11月に前原(第6分団)、貫井坂下(第7分団)が統合、第4分団となり、現在の5つの分団になった」。また、当時の貫井南町西自治会(当時は「貫井坂下西組自治会」)の会議録には以下のような記述が見られる。「前原と貫井との統合については、賛否が決まらず、次回までに研究しておくこととする」(昭和32年1月24日)。「各自治会よりの回答は、全役員とも統合賛成」(昭和32年8月6日)。「いよいよ前原消防と坂下消防とが、統合することに決まったとの回答あり」(昭和32年8月17日)。

 前述の貫井坂下西組自治会の会議録には、前原消防分団と坂下消防分団とが統合する前の貫井坂下消防分団(第7分団)の状況についても、以下の記述がある。「現在、東組7名、中組11名、西組7名のところ、中組よりの申し入れは、東組8名、西組9名とのこと。これを検討せる結果、当組として2名増員は不当であり、かつ人選も困難あるにより、1名の増員を妥当として改選人事に入る」(昭和30年10月23日)。────当時から、団員確保には相当、厳しさがあったことがうかがえるところである。

 市議会議員も、2年ごとの団員改選時には新団員確保のために智恵と汗を出さなければならない。しかし、50歳の半ばを迎えた私などは、団員就任をお願いすべき若者の知人がそうあるものではない。奇跡的に、そのような若者の知り合いがいたにしても、訓練や災害出動など多くの出番を抱える消防団の団員就任へと、そうたやすく話を持っていけるものでもない。現職の団員のなかに、その若者の知人・友人でもいれば話は別であるが。

 小金井市消防団運営審議会では、第5分団の代表が次のように述べた。「今春の15名の体制を築くために、現職団員から団員候補者を紹介してもらった」。この言葉が核心ではないだろうか。知人の若者に対して、「消防団のなかに、あなたの知り合いは一人もいないかもしれないが、ぜひ消防団に入ってほしい」とは、なかなか言えないというのが、私などのホンネである。だから「現職団員から団員候補者を紹介してもらった」は、団員の知り合いを紹介してもらう、ということであり、「知り合いが団員になっているのなら」との道筋をつけることになるのではないだろうか。

 消防団運営審議会が閉会し、市長が私に言う。「板倉さん、消防団に入ったら」。「とてもとても。私は55歳ですよ」と手を横に振る私に、市長はたたみかける。「55歳でも、団長が認めたら入れますよ」。ようするに市長は、「消防団で疲れたら議場で眠っていて構わない。質問せずともよい」と言いたいのであろう。稲葉市長、それはムリですよ。


(2014年7月9日付)

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