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災害時要援護者支援事業
 

 「災害時要援護者支援事業」を知っていますか。災害対策基本法にもとづき、「地震などの時に災害が発生し、あるいは発生するおそれがある場合に、自分では避難することが難しい人を、地元の自治会・防災会が避難救助のお手伝いをする」というものです。この「災害時要援護者支援事業」を、地元の自治会・防災会が着手することになり、6月から支援対象者への訪問活動が行なわれています。

 自治会・防災会区域の「支援対象者」は今年3月時点で56世帯・59人、そのうち、自治会・防災会に個人情報を提供してもよいと応えたのが35世帯・39人となっており、この方々のお宅へ、6月から自治会・防災会の会長・副会長が中心となって顔合わせを目的とした訪問を展開しています。

 この事業、着手してわかったことは、「大変な事業」ということ。なぜなら、相手側は訪問してきた自治会・防災会に少なからず期待を寄せ、さまざまな思いを語り、イザッという時にはどうすればよいのかなどの質問を浴びせてくるからです。一方、自治会・防災会側は、寄せれた期待に応えようにも限度というものがあり、質問をされても、わからない部分も多いからです。そしてなによりも大変だと感じるのは、この事業、「終わりがない」ということです。

 防災訓練やお祭り、盆踊りなどは、取り組みが終了すれば、その時点でとりあえずは完結するものですが、「災害時要援護者支援事業」は違います。イザッという時に備えた恒常的な支援体制づくりが欠かせず、定期的な顔合わせ、顔つなぎが支援対象者との間で必要となってきます。しかも、1年経過するごとに、支援対象者も自治会・防災会の役員も一つずつ歳をとり、それぞれが体力を低下していくことになります。そのうちに、自治会・防災会の役員自身が「支援対象者」リストに加わるようになり、支援する人を新たに見つけ出す必要性が生じてきます。このことを繰り返さざるをえないのが、この事業の大変なところだと思うのです。

 そこで自治会・防災会は考えました。「この事業、役員だけでは到底、できるものではない。役員以外の方々にも協力を仰ぎ、地域全体の恒常的な取り組みにしていく必要がある」。

 5月29日、自治会・防災会の代表者は小金井市役所地域福祉課に以下の申し入れを行ないました。「1.災害時要援護者支援事業をわかりやすく説明した、周知PRの回覧用チラシを作成してください。2.災害時要援護者支援事業をわかりやすく説明した、貫井南町地域用の『市報こがねい』(全戸配布)を発行してください。3.小金井市のような都市部において災害時要援護者支援事業を取り組んでいる自治体を把握し、事業の立ち上げおよび事業推進に向かって行なった取り組み状況を、自治会・防災会にご教授ください」。しかし、この申し入れに対して、「小金井市は誠意ある姿勢を示してはくれなかった」とのことでした。

 小金井市には自治会・町会が77団体あります。このうち「災害時要援護者支援事業」に着手しているのは5団体。いずれも貫井南町地域です。「モデル事業」とされ、貫井南町地域の取り組みの成否が、今後の小金井市の、あるいは東京都における事業の成否を判断する指標になります。ですから、小金井市は地元からの申し入れに誠意ある対応を示し、予算も付けるべきではないでしょうか。そして、小金井市自身が、事業推進に向けて大いに学んでいくべきと考えるものです。

 自治会・防災会を中心とした今回の支援事業に対しては、「地域包括支援センターや民生委員、社会福祉協議会などの体制強化で対応すべき」「消防署や市役所の体制強化こそ行なうべき」との声がありますが、阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓は「地域の絆」です。建物や樹木の倒壊で道路が通行不可となり、多くの地域で災害が発生しているもとでは消防署や自治体からの救援体制はおよばず、なによりも、消防署や自治体、地域包括支援センターや社会福祉協議会などの公的機関の職員も交通網の寸断で職場に到達できず、彼ら自身が被災者になりうるなかでは、そこに過大な期待を寄せるのは現実的ではありません。やはり、地域の人々の「地域力」、中心に位置する自治会・防災会に依拠せざるをえないのが実情だと思うのです。もちろん、公的機関の体制強化は必要ですが、大震災・大災害でまっさきに救護に駆け付けることができるのは、隣近所の地域住民だと思うのです。

 阪神淡路大震災では、震源地の淡路島で死者が一人も出なかったといいます。近所の日常のつきあいがあり、お互いがどのような生活をしているかがわかっていたからだといいます。ですから、大震災や自然災害による同時多発の被害に対応するための体制構築というならば、「地域力」「地域の絆」の自治会・防災会を育てることこそ、自治体の取り組に欠かせないものだと思うのです。

 貫井南町の坂下地域では、8月に盆踊り、9月に貫井神社の祭礼、10月には75歳以上を対象とした敬老会、1月には2つの自治会・子ども会で餅つき大会が取り組まれています。防災会による防災訓練も積極的に行なわれており、これらの取り組みが「地域力」「地域の絆」づくりに大きな役割を発揮しています。

 私は地域の自治会・防災会の一員として、地域づくりに向けた、これらの取り組みに積極的に関わるようにしています。議会で立派なことは言いながらも、地域づくりに関わることのない人では、魂が入った活動だとは思えないからです。

 地域の人々の暮らしはさまざまです。ゆとりある暮らしをしている人もいれば、生活保護を受けざるをえない人もいます。家庭でゴタゴタを抱えた人もいたり、近所同士で仲の悪い地域もあります。そのような暮らしの縮図を見ることになるのが「地域」です。その地域の人と人との「絆」「和」を築くことこそ、まちづくりだと思うのです。そう思いながらも、目の前の「災害時要援護者支援事業」は、大きな壁となって立ちはだかっています。

(2014年6月16日付)

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