プロフィール
議会報告
活動日誌
市政報告
エッセイ(随想)
なんでも相談室
地域の活動
子育て奮戦記
趣味のページ
草野球
音楽
リンク集

メール

活動日誌
インデックスページへ

厚生文教委員会の行政視察
 11月上旬、市議会厚生文教委員会の行政視察が行なわれた。3月に市議会が改選されて以降、新しいメンバーでの初めての視察である。行き先は岐阜県の各務原市と愛知県の豊田市。生涯学習や子ども会議を学ぶためである。

 私自身、各務原市は初めての場所。最寄りの駅を降りると、いきなり自衛隊の戦闘機の爆音か我々を襲った。自衛隊基地が市役所の西側の広大な一等地を占拠しているからである。部屋の中で生涯学習の説明を受けたのだが、幾度か戦闘機の爆音のために説明が中断された。議会中も、同じような状況になるという。

 2日目は豊田市である。前日の夜、豊田市に足をのばして宿泊。宿泊先のホテルは駅からデッキづたいに行けるという近さで、視察先の市役所にはホテルから豊田市が手配したマイクロバスで送っていただけるという状況。そのため、街の外観はマイクロバスからの景色でしか見ることはなかった。この豊田市は依然、特別委員会の視察でうかがったことがあると記憶している。トヨタ自動車に関わる事業所が多いとのことで、トヨタのマークの入った自動車が数多く見られた。

 小金井市議会の視察は、常任委員会にしろ特別委員会にしろ、おおかたが2つのテーマでの視察である。しかし、今回の視察は豊田市で一カ所追加で視察をさせていただいたことから、3つのテーマとなった。また、視察先では想定しえない「委員会協議会」がもたれた。ホテルの一室の貸切り夕食会場で“夕食一時お預け”状態のもと、協議会が開かれたのである。小金井市議会の視察先での委員会協議会は過去にも例があり、当時、市議会議員として視察先での委員会協議会を経験した現市長はその時の模様を次のように語った。「あれは総務企画委員会の行政視察で、あのときは視察先の市役所の会議室を借りて急きょ委員会協議会を開催した。視察先の市役所の議会事務局の方々にはご迷惑をかけてしまった」。

 他の議会のことは知らないが、小金井市議会の行政視察の夕食は、ホテル内の食事をとる部屋で行なわれる。夕食内容は小金井市議会の旅費規定の範囲内。ただし、アルコール類を注文すると規定をオーバーするので、オーバーした分は出席者がお金を出し合う。

 視察の参加者は議員が8人、議会事務局1人、部長職が2人の計11人である。議会が改選されて最初の行政視察であり、加えて議員8人中、新人議員が3人ともなれば、この間の議会に対する意見や感想を各自が出し合い、また、それぞれの近況報告などが、アルコールを交えながら行なわれていった。その中で俄然、注目を集めたのが、1人の部長職者。最近、上司が辞職したことから、その仕事も兼務する部長である。

「かとちゃんぺ」というのがあるらしい。いまから10数年前に結婚された同僚職員の結婚式の演し物を市役所本庁舎屋上で練習した時のことを語ったもので、演し物の練習の指揮をした人物の指導が厳しく、「『かとちゃんぺ』と言う時に指しだす右手の2本の指の角度が違うとか、声が小さい、元気がないとか、同じことを何度も指導を受けた。なにがどう違うのか、いまでもよく分からない」と、この部長は何度も言う。

 なぜこのような話題になったのだろうか。視察から20日ほど経った今日、思い返してみると、委員長である私が隣席に座る当該部長に「西田さんとはどちらが歳が上なんですか」と聞いたことに端を発したと考えられる。当該部長は「俺のほうが年上なのに、この人は俺に対して『指の角度が違う』『声が小さい』などと指図するんだ」と言ったように記憶する。「かとちゃんぺ」の練習には、当時を熱く語る当該部長と、現部長職者、現課長職者の少なくとも3人いた模様。新郎の「かとちゃんぺ」は、21日の厚生文教委員会の時に私の左隣に座り、練習に励んだ3人は、答弁席にほぼ直線に陣取っていた。いずれも当時は職員課の職員である。

 そんなこんなを夕食で語り合い、部長の一面を、というよりも、やっぱりこんなに楽しい人だったんだという思いを抱いて、我々一行は翌日の2日目も、元気一杯に豊田市の2つのテーマを学びとった。以下、各務原市と豊田市の視察の概要を掲載します。

(2013年11月25日付)

各務原市と豊田市の視察の概要

[各務原市/木曽川アカデミー]

写真 「木曽川アカデミー」とは、各務原市が2000年度から取り組んでいる生涯学習事業。「市民の学習活動を総合的に支援するために、市の関係課・関係施設などで実施している講座などの事業を体系化し、市民が学習した成果について、市が一定の基準(単位制度)を設けて認定しています」と、各務原市のホームページは記す。1回受講すると1単位が得られ、「100単位を修得し申請すると、学習歴認定証が授与されます」とのこと。ただし、 学習歴認定証が授与されても特段、恩典はない様子。しかしそこには、市民にいかに学習にはげんでもらうか、そのためにどのような仕掛けを設けるか、その思いが伝わるものになっている。

 木曽川アカデミーの説明を受ける前段で、議会事務局長さんが各務原市の説明を行なった。地形や地理上からくる各務原地域の歴史的役割とその変遷、あるいは戦前・戦中・戦後の歩みなどを。また、小金井市にスタジオジブリがあることから公開中の映画「風立ちぬ」に話題は移り、そのなかの一場面は「我が各務原市」と力説されていた。「風立ちぬ」を見ていない私はチンプンカンプンであったが、議会事務局長さんが各務原市をこよなく愛している思いは、大いに伝わってきた。

 議会事務局長さんの話はさらに続いた。なかでも印象深かったのは「各務原市」の呼び方についてである。私は一頃前までは「かくむはらし」と読んでいた。なぜなら、誰がなんと言おうともそう読めるからである。それが少し前あたりになってから「かくむがはらし」に変わった。「が」が入るということをいつ頃からか知ったからである。そして最近は「かがみがはらし」に変わった。この呼び方が正解なのだと、私の周囲の方々の「各務原市」の呼び方で確信したからである。議会事務局長さんも「おおかたは『かがみがはらし』と呼ぶし、市民もそう呼ぶ人が多い。市の職員のなかにも『かがみがはらし』と呼ぶ人が多い」と、私が理解している「かがみがはらし」が安定多数を占めていることを証明してくれた。ところが「かがみがはらし」は間違いだと、この人は言うのである。ではなんと呼ぶのか。正解は「かかみがはらし」。たしかに、いただいたリーフレットにはひらがなで「かかみがはら」と記され、ローマ字読みでもそうなっている。議会事務局長さんは、この呼び方になった背景を説明してくれたが、「かがみがはらし」が誤りだということを知らされたショックで、背景説明の内容は頭に入っていかなかった。

 議会事務局長さんの話は20分ほどはあったかと思う。木曽川アカデミーの取り組みをうかがうためにやってきたのだが、前段の市の紹介にしてはやけに長い。しかし、そのうちに私は悟った。「議会事務局長さんの話がすでに、生涯学習の一環なのだ。私たちを前に、木曽川アカデミーが開始されたんだ」と。さすがは生涯学習に力をいれている自治体だけのことはある。スゴイ!。

 ところで、本題の「木曽川アカデミー」の詳細を説明してくれたのは「産業文化部」の「ライフデザイン課」という部署。カタカナの課ということも珍しいが、この課が教育委員会に属するのではなく、市長部局の「産業文化部」に属しているというのはチト不思議。その理由は「当時の市長が生涯学習に力を入れるという自身の公約をすすめるために、生涯学習部門を自分の手元に持ってきたかったから」とのこと。「文化・スポーツも市長部局に移された」という。この市長、少々スタンドプレーが目に余り、今年5月の市長選挙で敗北したという。そう話す議会事務局長さんは気のせいか、生き生きとしている。

 各務原市にも小金井市と同様に「出前講座」というものがある。ただし小金井市と違うのは、「市民講師」が存在すること。154人が登録し(昨年度)、音楽や舞踊、美術・工芸 、文芸、茶華道、体操、ダンス、教養、育児、情報処理など、幅広い分野で市民講師を募り、その方々が出前講座で市民のもとに出向くというのである。恐ろしいのは、出前講座のあとに、出前講座を取り組んだ団体が市民講師に対する評価アンケートを書き、市に提出するという仕組みになっていること。しかもその評価アンケートは、当該の市民講師にも手渡たされるというのである。市民講師にとっては、恐怖の仕組みである。

 この出前講座は無料となっているが、冒頭の「木曽川アカデミー」は受講料が取られる。各講座ともに1回あたりの受講料が310円となっており、講座が6回完結編となってい る場合は、1,860円のお金が必要となる。市民の学習意欲を高めるための「学習歴認定証 の授与」をうたいながら、その一方で「受講料徴収」とはいかがなものかと思わずにはいられない。その点は、残念である。

 落選した前市長の考え方の基本は「人づくり都市」。「学習を通して人づくりを」「自然を愛する郷土愛を」がモチーフとのこと。そのことは、各務原市の主要プロジェクトに「音楽の街」「本の街」「スポーツの街」がうたわれていることにも見ることができる。その方針のなかで今日の各務原市が出来上がり、20分間にわたって市の紹介を行なえる能力を身につけた議会事務局長さんがおられるのだな、と思うのである。

[豊田市/子ども条例]

写真 子どもの意見を条例に反映させる取り組みを積極的にすすめた自治体は、そんなに多くはないのではないだろうか。中高生からなる「子ども委員」を公募し、集まった40人の「子ども委員」が子ども条例を検討するワークショップを取り組み、地域子ども会議、子ども市議会、条例案起草ワーキングなどを取り組んだというのである。そのうえで豊田市は、パブリックコメントを3回実施し、住民懇談会などで市民の意見聴取も実施。これらの一連の取り組みを2年間かけて行ない、できあがった「子ども条例案」は議会で全会一致で可決・成立したという。

 なぜ、このような、ある意味では行政にとってしんどい、根気のいる取り組みが実施されたのか。その理由を豊田市の担当部署は「子ども条例策定にあたって支援をお願いした大学教授の強い働きかけがあったから」と述べる。このようにして制定された「子ども条例」ではあるが、条例公布から1年6カ月余が経過した時点での「子ども条例」の市民認知度は極端に低く、周知に向けた課題は相当にあると思える。

 豊田市は、子どもの意見が市政に反映されるようにすることを目的に「子ども会議」を設置している。市内在住・在学・在勤の小学生から18歳未満が対象とのことで、小中学生に対しては全生徒に募集チラシと応募用紙を配布。しかも「任期は2年間(再任可)。月一回開催。市長が委嘱」ということなので、本格的である。こうして集まった「子ども委員」は初年度の2008年度が41人(小学生25人、中学生13人、高校生3人)、今年度は31人(小 学生10人、中学生15人、高校生6人)となっており、大学生や社会人が子ども委員のサポ ーターに付くという。

 私はこのような取り組みを、他の自治体では耳にしたことがない。「子ども会議」が今後も順調に進んでいくのか、そこで出された子どもの意見が市政にどこまで反映されていくのか、などなど、興味はつきることがない。豊田市の取り組みを今後も注目していきたいと考えるところである。

[豊田市/環境学習型エコスクール]

写真 当初の視察予定には入っておらず、豊田市さんからの要望で視察項目に追加されたものである。よって、1泊2日の行政視察としては異例となる3つ目の視察項目となった。

 案内されたのは土橋小学校。「ハイブリッド・エコスクール」と呼んでいるらしく、「環境配慮型スクールを越えて、環境学習型スクールへ」と銘打っている。2008年度に環境省の補助事業を受けて「エコ改修(ハード整備)と環境教育(ソフト対策)をハイブリッド( 融合)した」とのことで、これを「環境学習型スクール」と言うらしい。

学校長からパンフレットにもとずいた説明を受け、質疑もそこそこに校舎案内を受けることになったのだが、驚いたことに、校舎案内と説明は、土橋小学校の6年生がチームを組んで行なうというのである。環境教育の一環ということである。そのようにして校舎内を案内されたのだが、どこもかしこも目を丸くして見てしまうほどに、エコなのである。バリアフリーの廊下・教室、乾式のトイレとタイル装飾、教室の出入り口扉の間口の広さ、教室棟と教室棟をつなぐエコブリッジなどなど。もちろん太陽光発電・風力発電を備え、夏を涼しくするための教室内への直射光カットの仕組み、「風の搭」と呼ばれる空気の通り道を確保する仕組みなどもある。写真を撮ればよかったのだが、あいにくカメラは持っていなかった。残念である。そのようなものすごい校舎を、6年生の生徒が私たちの前で一つ一つ説明してくれるのである。説明を受ける私たちの方がタジタジしてしまうほどであった。私はいままでに、こんな学校はお目にかかったことはない。

 校舎内を案内されて思ったことは三つ。一つは、この学校の生徒は実にうらやましい。二つ目は、他の小学校の生徒は、土橋小学校のことをどう思っているのだろうか。同じ豊田市の市立校の小学生でありながら、かたや「ハイブリッド・エコスクール」、かたや「普通のどこにでもあるスクール」。あまりにも落差がありすぎやしないか。三つ目は、この学校の先生たちはエライなぁ。通常の教育カリキュラムに加えて環境教育も加わることになるのに、しっかりと子どもたちを教育しているではないか。

 この学校は、旧来の老朽校舎を国庫補助金を受けて改修し、今日の「ハイブリッド・エコスクール」に生まれ変わった。総事業費は4億7,858万円。そのうち国庫補助金は半額 の2億3,929万円で、残りの半額が市負担となっている。平米あたり9万3千円の総事業 費だという。説明や資料には記されていないが、ハイブリッド・エコスクールに合わせた備品類は当然に、市費から出されていることであろう。そう考えると、小金井市ではこのような事業は無理かな?と思うところでもある。いずれにしても、いいものを拝見させていただいたな、と感謝である。

ページのトップへ インデックスページへ