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地方自治研究全国集会イン岡山

写真
岡山市内を走る路面電車

 一カ月前の10月16日(土)・17日(日)、岡山市で開かれた「第10回地方自治研究全国集会」に参加しました。当初は、党小金井市議団全員で参加する予定でしたが、「他の用務が入った」などの理由で、私だけの参加となりました。

 「地方自治研究全国集会」へはおそらく初めてのの参加だと思います。「地方自治」との名称にあるように、参加者の大半は地方自治体で働く公務員や地方議員。若い世代から私の上の年代の方々まで、幅広い参加者となりました。

 岡山市は何度か降り立ったことがある地。カミさんの実家が四国のため、新幹線で東京から岡山まで来て瀬戸内海を渡たる列車に乗り換えるまでの間、JR岡山駅で時間を費やすために、駅前をぶらつくことが何度かありました。

 岡山駅の東側区域では、路面電車が走っています。初日の会場を行き帰る間に見た路面電車は、車種がさまざま。近代的な車両から昔風の車両まで。以前、テレビの番組で紹介されていましたが、ここでは世界各地の路面電車が集められ、車種の数では日本一だとか。会場の行き帰りはけっこう、楽しめる街中でした。

 岡山市の郊外には岡山城と岡山後楽園があります。その近くには県庁の建物や県立美術館、県立図書館などもあり、さながら岡山県の心臓部分。南北に流れる川を生かした街並みはさぞかしステキだろうなと、地図と観光パンフを見ながら思うところ。今回こそは城だけでも拝見したいと思っていたものの、結局、今回も近づく時間さえない状況に。いまだに写真でしかお目にかかれない状況です。

 小金井市議会では、政務調査費を使っての参加は、その後に報告書を提出することが義務づけられています。以下、市議会事務局に提出した報告書を掲載しますので、ご参考までに。

(2010年11月16日付)

第10回地方自治研究全国集会in岡山・報告書

     日時/2010年10月16日(土)午後0時45分〜17日(日)午後3時30分
     場所/初日:岡山シンフォニーホール    2日目:岡山大学

集会スケジュール

初日

午後0時45分〜:歓迎行事 劇「桃太郎」と「うらじゃ」の踊り
  →地元実行委員会の若者中心に、寸劇の披露。

午後1時20分〜:主催者あいさつ
  →全国実行委員会の木村康子さん
  →自治労連の野村幸裕さん
  →岡山実行委員会の岡田雅夫さん

午後1時45分〜:記念講演「日米同盟の正体──軍事・経済への影響──」
       /孫崎 享さん(元 駐イラン大使)

午後3時〜5時:基調フォーラム「輝け 憲法と地方自治 連帯の力でくらし守る政治へ」
  →第1幕「憲法をくらしと地方自治に」
    基調講演「政権交代下の地方自治の課題」
        /川瀬憲子さん(自治体問題研究所副理事)
  →第2幕「政治を動かす運動 具体的な取り組み」
    基地の島───沖縄から     /森岡理穂歌さん(沖縄青年ユニオン)
    生存権保障───輝くくらしを  /関藤加代子さん(岡山県生活と健康を守る会)
    カウンターをこえて         /古谷 茂さん(京都市職員労働組合)
    ごみ収集から環境学習へ     /竹内道友さん(名古屋市南環境事業所)
    農業と食の安全・安心       /坪井貞夫さん(岡山県農民運動連合会)
    住民の学びと自治を支えて    /吉田郁美さん(岡山市職員労働組合)
    子ども・子育てで調査・提言・共同/高瀬良子さん(江東区職員労働組合)
    小さな村での大きな取り組み   /笹野 寛村長(岡山県新庄村)
  →第3幕「基調フォーラムの感想とまとめ」

午後5時30分〜7時:ナイター講座「地域主権改革の争点と地方自治」
        /二宮厚美さん(神戸大学教授)

2日目

午前9時30分〜午後3時30分:分科会「自治体財政の分析と民主的確立をめざして」

概要報告&感想等

■初日:記念講演「日米同盟の正体──軍事・経済への影響──」
       /孫崎 享さん(元駐イラン大使)

 元駐イラン大使を経た中での日米同盟の実態を、自身の著作「日米同盟の正体」(講談社現代新書)、「日本外交 現場からの証言」(中央新書)を紹介し、ポイントとなる要点をパワーポイント画面で説明した。

 今、大きな問題となっている「尖閣諸島」では、日米軍事同盟では「日本の島々は、日本側が守る」とされており、そのことから「尖閣諸島問題でアメリカは介入しない」と言明。一方、尖閣諸島での中国漁船は「だ捕すべきではなかった」「なぜなら、中国はこれまで、尖閣諸島の支配問題は日中間の議論から棚上げしており、日本の実質支配が続けば、日本には有利になるから」と説明。「それを、日中間の領土問題の論争に浮上させてしまった」と、氏独自の視点・見解を披露した。

 一方、「イラク戦争」に対しては、「戦争開始前にアメリカは、大量破壊兵器の保持やアルカイダとの結びつきを否定していた。なのに何故、イラク戦争を継続したのかは不透明」と発言。「石油確保が要因ではない」と、巷間述べられている説を否定した。考えられるのは「米国の軍事戦略」と「イスラエルの安全保障」の2点だと述べた。

 また、「アフガニスタン戦争」に対しては、すでにアフガニスタン内にあったアルカイダの訓練基地は2002年初めに壊滅し、2005年にはCIAのアルカイダ追跡グループも解散している。「なのに、いまだにアフガニスタンへの攻撃を継続している。戦争目的が不透明」と述べた。

 アメリカの対中国との関係では「双方ともに経済依存を強めており、輸出で経済基盤を築いている。双方ともに、国際的冒険主義はとれない状況であり、対立回避を最優先にしている」と説明。日本の中国に対する「核の傘」についても「アメリカ、中国ともに、お互いに相手から攻撃されても反撃能力を残すこととなる。そのため、双方ともに、核の先制攻撃はしない関係になっている」と述べ、「核の傘は働かない」と、その実態をリアルに語った。

 その一方で、北朝鮮に対してはキッシンジャ−氏の言葉を引用しながら「北朝鮮はアメリカからの攻撃に備える体制がとられており、北朝鮮は核兵器の使用なくして全面降伏を受け入れることはないだろう」と北朝鮮の置かれている位置を説明。戦争にならないようにするためにも、「北朝鮮の強迫観念の低下を促す努力が必要」と述べ、「脅かさないこと、協力の提示」の重要性を強調した。

 講演はわずか45分程度のものであったが、パワーポイントで映し出された要点が的を得ており、しかも言葉に詰まることもなく、次々に繰り広げられる論点が明快であったことから、あっと言う間の時間であった。私の認識や見解と異なる部分もあったが、内容は合点のいくものであった。この講演だけでも、この集会に参加した意義を感じるものであった。

■初日:基調フォーラム「輝け 憲法と地方自治 連帯の力でくらし守る政治へ」

写真 「政権交代下の地方自治の課題」と題して行なわれた川瀬憲子さんの基調講演は(1)地方自治と地方財政を取り巻く情勢、(2)小泉内閣以降の構造改革、(3)民主党「地域主権」改革をめぐって ───のテーマに分けて、パワーポイントをつかって要点を映し出し、30分で足早に解説。国民の暮らしの実態や「三位一体の改革」による自治体財政への影響を報告し、今日の「地域主権」改革をめぐっては、「いかに地域のセーフティネットを構築していくのかが大きな課題となる」と、「地域主権」改革の問題点を述べた。

 続いて行なわれた「政治を動かす運動 具体的な取り組み」では、各分野からの取り組み報告がされた。

 なかでも印象に残ったのは、京都市職員労働組合の報告「カウンターをこえて」。職員削減攻撃が吹き荒れる中で、市民のなかにある「公務員は優遇されている」の思いに真正面から向き合い、市民の中に入って、市役所に対する注文・意見を聞き取り、それを職場運営に活かしていく取り組みを行ない、民間委託化に反対している市民との共同の取り組みもすすめているというもの。民間委託化を容認する市民の意識のなかには、市役所職員に対する「優遇されている」「働かない」の感情があり、それに対して、職場の実態を説明しながら市民の意見・要望を受け入れ、取り入れていく姿勢は、かならずや前向きの結果となって現れる ───この報告は、小金井市役所職員にもぜひ聞いてほしい内容であった。

■初日:ナイター講座「地域主権改革の争点と地方自治」
       /二宮厚美さん(神戸大学教授)

 近年、「現代資本主義と新自由主義の暴走」(新日本出版社)の著作本を発行している二宮氏は、(1)民主党政権の地域主権国家構想と地域主権戦略、(2)現代的地方自治と分権化路線の再評価、という2つの大きなテーマで1時間30分の講演を行なった。ナイター講座は、この講座以外にも同時刻に「憲法をいかした社会保障改革 ──民主党政権の社会保障政策の動向と課題 ──」「地域経済の再生と地域づくり」が実施されたが、今日の地方自治をめぐる大きな課題となっている「地域主権改革」の問題点を学ぼうとの思いから、二宮厚美氏の講座を選択した。

 二宮氏は冒頭、今日の民主党政権の「分権化路線」や「地域主権国家構想」の内容に触れ、「『地域主権』の名による福祉国家の分権的解体路線とは、全面的な対決が必要」と強調。そのうえで、本題の(1)「民主党政権の地域主権国家構想と地域主権戦略」では、その行き着く先は「民間活力論」「市場化論」であること。地方自治体が条例で決める範囲・規模を拡大させることを目的とした「自治立法権の強化」が実施されれば、地方自治体の財政力でサービスの内容・量に格差が生まれていくと指摘。一方、「地方自治体での応能負担・累進課税の導入」を呼びかけている一部の学者の論に対しては、「高額所得者や大企業は他自治体へ住民票を移してしまう。結局、応益負担でいくしかなくなる。となると、『新しい公共』が前面に出て、自治体経営の効率化がうたわれるようになってくる」と述べた。

 (2)の「現代的地方自治と分権化路線の再評価」では、「地域主権改革」でうたわれている「一括交付金化」について、「この制度になれば、国からの補助金額は減らされることになる。しかし憲法では国の責任を明記しており、地域主権改革は憲法の規定とはそぐわない。今日の動きは、国がやらなければならないことを、国が投げ捨てて地方にやらせようというもの」と言明。そのうえで民主党の新保育政策の代表ともいえる「幼保一体化『こども園』」に対して、「戦後地方自治の曲がり角に来ている」と警鐘を鳴らした。また、大阪・橋下知事の「道州制導入論」に対しては、「市町村の資金・財源を集中し、大企業・財界が求めているIT開発に投入しようというもの」と、そのネライを明らかにした。

 二宮氏は「地域主権改革」の動機が、国の財政赤字にあることを述べたうえで、「日本の財政赤字は深刻。よって増税は必要。問題は『消費税増税』か『大企業増税』かということ。みんなの党は、『消費税増税しなくとも、公務員削減で財政再建ができる』と主張して勝利した」と述べ、ここでも公務員攻撃が展開されていることを説明した。

 これまで参加した学習集会や研究集会などでは、夕方5時以降に講座が設けられることはなかった。私自身、「岡山市まで来たのだから、夕闇が迫る市内をブラブラしてみたい」と思っていたが、今日の政治が、民主党政権による生活破壊、地方自治破壊の様相を強くしているもとで、この事態をなんとしてもはねのけなければならないという参加者の熱意は、夕方からの講座でありながらも、会場をいっぱいに埋めつくしていた。二宮厚美氏の講座を拝聴できてよかったと、すっかり陽が落ちた岡山市内でさまざまな種類の路面電車が行き交う光景を横目にしながら、せっせと宿泊地へと向かった。

■2日目:分科会「自治体財政の分析と民主的確立をめざして」

写真 分科会は27のテーマごとに設けられていたが、補助金の一括交付金化や三位一体の改革、財政の右肩下がり・税収構造の変化などが小金井市政にも現れているもとで、「自治体財政の分析と民主的確立をめざして」を選択。JR岡山駅からバスで15分ほどのところにある岡山大学へと向かった。地元の人はこの大学を「岡大(おかだい)」と読んでいた。

 私が参加した分科会は30人ほどの参加者。3つの自治体での取り組みが報告され、それに対して質疑等で内容を豊かにしていくという手法。最初の報告は、倉敷市の自治体財政問題。「三位一体の改革による地方自治体財政への影響」がテーマ。2番目の報告は、三重県の自治体病院の経営問題。3番目の報告は、千葉県八千代市の財政問題。いずれも、手元の資料とともに、パワーポイントによる説明が行なわれた。

写真 参加者からの飛び入り発言も行なわれ、「一般会計からの繰入金の定式化と収納率向上によって、国保会計の累積赤字を無くした」や「新たな借金をしなければ、公債費比率(プライマリーバランス)は当然に下がっていく」「扶助費の増が懸念されているが、国庫補助金・負担金がその中に一定額入っているので、市費自体はそんなに増えていないはず」「扶助費の増にみられるように、経常経費が増えているということは、市役所の仕事量も増えているということ」など、自治体で働く人の発言には、「なるほど」と思うところが多々あった。

 岡山大学での分科会を終えて、バスに乗ってJR岡山駅へ。道路が渋滞していたため、新幹線の乗車までには40分程度しかなく、今回も駅構内で土産を買うくらいで岡山を後にした。岡山市は県庁所在地であるにもかかわらず、駅前は物静かな雰囲気がただよい、街全体がしっとりとした感がある。駅から歩いて20分程度で岡山城や岡山後楽園の前までたどり着ける。さぞかしそのあたりはにぎやかでしょうねと地元の人に尋ねたが、「駅前の方がにぎやか。城の方は人はまばら」との言葉が返ってきた。「物静かな雰囲気がただよう」場所が駅前なので、街全体が「物静か」ということになる。いろんな種類の路面電車が走り、城も庭園もある岡山市。また来たくなる雰囲気をかもしだす街である。

以上。

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