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善通寺市への『ごみ減量』視察

写真 2月13日(火)、日本共産党小金井市議団4人は、香川県善通寺市へ、資源ごみと生ごみリサイクルの施策を学びに出かけました。(写真は、善通寺駅舎)

 善通寺市は香川県の西部に位置し、人口35,000人余、田園が広がる行政面積39.88㎢の静かな街です。9種類・24分別の資源回収と生ごみの堆肥化が行なわれているというので、新幹線に飛び乗りました。

 え? 「なぜ飛行機ではないのか」って?・・・・。小金井市の視察規定では、最少の費用で最高の効果が原則になっています。新幹線の方が安いし、新幹線で行っても十分に間に合うとの議会事務局の指導があり、想定外の新幹線となりました。

 朝7時10分、小金井市をJR中央線で出発。東京駅の8時13分発の新幹線「のぞみ」に乗車。11時37分の「岡山」着までの3時間24分は、十分に本が読める距離でした。今年はいかにも暖冬だと思いました。というのは、普段ならば雪が覆っている岐阜県と滋賀県の県境付近の「関が原」に、まったく雪がなく、その北側にそびえる標高1377mの伊吹山は頂上付近にしか雪がなく、スキー場あたりは草スキーになっていたからです。春の一日を新幹線で走っている感覚にとらわれるほどでした。

 11時52分、岡山駅から高知行きのJR土讃線「特急南風号」に乗車。先頭車両の一番前の席だったので、前方も左右も見渡せる絶好の位置。岡山駅で買った駅弁を食べながらの特急南風号は、やがて瀬戸大橋へ。左右に見下ろす瀬戸内海を眺めながら、同僚の関根議員はカメラを片手に大はしゃぎ。しかし「板倉さんの方がはしゃいでいる」とは隣席の森戸議員の言葉。瀬戸大橋から眺める瀬戸内海は格別です。

 午後0時49分、善通寺駅着。静かな田舎の駅というたたずまいを感じながら改札を出ると、駅の前から一直線に道路が山の方に向かっている。地図を見ると「片原町通り」と書いてある。駅から徒歩5分。善通寺市役所に到着しました。

 さっそく会議室に案内され、生活環境課長と議会事務局長がお出迎え。パワーポイントを使っての説明が開始されました。質疑含めてここでの報告・説明は午後1時10分から午後3時。次に車で5分ほどの「未来クルパーク21」というリサイクルセンターを視察。約1時間ほど説明と施設案内を受け、善通寺駅に。「ぜひ、善通寺を見学してください」との市職員の声を背に、午後4時34分発の「特急しまんと号」に乗車。高松駅に向かいました。

 「え? これから東京に帰るんですか?。善通寺に日帰りで来るなんて、小金井市の地元で何かあったんですか」とは善通寺駅に車で送ってくれた男性職員。たいていの視察の人は善通寺をお参りするという。なにしろ善通寺は四国75番の礼所で、五重の塔があり、弘法大師・空海が生まれた地でもある。また、土讃線を一駅行くと、「こんぴらさん」で知られる琴平町に着く。善通寺も「こんぴらさん」もなく、急ぎ高松駅に戻った一行は、午後5時23分発の高松空港行きのバスに。左側車窓には高松城址の石垣が、右側車窓には栗林公園が見える。それらをなんの惜しみもなく、バスはたんたんと高松空港へと向かって走っていきました。

 午後6時5分、高松空港着。飛行機搭乗口に行かなければならない20分間の間に、一行は空港の食堂に駆け込み、ご当地「讃岐うどん」を注文。あっという間にたいらげ、お土産を急ぎ買い込んで飛行機の中へ。午後6時45分、高松空港出発。羽田空港には午後8時に到着しました。

 あまりにあわただしい視察であったことと、内容が充実していたこともあり、その日、帰宅してからも「オレは、朝、家を出て、昼間は四国の善通寺市に行ってたんだよな・・・・」と振り返る状況に。一泊して帰って来たような錯覚にさえとらわれる2月中旬の暖冬の日帰り視察でした。なお、議会事務局に提出した私の視察報告書を以下に紹介しますので、ご参照ください。

(2007年2月19日付)


善通寺市「ゴミ減量の取り組み」視察報告書

 善通寺市は資源ゴミの9種・24分別を実施している。「紙類」「布類」「PETボトル」「プラスチック」は小金井市と同じだが、「空き缶」は「アルミ缶」「スチール缶」に分け、「生きびん」は「一升びん」「ビールびん」「洋酒びん」「酢びん」に区分けしている。しかも、「一升びん」は「茶」「緑・黒・白」の二種類に区分けするほどに手の込んだ状態。また、それ以外のびん類は「駄びん」として集め、「無色透明」「茶」「その他びん」に区分けしている。「金属類」の回収もあるが、小金井市と大きく異なるのは、小金井市では粗大ゴミや産業廃棄物扱いにされる自転車、オートバイ、バッテリー類までが、資源ゴミとして回収されていること。自転車とオートバイはリサイクル化されるという。また、善通寺市では2005年度から、廃食用油(使用済み天ぷら油)の回収も行なわれている。廃食用油は社会福祉法人で燃料プラント化され、市のゴミ収集車や市のコミュニティバス「空海号」の燃料に使用されている。これら9種類・24分別は全て無料回収されるという。あわせて善通寺市では、生ごみのリサイクルも行なわれている。各家庭が生ごみ処理機などを活用して肥料等にするもので、2006年度から市内全域で実施されている。

 どうしてこんなに事業が展開できるのか。質問コーナーでは、その点に関心が集まった。きっかけは31年前の当時の市長の「もったいない」の一言からスタート。合言葉は「捨てるごみでも生かせば資源」。各家庭での分別を基本に事業を開始したという。しかしそうはいっても、分別はなかなか徹底しないのが実情。そこで善通寺市は、市内150箇所(1箇所あたり約100世帯が対象)の全集積所に市民ボランティアを朝7時〜8時に配置し、集積所に資源ゴミを持参してくる市民に対して出し方を指導しているという。このボランティアは地域自治会の中から選出。毎回毎回、ボランティアで出動するのは大変だと思うところだが、善通寺市の資源回収は月一回なので、小金井市とは状況が異なる。

 生ごみリサイクルは2004年度からスタート。市内各地域でモデル地区を自治会に頼んで指定してもらい(世帯の10%以上)、電気式生ごみ処理機を無償貸与。翌2005年度にはモデル地区を拡大し、全世帯の40%以上に。そして2006年度には市内全域で実施となった。善通寺市の素晴らしいところは、市の担当課長が1年半で305回の住民説明会に出向いたこと。1年半の間に98%の地域で説明会が実施され、平均して地域住民の70〜80%が出席したというから、行政と住民がいかに信頼関係にあるかがうかがえる。あわせて、生ごみリサイクルリーダー育成というものがある。生ごみのリサイクルをすすめるために、市が生ごみリサイクル講習会を実施し、地域で核になってくれる人を育成するというもの。リーダーには、住民への生ごみ処理の指導や相談役になってもらっているとのこと。リーダー育成の背景には「一人暮らしの高齢者、障害者、低所得者への支援が欠かせないという思いがあった」と述べ、介護ヘルパーや公民館利用者、市報での呼びかけに応えてくれた人など200人が組織されているという。

 生ごみ処理は6方式。(1)田畑に埋める、(2)コンポスト容器を使用、(3)有用微生物群(EM菌等)使用、(4)手動式生ごみ処理器使用、(5)電気式生ごみ処理機使用、(6)グルーブ処理(竹かごなど)。「グループ処理」とは高齢者や障害者に対して近所の人が一緒に生ごみ処理を行なう方式。この6方式の生ごみ処理によって、35%の世帯が生ごみ処理を行なっているというから、たいしたものである。

 「市が堆肥化センターをつくったら、その維持管理で毎年、経費がかかる。よって、各世帯で減量に努力してもらう」の説明にも、納得。善通寺市は1市2町で「琴平町」に設けている焼却場がある。「20年間使用」の約束で稼働しており、近隣住民との関係から、できるだけゴミ搬入量を減らすことが求められているそのこともあり、生ごみリサイクルが推進されている。

 小金井市で、善通寺市と同様なことをすぐにできるかとなると、なかなか難しい面もある。一番難しい点は、地域住民のつながりの問題。善通寺市の自治会加入率は7割強。しかし小金井市は46.43%(2005年度) にすぎない。しかも、自治会が存在しない区域もある。また、小金井市では年間に1割の人が入れ代わるといわれ、それだけ地域住民の親密度は薄いと言わざるを得ない。基本は各世帯での資源分別排出、生ごみ堆肥化であるが、小金井市のような近郊都市の場合には、収集後に、手選別での分別リサイクル・生ごみ堆肥化も、やむを得ない面があると考えられる。

 小金井市は、10年後の新焼却施設の建設候補地問題で現在、右往左往する状態となっている。市民・住民無視のやり方ですすめていく姿勢では、何事もうまくいかないことは明らかである。善通寺市のように、行政と住民が信頼関係をもてるような行政運営を行なうことを、あらためて訴えたい。

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