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介護保険制度の改悪がもたらしたもの

写真 介護保険制度が4月から改定され、介護サービスを受ける側も提供する側も、矛盾が吹き出しています。これまでも、重い利用料負担や施設整備の遅れなどのため、“必要なサービスを受けられない”という矛盾を抱えたまま実施されてきました。4月の改定は、これらを改善するどころか、さらなる負担増、介護サービスの取り上げ、介護施設整備の抑制などを行なうもので、問題だらけの改悪となっています。

 制度改定から半年以上が経過した11月14日午後、小金井市内の団体が、「介護保険制度の改悪で何が起こっているのか」との学習会を開催。市内の訪問介護事業者を招いて、現場の実情をうかがいました(写真参照)。

事業者が真っ先に述べたのは、「ヘルパーの訪問時間が減った」こと。「予防給付」の名のもとに国が介護報酬を改定し、“ヘルパーの生活援助は1時間以上いくらやっても報酬は同じ”とされ、実質的に生活援助が短時間に制限される結果となりました。

 「介護保険制度は“家族介護を減らす““介護の社会化”がうたい文句でしたが、家族介護がなければやっていけない制度」と述べた事業者は、「『介護度4』の場合、1日4回のヘルパー派遣が必要。また、週1回の訪問診療、月1回の通院、最低でも月1回は訪問入浴を受けてもらうことが大事。しかし、介護保険のサービス量をオーバーする。だからショートスティが必要になるけれど、前原あんず苑は満杯。必然的に家族介護が欠かせなくなる」と実態を報告。会場の参加者はいっせいに、うなずいていました。

 そして「1人あたりのケアマネジャーの受け持ち件数が、これまでの50件から35件へ制限がかけられたため、報酬額が大幅減。この部分だけで見ると、事業所は赤字になっている」「デイケアの入浴では、1人入浴させても介護報酬が500円しかもらえない。入浴の場合、2人の介助者と水光熱費がかかるにもかかわらず」の説明には、驚きの声があがりました。

 30分間の報告の後、質疑に入り、参加者からは「要支援2の姉が、自宅に手すりをつけようと思い市役所に相談したら、『介護保険の給付事業に認定されても、地域包括支援センターの立会いでないと適用にならない』」と言われた。「要介護2の夫がガンのために自宅で療養しているが、夫の介護のことで市役所に相談したら、介護保険の適用ではなく、医療保険の適用だと言われた。介護保険であれば1割自己負担で済むのに、医療保険だと10月から3割負担にされたために大変になってしまった」などの意見が次々出されました。

 「ヘルパーさんの実態はどうなっているのか?」の質問に対して事業者は、「ホームヘルパーは月120時間働かないと食べていけない。月120時間とは、1日5〜6件の家を訪問するということ。しかも、坂のある小金井市を、自転車で雨の日も風の日も走り回るという状況。ホームヘルパーの全国平均の月収は5〜6万円。どんなに働いても、月17万円くらいにしかならない」と述べると、「大変だな〜」の声が。「職場の男性ヘルパーは毎日走り回っているために、腰の骨が曲がってしまった」との報告には、会場からどよめきが起きました。

 2時間足らずの学習会でしたが、「介護保険制度はスタート時点からヒドイ制度だけれども、話を聞いて、現状がこんなにヒドイ実態なのかと驚いている」との参加者からの発言が、この学習会に参加しての誰もが抱いた思いではなかったでしょうか。

(2006年11月15日付)

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