2009年度予算編成にあたっての提言

所沢市行政改革大綱「行政経営」有言実行宣言からの転換を

イメージ 世界的な金融危機が米国から発信され、日本経済にも影響を与えつつあり、日本政府はこれを大銀行の救済と庶民への犠牲で切り抜けようとしています。

 そもそも新自由主義のイデオロギーのもと、市場原理主義が世界を覆い、「小さな政府」実現のため規制緩和による企業への民間委託、指定管理者制度、市場化テストの導入などの「構造改革」が、中央より数年遅れで地方自治体に押し寄せてきました。

 所沢市行政改革大綱「行政経営」有言実行宣言も、国のこうした流れに沿って具体化されており、公的役割の後退による住民サービスの質的低下と税や公共料金等の市民負担増を招いています。

 昨今の国民意識として、「構造改革」路線が貧困と格差を広げた「元凶」との認識が広がるなか、市政運営の基本路線を抜本的に転換すべきです。

 例えば、家庭ごみ収集運搬業務の民間委託では、ごみ収集量が減っても委託料は右肩上がりで、学校給食調理部門の民間委託では業者数が限られていることから固定化し、結局は市の方針である競争性は発揮されず、経費の節減にはなっていません。また、指定管理者制度は営利を目的としない福祉施設にはなじまないことも明らかとなり、狭山湖駐車場(市有地)は逆に業者の儲け口となっています。

 こうした実態を検証しながら、直営への転換も考慮すべきです。

 市役所に働く職員の職場環境も成果主義導入で職員同士を競い合わせ、結果として職場の連帯が失われ、心の病などに悩まされる職員が増えているのが現状です。

 地方公務員は市民全体の奉仕者であり、市民に身を寄せた市政運営を心がけなければなりません。

 しかし、「行政サービスからの撤退」を方向性とする市の方針と、効率優先の職場環境は、市民との間に矛盾を生じることになります。

 このように「小さな政府」の方針が各所にほころびを見せている今こそ、地方自治の原点に立ち返り「行政経営」有言実行宣言からの転換をすべきです。

所沢市の産業振興と雇用確保

 所沢市には豊かな自然と緑地を求めて転入してくる市民が多くみらましたが、近年の宅地化による緑地や雑木林の減少や中心市街地の高層ビル林立に見られる圧迫感などで、その印象が薄れかかってきました。

 最大の魅力であった「癒し・安らぎの地」は希薄となり、市外への転出者が後を絶たない現象をおこしています。

 「少子・高齢化社会」にあって、今後の所沢市をどうしていくのかは、市政の最大でかつ緊急の課題であります。

 当市の財政構造は、サラリーマンの個人所得に依拠しており、個人所得の減少傾向が今後の展望に悲観的な影を落しています。

 しかし、ベットタウンという受身の街から、ものづくりの街へと切り替えることで、新たな街の魅力を創り出すことができます。

 住民が市内で消費し、地元企業が安定して営業を行なえる環境を整えれば、市税の増収にも貢献することとなり、市勢の発展に寄与することにもなります。

 それは大手スーパーやナショナルチェーンにはできない小廻りの利く商店街を築き上げ、住民が市内で買い物をしたくなる魅力ある環境をつくることです。

 例えば、

  1. 地産地消をもっと広く展開し、農業を基幹産業として保護すること。

  2. 工業で成功している業者のノウハウを学び、若者の「ものづくり」への関心をひきつけること。

  3. 建設不況で建築技能者の離職が後を絶たない現状は、「ものづくり」の衰退につながるため、これをくいとめること。

 行政がこうした手立てを打つことで、市民の内発的な力を引き出し、新しいまちに変化を遂げる機会を創ることとなります。

 自立した所沢市を築く土台は、地元企業とそこで働く労働者が活性化し、市民のライフスタイルが市勢の発展に繋がっていることを実感するまちづくりです。

所沢駅周辺の特徴あるまちづくりを

 市内で最も賑わう「プロペ通り商店街」は、ナショナルチェーンの進出や「丸井」の撤退などで、以前とは様相を変えてきました。娯楽施設や飲食街化などどこにでも見かける歓楽街に変貌しました。

 市場経済のなかで、まちづくりへの行政のしっかりした方針と商店街・個店の努力がなければ、地元商業は自然淘汰されてしまうのは必然です。

 現在進行中の所沢駅周辺のまちづくりは、どんな街をつくっていくのか、そもそもの議論を関係者のみならず広く展開すべきです。

 都市計画で「ゾーニング」を決めても、現在の歓楽街のような商店街が再び出現しかねません。

 特徴ある街をどうやってつくっていくのか。緊急かつ重大な課題です。

 所沢駅周辺のまちづくりのうち、

  1. 所沢駅東口開発は西武鉄道が施行するもので、一部駅舎改造も含まれることから、市民・行政・周辺商店街の要望を反映した計画が期待されています。

  2. 所沢駅西口開発は、西武車輌工場跡地を中心に周辺地権者・借地権者を巻き込んだ総事業費約100億円(市の試算)を超える区画整理事業構想です。所沢駅東口へ立体交差化する「ふれあい道路」の確保を理由の一つに上げてはいますが、これは用地買収方式で可能です。その他の理由を勘案しても、多額の税金を投入する区画整理事業の必要性は認められず、工場の跡地利用は西武鉄道の構想に則って単独で実施すべきことであります。

  3. 日東地区内には空き家や廃屋も目立ち、防犯上から早期立ち上げを求める声も存在します。しかし、6.9ヘクタールという広大な面積には多くの地権者・借地権者等がおり、この方たちの心を一つにまとめることは至難の技です。すでに地区内には新築した住宅にお住まいの方もいれば、区画整理には参加しないことを意思表示しておられる方も存在します。こうした実態を正確に把握したうえで、棲み分け等による区域除外を考慮した計画(ソフト・ハード面)を示すことが急がれます。

 地権者と向き合い、この地を所沢の顔として“魅力あるまち”にしていくことを求めます。

国民健康保険税の引き下げを

 今年度、国民健康保険税は昨年度に比べ埼玉県内1位の増税となりました。市民生活は、老齢者控除の廃止・物価の値上がり・年金受取額の減少などにより圧迫されています。これは、払いたくても払えない世帯が、19年度で11,490世帯という実態にも現れており、国民皆保険制度を守るために、国民健康保険税の引き下げを求めます。

 また、基本健康診査が特定健診に変わり、検査項目が減らされた上に有料化されました。市民の健康を守る自治体責任を果たす上でも、検査項目を元に戻し、無料化を求めます。

後期高齢者医療制度の廃止を

 4月から始まった後期高齢者医療制度は、保険料負担の増加・手続きの煩雑さ・保険料の二重取りなど、さまざまな問題が次々と起こっています。高齢者が増えるほど保険料が値上がりし、保険料を滞納すれば保険証が取り上げられるなど、制度上の問題も指摘されています。75歳の年齢で医療に差別を持ち込み、受ける医療内容も制限されるこの制度は、世界にも例を見ないものです。健康診断の有料化も行われ、制度廃止の世論も高まっています。市としても、国に対して廃止を求め、高齢者が安心して医療にかかれる体制をつくるべきです。

公立保育園の民営化計画は撤回を

 国は全国一律の最低基準をなくし、保育の責任を自治体まかせにし、保護者と事業者の直接契約にしようとしています。これは、今まで行政が市民との運動で引き上げてきた保育実践を無視するものであり、市の責任を投げだし、ひいては保育行政までつぶす方向の構造改革です。これは、最近の破綻した事例でも明らかです。

 市長は国の最低基準撤廃に反対を表明している立場からも、現在進めようとしている公立保育園の民間委託化計画は撤回すべきです。

 さらに民営化計画先にありきで、トップダウンで進められていることに関係者や保護者から怒りが広がっており、職員や市民との信頼関係を取り戻すためにも、今までどおり市民や職員との合意をはかるプロセスを大切にしなければなりません。

24時間の小児救急医療体制について

 県に対する「小児救急医療体制の充実を求める意見書」が市議会で全会一致で採択された経緯を踏まえ、県の責任と財政的な援助を求めます。さらに所沢保健所を中心として行われている、所沢・入間・狭山の三市の検討会に於いては「初期救急の深夜帯まで含む検討」を提案するよう求めます。

ごみ減量の促進で地球温暖化防止を

 地球温暖化による干ばつや豪雨など災害が相次いでいます。次世代に持続可能な地球環境を手渡すためにも、温暖化の原因となる二酸化炭素等の温室効果ガスの削減と発生抑制が必要です。そのためにも、温暖化に逆行する廃プラスチックの焼却方針を撤回し、広範囲な市民・事業者の参加によるごみ減量計画を策定し実行すべきです。また、最終処分場は自区内処理の立場から、ごみ減量の推進で延命化をはかり、環境負荷を最小限にすることにより、環境優先都市としての役割を果たすことが必要です。

 


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