所沢市総合戦略(素案)説明 なぜ今「四つの重点プロジェクト」か

 

武雄市図書館内を視察
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所沢駅で戦争法廃止2000万筆署名にとりくむ所沢市議団

 1月14日、市は議会に対し「所沢市まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下「所沢市総合戦略」)素案について説明しました。
 この位置づけについては、市の最上位計画の「第5次所沢市総合計画」各種個別計画等をより進化させ、取組のスピードアップを図るものとして、今後5年間の重点プロジェクト等の展開についてまとめたもの、としています。

(株)カドカワの構想に本市も相乗りの感

 重点プロジェクトは(1)クールジャパンフォレスト構想の推進(2)「産業用地創出」による産業振興(3)「所沢駅周辺」の開発とまちの活性化(4)「水とみどりがつくるネットワーク」の構築、の4つの施策。 クールジャパンフォレスト構想は、市と(株)カドカワが、共同プロジェクトとして取り組んでいる、文化と自然が共生した、「住んでみたい」「誰もが訪れたい」地域づくりを進める構想、と市は説明していますが、経過をみると(株)カドカワの構想に相乗りした感が強いものです。

農用地を工業用地に 大規模な土地転用も

 産業用地創出の対象地は、三ヶ島工業団地周辺地区、松郷工業団地周辺地区、関越自動車所沢インターチェンジ周辺地区の三か所。いずれも広大な農用地が広がっており、集団としての農業振興地域と、どう調整できるのかが大きな課題です。
 委託業者からの報告書によれば、開発規模ついては「早期事業完了案」と「大規模用地創出案」の二案あり、それぞれ35ヘクタール、85億円と101ヘクタール、337億円という大規模なプロジェクトです。
 これを地権者の負担のともなう土地区画整理で実施する構想ですが、果たして企業がどれほど進出するのか、地権者にも、市財政にも大きなリスクがともないます。

所沢駅西口の開発 大型地権者西武がカギ

 西武車両工場跡地を中心に一部周辺を含めた土地区画整理事業が進められています。
 この一角(改札口に一番近い区画)には29階建ての高層ビルが法定再開発地区により実施されることもすでに都市計画決定されています。
 土地区画整理事業は再開発部分を除いたエリアで行われ、区画を整備するだけのもので、上物の建築物までは含みません。
 周辺は整然と整備され、住居地区から商業地区に変更され、地価の高騰した土地を転売させない「担保」をとるよう党市議団は求めてきました。

「水とみどり」新規施策は人道橋

 「水とみどりがつくるネットワーク」の構築で目新しい施策は、狭山湖周辺人道橋などの散策路の整備。他は従来の施策の再掲で、「付け足し」感があります。

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 所沢市総合戦略について市は、市民の意見を聞くための「パブリックコメント」を募集しています。
 市議会でも12月議会で、こうした諸問題を審査するための「特別委員会」(党から平井・城下議員)を立ち上げました。

城下のり子市議

写真 子どもの貧困が社会問題となっています。
 当市でも様々な担当課で子どもに関わる支援を行っていますが、実態の把握や対応など全庁的な取り組みとはなっていません。早期発見、早期対応のためにも、子どもの貧困対策に向けた各担当課の取り組みや課題等を全庁的に共有する場の設置を市長に求めました。
 市長は「財政面からあれかこれかのなか、優先順位を考えるべき」と答弁。子どもの成長の支援をお金で図る市長の発言に驚きと怒りを感じました。

地方自治の本旨と市政運営について

 国と地方のあり方に大きく影響を及ぼす政治が進められています。
 辺野古新基地建設問題など、戦後最悪の地方自治への介入を進める安倍政権による国と地方のあり方をどのように捉えているのか市長の見解を求めました。
 市長は「地方は国からの干渉は受けない。今回の問題は国の介入とは思わない、一般論ではくくれない」とみずからの見解を避けました。

再生可能エネルギーで温水プールを

 ごみ焼却の余熱を利用した温水プールの設置を市長は公約に掲げています。プールを維持するためにごみ焼却量を確保するのではなく、太陽光発電など再生可能エネルギーの活用を検討すべきと質問しました。
 環境クリーン部長は「ごみ減量が最優先」と答弁。
 市長には、今期は温水プール設置に向けての検討のみかと求めたところ「公約は希望であり、民間が手をあげれば協力する」との答弁でした。

学校校舎木質化について

 第5次総合計画後期基本計画に学校校舎木質化が盛り込まれています。既に設計委託料として853万円の市税が支出されていますが、事業実施が延期となり今後の方向性について見解を求めました。
 教育総務部長は「実施時期は未確定。防音校舎対応など総合的に勘案し設計が活かされるようにしたい」と答弁しました。

高齢者の望む最期を

 横須賀市では、低所得者の単身高齢者にエンディングプラン・サポート事業」を実施しています。
 その内容は、葬儀や納骨、死亡届人の確保、リビングウィル(延命治療意志)、費用の預託を含む生前予約や本人意思の保管伝達の機能を、行政と事業に協力する葬儀社等と連携するものです。当市でも検討するよう求めました。
 福祉部長は「今後の参考にしたい」と答弁しました。

障がいがあっても安心して学べる環境を

 小・中学校に通学する障がいのある児童生徒は、障がいによって保護者の常時同伴や待機が求められています。病気を抱える保護者等は自分の通院もままなりません。保護者の健康面も配慮し登下校時などの介助員の配置を求めました。
 学校教育部長は「登下校時の支援充実に向け、他部局とも連携したい」と前向きな答弁でした。

多忙な部署への職員の拡充を

 長時間労働やサービス残業が労働者の命にもかかわる問題となっています。
 市職員の昨年度の残業時数は約22万時間。正規職員の労働時間に換算すると122人分、過労死ライン超えはのべ154人となっており、業務量の多い部署への職員の拡充を求めました。
 経営企画部長は「必要に応じて見直しをしていきたい」と答弁しました。