自治会・加入促進の「条例化」 所沢駅周辺の開発に動き

 3・11の東日本大震災と直後の原発事故以来、藤本市長は「絆」をひんぱんに語っています。新年度予算の施政方針演説には自治連合会等多数の傍聴者で埋まり、市長は、自治会関連予算の重点事業を紹介しました。

国民保護法にも役割に期待

 その一つが「地域コミュニティ活性化推進事業」(自治会・町内会加入促進事業)です。

 市内における自治会・町内会加入率が年々落ち込み、地域コミュニティの希薄化が課題になっているとし、加入を促進するために「条例」を制定する検討委員会を立ち上げる予算が計上されました。

 自治会・町内会は自治組織で一任意団体にすぎません。

 加入促進に行政が法的手段で関与することは、介入または自治への侵害です。

 県内では八潮市とさいたま市が同様の条例を作っています。さいたま市議会では自治連合会役員を招き意向を伺ったところ、条例化には反対との意見で、「条例」は自民党市議団などが提出して可決したそうです。

 所沢市では自治会役員と市長との懇談のなかで市長自ら「条例を提出する」と語っていたそうです。

 自治会・町内会が行政の下請け機関化されていると指摘される実態があるなかで、「国民保護法」における「お上」の手足となる自治会などの加入を半ば強制的に促進することは、お互いを監視する戦前をほうふつさせる危険な動きです。

 市民環境常任委員会では日本共産党のみが反対しました。

西武車両工場跡地周辺を巻き込み区画整理事業に

 しばらく沈静化していた西武車両工場跡地周辺の区画整理構想は、西武など地権者などが加わる「駅西口地区街づくり協議会」の会合が重ねられ、新年度はいよいよ区画整理の都市計画決定をするとしています。

 区域内の西武鉄道所有地は65%を占め、「市の表玄関にふさわしいまちづくり」とはいうものの、西武のためのまちづくりと言ってもいいものです。

 以前明らかにした当初での事業費概算が98億円とも言われました。

 今後の市財政を大きく圧迫する関連予算には反対しました。

北秋津・上安松も組合型区画整理で

 北秋津・上安松まちづくり事業は市が率先して区画整理を進めようとしましたが機運が上がらないまま推移していました。

 しかし、平成23年度から大口地権者中心に協議を重ねた結果、区域を西武池袋線まで(上安松の一部も含む)とし、新年度は市施行でなく地権者中心の組合施行での区画整理を実施するための説明会など350万円の予算を計上しました。

 組合施行となると法的には3分の2の賛成で事業決定されてしまうため、反対者の意見は無視される恐れがあります。

 また、組合施行と言っても法的に義務づけられるため、多額の市の出費が予想されます。

 党市議団は地権者の負担が伴う区画整理には全員の合意を前提にしていますが、その保障がない今回の予算計上には反対しました。

荒川ひろしの議会報告

 北朝鮮の地下核実験の実施に中止を求める要請書を送付した市長は、「所沢市平和都市宣言」の趣旨に基づくものと報告。それなら同宣言は「戦争という過ちを繰り返さない」としており、事実上の戦争である「集団的自衛権の行使」を否定するのが当市の市長の立場ではないかただしました。市長は宣言を読み上げ、自分も同じ考えと答弁。「集団的自衛権の行使」への考えは避けました。

公共施設の新設抑制 この方針は本末転倒

イラスト 所沢市の公共施設の量的抑制を方向付ける「公共施設マネジメント方針(案)」について質問しました。

 マネジメント方針(案)の対象施設は、まちづくりセンター、学校施設、子育て関連施設、福祉施設、集会施設、文化スポーツ施設、市営住宅などその他の施設です。

 築後老朽化している施設が多く今までの2倍を超える経費が予想されるため、学校施設では「廃合・統合に向けた検討」などとし、施設の新設を抑制するとしています。

 集会施設など公共施設不足が叫ばれ、充足されていないなかで、「こうした方針は本末転倒」とその問題点を強く指摘しました。

指定管理者選考 透明性のしくみを

 市は公共施設の管理運営を指定管理者に次々と委託していますが、その選考にあたっては評価項目について各委員が評価し、総合点数の高さで選考されます。

 しかし、その結果が公表されるまでのプロセスが各所管様々なために、透明性に欠ける点を指摘。改善を求めたところ、「統一的なマニュアルを作りたい」との部長答弁がありました。

農産物移動販売 継続すべき

 市が県の「緊急雇用基金」補助金を活用しJAに委託して市内6箇所の地区に出向いて農産物を販売する事業は、近隣に商店街のない買い物弱者に喜ばれていたものですが、わずか2年で終了することになりました。  市は県の補助金が終了することと、補助なしでは継続できないというJAの意向もあって、継続は困難との結論を示しました。

 一方、補助金がなくなっても税金の滞納を督促する「コールセンター」事業は、市単独で継続する例もあり、移動販売は市独自で継続するよう求めました。

 担当部長は、関係機関や団体など受け皿探しをしてみたいと答弁しましたが、それでも何らかの助成なしでは困難と思われます。

第二の橋できるまで建設工事待った!

 市内下安松の清瀬市境に「清流苑」という住宅地がありますが、所沢市域と接続する道路は老朽化した築後50年を経過した一本の橋だけです。

 住宅内は一本とて相互通行できる道路はありません。

 この住宅地内に28人入居できる高齢者住宅とディサービスを兼ね備えた3階建ての施設が開発申請され、業者は説明会を行ったので工事に着工すると宣告しましたが、まだ回答得ていない部分があり着工予定を延期しています。

 住民の一番の心配は築後50年を経過した老朽橋に、工事車両往復100台、送迎車は4台で何往復もする重さに耐えられるか、不安を抱いています。

 せめて、市の建設部が前向きに動き出した「第二の橋」が完成するまでは工事を延長して欲しいとの大半の住民の意向をくみ取って、市が仲介に入るよう求めました。

 担当部長は、業者に指導する意向を示しました。