小・中学校にエアコン・扇風機を! 全会一致で可決 共産党の提案と市民運動実る 市長 国保税5億円引下げを提案

 27日に閉会した所沢市議会9月定例会では、教育福祉常任委員会が提出した「小中学校の猛暑対策を早急に実施することを求める決議」を全会一致で可決しました。また一般質問では、国保税を来年度から5億円を上限に引き下げることを、国保運営協議会にはかっていることを明らかにしています。小児初期救急医療では24時間365日体制が来年度中には実現する計画であることも明らかになりました。

 「国民健康保険運営協議会」に当麻市長は、来年度から5億円規模の国保税の税率を引き下げる諮問をしました。「答申」は11月中に予定されています。

 税率引き下げは、この間の社会保障推進協議会など市民団体による署名運動や、3月議会での日本共産党市議団の税率引き下げ条例提案(否決)などの努力が実ったものです。

 党市議団の試算では10年度の国保会計は前年度繰越金9億8千万円がまるまる増えるうえ、そのほかにも3億円ほど増える計算になります。

 その上、増税して残ったお金を基金に積み立てた10億円もあり、こうした財源を使えば引下げ額は市の提案より4倍以上となります。しかし高すぎる国保税が下がったのはうれしいと皆さんから喜ばれてれています。

「猛暑対策を求める決議」日本共産党が提案

 今年の暑さは異常でしたが、議会でも小・中学校の猛暑対策を求める質問が多くありました。日本共産党市議団は議会として決議を上げることを提案。その結果全会一致で可決となりました。

 以下決議の内容の要約です。「9月1日から小・中学校の授業も始まっており、猛暑対策が進んでいない学校では、体調不良を訴える児童・生徒も増加するなど深刻な事態である。この間、議会としても小・中学校の普通教室へのエアコン設置を求めてきたところであるが、いまだ実現に至っていない。市の宝である子どもたちが、授業に集中できるための教育環境の整備・充実は緊急の課題である。猛暑から子どもたちを守るためにも、市として小・中学校の各教室に猛暑対策を早急に取り組むこと。以上、決議する」

24時間365日 小児救急医療で答弁 来年度中実施を目標

 市は2011年度に予算化して、同年度中には24時間365日の小児救急医療を市民医療センターで実施する方針を明らかにしました。

 9月議会で小笠原事務部長は「11年度中には2人の常勤医師の確保で、24時間365日の小児救急医療体制を実施したい」と答弁しました。

 党市議団と市委員会は、都立清瀬小児病院の廃止統合の動きが出て、子育て世代から不安の声があがるなか02年6月議会で小児夜間診療の充実を要求。03年3月議会では、市民医療センターの24時間の小児診療を提案してきました。

 また、06年には所沢医師会や県・市の担当職員、子育て世代も参加して党主催のシンポジウムを実施。07年県議選では柳下候補が「重点公約」として闘い当選。秋の市長選では各候補者がそれぞれ公約に掲げるなど一貫して世論をリードしてきたものです。

 柳下県議はまた、県の医師派遣事業の拡大や市町村への補助制度実施を、県議会で提案してきました。

保育園 来年4月に146人枠が拡大 待機児解消にはまだ不足

 当市の保育園待機児はさいたま市に次いで第二位で131人(今年4月1日時点)と突出しています。

 6月議会で市長は「あらゆる方法で待機児解消をはかる」と述べていました。

 9月議会で党議員の質問にたいし市長は、「あかねの虹の新設で60人、若竹保育園の増築で30人、なかよし保育園の改築で20人、家庭保育室の新設など増改築で146人の待機児を解消する。但し公立による増改築は考えていない」と答弁。

 しかし、それだけでは4月1日時点の待機児は解消されるものの、来年4月までには新たに百数十人が増えるものと見込まれ、とても追いつかない状況から、公立保育園の新増設を引き続き求めました。

 また、母子家庭の負担が大きい保育料の無料化も求めました

 さいたま市、川越市、飯能市、入間市、狭山市など県内25市ではB階層(非課税世帯)は保育料を無料にしています。

 当市でも無料化できないものか、また、減免制度の丁寧な周知徹底を求めたところ担当部長は「応益負担の原則にもとづき低額にしているので、納めてもらう」と答弁。再度他市の例を引き、無料化の検討を強く要請しました。

公立幼稚園一園 廃止条例 子育て環境の充実に「逆行」

 これまで当市の幼児教育の一環を担ってきた2園の公立幼稚園のうち、岩岡に所在する所沢幼稚園を廃園にする条例が、共産党、共生の反対少数で可決されました。

 市教育委員会はすでに、今年の4月からの新規募集をしなかったため、来年3月に在園児が卒園すれば1人の園児もいなくなります。

 市教委は通園する園児の減少を廃園の第一の理由としてきましたが、「通園児は徒歩25分圏内」と限定するなど、私立幼稚園には例のない対象地域の絞り込みをしています。

 通園圏の緩和など、創意工夫次第でいくらでも園児の確保は可能だったのに、初めから廃園前提の対応としか思えない取組状況でした。

 子育てに悩む親たちにとって、幼稚園は母親同士の交流もでき、子育てネットワークの広がりで地域の子育て支援の拠点となっていました。

 公立幼稚園の廃園は、「子育てするなら所沢」を公約に掲げる当摩市長の市民に対する背信行為ではないでしょうか。

市内で唯一の養護老人ホーム 民間に管理ゆだねる

 老人福祉法にもとづく措置施設、養護老人ホーム「亀鶴園」の管理を、社会福祉法人にゆだねる議案も、共産党、共生の反対のみで多数で可決されました。

 市は、ホームへの入退所決定権者は「市が行なう」として公平・公正な選定は問題ないとしていますが、法人所属の施設長の意見が重視されるのは明らかであり懸念材料です。

 また法人は、「最低限」の営利を追求することから、同法人が他に運営する特別養護老人ホームの職員も含めた人事ローテーションとなることも考えられ、固定した職員による入所者の安心・安全が保障されるか心配されます。

議員定数4名削減の請願は「継続」審議

 議員定数削減を求める請願の審査が議会運営委員会でおこなわれました。議会基本条例に沿って、請願の趣旨を聞く参考人制度を活用することが確認されましたが、提案者との日程調整が議会会期中につかず継続審議となりました。

自治基本条例は継続に 審議の場は特別委員会

 「自治基本条例」は総務委員会から「自治基本条例特別委員会」に審議の場が移されることになりました。今後は、公聴会の実施なども計画され、議会としても活発な意見交換をすることになりました。

 党市議団からは平井・城下両議員がメンバーです。10月1日は公聴会、13日は各委員が案を持ち寄り本格的な論議が開始されます。