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第65回自治体学校開催

「地域主権」公共の役割りを取り戻そう
第65回自治体学校実行委員会が主催する「自治体学校」が、7月22日から24日に開催されました。
 「自治体学校」とは、自治体の職員や議員、学者、研究者、住民が全国から集まり、地方自治の拡充や住民のくらしの向上についての政策や経験を、学習・研究・交流するイベントです。 今年の会場は、岡山県でした。

自治体をめぐる状況について
    2人の方の記念講演


 初日の22日は、岡山市立市民文化ホールにて開催挨拶の後、2人の方の記念講演が行われました。
 1人目は、自治体問題研究所理事長である中山徹氏(奈良女子大教授)が「厳しさが増す自治体をめぐる状況、どうすれば良いのか?」と題して、この1年の状況からの地方自治を考える講演を。
 2人目は「地域の主権を大切に、ミュニシパリズムの広がり」と題して、2022年の杉並区長選挙で当選した岸本聡子氏が、ヨーロッパや杉並区での経験をもとに、地域に根差した民主主義について講演しました。

岸本氏による記念講演
 投票率を上げることの大変さ

     
 岸本氏は、区長選挙で「公共の再生」「草の根の民主主義と自治」を掲げて立候補し、当選を果たしました。
 今年の杉並区議会選挙で岸本氏は、「とにかく投票率を上げるために出来ることは何でもしようと試みた」として、政策が同じ方向を向いていて協定を結ぶ事が出来た候補者のもとには、党派を問わず応援演説に行き、公務が終わった後には、駅前などで「一人街宣」と銘打って投票の呼びかけを行ったこと。区民からの働きかけで、所属政党や会派を超えた共同街宣が行われたこと等を報告しました。
 こうした取り組みの結果、杉並区議会議員選挙の投票率は前回比で4・19ポイント上昇。これは票数にすると約2万票に相当し、議会の景色が大きく変わりました。
 杉並区議会議員の定数48名に対し、現職は12人が落選。15人の新人が当選しました。また女性が24人となり、性別非公表の方が1人いるため、女性が過半数を占めることとなりました。 岸本氏は「投票率を上げる事がどんなに大変な事かを、この区議会議員選挙で感じた。今回30代の投票率が男女ともに上がり、議会の勢力図が変化したことは、若年層や女性の中に政治の変化を求める意識があった事に加え、年齢が近い・普通の生活者である身近な人が立候補したことも大事な要素だ」と分析しました。

ミュニシパリズム
 =「地域主権主義」で繋がる


 ミュニシパリズムとは、一般には「地域主権主義」と訳されます。岸本氏は欧州で生活をしながら、各国の地方自治、ミュニシパリズムの研究を行ってきた研究者でもあります。
 世界的に、新自由主義が広がり、貧富の格差が大きくなる中、若年層は従来の「政党」に希望を持てずに気持ちが離れており生活の不満の受け皿として、極右勢力が伸びています。
 こうした中、地域に根付いた住民参加型の政治を求める意識が生まれてきました。特にスペイン・バルセロナで大きな動きが見られ、その流れが世界的にも広がりつつあります。
 岸本氏は「杉並に見られたような地域の主権を取り戻そうとするミュニシパリズムの動きは、世界規模の大きな潮流の中にある。水道、道路、公園、図書館など、本来は誰のものでもない、みんなのものである『公共』が、営利の理論で運営される中、自分達のことを自分達で、かつ民主的なやり方で決めていく。公共の役割りと力を取り戻すことが世界的な流れになっている」と語りました。

 自治力の成長を

 今、地方自治体でも市場の論理が優先されて、様々な民営化が進んでいます。
 岸本氏は「変化には時間がかかる。民主主義の根本である合意形成を大切にして、町場の政治と行政を近づけていきたい。民間に丸投げするのではなく、職員と民間・市民が協力することで自治力を成長させる事ができる」と講演を結びました。
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