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私たちと憲法 狭山9条の会が 伊藤千尋さん講演会 憲法9条こそが人類を守る
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10月23日「私たちと憲法 狭山9条の会」が秋の学習講演会を開催しました。
 講師は、国際ジャーナリストで「九条の会」世話人の一人でもある伊藤千尋氏。「憲法9条で日本は守れるのか?」と題した講演で、伊藤氏は冒頭「9条こそが日本を守る。9条でないと守れない」と断言しました。
 伊藤氏は、ウクライナ情勢に触れながら「帝国主義の時代は『強いものが勝ち』だったが、第二次世界後、国連の枠組みの中で生きていくというルールができた」と指摘。
 「ベトナム戦争時は『ベトナム頑張れ』という主張が多数だったが、今回のロシアのウクライナ侵略については、『NO WAR=戦争そのものをなくせ』という主張が主となっている。誰もが平和に生きる権利がある、これが21世紀の思想だ」ときっぱりと述べました。

際限のない防衛費の増額

 岸田首相は、ロシアや中国を引き合いにして「防衛費倍増」を打ち出しています。しかし、日本の防衛費は、今でさえ世界9位。倍増して11兆円になれば、世界3位の軍事大国となります。
 岸田首相や自民党が持ち出している「抑止論」は、「相手と同じだけの戦力を」ということですが、この論理でいけば倍増しても足りません。
 中国と同じというなら27兆円が必要ですし、中国は「2030年度までにアメリカと同規模に追いつく」と公言しています。
 伊藤氏は「アメリカの防衛費は101兆円。日本の年間予算が100兆円なのに、全て防衛費にする気か? 国民が生きていけなくなる。旧ソ連はそれで潰れた。ロケットを飛ばしてもパンが配れない状況が起きて崩壊した。抑止論に基づいて防衛費を増額し続ければ、日本も同じ道をたどることになる」と指摘しました。

「国を守る」という意味

 ロシアのウクライナ侵略後、9条の会の宣伝中に「9条では国を守れない!」と罵倒される事態が各地で起こりました。
 伊藤氏は「では『国を守る』とはどういう事なのか?国を規定し、国境を引き、『国境の向こうは仲間ではない=敵だ』とすれば、いつか殺し合いに発展し、双方の人が死に、国は破壊される。では憲法9条は何を守るのか? 日本の国民だけを守るのではない。全世界の人々が一緒に安心して暮らせる社会、『国を超えて人類を守る』これが憲法9条」と熱く語りました。

押しつけの形で実を取った

 伊藤氏は、日本国憲法が「アメリカに押し付けられたものである」との論について、戦後の首相である幣原喜十郎と、GHQのマッカーサーの回顧録を引用して解説しました。
 幣原は「憲法は『押し付けられた』という形を取ったが、当時の実情として、そういう形でなければ実際にできなかった」と回顧録に記しています。
 幣原は「原子爆弾ができ、世界の事情は根本的に変わった。軍縮を可能にする方法は、世界が一斉に一切の軍備を廃止すること。ここまで考えを進めてきたときに第九条というものが思い浮かんだ」と回顧。非武装宣言など、当時としては「狂気の沙汰」です。しかし幣原は「では武装宣言が正気なのか?それこそ狂気の沙汰だ」として、マッカーサーに対して「このままいったら核戦争になり、アメリカもいつか滅ぶ。軍隊を持たない国が出て、同意国が出ることが平和になる道。日本は今、その歴史的役割を果たす位置にいる。この偶然を利用することこそがアメリカをも救う道」と説き、マッカーサーに非武装宣言を「命令」として出してもらうよう交渉。押しつけの形を取ることで非武装を実現させたのです。
 軍人であったマッカーサーは、自身の回顧録で「幣原の提案には腰が抜けんばかりに驚いたが、彼は『世界は私たちを夢想家と笑うだろうが、百年後には預言者と呼ばれるだろう』と涙ながらに語った」と記しています。
 
社会は必ず変えられる

 伊藤氏は最後に、ベルリンの壁の崩壊について触れ、「当時東ドイツで7万人のデモ、その後、ベルリンで50万人のデモが起き、政権が崩壊した。きっかけは教会で5人の若者が掲げた手書きのプラカード。初めは5分間の抗議行動が1年後に7万人に。今日もこの学習会にこれだけの人が集まっている。社会は必ず変えられる」と結び、会場は大きな拍手に包まれました。
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