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 日本共産党埼玉県議団主催 公開研修会「防災は命の教育」〜釜石の奇跡に学ぶ
講演する片田氏
講演する片田氏
日本共産党埼玉県議団が、公開研修会 「災害犠牲者ゼロへ 自治体は何をすべきか」を開催しました。
 片田敏孝氏(東京大学大学院情報学環特任教授・日本災害情報学会会長・内閣府中央防災会議委員)は、東日本大震災で一人の犠牲者も出さず「釜石の奇跡」と呼ばれた防災教育を行ってきた水防研究の第一人者です。
 片田氏は加須市でも毎年防災講演会を行っており、昨年の台風19号の際、加須市で大規模な広域避難が実現できた背景に、片田氏の助言があったことを受け、党県議団が今回の研修を企画しました。
 「災害で人は死んではならない。人には人の死に方がある」を持論とする片田氏。
 東日本大震災以後の気象災害の荒ぶり(豪雨、地震、噴火)の中、「防災のあり方をハード面だけでなく、社会の対応(避難)でなんとかしていかなくてはならない時代になった。犠牲者を出さない社会のありようが問われている」と指摘しました。

地域全体で「逃げ遅れゼロ」を

 台風などの風水害については予測の精度がかなり上がっていますが、一人一人の状況(河川の付近か2階や高台にいるかどうかなど)によって避難行動が違ってくるため、行政が定時適切に行動指南を出すことが難しい現状もあります。
 片田氏は、加須市で「利根川中流4県境 広域避難協議会」を立ち上げて、流域自治体からの「逃げ遅れゼロ」を目指して共同のハザードマップや避難所を融通し合う仕組みを作っている例などを紹介しながら、「地域全体で災害に向かう社会をどう作っていくかが課題。ハード面の対応は必要だが、『それを超えるのが自然』という謙虚な認識を持ち、みんなで死なず、みんなで乗り越えていけるコミュニティを」と述べました。

災害に向かい合う人の関係性

 東日本大震災後、東北各地に調査に入った片田氏は、津波警報が鳴り、避難が呼びかけられる中、祖父を助けに行った若者、我が子を探しにいった母親などが津波に飲み込まれていった事例が各地にあったことを紹介。
「人は人として逃げられない。災害に向かいあう人と人の奥深い社会のありようの議論が必要」と述べました。

釜石での防災講演会

 地域での防災教育の在り方として、片田氏は釜石で取り組んできた防災講演会についても紹介しました。
 防災講演会と言っても、当初の参加者はもともと関心のある住民で、何度やっても同じ顔ぶればかりだったとの事。
 ある時、地域の子どもたちに「津波が来たらどうするか?」と尋ねたところ、「逃げない。だって、じいちゃんもお母さんも逃げないから」と答えた。
 片田氏は「避難しないことが常態化しているのは育みの環境にいる大人の責任。大人の姿勢が子ども達を避難させなくさせている」と地域の大人たちに指摘しました。
 自分達が逃げないことで、子どもや孫たちが津波の被害にあうと気づいた大人達が子どもの手を取って訓練を始めた、これが「釜石の奇跡」と言われた行動に繋がったといいます。
 片田氏は「子ども達には、この地域に住まう『お作法』として『逃げる子ども』になる。君たちが必ず逃げると信じられれば、お父さんやお母さん達の命を助けることになる、と伝えている」と述べ、「命のつながりの中で防災を語っていく。防災とは『他者との関わりの中で考える 命の教育』である」と結びました。
 研修に参加した党狭山市議団の大沢えみ子議員は「自然に敬意を払いながら、その地域に暮らす作法として防災を考える、命の教育であるという観点に感動した」と感想を述べました。
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