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第56回自治体学校参加報告(大沢)
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福島第1原発 汚染水の現状

 自治体学校3日目は、「福島第一原発の汚染水の現状」と題して、福島大学の柴崎直明教授が特別講演を行いました。  
 2011年3月の東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故から3年余りが経過していますが、放射性物質による汚染水の問題は未だ解決に向かっていません。
 福島第一原発では、今も毎日400トンもの汚染水が増え続け、汚染水タンクはすでに原発敷地内をほぼ埋め尽くす状態になっています。
 柴崎氏は「現地は、そもそも原発に適した立地として選定されたわけではない」として、地盤の調査や地質・地下水解析が非常に不十分なまま、応急対策が行われてきていることに警鐘を鳴らしました。

ゆるい地盤 1%以上も傾斜

 2013年に入ってから、汚染水問題は様々な形で顕在化。 柴崎氏は「特に2013年8月に起きた300トンもの汚染水漏れは、タンクの地盤問題に起因している。通常の住宅でも0.3%以内とされている傾斜率が、このタンクでは1%以上もあった」と指摘。
 東京電力は「ボーリング調査を行った結果、このタンクの真下に柔らかい粘土層や腐植土層が見られた」として、このタンクの使用を中止しましたが、柴崎氏は「これ以外にも、福島第一原発の敷地内35m盤と呼ばれる台地には軟弱な部分があり、広範囲でタンクが傾く恐れがある」と述べました。

いまでも混乱している現場

 政府は「汚染水は完全にコントロールされている」と述べていますが、柴崎氏は「現場はそれどころではない。放射線量の関係で、一人1日2時間という作業時間しかない中で汚染水タンクの増設工事が行われているが、汚染水が漏れれば、高濃度の放射線のため作業員が近付けず、作業が進まないなど、非常に混乱した状態にある」と厳しく指摘。あわせて、「今後、敷地内だけでなく、周辺地域に汚染水タンクの設置が行われる可能性や、放射性物質の拡散が懸念される。周辺自治体との連携で十分な監視を行う必要がある」と述べました。

地質調査不十分 効果に疑問

 汚染水対策としては、東京電力が「凍土壁」や「地下水バイパス」などの案を提示し、地下水の流入を防ぐ対策を講じるとしていますが、柴崎氏はこれについても「データ解析が不十分で、改善の余地が多々ある」と指摘しました。
 柴崎氏は福島県廃炉安全監視
協議会の専門委員として東京電力から説明を受けていますが、東京電力が示すデータは、ことごとく原発の敷地内のことしか考えられておらず、周辺の地形や地層についての調査がほとんどされていないとの事。
 例えば、「凍土壁」についても、対象となっている地盤は地質が同一ではなく、様々な地層や岩石が複雑に堆積しており、中には生物によるものとみられる穴があちこちに開いている層も見られます。柴崎氏は「このように複雑な地層が、はたして同じように凍るのか。穴や亀裂、地層の隙間があれば水はいくらでも流れ出す」として、その効果を疑問視しました。

国と東電任せにしない監視を

 柴崎氏は最後に、「様々な対策において、国と東電の提示する資料だけでは不十分。周辺自治体や関係機関が、定期的な湧水調査、放射線量調査を行うなどの監視活動が非常に重要」と結びました。
 最近はあまり報じられなくなった汚染水問題ですが、収束どころか、より深刻な状況になっていることを認識しました。 
 原子力発電は、一度事故を起こせばその影響は非常に大きく、収拾のつかない状況になることは現状を見ても明らかです。原発の廃炉、再生可能エネルギーへの早期転換の必要性を改めて感じた講演でした。  (大沢)
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