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第55回自治体学校 柏崎・刈羽原発を視察して
 8月3日〜5日、政務調査費を使用して、第55回となる自治体学校に参加してきました。
1日目の全体会では、一橋大学名誉教授の渡辺治氏が「参院選の結果と安倍政権」と題した記念講演を行い、憲法改定や国防軍の創設などを掲げる安倍政権の動きと、これに対応する国民運動が、幅広い層との共同で新たな発展を遂げていることがが述べられました。

入館には厳しい身分証明書のチェックが
入館には厳しい身分証明書のチェックが
     おそまつな「安全対策」

 2日目の分科会では、開催地が新潟県ということで、柏崎刈羽原発を視察してきました。
 柏崎刈羽原発は、名前の通り、柏崎市と刈羽村にまたがる広大な敷地に建設された原子力発電所で、1〜4号機が柏崎市に、5〜7号機が刈羽村分に建設されています。
 原発の敷地内は入場ゲートから一切の撮影が禁止されているため、敷地外にある「サービスホール」(展示館)で説明を受けました。
 原子炉の仕組みはもちろんですが、福島の事故を受けて、安全対策の強化がうたわれており、説明の内容も「15mの防波堤を建設」「非常電源の確保」「冷却用プールの設置」など、安全対策への取り組みを強調するものでした。
 しかし、同行した専門家は「どれだけの防波堤を作っても、津波は遡上してくるので浸水は完全には防げない。福島の事故でも明らかなように、冷却用プールも地震で地盤が壊れてしまえば水漏れするし、非常用電源も、ケーブルが切断されれば使えない」と厳しく指摘していました。

 根本から方針転換!?

 そもそも東京電力は、原発の誘致・建設にあたり、住民に「原発は停める・冷やす・閉じ込めるのが基本。放射能は漏れない」と説明してきました。  ところが、福島の事故で建屋が水蒸気爆発を起こしたことを受け、新たに「屋根に水蒸気を放出するベント(安全弁)を設置する。これにより爆発が防げる」との説明を始めました。
 爆発は防げるかもしれませんが、放射性物質は大気中に拡散されます。「フィルターを付けるので放射性物質は1000分の1になる」としていますが、これまで「漏れない」と言ってきた説明が、根本から崩れることになりました。

8割の企業が原発関連

サービスホールにある原子炉の模型
サービスホールにある原子炉の模型
 人口約5千人の刈羽村には、運動場、第2体育館などが入った生涯学習センター(ラピカ)が61億円かけて建設されています。また昨年は全面芝のサッカー場、温泉宿泊施設、スイーツガーデンなどの複合施設(とうりんぼ)が42億円かけて建設されました。その費用のほとんどが原発関連の交付金です。
 原発の敷地内には協力企業だけで600社あまりが入っており、それ以外にも労働者の送迎や定期点検時の窓口など、原発に関連する職種は、市、村内の企業の8割にのぼります。

 新たな発展の目も

 地域経済を原発に依存している中で、住民の中に「原発の再稼働」を望む声があるのも事実です。住民のほとんどが何らかの形で原発と繋がっている中で、ただ「原発反対」と叫んでも理解は得られません。
 分科会では、こうした中で奮闘している現地の市議、村議さんから、住民運動や新たな産業を生みだす努力などの経験を聞くことができました。
 刈羽村では新たにプルサーマル計画が持ち上がりましたが、「内容が良く分からない。福島の事故もある中で、万が一の時、住民をどう守るのか」との立場で、良心的な保守層とも連携しながら、直接請求署名を集めて住民投票を実現させ、計画をストップさせたこと。
 柏崎市では、豊かな自然を活かした自然体験施設「夢の森公園」がオープン。これも交付金で作られた施設ですが、運営は市民協働で行われており、新たな産業としての方向性を模索する動きも出てきていることなどが語られました。
 「原発ゼロ」に向けて、政治の決断が必要だということ、その分の資金や労力を、地域の特性を活かした産業へとまわせば、自立した地域を作れる可能性がある事を実感した視察でした。
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