駅前開発の是非を問う住民投票条例案否決
地方自治法第74条の規定にもとづき、市民が有権者の50分の1以上の有効署名を集めて提出した条例案が、10月14日と29日の2日間、市議会で審議された。条例案の名称は「小金井市の武蔵小金井駅南口第2地区市街地再開発事業に係る都市計画案及び市費の支出への賛否を問う住民投票条例」。小金井市の支援を受けた地権者が駅前再開発事業を進めようとするなかで、計画案と税金の投入を「了」とするか「否」とするかの判断を、小金井市民の投票で決めてもらおうというものである。
小金井市は今日、「市の財政は危機的状況」とアピールし、昨年から今年にかけて国保税の増税、小学校給食調理業務の委託化を強行。来春には集会施設の有料化、胃ガン・肺ガン検診の有料化、学童保育所の民間委託化を計画している。加えて小金井市は、新ゴミ処理施設建設や新庁舎建設、福祉会館の建て替えなどを抱えており、新たな事業に財源を当てる余裕はないはずである。ところが小金井市は、民間が行なう駅前開発に15億円余の補助金を支出するというのである。そのことから質疑2日目となった29日は、小金井市の中長期的な財政計画の検討状況と小金井市が負担する15億円余の補助金の財源が質疑された。
まず「中長期的な財政計画」である。市財政に大きな影響を及ぼす事業が目白押しのなか、新たに駅前開発に補助金を出すというのであるならば、今後の市財政の見通し、各年度の収入と支出の推計を示すことが不可欠となる。しかし企画財政部長は「来年秋にならないと示せない」と言う。「それでは到底、話にならないではないか」と詰め寄ると、「駅前開発が事業化されれば、事業費を予算計上していかなければならない」とあっさりと述べる。つまり“いやがうえでも予算計上するしかない。それが担当部署の務め”というわけである。
つぎに「15億円余の補助金の財源」である。「危機的財政状況」ということは、補助金の大半を借金に頼るしかないということになる。ところが、起債(借金)を国が認めてくれるかどうかはわからないという。さらに質問されると、駅前開発の補助対象事業のうち「調査設計計画費」と「土地整備費」は、「起債が難しいのではないか」と言う。ということは、「起債不可」の総額4億3,500万円は、一般財源で賄わなければならなくなるということである。市民からさらに搾り取り、民間委託・サービス削減で、4億3,500万円の財源を確保しようとでも言うのであろうか。ちなみに、答弁したのは「まちづくり担当部長」。少々不安げに議場の反対側を見入る。その先には企画財政部長が座っていた。
補助対象事業 |
事業費概算額 |
市補助額 |
起債可否 |
調査設計計画費 |
11億1,000万円 |
1億8,500万円 |
起債不可 |
土地整備費 |
15億円 |
2億5,000万円 |
起債不可 |
共同施設整備費 |
63億9,000万円 |
10億6,500万円 |
起債可能 |
合計 |
90億円 |
15億円 |
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再開発事業の具体化に向けて、小金井市は現在、地元地権者と協議を行なっているという。そのなかには補助金も含まれているとのこと。補助対象事業のなかに起債不可のものが想定されるなか、補助金を全額、出すことができるのか。まちづくり担当部長は答弁でこのようにも述べている。「補助金は補助要綱にもとづいて行なわれるが、『予算の範囲内で』ともなっている」。このことは“補助金は全額出すということにはなりませんよ”というようにも聞こえるのだが・・・・。もしそうだとすれば、国や東京都の補助額も下がることが想定される。なぜなら、小金井市が予算化した補助額に沿って、国と東京都が補助額割合をもとに補助金を付けるからである。仮に小金井市が少なめの予算しか計上できなかった場合は、少なめに予算化された額に合わせて、補助額割合をもとに国と東京都は補助金を付けるのである。
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補助額の割合 |
小金井市 |
補助対象事業費概算額の6分の1 |
東京都 |
補助対象事業費概算額の6分の1 |
国 |
補助対象事業費概算額の3分の1 |
いずれにしても、小金井市の市財政運営は見通しを持たない、舵取り不能な状態に陥ろうとしている。この船に乗せられている11万人余の小金井市民ほど哀れなものはないであろう。なのに、この駅前再開発事業を住民投票で可否を決しようという今回の条例案に自民党、公明党、民主党、改革連合が反対し、有効署名数 5,454筆の願いを踏みにじってしまった。到底、許せるものではない。
(2014年11月3日付)
※以下、条例案に対する日本共産党市議団の賛成討論を掲載します。
住民投票条例への賛成討論
日本共産党市議団を代表して、住民投票条例制定を求める本議案に賛成の討論を行ないます。
改めて述べるまでもなく、市政の主人公は市民です。主人公である市民が、小金井市の玄関口である武蔵小金井駅南口の街の在り方を、市民の総意で決めていく、そのための手続きを決めようというのは当然のことです。7月中旬から8月中旬までの真夏の真っ只中で、住民投票条例の制定を求める直接請求署名運動をされてこられた多くの方々のご努力に、心から敬意を表しますとともに、署名をされた約 5,800人、有効署名数では 5,454人となる方々の声を市政に届けるために奮闘されたみなさんのご尽力に、頭が下がる思いです。
武蔵小金井駅南口第2地区市街地再開発計画は、以下の理由から問題があります。
第一に、市費を投入するという問題です。小金井市は「市の財政は危機的状況」と述べ、今年度から国保税の大幅引上げを行ない、来年度には市民集会施設の有料化、胃ガン・肺ガン検診の有料化を予定。職員人件費を削減するために昨年9月から小学校5校の給食調理業務の委託化を行ない、来年4月からは学童保育所4箇所の委託化を予定しています。「危機的財政状況」を述べる小金井市が、駅前開発ならば税金を投入するというやり方は到底、市民の理解を得られるものではありません。
加えて、小金井市は今日、大きな財源を必要とする様々な事業を抱えています。それらの事業を市民生活に影響をおよぼすことなく進めていくことができるのか、多くの市民がそのことに不安と懸念を抱いています。ところが、このことに応えるために求められている中長期的な財政計画は、いまだに示されてはおらず、財政的な見通しもなく、とにかく15億円余の市費を投入する第2地区再開発に突き進もうというわけです。
15億円余の市費投入についても、起債発行可能額がどれくらいになるのか、そもそも起債発行が認められる適債性についてどうなのかについても、確たるものは示せないという状況でした。これでは、多額の一般財源を充てることにもなりかねず、市民生活に必要な財源を奪うことにもなりかねません。こんな先行きの不透明な無責任きわまりない行政運営は断じて認めることはできません。
しかも、小金井市は6月議会のなかで「第2地区再開発の財源はどうするのか」との質問に対して、「財源確保に向けて行財政改革の徹底した取り組みに務める」と述べており、「行革」によって得られた財源を駅前開発に充てていくというホンネを語っています。「行革」は「市民サービス充実のため」という言い分がまやかしであることが明らかとなりました。
小金井市が15億円投入の根拠としている「都市再開発法 122条」は「補助することができる」というものであり、義務規程ではありません。「市財政は危機的状況」を理由に、市民サービス削減・負担増を言うのならば、義務規程ではない補助金投入はやめるべきです。しかも、震災復興事業や6年後の東京オリンピック事業による資材高騰によって、補助経費が引き上がることは必至です。
今回の質疑で明らかとなったことは、第2地区再開発事業に大手デベロッパーが関わっており、事業売却経費が提示されているということです。補助金を投入しなくても、提示された金額で事業が十分にまかなえるというケースが示されており、補助金投入の必要性はなくなっています。税金投入を言うのならば、都内最悪の認可保育園不足や三多摩でも最低クラスの福祉・教育予算の拡充へと充てるべきです。それこそが「更なる活性化」の一番の方策です。
小金井市は「再開発によって税収増になる」と言いますが、第1地区の再開発によって招いたものは、膨らむ市財政の借金と「危機的財政状況」の名のもとに市民に押し寄せた負担増です。今回の第2地区においては、戸数 680戸の分譲マンションも予定されており、ファミリー世帯や子育て世代の入居も予定されます。小中学校へ通う子どもたちが増えることによる教室不足や、保育施設不足などがさらに懸念されます。これらの施設整備にかかる費用を小金井市は、どう見ているのでしょうか。結局、しわよせは納税者である市民にくることになります。市民に負担をいっそう課すことにしかならない再開発事業への税金投入は、行なうべきではありません。
第二に、14日の本会議での請求代表者の発言にもありましたように、今の小金井市政には「市民参加」の視点が欠落していることです。市民生活全体においても、市財政においても大きな影響を与える街づくりであるにもかかわらず、市民説明会はたった1回のみ。しかも説明会では計画に反対の声や懸念を表明する声が相次ぎ、さらなる説明会開催を求める声が続出しているにもかかわらず、わずか1回のみ・2時間ばかりの説明会で都市計画決定へとコトを運び、事業化へと突き進んでいることは重大です。
請求代表者の一人は、こうも述べていました。「3月末の準備組合からの周辺住民への説明は、通りいっぺんのもの。何を聞いても、まだ具体化されていないとのことで、何もわからない状態」。そのことから、周辺住民に対してさえも計画概要は十分に知らされておらず、しかも、たった1回の市民説明会のみで南口第2地区再開発計画をすすめていくこと自体がいま、問われています。ですから「市民全体の意見を聞いてほしい。市民の意思を伝える唯一の手段である住民投票を実施してほしい」との主張は、当然のことです。
第三に、都市計画の内容です。建物の高さにおいて「スカイラインの形成」という名のもとに、95mまで認めるものとなっています。ハケの景観を守るというのならば、周辺住民の日照権を奪い圧迫感を与え続ける、超高層ビルを可能とするような計画は認めず、連雀通り南側の高さ制限に沿った計画に改めるべきです。
「防災上の課題を解消して安全・安心なまち」をいうのならば、地域住民の声が届きにくくなるような超高層ビルではなく、低層の再開発事業へと地元地権者を導くべきです。しかも第2地区は区域内に30%しか建物が建っておらず、残りの70%は区域内道路や駐車場、空き地となっています。住宅密集地とは到底いえず、公的資金を投入する必要性などありません。
住民投票条例制定を求める直接請求署名運動の中で明らかとなったことは、今回の南口第2地区再開発計画の存在自体を、多くの市民が知らない、知らされていなかったということです。2棟の超高層ビルが計画され、市費含めて60億円もの税金が投入されようとしていること、市費を投入するだけの公共性もないことなどです。周辺住民説明会では準備組合からは「具体化されていない、わからない」と言われ、市民説明会はわずか1回のみ。これで超高層ビルを建て、景観を損ね、周辺住民の生活環境への影響をつくりだす駅前にしていいのか、暮らしが大変なときに市税を当てていいのかなど、多くの意見や不安、疑問が出されるのは当然です。このことを市長は、どう考えているのでしょうか。市民の声に耳を傾けるべきです。
小金井市は長年にわたってゴミ処理施設問題を抱え、9月定例市議会では突如、市長が「リース庁舎買収」をうち出すなど、この間の市民検討委員会の議論を無視した、あきれ果てた事態となっています。なのに、駅前開発は「危機的財政状況」であっても突進するというのは、あまりにも市民不在・無責任な市政運営です。このような小金井市政のなかにおいて、今回の南口第2地区再開発事業の都市計画の在り方、市財政の支出の在り方を小金井市民の住民投票で賛否を問い、判断を決めていこうという本議案の内容は、住民が主人公をうたった地方自治法の精神からも、小金井市市民参加条例の基本理念からいっても当然の姿であり、市民の直接請求運動を待つまでもなく、小金井市みずからが判断して住民投票を行なうべきものです。
市長および市議会は、有効署名数 5,454人の民意に従い、住民投票を実施すべきです。よって、住民投票実施を求める本議案に全面的に賛同することを表明し、賛成討論とするものです。
小学校給食調理業務の委託料
小金井市は昨年9月から、市内小学校9校のうち5校の給食調理業務の委託化を強行した。委託化は新年度に入って職員団体と合意したことを受け、急きょ具体化されたもの。そのため、2学期からの委託化に向け、相当窮屈なスケジュールが組まれた。
職員団体との合意は、4月15日付の職員団体ニュース「おはよう」で突然、表明された。
「12日夜、団体交渉を行ない、小学校5校の給食調理の民間委託化で合意。今年9月から委託化」というものである。それからの小金井市は、9月からの委託化に向けて一直線に駆けだした。以下にその経過を記す。
◎5月1日付「市報」に保護者説明会日程を掲載
◎5月14日の市役所庁議(行政の意思決定機関)で委託化を最終確認(決定)
◎5月13日〜20日および6月5日(水)で計10回の保護者説明会
◎5月31日に業者選定のためのプロポーザル実施の起案書提出
◎6月1日付「市報」および6月10日付「ホームページ」で委託業者の公募を発表
◎6月3日からの6月議会に委託予算(5校×7カ月分で 計7,795万2千円)を提出
◎6月10日〜21日、業者の申込み受付・実施要領等の配付、参加意思確認
◎6月24日〜28日、業者の質問受付
◎6月26日の最終本会議で賛成多数で委託予算を可決
◎7月1日、業者への質問に対する回答
◎7月12日まで、業者の参加資格確認書類・提案書等の提出
◎7月19日、第一次審査(書類審査)
◎7月26日、第二次審査(書類およびヒアリングによる総合審査)
◎8月2日、審査結果の公表
◎8月5日、委託業者と随意契約締結
◎8月23日、随意契約確定
◎8月24日〜31日、市調理員と委託業者との間での引継ぎ
◎8月下旬、学校・PTA・関係者の試食会
◎9月から委託 |
「相当にムリなスケジュールで委託化へとすすんだのではないか」と10月3日の決算特別委員会で問うと、学務課長補佐は「私自身、タイトなスケジュールだなと思いながら進めてきた。委託事業者にも迷惑をかけてしまった」と述べた。なぜ、このような「タイトなスケジュール」となったのか。それは、何がなんでも委託化を推し進めるという稲葉市長の方針があるからである。
プロポーザルで業者を選定するにあたり、小金井市は委託上限額を示している。期間は2013年9月から2014年3月までの7カ月間である。では実際の決算額はどうだったのか。以下がその額である。
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委託上限額 |
委託決算額 |
率 |
委託業者 |
第二小学校 |
1,536万5千円 |
1,469万2,650円 |
95.6% |
グリーンハウス |
第四小学校 |
1,535万8千円 |
1,458万9,750円 |
95.0% |
東洋食品 |
前原小学校 |
1,533万2千円 |
1,501万6,050円 |
97.9% |
一冨士フードサービス |
緑 小学校 |
1,656万3千円 |
1,572万9,000円 |
95.0% |
東洋食品 |
南 小学校 |
1,533万4千円 |
1,467万7,950円 |
95.7% |
グリーンハウス |
合計 |
7,795万2千円 |
7,470万5,400円 |
95.8% |
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では、この委託金額で、事業者は調理業務を行なう職員にどれくらいの賃金を支払っていたのであろうか。受託が決定する前後に委託事業者が出した求人広告では、以下のようになっている。「調理補助のパート・アルバイト 時給900円、有資格者1,000円」「契約社員(調理スタッフ) 月給17万円以上」「正規調理員 月給15万5千円〜26万円」。仮に「月給17万円」(契約社員)の場合、年収で換算するといくらになるであろうか。「204万円」である。
契約社員・正規調理員の場合は「賞与あり」となっている。仮に、年間で4カ月の「賞与」があったとしても「272万円」である。しかし、そんなに賞与が支給されるのか。しかも雇用初年度で支給されるのだろうか。
給食調理の委託現場では、調理員や調理補助員の顔ぶれがひんぱんに入れ代わる。なぜならば、給与などの待遇・労働条件がよくないからである。そのことに対する見解をただすと、学務課長補佐は次のように答弁した。「調理員の入れ代わりが激しいことは承知しており、委託費に占める人件費割合の把握については、今後の研究課題としたい」。
私は思う。そもそも、委託すること自体が「人件費削減効果」を狙ったものであり、受託事業者にとっても、ぎりきりの人件費しか確保できない仕組みになっているのではないか 。「人件費が削減できた」と喜ぶ人々は、このことをどのように見ているのであろうか。委託現場で汗水垂らして働く人々を思うと、私は到底、喜べないのである。
(2014年10月28日付)
胃がん・肺がん検診の有料化
小金井市が、がん検診の有料化に踏み出した。10月16日に開かれた市民健康づくり審議会に「胃がん検診」「肺がん検診」への自己負担導入案を諮問したのである。がん検診の有料化については、市長の考え方に立つ人々で構成される「行財政改革市民会議」が今年2月13日に発表した「中間答申」で以下のように記し、小金井市の尻をたたいている。
「独自健診や各がん検診はそのほぼ全てが無料で行われており、一部の受診者のために、国や東京都の負担もあるとはいえ、受診しない市民の負担に頼る構造となっている」「各健(検)診については、市民間の負担の公平性の確保や、将来の医療費の増加への対応、市民の医療費への関心を高めるためにも、一部自己負担金を徴収することは理解も得られやすいと考えられ、早期に導入を図るべきである」。
尻をたたかれた小金井市は、16日の市民健康づくり審議会に「胃がん検診 1,000円」「肺がん検診の胸部レントゲン 500円、喀痰検査 500円」の自己負担導入案を提案。加えて「胃がん検診」で「要精密検査」となった場合の受診・検査の自己負担額助成制度を廃止し、胃がん検診の精密検査でも負担を求めるとしている。小金井市は来年度から有料化を行うというのである。
しかしさすがに「有料化」だけでは市民の理解を得られないと考えたのであろう。今回の有料化で得た財源を使って検診車の活用期間を延長し、受診定員をそのぶん増やすとともに、胃がん検診と肺がん検診を同時に実施することにより、受診率が極端に低い肺がん検診の受診率向上を図りたいとしている。そのことから小金井市は、今回の有料化によって221万円の歳入を確保する反面、検診車の活用期間延長や受診者増によって225万1千円の支出増を予定。差し引き4万1千円の持ち出しになるとしている。
有料化は、すでに自己負担が導入されている「乳がん検診」(2,000円)と今回の「胃がん検診」「肺がん検診」にとどまるのだろうか。市が示した方針では、「今後、他市の動向及び有料化の導入による影響等を考慮し、検診車によるがん検診から段階的に有料化を実施する」としている。つまり「大腸がん検診」「子宮がん検診」も「段階的に有料化を実施する」のである。だから小金井市は、市民健康づくり審議会に三多摩26市の有料化状況の資料を提出。「5がん検診全て有料 11市」「乳がん検診のみ有料 小金井市含む10市」だと述べている。
有料化は「病気の早期発見・早期治療」に逆行する。長引く景気低迷に社会保険料のアップ、収入の減少、4月からの消費税増税によって、可処分所得は確実に低下している。そんな時に有料化を行なえば、受診率の低下を招くのは疑いのないところ。国は検診受診率目標を50%に定め、小金井市も「健康増進計画」で2016年度の目標を設定。「10年間で、がん死亡率を20%下げる」としている。なのに「有料化」では目標達成どころか、いっそうの後退を引き起こさざるをえない。
さらに小金井市は、独自健康診査や特定健診、後期高齢者医療健診の有料化も視野に入れている。「行財政改革市民会議」の「中間答申」で「早期実施」を突きつけられ、第3次行財政改革大綱でみずから「受益者負担金の徴収」を明記しているからである。「自己負担なしで早期発見・早期治療に導く」ことと「市民間の不公平感をなくす」を天秤にかけ、“負担金が出せない者は健(検)診は受けさせない。これが公平なやり方だ”という姿勢は行政のなすべき在り方ではない。けっして容認できるものではない。
「行財政改革市民会議」は、何を基準に「見直すべき事業」と「継続すべき事業」に振り分けているのであろうか。「中間答申」の一連の記述からは、「市財政の危機的状況」を理由に“庶民からお金をいただく”という強い意思がうかがえる。ようするに、市民に危機意識をあおり、とりやすいところからとってやろうというやり方である。しかし、稲葉市長が進めたがっている大型開発事業や都市計画道路建設事業は、たとえ市財政に莫大な支出と長期的な負債を強いるものであったとしても、「見直すべき事業」には含めないのである。
どんなに有意義で大切な事業であっても、市長の考えにそぐわず、市長の意を受けた「行財政改革市民会議」に「不要」「見直せ」と睨まれたら従わざるをえない―――このような市政運営でいいのだろうか。かつて「事業仕分け」で必要な事業であっても切り捨てていった民主党政権は、短期間に国民の支持を失い転落していった。稲葉市政の落日もそう遠くはないであろう。
小金井市の『がん検診』の推移(PDF578KB)
(2014年10月25日付)
来春から集会施設4箇所を有料化
小金井市は、第3次行財政改革大綱で「有料化」をうち出している市内4箇所の集会施設を、来年4月から利用料金の徴収実施に踏み出そうとしている。7月11日から8月13日までのひとつきの間、小金井市は有料化に向けた下地づくりを行なうために、有料化対象の上之原会館、西之台会館、上水会館、婦人会館の4箇所に「利用者アンケート」を置き、有料化に対する意見把握を実施。9月定例会中の総務企画委員会に集計結果が報告された。
「利用者アンケート」では有料化を行なう理由として、「集会施設を利用する方としない方との公平性の観点から」と説明。そのうえで、「有料となった場合に利用するかどうか」と問いかけ、「有料なら利用しない」「利用料が少額なら利用したい」「有料となっても利用したい」のなかから選択するように求めている。
しかし市の集会施設は、特定の団体や個人でなければ利用できないというものではなく、市民であれば誰もが分け隔てなく利用できるものであり、いまは利用していなくても、やがては利用する側になりうるものである。しかも小金井市は「生涯学習」を重要視しており、公民館や図書館と同様に、集会施設も市民がつどう貴重な場となっている。
「有料となった場合に利用するかどうか」という設問ほど愚かなものはない。集会施設が有料化されたとしても他につどう場所がなければそこを利用するほかに道はなく、「やむなく利用せざるをえない」というのが実情である。
集会施設の有料化に対しては、市長の考え方に立つ人々で構成される「行財政改革市民会議」が今年2月13日、「中間答申」を発表し、有料化促進を求める以下の文言を突きつけた。「施設白書によると集会施設全体では支出に対する収入の割合は約8%(収支差額約8,915万円)だが、その利用頻度を見ると、月1回以上利用するリピーターが利用者全体の約80%、更にその中で週1回以上利用するリピーターが約30%強となっており、リピーターの利用が大部分を占める状況が推察される。これは集会施設の運営経費の大部分が、利用していない市民の税負担で賄われていること示しており、早急に利用者負担を導入すべきである。また小規模の集会施設については、町会への譲渡や売却などの可能性も視野に入れ、施設の統廃合を考えていく必要がある」。小金井市は、この「中間答申」に追い立てられるように、有料化へと動きだしたのである。
小金井市は集会施設の有料化で、年間 689万円の財源確保を予定。その一方で、地主が行なう開発にもかかわらず、武蔵小金井駅南口の新たな開発には15億円余を分け与えるという。しかし「行財政改革市民会議」は、駅前開発への莫大な税金投入に対しては一言も語ろうとはしていない。
余暇を楽しむ市民の自主的活動に無料の集会施設が充てられることは「問題」としながら、地主の利益確保のための駅前開発は「不問」にする―――「行財政改革市民会議」の底が知れたというものである。
有料化対象集会施設の年間利用状況調べ(PDF463KB)
(2014年10月23日付)
『リース庁舎買収騒動』の顛末と課題
小金井市は1994年1月から8階建ての民間ビルを借り、全館を「市役所第2庁舎」として利用している。賃貸借で支払ってきた金額は今年9月末までの20年9カ月で、建物に50億7,666万円、隣接の駐車場に3億2,605万円、共益費(維持管理料)に18億2,984万円となっており、総額では72億3,255万円にのぼっている。通称「リース庁舎」と呼ばれるこの建物と土地(駐車場含む)を、稲葉孝彦市長は9月12日の会派代表者会議で突如「買う」と述べ、「そのための補正予算を提出するので、9月24日の本会議で議決してほしい」と述べた。
議会は“寝耳に水”である。すくなくとも我々、野党側の議員にとっては・・・・。「すくなくとも」とあえて言うのは、自民党や公明党などの与党の議員には、すでに相談が行っていたのではないかと思えるフシがあるからである。なぜなら、9月4日の市議会本会議の一般質問初日に、公明党の宮下議員が「市役所本庁舎の耐震診断を早急に行なえ」と主張しているからである。これに対する市側の答弁はなかったが、私は、宮下議員の質問通告書を見た時に、「4年後には市役所建設予定地に新庁舎を建設する」との方針があるなかで、“なぜ、このような質問を行なうのだろうか?”と不思議な思いにとらわれていたのである。いまから思えば、「リース庁舎買収」に向けた先取りの質問だったのではないか。そう思うのが自然であろう。
市長が「リース庁舎買収」の理由にあげているのは、「リース庁舎を買収したほうが、家賃等を払い続けるよりも年間1億円余の財政効果があり、市役所建設予定地に新庁舎を建てるための財源確保になる」「予定していた『2018年4月に新庁舎完成』は財源不足のために難しいので、財政効果分の年間1億円余を毎年基金に積み立て、15年後には新庁舎を建てる」というものである。なるほど、この説明はわかりやすい。だが、しかし、喜ぶのは誰か・・・・?。
「リース庁舎買収」方針を知った多くの市民は怒った。20年以上にわたって民間ビルを借り続けたうえに、今度は、土地付きとはいえ老朽化したそのビルを買うとはどういうことか!と。稲葉市長が議会に提出した買収のための補正予算では、建物を6億2,023万4千円、土地は12億4,571万円で買うという。総額では18億6,594万4千円。不動産鑑定を行なったうえでの金額だという。しかし市民は言う。「喜んでいるのは建物と土地を所有している人」。なぜなら「不景気な世の中。市役所が撤退したら、8階建ての中古ビルに入ってくるテナントなどいない」からである。加えて、建て替えようにも、この場所は「住宅やマンションは建てられない場所」となっているのである。地主さんにしてみれば、「買収」は、ありがたい話である。
突如降って湧いた「買収」方針。しかも「補正予算を早急に議決せよ」と言う。とんでもない話である。我々野党側は火を噴いた。論戦の的は「毎年1億円余の財政効果」が果たして本当なのか?という点。実質的な質疑は9月19日(金)・22日(月)・25日(木)・26日(金)の4日間であった。その結果、明らかとなったのは、「毎年1億円余の財政効果」は砂上の楼閣だということ。
理由は、(2)第2庁舎の建物(現「リース庁舎」)を使い続けるということは、築49年の市役所本庁舎を使い続けるということ。しかし、本庁舎の耐震補強工事や大規模改修の経費が計算に入っておらず、リース庁舎の所有者から毎年入ってくる固定資産税などが入らなくなることも計算に含まれていないこと。そのことから、これらを計算に含めると「年1億円余の財政効果」がほとんど期待できないこと。(2)財政効果が期待できないことから、「15年後に新庁舎建設」も無理であること。(3)本庁舎を使い続けるということは分散庁舎が続くだけでなく、耐震補強工事等を行なった後の10数年後には本庁舎の建て替えに迫られ、本庁舎の建て替えが終了したら、今度は第2庁舎の建て替え時期を迎えるというふうに、悪循環に陥ること。これでは、15年後のみならず、新庁舎建設は果てしなくかなたの方向に追いやられてしまうこと―――である。
質疑のなかでは、市長の独断専行も明らかとなった。今回のリース庁舎買収に向けた動きは、市長と市長の意を受けた総務部長の2人で秘密裏にすすめられた。総務部長を指導する副市長も、財政部門を担当する企画財政部署も、この動きを知らされてはいなかった。市役所の取り組みを定めた規程から、大きくはずれたやり方である。
13年前、私は中古物件の我が家を購入した。その際、購入予定の中古物件の登記簿を事前に相手側から見せてもらい、相手側と確認作業を行なった。妻は、マイホームを購入する際の注意事項を記した書籍を事前に読みあさり、万全の体制で売買契約に臨んだ。ところが小金井市、「リース庁舎」の建物と土地に「根抵当権」が付いていることを、9月17日に登記簿を取り寄せて初めて知ったというのである。金額は「9億3,000万円」。18億6,600万円で買収し、その半額が根抵当権の抹消に充てられていくということになる。これでは、所有者の借金返済のために、市民の税金が使われるということになるではないか。
火を吐く野党側。追い詰められる稲葉市長。9月29日(月)午前11時25分、篠原議長がタオルをリングに投げ入れた。「市長に対して、予算の取り下げを進言する」。翌30日(火)午前11時40分、市長が発言。「議長の進言を重く受け止め、改めて内容を精査する必要があるため、撤回する」。市長は首を深くうなだれた。
「リース庁舎買収」の真相はわからない。本当に新庁舎建設の「財源確保」のためだったのか。はたまた「所有者救済策」だったのか。真の理由は闇の中である。市長は断念したわけではない。「改めて内容を精査する必要があるため」としか述べてはいない。
これで「一件落着」ではない。課題は残っている。市長は「建てるための財源がない」を理由に、市役所建設予定地での新庁舎建設を先延ばししようとしている。このままではリース庁舎はさらに続くことになる。よって、建てる財源を確保しながら、いかにして市役所建設予定地に新庁舎を建てるか―――このことが問われてくる。日本共産党市議団は、新たな駅前開発や都市計画道路建設に財源を充てるのではなく、市民生活を守りながら基金を積み立て、軽量鉄骨型で最低限必要な規模の庁舎(約9,000平方メートル)を建てるべきと主張している。
(2014年10月11日付)
『環境配慮型』原付バイク
小金井市の決算委員会は、まだ終わっていない。小金井市の稲葉市長が9月中旬に突如、「リース庁舎」と呼ばれる賃貸借の市庁舎ビルを「買う」ことを表明し、9月下旬に取得予算の議決を行なうように市議会に求めてきたからである。そのため議会は空転。予定していた決算委員会の質疑日程が最終盤にズレこみ、残った質疑項目は閉会中の決算委員会で扱うようになったからである。そのことから、最低でも4日間開かれる決算委員会は3日間の質疑を終えた段階でストップ。続きは、11月中旬に予定する決算委員会へ先送りとなっている。
9月定例会中の1日目の決算委員会は最初に、一般会計の「歳入」の質疑から行なわれた。「歳入」の部分で私は「物品売払収入」の「原動機付自転車売払収入・3万4,650円」に注目。金額はたいしたものではないが、「3万4,650円」がどのような流れを経て、この金額になったのかを知りたいと思ったのである。「売払収入」ということなので、一般的には「競売」を行なっているのだろうとは思うのだが。
議会に内訳の資料が提出された。それによると「原動機付自転車売払収入・3万4,650 円」はバイク2台の合計金額とのこと。2台とも、市役所がバイクを購入したのは「平成17年6月1日」、売却したのは「平成26年3月20日」となっている。購入してからわずか9年足らずで、1台あたり1万7,325円で売却しているのである。
では、どのような流れで売却したのか。「3者による指名競争入札」となっている。工事入札と同様なやり方で小金井市と結びつきのある事業者3社を指名し、入札価格の一番高かった事業者に売り払ったということである。金額が2台とも同額なことから、2台とも同じ事業者が落札したと思われる。
なぜ「競売」にかけないのか。担当課は「業務の繁雑さに加えて、オークションのノウハウもない。システム的にも対応できない」からだと言う。ではなぜ、わずか9年足らずで売却することになったのか。「使用頻度が低く、ほとんど使われていない」と担当課の説明。「買い手が見つかるうちに売りたい」ということで、競争入札にかけたというのである。ほとんど使われていない理由については「ヘルメットをかぶるなどの手間が敬遠されたと思う」と担当課。「バイクに代えて、電動付自転車を購入した」という。
売却されたバイクを見ていないので想像でしかモノは言えないが、購入してから9年足らず、しかもほとんど使われていないとなれば、「1台・1万7,325円」はかなりおトク。落札した事業者は、毎日ルンルン気分で街中を走り回っていることであろう。
さて、我が愛車。今年で21年目。昨年エンジン部分をオーバーホールし、傷んでいるところもかなり手を入れた。この頃は、環境にすこぶる優しい。信号待ちのために横断歩道前で停車すると、アイドリングストップをしてくれる。停車位置が上り坂の途中だとちょっと困る。ブレーキを踏まないと、坂道を下り落ちようとするからである。走行距離は7万キロメートルを超えたところ。「カブは上手に使えば、10万キロくらいは行けますよ」と修理をしてくれたバイク屋のおじさん。単純計算でいけば、あと9年近く乗らないと、目標の10万キロメートルには到達しないことになる。それまでにバイクの車体はもつのか?、私の体はもつのか?。「1台・1万7,325円」の資料を見ながら、ため息をつく。
(2014年10月8日付)
姿見えぬ公契約条例
2010年5月に発表した小金井市「第3次行財政改革大綱」では、「2012年度から公契約条例を実施する」と明記している。しかし、いまだに影も形も見えず、かろうじて煙が漂うくらいである。「いったいどうなっているのか?」と5月15日の行財政改革調査特別委員会で問うと、「賃金条項を定めたものでないと公契約条例とはならないとの社会状況があり、まだ方向性が定まってはいない」との答え。ようするに、「賃金条項を入れたくない」というのが本心のようである。なぜ入れたくないのか?。それは、業務委託や公共工事の発注金額を押し上げることになるからである。
「ワーキングプア(働く貧困層)」というのを聞いたことがあるだろうか。一生懸命働いているのに、年収が200万円前後にしかならない人々のことである。今日、若者の半数、働く人の4割が非正規雇用に追いやられ、「ワーキングプア」の状態に置かれている。こんな社会を続けていたら若者の未来も日本社会もダメになってしまう。せめて公務労働にかかわる部門においてはワーキングプアをなくしていこう−−と、適正な賃金・単価、まともな労働条件・労働環境を制度化する取り組みが起こり、これを条例化したものが「公契約条例」と呼ばれているのである。なのに、ワーキングプアをなくすための必須要件である「賃金条項」を入れたくないとは、なんというありさまであろうか。
小金井市は中学校給食調理の民間委託化につづいて、昨年9月からは小学校給食調理の民間委託化に踏み切った。来年4月からは学童保育所の委託化を予定し、今後、公立保育園の委託化も行なおうとしている。“法令に合致すれば問題ない”と小金井市は言うだろう。しかし、小金井市の小学校給食調理業務を受託している事業者の求人広告を見ると、最低賃金を若干上回る程度の賃金を提示するのみで、公立保育園の委託先の受け皿となる可能性のある株式会社の保育所においても、同様の状況である。これでは、社会問題となっている「ワーキングプア」は増えることはあっても、減ることにはならないのである。
新聞紙上では、保育士の2割が仕事を辞めたいと考えていることが報じられていた。安い給料、長時間労働、劣悪な労働環境などからである。小金井市は公契約条例を制定する目的として「公正労働基準、男女共同参画、福祉等の社会的価値の実現の推進のため」と明記している。ワーキングプアをなくすための「賃金条項」を入れずして、なにゆえに「公正労働基準」「福祉等の社会的価値の実現」がはかられようか。
「賃金条項」の部分にこだわる小金井市は、結局のところ、経費節減しか眼中にはないのである。口では「行革はサービス向上・拡大のため」と言うが、民間委託化された施設で働く人々は、いままで以上にサービス向上・拡大が求められ、なのに給料は低く、長時間労働に置かれている。小金井市は“私たちの関知するところではない”と述べるであろう。低賃金・長時間労働であっても、サービス向上・拡大がはかれれば、「行革」の目的は果たしたことになるという考えである。
一方では何十億という単位の開発事業をすすめ、もう一方では、経費節減を最大の目的とした民間委託化を進める小金井市のもとでは、「公契約条例」が形となって現れる日はこないであろう。「ワーキングプア(働く貧困層)」野放しのこの国で、若者や働く人々は明日の希望を語ることができるのであろうか。
(2014年5月17日付)
市民生活を守りながら新庁舎建設は可能か
小金井市は新年度予算に「新庁舎建設基本設計委託料(3,295万1千円)」を計上した。1994年1月から続く賃貸庁舎(現「第2庁舎」)を解消するために、2018年6月から新庁舎で業務を一部開始、2018年9月には全面移行・賃貸庁舎を終了できるようにするためのもの。そのために、新庁舎の「基本設計方針の策定」「基本設計図書の作成」「概算工事費の検討」を専門業者に行なってもらうとされている。
今回の「新庁舎建設基本設計委託料」予算は、小金井市が昨年3月に策定した、市役所建設に向けた「新庁舎建設基本計画」で明記した建設までのスケジュールに沿うものであり、このこと自体は、この間の直接請求運動などがあったなかでは理解できるところである。しかし、前途には2つの面で問題点を抱えている。1つは、計画どおりにコトが運ぶのかということ。
新庁舎建設予定地には現在、リサイクル作業所や資源物処理施設があり、これらを別の場所に移転させなけれぱならない。「新庁舎建設基本計画」によると、移転は、解体工事含めて2015年度となっている。あと1年後には、その時期を迎えることになる。では、どこへ移転させるのか。「未定」というのが3月13日の予算委員会での答弁である。そのうえで、リサイクル作業所や資源物処理施設の撤去・移設の可否の判断は「平成26年度中」、つまり、来年3月末までに行なうと述べている。
そこで私は“はてな?”と思う。予算計上された「新庁舎建設基本設計委託料」にもとづく委託業者の選考は5月終盤からスタートし、7月初旬には選定された委託業者に基本設計の業務を発注することになるが、7月初旬以降、着々と業務を遂行し、来年3月末には「基本設計方針」「基本設計図書」「概算工事費」が成果品として委託業者から提供された時点で、リサイクル作業所や資源物処理施設が「現時点で移転先は未定」となったら、提供された成果品はどうなるのだろうか。場合によっては提供された成果品が、そのままでは生かされないことにもなりかねないのではないだろうか。
だから私は思う。基本設計業務を発注する前に、つまりは、委託業者を募集する前の時点、ようするに今年の5月中旬までに、リサイクル作業所や資源物処理施設の移転先を確保しておく必要があるのではないだろうか、と。市は言うであろう。“提供された成果品は、新庁舎の建設時期がズレたとしても活用できる”と。たしかに、「新庁舎建設基本計画」のスケジュールどおりに行かなくなっても、策定してもらった基本設計図書をもとに新庁舎を建てていくというのであれば、「概算工事費」の見直し程度ですむのかもしれない。しかしその時点で問題となるのが、2018年8月末までに賃貸庁舎を解消するという市民への約束である。「現時点で移転先は未定」となったとたんに、賃貸庁舎のさらなる延長が待ち受けることになる。
仮に「2018年8月末までに賃貸庁舎を解消する」との約束を守るというのであれば、リサイクル作業所や資源物処理施設を残したままで、余っている敷地部分に、賃貸庁舎に収容されている部分のみを建てるという方策をとらざるを得なくなる。そうなると、来年3月末に提供された成果品を、いずれ使う日がくるまで保管しておくのか、あるいは新庁舎建設が具体化された時につくり直すのか、はたまた賃貸庁舎分を新庁舎建設予定地に建てるための設計図書を新たに作るのか、の選択が求められることになる。その恐れがあるなかで小金井市は、「新庁舎建設基本設計委託料(3,295万1千円)」を計上したのである。
担当部長はこの指摘に対して「指摘される懸念はあるが、現時点では、基本計画に沿ってすすめていくということでやっている」と述べた。
もう1つの問題点は、財政上の課題である。小金井市は今後、多くの財源を必要とする事業を抱えている。具体的には、(1)日野市と国分寺市と小金井市の共同の可燃ゴミ処理施設建設、(2)いまなお続く東小金井駅北口土地区画整理事業と用地取得、(3)武蔵小金井駅南口第2地区再開発事業、(4)都市計画道路3・4・8号線拡幅事業、(5)二枚橋焼却場跡地の府中市分の取得────この5つの事業だけでも小金井市は150億円前後の財源を必要と
している。これに加えての新庁舎建設である。
昨年3月に示された新庁舎建設の財源計画によると、総事業費は54億9,800万円で、財源内訳は地方債(借金)が33億9,400万円、基金繰入金が4億円、第2庁舎保証金返還金が7億円、一般財源が10億400万円となっている。しかし市税収入が伸び悩み、小金井市の財政状況からみても、「一般財源10億400万円」は実に厳しい。計画では、2015年度に1億5,270万円、2016年度に9,400万円、2017年度に3億5,900万円、2018年度には3億4,900万円を用立てするとなっている。つまり、その年度に得られた税収からその額を新庁舎建設に充てるというものである。それに先程の5つの事業が重なってくるわけである。これで市民の暮らしにお金が回っていくのだろうか?。建設するための財源は確保できるのだろうか?。普通に考えるだけでも首をかしげることになる。
計画どおりに行かなくなる恐れは、新庁舎建設予定地の都合と財源の都合の双方で言えることである。だから日本共産党市議団は提案する。市民生活を守りつつ賃貸庁舎を早期に解消するために、新庁舎建設スケジュールの期間を延伸し、新庁舎建設予定地にリースで軽量鉄骨の暫定庁舎を建設すること。新庁舎建設費用に充てる一般財源を極力抑えられる程度に基金を積み立て、市財政を新庁舎を建設できるほどの体力に回復させること。その間に、リサイクル作業所や資源物処理施設の移転先の交渉を粘り強くすすめること、を。
もちろん、市が熱望している「平成26年度中」にリサイクル作業所や資源物処理施設の移転先のメドがつくのであれば、それにこしたことはない。リースによる軽量鉄骨の暫定庁舎は、賃貸庁舎(第2庁舎)に収容されている業務分に加えて、本庁舎の業務分も含めた全体的なものになるであろう。そうならない場合には、暫定庁舎の期間中は本庁舎との往来で不便をきたすことになるが、大変な生活を強いられている市民の暮らしに財源を充てていくためには、不便を惜しまない姿勢が求められる。当然に、不要・不急の大型開発や都市計画道路建設は中止すべきである。
(2014年3月31日付)
消費税増税分の使途
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総務省の指示文書 |
4月から消費税が8%に増税される。「かけこみ需要」と称される一時的な景況感が語られる一方で、4月からの急激な需要の落ち込みに不安を抱く人々も多い。我が家でも“消費税の上がる前に買っておくべきものは?”と、周囲を見渡す。カミさんからは執拗に「自転車を買い換えろ」の声が。子どもが生まれる前からあった我が愛車。日本製なのでつくりはしっかりしているものの、ベアリング付近が錆びており、走行中は実に賑やか。車輪を支える細いフレームも3本ほど消えている。しかし買い換えたとたん、我がフトコロは貧乏になるのである。「かけこみ需要」は、駆け込めるだけのフトコロがある人に言えることば。
消費税が5%から8%に上がると、地方自治体には「地方消費税交付金」という国からのお金が増額される。現行は消費税の1%分が来ているが、新年度からは1.7%に相当する額が交付される。ただし、企業の決算時期が異なるために、新年度の実際の交付額は消費税率の1.2%程度にとどまると言われている。
小金井市でも「地方消費税交付金」の増額分が新年度に予定されている。3億2,200万円の増額だという。しかし、小金井市の市財政においては消費税の増税分も歳出で必要になるため、新年度は差し引き520万円ほどの赤字になるという。
総務省は昨年4月、地方消費税交付金の増額分は「社会保障」に充てるべきと指示している。「地方税法改正(地方消費税関係)のお知らせ」という文書で、「引上げ分の地方消費税収入(市町村交付金分を含む)については、社会保障4経費=制度として確立された年金、医療および介護の社会保障給付ならびに少子化に対処するための施策に要する経費、その他社会保障制度(社会福祉、社会保険および保健衛生に関する施策をいう)に要する経費に充てるものとする」というもの。では、小金井市は総務省の指示に対して、どのような対応をとっているだろうか。
小金井市が議会に示した資料によると、地方消費税交付金の引上げ分3億2,200万円を社会保障関係経費に充ててはいるものの、一方で、一般財源が削られていることがわかる。議会に示された資料は2種類。一つは、新年度の「地方消費税交付金(引上げ分)の社会保障財源化内訳」。もう一つは、前年度(2013年度)の「社会保障関係経費財源内訳」。2つの資料を見比べると良く分かる。
新年度の社会保障関係経費は総額で「78億4,666万円」。一方、前年度(2013年度)は「76億3,147万3千円」となっている。総務省の指示文書に従えば、新年度の社会保障関係経費は、前年度の「76億3,147万3千円」に地方消費税交付金の増額分「3億2,200万円」を加えた額、つまりは「79億5,347万3千円」にならなければいけない。しかし実際には「78億4,666万円」にとどまっており、差し引き1億681万3千円の一般財源が他の分野に回されていることになる。この矛盾を指摘された部局は「そうしなければ、市財政が成り立たなくなってしまう」と説明。
「社会保障の充実のために消費税を引き上げる」は、政府が盛んに述べていた言葉。しかし結局は、国も小金井市においても社会保障に一定額を充てるだけでお茶を濁し、他の分野の財源に使っているのである。
では、社会保障に充てられずに減額された一般財源はどこに行くのか。小金井市は新年度も、都市計画道路建設や駅前開発事業に多額の財源を充てている。結局は、そちらに振り分けられるのである。
2月28日、認可保育園に入れない児童の保護者60人が、小金井市に「異議申し立て」を行なった。小金井市では、認可保育園への入所申込みを行なっても「不承認」となる割合が都内ワースト1である。認証保育所や保育室、家庭福祉員(保育ママ)の受入れ枠も限定され、4月から子どもを預ける場所がない保護者は、仕事を辞めざるを得ない人が出てくるのではないだろうか。「社会保障の充実」のために増税を行なうと言いながら、実際は他の分野にお金が使われてしまっている。
さて、我が家。消費税が増税されても収入は増えない。「かけこみ需要」をしたくてもフトコロが厳しい。我が愛車は新年度も、賑やかな音を立てて街なかを駆け回ることになりそう。しかも、娘が大学入学。家計は底冷えの季節に入る。タクアンとメザシと納豆と味噌汁の食卓のなかから、早晩、消えゆくものが出てきそう。ますます身は細くなりにけり。
(2014年3月27日付)
自民・公明・民主が国保税値上げ承認
小金井市議会は3月定例会最終日の3月24日(月)、稲葉市長が議会に提出していた国民健康保険税の大幅値上げ案を、自民・公明・民主などの賛成多数で可決しました。これにより、市民の4分の1、世帯では3分の1が加入している国保税が、4月から年額で一人平均1万円、増税されることとなりました。
値上げ案に賛成したのは13人=自民党、公明党、民主党、改革連合、小金井をおもしろくする会。反対したのは10人=共産党、みんなの党、生活者ネット、市民自治、市民会議。
私は、市民から提出された「国保税の増税を見直し、安心して医療にかかれるようにすることを求める陳情書」(署名数1,219筆)への賛成討論を行ないました。以下、討論内容を紹介します。あわせて、値上げの概要をPDFファイルで掲載しますので、ご参照ください。
日本共産党小金井市議団を代表して、本陳情への賛成討論を行ないます。
長引く景気低迷のなか、市民の暮らしは年々、厳しさを増しています。政府は「アベノミクス」効果を宣伝しますが、街なかで出会う誰もが「私たちのところには、まったく見えない」「大企業だけの話」という答えが返ってきます。4月から消費税の増税が予定され、年金支給額もさらに1%減額されようとしています。一部の大企業では賃上げが言われていますが、その金額も消費税の増税には追いつかず、働く大多数の人々は、賃上げどころか昇給さえも押さえられ、ボーナスの減額さえも言われています。
こんな時に国民健康保険税の値上げが行なわれれば、冷えきった家計を直撃し、市民の暮らしをどん底へと突き落とすものとなります。日本共産党は、国保税の引上げに断固反対するものです。
国民健康保険は、非正規雇用労働者、自営業者、退職者、年金生活者などが加入しており、低所得者が多くを占めています。世帯の所得階層で見ると、年間所得が 200万円未満が70%余りを占め、150万円未満においても62%近くを占めています(2012年度賦課分)。 現在の税率においてでさえも、所得の1割近くが国保税の支払いに消えており、低所得者中心に国保税の滞納世帯が生まれています。これ以上の負担増は、生活をいっそう脅かすものとなります。
ところが、今回の値上げは、加入者全員に賦課される「均等割額」を「医療分」で年間4,000円、「後期高齢者支援金分」を年間1,000円引き上げ、4人家族全員が国保に加入している場合、「均等割額」だけで年間2万円もの増税となります。加えて、夫婦が40歳から64歳までであれば、これに「介護分」の「均等割額」の 5,700円アップが夫婦ともに覆いかぶさり、4人家族の場合、年間で3万1,400円もの負担増が一気に家計を襲います。低所得者の多くが加入している国保において、到底、許せるものではありません。こんな増税をどうして認めることができるでしょうか。
私たち市議会には、市民の暮らしを守るための役割を果たすことが求められています。小金井市が市民にさらなる負担を負わせようとしてきた場合に、その問題点をただすとともに、市民の負担を和らげる、市民への負担増をさせないための方策を示すことが求められます。
日本共産党市議団は、第一に、法律で明記している「社会保障」としての国民健康保険を支えるために、一般会計からの繰り出し額を2012年度決算なみに引き上げること。第二に、特定健診や健診事業の充実を行ない、早期発見・早期治療を施すことによって病気の重症化を防ぎ、医療機関ヘの市負担分の増加を抑えていくこと。第三に、国が年々削減している国庫補助額を国の責任で引き上げさせ、「公費5割」にふさわしい制度に改めさせること。第四に、口座振替やコンビニでの納付のPRを行ない、納付のし忘れによる滞納を防ぐ取り組みを積極的にすすめること。これらの取り組みをすすめることによって、国保税の増税をストップすることを呼びかけています。
日本共産党市議団が提案する方策をすすめ、景気低迷と消費税増税、年金支給額の削減で苦しむ市民の暮らしと営業を守り抜くことは、誰もが願う当然の道です。そのためにも、皆様方が本陳情に賛同されることを強く求めるものです。
4月から国民健康保険税、後期高齢者医療保険料が増税に(PDF62KB)
不足する特養ホームと認可保育園の増設を
現在開会中の3月定例市議会で「特養ホームの増設」と「認可保育園の増設」を求める一般質問を行ないました。どちらも多くの方々が入所を待っており、小金井市政の喫緊の課題となっています。
小金井市では昨年4月1日時点で、特別養護老人ホームへの入所を待っている人が400人以上となっています。ところが小金井市は、みずから掲げた「2013年度に100人分の特養ホームを設置する」ための具体策をとらず、来年度以降に先送りしています。
一般質問で私は「特養ホームを設置するための土地を東京都に取得してもらい、小金井市が年賦で東京都に返済していく。あるいは、小金井市や事業者が東京都から借り受ける方策も、東京都と協議しながら検討すべき」と主張。「2015年度からの介護保険事業計画に具体的な方策を明記すべき」と要求しました。これに対して福祉保健部長は「制度改定の動向を重視しながら、適切に反映していきたい」と述べました。
一方、政府が計画しているサービス切り捨ての介護保険制度改悪に対しては「継続的なサービスが受けられるような事業の実施、利用者の負担がなるべくかからないような介護予防の取り組みについて検討したい」と答弁しました。
介護保険制度は、国が福祉予算削減を狙うなかで、国民負担が一気に押し寄せる恐れがでています。改悪を許さない闘いをすすめながら、自治体に対しては、制度の維持・拡充、利用者負担増にならない取り組みを迫っていくことが重要です。
不足する認可保育園の問題も深刻です。2月28日、4月からの認可保育園入所が不承諾となった60人の保護者が、小金井市に対して異議申し立てを行ないました。しかし市は、「小金井市の保育行政が不十分だということが背景にあるからではないか」と指摘したことに対して、「目標に応じて一定の需要量を確保しているが、保育に対する需要量が、それを上回る状況だった」と述べ、自らの不十分さを認めようとはしませんでした。
私は「認可保育園の新設・増設に向けた計画案を、新年度に設置される『子ども・子育て会議』に諮問すべき」と主張し、国家公務員住宅や都営住宅敷地内の空きスペース調査を行ない、国や東京都に認可保育園設置のための用地提供を求めていくべきと要求しました。
子ども家庭部長は「認可保育園をつくらないというわけではない。子ども・子育て会議で意見をうかがっていく」と答弁。空きスペースについては「把握できていない」と述べ、調査すらしていないことが明らかとなりました。
認証保育所などに保育行政を委ねる動きがありますが、認証保育所は保育料が高く、認可園にくらべて基準が緩和されているために、運営事業者の方針によっては、保育の質は雲泥の差となってしまいます。認可保育園増設の声を高めていくことが求められます。
小金井市議会では本会議、委員会、全員協議会の模様を、インターネットの「ユーストリーム」で放映しています。インターネットで「小金井市役所」→「市議会」→「小金井市議会ユーストリーム配信」で辿り着くことができます。今回の私の一般質問の模様は、3月3日の本会議、午後1時から見ることができます。最初に「特養ホーム」、30分後に「認可保育園」を質問しています。質問原稿をPDFファイルで掲載しますので、参考までにご覧ください。
特養ホーム増設と介護保険改悪案への対応策を問う(PDF183KB)
認可保育園増設に向けた方針を問う(PDF215KB)
貫井北町地域センター支援予算
4月開設予定の貫井北町地域センターを、丸ごとNPO(非営利組織)に委託しようとしている小金井市は、今年10月から12月末までの支援予算107万3千円に 加えて、1月から3月末までの3カ月間、NPOが臨時職員10人を雇用する経費など335万4千円を、12月市議会の補正予算に計上しました。
10人の臨時職員は、図書館が8人、公民館は2人を予定。1月下旬に職員募集を行ない、4月の開設に間に合わせるために、2月から3月までの2カ月間、市の公民館、図書館に研修派遣をして、業務内容を熟知させるというものです。
しかし図書館の臨時職員8人はいずれも月11日から14日の勤務とされ、図書館で研修を受けたとしても、本格的な図書館業務にどこまで対応できるのかは疑問です。
日本共産党市議団は、「生涯学習施設としての業務を十分に発揮するためにも、NPO委託ではなく、公民館・図書館の運営に熟知する市の職員で対応すべき」と主張し、予算に反対しました。以下、私が12月18日の本会議で行なった、補正予算への反対討論を掲載します。
一般会計補正予算(第5回)への反対討論
日本共産党小金井市議団を代表して、一般会計補正予算(第5回)への反対討論を行ないます。
今回の補正予算の特徴は、前年度に国や東京都からきていた補助金・負担金の1億 2,400万円余りの返還と光熱水費の 6,150万円の増額および、保健・福祉部門の利用者増などに対するものとなっており、その財源措置として、財政調整基金から3億円を繰入れ、予備費からも 6,770万円、充当するものとなっています。
そのなかにおいては、小金井市の産業振興を目的に中央線の高架下に設置される「ベンチャー・SOHO事務所」関連経費や2つの緊急雇用創出事業および、各自治体で増設が行なわれている認可保育所、認証保育所等の保育士確保策として、東京都が行なう保育士の人件費引き上げのための処遇改善事業費補助金が計上されるなど、評価できる点もありますが、以下の点で問題があることから反対するものです。
反対する最大の理由は、来年4月に開設予定の(仮称)貫井北町地域センターの委託予定先とされるNPOに対する補助金の予算化に問題があると考えるからです。小金井市は、( 仮称)貫井北町地域センターの開設にあたって、経費を抑えることを目的に「市民協働」 「公民連携」の名のもとに、NPOによる運営委託を打ち出し、今年8月に小金井市の全面支援のもとで急きょNPOを設立。9月の補正予算ではこの任意団体への補助金を計上し、本来、NPO自らが行なうべき業務を社会福祉協議会内の支援組織に丸抱えで行なわせるレールまで敷いて、NPO支援をすすめてきました。
その9月補正予算の際に議会に提出されたスケジュール表では、今年12月に「NPO法人設立認証・設立登記」とされ、法人登記されたNPOに対して「臨時職員」の雇用経費を含む補正予算を12月議会に計上するというものでした。
しかし、10月末の段階になってNPO認証に対して不都合な点が明らかとなり、「NPO法人設立認証・設立登記」は早くても2月中、遅ければ3月上旬になる事態となりました。つまり、小金井市が自ら示した道筋、スケジュールに合わなくなったにも関わらず、従来からの方針に沿った予算を今回、提案してきたものです。しかも、他のNPOに対しては補助金支出がされていないにもかかわらず、この団体に対しては設立段階から支出するという異例の扱いになっています。
小金井市は、任意団体である認証前のNPOが雇用する臨時職員を、小金井市の公民館と図書館に研修派遣という名目で受け入れるとのことですが、小金井市のどの規定にもとづいて受け入れるのかとの質問に対しては、「現在、策定中」というもので、なにがなんでもNPOという、「NPO先にありき」の姿勢が如実に示されたものとなっています。
公民館・図書館を配置した貫井北町地域センターは、地域住民の長年の悲願であり、待ちに待った待望の施設です。それだけに、社会教育施設としての存在意義と役割を十分に発揮し、地域住民にとどまらぬ多くの方々の生涯学習の場としての機能を果たすことが求められます。そのためには、公民館、図書館の運営に熟知し、公民館企画実行委員の方々とも十分な意思疎通がはかれる経験豊かな職員の配置が欠かせません。しかし、肝心の職員は開設の3カ月前に採用募集を行ない、2月あたりから市の公民館、図書館に派遣して勉強してもらうという状況です。これでは、付け焼き刃的なその場しのぎのものとなり、長年待たされた社会教育施設の開設・運営に責任を負うものとはなりません。4月開設にしっかりと責任を果たすというならば、市の職員による直営での運営に改めるべきです。しかし市の答弁は、あくまでも「NPO先にありき」に固執しており、到底、了承できるものではありません。よって、この予算計上には賛成できません。
今回の補正予算では、生活保護の増に伴う予算が計上されました。ところがその財源に、小金井市の一般財源から支出している金額を含む弁償金がそのまま充てられていることが、質疑のなかで明らかとなりました。弁償金の内訳は、国からの負担金が4分の3、小金井市の負担分が4分の1です。この規定からいけば、小金井市の負担分である 488万円を差し引いた額が、生活保護費の補正増に充てられる弁償金となるべきです。しかし、国から示された弁償金の制度がこのようになっているとのことで、あまりにもおかしなことです。国に対して、制度の見直しを求めるべきです。
また、今回の補正予算では 6,150万円もの光熱水費の増額が組まれました。「2011年度決算額の10%減」で当初予算を組み、予算不足が生じたことからです。しかし、2011年度はその年の3月に東日本大震災が起き、年間通して公共施設の節電が強化された年であり、その時の10%減で今年度の当初予算を組むこと自体、誰がみても無理な話です。
小金井市は「危機的財政状況」をアピールし、市民施設や市役所業務を行なう施設を含めて、光熱水費や消耗品費、燃料費、電話料などの「毎年度、10%削減」を打ち出し、保護者の理解も得ないなかで、しゃにむに学童保育所や保育園の民間委託化を進めようとしています。一方で、市民のくらしに関わる予算の削減につながる大型開発や都市計画道路建設に対しては推進を表明しています。これでは、いくら「危機的財政状況」をアピールしても説得力に欠けるばかりか、さらなる財政悪化に突き進むだけです。12日の予算委員会の段階においても、来年度予算要求額と予定する予算総額との間には、いまだに26億円もの乖離があるとのことです。ならばなおさらのこと、莫大な財源を費やし、多額の借金を背負うこととなる大型開発や都市計画道路建設は見直し、開発優先の市政運営を改めるべきです。そのことを厳しく指摘し、今回の補正予算への反対討論とします。
みずほ銀行は条例違反
小金井市の指定金融機関である「みずほ銀行」が、提携する信販会社「オリエントコーポレーション(オリコ)」を通じて、暴力団員へ約 230件・2億円以上もの融資を行なっていた問題は、金融庁が2度の行政処分を行ない、業務改善命令を出すまでになっている。この「みずほ銀行」を小金井市の指定金融機関にしておいていいのか、このことがいま問われている。
小金井市には「暴力団排除条例」があり、条例の第3条では「基本理念」をうたい、「暴力団と交際しないこと、暴力団を恐れないこと、暴力団に資金を提供しないこと、及び暴力団を利用しないこと」と述べている。この規定は、行政である小金井市、市民、事業者に求めているものであり、事業者である「みずほ銀行」も「暴力団に資金を提供しないこと」という部分を含めて該当することになる。
また「小金井市契約における暴力団等排除措置要綱」では「随意契約からの排除」という規定があり、この規定に該当する「別表」では「入札参加資格者又はその役員等が、いかなる名義をもってするかを問わず暴力団員等に対して、金銭、物品その他の財産上の利益を不当に与えたと認められるとき」は「入札参加除外の措置」に該当するとしている。
「みずほ銀行」は、3年前に融資先の調査を行なった時点で暴力団員への融資を把握している。ところが、その後も2年以上、解約などの手続きをとらずに放置してきた。これは誰が見ても、暴力団員に利益を不当に与える組織ぐるみの行為である。
このように、暴力団員に融資を行なってきた「みずほ銀行」は、小金井市の条例に違反し、小金井市の入札から除外される団体である。当然に、指定金融機関の契約も解除となる。「条例」「要綱」を待つまでもなく、今日の事態は、「みずほ銀行」が公共団体の指定金融機関にふさわしくないというのは、論を待つまでもないところである。
「条例・要綱に違反している『みずほ銀行』との指定金融機関の見直しが求められる」と、私は10月15日の市議会決算特別委員会の最終日に市の見解をただした。答弁した企画財政部長は、三多摩地域では小金井市含む7市が「みずほ銀行」を指定金融機関にしていると述べ、そのうえで「条例・要綱にどのように該当するか詳細に分析していないので、10月28日の金融庁の業務改善命令の内容を見ていきたい」と述べた。
この答弁からは少なくとも3つの点が見えてくる。1つは、自ら策定し制定した条例・要綱に沿ってチェックしていくという姿勢が欠落していること。2つ目は、金融庁という第三者の判断に委ねるという傍観者的な姿勢。3つ目は、条例・要綱に違反しているという私の指摘を否定できなかったこと である。10月28日の金融庁の業務改善命令がどのようなものになるかは不明だが、このまま何事もなかったかのように、来年度以降も「みずほ銀行」が指定金融機関の座にいるとなれば、小金井市は自らの条例・要綱に背を向けたことになる。
奨学資金予算の拡充を
「奨学資金」という制度がある。経済的な理由で修学が困難な人に対して、修学上必要な学資金を提供するというもの。小金井市はこの奨学資金を、高等学校、大学、高等専門学校に在学し、「成績優秀」「心身健全」「経済的理由により修学困難」の三条件を兼ね備えた人に対して、一定額を支給(給付)している。
過日の市議会決算委員会での答弁によると、「大学生及び高等専門学校生(第4学年・第5学年)」への給付制度は、三多摩地域では小金井市のみ。「高校生及び高等専門学校生(第1学年から第3学年)」への給付制度は、三多摩地域では小金井市含めて11市あるという。小金井市の奨学金は毎年度の「予算の範囲内」で支給人数・額が決まるが、下表のように支給人数は毎年変わらず、額は2011年度から「高校生及び高等専門学校生(第1学年から第3学年)」が半減された。

2011年度から「高校生及び高等専門学校生(第1学年から第3学年)」が半減となった理由は「高校の授業料無償化」である。しかし昨今、政府部内において「授業料無償化の見直し」が言われ、所得制限の導入もチラホラしている。そのことから担当課は「今後については、奨学資金運営委員会に諮っていきたい」と議会で答弁している。
私は上記の資料が議会に提出された当初、「高校生及び高等専門学校生(第1学年から第3学年)」も「大学生及び高等専門学校生(第4学年・第5学年)」も、毎年、「35人」「3人」という人数で新規に給付決定されているものと判断した。ところが、別の議会配布資料では、「新規」と「継続」を合わせた人数であることが記されており、一つの資料だけでは誤った認識に至るということを感じ取った。議員側の質問が、そのことを認識した上での質問だったかどうかは不明である。以下は「主要な施策の成果に関する説明書」に記載されている数字である。

長引く景気低迷によって、庶民の暮らしはますます厳しくなっている。政府が企図する所得制限の内・外にかかわらず、家計に占める教育費は高くなるばかりである。我が家においても、大学2年の息子の学費や大学生活に付随した経費が家計を揺さぶり、夫婦で長年かけて築き上げてきた貯えも、恐ろしいほどに下がってきている。しかも息子の下には高校3年の娘がいる。私立大学をめざしていることから、息子と娘の大学生活が重なる来年度からの2年間は、地獄の日々である。我が家の場合は若干の貯えもあり、「奨学資金」にすがるまでにはいたらないが、子を持つ多くの家庭で、我が家と同じ悲鳴が上がっていることに疑うところはないだろう。奨学資金予算の拡充を願わずにはいられない。
まやかしの『行政診断調査』
小金井市は今日の市財政を「危機的状況」と述べている。たしかに、今日の市財政は「危機的状況」と言うにふさわしい事態となっている。小金井市の財源不足を補うために積み立てている「財政調整基金」は、現時点で11億7千万円にすぎず、来年度の予算を組んだ時点で、余力がない事態に陥る可能性が高い。この状況をなんとかしなければならないと考えるのは、だれしも同じである。
小金井市はそのために昨年度、「行政診断調査委託料」を予算化した。18年ぶりに実施された行政診断は、長引く景気低迷によって歳入の根幹である市税収入が伸び悩み、社会保障関連経費の大幅な増加など市民生活に直結する財源確保が厳しくなり、その一方で財政調整基金の枯渇も目前に迫るなど、急激な財政環境の変化に直面する事態となった小金井市の市財政運営を、行政以外の第三者の客観的立場で診断し、具体的な改善策の提案をしてもらう────というのが目的である。
今年3月、「更なる改革に向けた9つの提言」と題した「行政診断報告書」が、調査を委託された「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」から提出された。「報告書」で述べる「9つの提言」は以下の内容からなっている。1主要事業の財政計画による管理、2人件費改革の更なる推進、3行政評価の再構築、4受益者負担の適正化、5徴収率向上に向けた取り組みの推進、6市有財産の有効活用の推進、7行財政改革による人的資源の創出、8人的資源の最適配分等による組織の再構築、9職員の意識改革と人材育成による職員力と組織力の向上。そして、報告書の全体を流れる基調は、◎第3次行財政改革大綱に掲げた取り組みの推進、◎外部委託等によって対応可能な業務の明確化、◎既存の受益者負担の定期的見直しをルール化・システム化する────である。
私はこの報告書を見て、首をかしげてしまった。それは、多くの財源を投入し多額の起債発行を必要とする、市財政に一番影響を与える大型開発事業や都市計画道路事業への言及がされていないことである。一方で、市民にさらなる負担を求める「受益者負担」は端々に登場している。しかし、私は思う。市財政運営をチェックするためには、市財政に大きく影響をおよぼす事業をすべて洗い出し、そこからどのように対処し、抑制すべきものは抑制すべきという立場で検討するのが「行政診断調査」の基本ではないだろうか。
ところが報告書では、大型開発事業や都市計画道路事業に対しては一切、抑制策を明示せず、逆に「武蔵小金井、東小金井両駅周辺整備(中略)等、多額の財源を必要とする重要課題が山積し」と述べ、「駅周辺整備等の都市計画事業をはじめとする市債発行等の後年度負担が生じる事業は、単年度及び後年度の負担を財政計画に位置づけ、計画的な執行が求められる」と容認している。なぜこのような報告書になったのか────報告書を手にして以降、そのことが疑問としてこびりついていた。
行政診断調査の委託事業者の選出は、「指名型プロポーザル」にもとづき、自治体の計画策定や経営診断等の受託実績があり、小金井市に登録のある業者の中から7社を選定。書類審査及びプレゼンテーション審査の総合評価点の最も高い事業者を最優秀提案事業者として選定している。審査基準は「小金井市の行政診断調査の位置づけを理解し、第三者評価としての客観性が確保されるよう提案されているか。提示している業務内容を的確にとらえて、適切な提案がなされているか」とされ、診断上、特に考慮することとして「調査・分析の際には、小金井市の特色である急激に悪化した財政状況や若年化した組織体制、更には小金井市を取り巻く社会経済情勢を考慮すること」としている。この基準自体は、あえてどうのこうのというものでもない。ただ、「小金井市の行政診断調査の位置づけを理解し」という部分と「提示している業務内容を的確にとらえて」というところがひっかかる。そこで部局に「委託仕様書」を提出してもらった。
「委託仕様書」を見ると、「改善策の前提条件」というものがあった。どのように記されているか────。「提案する改善策の内容は、できる限り小金井市第4次基本構想及び小金井市第3次行財政改革大綱が示すまちづくり(市民参加・市民協働・公民連携)の実現を目指すものであること」。────つまり、武蔵小金井駅南北の開発や東小金井駅北口区画整理事業、都市計画道路の建設計画を明記した「第4次基本構想」をふまえることを求め、そのうえで「受益者負担」「事業の委託化」を列挙した「第3次行財政改革大綱」に沿った報告書の作成を求めるというものである。要するに、「すべての事務事業の洗い出し」をいいながら、基本構想や行財政改革大綱に示した既定の方針は「聖域」扱いをする────というわけである。
このような行政診断調査は全く意味をなさないばかりか、意図的な「前提条件」によって、まやかしの「報告書」が作成され、その報告書の内容がいかにも客観性があるかのように扱われることによって、市民に「危機的財政状況」の真の原因を伝えなくするという事態をつくりだすこととなる。見過ごすことのできない、市の姿勢である。
私は10月3日の決算特別委員会でこの点を指摘し、「この行政診断報告書は破棄するか、もしくは一切の前提条件を付けずに、行政診断をやり直すべき」と主張した。しかし稲葉市長は、「第4次基本構想は私の選挙公約であり、共産党とは意見が異なる」と述べ、大型開発や都市計画道路建設を「聖域化」する「行政診断」を、正当化する考えを示した。これでどうして、危機的財政状況を打開できるというのであろうか。稲葉市長では、小金井市の危機的財政状況を解決することは不可能である。
小金井市監査委員による2012年度小金井市歳入歳出決算に対する意見書(監査意見書)では、今日の市財政に対して「財政の硬直化が懸念される」と述べ、「将来にわたって持続可能かつ自律した行財政基盤の確立を図っていくためには、第3次行財政改革大綱を強力に進めていくとともに第三者による行政診断結果を真摯に受け止め、財政規律を緩めることなく、危機意識を持ってこの難局を打開することを強く求める」と述べている。また、行革を推進するためにつくられた「小金井市行財政改革市民会議」は9月24日付で「緊急提言」を稲葉市長に提出。来年度の予算編成に向けて「受益者負担の適正化に向けた取り組みの強化」「各事業の民営化に向けた取り組みの推進」「財政健全化計画の策定」を求めている。
いずれも、大型開発や都市計画道路建設などを「聖域化」し、市民負担増、事業の民間委託化をうたう「第3次行財政改革大綱」をすすめることでは、稲葉市長と同一方向である。小金井市監査委員も行財政改革市民会議も、肝心なものを見ようとはしない、あるいは「聖域化」する点で、本来の任務を果たせる存在とはなっていない。いや、稲葉市長と共同歩調をとることが、この両組織の役割になっているのかもしれない。いずれにしても、市民の目線とかけ離れた両組織の視点である。
(仮称)貫井北町地域センター
地域センターとしては4館目となる「(仮称)貫井北町地域センター」が来年4月に開館を予定している。地域住民にとっては長年待ちわびた、待望の施設である。この間、市の計画に幾度も登場し、実現に向けた予算も計上されてはきたが、「財政難」を理由に「中断・先送り」の連続であった。しかし、ついに着工の運びとなり、建物の姿が現れるようになった。
この貫井北町地域センターには、公民館と図書館が併設される。この施設全体を小金井市は委託するという。委託となると、社会教育施設としては、小金井市では初めてのこととなる。しかも、委託先は「NPO法人」だという。
公民館と図書館が併設される施設であることから、小金井市はこの施設の運営形態のあり方について、公民館運営審議会と図書館協議会に「お考えをうかがいたい」との諮問を行なった。
公民館運営審議会に対しては昨年9月21日に「1『市民協働』『公民連携』による新たな公民館運営について。2若者コーナーの在り方について────の2点について、どのようにすれば行なえるのか、また、どのような課題があり、その解決のためにはどのような配慮、留意事項が必要か」という課題提起である。
一方、図書館協議会に対しては今年の3月28日に諮問を行なっているが、その諮問内容は異質である。「図書館運営を目的としたNPO法人設立を支援して、同図書館分室運営業務を委託し、市民との連携を図りながら開館日・時間の拡大など、市民ニーズに応えた図書館分室の運営を図ることを考えています。このことについて、どのような配慮、留意事項が必要なのか、ご意見、ご見解をお示しいただきたい」。すでに「NPO法人委託」が前提となっているのである。
公民館運営審議会は今年の7月26日に答申を行なった。諮問が「『市民協働』『公民連携』による新たな公民館運営」を柱建てしていることから、「非直営型の運営形態を採用する場合には」との前置きをしたうえで、「一例として、十分な運営能力を持った受託団体を、地域において長期的に確保するためには、行政と市民が連携してNPO法人を育成するなどの方策も考えられるところである」と、市が課題提起した「配慮、留意事項」への回答を示している。
一方の図書館協議会。答申は7月19日に行なわれたが、その内容は諮問段階で検討の幅が狭くさせられていることから、次のような言葉で始まっている。「諮問文を読んでみますと、貫井北町地域センター内に開設する新しい図書館の運営をNPO法人に委託するという図書館の考え方がすでに示されています。協議会としては、市民が新しい図書館に期待することを把握し、市民の求める図書館サービスとは何かを明らかにし、図書館運営の基本を示した上で、NPO法人へ委託する場合の諸課題について検討するという方向で議論を進めきてました」。
そのうえで図書館協議会は「NPO法人へ委託する場合の諸課題」を明記し、加えて答申書では「図書館運営の基本」との柱建てを行ない、文部科学省の「図書館の運営及び運営上の望ましい基準」(2012年12月19日・告示)と日本図書館協会が2010年9月に発表した「図書館事業の公契約基準について」を紹介している。また「NPO法人への委託における配慮すべき事項に関して懸念される意見がありました」と述べ、「市の目指す『市民協働』実現、図書館の開館日・開館時間の拡大、直営方式の経験の継承、職員の専門性及び経費削減に関しては、十分に検討した上で新しい図書館の運営を図られることを望みます」と記している。ここには「NPO法人委託」を図書館協議会の議論抜きで示してきた市に対する、図書館協議会の困惑ぶり、怒りを読み取ることができる────と、私は思うのである。
小金井市は、図書館協議会からの答申と公民館運営審議会からの答申を受けて、公民館運営審議会から答申が示された7月26日に教育委員会を開催。教育委員会は「NPO法人委託」を了承した。
しかし、前述のように公民館運営審議会も図書館協議会も「NPO法人委託」を「了」と述べているわけではない。図書館協議会にいたっては、諮問段階で「NPO法人委託」が前提とされてしまっているのである。ところが小金井市は、「この答申を尊重して、答申に記載のある諸条件をクリアーし、NPO法人に委託する」との判断を下したというのである。「NPO法人委託、さきにありき」と言わざるをえないありようである。
図書館協議会に諮問する段階で、すでに「NPO法人委託」の方針が示されている。「誰が決めたのか。決定の流れを明らかにせよ」────8月1日の厚生文教委員会で日本共産党の水上洋志議員が問いただした。生涯学習部長は「今年1月30日の理事者協議で、NPO法人委託の方向性が出された」と答弁。公民館運営審議会は議論中、図書館協議会は諮問すら、されていない。諮問機関無視の、あまりにも勝手なやり方である。
なぜ「NPO委託」なのか。市は「市民協働」「公民連携」と述べるが、結局のところは「経費削減」「人件費削減」の一点である。「NPO」は民間会社と異なり、利益を追求する団体ではない。「財政難」のところへ新たな施設がつくられる。ならば「市民協働」「公民連携」が市の方針となっているのだから、「NPO」でやってみよう────これがホンネであろう。
しかし、図書館と公民館が併設する施設をまるごと委託するための「NPO法人」は、小金井市には存在していない。しかし開館は来年4月である。小金井市は急ピッチで「NPO法人」立ち上げへと走った。公民館の利用団体へ、のきなみ案内状を送付し、7月30日に「利用者懇談会」を開催。8月3日に「NPO法人設立発起人会」を開き、8月10日に「設立総会」開催。年内にNPOの法人化を行ない、来年4月には委託という、文字通りの駆け足スケジュールである。関係者からは「あまりにも拙速」との意見が出されている。公民館運営審議会も図書館協議会も、このようなやり方を一番、危惧していたのではないだろうか。
図書館協議会と図書館職員は今年5月17日に、NPO法人で運営が行なわれている藤沢市の辻堂市民図書館を視察したという。小金井市議会の厚生文教委員会は、小金井市で初めてとなるNPO法人委託の実際を学ぶために、藤沢市への視察を打診した。しかし、藤沢市からは「引き受けかねる」との返事が届き、視察は実現しなくなった。残念である。
社会教育施設をまるごと委託、しかもNPO法人への委託である。慎重にも慎重を重ねることが求められる。「拙速」との意見が出される現状、小金井市は方針を再考すべきであろう。
市民負担増を市民に宣言
「平成25年度中に、平成26年度の国保税の見直しを検討せざるをえない」「平成26年度の当初予算を組んだ段階で、財政調整基金は底を突く」────稲葉市長のこの発言は、「今後、市民の負担は増えていくことになる」ということを、市長みずからが市民に宣言するものとなった。
5月21日(火)、小金井市議会は、国民健康保険会計の補正予算を審議する臨時議会を開催した。2012年度の国保会計の収支が不足するために、5月末の出納閉鎖までの期間に2013年度の国保会計から不足額を繰り入れる(繰り上げ充用)というもので、国保会計が逼迫していることを示すものである。この審議の過程で、冒頭の発言が飛び出した。
私は2つの点で市長の見解をただした。1つ目は、これ以上の市民負担増は、あってはならないこと。来年4月から消費税の増税がいわれ、今年10月からは年金支給額の削減が始まる。こんな時にさらなる市民負担増は、市民生活を破壊する以外のなにものでもない。増税はやめるべきである、と。2つ目は、「財政調整基金が底を突く」というが、ならば、そうならないように、市財政に大きな負担をおよぼす東小金井駅北口区画整理事業や武蔵小金井駅南口第2地区の再開発計画、北口の開発計画を見直すべきである、と。しかし市長は「持続可能な財政運営のためにすすめていく」と述べ、市政のあり方を変更する考えはないことを示した。
このことは何を意味するか。市長が言うように、来年度の当初予算を組む段階で財政調整基金が底を突くことは、ほぼ目に見えている。しかし市長は、大型開発や都市計画道路建設を聖域扱いにして、着実にすすめていくと言う。ということは、その分、何らかの方法で財源を確保することが必要になるということになる。つまりは、第3次行財政改革大綱で明示している「市民負担増」「有料化」「民間委託化」をしゃにむに突き進めるということになる。「民間委託化」ではすでに小学校給食調理の民間委託化のスケジュールが示され、職員団体には、保育園、児童館、学童保育の委託化協議の相談も持ち込まれている。そして、国保税の増税表明である。
昨年は、国保税、介護保険料、後期高齢者医療保険料が軒並み値上げされ、市民の悲鳴が市役所に押し寄せた年であった。なのに、大型開発をすすめる一方でさらなる市民負担増・有料化────このような市政運営を市民が望んでいるとでも言うのであろうか。庶民に負担を押し付ける政治は古今東西、長続きした試しはない。稲葉市長を応援した自民・公明・民主の各議員にも、この市政運営のあり方を説明してもらいたいものである。
前半の議会役職確定
18日(木)の市議会臨時議会で、4年間のうちの前半2年間の議会役職人事が確定しました。日本共産党市議団は役職人事を決めるにあたって、(1)市民にわかりやすい方法ならびに予定されている日程で決定するよう努力すること、(2)人事のときだけグループを組む「人事会派」「人事グループ」は認めないこと、(3)少数会派の権利を十分に保障すること、(4)議長、副議長については「憲政の常道」を参考にし、最大会派から議長、次に多い会派から副議長、3番目に多い会派から監査委員を選出すること。話し合いで結論が出ない場合、選挙で選出するという原則に立ち返ることもあり得ること────の4点の申し入れ
を全ての議員に行ないました。
役職人事を決めるための話し合いは、当初の日程どおり11日・12日・15日の3日間で終了。すべての役職人事が話し合いで確定しました。当初予定の日程で決まったのは、私の20年間の議員生活のなかでも、かなり珍しいことだと思います。
最大の焦点であった「議長」職には、2人会派の改革連合の篠原ひろし氏が就任しました。本来であれば最大会派の自民党が就任すべきですが、自民党もその次に多い公明党も「力不足」を理由に固辞。「共産党に議長を」という話さえ伝えられてきました。そのため、話し合いの初日の11日は一切決まらずに終了。2日目の12日になって、議長職経験者で議員歴が最も長い篠原ひろし氏の名前が自民党からもたらされ、内定。副議長職も少々時間がかかりましたが、自民党の露口哲治氏に内定しました。そして、3日目の15日になると人事ポストの穴を埋めていく感覚で、スムーズに進行。午前中にすべての役職人事が内定しました。
私はひさびさに厚生文教委員会担当へ。共産党から私と水上洋志氏が厚生文教委員会担当となり、共産党から委員長職を出すことが決まりました。どちらが委員長職に就くかを共産党議員団で検討した結果、前期までの厚生文教委員会の質疑内容を熟知している水上洋志氏が質疑で頑張る必要があるとの結論に達し、あまり熟知していない私が委員長職に就くことになりました。
18日の臨時議会で役職人事が確定し、私が厚生文教委員長に決まった途端、福祉に関わる各方面からの会議、総会等の案内・お知らせが押し寄せてきました。厚生文教委員長は議会の外でのお仕事もけっこう多いのです。厚生文教委員長職に就任したのは2度目。前回は10年前の2003年5月でした。
※「議会・委員会などの人事一覧」をPDFで掲載(PDF56KB)
当初予算の組替え案
日本共産党市議団は毎年、小金井市の年間予算(当初予算)に対して、予算の組替え案を提案しています。なぜ、市長が提出した予算に賛同できないのか、どのような予算であるべきなのかを明らかにするために、日本共産党市議団の考えを示すものとなっています。
組替え案の主眼は、(1)市財政が厳しさを増しているもとでの、さらなる大型開発や新たな道路建設は行なうべきではないこと。(2)道路拡幅計画や都市計画道路の建設において、土地の強制収用は行なうべきではないこと。(3)第二庁舎(リース庁舎)の賃貸借契約を今年12月末で終了させること―――をもとに、そこで生まれた財源を、(1)民間が設立する認可保育園、特別養護老人ホームへ補助を行なう。(2)国保税を一人年額5千円、値下げする。(3)総合支援法移行で生じる児童発達支援センターと福祉共同作業所の利用者負担金を全額助成する。(4)市内小規模店舗限定商品券のプレミアム分の補助を行なう。(5)耐震診断助成率および耐震改修助成率のアップと住宅リフォーム助成制度の創設。(6)災害対策関係費の増額。(7)就学援助関係の拡充―――などを行なうというもので、歳出予算のわずか0.73%を組み替えるだけで実現可能というものです。3月6日の本会議では、組み替え案を準備・作成した私が、日本共産党市議団を代表して提案説明を行ないました。
組み替え案を提案したのは、日本共産党市議団だけでした。自民党、公明党、民主党、社民党は市長提案の当初予算に賛成することから組み替え案や修正案を提出しないのは理解できますが、市長提案の当初予算に反対する「みどり市民ネット」は対案を示さず、日本共産党市議団提出の組み替え案にも反対してしまいました。
責任を負う議員や会派であるならば、せめて年間予算(当初予算)に対しては対案を示して、自らの考えや主張を明らかにすべきと考えます。年間予算(当初予算)に対して組み替え案を準備し作成するのは、たいへんな労力を必要としますが、その労力を惜しまず挑戦することが、求められる姿勢だと思います。その努力を果たさなかった「みどり市民ネット」の半数の議員は、今回の市議選で落選してしまいました。
日本共産党市議団提出の「2013年度一般会計予算組替え動議」「2013年度一般会計の予算組み替え項目」をPDFファイルで掲載しますが、議会関係者ならばおわかりいただけますように、小金井市議会の場合は、たとえ組み替え案であっても、予算修正案と同様の形式をとっています。つまり、いつでも予算修正案が提出できるようにと、議会事務局の温かい指導のもと、私たちは訓練させられているというわけです。
・2013年度一般会計予算組替え動議(PDF88KB)
・2013年度一般会計の予算組み替え項目(PDF153KB)
認可保育園の保育料引き下げ実現
ついに稲葉市長が観念した。昨年春から日本共産党市議団が求め続けてきた「認可保育園の保育料の引き下げ」を今年4月から実施することに踏み切ったのである。
ことの起こりは年少扶養控除の縮減・廃止である。民主党政権時代に、子ども手当の財源対策として年少扶養控除の縮減・廃止が強行され、そのことによって、認可保育園の保育料の計算基礎額が変わり、昨年4月から保育料が大幅にアップしたのである。「収入は増えないのに何故上がるのか」「これでは暮らしが成り立たなくなる」と悲鳴の声が相次ぎ、5月頃から日本共産党市議団のもとに救いの手を求める声が寄せられはじめた。
年少扶養控除の縮減・廃止によって保育料等への影響が生じることは、私たちもわかっていたことである。しかし実際に保護者の方々の話をうかがうと、保育料アップの幅は大変なものであった。18歳以下の子どもが多くいる家庭ほど、アップの幅は大きくなるのである。日本共産党市議団は調査を開始した。その結果、厚生労働省が各自治体に通知を出していたことがわかった。
保育料等への影響を懸念した厚生労働省は2011年7月、年少扶養控除の縮減・廃止によって影響が生じないように対策をとることを各自治体に通知。ところが小金井市はこの通知を無視し、対策をとることをしなかったのである。
2012年5月の市議会厚生文教委員会で日本共産党の水上ひろし議員は、小金井市議会で最初にこの問題を取り上げ、厚労省通知に従うよう要求。次いで6月市議会では私が一般質問で取り上げ、小金井市の行政手続き上の問題点を追及。6月下旬には、小金井市議団に相談を寄せられた保護者が市議会に陳情書を提出し、9月市議会の冒頭で賛成多数で採択。同じく9月市議会の一般質問で森戸よう子議員が、陳情採択を受けて保育料をもとに戻すべきと要求。12月市議会には保育関係の団体から陳情書が提出され、今年2月議会の冒頭で賛成多数で採択された。しかし稲葉市長は議会意思に従わない態度に終始し、保護者の悲鳴に耳をかさない事態であった。なんとかしなければ・・・。あとは保育料引き下げ条例を議員提案で行なうしかない。
じつは、日本共産党市議団は昨年9月段階で、保育料引き下げの条例案を準備していた。いつ提出するかの頃合いを見計らっていたのである。陳情書が2回も採択されたにもかかわらず市長は応えようとはしない。なのに目の前には新年度が迫っている・・・。
2月市議会の冒頭、日本共産党市議団は議会運営委員会の席上で、条例提案を表明。並行して、条例案への賛同者を募る取り組みをすすめ、ついに議会多数派を確保することに成功。それに慌てたのが市長であった。「このままでは議員提案の引き下げ条例が議会を通ってしまう・・・」。
与党会派から日本共産党市議団に相談が寄せられた。「議案を取り下げてほしい。そのかわり市長提案で引き下げ条例を出させる」。副市長からも、それを裏付ける話が届き、日本共産党市議団は条例案を取り下げることにした。なお、念のために予算委員会の場で市長の見解を求め、稲葉市長からは「議会の意思に従う」「新年度から対応する」の発言があり、正式に取り下げを行なった。
3月4日の市議会本会議に小金井市側から保育料の引き下げ条例が提案され、全会一致で可決・成立。ついに4月から値上げ前の保育料に戻すことが可能となった。この仕事、日本共産党市議団がいなかったらけっして、なし得なかったものである。
『駅前一極集中』用途地域設定方針
これまで都道府県に決定権があった土地利用の方針や用途地域等の設定方針が、今年度から区市町村に権限委譲されることになりました。そのことから小金井市は昨年11月1日の都市計画審議会に市の方針案を諮問。1月23日の都市計画審議会では答申案が示されました。
市の方針は、昨年3月に策定された「小金井市都市計画マスタープラン」を踏まえたものとされ、武蔵小金井駅周辺および東小金井駅周辺を都市活動の拠点とし、幹線道路沿いに都市機能の集積をはかるための誘導策を設けることをうたっています。そして、その実現のために、高層建築物が可能となるような都市計画決定を行ない、400%以上の容積率が指定された区域については、隣接する住居への日照権確保等を目的とした建物の北側斜線制限を求めないことを明記。街並みや環境への配慮を目的に、一定の敷地面積以下の建物は認めない措置をとることなども明記しています。
示された方針案は「権限移譲」とはいうものの、一極集中・過密化を促進する東京都の方針から一歩も出るものではなく、「水」と「みどり」が特徴的な小金井市の街並みとは、かけ離れたものになっています。
この答申案に対して1月23日の都市計画審議会では日本共産党のみが反対し、「みどり」や「水」の大切さを述べている「みどり市民ネット」含めて、賛成多数で稲葉市長に答申することが決定されました。
※日本共産党市議団は答申にあたって、以下の意見を述べました。ご参照いただければ幸いです。(2013年1月30日付)
「用途地域等に関する指定方針について」に対して、意見を述べさせていただきます。今回の案件は、用途地域の決定および変更の権限が、昨年4月から区市町村に権限移譲されたことを受けて、都市計画審議会に付議されたものです。その意味では、区市町村独自に、その自治体や「まち」に合った用途地域を決定することができるというものであり、これまでの都道府県に委ねられていた、区市町村のまちづくりに関する土地利用の方針や用途地域等の設定方針が、地方分権にふさわしい、本来のあり方になったものといえます。
ところが、付議された案件を見ますと、東京都がすすめようとしている、市街地の再編を進めながらの土地利用の規制・誘導がうたわれ、自治体の政策目的に合致する開発計画については規制を弾力化する内容が明記されています。つまり、東京都がすすめている「東京の都市再生」の名による一極集中・過密化促進の方針に呼応して、政策誘導型のまちづくりをすすめようというものとなっています。
ご存じのように、小金井市は都立公園に囲まれ、北に玉川上水、南には野川が流れ、ハケと呼ばれる段丘が東西に走り、地下水も豊富に湧き出る、「水」と「みどり」を特色とした「まち」をうたい文句にしています。その小金井市において、東京都の方針と変わらない、駅前に高層建築物を配置し、幹線道路沿いに都市機能の集積をはかるための誘導策を設けるという土地利用の方針や、それに沿った用途地域の設定方針は、「水」と「みどり」をうたい文句にした小金井市には、ふさわしいものではありません。
権限移譲によって、用途地域の決定および変更は小金井市自身で決めることが可能です。そのことは、昨年11月1日の都市計画審議会において、根拠となる法律が「都市計画法第19条3項」の「協議」という文言にあることが事務局から示され、「東京都と協議しながら、市独自の方針は可能」との説明がされていることからも明瞭です。
であるにもかかわらず、「水」と「みどり」を特色とした「まちづくり」からかけ離れた、東京都の一極集中・過密化促進の方針に呼応した今回の内容は、小金井市の特色をないがしろにするものであり、認めるわけにはいきません。よって、本付議案件に「反対」を表明するものです。
的外れな爆弾答弁『府中市分を購入したい』
この質問に対して、何故あのような答弁が出てくるのか?────過日の市議会での私の質問に対する市側の答弁に、いまなお首をかしげざるをえない。
それは、1月24日(木)の小金井市議会ごみ処理施設建設等調査特別委員会の最後の質疑でのこと。今年度末で「二枚橋焼却場跡地」の更地化が完了し、周囲を高さ1.5mの金網で囲うことになっていることに対して、私が「小金井市の持ち分 3,700平方メートルの使い道の検討スケジュールは考えていないのか?」と質問したことへの市側の答弁である。
私の質問は至極単純である。市内にはグラウンドが少なく、野球やサッカーなどを行なうグループは、練習場所探しに四苦八苦している。そこに出現したのが、二枚橋焼却場跡地。小金井市、調布市、府中市がそれぞれ 3,700平方メートルずつ所有する形態となっている。その小金井市の所有分をどのように活用する計画なのか。活用するための検討スケジュールは考えているのか。ただ、それだけの質問である。ところが返ってきた答弁は意表を突く、驚きの内容であった。
稲葉市長と三木副市長が顔を見合わせ、なにやらコソコソ。そして三木副市長が立ち上がり、次のように述べた。「府中市分(3,700平方メートル)の購入について、一定、検討していきたい」。
エッ!?。まったく予期せぬ、思いも寄らぬ答弁であった。例えていえば、バッターボックスに立っている時に、マウンドの投手からボールが投げ込まれてくると思っていたら、一塁手からボールが飛んできた────に等しいものであった。だから、その答弁に対して返す言葉が出て来ず、そのまま質問は終えてしまった。「なんのために購入するのか」「目的はなにか」と、本来ならば再質問になるべきところであるのに。
三木副市長の答弁には誰もが驚くはずである。委員長の渡辺大三氏も私と同様に「!?」という表情を見せていた。ところが、二枚橋焼却場跡地に近い東町を活動拠点にする議員も含めて、与党系の議員はそれほどでもない様子であった。あのような答弁が出てくれば、「購入する目的はなにか」と少なくとも質問するのが通常である。しかし、私や渡辺大三氏のような顔つきではなかった。もしかすると、与党サイドには事前に話があったのかもしれない。そうとしか思えないような表情であった。
「府中市分の購入について、一定、検討していきたい」は、東町住民にとっても府中市にとっても、そして調布市にとっても驚くべき答弁である。なんのために購入するというのか?。質問の内容と噛み合わない“爆弾答弁”は今後、どのようなハレーションを生んでいくであろうか。
就学援助の支給費目の拡大を
どの自治体にも、公立小中学校に通う児童・生徒に対する「就学援助」制度があります。「経済的な理由で就学が困難な児童、生徒の保護者に対して学校教育に必要な費用を支給し、児童、生徒が健全に義務教育を受けることができるように援助する」(小金井市就学援助費支給要綱の第1条)というのが、目的です。この制度は「生活保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある世帯の児童・生徒」(要保護)および「それに準ずる程度に困窮している世帯の児童・生徒」(準要保護)に対して行なうもので、小金井市を含む多くの自治体で、支給対象を「要保護」と「準要保護」とに分けて援助しています。
この就学援助制度に対して文部科学省は2010年度から、「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」を援助項目に追加し、「要保護」の児童・生徒に対しては国からの補助金が支出されています。よって、小金井市でもこの3つの費目が「要保護者」に支給されています。一方、「準要保護者」に対しては地方交付税にその分を上乗せするということで、使い道が限定されない一般財源での扱いとされています。一般財源での扱いとはいっても、「準要保護者」への3つの費目の支給拡大が前提とされていますので、3つの費目を「準要保護者」に適用するのは当然のことです。
小金井市は現在、地方交付税の交付団体となっており、3つの費目を「準要保護者」へ適用させるための額が交付税の中に組み込まれ、国からお金が来ています。ところが小金井市は、「準要保護者」の就学援助のなかに「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」を適用させていはいません。
では、小金井市において「準要保護者」に「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」を適用させた場合、どれくらいの予算措置が必要となるでしょうか。教育委員会学務課が提出した資料によると、「生徒会費」は小中学校ともに自己負担がありませんので「ゼロ」。「PTA会費」は小中学校の合計で 154万845円、「クラブ活動費」は小学校は「ゼロ」、中学校は合計で 75万6,112円。つまり、全部を合わせると「229万6,957円」ということで、230万円あれば「準要保護者」への適用は可能ということになります(表参照)。前述したように、そのうちの一定額が地方交付税に上乗せされて国からお金が来ていますので、小金井市の純粋な負担額は、230万円よりも少なくなります。
[小金井市における「準要保護」児童・生徒への適用試算 2013年度見込み]
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準要保護
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生徒会費
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PTA会費
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クラブ活動費
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合 計
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小学校
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515人
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0円
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938,845円
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0円
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938,845円
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中学校
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301人
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0円
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602,000円
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756,112円
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1,358,112円
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合計
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816人
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0円
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1,540,845円
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756,112円
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2,296,957円
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私は2012年12月定例市議会の日曜議会の一般質問で、「文部科学省の通知にもとづき、就学援助の準要保護者に対しても、『生徒会費』と『PTA会費』、『クラブ活動費』を就学援助の支給費目として適用させるべき」と要求しました。しかし、学校教育部長は「就学援助は市区町村の事業であり、支給基準・支給手続は市区町村が定めるもの。三多摩26市のなかでも費目を追加するところはないので、現状でご理解をいただきたい」というものでした。
私はこのような答弁には、到底、納得できません。国からの地方交付税の額のなかに準要保護者に対する3つの費目分も含まれているわけですから、準要保護者の就学援助に3つの費目を追加するのは当然のことです。実現させるために今後とも要求しつづけます。
ところで、自民党や民主党、日本維新の会などは、生活保護需給世帯の増加を受けて、生活保護基準の引き下げなどの見直しを表明しはじめています。しかし、生活保護基準が引き下げられれば、就学援助を利用している児童・生徒のなかには、対象外となる子どもも出てきてしまうことになり、経済的な理由で義務教育を受けることに支障が出てくることにもなりかねません。
生活保護の増加は、国民の側に問題があるわけではありません。アメリカ・中国に次いで世界3位の経済大国でありながら、その経済力を等しく国民に還元させることができない政治の側に責任があります。生活保護基準の引き下げは断固反対です。
準要保護者の就学援助費目の拡大を
経済的に困難な家庭に暮らす小学校、中学校の児童・生徒に対して、教育に係る費用を援助する就学援助制度がある。生活保護受給世帯または生活保護を必要とされる世帯の児童・生徒(「要保護者」)と、生活保護受給世帯に準じる程度に経済的に困窮している世帯の児童・生徒(「準要保護者」)を対象に実施されているもので、小金井市の場合、準要保護者は、生活扶助において、生活保護基準額の1.8倍までを対象としている。
文部科学省は2010年度から、この就学援助の対象費目に「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」を追加し、要保護者に支給した額の2分の1を補助金として地方自治体に交付することとなった。そのことから、どの自治体でも、2010年度から要保護者の就学援助費目にこの3項目が加わることとなったが、生活保護受給世帯の児童・生徒においては、生活保護の教育扶助費の中に3項目に要する経費が支給されていることから、就学援助という形での支給方式にはなっていない。「だから、小金井市の就学援助の要保護者の支給費目には、この3つが入っていないんです」と、担当課長は私に説明をする。
説明を受けた時は“ああ、そうなのか”と思ったのだが、一つ、疑問が生まれた。担当課長は、文科省が作成した「要保護児童生徒援助費補助金交付要綱」の「別記1」という資料をもとに述べたのだが、ではなぜ、「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」と同じく教育扶助で支給されていると思われる「校外活動費」が、小金井市の就学援助の要保護者の支給費目に登場するのだろうか 。わからん。
さて、本題はこれからである。就学援助は、「義務教育は無償」とした憲法第26条などの関係法にもとづき実施されている。だから、要保護者だけでなく、準要保護者も等しく支給されるべきものである。しかし、文科省が追加した3つの項目は要保護者だけに支給され(実際には生活保護の教育扶助費で支給)、準要保護者は対象外となっている。
9月議会の決算特別委員会で私は、「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」の自己負担額はいくらか?と質問した。ところが担当課長は「把握していない」というのである。次に私は「準要保護者にも適用させた場合は、総額でどれくらい必要になるのか」との質問を考えていたのだが、「把握していない」となったため、「えっ!」となった。「文科省の2年前の文書は知っていた」と担当課長は述べつつ、「財政的に厳しく、費目を増やすのは難しい」と判断して、あえて3項目の自己負担額を把握することをしなかったというのである。
同僚議員がたたみこんだ。「難しいというのは、誰が判断したのか」。担当課長は「私の判断で『財政対応ができない』と考え、部長にも伝えていない」と答弁。課長の前で質疑を聞いていた担当部長は顔を赤らめ、困惑した様子であった。担当部長は「来年度に向けて、財政状況をみながら判断していきたい」と答弁。教育長も「今後、検討していきたい」と述べた。
ちなみに、文科省が示した3項目の国基準の支給金額は、「クラブ活動費」が小学校 2,630円、中学校 28,780円、「生徒会費」が小学校 4,440円、中学校 5,300円、「PTA会費」が小学校 3,290円、中学校 4,070円となっている。小金井市の2011年度の準要保護者は、小学生が 569人、中学生が 286人であることから、国基準の支給金額にもとづく総額は 1,680万5,740円となる。
この文書を記すパソコンのかたわらには、文科省の担当局長が各都道府県教育委員会教育長宛に出した「要保護児童生徒援助費補助金及び特別支援教育就学奨励費補助金交付要綱の一部改正について(通知)」および補助金交付要綱の新旧対照表、2010年4月1日付で一部改正された補助金交付要綱、それに関する資料「別記1」「別記2」、小金井市の「就学援助費支給要綱」がところ狭しと置かれている。それらを眺め眺めしながら文書をしたためてきたのであるが、ここまでの文書に至るまでに相当に右往左往してきた。それはなぜか。頭の中に、あれやこれやと疑問が浮かんでくるからである。
文科省は、要保護児童生徒の就学援助費に2分の1の補助金を出すという。ただし、「学用品費」「通学用品費」「校外活動費」「通学費」「体育実技用具費」「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」については、生活保護の教育扶助が行なわれている者を除くといい、同じ理由で「新入学児童生徒学用品費等」も生活扶助が行なわれている者を除くという。ようするに、生活保護でその費目が支給対象となっている人に対しては就学援助という形での支給とはならないので、2分の1の補助対象とはなりませんよということである。それは、理解できる。私が首をかしげるのは、文科省が2分の1補助の対象としている「要保護児童生徒」というのは、「生活保護受給世帯の児童生徒」なのでは?ということ。だから小金井市の担当課長は「小金井市の就学援助の要保護者の支給費目には、この3つが入っていないんです」と私に説明したのではないのか。ちぐはぐである。
考えられることは、生活保護基準の生活をしていながら生活保護を受けずにいる世帯が存在し、その児童・生徒が就学援助の「要保護者」になっている ということなのではないか。だから、文科省の「要保護児童生徒の就学援助費に2分の1の補助金を出す」という規定があるのではないか。もし、この考えが合っているのであれば、小金井市の就学援助の「要保護者」の支給費目にも「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」をうたっておく必要があるのではないか 。こんなことを考えながら時計を見ると、夜中の1時を回っていた。寝る!。
2011年度一般会計決算を賛成多数で認定
小金井市議会は、9月定例市議会(第3回定例会)の会期内に決算特別委員会を開き、前年度の一般会計と特別会計の決算審査を行なっている。今年の決算特別委員会は4日間行ない、10月5日の最終本会議で、賛成多数で認定された。
日本共産党市議団は、お金の使い方があいかわらずの大型開発優先であり、一方で、市民サービス縮小が行なわれていることから、認定に反対した。認定に反対したのは、日本共産党と「みどり・市民ネット」の9名。賛成は自民党、公明党、民主党、改革連合の計13名。賛成討論は公明党の宮下誠議員と自民党の遠藤百合子議員、反対討論は「みどり・市民ネット」の青木ひかる議員と日本共産党の私・板倉真也であった。
賛成討論、反対討論ともに、それぞれの考え方にもとづいて行なわれるのは当然であるが、理屈に合わない討論内容はチト困る。というのも、反対討論を行なった「みどり・市民ネット」の青木ひかる議員の内容に整合性がないからである。
青木議員は「みどり・市民ネット」を代表して反対討論を行なった。青木議員は反対討論を、市民交流センターを購入したことが問題という一点に絞って述べた。それはそれで構わないことだが、では「みどり・市民ネット」のおおかたの議員は、「市民交流センター購入に反対」で一貫性をもっていたのだろうか。
昨年4月末の市長選挙で佐藤和雄市長が誕生した。その佐藤市長のもとで、「市民交流センターの附帯設備・備品類の価格交渉を行なうために必要」との理由で、昨年9月議会に、市民交流センター内に搬入されている附帯設備・備品類の購入予算3億3,656万円を議会に提出。10月終盤には、市民交流センターを「1筆3棟」で不動産登記させるための条件となる、小金井市の権利分を確定させるための予算340万円を急きょ提出し、いずれも自民・公明・民主とともに佐藤市長を応援した議員の賛成多数で可決させた。これにより不動産登記は可能となり、あとは最後の段階の、市民交流センターを購入するための議案を議会に提出するだけという事態となった。いわば、佐藤和雄市長のもとで、市民交流センターを購入するための条件整備が行なわれ、その予算に「みどり・市民ネット」のおおかたの議員が賛成していったということになる。
佐藤和雄市長を応援した議員たちが佐藤和雄市長に対して、「市民交流センターを購入するための条件整備は行なうな」と迫り、予算提案をさせていなければ、青木議員が述べる「市民交流センターを購入したことは問題」という事態を迎えずに済んだのである。にもかかわらす予算は提案され、しかもそれに賛成するという驚くべき対応を「みどり・市民ネット」のおおかたの議員は行なったのである。なのに「市民交流センターを購入したことは問題」と述べるのだから、首をかしげざるをえないのである。
購入のための条件整備が行なわれ、3月末で期限が切れる社会資本整備総合交付金の申請も間に合う形で、2月に市民交流センターの購入議案が提案され、賛成多数で可決されていった。購入のために小金井市は27億9,120万円の借金を行ない、これからの市財政に重くのしかかることとなったのである。
以下に日本共産党市議団を代表して、私・板倉真也が行なった反対討論を掲載します。ご一読いただければ幸いです。ちなみに、日本共産党市議団は、担当者が作成した討論原稿の案を4人全員で討議し成文化させるという対応をとっています。よって、討論内容はまさしく「日本共産党市議団を代表」しているのです。なお、一般会計決算の認定に対する反対討論の原稿案は私・板倉真也が作成し、原稿案を4人で集団討議してまとめあげました。
日本共産党小金井市議団を代表して、2011年度一般会計決算の認定に対する反対討論を行ないます。
長引く景気低迷のもと、市民の暮らしはいっそう厳しい状況に置かれています。そのことは、市税の根幹を成す個人市民税が年々減少し、課税標準額が200万円以下の人々が増 加していることからも言えることです。リストラ・合理化による首切りや賃下げが横行し、年金受給者の年金額も実質的に低下、子育て世代も例外ではなく、保育料を納めきれない件数が決算年度は336件と、前年度より56件増加し、学童保育料も前年度を上回る447件の未納が起きています。世帯の33%が加入する国民健康保険は28%の世帯が保険税を滞納し、生活保護受給世帯は 2010年度に1,000世帯を突破、なかでも若者世代で増加しているのが特徴です。このように、厳しい生活を強いられている市民の暮らしをいかに応援していくのか、そのことが市政運営には求められています。
この点について決算年度は、大規模化した学童保育所の2施設を分割するための建替え工事を行ない、貫井南センターにエレベーターを設置、全ての小中学校の普通教室にエアコンを設置したことは、市民要望に対する積極的な取り組みとして評価できるものです。あわせて、保育室等の保護者助成金を月額 9,000円に増額し、特別支援学級の支援員を配置し、特別支援学級の新設等に合わせて登下校時のスクールバスを増車、子宮頸ガン予防ワクチン接種に対する助成を中学校1年生〜高校1年生女子を対象に実施したことなど、評価できる部分も少なからずあると考えるものです。
しかし、以下の点で市政運営に対しての根本的な問題があると考えるものです。
第1は、市民がなによりも求めている、暮らしの負担を軽減し、市民サービスを充実するための施策が不十分なことです。特別養護老人ホームの待機者は400人を超え、共働き しなければ食べていけない時代にもかかわらず、保育園の待機児も100人を超えています 。国保税や介護保険料の負担に悩む世帯は多く、市民税の滞納世帯も少なからず存在します。特養ホームや認可保育園の増設など必要な施設整備をすすめるとともに、負担軽減の新たな施策が求められます。しかし、保育室等の保護者助成金の増額はされたものの、負担軽減の取り組みは到底、市民の願いに沿ったものとはなっていません。
しかも、厚生労働省からは対応を求める通知が来ていたにもかかわらず、年少扶養控除の縮減にともなう認可保育園の保育料の影響回避の措置がとられず、文部科学省からは就学援助の準要保護者への「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」の支給を行なう指針が示されたにもかかわらず、いまだに措置されていないことなど、行なうべきことすら行なわない市政運営は認められません。不要不急の都市計画道路や大型開発には躊躇なく手を付け、市民の暮らしを応援する施策は国からの通知がきても行なわない。こんな市政運営は断じて許せるものではありません。早急に対応することを強く求めるものです。
第2は、市長が辞職し、1年の間に市長選挙が2度も行なわれる事態を引き起こした「ごみ処理問題」の打開策が、依然として市民の前に明らかにされてこないことです。他市の理解や地域住民の理解が得られない「二枚橋跡地」にしがみつき、混迷する事態をつくりだした反省は一切なく、市民の不安に応えるための打開策については、いまだに「報告できるものはない」と繰り返さざるを得ない市政運営の在り方は、市民の理解を得られるものではありません。少なくとも、ごみ処理の現状と市の考えている方向性を市民に説明すべきです。ところがこのあたり前の要求に対して、三木副市長は「議員の側が説明せよ」と筋違いの答弁をされました。市民に対する行政の説明責任を放棄し、市民代表の議会に市民への説明を求めるという驚くべき発言であり、断じて認められるものではありません。行政が責任をもって市民に現状と方向性を知らせるとともに、早急に実現可能な方策を示すことを求めるものです。
第3は、市財政に大きな影響を及ぼし、権利関係が複雑で、いまだに管理規約を結ぶことのできない市民交流センターを取得したことです。市民交流センターは昨年6月から都市再生機構の管理のもとで市民の利用に付され、大ホールも小ホールも会議室なども、利用料金を払えば利用できるようになっていました。ところが今年2月の臨時議会で建物本体を購入するための予算が可決され、これにより新たな借金を27億9,120万円抱えることとなり、指定管理委託料と借金の返済に、2031年度まで毎年4億円前後も組まなければならなくなりました。税収が伸び悩むなかでの毎年4億円もの義務的経費の確保は、市民施策の予算削減につながっていくものと危惧するものです。現に、決算年度の途中から、安否確認のための「ひと声訪問事業」や「ことぶき理容券交付事業」が縮減されました。
しかも、都市計画道路3・4・12号線の整備のために、小金井市の事業としては初めてとなる土地収用の手続きがとられ、財政が厳しいといいつつ、決算年度は用地取得費に2億752万2,617円が充てられました。加えて、急ぐ必要などまったくなく、地権者の理解も得られていない都市計画道路3・4・8号線の事業認可を前提とした電線共同溝予備設計委託料が組まれ、2014年度からの一般会計での事業費計上の道筋がつくられています。
東小金井駅北口土地区画整理事業は今日、市財政に大きな負担を与えています。決算年度においても委託料と用地取得費に12億8千万円を計上しており、そのうち市の負担額は7億円にのぼります。区画整理事業に要した起債の償還も毎年1億5千万円になることが想定され、武蔵小金井駅南口の再開発事業や市民交流センター建設に多額の税金を投入し、事業推進のために発行した市債の償還に市民の税金が充てられていくことから、市も認める「危機的財政状況」になっているわけです。このまま区画整理事業をすすめることは、市財政において危険な事態といわざるを得ません。可能ならば事業の見直しを、そうでなくても事業のさらなる延伸を行ない、毎年の負担額の軽減を行なうべきと考えます。同時に、不要不急の都市計画道路は手を着けるべきではありません。お金の使い方を切り換えるべきです。
今回、質疑の中でも監査意見書においても、社会福祉協議会への市の補助金、委託費のあり方が問われました。市の補助金支給の規定に反するあり方を早期に改めること、社会福祉協議会の財務会計の仕組みと小金井市の補助金・委託費の支給の仕組みが符号するように改めること、そして、市民に明確に説明が行なえる内容にしていくことを強く求めるものです。
2012年度の今年度からは、国保税・介護保険料・後期高齢者医療保険料が値上げされ、年少扶養控除の縮減によって、子育て世代は所得税・住民税もアップしています。加えて2年後からは消費税の増税が予定され、市民の暮らしはいっそう追い込まれていくことが明らかです。だからこそ、大型開発優先の市政運営を改め、市民の暮らしを応援する市政に切り換えていくことが必要です。しかし、旧態依然のお金の使い方に固執し、さらなる都市計画道路の建設が打ち出され、小学校給食調理や図書館窓口業務の民間委託化、ピノキオ幼児園の民間委託化が提案される市政運営では、市民の願いに応えられるものではありません。よって日本共産党市議団は、決算の認定に反対するものです。
原発から直ちに撤退求める意見書を可決
小金井市議会は9月26日の本会議で、日本共産党市議団が発議した「原発から直ちに撤退し、原子力規制委員会人事を撤回することを求める意見書」を賛成多数で可決。議長名で政府に送付する手続きに入りました。
意見書に賛成したのは、提案会派の日本共産党4人と「みどり市民ネット」の5人に加えて、社民党に籍を置く武井正明議員、自民党の露口哲治議員の計11人。反対したのは、公明党の4人と篠原ひろし議員、そして民主党の3人の計8人です。露口議員を除く自民党の3人は退席しました。可決された意見書を以下に掲載し、続けて、私の賛成討論を掲載します。
[原発から直ちに撤退し、原子力規制委員会人事を撤回することを求める意見書]
政府の「収束宣言」にもかかわらず、重大事故を起こした福島原発は依然として放射線量が高く、いまなお16万人余りの人々が避難生活を余儀なくされている。
こうした中、政府がエネルギー政策策定のために実施した意見公募(パブリックコメン ト)では、87%が原発ゼロを求める意見を述べている。このことは福島原発事故の深刻さ を国民が重く受け止めていることを示しており、政府はこの世論を真摯に受け止めることが求められる。
ところが、民主党のエネルギー・環境調査会が9月6日に取りまとめた新たなエネルギー政策に関する提言では、「原発ゼロ」について、「稼働している原発をゼロにする」と意味付け、「原発からの撤退」を明確にはしていない。期限についても「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」としており、明確な期限とはなっていない。
その上で、「原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする」と、再稼働容認の立場を明確にしている。これでは即時原発ゼロを求める圧倒的多数の世論に応えるものではなく、到底認められるものではない。
折しも、一昨年の猛暑に匹敵する今夏、福井県・大飯原発の再稼働を強行した関西電力による電力需給の見通しにおいて、原発再稼働なしでも電力不足は起こらないことが、関西電力自身が公表した資料で明らかとなった。しかも、関西電力の大飯原発以外は原発を1基も動かしてはおらず、電力需要のピーク時でさえも、原発なしで全国的に電力は足りていることを証明するものとなった。このことは、原発に頼らなくとも、電力需要は賄えるということである。
こうした中、政府は、9月19日に原子力行政の安全規制を担う原子力規制委員会の人事を、委員会設置法に基づく例外規定を適用して首相権限で任命した。しかし、原子力規制委員会の人事を首相が独断で任命することは、原発再稼働ありきで、世論も国会も無視する暴挙である。
しかも、原子力規制委員会の顔ぶれは「原子力事業者等」を任命しないとした国際条約の「欠格要件」に該当する疑いのあるものであり、これではまともな規制機関とは成り得ず、人事そのものも到底認めることはできない。
よって、小金井市議会は、政府に対し、以下の点を求めるものである。
- 政府が実施した国民的調査の結果に従い、福井県・大飯原発を停止し、原発から直ちに撤退すること。
- 首相権限で任命した原子力規制委員会人事を撤回すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
日本共産党小金井市議団を代表して、本意見書への賛成討論を行ないます。
昨年3月11日の大震災による福島原発の重大事故は、政府の「収束宣言」にもかかわらず、今日においても放射能や放射能を帯びた冷却水を排出しつづけ、いまなお16万人余の避難生活者を生み出しています。大津波による電源喪失ということが前々から指摘されていたにもかかわらず、「想定外」で原発事故が片づけられようとしている今日、私たち日本国民のみならず、全世界の人々が、今回の重大事故からなにを学ぶのか、エネルギー政策はどうあるべきなのかを真剣に考えていくことが求められます。
ところが政府は福井県・大飯原発の再稼働を強行しました。理由は、夏場の電力供給が不足するからとのことです。ところが、関西電力が自らホームページ上で公表した電力需給状況では、一昨年の猛暑に匹敵する今夏であっても、関西電力管内の電力供給は電力需要を十分に上回り、大飯原発を稼働せずとも、なお日量で80万KWの余裕があったことが明らかとなりました。このことは、それまでの関西電力の説明も政府の説明も、事実に反するものであったということであり、大飯原発はただちに稼働を中止すべきです。
国民の大多数は「原発ゼロ」を強く求めています。政府がエネルギー政策策定のために実施したパブリックコメントでは87%が原発ゼロを求める意見を述べ、全国11会場での国民から直接話を聞く意見聴取会でも68%が「ゼロ」と回答、討論型世論調査では、討論会後の調査で「ゼロ」が46.7%となりました。また、毎週金曜日の夜、首相官邸前では数万人規模の抗議行動が続けられており、マスコミもその模様を報道せざるをえないまでに、国民の大きな世論に発展しています。政府はこの声を真摯に受け止めるべきです。
ところが政府の「エネルギー・環境会議」が9月14日に決定した「革新的エネルギー・環境戦略」では、「原発ゼロ」の期限について「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」とするのみで、「原発ゼロ」の期限としてはあまりにも遅いものとなっています。しかもアメリカに対して、これはあくまでも「努力目標」と説明したとのことです。加えて9月19日には、この遅すぎる「2030年代に原発ゼロ」を盛り込んだ「エネルギー・環境戦略」ですら、経済界とアメリカの圧力に屈して閣議決定を見送りました。早期の原発ゼロを願う国民世論に背くものと言わざるをえません。
また、9月14日に決定した「革新的エネルギー・環境戦略」では、核燃料サイクル政策について、「引き続き従来の方針に従い再処理事業に取り組む」としており、新たな核燃料をつくりだすことを明記しています。このことは、一方で「原発ゼロ」を口にしながらその実現を先送りし、引き続き原発に固執する立場を示すものであり、断じて許せるものではありません。
政府は9月19日に、原子力行政の安全規制を担う原子力規制委員会の人事を、委員会設置法に基づく例外規定を適用して首相権限で任命しました。国会閉会中とはいえ、人事は衆参両院の同意がない限り任命できないものであり、例外規定を使うことでないがしろにすることは認められるものでありません。
しかもその顔ぶれをみると、日本原子力研究開発機構副理事長などを歴任した人物を委員長に据えるなど、原発共同体の中枢に属する人物を委員長や委員にしており、原発推進機関から独立した原子力安全規制行政を行なうという趣旨を形骸化させるものとなっています。また、「原子力事業者等」を任命しないとした国際条約の「欠格要件」にも該当する疑いがあるものです。
原子力規制委員会は発足した19日に初会合を開きました。記者会見した委員長は、建設中の原発に関して、新しい安全基準を適合させるまで建設を中断すべきかどうかを問われると、「待つか待たないかは電力会社の判断。待ちなさいというつもりはない」と述べ、はやくも原発推進の側に身を置いていた人物としての片鱗をのぞかせています。このような原子力規制委員会人事はただちに撤回すべきです。
日本共産党は、原子力発電に依存するエネルギー政策を改め、太陽光発電や風力・水力発電など、自然再生エネルギーを日本のエネルギー政策の基本に置くことを求めるとともに、1政府がすべての原発からただちに撤退する政治決断を行ない、「即時原発ゼロ」の実現をはかること。2原発再稼働方針を撤回し、大飯原発を停止させ、すべての原発を停止させたままで、廃炉のプロセスに入ること。3青森県六ヶ所村の「再処理施設」を閉鎖し、プルトニウム循環方式から即時撤退すること。4原発の輸出政策を中止し、輸出を禁止すること────を強く求めるものです。以上のことから、本意見書に賛成します。
彩の国資源循環工場
小金井市議会のごみ処理施設建設等調査特別委員会は7月4日(水)、埼玉県の寄居町にある「彩の国資源循環工場」の視察に出かけました。この場所には企業8社がそれぞれの施設を構え、そのうちの2つの施設を視察しました。以下は、私が市議会に提出した視察感想文です。
彩の国資源循環工場の行政視察感想文
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オリックス資源循環
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埼玉県が、1989年(平成元年)から埼玉県の最終処分場として、山一つぶん、約100haを寄居町から買い上げたという場所に「彩の国資源環境工場」が企業8社によって設立されている。今回の行政視察は、そのうちの「オリックス資源循環株式会社」による「サーマルリサイクル」という施設と、「株式会社エコ計画」の「総合リサイクル」施設を見学することになった。「オリックス」の施設では、小金井市内の事業者の持ち込みゴミが扱われ、「エコ計画」では昨年まで、小金井市で回収された布団が持ち込まれていたという。
両者は、「リサイクル」という看板を掲げつつも、「リサイクル」の方式は対局を歩んでいる。「オリックス」の施設は、50p以下の廃棄物であればなんでも受入れ、2,000度の高温で一瞬にして溶かし、建設資材(スラグ)や金属原料(メタル)などに返還して再利用し、発生したガスは発電に利用するというもの。一方の「エコ計画」は、持ち込まれた廃棄物を徹底的に分別して再利用の道程に乗せるというもので、再利用不可のものは、「オリックス」のように「サーマルリサイクル」(焼却)で処理するという。私なりに要約すると、「オリックス」は、燃やした結果、発生したものを再利用する、「エコ計画」は、できるだけ使えるものは使っていくというもの。前者は、東京23区方式。後者は、三多摩方式というところか。
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エコ計画
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方式が根本的に異なることから、施設の概要も当然に異なる。「オリックス」は、重装備に覆われ、「エコ計画」は、普段着というスタイル。重装備の方は、高温処理に対応できる堅牢な設備を配置し、普段着の方は、ヘルメットもいらないほどの概要。しかし、それぞれに「リサイクル」にはうるさいらしく、いただいた双方のパンフレットには、“うちこそが第一人者”と叫んでいるよう。
帰りのバスのなかでは、どちらのスタイルがいいかが論じられた。「オリックス」を推すグループは、ゴミ排出側の手間ヒマの面や環境面での評価を語り、「エコ計画」を推すグループは、モノを大事にするという観点と本来の「リサイクル」という点で語られた。私は、本質的に後者に属するが、これからの社会は、おそらくは前者に進むのではないかと思われる。
埼玉県の方針はどうなのか−−−、このことも、帰りのバスの中では議論になった。埼玉県は、スタイルの異なる企業を隣り合わせに配置し、それぞれが「我こそがリサイクル」と銘打っている。だが、埼玉県は「オリックス」スタイルをメインにしているように感じる。なぜなら、他の7企業は、いつでも撤退できる「委託」方式で誘致されているが、「オリックス」のみ、PFI方式で20年間の事業が義務づけられているからである。
異なる方式の「リサイクル」。そこには、便利さとは何か、リサイクルとは何か、「地球にやさしい」とは何を指して言うのか、そのことが圧縮された形で、私たちに問いかけているように思える。答えは、難しい。そんなことを考えるうちに、バスは小金井市の街中へと入って行った。
公民館の設備・備品等の充実を
小金井市が「生涯学習教育の施設」に位置づけている公民館。しかし、施設や設備・備品の老朽化が目立ち、障がい者が利用しやすいようにするバリアフリーの対応も不十分な状態です。
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ボロボロのカマド
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私は6月議会の一般質問で、建て替え計画が示されている公民館本館を除く、地域の公民館の現状を述べ、対策を強く求めました。
緑センターでは、浴恩館公園の一角にあるバーベキュー施設のカマドがボロボロになっており、木製の調理台の根元は腐って、グラグラしています。陶芸窯は通常、耐用年数が10年から20年のところを、すでに21年が経過し、たびたびトラブルが発生しています。
東センターでは、「エレベーターの設置を」の声が寄せられています。現状は、階段の端っこに後付けの昇降機が取り付けられていますが、段取りに時間がかかるために、使い勝手が悪いとの声があがっています。
本町分館では、「トイレの臭気」への苦情が強く出されています。本町分館は昨年度、耐震補強工事が実施されましたが、トイレの改修工事は行なわれませんでした。
貫井南センターは、南側に民間住宅が隣接しているため、2階の南側窓の防音対策が求められています。また、視聴覚室のエアコンは調子が悪く、買い換えが必要と言われています。
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間引きされた蛍光灯
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公民館は備品等の予算が年々削減され、机や椅子の不具合、「節電」を口実とした蛍光灯や照明器具の間引き、トイレットペーパーもギリギリしか用意できないという実態です。
答弁した生涯学習部長は「予算要求をしても、財政状況が厳しいなかでは、要求したものが全て予算化されるものではない」と諦め顔。財政を担当する部長は「限られた財源は効果的、効率的な配分に努めていかなければならない」と述べるのみです。
その小金井市。道路拡幅推進の予算を組み、東小金井駅北口の区画整理事業には、今年度だけでも13億7,300万円を予算化しています。
一方、公民館全体の今年度の修繕費・備品費・消耗品費の予算合計額は、668万5千円に過ぎません。お金の使い方が、おかしいのではないでしょうか。
市民持参の食品の放射能測定を堅持せよ
小金井市では、市民が調べてほしいと持ち込んだ食品の放射線量を調べてくれる制度が20年余にわたって続いている。食品中のセシウム134およびセシウム137の濃度を測るというもので、チェルノブイリ原発事故後に市民の運動で1990年9月から制度化されたもの。測定作業は、小金井市から委託された「小金井市放射能測定器運営連絡協議会」が行なっている。
測定事業を初めてから22年。この間、放射能測定器はただの一度も新調されず、年に3〜4回程度のメンテナンスでしのいできた。しかし、昨年3月の大震災による福島原発の放射能汚染以後、市民からの食品の濃度測定依頼が急増し、いまでは測定してもらえるまでに1カ月待たないとならないほどに混み合っている。しかも、測定器は老朽化の一途をたどっている。
大震災以降、議会では測定器の新調を求める意見が、我が党含めて出されている。しかし小金井市は「財政が厳しい」を理由に予算化をしぶり、今日にいたっても二代目お披露目のメドはたっていない。
そんな折、消費者庁から小金井市に「放射能測定器の貸与決定」の通知が届いた。昨年12月26日付で小金井市役所経済課が、老朽化した放射能測定器のあとがまとして、貸与願いを申請していたことが認められたのである。
ところが、ここにきて、経済課の意図とは別の方向に事態は流れた。貸与される測定器を老朽化した測定器のあとがまとして、委託先の小金井市放射能測定器運営連絡協議会に渡たすのではなく、市の地域安全課が管理し、緊急雇用創出事業で採用される非常勤嘱託職員に、測定作業を委ねるというのである。ようするに、委託先で使用するのではなく、市が直接、使用するというのである。
これだけならば、委託先だろうが、市が直接行なおうが、問題はないように思う。ところが、小金井市の手元に届いた消費者庁からの測定器では、小中学校と保育園の給食食材等は測定するものの、市民が持ち込んだ食品は測定しないという。市民は引き続き、委託先の小金井市放射能測定器運営連絡協議会で測定してもらえというのである。しかし、その測定器は老朽化し、議会からは新調を求める意見が寄せられている。
「壊れたらどうするのか」との6月議会での質問に対して、小金井市は「その時に考えたい」という始末。透けて見えるのは、測定器が壊れた段階で「委託解消」という図式。その時点で、長年、小金井市が全国に誇ってきた「市民が持参する食品の放射線量の測定を行なう」という事業は幕を下ろすことになる。
委託であれ市直営であれ、市民の不安に応える制度は堅持すべきである。私は、そのことを強く主張する。
年少扶養控除廃止で保育料が大幅アップ
「年少扶養控除」というのをご存じだろうか。自営業者や我々市議会議員などが毎年3月の確定申告の際に記入する確定申告書には「扶養控除」と記され、サラリーマンの年末調整用紙にも、その文字が記されている。
「年少扶養控除」を細分化すると、0歳から15歳までを「一般扶養控除」、16歳から18歳までを「特定扶養控除」と呼び、所得税、住民税それぞれに、税額控除の役割を果たしている。
この「一般扶養控除」が昨年から所得税で(自営業者などの場合は今年3月の確定申告後に納める所得税から)廃止され、「特定扶養控除の加算額」も同時に廃止された。また、今年6月からは住民税の「一般扶養控除」と「特定扶養控除の加算額」も廃止され、所得税は昨年から(自営業者などは今年3月の確定申告後に納める所得税から)、住民税は今年6月から、税額がアップした。
そのことを証明するように、私の所得税の確定申告書を見ると、2010年分では娘の一般扶養控除が38万円、息子の特定扶養控除が63万円(加算額含む)となっていたのが、2011年分では、息子の特定扶養控除のみの記載となっている。しかも、加算額25万円が廃止されたため、控除額は38万円である。
では、年少扶養控除の廃止によって、年間の税額はどれくらいアップしたのか────。所得税は「一般扶養控除」の廃止で38万円、「特定扶養控除の加算額」の廃止で25万円が「扶養控除」から排除され、仮に所得税が10%であった場合は、「一般扶養控除」の廃止で3万8千円、「特定扶養控除の加算額」の廃止で2万5千円が増税(年額)となる。一方、住民税では「一般扶養控除」の廃止で33万円、「特定扶養控除の加算額」の廃止で12万円が「扶養控除」から排除され、住民税額は一律10%なので、「一般扶養控除」の廃止で3万3千円、「特定扶養控除の加算額」の廃止で1万2千円の増税(年額)となる。
年額でそれくらいならばたいしたことはないと、思うかもしれない。しかし、年少扶養控除の廃止によって、認可保育園の保育料と小金井市立の学童保育料に影響が生じるのである。
まず、保育料から見てみよう。大部分の世帯の保育料の計算方式は「前年分の所得税課税世帯の所得税額(年額)」となっている。小金井市の場合、この部分を「D」階層と呼び、所得税額の低い順から「D1」「D2」「D3」という具合に、所得税額の高い順へと階層が上昇していく。この「D」階層の各区分は、所得税額(年額)がおおよそ3万円の幅でくくられており、例えば、階層区分「D6」の場合は「9万円以上、12万円未満」、「D11」の場合は「24万円以上、27万円未満」という具合にである。ところが、「3万円幅の所得税額で階層区分が設けられている」ということが、以下のような事態をもらたすことになった。
先述したように、年少扶養控除の廃止によって、一般扶養控除の38万円と特定扶養控除の加算額25万円が所得税の扶養控除から排除され、仮に所得税が10%の場合には、一般扶養控除(38万円)の廃止で一人当たり3万8千円、特定扶養控除の加算額(25万円)の廃止で一人当たり2万5千円が所得税額のアップとなっていく。一般扶養控除に該当していた子どもが1人だけでも、所得税額が3万8千円アップとなり、それだけで保育料の階層区分は1区分上昇する。これに特定扶養控除の該当者が1人加われば、加算額廃止によって2万5千円の所得税額アップとなるため、一気に2区分上昇となる。区分が上昇すると、保育料は跳ね上がるのである。
保育料の跳ね上がりは、認可保育園に通っている園児それぞれにかかってくる。例えば、2人の園児が通っていれば、第一子も第二子も保育料は跳ね上がるのである。まさしく、ダブルパンチである。よって、所得税額で保育料が計算される「D」階層は、ほとんどの世帯が最低でも1ランク、最悪の場合には2〜4ランク、階層区分が上昇したものと考えられる。
実際に、どれくらい影響額が発生しただろうか。日本共産党市議団の議員のもとに寄せられたメールを紹介しよう。「我が家には、子どもが4人います。一番上が中学1年生の長女。次が小学2年生の長男。そして市内保育園に通う2歳の双子の次男、三男です。次男の保育料ですが、D6段階から今年度はD13段階へと月額24,500円上がり、三男の分も合わせると、月額26,350円から62,900円へ増。昨年と比べて毎月36,550円の負担増となりました。一年では43万8,600円にもなります」。実に、深刻である。
学童保育料は来年度から影響が発生する。「前年度の市町村民税の課税標準額」で決まるからである。前述のように、市町村民税のアップは今年度からである。よって、学童保育料へは、来年度からとなる。ただし、小金井市の学童保育料の「課税標準額」階層区分の金額幅は広いため、「影響を受ける世帯は、そう多くはない」と市の担当部署は述べている。
大幅負担増となる保育料。これでは生活が成り立たなくなり、保育料を滞納する世帯が急増することが予測される。このことを憂いた厚生労働省は昨年7月、都道府県知事や政令指定都市市長あてに、通知文書を発送した。厚生労働省の雇用均等・児童家庭局長名による「控除廃止の影響を受ける費用徴収制度等に係る取扱いについて」というもので、各自治体にたいして「扶養控除見直し前の旧税額を計算する等により、扶養控除の見直しによる影響を可能な限り生じさせないよう対応をお願いする」と述べている。加えて通知文書では、この指示は、政府税制調査会の「控除廃止の影響に係るプロジェクトチーム」の方針にもとづくものとされている。
では、なぜ小金井市では保育料が今年度から大幅アップとなったのか。そこには、稲葉孝彦市長の、保育料収入増を狙うもくろみが働いていた。
5月21日の市議会厚生文教委員会で日本共産党の水上ひろし議員が、厚生労働省の通知になぜ従わなかったのかと問いただしたところ、稲葉孝彦市長は「(12年前に)保育料を値上げした時に年少扶養控除が導入され、保育料総額が増えなかった。そのため今回、通知にもとづいた措置はとらなかった」と答弁。12年前の保育料改定で得るはずだった増収分を確保するために、厚生労働省の通知に従わなかったというのである。
6月定例市議会の私の一般質問(6月7日)では、小金井市の理不尽な対応のあり方が明らかとなった。7月中旬の厚生労働省からの「影響回避」の通知文書を把握した小金井市は、保育課内部で対応を協議。稲葉孝彦市長など理事者の意見をあおぎながらも、影響回避措置をとらないことを「保育課内部で判断した」というのである。答弁では「各市の状況を見ながら対応した」というが、影響回避措置をとらなかったのは、三多摩では小金井市と三鷹市、都市部では渋谷区の計3自治体のみである。
先述したように、保育料階層区分が一気にD6段階からD13段階へと跳ね上がった世帯も出ている。「階層区分が上昇することは承知していた」と担当部長は述べたが、ではなぜ、これほどまでに大きな影響が生じるものを保育課内部で判断して回避措置をとらないことにしたのか。しかも、責任の所在を明確にした「起案書」という形もとらず、市長決裁も「得てはいない」というのである。
市長・副市長・教育長・各部長で構成される「庁議」には諮ったのか?────。答弁は「3月定例市議会の厚生文教委員会に報告する前の、2月28日の庁議に諮った」とのこと。これは、「厚生文教委員会では、このように報告しますよ」というものであり、「影響回避の措置をとるかどうか」の議論を行なうためのものではない。
今回の保育課の対応のあり方および、意見を保育課から求められた市長の対応のあり方も、小金井市の「事務決裁規程」にも「庁議に関する規則」にも明確に反するものと言わざるを得ない。
もう一つ、対応の仕方として問題があるのは、小金井市の児童福祉審議会に諮っていないことである。児童福祉審議会は、児童福祉法第56条第3項の規定に沿って、保育料にかかわる問題に対して意見をあおぐ機関に位置付けられている。そのことを証明するように、小金井市の児童福祉審議会規程でも「市長の諮問に係る保育及び学童保育等に関する事項について調査審議する」と明記されている。厚生労働省の通知に沿わない対応をとるという場合においては保育料への影響が生じることから、児童福祉審議会に意見をあおぐのは当然のことである。この点でも、担当課および市長の対応は断罪されるべきものである。
市長は「現行の制度でいかせていただく」と述べ、保育料の大幅アップに苦しむ市民の声にも、影響回避を求めた厚生労働省の願いにも背を向ける態度を示した。「影響回避」を行なわなかったことから、小金井市の保育料徴収額は前年度比で約3,400万円(年間)の増収になるという。一方、2月に取得可決した市民交流センターの今年度の指定管理委託料は2億3,100万円である。お金の使い方も集めかたも、国の政治同様に歪んでいる。
※6月7日の一般質問で使用した原稿をPDFファイルで掲載します。
建設環境委員会視察、松本市・飯田市
5月16日(水)・17日(木)の2日間、小金井市議会建設環境委員会は信州の松本市と飯田市へ行政視察に出かけました。松本市は松本城下の「まちなみ環境整備事業」、飯田市は「太陽光発電事業」です。視察の概要・感想は、別記をご参照ください。
松本市は言わずと知れた長野県。小金井市から向かう場合は一般的に、中央本線「あずさ号」を利用します。ところが我々にあてがわれたのは「マイクロバス」。小金井市から松本市まで「バスで行け!」というのが、市議会事務局が命じた交通手段でした。
「こりゃあ、疲れるぞ・・・」と、たいして若くもない一行は前途を案じながらバスに乗車。府中から中央自動車道に入って、一路、信州へ。幸いに、私の場合は日頃の行ないが良かったからか、天気は快晴。うたた寝する人もいないほどに、バスの車窓から見える周囲の景色にただただウットリという次第。季節は新緑。しかも山梨に入るとアルプスの山々がくっきりと見え、八ヶ岳や甲斐駒ヶ岳が私たちを迎えてくれました。「バスもなかなかいいわい」と、すっかりご満悦。途中、談合坂と諏訪湖のサービスエリアに立ち寄り、コーヒーなどを口に運びながら、まばゆい景色に見入りました。
松本市は私にとっては、おそらく20数年ぶり。議員になってからは初めてのことだと思います。そのため、思い描いていた感覚とは異なっていました。“街中は意外と、こじんまりとしているな”“松本城って、こんなに小さかったっけ?”と。また、旧開智学校が松本城から近いことも、イメージとは異なっていました。城下町に合わせた「まちづくり」が進行中の松本市は、ぶらりと歩いてみたくなる、風情あるたたずまいを見せていました。
宿泊地は、バスで伊那谷を南下した先の飯田市。「谷」と呼ぶに相応しい双方の山が接近した場所もあれば、周囲が広い場所もあり、伊那地方は独特の雰囲気をかもし出していました。途中、駒ヶ岳サービスエリアにて休憩。さっそく駒ヶ岳を探すも、どれだかわからず。S原議員は「案内看板を見たけど、ここからは見えないらしいぞ」と言います。なら、なんで「駒ヶ岳サービスエリア」って言うんだ────?。売店で買った餅をほうばりながら、首をひねる始末でした。
宿は、温泉旅館。事前にインターネットでこの旅館を調べたという前述のS原議員は、「部屋は10畳敷きだぞ」と言います。「旅館」「10畳敷き」ということから誰もが考えたのは、「今夜は誰と一緒の部屋になるのだろうか・・・?」。私の脳裏には何人かの議員の顔が浮かび、イビキが小さい人なら良いのだがと、バスの中で一人一人を品定めする事態に。おそらく、他の議員も同様なことを考えていたのではないでしょうか。
ところが議会事務局職員のT橋氏は「一人一部屋です」と言う。へ?、10畳に一人?。こんなの初めてだなあ、ということを各人が思いながら旅館に到着。ところが旅館の駐車場には大型観光バスが4台も停まっていました。一方、旅館はそんなに大きくはありません。“こりゃあ、申し訳ないことをした。我々は10畳一人ずつで、他の団体さんは10畳にすし詰め状態ではないか”。ところが、団体さんはここには泊まっていないといいます。「生徒さんたちは農家の体験学習のため、ここにバスを停めて、農家に民宿しています」。旅館の人はそう言って、私たち一人一人に部屋のカギを渡しました。
周囲は田んぼと畑、そして山。見渡す限り、店はありません。外に飲みに行こうにも、目的地は見えません。夜、周囲は暗闇にどっぷりとつかり、布団に入った私たちを襲ったのは、イビキではなくカエルの大合唱でした。
出歩く場所もなく、予期せぬ熟睡を果たした私たちは翌朝(17日)、マイクロバスで20分余の飯田市役所へ出向きました。この飯田市、実に不思議な地形をしています。東側と西側とに丘を置き、その間には谷底みたいに川が流れる。しかもその川の両側にも、丘の上にも街が形成され、丘からなだらかに傾斜をのぼっていくと山にたどり着くというありよう。「河岸段丘」という言葉を、飯田市の職員が口にしました。中学や高校の地理の時間に耳にした単語が、何十年ぶりかに耳に飛び込んできたのです。
職員が言うには、飯田市役所は標高550メートルの丘の上に位置し、谷底のような下方に流れる川は標高300メートルの天竜川。ということは、飯田市役所のある丘と天竜川との標高差は250メートルということ。そんなにあるかいな、と半信半疑ではあるものの、川はたしかにはるか下方を流れています。飯田市役所側から天竜川をはさんで反対側の丘を見ると、こちら側と同じくらいの丘の高さとなっています。太古の昔は、両方の丘はつながっていたのだろうなと、地形のおもしろさに興味は尽きません。
飯田市役所のあたりはその昔、飯田城の城下町として栄えた場所。ということは、城址があるはずです。視察が終了し、昼食後のマイクロバス乗車まで時間があることから、昼食を終えた私は城址を見るべく「まちなか探検」を決行。観光協会で教えてもらった城址までのゆるやかな坂を下っていきました。
城址とはいうものの、とくに工夫された案内板を配置しているわけでもなく、このあたりが城址ですよ、という程度です。前述したように、このあたりは丘の上。しかも飯田城は、天竜川の頭上に突き出た半島のような丘の先端部分に建てられていたため、城址の中心に向かって下っていくことは、丘の左右の幅が次第に狭まっていくという具合。ようするに、右をみても左をみても、高さ200メートル余の断崖絶壁が待ち構えているということです。下り坂の途中には図書館や歴史的建造物とでもいえそうな現役の小学校、塀をめぐらした美術館などがあり、いかにも昔は城の敷地内だったと思えるたたずまいです。丘の先端には神社があり、そこからは三方面に見渡せる、かなたの景色がありました。
再度、松本市や飯田市に来るとしたらどちらがいい?と聞かれたら、きっと迷うことでしょう。地形のおもしろさや静かなたたずまいならば、飯田市を。城と城下町の風情を味わうならば、松本市を────。マイクロバスは晴れ渡った5月の伊那谷を、ゆっくりと小金井市へと走りはじめました。
以下に、市議会に提出した視察感想文を掲載します。ご一読いただければ、幸いです。
建設環境委員会行政視察感想文
[松本市・まちなみ環境整備事業]
「松本市」と言えば即、「松本城」と私は答える。別名「烏(からす)城」とも呼ばれ、日本最古を誇る黒色の国宝五重天守は、松本市を訪れる人ならだれもが目にする歴史的建造物である。あわせて、松本市には「旧開智学校」がある。1876年から1964年まで小学校として使われていた擬洋風建築物で、国の重要文化財に指定。松本城からは徒歩7分程度のところにある。私程度の者にも、これくらいの知識を植え込むほどに松本市は有名である。その松本市が地域商業衰退の危機を迎え、「まちなみ環境整備事業」に取り組んだというのだから、少々驚いている。
ことの発端は、松本駅周辺の区画整理事業を行なった結果、他地区の商店街がさびれてしまい、さびれてしまった商店街の「まちづくり」を行なうことによって、集客力を高めようというもの。「まちづくり」では地域の推進協議会を立ち上げ、その地域の全世帯に会員になってもらう。そのなかの自治会や商工会の役員が協議会の役員に就くという。
主眼は、「地域内の回遊性の向上を図る」こと。松本駅を降り立った方々が、松本城や旧開智学校などの目的地に向かう途中で、街並みを楽しみながら買い物をしてもらう、あるいは、目的地に行ったついでに周辺を楽しんでもらう────そのことにあるという。
だから、まちづくりの総称は「歩いてみたい城下町整備事業」となっている。
対象区域の整備事業を着手するためには、個人負担も出てくる。自身の建物を城下町に合った建物に新築・改築する場合には、建物正面(道路に面した部分)の改修等にかかる経費の3分の2を助成(上限300万円)する。450万円以上の工事であれば、300万円を補助することになる。そのようにして形作られてきているのが、今日の松本城周辺の「まちなみ」である。
どのようなスタイルの街並みにしていくかは区域ごとに地域の推進協議会が検討し、市の担当職員がコーディネーターとなり、時々は大学教授のアドバイスも受けて、決められていく。「試行錯誤の連続」とのこと。ただし、「まちなみを整備する上で欠かせないのは『電線の地中化』」と、説明された担当者は述べる。「これによって歩行者が増加し、空き店舗がなくなった」と強調した。全国各地で地域のまちおこしのための事業が展開されているが、名城「松本城」を仰ぎ、旧跡も数多く抱える松本市の取り組みは、理にかなったものであると感じる。この「まちなみ環境整備事業」によって生まれ変わった「中町蔵の会館」は、こんにちでは、旅のガイドブックにも登場するほどに有名となっている。
ひるがえって我が小金井市。「松本城」や「旧開智学校」とまではいかないまでも、歌川広重に描かれた玉川上水の桜並木や江戸東京建物園を置く小金井公園を北側に持ち、南側には桜の名所「野川」や2つの都立公園を抱いている。この自然・環境をいかした「まちづくり」に力を入れてこそ、地域のまちおこしとなり、地域商店街の活性化につながっていくと思う。
駅を降りたら、どの駅前とも同じような光景のまちづくりでは、人は魅力を感じない。小金井市には小金井市に合ったまちづくりを行なってこそ「訪れたくなるまち」になるのではないだろうか。自然・環境をいかしたまちづくりへ────松本市の事業を拝見して、ますますそのことに確信を持った。
[飯田市・太陽光発電事業]
飯田市の太陽光発電事業は多くのマスコミでとり上げられ、高い評価を得ている。日照条件に恵まれたこの地で、太陽光パネル「おひさま発電所」を市民出資で普及する取り組みである。マスコミ報道によると、「太陽光パネルは当初、飯田市や近隣の保育園など公共施設162箇所で先行的に普及が進んだ」とあり、「いまでは一般家庭にも対象を広げている」とされている。ようするに、当初は市単独で公共施設などに太陽光パネルの設置をすすめていき、つぎに一般家庭への普及に取り組んでいるというもの。公共施設等へのさらなる普及と一般家庭への普及に際して、市民出資による太陽光パネル普及という形態が採用されていったらしい。
ではなぜ太陽光発電事業に着手したのか。担当者の説明やいただいた資料によると、月平均140時間〜200時間という豊富な日照時間に着目した飯田市が、新たな環境事業展開を目的に環境省に補助金(まほろば環境と経済モデル事業)を申請。補助事業が採択され、どのような事業を展開していくかの試行錯誤をする過程のなかで、NPO法人「南信州おひさま進歩」が加わり、この法人を母体とする会社「おひさま進歩エネルギー(株)」を立ち上げて、先述の太陽光パネル「おひさま発電所」を市民出資で普及する取り組みへと進展していった様子。
事業の原資は市民からの出資。「約450名の全国の市民から約2億円の出資を受け、38 の太陽光発電所と省エネルギー事業を展開」と資料に記されている。その原資をもとに、飯田市民の戸建て住宅の屋根に太陽光パネルを「ゼロ」円で設置。代わりに、月々19,800円の利用料金を9年間、「おひさま進歩エネルギー(株)」に支払ってもらうとしている。これによって、パネル設置費用200万円がペイできるという。「19,800円」は中部電力の電気料金と比較すると月々5〜6千円の割高となるが、節電に努めれば努めるほど、中部電力への売電収入が得られる(月々平均4千円程度)というもので、負担感はそう大きなものとはならない。しかも、パネル設置10年目には利用料金(19,800円)の支払いがなくなるため、逆に、売電での収入が増加する。一方、出資者に対しては、売電収益の一部が分配金として定期的に支払われるというもの。
「おひさま進歩エネルギー(株)」を介する太陽光パネル設置事業以外にも、飯田市には、上限15万円の設置補助制度があり、これを飯田市では「公民協働で進める太陽光発電」と銘打っている。なお、太陽光パネル設置は地元業者に優先発注。地元業者の仕事確保につながっている。
ここまで説明を受けても依然として、「なぜ、太陽光発電に向かったのか」「市民は素直に受け入れたのか」の疑問が残る。担当職員の説明によると、「この地域は農業中心の家庭が多く、環境の変化は市民生活に大きな影響を及ぼす。だから、環境には敏感に反応する。また、飯田市は農協が力を入れてきたことから、太陽熱温水器の普及率が30%に達している。だから新たな環境事業という際に、太陽光パネルは違和感なく取り入れられた」。日照条件に恵まれていることから太陽熱温水器の普及がすすみ、そのことから太陽光発電にもカベがなく、加えて環境に敏感な農業中心のまち───。ここに、全国的にも突出する取り組みとなった背景が隠れている。もちろん、行政側の企画力・適応力が優れていることはいうまでもない。
しかし、市民出資による事業とは、少々とまどう。事業がうまくいかなければ出資者への分配ができなくなり、大きな問題に発展する。一歩間違えば、かつてマスコミを賑わした「村上ファンド」のようなケースにもなりかねない。その事業を自治体が一緒になって推進するというのだから、よほど自信があったのか、はたまた、深く考えてはいなかったのか・・・。
福島原発の大災害を機に、自然エネルギーに大きな関心が集まっている。日照時間が年間1,900時間以上の日本は、全国どこでも太陽光発電に適しているという。まずは公共施設から、そしてマンションなどの集合住宅、一般家庭へ。放射能汚染の心配のない自然エネルギーへの転換こそ、子どもや孫へ、この地球を手渡していく我々大人の責務となる。小金井市には「住宅用新エネルギー機器等普及促進補助」制度があるが、市民任せの取り組みでは、子どもたちに明るい未来を保障するものとはならない。先進自治体の取り組みに大いに学び、小金井市独自の施策が展開できればと思う。
飯田市は、太陽光発電の他にも、木質バイオマス利用の普及に力を入れ、小水力発電の研究にもとりかかっている。めざすは産業界との連携も含めた「環境モデル都市」である。この先、飯田市からは目が離せない。
空間放射線量の測定頻度見直し
小金井市は、認可保育園や私立幼稚園、小中学校で実施している空間放射線量の測定頻度を今年4月から見直すことを、4月15日付「市報」で表明しました。しかし、それが市民の理解を得られるのか、私には疑問です。
今年3月まで小金井市は、保育園や幼稚園、小中学校で、大気中の放射線量(空間放射線量)の測定を月2回、2週間おきのペースで実施してきました。それを4月からは、3カ月に1回のペースに改めています。改めた理由を「市報」では、「9カ月間測定してきた結果を受け、数値に大きな変動がないことから」と説明。しかし、福島原発4号機の使用済み核燃料プールの無残な姿が報道されるなかで、「数値に大きな変動がない」からといって測定頻度を緩めることが妥当なのでしょうか。一定規模の地震が起きた場合には、使用済み核燃料プールにも影響が起きないともかぎりませんし、新たな災害も懸念されます。市の担当部署は「従来の測定箇所を3カ月に1回の割合に変更するかわりに、公園などへも測定場所を広げていきたい」と述べ、理解を求めていますが、市民感覚とはかけ離れていると感じます。
小金井市には現在、空間放射線量を測定する機器が3台あります。1台は市が購入したポケットサイズのもの、あとの2台は東京都から貸与されたもの1台(ポケットサイズ)と府中保健所から借りたもの1台(大型の本格的なもの)。市民に貸し出している機器は、市が購入したポケットサイズのものです。保育園や幼稚園、小中学校で3月まで測定していた機器は、東京都から貸与されたポケットサイズのものを使用しており、4月から3カ月に1回の割合で測定している機器は、府中保健所から借りてきた本格的なものです。
前述したように、小金井市は市民にポケットサイズの測定機器を貸し出しています。しかし、貸し出し曜日は月曜日から金曜日までで、土曜・日曜・祝日は貸し出していません。市民からは土曜・日曜・祝日も利用したいとの要望が寄せられていますが、「貸し出しの体制がとれない」を理由に、実現していません。
ところが、お隣の国分寺市では、土曜・日曜・休日でも市民に貸し出しを行なっています。国分寺市議会に提出された資料によると、「測定器の管理および貸し出しは、環境部環境計画課が行なう。ただし、休日等の貸し出しについては、総務部総務課の協力を得るものとする」。小金井市ふうに言い換えれば、「測定器の管理および貸し出しは、環境部環境政策課が行なう。ただし、休日等の貸し出しについては、総務部管財課の協力を得るものとする」となります。
具体的にどのように行なっているのか。国分寺市の総務課にうかがったところ、「総務課の当直の職員のもとに、環境計画課に事前に休日等の利用を申し込んでいる市民のリストが届けられ、当直の職員が申し込んでいる市民に貸し出す。よって、当直の職員が放射線数値の識見を有しているわけではない」。
小金井市の総務部管財課の施設管理係の職員に、国分寺市の総務課の当直職員と同様なやり方を行なってもらえれば、小金井市でも休日等に市民への測定器貸し出しを行なうことは可能なのではないか────。そのことを、5月22日の建設環境委員会で求めたところ、環境政策課長は「検討したい」と述べました。良いことは、即、実行に移していただきたいと思うのです。
7月以降、増税の荒波が
3月市議会で賛成多数で強行された国保税と介護保険料の値上げ、および東京都後期高齢者医療広域連合議会で可決された後期高齢者医療保険料の値上げは、いつから実際に身に降りかかってくるのだろうか。いずれも4月からの値上げではあるが、3月議会で議決されてすぐに被保険者の保険料算定に間に合うとは思えない。
そこで、市役所の担当部署に問い合わせたところ、別紙PDFファイルの回答を得た。納付書と口座引落しは7月から、年金天引きは介護保険料で8月から、国保税と後期高齢者医療保険料は10月からということである。いずれも、年度の1年間分の値上げ額を振り分けて賦課するため、増税感はいっそう高まると思われる。市役所の担当窓口は、7月が来るのを戦々恐々としているのではないだろうか。
政府の制度改悪によって、年少扶養控除の廃止、特定扶養控除の加算の廃止も押し寄せるために、子育て世代も一気に負担がやってくる。これに加えて消費税の増税が強行されることにでもなれば、景気はドン底にまで落とされることは疑いのないところ。税金を納める体力もなくなり、税収増どころか、税収減になるのは必定である。いまこそ、お金の集め方と使い方を変える、大きなうねりを築き上げる時である。
※PDFファイルで「国保税・介護保険料・後期高齢者医療保険料の増税の影響時期」を掲載
2012年3月市議会 住民票・証明書等の交付手数料値上げ
3月定例市議会に稲葉孝彦市長は、市役所窓口で発行している住民票や市税証明書、印鑑登録証明書などの交付手数料を引き上げる条例提出を行ない、日本共産党以外の賛成多数で成立。今年4月から料金値上げが実施されている。
手数料の値上げを行なう理由を小金井市は、(1)第3次行財政改革大綱で料金見直しがうたわれ、(2)2010年度決算の監査意見書で見直しが指摘されているため、と説明。たしかに監査意見書では「証明書等の交付手数料」について記している。しかし、監査意見書が述べているのは「郵送による証明書等の交付手数料」についてであり、けっして窓口交付のことではない。
では、2010年度決算の監査意見書はどのように記しているか。以下、その全文を紹介する。「市では、住民票や印鑑登録証明のほか、各種証明書類の大半を200円の手数料にて交付している。この手数料は、市役所窓口での交付、住基カードによるコンビニ交付、さらには郵送による交付であっても、一律となっている。郵送による交付は開封や発送などの手間(人件費)がかかるため、多摩26市では半数近くの市が手数料を高く設定している状況にある。したがって、郵送による交付手続きについては、作業量に見合った手数料とすることを検討されたい」。
稲葉孝彦市長は、郵送による証明書の交付手数料を監査意見書に従って、従来の窓口交付額の2倍に設定するとともに、窓口での交付手数料も1.5倍に引き上げた。一方、住基カードによるコンビニでの交付手数料は、従来の窓口交付額と同額にとどめた。みようによっては、普及がはかどらない住民基本カードの普及を促進するために、「住基カードによるコンビニ交付の方がお得ですよ」と言いたいかのごとくである。
もう一つの理由とされている「第3次行財政改革大綱でうたわれている」であるが、「手数料の見直し」の項目はみあたらない。強いて言えば「各種使用料金等の在り方の見直し」という項目であるが、なにを見直すかといえば、「各種使用料等について、受益者負担の原則に基づき、定期的検証を行なうための方策を検討する」というものであり、「定期的検証を行なうための方策の検討」がここでは掲げられているのである。
市が値上げの理由としている2つ事柄については、いずれも整合性がないものといわざるをえない。小金井市はこの値上げによって、年間で1,622万円の増収を見込んでいる。
日本共産党市議団は、国保税や介護保険料の値上げ、年少扶養控除の廃止などで市民負担が一気に押し寄せているなかでの今回の値上げは到底容認できないとして、条例案に反対した。
※PDFファイルで「小金井市の住民票・証明書等の交付手数料値上げ一覧」を掲載
2012年3月市議会 お寒い小金井市の災害対策予算
東日本大震災後の本格予算となった小金井市の2012年度予算は、2011年度同様に、災害や放射能汚染への対策が強く求められます。
ところが2012年度予算の「災害対策費」は、前年度63.2%減の4,244万6,000円、災害対策費含めた震災関連施策全体でも前年年度比66.2%減の5,767万4,000円程度でしかありません。
また、土壌等に含まれる放射性物質の測定・分析経費も、2011年度は405万4,000円の予算が組まれたにもかかわらず、2012年度は予算が組まれていません。これでは市民の暮らしは守れません。
日本共産党市議団は、予算委員会で市の姿勢をただすとともに、少なくとも災害対策用の備蓄品・消耗品の予算を増額し、市民の不安に応えるべきと主張しました。
※PDFファイルで「2011年度と2012年度の小金井市の震災関連施策と予算」一覧を掲載します。
施政方針質疑
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検討重ねる質問原稿
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2月20日から小金井市の3月定例市議会がスタートし、2月26日の日曜日には「日曜議会」が開かれました。今回の日曜議会では、昨年12月の市長選挙で返り咲いた稲葉孝彦市長の施政方針に対する各会派ごとの質疑が行なわれ、日本共産党は4人全員が質問に立ち、最初に私が質問しました。
日本共産党市議団は、施政方針の質疑にあたって質問原稿をそれぞれが準備し、市議団の会議で3回にわたって内容を検討。それを踏まえて質問に臨みました。以下は、質問内容と市長の主な答弁です。詳細なやり取りは、小金井市議会のユーストリーム中継(インターネット中継)をご覧ください。
市民の暮らしの実態と
増税・社会保障の改悪、負担増への認識を問う
私が市長にうかがうのは、今日の市民の暮らしの実態に対する認識と、政府が計画している増税・社会保障の改悪や負担増に対する市長の認識についてです。それは、市民の暮らしをどのようにみるかによって、市政運営の方向性が変わってくるからです。
市民の暮らしに対する「税と社会保障の一体改革」の認識を問う
はじめに、市民の暮らしと国民への負担計画に対してうかがいます。今回の施政方針を拝見して不思議に思ったのは、市民の暮らしの実態が一言も述べられていないという点です。市政の舵取りを行なうにあたっては、納税者である市民の暮らしがどうなっているのか、小金井市としてどう対応していくのか、その点がまず第一に語られなければなりません。しかし、市民の暮らしが何故か語られていないのです。また、市民の暮らしを間違いなく直撃する、政府の「税と社会保障の一体改革」に対しては、「議論の行方について注視していく必要がある」と述べるのみです。しかも、それは財政面から見た視点であり、市民の暮らしの視点からではありません。なぜ、市民の暮らしを真正面から直視しようとしないのでしょうか。なぜ、暮らしを直撃する国の動きに対して、第三者的な見方になるのでしょうか。稲葉市長には、市民の暮らしの実態を見ないばかりか、守っていこうという哲学すら感じられません。うかがいたい第一の点はこの部分です。
政府は「税と社会保障の一体改革」と称して、消費税の増税と社会保障の改悪をうたった「大綱」を先日、閣議決定し、3月末までには法案の提出を行なうとしています。しかし、そこでうたわれているのは、消費税率を2年後の4月に8%、2015年10月からは10%に引き上げ、加えて、年金支給額の引き下げや支給開始年齢の先送り、医療費の患者負担増など、暮らしを破壊するものばかりです。けれども、国民のフトコロはけっして豊かではなく、小金井市の個人市民税の状況をみても、個人所得は低下傾向にあります。所得は増えないのに負担は軒並み増える、これでは国民はたまったものではありません。
説明するまでもなく、市民の暮らしは深刻です。日本共産党市議団のもとにも、数多くの生活相談が寄せられますが、なかでも多いのが、生活保護を受けざるを得ない状況にさらされているという実態です。相談に来られたある方は、国民年金と派遣労働の収入で親子2人で暮らしているというのですが、アパートの家賃と公共料金を払ったら、ほとんど手元には残らないというものでした。別の方は、お金がなくて病院に通えないために、傷む身体をひきづるように、私たちのもとに相談に来られました。生活が苦しく、家庭内でイザコザも起こり、小学生の子どもがいるのに離婚せざるをえないというケースもありました。このように、市民の暮らしは、普通の生活をしていても暮らしていけなくなり、仕事をなくしたり、家族のなかで病気になる人が出たりするだけで、たちまち生活は成り立たなくなるわけです。この市民の暮らしをいかに応援していくのか、このことが市政に問われているのではないでしょうか。
施政方針で市長は、政府の「税と社会保障の一体改革」に対しては、「安定財源を確保しようというもの」との見方をされています。この見方も疑問です。果たして「安定財源の確保」になるでしょうか。
消費税は「3%」で導入され、1997年の橋本内閣のもとでの税率5%への引き上げと医療費の値上げなどで、9兆円の負担増が行なわれました。しかし、そのことによって回復の途上にあった景気はどん底に落ち込み、その結果、財政破綻もいっそうひどくなりました。
今回はどうでしょうか。消費税の税率10%への引き上げで13兆円もの大増税になるのにくわえて、年金の削減や制度改悪による年金・医療などの保険料値上げを合わせると、年間20兆円もの負担増になります。しかも貧困と格差が広がり、地域経済が深刻ななかでの大増税となります。消費税率5%へのアップの時以上に、国民の暮らしにはかり知れない打撃を与え、日本経済をどん底に突き落とし、国も地方も財政破綻をいっそうひどくすることは明らかです。「安定財源」どころか、財政破綻をいっそう深刻にし、市民の暮らしをドン底に陥れるものでしかありません。
政府は「持続可能な社会保障制度にするため」と説明していますが、消費税の増税とともに、肝心の社会保障制度も改悪されるのです。「持続」ではなく「切り捨て」です。
市長にうかがいます。日本共産党は、今日の市民の暮らしは、先行きが見えない不安のなかに置かれ、所得も減り、負担続きのなかでとても生活にゆとりなどないと考えます。市長は、市民の暮らしの現状をどのように見ているでしょうか。また、暮らしも、国と地方の財政も破綻に導く消費税の増税は到底、許されるものではありません。消費税の増税にキッパリと反対し、政府に増税の撤回を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
市長 |
「現在の社会保障費の増加をみた時に、国民が安心して生活し老後を送るということになると、消費税に頼らざるを得ないだろうと思う。消費税の引き上げに対しては、やむを得ないと判断する」 |
市の市民負担増計画は、暮らしも財政も破綻する
次に、小金井市の負担増の計画についてです。小金井市がこの間、実施している市政アンケートや要望では、「福祉の充実」を求める声が圧倒的に多くなっています。それだけ、暮らしが厳しくなっているからです。しかし、市民が一番求めている福祉の充実に対して、施政方針では「誰もが住み慣れた地域で暮らし続けられることが重要であると考えております」と述べるだけで、具体的なモノは示されていません。しかも、小金井市内でも高齢者の孤独死が相次いでいるというのに、高齢者の見守り牛乳に所得制限を導入し、対象者を市民税非課税のみに限定してしまいました。どこに施政方針で述べている「誰もが住み慣れた地域で暮らし続けられることが重要」という視点があるというのでしょうか。言っていることと、実際に行なっていることとはまったく違っています。
国が国民に大変な負担を押し付けようとしているにもかかわらず、稲葉市長は今定例市議会に、国保税を一人平均、年額1万5千円の値上げ、介護保険料の基準額を年額で1万4,400円の値上げを打ち出し、後期高齢者医療保険料についても一人平均、年額 8,765円の値上げが示されています。まさに、生活破壊のオンパレードです。国保税の値上げの理由を「円滑な財政運営を確保するため」(提案理由)と述べていますが、所得が増えるどころか減っているなかでの値上げ・増税は、市民の暮らしを破壊するものでしかありません。しかも値上げの中心は、世帯のなかで国保加入者が多いほど負担がかさむ「均等割」の大幅引き上げとなっており、加入者が3人いれば、それだけでいっきに3万円もの値上げとなります。まさに、所得の低い人ほど負担が重くなる最悪の増税です。また、介護保険料は本人非課税であっても世帯のなかに市民税課税者がいれば年間1万 4,400円もの値上げになるというものであり、後期高齢者医療保険料の値上げも加わり、家計への負担ははかりしれないものとなります。到底、認められるものではありません。
市長にうかがいます。このような増税を行なえば、市民の暮らしは立ちいかなくなり、社会保険料や税金を納めることができなくなると思いますが、市長はどのようにお考えでしょうか。また、納めきれない人が増えてくれば、市の財政そのものも行き詰まってくると考えますが、いかがでしょうか。さらに、市民に負担を求める市政を続けていけば、施政方針で述べている「誰もが住み慣れた地域で暮らし続けられる」ことができなくなりますが、市長はどのようにお考えでしょうか。
市長 |
「持続可能な制度として運営していくためには、負担能力に応じて負担していただかなければならないだろうと思っている」「国保税改定により税収が減少することにはならないと考えている」 |
国保税を引き上げれば払えなくなる人が出てきて、悪循環になるのではないでしょうか。そうなると他の市税も納めきれなくなり、市財政も大変になるのではないでしょうか。
市長 「そういうこともありうるかと思う」
市民の暮らしを守るのが市政の第一の役割
日本共産党市議団は1年前に、市政アンケートを全戸配布で行ないました。応えていただいた方は 387人です。「くらし」についての設問では、「苦しくなった」が59%でダントツであり、その理由は「医療費の支出増」「社会保険料の負担増」「年金の目減り」「給与の減少」が高い回答を占めています。ここからも明らかなように、とてもこれ以上の負担を求められる状況ではありません。
昨年、小金井市では2度の市長選挙が行なわれましたが、そこでの結果から見えてくるのは、長引く景気低迷や負担増のなかで、暮らしをなんとかしてほしい、福祉を守ってほしいという市民の切実な願いが渦巻いているということです。
市長にうかがいます。国保税や介護保険料の値上げなど、市民へこれ以上の負担を求めるあり方は中止し、大型開発事業や都市計画道路事業の見直しを行ない、市民に負担を求める市政から、暮らしを守る市政に市政運営を転換すべきと考えますが、いかがでしょうか。以上、明快なご答弁をお願いします。
市長 |
「市民生活を守るのは我々の大きな課題。しかし、将来に向けてのきちっとした街をつくっていくというのも、大きな課題。それを避けて通るというわけにもいかない。全体を見ながら予算措置をしていきたいと思っているし、市民に負担をしていただくところはお願いしなければならないと考えている」 |
国保税の増税を抑えるための一考
小金井市の稲葉孝彦市長が3月定例市議会に提出した国民健康保険税(国保税)の20.37%もの大幅値上げは、議会の与党議員からも唸り声が上がるほどに、大変な代物である。とにかく値上げの中身が尋常ではない。「均等割」という、国保加入者一人一人に一律に課税する額が、年額「7,000円」から「17,000円」に一挙に1万円も引き上げられるからである。それがどんなに大変なものか。例えば一家に国保加入者が3人いれば、一挙に年間3万円もの負担が増えることになる。小金井市での納付書による納付(普通徴収)は、年8回に分けて行なわれているから、1回あたりの国保税額が4千円近くも増えることになる。とても対応しきれるものではない。
いかに値上げを抑えるか。これが市民代表である議会側には問われてくる。日本共産党市議団は、いくつかの方策を提案している。(1)保険給付費の算定のあり方が、適切なものになっているかどうかという点。実態よりも高めに算定されていれば、保険財政からの持ち出しが増えるため、保険税の上げ幅もその分、増える。保険給付費の算定率を見直すことも視野に入れるべきである。(2)「医療分」のみの引き上げで対応していることが適切なのか。今回の値上げは「医療分」のみの改定で対応しているが、「介護分」「後期高齢者支援分」には振り分けなくてよいのか。「医療分」にすべての負担を求めていることから、赤ん坊や子どもにも課税される「均等割」の負担が深刻になるのである。(3)限度額を法定限度額まで引き上げてはどうか。「医療分」「介護分」「後期高齢者支援分」を法定限度額まで引き上げた場合、1,400万円の増収になるという。高額所得者には負担を担ってもらうということも必要である。(4)一人あたりの一般会計繰入金を、三多摩平均額まで引き上げるべき。小金井市の法定繰入金を除く一人あたりの一般会計からの繰入額は、三多摩26市中、21番目という低さである。小金井市は2011年度の一般会計最終補正で、4億3千万円を財政調整基金に積むという。十分に三多摩平均まで繰り入れる額はあるのである。
企画財政部長は、4億3千万円を財政調整基金に積む理由を「持続可能な財政運営にするため」だという。しかし、国保税が引き上がって納めきれなくなれば、市財政そのものが危機に陥る。「持続可能」どころか、「破綻」の道である。
日本共産党市議団は、この角度から、国保税の値上げ抑制に向けて全力で頑張る決意である。
市財政に大きな負担『市民交流センター』
小金井市議会は2月9日(木)夜、都市再生機構(UR)が維持管理を行なっている「市民交流センター」の購入議案を賛成多数で可決し、3月1日から小金井市の所有物にすることを決めました。しかし、長引く景気低迷と東日本大震災で税収が減少し、一方で生活保護や福祉にかかわる経費増が避けられないなかでのハコ物の購入は、小金井市の財政運営に大きな重荷になっていきます。建物自体も再開発事業でつくられているために、敷地が小金井市単独の所有とはなっておらず、敷地の利用をめぐっては、さまざまな課題を抱える事態となりました。とても手放しで喜べる状況ではありません。小金井市は市議会が議案を可決したその時から、これから訪れる難題に立ち向かわざるを得なくなりました。
以下、私が「市民交流センター」購入議案に反対する理由を記します。
[板倉真也は以下の理由で、市民交流センターの購入に反対します]
私は、老朽化で取り壊された旧公会堂に代わる、市民がつどえるホールは必要だと考えるものです。一方で、市財政に余裕がないなかにおいては、公会堂の建て替えは地価の高い駅前ではなく、旧公会堂敷地での建て替えを行なうべきと一貫して求めてきました。しかし、小金井市は莫大な財源を必要とする駅前再開発に乗り出し、再開発区域内でのホール確保に固執し続けました。その結果、民間地権者含む他の地権者と敷地を共有する「1筆分棟」でのホール確保という事態となり、多くの課題を抱える施設になってしまいました。
私がこの議案に反対する第一の理由は、市議会のすべての会派が求めてきた、管理規約が締結できる状態での取得議案とはなっていないことです。市民交流センターを含む1−III街区は、他の地権者との権利関係が交錯する区分所有方式の敷地形態となっているため、敷地の管理・利用方法を取り決めることが求められます。しかし、取得議案が提出されているにもかかわらず、締結できるまでに至っていません。稲葉市長は「ホール取得と管理規約はセットではない」と述べますが、民間地権者の建物を強制収容し、裁判も起こるなかですすめられてきた再開発事業という経緯からみて、ルールが決まっていないなかでの管理・運営が果たしてスムーズに行けるのか、誰もが懸念するのは当然です。ホール取得議案提出の際には締結できる状態での管理規約を示すことが必要というのは、市役所の管理職者も同じ考えです。それは市議会に提出された「庁議記録」での管理職者の発言内容で証明されています。
管理規約が未締結のなかで、いかにルールを確立していくのか。今回の臨時議会で小金井市は、区分所有法や民法で対応すると述べましたが、いずれの条文をみても、権利を所有している者は共有部分を使用できるというのが大前提であり、権利者の利用を保障するのは当然となります。かりに、問題があると思われる行為が権利者のなかであった場合にも、それへの対応は「他の区分所有者全員の同意」あるいは「集会での過半数決議」となっており、区分所有法で対応するには限界があります。そのため、小金井市は、区分所有法ではカバーできない部分を「管理規約」でルール化しようと考えてきたわけです。
ところが、小金井市が市民交流センター取得の大前提としてきた「荷捌駐車場」の専用使用権が確保できず、1−III街区内のフェスティバルコートも「地権者の合意」がなければ利用できず、ウッドデッキや外構部分含めた一体的利用も事実上、できないなかでの市民交流センターの取得という事態になっています。このような事態になった最大の責任は、他の地権者との共有敷地となる再開発手法でのホール建設方針を認めた小金井市にあります。
再開発を施行した都市再生機構に対しては、荷捌駐車場の専用使用権の確保、ウッドデッキ含めたフェスティバルコートの一体的利用が保障できるなど、小金井市が市民に説明のつく責任ある管理規約を早急にとりまとめるよう強く求めるとともに、あってはならないことですが、管理規約が締結されないなかでの撤退ということにはならないよう、小金井市は、都市再生機構との間で協定書等を交わすよう、求めるものです。
反対する第二の理由は、区分所有という形態のなかでの、小金井市の行政財産でもある敷地を利用しての収益事業を行政以外が行なうことへの整理がされていないことです。このことは「庁議」のなかでも、市民に対してどのように説明責任を果たすかが、課題として残されたままです。臨時議会での担当課長も「慎重な検討を要する」との答弁で終わっています。整理もされていないなかでの見切り発車は問題です。
反対する第三の理由は、市民交流センターを取得することによる、市財政への影響です。市民交流センターはすでに、都市再生機構の管理で運営され、市民も小金井市も利用できるようになっています。今日の運営形態においても支障なく利用できていることは、稲葉市長自身が1月31日付「都政新報」紙上で「円滑な運営が行なわれており、問題視はしていない」と明確に述べていることからも証明されています。あえて小金井市が多くの財源を投入してまで、現在でも円滑な運営が行なわれている市民交流センターを取得する必要はありません。
小金井市は、この建物・敷地を取得するために、地下駐輪場、付帯設備・備品含めて、起債(借金)を28億円近くも発行し、基金を3億4千万円、今年度の一般財源を1億5千万円近く充てるとしています。果たして、小金井市の今日の財政状況から、このような財源投入を行ないうる状況でしょうか。1月17日の「庁議記録」では、新年度の予算編成において財政調整基金を相当に充てる必要性が生じたことから、財政調整基金の残高が2億3千万円になってしまったこと、一般会計を2013年度(平成25年度)に10億円程度、繰り越さなければ、2013年度の予算編成ができないことが述べられています。現時点でも、このような深刻な事態を迎えているというのに、市民交流センターを取得することによって起債(借金)の後年度負担が発生し、加えて、指定管理委託料も毎年2億3千万円、必要となります。そのことから、新年度からは2億7千万円余、起債の元利償還を迎える2015年度(平成27年度)からは毎年4億2千万円余の支出が義務化され、市財政に計り知れない影響を及ぼすこととなります。1月17日の「庁議記録」には、そのために「他市では、補助金の一律カットの大英断を下しているところもある」と記されており、市民生活に必要な経費を削りこむことも想定される記述となっています。このことを臨時議会で指摘すると、企画財政部長は「市民交流センター取得と、第三次行革大綱は同列に議論できない」と述べました。市財政に責任を負う部署の答弁とは到底、いえるものではありません。この答弁は「市民交流センターには莫大な財源を投入し、市民サービス削減・市民負担増は独自にすすめる」という宣言であり、市民生活を間近に見続けている私には到底、認められるものではありません。
小金井市は、今年度末で期限を迎える旧まちづくり交付金の約10億円を活用するという思いから、管理規約が未締結でもなにがなんでも市民交流センターを取得するという動きになっています。しかし、交付金の期限が間近に迫る事態となったそもそもの起こりは、都市再生機構の不手際から一昨年11月末の取得可決が無効となったことからです。しかも、示されている管理規約案は小金井市が了承できるものではありません。今日の事態をつくりだした都市再生機構にこそ責任を果たさせ、市長自らが「円滑な運営が行なわれている」と認める、都市再生機構での管理・運営を行なわせるべきです。
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