新型コロナと公立昭和病院
 |
公立昭和病院の防護服 |
新型コロナウイルスは、感染患者の治療にあたっている医療機関に深刻な事態を及ぼしている。感染患者やその疑いのある患者を引き受けるための病床を確保するために、一般病棟を感染症対応病棟に切り換え、外来受付も感染(その疑いのある)患者と一般患者とに入口・出口・診療室を区分けしなければならない。しかも、マスクや防護服などにも相当な経費を必要とする。採算など到底、成り立つものではない。
小金井市など7自治体が運営を支えている公立昭和病院もその一つである。公立であるからには、どのような患者も確実に受け入れ、緊急対応も必然的に求められる。今回の新型コロナウイルスでも、様々なリスクを抱えつつ、受け入れ態勢をしっかりと果たしているのである。
公立昭和病院で新型コロナウイルス感染症患者(その疑いのある患者を含む)を受け入れはじめたのは、今年の2月からである。また、病院玄関前にテント方式での発熱外来を確立したのは4月16日から。主に、小金井市など7自治体区域の「かかりつけ医」からの紹介患者となっている。6月、7月の「平均残院日数(PCR陽性)」が短いのは、「重症患者がいないことと、国の入院期間要件の変更による」(病院側の説明)ため。
入院患者の内訳
7月15日までの集計 |
|
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
合計 |
COVID-19入院(疑い例含む) |
12 |
21 |
69 |
99 |
69 |
36 |
306 |
PCR陽性 |
4 |
6 |
34 |
9 |
12 |
19 |
84 |
PCR陰性 |
8 |
15 |
35 |
90 |
57 |
17 |
222 |
延べ入院日数(PCR陽性) |
120 |
224 |
570 |
120 |
87 |
105 |
1,226 |
平均残院日数(PCR陽性) |
30 |
37.3 |
16.8 |
13.3 |
7.3 |
5.5 |
14.6 |
発熱外来等患者の内訳
7月15日までの集計 |
|
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月 |
7月 |
合計 |
帰国者・接触者外来、
発熱外来等患者 |
11 |
39 |
205 |
233 |
210 |
223 |
921 |
発熱外来(テント) |
|
|
93 |
151 |
136 |
135 |
515 |
PCR検査件数:A |
10 |
23 |
203 |
224 |
197 |
217 |
874 |
PCR陽性:B |
1 |
3 |
15 |
3 |
6 |
18 |
46 |
PCR陰性 |
9 |
20 |
188 |
221 |
191 |
199 |
828 |
陽性率(B/A×100) |
10.00% |
13.00% |
7.40% |
1.30% |
3.00% |
8.30% |
5.30% |
外来患者の減少や一般病棟を感染症対応病棟に切り換えたことによる入院患者の減少、加えてマスクや消毒液、防護服の整備、およびスタッフの危険手当て増や施設改修等により、病院経営は完全な「赤字」である。「2月から感染患者を受け入れている。幸いにも院内感染を防いできているが、スタッフは身体的、精神的なストレスを抱えている。しかも、毎月1億5,000万円もの減収になっている」と病院側。
※下記の「医業収益」「医業収支」には、2020年度に見込まれる新型コロナウイルス感染症関連の補助金額を含む。
前年同月比較増減 |
|
2月 |
3月 |
4月 |
5月 |
6月見込み |
7〜9月見込み |
10〜3月見込み |
2020年度合計 |
入院患者数
/日 増減率 |
▲ 1.2% |
▲ 4.3% |
▲ 8.8% |
▲ 4.9% |
▲14.0% |
▲ 6.9% |
▲ 4.0% |
▲ 6.0% |
病床利用率 |
82.40% |
78.10% |
69.70% |
69.00% |
63.40% |
69.00% |
75.00% |
71.60% |
外来患者数
/日 増減率 |
1.10% |
▲10.6% |
▲27.3% |
▲25.4% |
▲18.1% |
▲11.7% |
▲ 7.8% |
▲12.6% |
医業収益
増減率 |
3.80% |
3.00% |
▲12.3% |
▲ 8.3% |
▲ 7.3% |
▲ 1.6% |
▲ 2.4% |
▲ 3.9% |
医業収支
増減額
(百万円) |
22 |
▲ 49 |
▲144 |
▲ 74 |
▲127 |
▲ 93 |
▲317 |
▲755 |
今後、東京都の補正予算にうたわれた臨時支援金が見込まれるが、仮に2億円来たとしても、5億円余の「赤字」は免れない。そのため病院側は「構成7市に、特段の支援をお願いしたい」と言い、「5億円を上限に、構成7市に令和2年度の分賦金の割合をもとに支援をお願いしたい」と述べる。なお、来年度については「現時点、未定」とのこと。
安倍首相は、またしても布製の「アベノマスク」を国民や事業所に支給するという。研究機関からは、「アベノマスク」はウイルスを100%、通してしまうと指摘されているにもかかわらず。費やす税金は実に507億円。夏期一時金や賃金の切り下げを余儀なくされている医療機関や介護事業所に、率先して507億円の血税を充てるべきである。こんな人物を国のリーダーに置いていることに、ほとほと涙が出る。
(2020年7月30日付) |