この2〜3日、近くの高等学校の訪問をしています。
10/16には、太良町内の太良高校を訪問しました。今日(10/18)は、太良町教育委員会、鹿島高校、鹿島実業高校、鹿島教育事務所を訪問しました。というのは、太良町の産業・経済問題につづいて、次の大きな柱・教育問題の研究にも着手しようと思ったことが一つです。
もう一つは、今週の土曜日(10/20)に太良町教育委員会の主催で太良高校グループ(太良高校・多良中学校・大浦中学校)の中高一貫教育の実施を主なテーマにした「ゆたたりの里教育フォーラム」という催しがおこなわれますが、それを聞いてみたいなとおもったからです。その前にひととおり予習しておこう、佐賀県教育委員会の高校再編・中高一貫教育についての方針、鹿島・藤津地区での高校教育についてひととおりつかんでおこうと思いました。佐賀県教育委員会は今年4/27付けで佐賀県県立高等学校再編整備審議会に諮問文をだしています。
その内容は「生徒減少期における佐賀県立高等学校の再編整備について、@県立高等学校の適正規模、統合基準の設定について、A新しいタイプの学校を含めた県立高等学校の適正配置について」というものです。じつは、私が石川県にいたころ、高校再編ということが石川県の大きな問題になっていました。県教育委員会が具体的な学校名をあげて高校の統廃合をうちだしたため、とくに人口・生徒が減少している能登半島では各市町村で大問題になりました。
石川県を四つの学校区に分け(佐賀県と同じです)、各学校区ごとに一学年四学級以上を維持する進学校の普通高校、複数の職業高校の合併・再編による「総合高校」の新設、単位制高校への移行などをうちだしました。
教育関係者の間では、つぎのようにいわれていました。
中心となる進学エリート校---これは、地域の生徒減少の中でも一学年四学級を維持する。次に、職業高校やその他の普通高校を統合して「総合高校」をつくる---ここでは、ゆっくり勉強してもらう。その次に、四年制の単位制高校--------。
それは、これまでにあった偏差値による高校の「輪切り」を極限にまでおしすすめ、階層別に違った種類の高校をつくるというものでした。
生徒数が減少している過疎地では、一部の進学エリート校をのぞいて、各高校は一学年2学級も維持できないという悲しい現実の前に「再編か廃校か」を迫られ、「生き残り策」を追い求めました。
その一方で金沢市を中心にいわゆる進学エリート校は、事実上「高校再編」論議のそとにおかれ、安泰でした。
「高校をどうするか」という議論はおこなわれましたが、子供たちをどう教育していくかという議論には欠けていたのではないかと思います。
結局、財界の要求にこたえて 有力大学 → 大学院 → 企業エリート の道を歩ませる一部の人材を高校段階から特別扱いしてどう教育するかということが前提にあったのでしょう。そのために高校を選別し、再編成するというものだったと思います。
このような「高校再編」は高校教育に大変なゆがみをもたらすだけだと県教育委員会を相手に激論したことが昨日のことのように思い出されます。佐賀県では、これまでの答申では具体的に高校名はあげてなかったようですが、今回の諮問文(4/27付け)では、具体的な高校名をあげて、統廃合、総合高校への移行、単位制高校への移行などの答申を行うことを求めているように思えます。しかもそれが。住民の合意抜きの権力的な統廃合の押し付けになることが危惧されます。これは、佐賀県の高校教育にとって大変な事態を招くことは私の石川県での経験から十分に予測できることです。
それだけに、この地域(鹿島市と藤津郡)で中等教育(中学校・高校教育)がどのように行われているのだろう、それぞれの市町の中学校を卒業した子供たちはどの高校に進学し、さらにどのような進路を歩んでいるのかまずつかんでおきたいと思いました。
そして、この地域の子供たちの中等教育をどのように進めるのか、その前段階の小学校も含めてしっかりした議論をまず住民の間で行っておくことが大切だと思いました。さて、太良高校グループの中高一貫教育の問題ですが、佐賀県全体としての高校再編の立ち入った議論、西部地区では、どの高校を普通高校として残し、どの高校を統廃合し、総合高校を新設し、単位制高校を創設し----などという全体としての配置と構想が議論され、かためられていく前に太良高校グループの中高一貫教育だけがなぜ先行しているのかどうしても理解できません。突出しているような感じがしてなりません。
この私の疑問は、当初「研究協力校」に指定されていた神崎清明高等学校グループと唐津東高等学校グループが、中間報告(2000.5.29提出)では「他の型をふくめた検討を考えており、更に検討を深める必要がある」と対象から外されたことからも裏づけられていると思います。
「中高一貫」で先走るより、全体の高校再編のなかで自校の前途を検討するという当然の結論に落ちついて行ったのでしょう。不思議に思って、佐賀県内で高校教師をしてきた高校時代の友人に聞いてみたら、カギは太良高校と同時に中高一貫教育のモデル校に指定された致遠館高校(佐賀市)にあるとのことでした。
たしかに、「佐賀県公立中高一貫教育推進検討会議『報告 』」(2001年2月6日提出)を読むと、致遠館高校は最初から併設型の中高一貫教育を行う学校として予定されているようです。併設中学校用地も準備されているようです。
全県から併設中学校(県立)入学者を募集し、遠隔地の生徒は寄宿舎にいれ、高校へは無試験とという特別のエリート校づくり---中学校入学段階から一部の子供たちを選抜してエリートコースに乗せようという財界が最も期待している中等教育機関---戦前の旧制中学校(5年制)を思わせるような学校を作ろうという意図を「報告」から読み取ることが出来ました。
「中高一貫教育研究会議」の「中間まとめ」(2000.5.29)では、「実施形態については、現時点では併設型が望ましい、また、連携型・中高一貫教育の導入にも意義がある」と併設型が本命であることを語っています。連携型については「導入も意義がある」となにやら口ごもった言い方をしているのが気になります
また、「併設型の場合、都市部が望ましく、中学校を建設するための用地等の条件も備えていることが望ましい」とはじめから、特定の高校を想定した選定条件をさだめています。財界が期待しているような「中高一貫」のエリート校・致遠館高校グループを一日も早く実現させたいという県教育委員会の思いが、県内の高校再編の具体的な検討に先んじて中高一貫教育の問題だけが突出したという結果になったのではないでしょうか。
以上のようないろいろな問題を持つ高校再編と中高一貫教育ですが、これについて太良高校、太良町教育委員会、太良町の中学校、父母はどう考えているのか10/20のフォーラムでしっかりと聞きたいと思っています。
そして、この地域・鹿島市と藤津郡の子供たちの中等教育をどうするのか地域のみなさんといっしょにしっかりと考えて行きたいと思います。県内の高校教育問題について、詳しい方からご教示いただければと思っています。