二人の議員が市町村合併問題で質問 太良町の12月定例議会の一般質問は12/13〜14日の両日にわたって行われました。
13日には、2人の議員が市町村合併問題について質問しました。
市町村合併問題にしぼって、町議会での質疑の内容を紹介しながら、私の感想・意見も述べてみたいと思います。
なお、ここで紹介するのは、私のメモに基づくもので、質疑の記録としては不完全なものであることはご承知ください。また、ここで紹介するやりとりは、必ずしも実際に行われたやりとりの順序どおりでなく、私が再構成したものです。合併問題に厳しい視点----百武町長の答弁から
2人の議員とのやりとりのなかで、百武町長の市町村合併、具体的には太良町の合併についての厳しい視点を感じ取ることが出来ました。答弁の中で、私のメモにある言葉を紹介します。
私は、ここにあらわれている市町村合併についての百武町長の認識は、私がこれまで3回の「合併シリーズ」で述べてきたことと基本的には同じ認識だなと感じました。
- 太良町にとって、今の交付税制度が一番都合がよい。
- 合併についてアメがいっぱい用意されているが、すんでしまえば自分でやりなさいということではないか。
- 合併すれば田舎に中央集権ができる。
- (武雄市をふくめた2市10町の合併案がでていることに関連して)今度は、武雄の方にお百度参りすることになる。
- 合併すれば税金も国保も水道料金上がるだろう。なんでも上がる上がるの大合唱だ。
- 合併して水道料金など負担が上がるのがいいのか、それともこれまでのようにやって行くのか、ここらへんが考えどころだ。
- 合併は、町のことをお互いにやってから、お互いに裸どうしになってからでよい。
- 福島県の矢祭町の町議会は「市町村合併をしない矢祭町宣言」というのを出した。太良町よりも財政状況はもっと悪い町だ。
町民のなかでたたき上げてきた政治家だけに太良町が鹿島市あるいは武雄市と合併すればその先どうなるかよく見えるのでしょう。
立場はちがうけれども、百武町長の合併問題についての意見と態度は励まして行かなければと思いました。政府の地方交付税削減のなかで揺れ動く百武町長の気持ち
しかし、百武町長の気持ちも揺れ動いているようです。
まず、政府の合併督促のムチのなかで、このまま太良町の財政を保っていけるのかという不安、もう一つは百出する合併の組合わせ論のなかで太良町はどういう選択をすべきかと言う不安、この二つのことで町長の気持ちは揺れ動いているなと答弁の中から感じ取ることが出来ました。江崎議員が町長は昨年、一昨年の議会の答弁では「10年から20年ぐらいは、現状でもいける」と答えていたが、現在でも同じ認識かと質問しました。
これに対して、百武町長は「そのときは、合併はないと思っていた。人口4,000人以下のところの問題と思っていた。基本的には、今も以前と同じ考えである。しかし、政府によって地方交付税の削減が続いている現状で、今少し議論をして行かなければならないというように考えは変わった」と答えました。
これは、「合併問題を考えるA---財政問題」のところで書きましたが、政府によって地方交付税の段階補正が改悪されてきていることと関係しているようです。
1998年度からまず、人口4000人以下の自治体の地方交付税の段階補正が廃止されました。
最近さらに政府は、2002年度から全市町村の9割に影響が及ぶ改悪を行うことを発表しました。企画課長は、来年度の地方交付税は段階補正の見なおしもふくめて太良町の場合今年度にくらべて8.9%、金額にして約1億7900万円減額になる見込だと議会で答弁しています。
政府が地方交付税制度の改悪を武器に市町村とくに小規模町村を合併に追いこもうとしている、そういう一連の動きのなかで百武町長の気持ちが揺れ動いているなと感じました。
こういう中にも、地方交付税制度という地方自治体の共通の財産を自分の政策目的のために恣意的に悪用する政府の姑息なやり方が影を落としていることを感じました。
たしかに、政府によるムチの政策、地方交付税制度の改悪による「日干し政策」といっていいでしょう。そういう政策のなかで意思にそわない合併へと追い立てられている自治体や首長も多いと思います。
ここがつらいところだと思います。だけども、百武町長が答弁の中でふれていた福島県矢祭町議会の宣言の例もあります。(私は、百武町長が矢祭町のことを答弁の中でふれたのでうれしくなりました。)
矢祭町の「市町村合併をしない矢祭町宣言」は、「地方自治の本旨に基づき、矢祭町議会は国が押し付ける市町村合併に賛意できず、先人から享けた郷土『矢祭町 』を21世紀に生きる子孫にそっくり引き継ぐことが、今、このとき、ここに生きる私たちの使命であり、将来に禍根を残す選択はすべきではないと判断いたします」と述べています。
私は、はじめて聞く町の名前ですが、この宣言文をよんで地方自治を守ろうとするその心意気に思わず涙が出てきました。
百武町長もこの宣言文をよんでおそらく私と同じ思いになったのではないでしょうか。
とりあえず、町議会議員と役場の職員全員にこの宣言文のコピーを配ったらどうでしょう。よくよくかみしめるべき文書だと思います。合併パターン議論の百出の中での太良町の判断の難しさ
百武町長の心を揺れ動かしているもう一つの要因は、百出する合併パターンの議論のなかで太良町がどういう立場をとるかという問題のようです。
百武町長は答弁の中で、合併パターンの問題について次のように答えていました。百武町長は「まだまだ流動的。迷いがある」といっています。
- 12月3日の鹿島市など1市3町の会議には、都合が悪くて助役に出席してもらったが、塩田町、嬉野町とも鹿島市とは合併したくない、武雄市と合併したいという意向のようだ。その後、両町長から電話があった。
- この前、鹿島の人にあったら「鹿島と合併しなさんな」という人があった。
- 東京である町長が「武雄はいれない」と言っていた。そのあと、杵島郡6町の合併という江北町長の発言があった。
- 太良は嬉野とも塩田とも違う。江北町とも違う。(武雄市を中心とする2市10町、鹿島市を中心とする1市3町の合併案が)どうなっても、太良町が佐賀県の最南端であることはかわりがない。
- まだまだ流動的。太良は判断が難しいところ。迷いがある。
たしかにその通りです。佐賀県西部の合併パターンについての議論百出の状況をみると町長ならずとも「どっちへ付いたらいいか」という迷いも出てくると思います。最近の杵藤地区の合併パターンについての議論を見ていると、まるで、戦国時代の「合従連衡」を思わせます。口の悪い言い方をすれば、さしずめ、こんなところでしょうか。
私は、こういう動きの裏にそれぞれの地域の経済界の利害を感じます。
- 武雄市長は、この際、杵藤地区内全市町を統合して、17万都市に君臨し、すべての人力、財力は武雄に集中する考えなのでしょうか。秦の始皇帝を思わせます。
- 江北町長には、武雄市長の野望がよく見えるのでしょう。武雄市と合併して、「牛後(ぎゅうご)」になるよりは、「小国をたばねて鶏口(けいこう)」となり、武雄市の向こうを張りたいという小国の思いを感じ取ることが出来ます。「反秦連合」ならぬ「反武雄連合」というところでしょうか。
- 塩田町と嬉野町はどこと合併した方が得かを考えているのでしょうか。低迷する鹿島市よりも武雄市を選ぶ---これもまた、小国の処世術かも知れません。
経済も財政もかってのような成長が望めなくなった現在、自らの地域の産業を興し、地域を活性化させるために努力するよりも、吸収合併で行政区と市場と財政規模を拡大した方が手っ取り早いと思うようになったんでしょう。1990年代、アメリカで企業買収が流行し、それによって企業が規模拡大をはかったのと全く同じだと思いました。だけども、住民の暮し、地方自治の本旨を忘れてしまったこんな合併パターンのもてあそび、現代流の「合従連衡」はうまく行くはずがないとおもいます。
こうして見ると、現在、県や経済界から出されている@武雄市と7町、A鹿島市と3町、B杵藤地区の2市10町のいずれもすんなり行かないなということがわかります。
- 武雄市を中心とした合併案には、すでに江北町など杵島郡6町が異を唱えています。合併すれば、うまいところは全部武雄市に吸い取られることはわかっているからです。
- 鹿島市の地域経済にとって、武雄市との合併は文字どおり致命的な打撃となり鹿島市の経済界が同意するはずがありません。まず、「鹿島市」という概念そのものがなくなります。
市役所がなくなるだけでなく、現に鹿島市にある土木事務所や農林事務所など国県の出先機関が鹿島市に存在する理由はなくなります。これだけでも大変な打撃でしょう。
それに、藩政時代、鹿島市は小なりといえども「鹿島藩」が存在したところ、佐賀・鍋島家の家来が治めていた「武雄領」とは格が違う----こんな思いから武雄市の風下につくことをいさぎよしとしない鹿島市民も多いと思います。(それが時代錯誤かどうかは別として)- 塩田町と嬉野町は鹿島市と武雄市の都市競争力、財政力、結びつきの度合いなどを天秤にかけて武雄市を選んでいることにわかるとおり、鹿島市との合併は拒否するでしょう。
- なによりも、これらが住民の暮しを忘れた合併パターンのもてあそびになっていることです。
そういうなかで、太良町がうかつに本心を明かすことは出来ない----これは、戦国の乱世を生きるものとしては当然の知恵でしょう。百武町長の「迷っている」という言葉のなかにそういう「したたかさ」を感じとりました。
百武町長のいうとおり「まだまだ流動的。太良町は判断が大変難しいところ」というところでしょうか。最終的には町民の判断
坂口議員や恵崎議員の質問に対する答弁の中で、百武町長や総務課長は、住民の自主的な考えを十分反映できるような機会を持ちたい。合併したらどうなるか、合併しなかったらどうなるか、住民に十分考えてもらって、住民にはかるしかないと考えている」と答弁していました。
以前の議会の答弁では、町民の賛否を住民投票で問いたいということも答えているようです。町民のなかで太良町の地方自治をどうするかと言う議論を、そのなかで合併の是非の議論も
2人の議員の質問のなかに感じ取ることが出来ましたが、太良町のなかでも「合併推進」の意見が一部に出ているようです。
坂口議員の質問のなかに「有権者の50分の1の署名があれば、合併協議会の設置を求めることが出来る。だれか、署名をはじめるのではないかと思う。住民から請求が出る前に、町長発議の任意協議会を設置した方がいいのではないか」という趣旨の質問がありました。
私は、こういう情勢のもと太良町の地方自治をどうするかという憲法と地方自治法の本旨にもとづいた議論をきちんと行うことが大切だと思いました。
政府や県がつくった「地方交付税制度の改悪」という土俵の上でなく、福島県の矢祭町の宣言がいっているとおりこれからの太良町をどうするか、そのために行政がどうするかと言う議論を積極的に行うべきだと思います。
そして、「合併したらこうなる、合併しなかったらこうなる」とはっきりさせたうえで、町民の意思をはっきり示すことが必要だと思いました。
役場の職員の中や商工会では県の出前講座を招いて勉強会をしたようですが、政府や県の意向から独立した合併問題での町民の勉強会を作りませんか。
私も有志のみなさんと一緒に勉強したいと思います。