佐賀県、合併、市町村合併、佐賀新聞 評論・佐賀と太良


県はなぜ、合併協議会設置を急がすのか---1/19県広告への疑問

市町村合併問題を考えるF

2002年1月21日


 私は、昨年12/24付けで「『法定合併協議会を設置して議論を 』という落とし穴」という論評で、県など合併推進側の戦略は法定合併協議会をとにかく設置するということにあること、法定合併協議会設置には重大な落とし穴があることを書きました。
 今、県内の合併問題をめぐる焦点は法定合併協議会の設置の是非に集中されてきたようです。

 1月19日の佐賀新聞には5段抜きの「政府広報」というあつかいで、井本知事の顔写真も載せた合併推進の広告が載っていました。
 「動き出した、市町村合併!という大見出しで「法定合併協議会の設置に向けて」ということが主題の広告でした。
   この広告をみてまず感じたのは、玄海町町議会、久保田町町議会の法定合併協議会設置議案の否決(それ自体、それぞれの思惑があるようですが)で、県の思惑どおりに進んでいないことに対する県の焦りをあらわしているなということでした。
 もう一つは、「合併の是非も含めて議論するという合併協議会が、事実上、合併してどうするかという議論の場になってしまっている」という批判を気にしているのではないかということです。

住民の意思を無視した県の図解

「政府広報は」合併協議会のとりくみとして次の6つのことを図解で示しています。

     @調査・研究→ A新しいまちのビジョン策定→ B合併協議会で検討した内容を住民へ提供→ C新しいまちのビジョンをテーマにした住民との意見交換→ D合併の是非の決定→ E市町村建設計画の策定

 この、図解は市町村合併における住民無視の考えをそのまま示しているなとおもいました。

 第1に、住民の中での議論、意思を問うことを無視して合併法定協議会を設置しようとしていることです。
 合併の手続きは法的には次のようになります。
 @関係市町村議会の議決による法定合併協議会の設置→ A法定合併協議会での検討(市町村建設計画の策定、合併協定項目の決定など)→ 関係市町村議会での議決→ 合併の申請及び成立
 「議会の議決」の前提として、住民の中での議論、住民の意思を問うということが当然なければなりません。法定合併協議会の設置についての議会の議決の場合もその前提として、そもそも合併することを前提にした議論にはいるのかどうかという議論、そのことについて住民の意思を問うべきことは当然です。
 県の図解は、まず、住民の中での議論、意思を問うことなしに「合併協議会」を発足させようとする点で住民無視だといわなければなりません。

 第2に、図解では、法定定合併協議会は、合併の論議抜きに、@調査研究、A新しいまちのビジョンの策定----となっています。「合併するかどうか」でなく、すぐに、「合併してどうするか」という議論にはいり、合併後の詳細が策定されていくことになります。
 合併に疑問をもつ住民の声ははじめから切り捨てられています。

 第3に、住民が合併について知ることができるのは、やっとB(合併協議会で検討した内容を住民へ提供「広報」)になってからです。D「合併の是非の決定」という項目がでてきますが、これは、法定合併協議会が策定した合併協定などが関係市町村議会での議決を必要としていることを表しており、当然のことです。
 図解では、「住民」らしい男女2人の絵をかいていますが、これは住民投票によって住民の意思を問うことを意味するのかどうか、県当局にきちんと聞いておきたいと思います。

 結局、法定合併協議会が、合併問題についての住民の議論、意思を問うということを抜きにして設置され、合併に対する疑問は切り捨てて合併後どうするかの議論にはいり、住民には法定合併協議会で策定した結果だけが知らされるということが1/19「政府広告」でも明らかになったのではないでしょうか?

  住民無視の根本には井本知事の誤った発想

 このような県の住民無視のやり方の根底には、井本知事の誤った考えがあるのではないかと思います。
 井本知事は県内各地で開かれた合併フォーラムで次のように発言しています。
  「もう、メリット、デメリットを論じる時期ではないのです。合併の必要性をしっかり捉え、デメリットは克服する、そんな観点で見てほしい」(合併フォーラム鳥栖会場での発言・佐賀新聞 )
 「合併の賛成、反対は別として、これからは大いに議論する場が必要。そのためにも合併協議会を早く立ち上げてもらいたい」(合併フォーラム佐賀会場での発言・佐賀新聞)
 ここには、憲法や地方自治法が大切にしている「住民が主人公」の考えはどこにもありません。
 そこにあるのは、合併に疑問をもつ意見はすべて切り捨て、県民をいやおうなしに「合併してどうするか」という議論に引きずりこんでしまう住見無視の姿です。

  なぜ、県は法定合併協議会の設置を急ぐのか?

 それでは、井本知事はなぜ、こんなにしてまで法定合併協議会の設置を急ぐのでしょうか?
 1月20日に太良町で合併問題で懇談会を開きましたが、それを見て、その理由がわかるような気がしました。
 そこには、合併に賛成の町民も、反対の町民も、様子を見てみようという町民も参加していましたが、 合併によって税金や公共料金などがあがるのではないか、役場がなくなることで地域がさびれ、人口減に拍車がかかって行くのでないかと心配している方が沢山いました。
 そして、賛否を問わず、共通した意見は、町は合併問題での情報を町民に提供すべきだ、町民の間での徹底した論議を保障すべきだということでした。
 私は、そこに自分たちの町のことは国や県の言いなりでなく自分たちで決めて行くんだという自治と自立の姿を見る思いがしました。
 井本知事が一番恐れているのは、住民の間で自主的な合併論議が進むなかで、住民が自治と自立の意識を高め、国や県のいいなりにならなくなる-----このことではないかと思いましたがどうでしょうか。

市町村は公平な立場で住民に情報提供を、議論の保障を

 合併問題に直面した市町村で、今、一番求められているのは、公平な立場で住民に情報を公開し、住民の間での議論を保障するだとおもいます。
 住民が集まった懇談会、フォーラムなどでは合併推進論の講師だけでなく、合併の問題点を語る講師も配置し、資料も両方の立場の資料を提供し、住民の活発な議論を保障すべきです。
 そして、合併するかどうか最終的に決めるのは一人一人の住民なのだということを肝に銘じるべきだと思います。
 各市町村の首長、担当者が憲法と地方自治法の根本にたちもどることが、強く求められているのではないでしょうか?

以上

     

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