9月14日から定例の町議会が始まりました。
一般質問は18日と19日の両日にかけて行われ、7人の議員が質問しました。
6月の定例議会以後の内外の大きな出来事といえばいうまでもなく、不況のいっそうの進行とアメリカでの同時多発テロ事件です。これらが今度の町議会の論戦にどう反映するかなという期待をもって両日の質問を傍聴しました。今度の町議会の論戦では、太良町が今、直面しているいろいろな問題を反映した質疑が行われたと思います。たとえば、有明海の問題、町内の第一次産業の不振と振興対策の問題、不況による町民所得の低下の問題、「構造改革」にともなう町財政の問題・公共事業の問題、市町村合併の問題、町の情報化対応の問題、町の総合計画策定の問題などです。
質問と町長など執行部の答弁を聞きながら、勉強になった点が多くありました。同時に、「もどかしい」と思ったこともいっぱいありました。
質問者が指摘したとおり、今太良町は第一次産業が落ちこみ、町民所得は低下し、分配市町村民所得は県内の市町村のなかで下から3番目(1998年度)という状況です。このことを指摘するのは当然です。問題は、なぜ、そのような第一次産業の不振と所得の低下をもたらしたのかということです。そのことの究明が質問のなかでも答弁の中でも十分に行われなかったのは残念でした。この究明が不十分なままでは、太良町が直面している苦境の原因、それからの脱出策も出てこないと思うのです。太良町の第一次産業が不振なのは何が原因なのか、きちんとした究明と議論が必要だと思いました。質問に対する町長の答弁には、太良町で生き、政治を担当してきた政治家の心意気としたたかさを感じました。第一次産業を大事にする、太良町の山や海を生かすなど私としても賛成できる点が大いにありました。また、県知事を交えた会合でも、歯に衣をきせぬ発言をしているょうで、県庁天下りの市町村長とは違うなと感心しました。
同時に、町政をあずかる町長としてこのままでいいのかなと思う点もありました。
町長の政治的スタンスを一言で言えば「待ち」の姿勢でしょうか。たしかに、リゾート開発に浮かれた全国の市町村が今その後始末でひどい目にあっています。隣接する山茶花高原のリゾート施設の現状を見れば、「リゾートで動かなくてよかった」という思いが大きくなるのは当然だと思います。
「ミカンにかわる太良の主産物をどうするか?」と問われても行政としてうっかり答えを出せないということも良くわかります。第一次産業を大切にしようという地方の汗みどろの努力、工場を誘致して雇用と所得を増やそうという涙ぐましい努力を、政府が先頭に立って「グローバル化」の名でふみつぶしている時代ですから。政府自身の計画が次々と破綻している時代ですから、「うまい話のようだけどうっかりのれない」という気持ちになるのは当然です。
だけども地方と第一次産業にとって環境がますます厳しくなる時代に、そういう「待ちの姿勢」で太良町の未来を切り開くことが出来るのだろうか。よその自治体に併合されてしまうだけでないのか。町長の答弁を聞きながらそう思いました。たしかに、町長のいうとおり、どういう作物の品種を選ぶかは農家が決めることです。どんな事業を起こすかは民間の起業家が決めることです。
行政の役割は、新しい作物、ミカンの品種に挑戦していく農家を生み出し、励ましていくことだと思います。太良町という条件のなかで新しく事業を起こそうという町民を育て、励まして行くことではないでしょうか。「町長も役場も真剣だ。俺もがんばるか」という気運を町内にみなぎらすことではないでしょうか。太良にかけているのはこれでないかと思いますがどうでしょうか。
今からもう30年〜40年前、太良をミカンの産地にすべく挑戦していった時代があり、そういう世代があるのです。私は42年前太良町を離れましたが、その熱気は遠く異郷にいる私にも届きました。
いま、太良に求められているのは環境の悪化を嘆くことではない。これに立ち向かって、自らの運命を切り開いていく心意気と知恵、技術だと思います。町議会の質疑を聞きながら、太良町が町内で製造業など新しい事業を内発的に発展させていくことに展望を持てないままでいること、ここにネックの一つがあるなと思いました。
町長は答弁のなかで「太良町では企業誘致は無理だ」といっていました。たしかに、高速交通体系へのアクセス難、海岸への近距離(潮風の問題)など工場誘致には不利な条件を持っています。だけども、起業=工場誘致と考えている狭さがあるのではないのでしょうか。
町民の福祉、安全など多様なニーズに真剣にこたえようとすればやらなければならないことは一杯あります。そこに、規模は小さくても町民が事業を起こしていく可能性は一杯あるのではないでしょうか。太良町が生み出している多様な産物を基礎に第二次産業をを生み出していくという道があると思います。現に、数は少ないが食肉産業がよい例を示していると思います。
私は、よそからの「工場誘致」ではないとおもいます。町内にある可能性を生かした「起業」に取り組むことです。そのような起業に取り組む町民を支援し、あるいは、現在町外にいる人であっても太良町へきて事業を起こそうという人を支援することです。そのことの積極策を町が示すことだと思いました。時から言えば、現在がその時期です。都市の大企業でリストラにあった有能な人材を太良町に引き入れるまたとない時期でないでしょうか。現在の時期を、太良に有能な人材を引き入れる機会だという観点から取り組むべきだと思います。こういう点からいえば、町が現在検討中の総合計画の策定とそれにいたる町民的な議論が大切だと思いました。今度の議会の質疑で聞くかぎり、町役場の範囲をこえた町民的な議論は十分に行われてはいないなと感じました。たとえば、「太良町の所得はなぜひくいのか。どうして町民の所得を増やすか」、「どうしたら若い人が町に残るか?」、「町の基金50億円をどうつかうか」などといったことをテーマに全町的な議論を起こしたらどうでしょう。そうすれば、いい知恵もでてきます。町が置かれている現状と進むべき方向についての町民の合意が形成されます。「俺もやってみるか」という有志もでてくるとおもいます。
部分的な要望アンケートも大切ですが、もっと大切なことは町政の基本問題での「ああでもない、こうでもない」という議論をまきおこすことだとおもいます。市町村合併問題についての質疑も行われました。質問者も町長も合併に対して否定的な見解であることに同感しました。町長もいったとおり、鹿島市などとの合併は太良町を二重の意味で「県南のはて」に追いこんでしまうでしょう。国や県などの合併推進の誘導策と圧力はますます強まっていくでしょうが、太良町の自立性を守っていく必要性をつくづくと感じました。
太良町が直面しているいろいろな問題を反映した質疑が行われた町議会だけに、私の感想も率直に書きました。町長に対しては辛口の論評になったかも知れませんが、他意はないことを付け加えておきます。
以上