日本共産党 茨城県議会議員団 一人一人が大切にされる政治をめざして
議員紹介 県議会報告 質問・発言 申し入れ・提案
HOME BACK
質問・発言

●予算特別委員会

2022年6月17日第2定例会・予算特別委員会 山中たい子

1.物価高騰対策の拡充について
  (1)子どもの給食に対する支援
  (2)肥料・飼料価格の高騰に対する農業者支援
2.教育行政について
  (1)県立高校の入学者選抜
  (2)県立高校の特別支援教育
  (3)「高校改革・基本プラン」の課題
3.洞峰公園の新たな事業計画について
4.東海第二原発の再稼働問題について

 日本共産党の山中たい子です。
 はじめに、物価高騰対策の拡充について知事に伺います。国から「コロナ禍における原油価格・物価高騰対応分」として、本県に88億円が交付されました。ところが、今回、補正予算での活用はわずか36億円です。
 県民がいま苦しんでいるのに、残り52億円は9月提案では遅すぎます。
 国は交付金メニューとして、生活者支援と事業者支援の2つを示しました。ところが、県予算には生活者支援がありません。せめて物価高騰の中でも子どもの給食費を値上げすることなく、安全・安心な給食提供のために食材費への支援が必要です。国もメニューの一つに示していますが、県内市町村で、実施の見込みはどれだけあるのでしょうか。
 「3個だった唐揚げが1個になった」「ワカメご飯のワカメが少なくなった」「果物が減った」など子どもの声は率直です。食材が豊か、果物もおいしい茨城で、本当に残念です。献立の工夫ややりくりは限界で、食材業者も価格転嫁できません。ただでさえ、給食を支える事業者は、コロナ前から少子化で売上が減り、さらに運搬や仕入れも高騰し、「このままでは廃業の危機」との訴えです。
 そこで、食材費への支援および給食事業者への直接の財政支援を行うことを求めますが、知事に所見を伺います。

【大井川知事】
 お答えいたします。
 現在、原油価格や物価の高騰により給食の原材料となる食品価格も上昇する中で、各市町村においては、給食費に転嫁することのないよう、価格高騰の影響を受けていない食材を活用するなどの工夫を重ねながら、学校給食を提供しているものと認識しております。
 こうした中で、県は各市町村に対し、国の地方創生臨時交付金制度を給食費の保護者負担の軽減に活用するよう促してまいりました。
 その結果、12の市町村が交付金の活用を検討していると伺っております。

 次に、学校給食事業者についてでございますが、今般の物価等の高騰は、多くの事業者に様々な影響を与えているものとして承知しております。
 一方、こうした影響を受けている学校給食事業者への支援については、給食の提供を受ける学校設置者である市町村が担うべきであると考えております。
 県といたしましては、今般の物価高騰が、給食事業者の収益にどのような影響を与えているか、市町村を通して実態を把握し、支援の必要性について研究してまいります。
 また、市町村に対し、国の交付金の積極的な活用を促すなど、学校給食事業者が安定して給食を提供できるように努めてまいります。

【山中】
 県としても学校給食を提供しているわけですから、市町村任せにしないということが大事ではないでしょうか。
 消費税が10%に上がった時も大変な思いをして支えているこれらについて、やはり報いていく必要があるのではないかと思います。食材高騰分を10%として県全体で約10億円の支援で補填できるわけです。子供も喜ぶ、そして栄養士も助かる、保護者もありがたい、食材事業者も生産者も助かる、まさに「一石五鳥」の取り組みです。
 本来なら、給食無償化を求めたいところですけれども、せめて食材費高騰への支援措置を早急に予算化していただきたいと思います。

【大井川知事】
 学校給食については、基本的に市町村立学校で行われているところではございますが、その支援につきましては市町村が担うべきだと考えております。
 市町村にも国からの交付金が出ておりますので、各市町村に対し、国の交付金を活用するなどして、保護者の給食にかかる負担の軽減に取り組むよう周知したところでございますし、今後とも周知を続けていきたいと思います。

【山中】
 2点目は、農業者に対する支援です。
 肥料も飼料も急激な値上がりです。ほとんどを海外の輸入に頼っている状況下で、異常な円安が招いた政治の責任です。
 生活も大変なうえ、農業者は生産に欠かせない肥料や家畜のエサの高騰に苦しんでいます。なぜ、県の支援がオーガニックの普及拡大だけなのでしょうか。有機農業も広げて頂きたい。しかし、小規模農家も大規模農家も影響を免れない今回の価格高騰に対し、農業者全体に対象を広げた支援策を取るべきだと考えますが、知事の所見を伺います。

【大井川知事】
 化学肥料や家畜の餌となる配合飼料につきましても、原料の多くを輸入に頼ってることから、国際情勢やエネルギー価格の上昇、為替相場等による影響を大きく受けて、全国的に価格が高騰しているところであります。
 そのため、肥料につきましては、過剰な使用を回避するため、普及指導員が生産者に対し、土壌診断に基づいた使用量の削減を指導するとともに、地域資源である堆肥の活用を促進するなど、コスト低減の取り組みを進めているところであります。
 また、飼料につきましては、原料価格が直近1年間の平均価格を上回った場合に、その差額が基金から補填される「配合飼料価格安定制度」がセーフティネットとして用意されていることから、こうした制度への加入を促進してまいりました。
 しかしながら、これらはいわゆる対症療法であり、価格の上昇が今後も続くと見込まれる中においては、問題そのものを解決するものではないと考えております。このような状況下においても、本県農業が持続的に発展していくためには、国際情勢の変化の影響を受けにくい生産体制づくりを早急に進めることが重要であると考えます。
 そのため、私は、今回の令和4年度6月補正予算案において、しっかりと将来につながる動きをつくるため、農業の分野においては従来型の農業から、化学肥料を使用しない有機農業への転換を推進する「いばらきオーガニック生産拡大加速化事業」を計上いたしました。
 肥料等の価格が高騰する状況を、本県農業の差別化を図る機会と捉え、生産のあり方や流通の仕組みを変えていくための取り組みを加速化してまいりたいと思います。
 県といたしましては、困難な課題に直面する中でも、その環境を乗り越え、しっかりと前に進もうとする経営者を後押しすることで、強い農林水産業の実現を図ってまいります。

【山中】
 ここで農家の皆さんの声を紹介したいと思います。
 ある農家は、「農協から来年の肥料は今年を上回る量は出せないと言われた。1,000円以上高くなっている」。88町歩の水田を耕作する農業者は、「肥料代がすでに2倍。米価下落で大変厳しい」。また酪農家は、「牛のエサ台が半年で5割近く値上がりし、経費の9割がえさ代。赤字なのに、生乳価格は1年据置き」と経営は深刻です。農業と食料は今まさに危機的状況です。広く農林水産業者に行き届く支援を強く求めて次の質問に移ります。

2,教育行政について
(1)県立高校の入学者選抜

次に、教育行政について、教育長に質問します。
 第1に、県立高校の入学者選抜、いわゆる入試です。この春入学した生徒への入試状況と、来年の入学者に対する入試の方向性が、4月25日に発表されました。入試状況は、「思考力・判断力・表現力を把握するとともに、採点ミス防止のために記述式を減らし記号選択問題を増やした」とする一方、「表現力をみる出題の充実と採点時間の確保」が課題としています。そして、来年は再度、記述問題を増やし、採点にOCRを導入するとしました。
 そこで2点、伺います。
 1点目は、表現力を見る出題の充実が課題とした理由と根拠を伺います。なぜなら、大量の採点ミスを出した令和3年度は、記述式問題を増やすなかで起きました。それを総括して記述式を減らしたのに、来年また増やすとなれば、一貫性があるのでしょうか。
 2点目は採点基準です。今年の入試では、昨年の「採点誤りに関する再発防止・改善策」にもとづき、県が統一した基準を作成して採点を行ったと聞いています。来年もこの方法を踏襲するのか、合わせて、教育長の所見を伺います。

【森作教育長】
 お答えいたします。
 令和4年度の学力検査については、採点誤りの再発防止に努めるため、採点基準の明確化や解答用紙の工夫などを行うとともに、受検者の思考力・判断力・表現力等を適切に評価するという、2つの側面に配慮した素材といたしました。
 その結果、選択式問題を増やすこととしましたが、基礎的な知識・技能を活用して、自ら考え、判断し、表現する力をみることができるよう、図や表から条件等を分析して解答する問題を出題するなどの工夫をいたしました。
 しかしながら、学力検査終了後、教科ごとの平均点や個々の設問等を分析した結果、選択肢問題では受検生の思考の過程や表現力を十分に問えない部分が見えてまいりました。
 また、高校入試後の調査において、約74%の中学校から表現力をみる記述問題の出題を望む回答がありました。
 これらの結果を踏まえ、令和5年度入学者選抜においては、選択式問題に加え、根拠や理由を明確にして自分の考えを表現する問題や、論理的に考察し的確に表現する問題などの出題が必要と考えております。
 また、採点の基準につきましては、部分点の付与の仕方などを含め慎重に検討を進め、「再発防止・改善策」に基づいて、令和4年度と同様の対応をしてまいります。

【山中】
 入学者選抜の毎年の変更というのは、生徒や保護者の不安と不信を招いています。結果的に3年連続変更になるということになります。
 県立高校の半数以上が定員割れしているなか、入試で子どもを選抜する学力検査が必要なのか、との意見もでています。定員に満たない高校は希望者全員の入学を認めるなど、入試のあり方を根本から見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。

(2)県立高校における特別支援教育
 第2は、県立高校の特別支援教育です。
 まず、入試についてです。今年2月、「支援学級の生徒が県立受験を希望し、試験問題の漢字にふりがなをつける、ルビ付きテストを要望したが認められず、余りにも冷たい対応ではないか」との相談がありました。
 しかし、「県立高校入学者選抜実施細則」には、次のように書いてあります。
 パネル1をご覧ください。

 細則項目の13では、障害のある受検者が、「特別措置申請書」を志願先高校に提出して認められれば、検査方法等について適切な措置を講じるとしています。
 この申請に基づき措置を実施したのは、平成30年度48件から、今年は87件に増え、問題用紙の漢字にふりがなをつける、文字を見やすく拡大する、別室での受検や聞こえにくい場合はスピーカーの近くに座席を移動するなど対応しているのです。
 そこで、伺います。
 (1)こうした対応が可能であることを知らずに悩む生徒や保護者をなくすために、ぜひ入試案内のパンフレットを作成するなどして、丁寧に支援していただきたい。
 (2)また、高校での通級指導が平成28年12月の文科省通知で位置づけられ、本県は定時制の5校で実施しています。この通級指導を全日制の県立高校まで拡大していただきたい。教育長の所見を伺います。

【森作教育長】
 通常の学力検査の方法では受検が困難と認められる生徒については、検査方法、検査時間及び検査場等について、一人一人の状況に配慮した対応しております。
 このような対応につきましては、中学生・保護者が知らないケースや、不利益な取り扱いをおそれ申請しないケースがないよう、提出書類、手続き等について、中学教員を対象とした説明会において、丁寧に説明しております。
 さらに、県教育委員会のホームページに、 Q & A を掲載し、手続きなどの情報が簡単に伝わるよう工夫するとともに、一人一人の受検者に配布するパンフレットによる紹介など、周知に努めてまいります。

 次に、高等学校における通級による指導についてですが、本県では、全ての高等学校において、生徒の障害特性や個々の障害に応じた合理的配慮に努めているところです。
 さらに、フレックススクール、つまり定時制の5校では、自校の生徒を対象に、通級による指導として、特別の教育課程を編成し、自立活動の授業の中で生徒を支援しております。
 なお、全日制の高校での通級指導につきましては、現在実施しております5校の取り組みや、他県の事例などを踏まえながら、慎重に検討してまいります。

【山中】
 パネルをぜひもう一度見ていただきたいと思います。この一番下、ここには「不登校及び障害があることにより不利益な扱いをすることがないようにする」という風にきちっと書いてあります。
 相談した保護者は、「支援学級の子は、特別な許可がほしくてお願いしてるわけではない。それぞれ努力しているので、甘えからのお願いではないことをぜひ理解してもらいたい」と訴えております。この声をしっかり受け止めて、パンフレット等を作成するなどして、漏れがないよう周知していただきたいし丁寧な対応支援をお願いしたいと思います。

(3)「高校改革・基本プラン」の課題
 「高校改革基本プラン」の課題についてです。
 教育長は3月議会の私の質問に対して、「県立高校の配置は広域的に検討する。隣接エリアを含めて必要な対応をとる」という答弁をしております。
 パネル2をご覧ください 。

 県が平成31年2月に公表した「基本プラン」では、令和8年度のつくば市を含むエリア(10)の全日制県立高校の募集学級数は59クラス、定員にすると2360人の見込みです。
 最新の推計というのは昨年行ったということですが、(こちらの左側の表です)同じ令和8年度、エリア(10)の中学卒業生は4425人と県は推計しています。昨年3月の中学校卒業者のうち、全日制県立高校への入学者は県全体で65%とお聞きしました。4425人に65%をかけると、エリア(10)の入学者は約2900人になります。2360人という県の基本プランの数字とは大きく違います。1クラス40人で割ると、募集定員は59クラスどころか73クラス必要になり、14クラスも不足するということになってしまうわけです。
 県は生徒が隣接エリアを含めて広範囲に通学していると言っております。エリア(9)エリア(7)エリア(11)などに通学していると言いますが、この隣接エリアの(7)も(11)も、(9)はプラマイゼロですけども(7)も(11)もクラスを減らす、定員を減らすとなっております。この状況をどう受け止めるのか。そして今後の対応について教育長の所見を伺います。

【森作教育長】
 県立高校学校改革プランでは、生徒の通学実態などを考慮し、県内を12のエリアに分け、学校・学科の配置を検討することとしております。
 また、今後、県全体の中学校卒業者数の減少が見込まれることから、計画最終年度である2026年度の全日制高校の募集学級数などの見込みを示しております。
 この募集学級数につきましては、プラン策定時の2018年度に行った中学校卒業者数の推計などを踏まえた県立学校の入学者数から算出したものでございます。
 一方、毎年の募集学級数につきましては、プランで示した将来見込みにとらわれることなく、その都度、直近の中学校卒業者数の推計を基に、県立学校の入学者数の見込みを算出した上で、各学校の近年の入学状況や欠員の状況などを考慮し、県立高校を希望する生徒を受け入れられるよう必要な学級数を決定しております。
 また、つくばエリアの多くの生徒は、隣接するエリアなど広範囲の県立高校に通学している現状がございます。
 加えて、つくばエリアの中学校卒業者数は、今後2030年までに約800人増加するものの、土浦市、牛久市、下妻市などを含む周辺エリアでは、約1500人減少する見込みとなっております。
 そのため、つくばエリアの募集学級数の確保につきましては、つくばエリア内だけでの検討ではなく、隣接するエリアの中学校卒業者の減少がどう影響していくかなどもしっかりと見極めた上で、判断していく必要があると考えております。
 県といたしましては、引き続き、今後の中学校卒業者数の推移や隣接エリアを含めた県立高校の志願状況などを勘案しながら、県立高校の募集学級数を検討してまいります。

【山中】
 基本プランで県はそれぞれのエリア内で募集学級数の増減などで対応していくということを明確にうたっていますけれども、その立場を変えるということなのかなと今私は聞いています。
 パネルで示した通りエリア(10)は推定でも基本プランを超える中学卒業者の増加が見込まれています。新たな高校建設を検討する時期ではないかと思います。
 改めて申し上げますが、つくば市内の TX 沿線で利便性の良い場所への新たな高校建設をぜひ求めたいと思います。答弁お願いします。

【森作教育長】
 県全体で中学校卒業者数が大きく減少していく状況にある中で、つくば市内でも定員に満たない高校が生じております。
 こうした状況を踏まえますと、県立高校の新設ではなく、まずは、既存の県立高校の魅力化による志願者確保を優先すべきと考えております。
 併せて、必要に応じて募集学級数の調整を検討するなど、つくばエリアの中学校卒業者数の増加に対応してまいります。

【山中】
 いまの教育長の答弁を聞いたつくば市民の皆さんは大変がっかりしていると思います。市民の皆さんの願いに沿って、新設の利便性の良い所への高校建設を改めて今後も追求していきたいと思いますのでよろしくお願いします。ありがとうございました。

3,洞峰公園の新たな事業計画について
 次に、洞峰公園の新たな事業計画について、知事に質問します。
 知事は5月12日の会見で、つくば市としっかり話し合うと述べ、市長もそれに応じて今、協議が始まっていることと思います。
 事業を進めるにあたって、自治体の担い手は県民であり市民です。ですから、その声をしっかりと聞く、住民参加が基本だと考えております。
 しかし、今回は違いました。都市整備課に確認したところ、県民・市民の意向調査等は一切行っていないということを聞いております。
 県は、事業の賛成も、反対もあると言いますが、どんな要望や意見が寄せられているのか、3月に説明会を実施したわけですから、その内容を含めて公開すべきです。
 県は、事業の採算等を見るサウンデイング調査をやりましたが、肝心の県民の意見を聞かずに事を進めたことがここにいたる大きな要因と思いますが、知事の答弁をお願いいたします。

【大井川知事】
 洞峰公園は、昭和55年の開園から40年以上経過し、公園内の施設の老朽化も進んでおりますことから、将来にわたり良好な公園環境を維持、向上させていくためにも、施設の修繕や更新を計画的に行っておく必要があります。
 このようなことから、公園の管理運営のために県が支出している「指定管理料の縮減」と「公園の魅力向上」の両立を目的として、民間の資金とアイデアを活用するパーク PFI 制度を導入し、昨年度、事業者を公募により選定し、今年度から新たな事業計画による管理運営が開始されたところです。
 新たな事業計画では、グランピング施設の他にも、改善要望の多かった駐車場やテニスコートの拡張、障がい者対応遊具の整備など、当公園の更なる魅力向上が図れる内容となっております。
 また、 パークPFI 制度による民間活力の導入によって、県の指定管理料の支出が、従前は年間約1億5千万円だったものが、約9000万に縮減できるのも、県にとっては大きな成果であります。これにより生み出される年間約6000万円の財源につきましては、プールや体育館等の大規模修繕に充てていきたいと考えております。
 今後の進め方といたしましては、こうしたパークPFI の導入の目的や、県に寄せられている懸念について、できる限り定量的に示したうえで、広く県民や利用者からの意見を聞きながら対応してまいります。
 また、事業者が実施した公園利用実態調査により把握したご意見、ご要望につきましても、新たな事業計画で改善されるものも一部あると認識しておりますが、その他についても、必要に応じて対応を検討してまいります。

【山中】
 知事は4月28日の会見で、「洞峰公園は十分利用されていない」と発言をいたしましたけれども、私はそれは大きく知事が事実を誤認しているのではないかと思いました。
 洞峰公園の利用者は有料施設だけで27万人。散歩やジョギング、子どもを遊ばせたり自然観察などを楽しむ人達を含めると多くの県民、市民、全世代の人たちに利用されている、非常に市民の皆さんの憩いの場になっていると思います。
 先程、指定管理料が縮減されるというようなことを言いましたけれど、指定管理者制度そのものがそういうことを狙っていると、そういう制度だということを改めて申し上げたいと思います。
 そして、知事も触れましたけれども、毎年指定管理者が行なっている「洞峰公園利用者実態調査」からも利用者の満足度が非常に高いことがわかります。駐車場不足やプール利用方法などの要望も出ているようですので、それらの要望にはぜひ答えていただきたいと思いますが、今の計画はしっかりと市と話し合いをして、住民参加で検討することも含めて考えていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

【大井川知事】
 公園利用実態調査について把握したご意見、ご要望につきましても、新たな事業計画で改善されるものも一部あると認識しておりますが、いずれにしても、パークPFIの目的や、県に寄せられている懸念について、できる限り、まずはその懸念が本当に実態があるものなのかということを、定量的に確認させていただきたいと思っております。
 そのうえで、広く県民や利用者からその結果も含めてご意見を聞きながらですね、対応してきたいというふうに考えております。

【山中】
 本来ならいま知事がお話ししたことってな事前にしっかりと調査しなければいけなかった。それをやってないということが図らずも知事の答弁で今わかりました。

4.東海第二原発の再稼働問題について
 最後に原子力行政について知事に質問します。
 原油高などを理由に原発再稼働に前のめりな声が強まっています。しかし、安全性をないがしろにした再稼働はあり得ません。
 東海第二原発のテロ対策施設を含めた工事は3,500億円とも言われ、原電は、工事の完了時期を再来年9月に再延長しました。工事が先か、それとも県の安全性検証や避難計画の策定が先か。そんな問題ではありません。今すぐ再稼働を断念し、廃炉工事に切り替えることです。
 知事は、私ども共産党県議団の質問に、30km圏内94万人の避難に加え、すべての医療機関と福祉施設で避難計画策定が必要と考えると答えました。
 そこでお尋ねします。施設管理者が、患者や入所者の命と安全を最大限考慮したうえで、「避難はできない。計画は作れない」と判断した場合、その考えを尊重するのかお答えください。避難そのものが多くの命を危険にさらします。要配慮者を含め100万人規模の避難などあり得ない、これではまるで戦時下と同じだと知事が国や原電に言うべきではないですか。所見を伺います。

【大井川知事】
 国では原子力災害時に係る対応方針として、原子力災害対策重点区域内にある病院や社会福祉施設等は、入院患者や入所者の避難先施設等を定めた避難に関する計画をあらかじめ作成することを求めております。
 また、茨城県地域防災計画においても、原子力災害時における患者及び入所者の避難経路、誘導責任者、誘導方法、患者の輸送に必要な資機材の確保、避難時における医療の維持方法等についての避難計画を作成するものとしているところです。
 県といたしましても、病院や社会福祉施設の管理者の責務として、避難計画の策定は必要であると考えます。
 現在、国や県、市町村が連携して策定に取り組んでいる避難計画の実効性を確保するためには、全ての病院や社会福祉施設における避難計画の策定を始め、検討すべき多くの課題がありますことから、引き続きそれらの解決に努めてまいります。
 また、東海第二発電所の再稼働につきましては、実効性ある避難計画の策定並びに県原子力安全対策委員会における安全性の検証結果等を県民の皆様にお示した上で、県民の皆様、避難計画を策定する市町村、県議会のご意見を伺いながら判断してまいります。

【山中】
 「事故が起きてどうやって避難するというのか。できるはずがない」。そう言い切るのが東海村の社会福祉法人・淑徳会の理事長です。特養ホームなど8施設を運営し、162床ある特養は満室で、東海第二からの直線距離は約3kmです。そもそも要介護4や5の入所者が避難できるわけがないとして、家族に迎えに来られるか確認したが、大半は来られないとの回答だったそうです。理事長は「原発は廃炉にして、東海村には安全であってほしい」と訴えています。その他の病院や施設も同様ではないでしょうか。
 施設管理者の責任を問うより、避難計画などつくらなくてもいいように、原発を廃炉にすることが知事のやるべき最優先課題であり責任だと思います。
 県が、作っている避難計画は、県民を放射能被ばくから守るものではなく、被ばくさせる計画であることをここで指摘しなければなりません。
 半径5km圏内は即時避難ですが、それ以外は屋内退避です。その人たちに避難指示が出されるのは、空間放射線量が毎時500マイクロシーベルトを超えた時です。500マイクロと言えば、平常時の何倍の放射線量になるのでしょうか。東海第二原発はその危険があるのか、合わせてお答えください。
 また、20マイクロ未満なら屋内退避を続けるとされますが、多くの一般木造住宅でどれだけ被ばくが避けられるのかも併せてお示しください。

【大井川知事】
 毎時500マイクロシーベルトの値につきましては、東海地区で観測された環境中の空間放射線量率の年間平均値と比較しますと、およそ7000から16000倍に相当いたします。
 が、原子力災害時にこうした高い空間放射線量率が継続的に計測された区域においては、放射線等による被ばくの影響をできる限り軽減する観点から、住民避難等の緊急防護措置を講じることとなっております。
 まず PAZ につきましては、放射線物質が放射される前の段階から予防的に避難を行うこととなっております他 、UPZ につきましては緊急時モニタリングにより、数時間から1日以内に毎時500マイクロシーベルトを超える区域の有無を特定し、ある場合には住民避難等を行い、それよりも低い毎時20以上500マイクロシーベルト未満の区域についても、1日以内に区域を特定し一週間以内の一時移転の防護措置を講じることとされております。このように、わが国の原子力防災対策においては概ね30 km 圏内を原子力災害対策重点区域と定め、区域内で空間放射線量率が毎時500マイクロシーベルトに及ぶような事態も想定して、必要な対策をあらかじめ定めておくこととなっております。

【山中】
 先程知事もお答えのなかにありましたけれども、500マイクロというのは通常の約7000から1.6倍だというような、16000倍というようなことで答弁されました。
 20マイクロシーベルトでも通常時の400倍です。そんな中を避難するにしても、屋内退避するにしても被ばくすることは明らかです。これでは「避難計画」ではなく「被ばく計画」と言えるんではないでしょうかお答えください。

【大井川知事】
 屋内退避でございますが、その有効性について原子炉規制委員会から海外で行われた研究成果をもとに、屋内退避による内部被ばくの低減効果として、木造家屋において約1/4程度、機密性の高いコンクリート建屋のような施設においては約1/20程度に抑えられているという試算が公表されております。
 しかしながら、これは欧米家屋でございますので、屋内退避による被ばくの定義に関する県民の理解を進めていくうえでも、日本家屋における知見であることが望ましいと考えておりまして、国にその有効性についても繰り返し示していただくよう要望しております。
 いずれにしても、この屋内退避によって被ばくの低減効果はあるということでございますので、しっかりとその対策を講じていきたいというふうに思います。

【山中】
 被ばくの低減効果があると言っても、被ばくしないわけじゃない被ばくするということで、先ほども言いましたように避難計画ではなく被ばく計画じゃないかと。で被爆が避けられない計画をあたかも実効性あるものにするというのはまさに県民の命と安全を軽んじるものだと思います。再稼働は認められないと判断すべきですがいかがでしょうか。

【大井川知事】
 お答えいたします。
 東海第二発電所の再稼働につきましては、県原子力安全対策委員会における安全性の検証、並びに実効性ある避難計画の策定を通じて、どのような事故・災害にどの程度まで対応できるのかを具体的に県民の皆様にお示しした上で、県民の皆様、避難計画を策定する市町村、県議会のご意見を伺いながら判断してまいります。

【山中】
 知事は述べられましたけれども、94万人の避難計画が実効性あるものだというふうには到底言えないと。そういう点では被ばく計画を立てるということではなく、再稼働は認めないという廃炉にするというその立場をはっきりと示した上で、改めて行動すべきではないかということを申し上げて質問を終わります。

以上


PAGETOP

〒310-8555水戸市笠原町978-6茨城県議会内 日本共産党議員室TEL:029-301-1387(直通・FAX兼)
Copyright(c)2010 日本共産党 茨城県議会議員団 All right reserved.