労働相談 Q&A

1.労働契約の成立
ハローワークの求人票を見て応募しました。実際に働き出したら、ハローワークで見た条件と異なっていました。どうしたらいいでしょう。

2.有給休暇
子供の運動会なので有給を取りたいと上司に申し出たら、「うちは人が足りないので有給は無理」と言われました。どうしたらいいでしょう?

3.残業代
毎日長時間残業をしています。しかし、残業時間に見合った残業代を払ってくれません。会社は「毎月2万円の固定残業代を払っている」とも言っています。どうしたらいいでしょう?

4.セクハラ・パワハラ
会社の上司から食事に誘われましたが、結婚しているのでお断りしますと答えたところ、上司からいやがらせなどを受けるようになりました。どうしたらいいでしょう?

5.会社からの損害賠償請求
転職をしようと思い、会社に退職を申し出たところ、社長から「在職中の君のミスで、会社に損害が200万円発生している。支払うまで辞めさせない」と言われました。払わなければいけませんか?

6.退職強要
上司から「会社を辞めてくれないか」「君は不要なんだよね」などと毎日のように職場で言われます。辞めなければいけませんか?

7.解雇
以前から上司とは馬があいませんでしたが,営業方針を巡って反論をしたところ「おまえなんか首だ!」と言われました。その翌日,解雇通知書が届きました。通知書には,昨日付で普通解雇にする旨の記載がありました。解雇には納得がいきません。どうしたらいいでしょうか?

8.雇止め
半年ごとに契約を更新しつつ,現在の会社で働くのは通算8年程になります。2年ほど前から,更新の際に渡される雇用契約書に「雇用契約の更新は行わない。ただし,双方協議の上,雇用契約を更新することができる」と印刷されるようになっています。会社からは次回の契約の更新は認められないと言われています。どうしたらいいでしょう?

9.労災
私の配偶者は、以前から仕事の帰りが遅く、連日深夜まで残業をさせられている様子で心配をしていました。先日、自宅で心臓発作をおこし倒れてしまいました。現在は入院をしています。労災にならないのでしょうか?

10.労働組合とは
私の会社には労働組合はありません。今度、労働条件について会社と交渉をしようと思いますが、1人では心細いです。労働組合の役割や作り方について教えてくれませんか?

1.労働契約の成立

ハローワークの求人票を見て応募しました。実際に働き出したら、ハローワークで見た条件と異なっていました。どうしたらいいでしょう。

ここで問題になるのは、労働契約の内容です。入社の際に、会社から求人票と異なる条件の説明がなかったのであれば、一応「求人票」の内容によって労働契約が成立したと考えられます。他方で、あなたが求人票と異なる条件が記載された雇用契約書にサインした場合や、入社後特に異議を述べないで求人票と異なる条件で仕事を続けていた場合は、労働者が求人票と異なる条件を了承したものとして、求人票と異なる条件で労働契約が成立したと認められる可能性があります。
そこで、条件が異なっていることに気づいた場合、まずは、会社(事業主)に対して、異議を述べておきましょう。また、求人票との条件の違いに納得できなければ、雇用契約書へのサインは拒みましょう。
対応に難しさを感じた場合は、個々の事情に応じた対応方法があると思いますので、千葉労働弁護団の弁護士に相談してみることをお勧めします。

2.有給休暇

子供の運動会なので有給を取りたいと上司に申し出たら、「うちは人が足りないので有給は無理」と言われました。どうしたらいいでしょう?

6ヶ月以上会社に継続して勤務し、出勤日数の8割以上出勤した場合、法律上有給を取得する権利があります。この条件を満たす場合には、労働者が特定の日に有給を取得することを希望したとき、会社は原則としてその日に有給を取得させなければならず、会社の承認は必要ありません。
もっとも、例外的に、同じ日に他の多数の労働者も有給を取る予定で、その労働者が有給を取ると仕事が回らないような場合には、会社に有給取得日を変更させる権利があります。
あなたの上司は「うちは人が足りないので有給は無理」と言っており、それが恒常的に人手不足でいかなる日でも有給を取得させることができないという趣旨であれば、上記の例外的場合には該当しないので、会社の承認がなくても、ご希望の日に有給を取得することが出来るでしょう。

3.残業代

毎日長時間残業をしています。しかし、残業時間に見合った残業代を払ってくれません。会社は「毎月2万円の固定残業代を払っている」とも言っています。どうしたらいいでしょう?

詳しく事情をお聞きする必要がありますが、残業代の支払いを請求することができる可能性があるのではないかと思います。このような固定残業代制度が認められるには、会社の就業規則に必要事項を定めるなど、厳重な条件をクリアする必要があります。あなたの会社も、この条件をクリアする必要があります。もし、この条件を満たしていなければ、適正な固定残業代制度ではないことになり、残業代の支払いも請求することができることになります。
もっとも、会社の固定残業代制度が適正であるか否かをご自身で判断することは難しいと思いますので、ぜひ千葉労働弁護団までご相談ください。

4.セクハラ・パワハラ

会社の上司から食事に誘われましたが、結婚しているのでお断りしますと答えたところ、上司からいやがらせなどを受けるようになりました。どうしたらいいでしょう?

食事の誘いを断ったことで上司からいやがらせなどを受けるようになったとのことですからセクハラ・パワハラにあたるのではないかと思います。
もっとも、セクハラ・パワハラの事実関係を相手方が争った場合には、それを証明することが難しいのが実情です。そこで、まずは事実関係をできるだけ証拠化しましょう。証拠化の方法として日記などに具体的な事実関係を記載する、上司との会話の内容を録音するなどの方法(なお、秘密録音でも通常の態様であれば証拠能力が肯定されるのが一般的です。)が考えられます。
その上で、大きな会社で専門の相談窓口があれば、まずはそこに相談してみましょう。専門の相談窓口がない場合でも会社には会社内でのセクハラやパワハラなどから労働者を守る配慮義務を負っているので是正を求める文書を送付することも考えられます。個別の相談をご希望の場合には労働ホットラインの弁護士にご相談ください。

5.会社からの損害賠償請求

転職をしようと思い、会社に退職を申し出たところ、社長から「在職中の君のミスで、会社に損害が200万円発生している。支払うまで辞めさせない」と言われました。払わなければいけませんか?

あなたには原則として退職の自由があります。ですから、損害賠償金を払うまで辞めさせないという社長の申し出は無効の可能性が高いと言えます。
また、仮にあなたに職務中のミスがあったとしても、通常の場合、200万円もの損害賠償金を会社に支払う義務が発生するとは思われません。労働者が仕事中に多少のミスをすることは、人間がミスをしてしまう存在である以上、会社運営の上において織り込むべき事項ですし、会社は、その指揮命令下で労働者を働かせ営業利益を上げているのですから、損害の公平な分担と言う観点から、労働者の通常のミスによる損害は、会社が負担すべき損害と解されるからです。
ただし、労働者の職務上の地位、ミスの程度、転職先との関係等によって結論は異なってきますので、詳しくは、千葉労働弁護団の弁護士にお尋ねください。

6.退職強要

上司から「会社を辞めてくれないか」「君は不要なんだよね」などと毎日のように職場で言われます。辞めなければいけませんか?

上司の言動は退職勧奨にあたります。退職勧奨とはあくまでも任意に退職を促すものであり退職勧奨を受けた労働者がそれに応じて退職する義務はありません。退職をしたくない場合には、上司に、その旨の意思表示をして構いません。それにもかかわらず執拗に退職勧奨をしてきた場合などには意思決定の自由を制約する退職強要として慰謝料請求できる場合もあります。
もっとも、退職を強要した事実を争ってくる場合には証明することが難しいのが実情です。証拠化するためにも、退職する意思がないことを書面で通知した上で退職を強要された事実を録音するとよいでしょう。
なお、退職勧奨を受けた理由が普通解雇や懲戒解雇を相当となる事情の場合に退職勧奨を拒絶すると普通解雇や懲戒解雇処分を受ける可能性もあります。その判断は事案によって異なるので労働ホットラインの弁護士にご相談ください。

7.解雇

以前から上司とは馬があいませんでしたが,営業方針を巡って反論をしたところ「おまえなんか首だ!」と言われました。その翌日,解雇通知書が届きました。通知書には,昨日付で普通解雇にする旨の記載がありました。解雇には納得がいきません。どうしたらいいでしょうか?

解雇には,客観的合理性と社会的相当性が必要です。これらの要件を欠く解雇は,解雇権濫用として無効になります(労働基準法16条)。
仮に,本件解雇が,端に,営業方針を巡って反論したという事実だけに基づき,職場の秩序を乱したことを理由としたものであれば,客観的合理性と社会的相当性が認めらないため,解雇は無効になります。
上記事実及び理由の他に,使用者側から,様々な事実や解雇理由が主張されている場合には,それらの事実及び理由を一つ一つ詳細に検討して有効性を判断することになります。
解雇の効力を争う場合の主な手段としては,①示談交渉,②訴訟,③仮処分,④労働審判があります。どの手段を取るべきかは,職場に戻りたいのか,金銭解決で終わらせたいのかといったご希望等によって異なるので,詳しくは労働ホットラインの弁護士にご相談ください。

8.雇止め

半年ごとに契約を更新しつつ,現在の会社で働くのは通算8年程になります。2年ほど前から,更新の際に渡される雇用契約書に「雇用契約の更新は行わない。ただし,双方協議の上,雇用契約を更新することができる」と印刷されるようになっています。会社からは次回の契約の更新は認められないと言われています。どうしたらいいでしょう?

あなたのように契約期間の定めがある有期雇用の場合,その期間が過ぎれば雇用契約は終了するのが原則です。しかし,同じ会社で契約更新を繰り返した場合,次のような制度が適用されると会社による雇止め(契約の更新拒否)は認められません。

1 雇用期間が通算5年(通算期間のカウント対象は平成25年4月1日以後に開始する有期雇用に限られます。)を超えると,あなたが申し込むことによって,あなたの有期雇用は無期雇用になります。

2 ①これまでの反復契約更新によって,あなたに対する雇止めが無期雇用 社員の解雇と同視できるようになったり,または、②あなたが次回も更新されると期待することが合理的だと認められたりした場合には,会社は客観的に合理的な理由がなければ,あなたの契約更新の申込みを拒めません。

ただし、あなたの場合にこれらの制度が適用されるかについては,細かい条件があるため,千葉労働弁護団の弁護士に相談されることをお勧めします。

9.労災

私の配偶者は、以前から仕事の帰りが遅く、連日深夜まで残業をさせられている様子で心配をしていました。先日、自宅で心臓発作をおこし倒れてしまいました。現在は入院をしています。労災にならないのでしょうか?

労災補償の対象となるかどうかは,労基署において第1次的に判断されることになりますので,先ずは労基署に労災を申請することになります。
この場合,通達(平成13年12月12日・認定基準)では,に定めた認定基準では,「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって,1か月あたりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合には,業務と発症との関連性が強いと評価できる」とされていますので,あなたの配偶者の場合も,この時間外労働時間が労災認定されるかどうかの目安になると思います。
もっとも,この認定基準は,あくまでも労基署内部の基準であり,裁判では,この基準を尊重しながらも,当該労働者が受けた負荷を個別具体的に考慮して,業務起因性が判断されます。認定基準が定める時間外労働時関に足りなくても,労災認定がなされるケースはあります。労災の訴訟は専門的知識を必要としますので,千葉労働弁護団までご相談ください。

10.労働組合とは

私の会社には労働組合はありません。今度、労働条件について会社と交渉をしようと思いますが、1人では心細いです。労働組合の役割や作り方について教えてくれませんか?

労働組合とは、①労働者が主体となって、②自主的に、③労働条件の維持改善を主たる目的として組織する団体のことをいいます。
労働者が労働組合を作って、労働条件の改善につき、会社と交渉をすることは、憲法により保障された権利であり、会社は、労働組合の結成等を妨害することはできません。労働組合は、二人から作ることができますが、より多くの労働者が加入をしてくれた方が会社との交渉はやりやすくなります。信用のできる仲間が集まったら、会社に対して、どのような改善を求めるのかを整理するとともに、組合の規約を作ります。
また、実際に労働組合をつくる際には、既存の労働組合の助力を得ることも大切です。協力してくれそうな労働組合が見つからない場合、千葉労働弁護団までご相談ください。
近年、労働組合の組織率は、下落傾向にあると言われていますが、労働者が一体となって、会社と交渉し、よりよい職場環境を目指してゆくことは、とてもよい方法です。

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