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千葉労働弁護団年次総会を開催しました

千葉労働弁護団年次総会を開催しました

1 平成29年7月7日千葉労働弁護団の総会を開催しました。
千葉県労働弁護団総会は年に1回開催し,団員の解決事件,担当事件を報告し,その成果を共有することで,団員のスキルアップを図ることを目的の一つとしています。今回は,事件報告に加えて,千葉大学政経学部皆川教授に「最近の労働法学会の動向」について講演いただきました。

2 事件報告
(1)労働弁護団員は,様々な事件を担当していましたが,近時残業代を巡る事件が増えているように感じました。とりわけ,一定額の残業代を支給することで,残業代の支払を免れる「固定残業代」の事件が増加していました。固定残業代については,千葉労働弁護団でも学習会を開催し,最新の論点や判例を研究し,労働者が不当な賃金を奪われることのないよう研鑽を積んでいます。
(2)特にすばらしい成果を挙げた事例2件について,特別報告がなされました。
 1件は,幼稚園の先生がパワハラ,経営者の傲慢な幼稚園運営を是正すべく組合を結成したところ,組合を解散しなければ幼稚園を解散すると迫られた不当労働行為事件です。この件は,労働委員会の審理を通じて幼稚園の不当労働行為を正し,教育とは何かという理念を確認させる和解を成立させた勝利和解で解決しました。
 もう1件は,警備員の仮眠時間・休憩時間を労働時間と認めさせたイオンディライトセキュリティ㈱事件です。この件は,従来労働時間と認められにくかった仮眠時間・休憩時間という不活動時間を労働時間と認めさせた画期的判決であったため大きく報道されました。
(3)団員が勝ち取った勝利和解,判決から,他の団員も刺激を受けると共に,勝訴すべきケースセオリーを直接学ぶことができました。

3 皆川教授講演
 「最近の労働法学会の動向」と題して,労働法学会の歴史から実務に対するスタンスまで大変勉強になる講演をいただきました。今後も,労働法学会の最新の議論にも目を向けながら,労働者にとって有益な研究成果を学び続けたいと思いました。
 
2017年9月 弁護士 三宅貞信(千葉市民協同法律事務所)

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