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2025年杉並区議会第3回定例会を終えて(談話) |
日本共産党杉並区議団(幹事長・山田耕平)は10月15日、以下の談話を発表しました。 2025年杉並区議会第3回定例会を終えて(談話) 2025年10月15日
日本共産党杉並区議団 幹事長 山田耕平 杉並区議会第3回定例会は、9月9日に開会、10月15日までの約一カ月に及ぶ議会となりました。今定例会では、岸本区政で2度目の本格予算となる2023年度(令和6年度)杉並区一般会計等の決算審査も行われました。 岸本区政のもとで、どのような区政運営が行われたのか、各会派の論戦が活発に行われました。 党区議団は、物価高騰が長期化・深刻化するなか、区民のくらしと営業を守るために力を尽くすとともに、岸本区政の前向きの変化をさらに加速させる立場で論戦に臨みました。 1、党区議団(富田・酒井・山田)の3議員の一般質問 多くの前向き答弁引き出す (1)公契約条例の改善へ前進 労働報酬の適正化と長期継続契約見直しで区が新方針 ・現場労働者の賃金確保へ区が事業者に要請強化 長期継続契約の見直しで労務費上昇に対応 富田議員は公契約条例に基づき、現場労働者の労働環境と賃金の改善を求めました。区は「設計労務単価や労働報酬下限額に応じた適切な賃金の支払いを、事業者団体等に引き続き要請していく」と答弁。区は、建設業における労働環境の向上を「人材確保のみならず地域経済の活性化にも関わる重要課題」と位置づけ、意見交換の場などを通じて働きかけを継続する姿勢を示しました。 さらに、長期継続契約の問題に触れ「物価高騰による労務費上昇で、実際の報酬が区の下限額を下回るケースが生じている」と指摘し、改善を求めました。これに対し区は、長期継続契約の運用を見直し「労務費の変動に応じて契約金額を変更できるようにする」との方針を明らかにしました。スライド条項の導入により、実勢価格に見合った賃金を確保できる仕組みへの転換が期待されます。 公契約条例を実態に即して改善し、現場労働者の適正報酬を確保するための重要な一歩といえる内容です。 (2)介護の人材不足と経営悪化に対して、区独自の介護事業所支援を求める ・介護サービス事業所の支援「来年度予算案に反映」 補聴器購入費助成の見直しへ 国による報酬削減が影響し、介護人材の不足や事業所の廃業が全国で深刻化しています。酒井議員は、区内事業所からの声を紹介し、世田谷区や品川区のように区独自の支援策を求めました。岸本区長は「実態調査の結果を踏まえ、区独自に実施すべき支援内容を検討・具体化するよう指示した。必要な支援策を令和8年度当初予算案に反映していく」と答弁。介護基盤を守るための支援検討が示されたことは、党区議団が求め続けてきたものであり、重要な前進です。区長が掲げる「ケアする人をケアする」方針のもと、今後も介護職員への支援拡充が期待されます。 酒井議員は高齢者の補聴器購入費助成の拡充を要望。区は「助成額が他区より低く、自己負担が高い。見直しの検討ポイントと認識している」と述べました。補聴器購入費助成の見直しに向けて、さらなる増額を求めます。 (3)住民とともに考えるまちづくりへ 都市計画道路見直しに新たな展望 ・「地域資源を未来へ」対話を重ね、住民と共に描く杉並のまちづくりへ 山田議員は、都市計画道路・外環道・水害対策・善福寺川上流調節池など、区政運営上の重要課題を取り上げました。 東京都が今後15年間の「優先整備路線」として検討を進める都市計画道路については、住民生活や地域の将来に直結する重大な問題として、住民との丁寧な協議と計画見直しの検討を求めました。 杉並区はこの間、道路整備の「効果」を中心に評価を行ってきましたが、山田議員は「商店街の賑わいや街並み、歴史・文化などの地域資源が評価されていない」と指摘。こうした地域の魅力をどう捉えるのかを区長に質しました。 岸本区長は「商店街の魅力や街並み、歴史や文化は区民生活にとってかけがえのない地域資源であり、未来に引き継ぐことはまちづくりにおいて重要」と答弁。これまでの区政運営では行政と住民の「対話の場」が不足していたとし、(仮称)デザイン会議などを通じて住民の声を反映し、必要に応じて専門的な調査も検討するとしました。都市計画道路を前提とせず、住民と共に地域資源を生かしたまちづくりを検討することは、岸本区政のもとでの大きな前進です。 2、補正予算第3号可決 物価高騰に直面する区内事業者を支援 福祉施設に食材費・光熱費等を助成 補正予算には物価高騰対策として、都の支援対象外となっている区内の介護サービス事業所に対し、区独自に4〜9月分の食費や光熱費の一部を補助する経費が計上されました。党区議団は、人手不足や介護報酬引き下げで現場が厳しい状況にある中、区独自の支援を求めてきました。今回の補正予算にその経費が盛り込まれたことは重要な成果です。補正予算には、介護・障害者施設への支援のほか、高齢者へのスマートフォン購入助成、がん患者ウィッグ購入費助成の拡充など計28事業が含まれます。特に、ウィッグ助成は申請が多く、がん患者の方々にとって、大変ニーズが高い事業であり、拡充は大きな意義があります。 3、決算審査 令和6年度杉並区一般会計歳入歳出決算を「認定」 区民の声生かす区政へ前進 党区議団は、令和6年度杉並区一般会計歳入歳出決算については「認定」、国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療の各特別会計については「不認定」としました。 (1)対話と自治のまちづくりが前進 住民との協働による区政運営が根付き始める 党区議団は「認定」の理由として、区民参加型の行政運営の進展を挙げました。年間130回を超える区民対話の場が設けられ、延べ5,000人以上が参加。区民意向調査でも住民の区政参画意欲が高まり「対話の区政」が根づき始めています。 区立施設マネジメント計画の策定では、地域住民とのワークショップを通じて、行政主導から住民との協働型へ計画策定プロセスを転換した点を評価。都市計画道路周辺のまちづくりにおいても、行政と住民が対等に協議する「デザイン会議」の設置を「住民自治の新たな形」としました。 一方で、善福寺川上流地下調節池整備事業については、東京都によって「住民合意のないまま事業化された」と指摘、区が東京都に対して住民の立場で説明責任等を求めるよう要望しました。また、阿佐ヶ谷駅北東地区の杉並第一小学校改築では、子どもの安全を最優先に病院跡地問題の早期解決を求めました。 (2)防災施策の強化と地域防災の充実 耐震診断・改修助成が大幅に増加し、耐震化率が95.6%に達したことは重要です。不燃化率も過去最大の伸びを示しました。感震ブレーカー助成が1,200台を超え、エレベーター備蓄ボックスの配備や防災マップの全戸配布など、岸本区政のもとで災害対策が前進しています。また、グリーンインフラの推進により、雨水を地中に浸透させる「流域治水」型のまちづくりに向けた連携が始まった点を「今後の防災の方向性を示すもの」と評価しました。 (3)子どもの権利条例や居場所づくり基本方針、福祉施策が大きく前進 当該年度は「子どもの権利に関する条例」「子どもの居場所づくり基本方針」が制定されました。子どもの意見を聴き取った上での計画策定は画期的であり、児童館再整備の早期実現を求めました。 また、保育所における人件費の実態調査や障害児支援の拡充、生活保護制度の周知ポスター作成などを「福祉行政の前進」と評価しました。介護職員の処遇改善に向けた委託費増額も「ケアする人を支える政策」として重要です。 (4)多文化共生と人権尊重、働きやすい職場環境へ 「多文化共生基本方針」の策定により、外国人支援と差別防止の姿勢を明確にしたことを評価しました。「ヘイトスピーチは許さないという区の姿勢を一層明確にすべき」と求めました。 また、会計年度任用職員の報酬引き上げや生理休暇の有給化(23区初)を「ジェンダー平等施策の前進」とし、管理職の女性比率の上昇や、生理用品の無料配布拡大などを評価し、さらに前進させることを求めました。 (5)教育と気候危機対策の推進 区立小中学校の給食費無償化に続き、国・私立や不登校児童への給食費相当分支給が実施されたことは「教育の平等」の実現として重要です。一昨年度に引き上げられた就学援助基準のさらなる拡充を求めました。学校トイレ洋式化率の上昇、教員確保の取組も評価しました。 気候危機対策では、再生可能エネルギー導入助成が3倍以上に拡大。太陽光発電や蓄電池の導入が大幅に進み、住民参加の「気候区民会議」の取り組みも先駆的と評価しました。 (6)特別会計については「不認定」 国民健康保険・介護保険・後期高齢者医療保険の各特別会計については「不認定」としました。 国保料は十数年来、最大規模の値上げとなり、区民生活に深刻な影響を与えています。介護・高齢者医療も同様に保険料の負担増が続いており、「国・東京都に対して財政支援を求め、区民負担を軽減すべき」と強調しました。 4、田中ゆうたろう議員のSNS上における「岸本区長の学歴詐称疑惑」は根拠の無い偽情報 直ちに削除・訂正を求める 田中ゆうたろう議員は10月6日の決算特別委員会で岸本区長の学歴について質疑しました。区長は、日本大学を卒業している旨を明言し、必要であれば「卒業証明書を提示可能」と答弁。区職員も卒業証明書を確認済みと答弁しました。 それにもかかわらず、田中議員は翌7日夜、自身のSNS上において「岸本区長の学歴詐称疑惑」などと発信し、あたかも区長が学歴を偽っているかのような印象を与える投稿を行いました。この投稿は、議会での公式答弁に反する内容であり、事実を誤認させ、区政および区議会への信頼を著しく損なうものです(※岸本区長のHP上に卒業証明書が掲載されています)。党区議団は決算質疑や意見開陳の場で、田中議員に対して投稿の削除・訂正を求めました。 5、無所属都民ファーストの会が非交渉会派へ 安斉議員が会派を離脱し一人会派へ 議会体制変更へ 無所属・都民ファーストの会(無都会派)は、安斉あきら議員の離脱により所属議員が3名となり、交渉会派の要件となる4名を満たさず、非交渉会派となりました。安斉議員は離脱後「杉並区議会国民民主党」として一人会派を結成。 無都会派は田中ゆうたろう議員への懲罰特別委員会を欠席するなど、議会運営の正常化に後ろ向きな姿勢を示していました。党区議団は引き続き、議会の健全な運営と正常化に全力を尽くす決意です。 以上 ダウンロード用のPDFファイルはこちらです。 (2025年杉並区議会第3回定例会を終えて(談話)(PDF形式)) |
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