|
声明・申し入れ |
> indexに戻る |
2021年杉並区議会第1回定例会を終えて |
日本共産党杉並区議団は3月12日、以下の声明を発表しました。 2021年杉並区議会第1回定例会を終えて 2021年3月12日 日本共産党杉並区議団 2月9日から始まった杉並区議会第1回定例会は、3月12日に閉会しました。 今議会は、来年度予算を審議する予算特別委員会も開かれました。 収束の見えない新型コロナウイルス感染拡大によって、多くの区民や区内事業者が大打撃を受けています。日本共産党杉並区議団は、杉並区がPCR検査拡充などコロナ対策を強化し、いのちと生活・営業を守るために全力を尽くすとともに、区民生活を破壊する都市計画道路などの不要不急の大型開発予算を抑えるよう求め、論戦に臨みました。 1.新型コロナウイルス感染症対策が不十分 新型コロナの感染拡大を抑え込むには、症状のない方も含めたPCR検査の実施、いわゆる社会的検査を大規模且つ定期的に行うことが肝要ですが、区長が提案した来年度予算は従来の検査体制にとどまっています。現状、新規感染者数が減少してはいますが、それに伴いPCR検査数を減らすのではなく、検査能力に余裕が出来ている今こそ、検査によって感染を抑え込むことが求められます。 他区では、高齢者施設等の入所施設等で、従事者に対し定期的に週に1回の定期的な検査に踏み出しており、こうした他自治体の取組を見習い杉並区でも大規模な社会的検査に取組むべきです。 また、保健所体制の強化についても、党区議団は求めてきました。 本年1月に都の方針に基づき杉並区は、感染者が急増するなか「積極的疫学調査」を縮小しています。本来であれば、保健所体制の強化を早急に行い、疫学調査を行う人員、トレーサー体制などを拡充し、感染リスクのある学校の寮や飲食店などの調査を積極的に行っていくべきです。 さらに、保健所では感染対策だけでなくワクチン接種対応が加わり、職員の残業が月100時間を超える状況が続いていることも問題です。これまでの延長線上に留まらない抜本的な保健所体制の強化が必要です。 緊急事態宣言が再延長されるなかで、減収や失業などで生活困難な区民や、時短営業などで経営困難な事業者への支援が不足している点も問題です。事業者支援として「新ビジネススタイル事業導入助成」が予算に盛り込まれていますが、支援事業者の数は80件程度と予算規模が少なく、支援効果は局所的です。杉並区として住宅困窮者への家賃助成や、事業者への減収補填などの区独自施策を早急に実施するなど、区民、事業者への支援策を抜本的に拡充することが求められます。 2.区民生活の実態とさらなる負担増 党区議団が昨年11月から取り組んだ区民アンケートには現在までに3,300件以上の回答が届いています。この一年間で暮らし向きが悪くなったと答えた方は45.2%で、良くなったと答えた方の3.8%を大きく上回り、全体の半数近くに上ります。新型コロナによる景気悪化と一昨年の消費税増税が、家計と営業に大きな影響を与えていることがアンケート結果からもわかります。 近年、区民の負担は大きく増加しています。特に国民健康保険加入世帯の負担増は重く、例えば年収400万円の夫婦と子ども2人の4人世帯では、所得税、住民税、健康保険料、年金保険料をあわせた年間負担額は2010年度から2021年度までの11年間で39万円以上も増加し、年間負担額は107万円以上となります。加えて消費税の増税も重なり、税と社会保険料の年間負担額は128万円以上と、年収400万円のほぼ3分の1となる大変重たい負担となっています。こうした負担増の大きな要因は国保料の毎年の値上げが原因です。 国保加入世帯は、コロナ禍のもとで、失業や収入の激減など、深刻な事態に追い込まれており、これ以上の負担増を押し付けることは許されません。党区議団はこの間、議会質疑や申し入れなどで来年度の国保料については、すくなくとも値上げをしないことを求めてきました。 区長は党区議団の代表質問への答弁で「コロナ禍を考慮した保険料」とするとし、来年度の保険料負担を軽減する取り組みを期待してきました。 しかし、提案された保険料案は、ひとりあたり年額3,716円の値上げとなるもので、均等割額(介護分含む)は19年連続の値上げとなります。一昨年の消費税増税に加えコロナ禍での経済悪化により区民生活が深刻化しているときに、国保料を値上げし、さらなる負担増を押し付けることは認められません。 党区議団は予算特別委員会の質疑で、保険料を値上げせずに据え置くために必要な経費は8,144万3千円であることを明らかにしました。区の財政規模から見れば、十分に捻出可能な金額です。党区議団は区長に値下げの決断を迫りましたが、区長は「ご理解いただきたい」と値上げを押し付け、自民、公明、立民など区議会区長与党会派の賛成多数で強行されました。 3.コロナ禍のもとでの施策削減と道路開発 負担増だけでなく、コロナ禍のもとで区民生活に必要な施策が削減され、その一方で不要不急の道路開発を進める区政運営も問題です。 来年度予算の高齢者福祉費は前年度と比較して減額となった事業が非常に多く、なおかつ、他の福祉分野と比較しても削減額が多くなっています。高齢者見守りサービス等は6事業全てが減額され、敬老祝い品についても、前年度3,600名の人数となっていた81歳対象者を除外するなど、コロナ禍のもとで福祉施策が削減されています。 また、福祉用具の給付費については、前年度と同様にわずか8万9千円しか計上されていません。党区議団は、都の高齢社会対策区市町村包括補助金を活用し、多くの区で実施されている補聴器やシルバーカーの購入助成に踏み出すことを求めてきましたが、区の姿勢はきわめて消極的です。福祉用具給付以外にも、包括補助金は高齢者施策に幅広く活用できるものであり、積極的な活用が求められます。 教育費についても、重要な施策で削減が進められています。小学校の民間警備員については、当初全面廃止方針が示されました。保護者からの粘り強い働きかけによって、区は全面廃止を諦め警備時間の縮小となりました。しかし、児童生徒の安全を考えれば、縮小すること自体が問題であり、警備時間をこれまで通りに戻すことが必要です。 中学生修学旅行費の保護者負担軽減については全面廃止となりました。杉並区として優れた施策であったにもかかわらず、他区では行われていないなどの理由で廃止したことは問題です。 コロナ禍で区民の暮らしが大変な時だからこそ、区民生活を支援する施策を維持・拡充すべきであり、減収を理由とした教育費の削減は認められません。 区民福祉が削減され、負担が増加する一方で、杉並区は住まいと生活を奪う都市計画道路など不要不急の再開発を、住民合意のないまま推し進めようとしています。 道路開発にかかる巨額な経費を、コロナ対策と区民福祉の拡充に充てることこそ、杉並区の責務であり、現在進められている都市計画道路の計画凍結が求められます。 4.施設再編整備の前倒し これまで区民福祉のために設置されてきた児童館、ゆうゆう館などの福祉施設の廃止や、学童クラブの民営化、大規模化が進められる区政運営が継続されるのも大きな問題点です。 なかでも、区立施設再編整備計画等に位置付けられてない西荻北児童館・善福寺児童館の廃止方針が示されたことは重大です。そもそも、区では現在、児童館・学童クラブ等の在り方検討を行っており、そうした検討の結果を出す前から両児童館の廃止計画を示すことは認められません。 また、他自治体では「在り方」を検証し、児童館存続を決断した地域もあります。そうした自治体では、児童館や学童クラブについて、施設削減ありきではない議論が行われています。 杉並区ではこれまで、小学校区に一つの児童館を整備してきました。この取り組みは他自治体と比較しても先進的であり、児童館の全館廃止方針は撤回すべきです。 5.阿佐谷北東地域の再開発推進 阿佐ヶ谷駅北東地域の再開発が進められる予算となっている点も大きな問題です。 杉並区ではみどりの条例によって樹木の保全が求められているにもかかわらず、樹木を大量伐採しても条例に整合したものだと区長が強弁し、再開発を強行する姿勢を崩していません。 再開発では、杉並第一小学校の土地は民間事業者が所有する土地と換地(土地の交換)されますが、その際の評価額が実勢価格と乖離した土地評価となっており、不当に安く評価されている可能性があります。本来であれば大規模な土地の処分については区の財産価格審議会の審議で適正価格を評価するべきですが、それを行わずに換地を進めている点は重大な問題です。 住民説明会も行わず、コロナ禍でも区の財政状況や住民意見を無視して、樹木が大量に伐採される大型開発を進めることは許されません。 6.来年度予算に対する賛否について 以上の理由等により、区長から提案された令和3年度杉並区一般会計予算、及び国民健康保険事業会計予算、介護保険事業会計予算、後期高齢者医療事業会計予算について反対しました。 7.アイヌ民族に対する差別発言について 予算特別委員会の審議のなかで、佐々木千夏議員(会派:正理の会)は、アイヌ民族に対する差別発言を行いました。「アイヌ差別や虐殺の歴史が無く」、(アイヌは)「鎌倉時代に日本に渡来した人々であり、先住民族ではない」というものです。 この発言は、現に差別を経験したアイヌの方々、また北海道内外でアイヌ差別をなくすために活動してきた方々の思いを踏みにじるものであり、放置することはできません。また、2019年にアイヌへの差別や権利侵害を禁止したアイヌ新法の精神にも明確に背くものです。 党区議団は予算特別委員会の意見開陳の場で、厳しく抗議し撤回を求めるとともに、議会最終日に他会派の有志とともに、発言撤回を求める要望書を本人に手渡しました。 以上 要望書の印刷用PDFファイルは、以下からダウンロードしてください。 (2021年杉並区議会第1回定例会を終えて) |
Tweet |
このページの先頭へ ▲ |