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2017年杉並区議会第3回定例議会を終えて |
<2017年杉並区議会第3回定例議会を終えて> 2017年10月13日 日本共産党杉並区議団 杉並区議会第三回定例会が9 月11 日に開会され、10 月13 日に閉会しました。今議会では、2016 年度.平成28 年度杉並区一般会計等の歳入歳出決算に対する審議が行われました。 安倍政権が進める社会保障改悪の影響が住民生活を直撃するなか、杉並区は国の悪政追随の姿勢です。さらに、区立施設再編整備計画や区立保育園の民営化が次々と強行されており、区民サービスの後退は深刻です。日本共産党杉並区議団は杉並区政が住民の守り手となり、自治体の責務を果たすよう求め、論戦に臨みました。 <深刻さを増す区民生活の実態 現状を直視しない杉並区の姿勢は問題> 国政では安倍自公政権の暴走政治がさらに加速し、国民の暮らしを圧迫しています。毎年行われる社会保障費の自然増削減や各保険料の国庫負担の削減政策等の制度改悪により、国民への福祉は後退し続けています。とりわけ高齢者世帯や非正規雇用世帯など低所得世帯の加入割合が多い国民健康保険加入世帯への影響は深刻であり、家計は限界に達しています。 40 歳代夫婦二人、子ども一人で年収300 万円の三人世帯では、2010 年から17 年までの7 年間で国民健康保険料は2倍以上に引き上げられ年額35 万3 千円となりました。消費税や他の税金、保険料も引き上げられており、この世帯の税と社会保険料の年間負担は7 年間で1・5 倍の97 万8 千円となり、年収の3 分の1 に達しようとしています。同様に年収400 万円の三人世帯では、税と国民健康保険料の負担は7 年間で1・4 倍の120 万円となり、年収の4 分の1 を超えました。年収が低い世帯ほど負担増が厳しく、負担割合が高い状況です。 税や社会保険料は、子どもなど扶養家族が多い世帯ほど負担を抑えるのが本来の制度設計です。しかし、同じ年収規模の世帯を比較すると、この間の負担増により扶養家族が多い世帯ほど負担総額が高くなっています。 この実態について杉並区は「一つのシミュレーションにしか過ぎない」「ことさら支出の負担を取り上げることは、きわめて一面的なものの見方」などと、負担増の厳しい世帯を切り捨てるかのような答弁が繰り返されました。 国の悪政により、低所得世帯、扶養家族が多い世帯に負担が重くのしかかっている現状を直視しない区の姿勢は問題です。区が区民の生活苦の実態に向き合い、区独自の保険料減免や、他自治体でも広がっている家賃助成制度の実施など、直接的な負担軽減に努めることを強く求めました。 <杉並区の極めて豊かな財政力を区民生活に振り向けるべき> 区は毎年20 億〜40 億円程度を財政調整基金に積み立てており、2016 年度は364 億円となり、過去10 年で最大となりました。基金全体の残高も428 億円に達しました。財政の弾力性を示す経常収支比率も80%前後を推移しています。 杉並区の豊かな財政力を区民の為に使えば、切実な要求を実現することは可能です。過度な財政指標の目標を盲目的に追求するのではなく、区民の声を反映した区政運営に改善するべきです。 党区議団は毎年、区内の商工団体、障害者団体など、さまざまな団体と懇談を行っています。今年も杉並区に対する切実な要望が寄せられていますが、毎年、同じ要望が寄せられることがあります。区民の切実な要求に対し、杉並区が真摯に向き合っていないことを端的に示しています。杉並区の豊かな財政力を区民生活に振り向け、切実な要望に応えるべきです。 この間、障害者団体からは親亡き後の障害者の住まいの確保として、グループホームのさらなる整備を求める声が寄せられています。障害者の移動支援事業については、利用者の意向に沿った柔軟な対応が行われていない問題が指摘されており、当事者の意向をよく聞き支援の拡充に努めるよう求めました。 介護保険制度では、この間の制度改悪により介護現場に深刻な影響が発生しています。区独自に介護従事者の処遇改善を検討するよう求めました。 党区議団が求め続けてきた就学援助入学準備金の前倒し支給については、委員会質疑で実施の方向性が明らかとなりました。引き続き、義務教育にかかる家計支出を軽減するためにも就学援助の拡大も強く求めます。 <公立保育園の大規模民営化方針が示される(新たに井荻・中瀬の両園をH32 年度に民営化)> 今定例会では「保育のあり方検討部会報告」に基づく公立保育園の大規模な民営化方針が示されました。 杉並区内には44 の公立保育園がありますが、今後、中核園(7 圏域に2 園ずつ、今後指定)と障害児指定園15 園(現在8 園、今後7 園追加)を除く、全ての公立保育園が民営化対象園となります。中核園と障害児指定園は同一園となる可能性もあり、今後、公立保育園の多くが民営化されることになります。計画ではH32 年度〜36 年度の5 年間で6園が民営化され、それ以降の民営化園はH34 年度までに決定されます。今定例化では、H32 年度に井荻・中瀬の両園が民営化されることが示されました。 ※当面、公立保育園として運営される見込みの園 ◆現在の障害児指定園8園 (久我山東、荻窪南、井草、阿佐谷北、善福寺、和田、浜田山、今川) ◆新たな障害児指定園候補7園 (高円寺東、阿佐谷南、永福南、永福北、高井戸東、西荻北、上荻) 区は民営化を進める理由に、公立保育士の削減による財政効果をあげています。一方、各自治体で新設認可保育園が増大する中、保育士不足が深刻化しています。公立保育園の民営化は保育士不足に拍車をかけることにもなりかねません。他の自治体では、保育士確保が困難な現状を踏まえ、公立保育園の増設(北区:区立保育園4 園を新設)や常勤の公立保育士の増員(板橋区:80 名の募集)に取り組んでいます。他の自治体が公立の保育士確保に踏み出す中、杉並区が保育士削減を財政効果とし、民営化を進めることには一切の道理がありません。 さらに昨今、民間運営の新設認可保育所が増大し、保育の質に大きな格差が生じています。公立保育園は区内の「保育の質」の基準となっています。公立保育園の役割はますます重要であり、維持・存続すべきです。 <高円寺地域の小中一貫校問題、杉一小改築を含む阿佐谷地域のまちづくり計画> 高円寺地域の小中一貫校計画は重大な問題を抱えたまま、現在、工事が強行されています。この間、住民は工事中止を求めて学校門前での非暴力による抗議行動を行ってきましたが、工事業者は住民に対し、恫喝・嫌がらせを目的としたスラップ訴訟を起こす事態となりました。その際、区と事業者による工事説明会で住民を隠し撮りした写真が裁判所に提出されていることが明らかとなっています。区は工事業者による盗撮やスラップ訴訟などの人権侵害を容認しており、重大な問題です。工事の強行をやめ、近隣住民の声に真摯に向き合うことを求めました。 杉並第一小学校と産業商工会館、阿佐ヶ谷区民センターの複合化計画が、近隣の河北総合病院の移転計画により大規模な見直しを余儀なくされています。区が示した見直し方針案は、阿佐谷を代表する緑の削減、地域の商店街に打撃を与える高層商業ビルの建設、けやき公園プールの廃止など、多くの問題点があり区民からは懸念や疑問が噴出しています。 党区議団は、見直し内容の区民周知の不十分さや、住民の声を無視した内容であることを指摘し改善を求めましたが、区は「商店街は概ね賛成している」と事実をねじ曲げた答弁を行い、計画を強行する姿勢に固執しています。この方針は、区民の声や要求に背をむけて進められており、問題です。パブリックコメントなどで幅広い区民の声を聞き、計画を練り直すべきと指摘しました。 <田中区長の反区民的な区政運営 議会軽視が深刻化> この間、田中区政は区民無視の計画を次々と強行しています。区立施設再編整備計画や保育緊急事態宣言に基づく緊急対策においても、その姿勢が著しくあらわれています。 杉並区自治基本条例では、区民参画の保障が謳われており「区民等が政策の立案から決定・評価に至るまでの過程に主体的に参加し、意思決定に関わる」とされています。住民の声を蔑ろにし、計画を強行することは、自治基本条例に明確に反する重大な問題であり認められません。区民無視の区政運営を直ちに改めるよう厳しく求めました。 今定例会では、議会と行政の関係性についても、多くの会派から、度々、問題点が指摘されました。党区議団の一般質問では、まともな答弁が無いのにも関わらず、その翌日に配布された委員会資料では答弁では示されない事細かな内容が報告されていました。議員の質問権を蔑ろにする事態であり、杉並区議会議長も問題視。その後の委員会で議会軽視の問題を追及すると所管部長が謝罪をしています。他会派の一般質問への答弁でも、同じ質問に、会派ごとに 答弁内容に差を付けるなど、異常な答弁が相次いでいます。 2016 年度は公園転用の保育園整備が強行され大きな問題となりましたが、その際〝代替公園を確保する〟との区の約束が未だに果たされておらず、住民や議会との約束が反故にされていることが明らかとなり、多くの会派から問題が指摘されました。 区職員の健康問題に関する質疑では、職員の自死が発生していることに触れ、管理職も含め職場での長時間労働の実態を把握し放置しないよう求めました。区長は「仕事の在り方、組織の在り方を考える必要がある」としながら、一方、年4 回各1 日の議員の質問通告が管理職の負担になっている旨を答弁。職員の健康問題の責任を議会に転嫁するような姿勢に、多くの議員から怒りの声が出されました。 決算質疑では、この間の一連の議会対応や反区民的な区政運営の問題点を指摘、区長の政治姿勢、議会軽視の実態を厳しく追及しました。区長は「不手際については反省する」と答弁し、自らの政治姿勢の問題を一部認めました。しかし、それ以降の質疑においても不適切な答弁が繰り返されており、異常な態度は改められていません。 本来、行政と議会は二元代表制のもと、緊張感のある関わりが求められます。区長の政治姿勢の問題は今後も厳しく追及します。 <賛否 重要議案への対応> 今定例会には、区長から2016 年度.平成28 年度各会計決算の他、12 議案が提案され、党区議団は3 議案には賛成、9 議案には反対しました。反対議案の内、1議案は区立上井草保育園の廃止議案であり反対。5 議案はあんさんぶる荻窪と荻窪税務署等用地の財産交換により整備される天沼三丁目複合施設棟にあんさんぶる荻窪の施設機能を移転するためのものであり、荻窪北児童館の廃止議案も含まれています。近隣住民から愛されたあんさんぶる荻窪と荻窪北児童館を廃止するべきではないと主張し、反対しました。2016年.平成28 年度各会計決算については、不認定としました。 今定例会では、請願2本が審査されました。党区議団は全ての請願の採択を主張しました。 日本共産党杉並区議団は、引き続き、多くの区民と共同し、区民の切実な要求実現と、区政の刷新に向け全力で奮闘する決意です。 以上 |
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