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2017年杉並区議会第2回定例会を終えて |
<2017年杉並区議会第二回定例会を終えて> 2017年7月20日 日本共産党杉並区議団 5月30日から始まった杉並区議会第二回定例会は、6月16日閉会しました。 今議会は、5月17日、18日に開かれた臨時議会後の定例会であり、常任委員会・議会運営委員会・特別委員会が新しい構成となりました。安倍政権下で進められる社会保障の改悪等により、区民負担増はますます厳しくなり、くらしに深刻な影響を与えています。 日本共産党杉並区議団は、杉並区が、区民生活の実態を直視し、自治体の責務である住民福祉の向上に全力を尽くすよう求め、論戦に臨みました。 〈高円寺地域の小中一貫校計画に関するスラップ訴訟問題〉 本年1月から、近隣住民が地域の教育環境と住環境が脅かされる高円寺地域の小中一貫校計画に対し、よりよい教育環境と住環境を求め、高円寺中の門前で、「巨大校舎反対」などのプラカードを掲げ連日抗議行動を行いました。そうした住民に対し、一貫校の工事を請け負っている工事業者から、4月27日付けで抗議行動の中止を求める仮処分申請が行われました。これは抗議行動を行う住民への恫喝・弾圧行為であり、スラップ訴訟※です。 加えて工事業者は、この訴訟を起こす前提で、住民を隠し撮りしていた事実が裁判資料から明らかになりました。住民が抗議行動を行う前の昨年12月、杉並区と工事業者が共催で行った工事に関する住民説明会において、事前の周知や許可もなく、参加した住民の様子を隠し撮りしていました。これは肖像権やプライバシー権を蹂躙する重大な人権侵害です。さらに、工事業者は、抗議行動を行う住民を監視するために、高円寺中学校の門前に監視カメラを設置していました。住民の抗議で、監視カメラは取り外させましたが、工事業者が住民を監視し、萎縮させる暴挙に出たことは重大問題です。 わが党区議団は、工事業者が抗議行動を行っている住民を恫喝・委縮させるために訴訟を起こしたこと、住民を監視、盗撮する人権侵害行為が行われていることに対し、区の認識を問いました。区は「訴訟も撮影も、工事業者が必要あると判断したものと認識している」と一連の人権侵害を容認する答弁を行いました。区が主催する住民説明会で、人権侵害が行われていたことを問題ないとする区の姿勢は、異常極まりないものです。 このような地域住民との深刻な軋轢を生むような学校づくりは、「地域・学校が協働し、ともに支える教育を進める」ことを目標とする区の教育方針とも矛盾するものです。この点について教育長の見解を求めましたが、教育長は答弁に立たず、工事を強行する姿勢に終始しました。住民の住環境や子どもの良好な教育環境を脅かし、教育長がその正当性も説明できない高円寺地域の小中一貫校計画は直ちに中止すべきです。 ※スラップ(SLAPP)とは、Strategic Lawsuit Against Public Participation(住民の集団行動に対する戦略的な対抗訴訟)の頭文字をとった言葉。権力を持った企業や政府等が、権力を持たない弱者や個人に対し、恫喝的、報復的ないやがらせを目的で行われ、通称〝恫喝訴訟″ともいわれます。 〈憲法への認識〉 安倍首相が5月3日、憲法九条に自衛隊を明記する憲法改悪を、2020年までに行うことを目指すと表明したことに対し、田中区長の政治姿勢を問いました。憲法九条は日本国憲法の恒久平和主義の核心であり、改憲を目指す勢力は九条の改悪をその本丸としてきました。同時に、期限を区切った九条改悪に踏み込んだ発言は歴代首相でも初めてのものであり、極めて重大です。 これまで田中区長は憲法問題について、「憲法改正について、国会や国民的な理解の深まりが何より大切」とし、「国の動向注する」という無責任な姿勢を議会で示してきました。 わが党区議団は今回、この間の安倍首相の憲法9条改悪発言について、また憲法改正については現状で、国会や国民の理解が深まっていると考えているのか、区長の見解を質しました。すると、区長は答弁にも立たず、担当部長が「政治家として首相自身の考えを述べたものと考えている。」憲法改正には様々な議論・意見があり、国民的な議論を一層深めていくことが何よりも大切なことと考えている。」とまったく無責任な答弁に終始しました。 また田中区長は、他会派からの同様の質問には答弁に立っても、安倍首相の改憲発言についての自身の考えを示しませんでした。安倍首相の憲法改悪発言という問題の本質に何ら言及せず、わが党区議団の質問には、答弁にも立てないような区長の無責任な姿勢は重大問題です。 憲法にかかわっていま切実に求められていることは、世界に誇るべき「9条」をはじめ、日本国民が大切に育んできた憲法の平和・人権・民主主義の原理・原則をまもり、わたしたちの住む社会と政治にいっそう深く定着させることです。そのために日本共産党は、多くのみなさんとともに力をつくします。 〈保育園待機児童緊急対策の総括 区立保育園の民営化方針〉 昨年4月に発表された「すぎなみ保育緊急事態宣言」が解除されました。緊急事態宣言に基づく待機児童緊急対策では〝29年4月に「待機児童ゼロ」を達成します″とし、かつてない規模と手法による保育施設の増設が行われました。そのなかでも、区立公園の保育所転用では、子どもたちの利用頻度が高い下井草地域・久我山地域の公園等を乱暴に転用する方針が強行され、マスコミにも大きく取り上げられる大問題となりました。 わが党区議団は、一貫して、緊急事態宣言に伴う公園の保育所転用の問題点を指摘しており、今議会においても、住民の憩いの場である公園の喪失の問題点と代替用地の確保について、区の姿勢を問いました。 しかし、区は、未だに〝公園の代替用地を確保する″との住民との約束を果たさないばかりか、乱暴な緊急対策により、保育所整備の地域的な偏在などを発生させ、待機児童ゼロは実現していません(今年度の待機児童数は29名)。区の場当たり的な対応は許されません。 さらに、緊急対策の総括では、区立保育園の民営化方針が示されており、既に計画決定された上井草・杉並の両保育園に続いて、今後、区立保育園が次々と民営化される危険性も明らかとなりました。民間保育所の大規模増設に伴い、区内の保育園の「保育の質」の格差や保育士不足は重大な課題となっており、安定的な保育所運営のためにも、区立保育園の役割はますます重要です。区立保育園の民営化方針には一切の道理はなく、民営化方針を撤回するよう求めました。 〈杉一小改築を含む阿佐谷地域のまちづくり計画〉 阿佐谷地域の集会施設を、杉並第一小学校に統廃合する複合化計画が、隣接する〝けやき屋敷″に河北病院が移転するため、見直しを余儀なくされています。それに伴い新たなまちづくり方針のための補正予算案が審議をされました。 これまでの複合化計画(A案)に対し、見直し案(B案)では、けやき屋敷に移転後の河北病院跡地に杉一小を移転させ、これまでの杉一小の土地に産業商工会館を含む最大で13階建ての商業ビルの建設が示されています。阿佐谷地域区民センターは、現けやき公園プールの敷地に移転をさせます。 B案はA案に比べ、杉一小の教育環境は良くなるものの、地域を象徴するけやき屋敷のみどりの大幅削減、13階建ての商業ビル建設により南側の商店街の商売に大きな影響を与えることや、けやきプールの完全廃止など、様々な問題点が区民から指摘をされています。 加えて、計画の進め方にも大きな問題があります。そもそも区は、昨年の夏に病院の移転計画を知ってから、幅広い区民と対話することもせず、ほんの数か月という短期間で見直し案であるB案を策定し、A案とB案の2者択一を区民に迫るという態度をとってきました。 さらに、見直し計画自体を知らない区民がいまだに多数いるにも関わらず、本計画単独でのパブリックコメントを実施もしていません。同時に、説明会などで出された反対意見、見直し意見もなんら反映していません。こうした区民無視の計画の進め方は重大問題です。 わが党区議団は、この間区民から出されているB案についての懸念の声や、計画の進め方の問題点を一つ一つ取り上げました。そして、拙速に結論を出すのではなく、区民との対話を続け、そうして幅広い区民から吸い上げた意見を反映させ、時間をかけて結論を出し直すべきだと区に迫りました。しかし、区は「進め方に問題はない」と答弁するなど、区民無視の姿勢を鮮明にしました。 今回出された補正予算案は、B案を全面的に推進するものとなっており、今後の阿佐谷地域全体のまちづくりに関わるものであるにも関わらず、その内容や拙速な進め方など、問題点が多く、区民の理解を得られるものではないということから、わが党区議団は本補正予算案には反対しました。 〈桃井第二小学校の改築〉 今議会では、杉並区立桃井第二小学校(以下、桃二小)の建替え・併設一施設の建設(総工費36億8,297万円)の工事契約案件が提案されました。桃二小は校舎こそ築50年でしたが、トイレなどの改修から3年、プールも築後12年で決して早期に建て替えを行う必要のない学校です。 今回の建て替え前倒しは、あんさんぶる荻窪と荻窪税務署の財産交換によって、あんさんぶる荻窪内に設置されていた学童クラブが桃二小に移設されることに端を発します。荻窪駅周辺の再開発を目論んだ区長が、荻窪税務署の建て替えを遅らせた挙句に代替地を用意できなかったことから、その代償としてあんさんぶる荻窪は差し出されることとなりました。地域からは道理のない財産交換の計画に反対の声が噴出しています。この区長の失政により桃二小の建て替え前倒しとしてしわ寄せが子ども達に押し付けられる結果となりました。 さらに杉並区は地元の町会、自治会に対し、あたかも児童館が桃二小に移設されるという誤解を与える説明を行い、地元から桃二小の早期改築を求める要望書を提出させました。後日、児童館は廃止され移設されるのは学童クラブのみであることを知った住民は、区に対し激しい怒りと憤りを訴えています。 党区議団は委員会質疑のなかで、場当たり的で住民との合意形成の無い計画を強引に進める区の姿勢を厳しく指摘するとともに、広範な住民との話し合いや意見集約を行い、住民が納得できる街づくりを行うよう強く求め、当該議案に反対しました。 〈賛否〉 今定例会には、14議案が提案され、党区議団は、区職員の育児休業等に関する条例を含む7議案に賛成し、桃井第二小学校の改築に関する契約案件を含む7議案について反対としました。日本共産党杉並区議団は、引き続き多くの区民と共同し、住民本位の区政運営の実現に向けて、全力で奮闘する決意です。
以上 |
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