|
声明・申し入れ |
> indexに戻る |
2017年杉並区議会第1回定例会を終えて |
〈2017年杉並区議会第1回定例会を終えて〉 2017年3月21日 日本共産党杉並区議団 2月13日から始まった杉並区議会第1回定例会は、3月16日閉会しました。 今議会は、新年度の予算案を審議する特別委員会も開かれました。安倍政権の下で進められる雇用や社会保障の改悪等により、区民の負担増はますます厳しくなり、くらしに深刻な影響を及ぼしています。日本共産党杉並区議団は、杉並区が、区民生活の実態を直視し、自治体の責務である住民福祉の向上に全力を尽くすよう求め、論戦に臨みました。 <負担軽減に応えない区の姿勢> 区民の税と保険料の負担は深刻です。年収400万円子ども一人の世帯の場合、平成29年度の住民税、所得税、国民健康保険料、介護保険料、年金保険料の負担の総額は100万5千円に及びます。加えて、この世帯の消費税の負担は19万円と試算されるため、合計は約120万円。年収の四分の一をはるかに超える負担です。 増大する区民負担を少しでも軽減することが求められていますが、区の新年度予算は、そうした声に応える姿勢が極めて弱いと言わざるをえません。 新年度の国民健康保険料を値上げする議案が提案されました。過去5年間で金額・率とも最高の値上げ幅で、杉並区の国保加入者の場合、1人あたり平均で年額8039円の値上げとなります。いまでさえ「国保料が高くて払えない」との声が多数寄せられていますが、区は、区民のくらしを圧迫することについての認識を示さず、値上げは必要とする姿勢に終始しました。党区議団は、区民のくらしに寄り添い、保険料値上げは中止するとともに、区独自の保険料減免制度を実施するよう求めました。 6人に1人の子どもが貧困状態にあるといわれているなか、就学援助は経済的支援として不可欠な施策ですが、この間の生活保護基準引き下げに連動し、認定基準額が毎年減らされてきた結果、認定率も減少しています。認定基準を生活保護基準の1.2倍から1.5倍に引き上げるよう求めましたが「他区と比べてそん色ない。引き上げるつもりはない」との冷たい答弁が繰り返されました。 区立施設の使用料は、この4月から登録団体割引制度が完全廃止となります。党区議団は、登録団体からの聞き取り調査をもとに、これまでの値上げによって、活動困難な状況に追い込まれている深刻な実態を紹介し、使用料割引制度の復活を求めました。しかし、区は、またもや“未利用者との公平性、受益者負担”を理由に値上げを正当化しました。住民の文化活動やスポーツ振興に責任を負うべき自治体の責務を投げ捨てるもので、容認できません。 区民の負担軽減に応える姿勢が弱い一方、築10数年のあんさんぶる荻窪との財産交換により進められる天沼3丁目複合施設の建設や、高円寺小中一貫校に象徴される不合理で過大なハコモノ建設などの投資的経費は増大し、予算編成の大きな部分を占めています。さらに550億円もの財政のダムづくりに向けた基金積み立ても着々と進めています。 今年度末の基金は480億円にも達しており、豊かな財政力は区民福祉の向上にこそ優先して使うべきと求めました。 <保育待機児童をめぐる一連の課題について> 昨年のすぎなみ保育緊急事態宣言に基づく緊急対策では、子ども達の利用頻度が極めて高い久我山・東原公園、下井草・向井公園を保育所に転用し、地域住民のコミュニティの「要」が乱暴に奪われるという深刻な事態を発生させることになりました。区が、地域住民と膝づめで協議する姿勢をもたず、問答無用で計画を強行したことは杉並区政史上において重大な禍根を残しました。当該地域では、依然として代替の公園用地が確保されず、地域との信頼関係の構築などでも、問題が山積しています。 本年4月時点で待機児童ゼロを実現出来ない場合、緊急対策を行うべきと求めましたが、既存計画内で対応するとの答弁に留まりました。区自ら「待機児童ゼロを達成する」と明言しており、今からでも緊急の対応を検討すべきです。 認可保育所の大規模整備に伴い、保育士確保は重要な課題です。しかし、本年4月開設園の多くで、未だに必要数の保育士確保に至っていないことが党区議団の調査で明らかになりました。保育士確保の第一義的責任は事業者にありますが、自治体の責任も重大です。速やかに各運営事業者の実態を把握するとともに、保育士の確保と安定的な雇用のための処遇改善に本腰を入れるよう求めました。 区立保育園の民営化方針が加速しています。民営化すれば、区立保育園で安定的に確保されていた公立保育士を削減することになり、いまでさえ、し烈な民間事業者の保育士確保競争をさらに激化させることになります。民間事業者運営の認可保育所の比重が高まるなか、区立保育園は、区内の「保育の質」を維持する基準ともなるべきものであり、民営化方針は撤回すべきと強く求めました。 <高円寺地域の小中一貫校計画について> 高円寺地域で進められている小中一貫教育校の整備計画は、小学校2校、中学校1校を統廃合するため、住宅街に高さ約30m、南北約72m、東西約62mの超巨大校舎が建設されることになります。 この間、計画地の地盤調査結果報告の誤記載や、東京都への建築確認の不備等の手続き上の問題が発覚し、重大事態となっているにもかかわらず、区は工事を強行しています。連日、近隣住民は、抗議行動を行い、事業者とトラブルにもなりかねない状況になっていますが、区は傍観するのみという無責任な姿勢です。 高円寺地域の教育環境や、近隣の良好な住環境を維持するためには、それぞれの学校を現在地で存続させるべきです。ずさんな地盤調査で巨大校舎建設を強行するのはやめ、住民と膝詰めの議論を行い、計画を見直すよう求めました。 <杉一小複合化計画について> 杉一小の複合化計画の見直し案となるB案が、2月下旬に示されました。現計画であるA案は、地域の2つの集会施設を杉一小に統廃合し、屋上に校庭を配置する設計で、学校と集会施設の複合化により、子ども達の教育活動や地域コミュニティの形成の面からも困難が生じるなど、区民から懸念の声が上がっていました。一方、杉一小を移転後の病院跡地に整備するB案は、集会施設と学校施設を別々に整備することにより、杉一小に関しては、現計画よりは良好な環境となるものです。しかし、地域からは様々な意見が出されており、なによりも関係施設の周辺住民にはまだ見直し案が示されたばかりで区民的な議論は成熟していません。 区は、3月中にA案とB案のどちらかに絞った計画案を発表し、4・5月に計画化するといっていますが、拙速に二者択一で結論を出すのではなく、区民の声を聞き、理解を得ることに努めながら計画を作るべきと求めました。(計画の詳細については、次週折り込み予定の区議団ニュースNO,365をご参照下さい) <ビーチコート建設について> 永福体育館の移転改築と永福南小跡地にビーチコートを建設するための契約議案が提案されました。 区のスポーツ振興のあり方や施設整備については、区民の要望も把握したうえで議論し、計画が進められなければなりません。しかし、今回のビーチコート建設は、区民の要望から出発したものではなく「東京オリンピック開催に際し、杉並区には国際基準を満たした体育施設が見当たらず、現状では各国のナショナルチームの練習会場に選ばれる可能性もない。このままオリンピック開催を迎えることは、区民にとって大変残念なこと」という、杉並区議会スポーツ振興議員連盟(自民、公明、未来、いのち平和、自民・無所属などの議員有志で結成)の要望を受け、計画化されたものです。 区は、ビーチバレー以外のスポーツや高齢者のリハビリ等にも活用できると言いますが、区民から期待や歓迎の声は聴かれません。むしろ「なぜ、海も無い杉並区にビーチコートなのか」「唐突過ぎる」「杉並区民にビーチスポーツ人口はどれほどいるのか」など、疑問や批判の声が多数上がっています。ビーチコートを整備しなければ、30名程度の保育定員枠を新たに確保することも可能でしたが、区は計画に固執しました。 党区議団は、多くの区民から疑問が噴出しているにもかかわらず、議会の一部の人たちの要望を受け、多額の税金を投入するビーチコート建設は、スポーツ振興の理念に根差したものとは言えず、見直すべきと求め、反対しました。 本会議最終日、記名投票による採決では、自民、公明、未来、いのち平和、自民・無所属、共に生きる杉並(木梨もりよし)が賛成。日本共産党、杉並わくわく会議(松尾ゆり)、美しい杉並(田中ゆうたろう)、無所属(堀部やすし)、無所属(木村ようこ)は反対しました。計画を後押しし、議案に賛成した各会派・議員の責任が厳しく問われます。 <区民本位の区政運営に転換を> この間、田中区政は、区立施設再編整備計画や保育緊急事態宣言に基づく緊急対策などにおいて、見直しを求める多くの区民の声を無視し、次々と計画を強行しています。「区民等が政策の立案から決定・評価に至るまでの過程に主体的に参加し、意思決定に関わる」と定めた杉並区自治基本条例にも反しており、重大な問題です。 また、杉並保育園民営化の保護者説明会で、課長が「計画関係というのは、議会のチェックが入りすぎてしまうとものが進まなくなってしまう」と発言したことが重大問題となりました。議会のチェック機能をないがしろにするものではないか、との指摘に対し、担当部長は「今後は確認作業をしてから議事録を作成する」と答弁しました。党区議団は、議事録の改ざんを公然と宣言するかのような発言は、行政の姿勢として到底認められず、直ちに是正すべきと迫りました。 <賛否について> 以上の理由等により、党区議団は、H29年度一般会計予算ほか、国民健康保険事業会計、用地会計、護保険事業会計、後期高齢者医療事業会計の各予算には反対、中小企業勤労者福祉事業会計予算には賛成しました。 現在、区内の様々な地域、分野において、田中区長の強権的・恣意的な区政運営が深刻化する一方、多くの区民が区政の転換を求め、声を上げ始めています。各地で様々な団体が設立され、横の繋がりも広がっています。 日本共産党杉並区議団は、区民との共同を広げ、住民不在の区政運営の転換を求め、引き続き全力を尽くす決意です。 |
Tweet |
このページの先頭へ ▲ |