|
声明・申し入れ |
> indexに戻る |
2016年第4回杉並区議会定例会を終えて |
<2016 年第四回定例議会・第二回臨時会を終えて> 2016 年 12 月 22 日
日本共産党杉並区議団 杉並区議会第四回定例会が 11 月 17 日に開会され、12 月 7 日に閉会しました。また、12 月 22 日、緊急に第二回臨時会が行われました(臨時会の開会理由については後述)。 今議会では、高円寺地域小中一貫校建設に関する契約議案や区立施設の指定管理者の指定に関する議案等の審議と共に、上井草保育園の民営化見直しを求める陳情、家賃助成の創設を求める陳情等、複数の陳情審査が行われ、党区議団は区民本位の区政運営への転換を求めて論戦に臨みました。 <各計画等の改定に対する区民意見(パブリックコメント)はほとんど反映されず…> 今定例会では、杉並区実行計画、行財政改革推進計画、協働推進計画、区立施設再編整備計画がそれぞれ改定され、区議会に報告されました。これらの計画は今後の区政運営の基本方針となるもので、区民サービスの後退に直結する様々な問題が含まれています。区立施設再編整備計画では下井草児童館等の新たな廃止方針が示され、行財政改革推進計画では区立保育園の民営化やさらなる業務委託等を進める方針が決定されています。 計画改訂案に対しては、多くの区民から計画の見直しを求める声が寄せられていますが、ほとんどの意見が反映されず、計画決定されています。杉並区自治基本条例では、区民参画の保障が謳われており「区民等が政策の立案から決定・評価に至るまでの過程に主体的に参加し、意思決定に関わる」とされています。さらに、パブリックコメントにおいても「区民の皆さんの意見を伺い、それらを政策等にいかしていきます」と明確に示されています。住民の声を蔑ろにし、計画を強行することは、杉並区自治基本条例にも明確に反しており重大な問題です。党区議団は、各地・各分野で切実な声を上げ始めた区民との共同を広げ、住民不在の区政運営の転換を求め全力を尽くします。 <近隣住環境に深刻な影響を与える高円寺地域小中一貫校計画を強行 70 億円超の巨額の税金投入に> 杉四小、杉八小、高円寺中の3校を統廃合し、高円寺中学校の敷地内に押し込める高円寺地域の小中一貫校建設に関する契約議案が示されました。今計画は、第一種低層地域に高さ 30m、横幅 70mの巨大校舎を建設するもので、周辺住民の住環境に甚大な被害をもたらすことになります。また、この間 2 回 5 カ所の地盤調査が行われましたが、日本建築学会の基準に合致しているものは1カ所しかなく、それさえも安定した地盤に届いていないまま調査を終えていることが明らかとなりました。そうした指摘に対し、区は「問題ない」との答弁を繰り返し無責任な姿勢に終始したことも重大な問題です。 地域住民からは、多くの懸念の声が寄せられており、計画地周辺には巨大校舎建設の見直しを求める横断幕が張り巡らされています。巨大校舎の建設費は 70 億円を超え、通常の校舎改築経費を遥かに上回る巨額の税金が投入されます。 児童、生徒の教育環境への影響も深刻です。狭い敷地に巨大校舎を建設することになるため、校舎の高層化、校庭の縮小等、ハード面において良好な教育環境が損なわれます。また、施設一体型小中一貫校については、小中学生が同じ敷地内で生活するために小学校高学年のリーダー性が失われるなど児童の発達への悪影響も指摘されており、先行的に施設一体型小中一貫校として開校した和泉学園での十分な検証も行われておらず、極めて拙速な進め方となっています。国は小中一貫校の導入にあたって“保護者や地域住民の十分な理解と協力を得ることなど丁寧な議論を行なうことが重要である”との指針を示しており、住民不在で計画を強行する区の姿勢に一切の道理はありません。 党区議団は、多くの地域住民の声を議会で取り上げ、地域住民の住環境を守ることを訴えると共に、施設一体型小中一貫校の教育環境への影響を検証することもなく工事を着工するべきではないと、計画の中止を求めました。しかし、党区議団と一部の少数会派を除く賛成多数により議案は可決。住民の切実な立場に寄り添う姿勢を持たない自民・公明・未来・平和・自無等の各会派に怒りの声が寄せられています。 <田中区長 恣意的な区政運営が深刻化 ①> 前・都知事候補を杉並区顧問へ。高額報酬を支払うも、ほとんど勤務せず… 都知事選に立候補し、田中区長も応援した増田寛也氏(自民・公明等が推薦)が選挙直後の 9 月から杉並区顧問に招かれており、月額 35 万円もの高額な報酬が支払われています。区民からは「落選後の救済措置のようだ」等の批判の声や道義的な問題を指摘する声が相次いでいます。さらに、党区議団の調査では、増田顧問の勤務実態は月 2 日間、4〜5 時間程度であることが明らかとなりました。 今定例会の一般質問では、まともな勤務実態が無いのにも関わらず高額報酬を受け取っている問題点を指摘し、直ちに報酬額を見直すよう求めました。区は「増田顧問の職務内容や経歴、実績から報酬額は妥当」としつつ「今後は、週 1 回、月4 回の来庁を考えている」と答弁。区民の批判の声を受け、今後の登庁回数を増やさざるを得なくなりました。再質問では、区長自らも答弁に立ち〝何日勤務、何日登庁とは仕事の成果を図る一つの外形的な要素〟との認識を示し「政治の現場をあまりご存じではないんじゃないのか?あまりにも短絡的なその図り方」などと強弁。担当部長も「住民からは十分な理解を得られると認識している」などと驚くべき認識を示しました。区長の答弁の一方、住民からは報酬返還を求める住民監査請求が申し立てられる等、区長と区民の認識には深刻な乖離があります。 <田中区長 恣意的な区政運営が深刻化 ②> 区長、議員等の給与等引き上げ議案を賛成多数で可決 安倍政権の下で進められる社会保障改悪や消費増税等により、区民の負担増はますます厳しくなり、住民生活に深刻な影響を及ぼしています。一方、今定例会では、区長や区議会議員の給与・報酬の引き上げに関する議案が提出されました。 区民の負担増を直視せず、基礎自治体として区民の負担軽減に向けた対策を講じることもなく、区長・議員等の報酬を引き上げることは許されません。区民からは批判の声が相次いでおり、到底、区民の理解を得られないことは明らかです。 党区議団は、区民生活を直視し、区長・議員等の給与・報酬引き上げを止めるよう求めましたが、自民・公明・未来・自無等の各会派の賛成により、給与・報酬引き上げが強行されました。 この間、杉並区内の様々な地域、分野において、田中区長の強権的・恣意的な区政運営が深刻化しています。本来、区長の行政運営をチェックする区議会も区長追随となっている点は深刻です。 住民の共同により「住民が主人公」の区政に転換することが必要です。 <住民の切実な陳情に背を向ける杉並区議会 議会の責任が厳しく問われる> 今定例会では、10 本の陳情が審査されました。そもそも区議会への陳情は、区長の行政運営に対し、二元代表制の一角を成す議会へ切実な窮状の訴えや問題の改善を求めるものです。陳情提出者からは、陳情に関する補足説明が行われ、杉並区の区政運営の問題点や改善を求める声が寄せられました。 下井草・向井公園に関する陳情では、近隣の子どもたちが拠点としていた公園が潰されたことにより、居場所を喪失した子ども達が、遊ぶ場を求めて地域内をさまよい歩く深刻な実態が語られました。上井草保育園民営化計画に関する陳情では、突然の民営化方針により、児童や保護者に大きな混乱が発生している状況や、既に民営化した認可保育園(企業立)において、園長も含む職員の大量離職が発生した問題が語られました。家賃補助制度の創設に関する陳情では、都市部での重い家賃負担の現状が示され、23 区中 11 区が既に家賃助成を実施しており、杉並区でも制度の創設が求められました。 住民から寄せられた陳情の多くが、区民の切実な願いを反映し、行政の不備や問題点を顕在化させるものであり、議会は住民の声に真摯に向き合うことが求められます。しかし、現在の区議会は多くの会派が区長追随であり、住民の声に耳を傾ける姿勢がありません。今回の陳情審査においても 10 本の陳情の内 5 本が不採択、5 本は継続動議が可決され継続審査となりました(党区議団は全ての継続動議に反対し、1 本を除く 4 本の陳情の採択を主張)。田中区長の区政運営のみならず、区議会の責任も厳しく問われます。 <賛否> 今定例会には、区長から人事案件を含む 29 議案が提案され、党区議団は教育委員会委員の任命の同意を含む 16 議案には賛成、13 議案には反対しました。区立保育園の新たな指定管理制度への移行については、民営化方針により保育士不足に拍車をかける問題点等を指摘し反対、区内社会福祉法人による指定の更新については、賛成としました。 日本共産党杉並区議団は、引き続き、多くの区民と共同し、住民本位の区政の実現に向け、全力で奮闘する決意です。 第二回臨時会の開会について
<区立保育園の指定管理者の指定(更新)に関して議決上の瑕疵が発生 違法議決に…> 杉並区議会第四回定例会の議決で瑕疵があることが判明し、臨時議会を招集、再議決が行われました。 議案第 94 号「杉並区立高井戸保育園の指定管理者の指定について」の議決の際、本来であれば除斥対象であるはずの今井ひろし議員(自民)が議決に参与しました。今井ひろし議員の母親は、本議案の指定管理者である社会福祉法人「東京家庭学校」の理事に就任しており“業務に直接の利害関係のある議事に参与することが出来ない”と定める地方自治法第 117条に抵触する事態となり、違法議決の状態が発生しました。 臨時会の冒頭では、今井議員は、自らが親族への確認を怠り議事に参与したことを謝罪しています。 <議決を再議に付し、臨時会で再議決 再発防止に向けた検討を> 違法議決の解消のため、直ちに臨時会が招集され“議会の違法・越権の議決等に対する長の処置”を定める地方自治法第176 条に基づき、再議決が行われ、賛成多数により議案第 94 号は可決されました。 今後、再発防止に向けた対策の検討が進められていますが、今回の事態は過去前例が無く、行政と議会の間で、緊張感を持った関わりが求められています。また、行政運営のチェック機能の役割を持つ議員の親族が区政運営に密接に関与する事態も道義的な責任が問われます。党区議団は、引き続き議会のチェック機能としての役割を果たします。 以上 (2016年第4回杉並区議会定例会を終えて) |
Tweet |
このページの先頭へ ▲ |