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2016年第3回杉並区議会定例会を終えて |
<2016 年第3回定例議会を終えて> 2016年10月14日 日本共産党杉並区議団 杉並区議会第三回定例会が 9月 9日に開会され、10月 14 日に閉会しました。今議会では、2015年度・平成27年度杉並区一般会計等の歳入歳出決算に対する審議が行われました。 安倍政権の暴走により区民生活への負担が深刻化し、杉並区では区立施設削減等の区民サービス削減が強行されるなか、党区議団は区民サービスを守り、杉並区が悪政からの防波堤としての役割を果たすことを求め論戦に臨みました。 <区民の負担増が深刻さを増す一方、消費増税分が社会保障に使われていない実態が明らかに> 区民の負担増はますます厳しさを増しています。年収400万円、40代夫婦、子ども1人の世帯では税と社会保険料の負担が6年間で年額約84万円から116万円へと32万円以上も増えています。6年間でひと月分の月収が家計から消えてゆく状況です。この負担増について、杉並区は区民の生活実態に真摯に向き合い、負担軽減、生活向上に足を踏み出そうという姿勢が全くありません。 前年度は消費税8%増税分の税収増により、5%だった一昨年度と比べ約60億円の増収となっています。 そもそも消費税の増税は、増税分を全て社会保障費に使うとして実施されており、国からも増税分を全て国民の社会保障に活用、還元せよとの通知もあります。しかし、前年度決算の審議では、これまでの事業の財源をただ消費税収に置き換え、実際に社会保障費が増えてはいない実態が明らかとなりました。区は「地方消費税交付金の60億円を一般財源部分の社会福祉関連経費にあてることが出来たので、その分、特定財源の繰入金と特別区債の発行を抑えることができた」と明け透けに答弁。繰入金とは溜め込んだ税金を取り崩して使うことであり、当該年度は溜め込みを42億円以上も積み増しています。 結果的には、区民が負担した増税分が社会保障の増進に使われず、その殆どが溜め込みへと充てられたことになります。 我が党は逆進性が強く低所得者に重くのしかかる消費税は、社会保障の財源にふさわしくはないとする立場ですが、当該年度の消費税増税分の税収の使い方については重大な問題が有ると指摘し、増税分は全て社会保障の増進と、介護や国民健康保険料などの社会保険料の引き下げなど区民負担の軽減に活用し、区民のくらしを守る自治体としての責務を果たすよう求めました。 <介護保険制度改悪の具体化と負担軽減に向けた取り組みの弱さ> 国の介護保険制度改悪が具体化され、様々な影響が発生しています。一定以上所得者の介護サービス利用料が2割負担となり、サービスの利用を抑制する事態が発生しています。特養ホーム入所対象からは、要介護1.2の利用者が外され、杉並区では300名を超える待機者が対象から除外されました。数値上の待機者減らしであり、特養ホーム以外の受け皿が整備されてもいない現状で、入所対象を制限することは問題です。今年度からは、要介護認定において要支援1.2の利用者が介護保険給付とは別建ての自治体独自サービスへの転換も始まっています。 深刻な現状が広がるなか、杉並区は国の動向を注視するばかりで、区民の負担軽減に向けた対策や区独自の取り組みが極めて弱いのが現状です。介護保険利用者の負担軽減に向けた、様々な施策を展開するよう求めました。 この間、特養ホーム整備が進んでいますが、区立施設再編整備計画により区立施設を削減した用地への整備方針も多く、問題です。一方、小規模特養ホーム(地域密着型特養)整備は、一箇所が計画化されましたが、取り組みが不十分です。用地が不足する都市部においては、小規模特養ホーム整備を積極的に推進すべきです。 <過去の保育施策の失政のツケを住民に背負わせる問題> 2015年4月時点での待機児童数が、前年度の116名から42名へと減少しました。認可保育所整備が進み、待機児童ゼロに近付いたことは重要です。 一方、前年度は実行計画で13園の認可保育所整備を位置付けながら、実際には7園の整備に留まりました。当時、区は認可保育所の整備から小規模保育施設の整備に方針を転換しましたが、これは明らかな政策判断ミスであり、当初の13園の整備方針を貫き、認可保育所整備に取り組み続ければ、今年度の待機児童問題の深刻化は防ぐことができました。 また、過去の保育施策を振り返れば、区長就任後から認可保育所の抜本増設に本腰を入れてこなかった実態があり、現在の認可保育所整備の遅れに直結しています。 区の政策的な判断ミス、取り組みの遅れにより、待機児童問題は深刻化しており、区が自らの責任を反省し、取り組みを総括することなく、区民や子ども達に愛された区立施設を転用し、住民に対して「ご理解を頂きたい」「譲り合ってほしい」とする姿勢は極めて問題があることを指摘し、待機児童解消緊急対策の見直しを求めました。 杉並区が積み上げた基金は460億円にも上っており、緊急事態であれば、真っ先に基金を活用し民有地活用に取り組むことを重ねて求めました。 <使用料の値上げによる区民サービスの後退 施設再編によるまちづくりの大転換> 一昨年の1月から区立施設の使用料の値上げが始まりました。区内団体からは、使用料の値上げにより活動が続けられないなどの声が寄せられており、区民サービスの後退が明らかです。この使用料の値上げは、区民生活に重大な影響を与えるにも関わらずパブリックコメントも行われずに強行されました。また「誰もが文化・芸術や生涯学習・スポーツに親しむことのできる環境」を目指している基本構想や、区民が生涯にわたってスポーツ・運動に親しみ、健康で豊かな生活を送ることを目指しているスポーツ推進計画にも大きく矛盾するものです。 区民サービスの向上の視点に立ち、更なる値上げを中止し、使用料を無料化するよう求めました。 昨年度から区立施設再編整備計画が具体化され、和田堀会館、科学館、和泉児童館の廃止、産業商工会館の再編などが強行されました。区立施設再編整備計画は区立施設の削減だけでなく、まちづくりの大転換を意味しています。これまでの区立施設は46地区を基準に整備されており、この施設配置により杉並区はどこに住んでも便利で豊かな人間関係が形成されてきました。しかし、同計画では、これを一方的に止め、駅前に区立施設を集積・複合化しようとしています。 その最たる例が、あんさんぶる荻窪の財産交換です。この計画の発端は、田中区長が荻窪駅周辺整備に国を取り込もうと税務署を駅前に賃料無料で確保すると約束し、荻窪税務署の建て替え休止を求める公文書を国に提出したことから始まりました。 ※日本共産党杉並区議団ニュースNO.358に詳細 この文書が財務省に送付された同時期には、杉並区基本構想審議会が開催され、そこでの議論では「荻窪駅前開発が民間事業では採算が合わないこと、公的な施設をからめれば税金が投入できる」と明け透けに語られています。まさに荻窪税務署や都税事務所、区税の窓口を駅前に集約化することで駅前開発を促進する狙いが語られている点は重大です。 その後、税務署移転先の確保が進まず、結果として、あんさんぶる荻窪を国に差し出すことになったことは田中区政による重大な失政です。これらの経過を議会に一切報告せず、ひた隠しにしたまま財産交換を進めようとした区長の行為は、まさに議会軽視を通り越し、非民主的かつ独裁的です。区民参画を標榜する杉並区政にあって到底認められません。 党区議団は、財産交換の中止と共に、まち壊しに直結する区立施設再編整備計画の強行を止めるよう求めました。 <住民参画を蔑ろにする区行政の問題 自治基本条例にも反する姿勢> この間の区の姿勢は、区民が政策の立案から実施及び評価に至るまでの過程に主体的に参加し、意思決定に関わるとした「自治基本条例」に明確に反しています。あんさんぶる荻窪の財産交換や公園転用による保育園整備問題は、計画立案の経過を議会や住民には一切報告せず、計画決定後に説明を行っています。「計画先にありき」で住民説明会やパブリックコメントが形ばかりのものになっている現状は深刻です。 まちづくりやコミュニティの形成に重大な影響を及ぼす区立施設の今後のあり方は、住民とともに考え、合意形成をしながら進めていくという自治体本来の姿勢に立ち返ることを求めました。 <高円寺地域の小中一貫校問題 校舎の巨大高層化等々の深刻な影響が明らかに> この間、小中一貫校の様々な問題点が明らかとなっていますが、検証作業等の問題の総括検証が行われないまま、高円寺地域に新たな小中一貫校が作られようとしています。幹線道路沿いの環境の悪い高円寺中へ杉四小、杉八小を統廃合する高円寺の小中一貫校計画は、南北約72m、東西約60m、高さ約30mの6階建てにものぼる巨大高層化する校舎、校庭の縮小、通学時間・距離の増大等、子ども達の教育環境、近隣住民の住環境に悪影響を与えるものです。 この計画は、パブリックコメントでも説明会でも多くの区民が反対の声を上げてきました。しかし、そうした区民の声に耳を傾けず、計画を強行してきたことにより、高円寺中の周辺の住民は計画に反対する横断幕を掲げるような重大事態にまで発展しています。 党区議団は、学校づくりの要となる地域住民や子ども達の声に耳を傾け、一貫校計画自体 を見直すことを求めました。 <賛否> 今定例会には、区長から9議案が提案され、党区議団は教育委員会の任命の同意を含む5議案には賛成、4議案には反対しました。富士見丘小学校の移転用地取得に伴う用地会計予算については、区民の総意がなく進めている手続き上の問題や“児童の発達上の影響等の検証が進んでいない”施設一体型小中一貫校整備も学校整備の選択肢の一つとなっている問題点等を指摘し、学校整備の明確なビジョンが示されないままの移転には賛同出来ないとして反対しました。また、平成28年度杉並区一般会計補正予算(第5号)は、待機児童解消緊急対策に基づき、この間、大きな問題となっている向井公園・東原公園の転用に関する予算等が計上されているため反対としました。 2015年度各会計決算については、一般会計と3つの特別会計については不認定としました。 今定例会では、請願2本・陳情3本が審査されました。党区議団は全ての請願・陳情の採択を主張しました。 日本共産党杉並区議団は、引き続き、多くの区民と共同し、区民の切実な要求実現と、区政の刷新に向け全力で奮闘する決意です。 以上
(2016年第3回杉並区議会定例会を終えて) |
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