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2015年第3回杉並区議会定例会を終えて |
2015年 杉並区議会第3回定例会を終えて 2015年10月20日
日本共産党杉並区議団
9月10日から始まった杉並区議会第3回定例会は、10月16日閉会しました。 日本共産党区議団は、安倍政権の暴走が加速するもと、杉並区が、区民のくらしを守る自治体の責務を果たすとともに、区民サービスを後退させる区立施設再編整備計画の見直しを求め、論戦に臨みました。 ―共同を広げ、「戦争法」(安保法制)廃止へ 今定例会は「憲法違反の戦争法強行は許さない」という国民の世論と運動がかつてなく広がったなかで開かれ、区長がどのような立場に立つのかが問われました。党区議団は、住民の安全を守る立場に基づいた区長の見解を質しましたが、区長は答弁に立たず、所管の部長が「国の安全保障の根幹をなす政策であり、国民的合意形成が必要と受け止めている。現状において賛否を含め様々な意見があり、現在参議院で審議が続いているが、残された審議時間のなかで、合意形成に向け努力を惜しむことなく議論を尽くしてほしいと考えている」と答弁しました。圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、元最高裁判長官らが憲法違反と指摘する戦争法について「残された審議時間のなかで合意形成を」という答弁は、違憲立法を肯定するに等しいもので、その姿勢が厳しく問われます。 区議会では、わが党を含む超党派17名の議員が6月に安保関連法案の廃案を求めるアピールを発表し、宣伝行動など共同の取り組みを進めてきました。党区議団は、引き続き、立場の違いをこえて共同を広げ、戦争法廃止と立憲主義を取り戻す国民連合政府の実現を目指し、奮闘する決意です。 ―厳しさを増す区民生活と豊かな区財政 「下流老人」「子どもの貧困」という言葉がメディアでも話題になるなど、あらゆる世代で貧困が広がり社会問題になっています。歴代自民党政権のもと、雇用制度や社会保障の改悪が繰り返されてきたことが大きな要因です。賃金や年金が減少する一方で、社会保険料の引き上げは区民のくらしに重くのしかかっています。 たとえば、年金月額20万円で暮らす75歳高齢夫婦の税と社会保険料の合計は、今年度ついに年間30万円をこえました。さらに、この世帯では年間15万円の消費税がのしかかります。 後期高齢者医療保険料は2年ごとの見直しのたびに値上げされてきました。来年度の改定では、一人あたりの平均保険料は年額10万円を超す見込みです。加えて、安倍政権は低所得者に行われている保険料の「特例措置」の廃止を狙っており、保険料は2〜3倍、場合によっては5〜10倍に跳ね上がります。区内で特例措置を受けている高齢者は加入世帯の約半数に上り、きわめて大きな負担増となります。介護保険料も値上げが繰り返され、15年前の制度発足時2,940円だった基準月額保険料は、今年度5,700円にも跳ね上がっています。 現役世代も大変で、40歳夫婦と子どもひとり年収300万円の世帯の場合の税と保険料負担は77万6千円にも達し「もう限界」との悲鳴が上がっています。 党区議団が「区民のくらしを痛めつける法改悪はやめるよう国に意見を上げるべき」と求めても、区長は「税と社会保障の一体改革は必要」と繰り返し、消費税増税と社会保障の改悪を容認、国の悪政に立ちはだかる姿勢がありません。国民健康保険料についても値上げに歯止めをかける姿勢がないことも問題です。 区民のくらしが深刻になる一方で、2014年度は、特別区財政交付金や区税等の歳入増により、区財政はいっそう豊かになり、54億円が財政調整基金に積み立てられました。「景気動向の影響や将来に備える」として着々と550億円の「財政のダム」が構築されています。区民が納めた税金は、増大する社会保険料の負担軽減や緊急に求められている区民要求にこそ最優先で回すべきであり、異常な積み立てはやめるべきです。 ―区立施設再編整備計画はいったん凍結を ・児童館やゆうゆう館など、廃止・転用される施設について、機能はそのまま残るようなことが言われてきましたが、動き出した現場では機能の低下があらわれています。阿佐谷南にあった「ゆうゆう阿佐谷館」は阿佐谷北の区民会議室だった施設に無理やり移転させられました。阿佐谷南地域には高齢者の居場所がなくなり、さらには、移転先のバリアフリー化が間に合わず、2階の和室入口の段差で高齢者がつまずき怪我をするという問題が発生しました。来年は和泉児童館がなくなり「(仮称)子ども子育てプラザ和泉」という乳幼児専門館に転用されます。児童館機能は和泉学園に移す計画ですが、具体的な機能継承は検討中ばかりで、現状の和泉児童館が果たしている役割が継承されるか未定です。計画全体について、変更や修正が相次いでおり、場当たり的な対応といわざるを得ません。 ・区は、あんさんぶる荻窪の財産交換の必要性について「200名規模の大規模特養建設」「地域包括ケアのバックアップ機能」のためだと強調してきました。しかし、複合施設に入る「バックアップ機能」は、質問のたびに機能のイメージや重点内容が次々変わる答弁が繰り返され、まったく具体性がない現状が明らかになりました。複合施設は児童館を除く現在のあんさんぶる荻窪の機能がそのまま移転するようなものですが、建設に30億円もの巨額の税金を投入することも党区議団の質疑であきらかになりました。200名規模の特養ホームについても、税務署隣接の国家公務員宿舎部分だけでも80名規模の特養整備は可能であり、あわせて区内7圏域に小規模特養ホーム(29名以下)を1か所ずつ整備することで十分に可能です。大規模特養にこだわり、あんさんぶる荻窪が培ってきた地域コミュニティを壊し、子どもたちに犠牲を押しつける道理のない財産交換はやめるべきです。 党区議団は、各地域で進められている施設再編整備計画について、住民の理解や合意を得て進めるという住民自治の基本姿勢が区には欠如していることを指摘してきました。とりわけ、財産交換問題について、荻窪地域の町会や利用者から、再三にわたり説明会開催を求める声が上がっていますが、一貫して拒否し続けていることは問題です。「区立施設再編整備計画」はいったん凍結し、住民との合意形成や協同の努力を深めていくべきです。 ・産業商工会館は、当初今年3月で廃止される予定でしたが、全面解体は近隣周辺に及ぼす影響が大きく多額の経費がかかるとして、2階・3階を減築し、杉1小の複合化建設までは1階と地下1階の施設で運営されることになりました。そのことに伴って、3階ホールを廃止する議案が提案されました。党区議団は「減築改修で一定期間存続されることになったが、最終的には全面廃止となる。産業商工会館は貴重な施設であり、現在の場所に建築可能な範囲で建て替えるべき。施設の削減は住民活動の場を奪いサービス低下につながる」として反対しました。 ―区民サービスの低下につながる国保年金課の民間委託は中止を 区は、2017年1月から、国保年金課業務の7割を民間事業者に委託する準備を進めています。国保年金課で取り扱う情報には、氏名・住所をはじめ、保険料滞納や病気のことなど、きわめて重要な個人情報が含まれておりプライバシーの漏えいが懸念されます。また、窓口や電話対応などの「国保年金課の顔」となる業務の大半を委託することになれば、区職員が区民の生活実態を把握しながら公務員としての能力を培っていく機会を奪うことになります。公的責任を放棄し、住民サービスの低下をまねきかねない業務委託方針は撤回すべきです。 ―安心できる介護保険制度に 介護保険法が改悪され、介護現場に様々な影響が発生しています。特養ホーム入所要件が要介護度3以上となり、区内では336人が入所対象から外されました。また、低所得者が介護施設を利用する際、食費居住費の補助となる「捕捉給付」の対象要件も縮小され「大幅な負担増となりつらい」との悲鳴があがっています。国に改悪の撤回を求めるとともに、区としても支援を検討するよう求めました。 ―区立保育園は直営で 区立下高井戸保育園の改築に伴い、管理運営を民間事業者に任せる議案(指定管理者の指定について)が提案されました。党区議団は、指定管理者制度では5年ごとに事業者が入れ替わる可能性があり、保育の質を維持するうえで重要な専門性、安定性、継続性の観点から大きな問題があり、区立保育園は直営で維持すべきと主張し、反対しました。 ―住宅施策の拡充を 民間住宅の家賃負担は、高齢者、障がい者、子育て世代のくらしを大きく圧迫しています。杉並区の公営住宅の割合は1万人あたり74戸で、23区平均の196戸を大きく下回り、23区中下から5番目となっています。応募倍率は区営住宅で6倍以上、都営住宅では約30倍です。公営住宅の増設は切実な要望ですが、区は大規模な公営住宅団地が区内にあるとして公営住宅不足を認めようとしていません。民間住宅の空き家やアパートの空き室などを借上げ公営住宅として提供することや、低所得者世帯への家賃補助制度を実施すれば、大規模住宅を建設しなくても住宅施策を拡充できると提案しました。 ―教育環境の整備を 学校統廃合による区内初となる施設一体型小中一貫校「和泉学園」が今年4月開校しましたが、様々な弊害が発生しています。それに続き、高円寺地域で、杉四小、杉八小を高円寺中に統廃合する計画が進められています。和泉学園よりも過酷な計画で、校舎の高層化、校庭の縮小、小中一貫校なのにプールが一つなど、多くの問題を抱えた内容となっています。教育環境の悪化は明らかであり、統廃合よる施設一体型小中一貫校計画は中止すべきです。 来年度から、情緒障がい児童のための通級指導学級が段階的に廃止され、各学校に特別支援教室が設置されることになりました。教員削減や、今までプレイルームや集団指導などが行える専用の教室での指導から、空き教室や図書室などでも指導が行えるようにするなど、教育環境の悪化が懸念されます。 ―陳情・請願の審査率向上に向けて 杉並区議会では、区民から提出された「陳情」「請願」の審査率がきわめて低いことが問題となっており、党区議団はこれまで繰り返し審査を進めるよう主張してきました。住民から各会派への働きかけもあり、区議会として審査率を上げていくことが確認され、各委員会で積極的に審査が行われることになったことは重要な前進です。今後も審査率向上に向けて取り組んでいきます。 今定例会には、区長から9議案が提案されました。党区議団は、先に述べた産業商工会館条例の一部を改正する条例、区立下高井戸保育園の指定管理者の指定について、介護保険窓口業務を民間委託するための業務分析やマイナンバー制度の事業推進の費用などが計上された一般会計補正予算(第2号)の3議案に反対、6議案に賛成しました。2014年度の各会計決算については、一般会計と国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の3つの特別会計については不認定、中小企業勤労者福祉の特別会計については認定しました。 日本共産党杉並区議団は、引き続き、区民の切実な要求実現とあわせ、あらゆる分野で暴走を加速させる安倍政権を早期に退陣させ、新しい政治を実現するため全力で奮闘する決意です。 以上 (2015年第3回杉並区議会定例会を終えて) |
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