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2014年 杉並区議会第3回定例会を終えて |
2014年 杉並区議会第3回定例会を終えて 2014年10月15日 日本共産党杉並区議団 9月9日から始まった杉並区議会第3回定例会は、10月14日閉会しました。 今定例会は、2013年度の決算審議も行われ、日本共産党区議団は、区民や団体から寄せられた声をとおして区民生活の実態をうきぼりにし、くらしを支援するために区が全力を尽くすよう求め、奮闘しました。 ―増税と負担増にあえぐ区民生活の実態 年金や賃金の減少、消費税の増税に加え、国民健康保険や後期高齢者医療の保険料の引き上げなどが、区民生活を圧迫しています。たとえば年金収入月20万円で暮らす75歳高齢夫婦の税と社会保険料の合計は、年間30万円弱で、1か月半分の年金が吹き飛ぶ計算です。消費税は年間15万円払っていますが、10%に増税されれば、年19万円に負担が増え、年間50万円弱も税と保険料を支払うことになります。 現役世代の負担も大変で、40歳夫婦子どもひとり年収400万円の世帯の場合、2013年度の所得税、住民税、国民健康保険料、介護保険料、年金保険料の合計は約93万円。消費税が10%に増税されれば、その負担は年間23万円にもなり、税と保険料の合計負担額は116万円、月収3.5か月分にあたる金額です。 国民健康保険料の滞納世帯は加入世帯の3割以上を占め、保険料を払いたくても払えない滞納世帯は増加の一途をたどっています。 ―問われる区長の姿勢 〜悪政に立ちはだかる姿勢がない 区長は所信表明で「区の使命は、区民の生活や地域の現状をしっかりと把握し、区民福祉の向上を図ること」と述べました。しかし、区民のおかれている状況や区民生活をどう守るのかについての言及はありませんでした。党区議団は、くらしと経済を壊す消費税増税について、国に中止を迫るべきと再三にわたり求めてきましたが、今議会でも「消費税増税は避けて通れない道筋であり、将来の不安解消を図るためにも必要な施策」と答弁。来年10月の消費税10%増税については「動向を見定めていく」と政府に白紙委任の態度で、負担増にあえぐ区民の実態を直視し、悪政の防波堤となる姿勢がありません。秘密保護法、集団的自衛権行使容認、原発再稼働についても、「国の動向を注視する」ばかりで、区民のくらしや安全を脅かす問題に立ちはだかる姿勢がなく、国の追認機関となっていることは問題です。 ―「近隣住区の考え方」から駅中心のまちづくりへの変更と非民主的な財政運営 杉並区はこれまで、区全体を7つの「地域」、46の「地区」に分け、「地区」ごとに小中学校や保育園、ゆうゆう館など区立施設をまんべんなく配置してきました。これを「近隣住区の考え方」といい、これによって、たとえ駅から離れていても利便性が高く、人間関係の豊かな住宅都市を形成してきました。ところが田中区長は、駅前に区立施設など様々な施設を集中していく駅中心のまちづくりへと方針転換を示しました。 その財源を作るかのように財政運営では、550億円の財政のダム構築がうたわれ、「万難を排しても」3カ年で160億円を貯める方針が示されています。また、区長が自由に使える予算枠の拡大を意味する「経常収支比率80%」という財政数値にこだわっているため、数十億円レベルの区民サービス削減あるいは人件費削減が危惧されます。自治体の責務はいうまでもなく福祉の向上です。貯めこみを優先させて区民福祉が低下すれば本末転倒です。 今、区政の在り方が逆立ちしています。区民本位の政治に戻すことが求められます。 ―施設再編整備計画と使用料の見直しに関連して 児童館やゆうゆう館の存続を求める運動、産業商工会館と阿佐ヶ谷地域区民センターを廃止して杉1小への統合に反対する運動、あんさんぶる荻窪と荻窪税務署等との財産交換に反対する運動など、区内各地で「施設再編整備計画」の見直しを求める運動が広がっています。区民や利用者は、計画に納得できないとし、区に話し合いを申し入れましたが、区はこれを拒否しました。区民から「区は、『今後も計画の具体化にあたっては引き続き区民の意見を聞き、理解を得ながら進める』としてきたではないか。話し合いを拒否するとは、これと矛盾するものだ。納得できない」と怒りの声をあげています。自治基本条例でも「区民は区政に参画する権利及び区政に関する情報を知る権利がある」と定めており、区の姿勢はこの精神に反するもので認められません。区民や利用者から協議の求めがあった場合は応じるよう、求めました。 さざんかネットの登録団体半額制度を廃止し、区立施設の使用料を大幅に値上げする「使用料の見直し」が昨年度強行されましたが、党区議団は、区がパブリックコメント(区民意見聴取)を行わなかった問題を指摘。区の条例には「区民生活あるいは事業活動に重大な影響を与える計画」はパブリックコメントを行わなければならないと書いてあることを示し、あらためて区の姿勢を問いましたが、区は「『区民生活や活動に重大に影響する計画』にあたるものではない」と答弁しました。区民活動を軽視する姿勢は問題です。 ―区民サービスの低下につながる民間委託は中止し、業務量に見合った職員の増員を 国保年金課の窓口業務を民間業者に委託する方針が示されました。国保年金課の窓口で取り扱う情報には、氏名・住所をはじめ、保険料滞納や病気のことなど、きわめて重要な個人情報が含まれており、プライバシーの漏えいが懸念されます。また、窓口では、区民から様々な相談も寄せられますが、機械的な対応になり、区民に寄り添った対応ができるのか、区の職員が直接指示できないため、事務の流れがスムーズにいかず効率的とはいえない、など多くの問題点を含んでいます。戸籍業務を民間委託した足立区では、偽装請負に当たると東京労働局から是正指導を受け、委託の一部撤回を表明しました。「通常は5分で終わる手続きに3時間以上かかった」という事態も発生し、区民サービスは大きく低下。「経費削減」で委託したにも関わらず、多額の経費がかかりました。このように、窓口業務の民間委託は、住民サービスの向上につながらないことはあきらかであり、委託方針は撤回すべきと迫りました。区は「慎重に検討し準備を進める。撤回は考えていない」と答弁。自治体の責務を投げ捨てるもので認められません。 経済や雇用情勢の悪化などにより、生活保護世帯が年々増加しています。国の標準では、ケースワーカー1人が受け持つ生活保護世帯数は80世帯とされていますが、多くの自治体で標準を超える世帯数を受け持たざるを得ない実態となっており、杉並区の場合も、ケースワーカー1人当たりの受け持ち世帯数は約100世帯となっています。そうした状況のもとで、福祉事務所の職員の対応について、一部に人権感覚に欠けた対応があることが、他会派からも指摘されました。困難事例も増えているなか、被保護世帯の実態に寄り添った丁寧な対応のためには、職員の増員が不可欠であり、現場の実態に見合った職員の増員を求めました。 ―保育の質を維持し、認可保育所の増設を 来年4月実施予定の「子ども子育て支援新制度」は、国や自治体の責任を後退させ、保育の市場化をすすめるもので、公的保育制度を大改悪するものです。党区議団は、現行の保育水準を維持し、質の低下をまねかないよう求めました。また、新制度へ移行するもとであっても、認可保育所の増設を中心とした待機児童対策を進めていく方針を示したことを評価し、営利企業任せでなく、区が責任をもって整備にあたるよう求めました。 ―安心できる介護サービスの継続と障がい者施策の充実を 要支援者の介護保険給付はずし、特養ホーム入所要件を要介護度3以上に狭める、一定の所得がある高齢者の利用料の引き上げなど、介護保険制度創設以来の大改悪が強行され、来年4月以降実施される予定です。現行のサービス水準を低下させないことや利用者のサービス選択を尊重するよう求めました。 また、「親亡き後」の障がい者の住まいの確保の要望は切実であり、党区議団は、医療ケアにも配慮した住宅施策を求めてきましたが、区長が「焦点を当てて考えていく」と答えたことは重要です。 ―公有地の活用で福祉施設の拡充を 区民の運動や党区議団のねばり強い要求により、認可保育所や特養ホームの整備が進められています。今定例会でも、党区議団の質問に対し、下井草一丁目にある廃止決定された国家公務員宿舎跡地(1,000㎡程度)への認可保育所整備方針が示されました。重要な前進であり、引き続き公有地の活用を求めます。 ―水害の根絶に全力を 集中豪雨による浸水被害が区内でも多発し、今議会でも、多くの会派がこの問題を取り上げました。党区議団は具体的に被害地域を示し、その特性と対策について区の見解を質しました。区が「それぞれの被害地域の実態調査と水害の特性を踏まえた対策を取る」と答弁したことは重要な前進です。 ―施設一体型小中一貫校と学校統廃合について 決算年度(2013年度)から和泉地域の施設一体型小中一貫校の建設が開始されました。和泉地域では小中一貫教育が8年間続けられてきましたが、結果は新泉小、和泉小に通う8割前後の児童が、和泉中を選ばないという異常事態となっています。そうした状況にもかかわらず、施設一体型一貫校がつくられる問題を議論した形跡がないのは大問題です。統廃合される新泉小跡地は民間売却を免れ、特養建設や集会所機能設置など地域の声が反映されることとなりましたが、“教育と福祉の二者択一を迫られているようだ”との声もあがっています。高円寺地域でも施設一体型一貫校計画が進められていますが、計画の中止を求めて議会内外で奮闘します。 ―子どもの貧困対策は重要課題 〜塾代助成制度は継続を 昨年度、生活保護世帯の中学3年生の塾代を年間15万円助成する制度が始まり、効果があらわれていることが明らかとなりました。しかし、自民党など複数の議員から、「低所得世帯と比べ不公平だ。貸付制度などに見直すべき」と、施策を攻撃する質疑が執拗に行われました。区は、一度は貸付を含めて検討しなおすと答弁しましたが、最終的に、区長は「貸付制度への変更を最終目標とした検討ではない」と答弁。党区議団は、子どもの貧困が問題となり、対策が求められているなか、貧困の連鎖を断ち切る重要な施策として、制度の維持を求めました。 今定例会には、区長から17の議案が提案されました。党区議団は、あんさんぶる荻窪と荻窪税務署等の財産交換を前提とした環境情報館の高井戸への移転、荻窪税務署等跡地に複合施設を建設するための設計費が計上された補正予算、現行基準を引き下げる子ども子育て新支援制度関連など合計5議案に反対、12議案に賛成しました。2013年度の各会計決算の認定については、一般会計と3つの特別会計は不認定、1つの特別会計は認定しました。 日本共産党杉並区議団は、引き続き、区民の切実な要求実現とあわせ、くらしと平和、民主主義を脅かす攻撃を許さないたたかいに、全力で奮闘する決意です。 以上 (PDFはこちらからダウンロードできます。) |
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