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2026年杉並区議会第2回定例会一般質問(和氣みき)(2026年5月25日) |
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5月25日の本会議で和氣みき区議が一般質問に立ちました。その際の質問全文を掲載します。 答弁を含めた一般質問の様子は、以下のリンクからご覧になれます。 ★リンク ⇒ 本会議の録画中継 (会議終了からおおむね24時間後(土曜日・日曜日・祝日を除く)に、「速報版」をご覧になれます) 日本共産党を代表して高次脳機能障害支援等について質問します。 わたしは、この3年間、様々な分野で当事者、ご家族、支援者のみなさんと懇談する機会を重ねてきました。その中で、高次脳機能障害について自らが、まったく知らなかったことに気づかされました。 高次脳機能障害は、交通事故、脳卒中、脳炎、低酸素脳症など、様々な原因によって脳が損傷を受けた後に生じる障害で、判りにくさの特性があり「目に見えない障害」と言われています。 記憶障害、注意障害、感情コントロールの困難、失語、疲労の強さなど、症状は多様であり、個人差も大きいことから当事者や周囲の人たちも障害の特性を理解するまで長い時間を要します。 そのため、怠けている、性格が変わったなどと誤解され、孤立してしまうことも少なくありません。 しかも、この障害はある日突然発症し、昨日まで働き、学び、暮らしていた人が事故や病気をきっかけに、当事者になってしまいます。 だからこそ、医療、福祉、教育、就労、地域生活など多角的な支援が必要であると強く感じています。 昨年、調査に伺った障害者福祉会館の作業療法士の方から高次脳機能障害の歴史の原点は1963年11月に発生した福岡県大牟田市の三井三池炭鉱での爆発事故だとお聞きしました。 労働者1403人のうち死者458人、一酸化炭素中毒者839人を出す戦後最大級の大惨事事故であり、当時、多くの被災者が原因不明の症状に苦しみました。その後、労働災害と判明しましたが、高次脳機能障害という概念が確立しておらず、その原因究明も支援も極めて困難だったとされています。 久留米大学の松瀬博夫教授は、2021(令3)年〜2024(令6)年の3年計画でおこなった研究で 「CO中毒による高次脳機能障害患者の経年変化や環境変化に対応した包括的リハビリテーション・支援モデルに関する研究」の60年経年調査で、この爆発事故で「被災後60年経過後もCO中毒後遺症が認められること、数10年にわたって後遺症が続き、さらに加齢の影響も加わるため長期間の支援が経年的な変化に対応しながら途切れなく必要となること、後遺症に対する医学的支援を継続し介護・福祉サービスを計画する必要がある」 ことを示されています。 この研究は、高次脳機能障害が一時的な問題ではなく、生涯にわたる支援を必要とする障害であることを示した重要な知見です。 また、わたしは昨年、高次脳機能障害について国立障害者リハビリテーションセンターにもお話をうかがいました。同センターでは「高次脳機能障害は「目に見えない障害」であり、行政的な診断基準で「器質性精神障害」として精神障害に位置付けられ、当事者の脳の中でおこっている機能障害であり、そのために当事者、家族だけではなく、周囲の人々も困惑することが多く、高次脳機能障害を持つ方が安心して地域で暮らしていくためには、医療、障害福祉サービス、自治体、家族等、当事者と接する関係者が適切な知識を共有して当事者を支えていく必要がある」とのご意見をうかがいました。 そして、昨年2025(令7)年12月、国会では「高次脳機能障害支援法」が超党派議員連盟で作成され、衆議院参議院全会一致で可決、2026(令8)年4月1日施行されました。 10年以上、国会では議論されてきましたが立法には至らず、このたび当事者、ご家族や関係者のみなさんのたゆまぬ努力によって国を動かし、必要な相談施策、支援体制などの法整備がされたことは画期的です。 4月1日の法施行を契機に、杉並区の取組や支援について確認するとともに、だれもが当事者になる可能性のある高次脳機能障害を多くの方に知っていただき、現在、高次脳機能障害を抱えながら生活している方々や、支えるご家族、支援者のみなさんの声を今後の区政に反映させる機会にしたいと思います。 まず、区の施策の方向性についてうかがいます。 前区政において2022(令4)年1月に策定された第1次杉並区総合計画・実行計画では、施策目標実現のための取組で「障害者の地域医療体制の整備」事業は入っておらず、重点項目ではありませんでした。 しかし、現区政において社会経済環境の変化に対応する等として、1年前倒しで策定された第2次総合計画・実行計画では、新たに「障害者の社会参加と地域生活の支援」が加わり、実行計画事業の中に「高次脳機能障害者の支援」が盛り込まれました。 さらに、「杉並区障害者施策推進計画」では、「障害特性に合わせたコミュニケーション支援の充実」の取組として ① 失語症者の意思疎通支援の実施障害者生活支援 ② 高次脳機能障害者等の相談支援事業の充実 の2項目が盛り込まれました。 高次脳機能障害支援が区の計画に明記されたことは重要な前進であり、当事者、支えるご家族や支援者にとって大きな励みになると受け止めています。 Q1 そこでうかがいます。 高次脳機能障害支援法の第5条では、「地方公共団体は自主的かつ主体的に高次脳機能障害者に対する支援に関する施策を策定し及び実施する責務を有する」と定めています。 杉並区では、これまでも様々な高次脳機能障害の取組をしてきたと思いますが、今回の法施行について、どのように受け止めているのかお聞かせください。 また、区では把握している区内の高次脳機能障害者について障害となった主な原因、年齢層や相談傾向など、現状をどのように認識しているのか確認します。 次に相談体制の整備についてうかがいます 杉並区在住で16歳の時にバイク事故により救急搬送され、手術により一命をとりとめ、その後の後遺症により高次脳機能障害と診断されたAさんにお話をお聞きしました。 バイク事故により病院へ搬送され、外傷性くも膜下、意識障害が数時間以上続くびまん性軸索(じくさく)損傷、肺損傷、体中の骨折で一か月意識不明が続き、右半身マヒと失語症の後遺症を発症したといいます。3か月入院し、リハビリを重ね、転院後には片目が全く見えなくなり、神経が切れたことによる動眼神経麻痺、視野狭窄症を発症、今でも片目は一方向のみダブって見えて、左右は見えないといいます。3度の転院を重ね、退院後、脳外科、眼科、リハビリテーション、精神科の通院が続いたということでした。 しかし、退院後の生活については「どこに何を相談すればいいのか」「制度を知らなければ、そのまま孤立していた」と当時をふり返っておられました。 病院によっては医療相談室が丁寧に関係機関につなぐ場合もありますが、対応には大きな差があるという事です。 事例の方は、これからどうやって暮らせばいいのか、その時は「混乱する中では声をあげられなかった、あげなかった」とお話してくれました。 支援法第17条は「個々の高次脳機能障害者の特性に配慮しつつ医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に必要な相談体制の整備を行う」とあります。 Q2 医療機関、保健センター、障害福祉部門が連携し、高次脳機能障害の方を早期に支援につなぐため、現在どのような体制をとっているのか、うかがいます。 Q3 高次脳機能障害の方から「最初にどこに相談すれば良いかわからない」という声があります。 当事者やご家族が制度の困難さ、不安で孤立しないように可能な限り早期に相談につながる仕組みが必要と考えますが見解をうかがいます。 手帳の申請移行事務を担う保健センターにお話をうかがうと、「相談を受ける中で、一見普通に見えても、対話を進めるうちに当事者の方に疲れが出てしまう、また希望する要求が変わったり、どうしようもなくなってアルコールやギャンブル依存になってしまう方もいて面接、訪問、電話などで対話する中で、様々な症状が疑われる場面があり、判断の難しさがある」など、相談業務に係る保健センターのみなさんの奮闘を感じました。 次に制度の利用と経済的負担の軽減についてうかがいます 脳神経外科、内科、リハビリテーション科などの医師によって「高次脳機能障害」と診断され、障害者手帳の取得や障害者年金の受け取り、障害福祉制度や年齢によって介護保険制度の利用ができるための医療、保健センターや区の福祉制度の連携は重要です。 区が福祉の支援を判断するには、医療機関の診断による病状、障害によって支援制度が変わるため、今まで当事者、ご家族などが確認し、区に相談することが求められてきました。 一方で、軽度の方の中には、退院後、障害者手帳の取得が面倒で相談にもおとずれず、手帳を持たずにいる方もいるとお聞きします。しかし、この障害は、時間が経過することで症状が変化をすることから、症状によっては生活に支障をきたし、支援がわからないまま孤立する方も多いとお聞きしました。 Q4 区では、高次脳機能障害などの中途障害者が、地域で自立した生活が送れるように窓口が設置され、作業療法士、言語聴覚士、理学療法士、看護師、社会福祉士などの専門職による相談支援の取り組みが運営されています。 聞き取りをしながら病院、保健センターや区の窓口がある中で、当事者が「なにかおかしい」と感じた時、最初の一歩がどこなのか、判りにくいと思いました。困りごとがうまくつながるように簡潔な最初の導きが求められますが、区としてどのような課題認識を持っているのかうかがいます。 高次脳機能障害は、脳卒中や脳外傷などを原因とすることが多く、40歳以上65歳以上未満でも、介護保険法の特定疾病に該当する場合には介護保険サービスが優先されるケースがあります。 しかし、高次脳機能障害は、身体介護だけでなく、記憶障害や注意障害、感情コントロール、就労や社会参加への支援など、障害福祉サービスによる継続的・専門的支援が重要です。 介護保険制度は、高齢者介護を前提としているため、若年の高次脳機能障害者に必要な社会復帰支援や認知面への支援が十分につながりにくく「制度が複雑で理解しづらい」との声が寄せられています。 Q5 高次脳機能障害は、障害や特性に合わせて、より個別の支援が必要と考えますが、介護保険サービスと、障害福祉サービスをより適切に利用できるような取り組みが求められています。区の見解をうかがいます。 働き手である夫が、介護が必要となり、仕事を止めざるを得なくなったご夫婦のお話をお聞きしました。 突然、経済的な補償がなくなり、生活全般に影響がある中で、特に障害福祉の支援にはつながったものの、通所施設への送迎に家族の支援が必要になり、負担が重くなったとのことでした。 Q6 障害のある方が、希望するときに希望する場所へより行きやすくするための移動支援事業について、区の「移動支援事業ガイドライン」は、要綱で高次脳機能障害者に対する移動支援は適用されていますが、通年かつ長期にわたる外出としての通所は支援外となっていました。 移動支援事業については、2025(令7)年に支援の見直しをおこなったとお聞きしました。高次脳機能障害の方が通所するにあたり、移動支援をどのように利用できるようになったのかうかがいます。 次に人材育成についてうかがいます。 杉並区の高次脳機能障害の相談者数は、2024(令6)年度197人、前年度比で70人増、相談件数では 2024(令6)年度1,993件、前年度比1,325増と6倍強に増加しています。 Q7 支援法第29条では、専門的知識を有する人材の確保等が示されています。 相談件数が増加する中、継続的に高次脳機能障害に対して質の高い行政サービスを提供するために、区ではどのような取組をおこなっているのかうかがいます。 Q8 区は、支援する担い手について、ガイドヘルパー確保のための取組を進めています。 ガイドヘルパー不足解消のため、すぎなみ地域大学ではガイドヘルパーとして携わる技量を身につけた人材を養成し、修了者を区内の事業所につなげています。2022(令4)年度からは養成講習会を年2回開催し、講習会を1回から2回に増やした結果、修了者数も1回で10人以上が修了を達成しています。 これらを踏まえ、さらなる支援の担い手確保のための区の新たな取組についてうかがいます。 次に関係機関と連携についてうかがいます。 今まで高次脳機能障害は特化した法律がなく、障害者総合支援法、介護保険法、児童福祉法、生活保護法等を適用し、保健センター、障害者施設支援課や家族会などが連携し、支援事業を通して当事者や支援者などの困りごとに対応してきました。 支援法制定にあまりにも長い時間を要したため、その間に関係者によって構築された制度や仕組みが逆に支援法の骨組みをほぼ満たし、地域現場から立法に大きな影響を与えました。 Q9 区では、高次脳機能障害者の自立した日常生活、就労等の支援の充実を図ることを目的に、2023(令5)年4月1日に「杉並区高次脳機能障害者関係機関連絡会設置要綱」を策定しています。 連絡会は、障害の当事者、ご家族の会や支援団体、作業所、医療機関、杉並区等によって構成され、意見交換が行われています。 2024(令6)年度は連絡会を2回開催し、2025年度は1回開催され多くの分野で情報が共有され始めています。 他区と比べて早期に関係連絡会の設置するに至った経緯をうかがうとともに、支援法の施行後もさらなる取組みを検討されているのかお聞きします。 最後に高次脳機能障害についての周知強化についてうかがいます。 Q10 現在、区内で高次脳機能障害のパンフレットは様々作成されていますが、どれも大事な内容ですが重複する内容もあります。 世田谷区の「世田谷区で支える高次脳機能障害」のご相談ガイドは、区内施設の一覧にくわえ、9項目にわけた制度のしくみを紹介し、ホームページで見られるようになっています。 墨田区では、地図を見れば支援機関が一目でわかる「墨田区高次機能障害支援マップ」が作成されているとともに、当事者の方が手助けを受けやすくすることを目的に作成された「お願い手帳」が無料配布されています。 一方、杉並区には、高次脳機能障害支援をまとめたホームページがなく、情報が探しづらい状況です。 区民が必要な支援にたどり着けるよう、高次脳機能障害支援に特化したホームページや、分かりやすいガイドブックの作成にあわせて緊急時、災害時等にも役立つ携帯用の「お願い手帳」などの支援ツールについても、ぜひ検討することを求め、質問を終わります。 以上 |
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