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2025年杉並区議会第4回定例会一般質問(くすやま美紀)(2025年11月19日) |
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11月19日の本会議でくすやま美紀区議が一般質問に立ちました。その際の質問全文を掲載します。 答弁を含めた一般質問の様子は、以下のリンクからご覧になれます。 ★リンク ⇒ 本会議の録画中継 (会議終了からおおむね24時間後(土曜日・日曜日・祝日を除く)に、「速報版」をご覧になれます) 日本共産党杉並区議団を代表して、1.物価高騰から区民のくらしを守る対策について、2.西荻南区民集会所について、質問します。 ●まず、物価高騰から区民のくらしを守る対策についてです。 物価高騰がますます深刻な事態となっています。東京都区部の消費者物価指数は、毎月、前年同月比で上昇を続け、10月分は2.8%の上昇となりました。中でも主食である米は、コシヒカリを除き、実に38.4%も上昇しています。 帝国データバンクが行った「食品主要195社価格改定動向調査」では、今年10月の飲食料品の値上げは合計3,024品目にのぼり、「半年ぶりの値上げラッシュ」と報告されています。深刻なのは、物価高騰が止まらないどころか、今後さらなる値上げが予想されていることです。 食品だけでなく、電気料金も値上げです。株式会社エネテクの調べでは、東京電力の一般家庭の10月使用分の電気料金は8,652円で、前月の9月と比べて520円の値上げとなりました。政府による補助金の終了が大きな要因であり、さらに天然ガスや石炭の単価上昇が電気料金の高騰に直結すると分析しています。 日本世論調査会の調査では、「景気が悪くなっている」「どちらかといえば悪くなっている」と回答した人は83%にのぼり、前年の79%を上回りました。また、93%の人が「値上げが生活に打撃となっている」と答え、負担が重いと感じる項目は、食費が87%で最も多く、次いで光熱費・水道代が50%、交通費が40%という結果でした。 実質賃金も厳しい状況です。東京都勤労統計では、今年4月以降、6月を除き4・5・7・8月と実質賃金の減少が続いていることが示されています。 昨年から今年にかけてわが党区議団が行った区民アンケートには、くらしの苦しさや、将来への不安を訴える声が多数寄せられました。これまでも紹介してきましたが、あらためて紹介します。 「電気代や食費など生活に最低限必要なものが高くなり、趣味どころか医療にかけるお金がないです。多少歯が痛くても我慢しています」(20代・派遣社員)、「収入は増えないのになんでも値上げで苦しい。果物が贅沢に感じる」(40代・パート)、「高齢になって医療費がかさみ、この先介護が必要になったとき、年金だけで生活していけるか、とても不安です」(80代年金生活)「貯金ができない。死ぬまで働くしかないという絶望感」と書いてきた50代女性もいました。 まさに、長引く物価高騰が区民の暮らしと営業に深刻な影響を与えています。 Q1 区長は、長期化する物価高騰のもとで苦しむ区民の実態をどのように認識していますか。 世論調査では、政府に求める物価高騰対策として、食品の価格抑制が40%、消費税の減税・廃止が30%、所得税や住民税の減税が29%という結果が出ています。物価高騰から暮らしを守ることは、政治が今取り組むべき一番の課題ですが、自民党政権は、暮らしを守る具体策は無策で、国民の多くが望む消費税減税にも背を向け続けています。 区は、この間、物価高騰対策として、区内事業者への電気・ガス代等光熱費の一部助成、公衆浴場への燃料費補助、キャッシュレスポイント還元事業などを実施してきました。また、第2回・3回定例会では、介護、障害者、保育施設への食料費や光熱費の補助を補正予算に計上し、今定例会には12月まで延長する経費も盛り込むなど、区民生活を支える施策を行っていることは評価するものです。 Q2 しかし、物価高騰は今後も継続することが予測されており、これまでの施策を一層発展させ、さらなる支援を行っていくことが必要です。区長は、今後どのような構えで、物価高騰から区民のくらしと営業を守っていこうとするのか、具体的にお答えください。 次に、各分野の対策について、うかがいます。 ひとつ目は、低所得者等への支援についてです。 食料品のなかでも、主食である米は、依然として高値が続いています。農林水産省は、今月14日、全国の小売店約6000店で、11月3日から9日までに販売された米5キロの平均価格が、集計を開始した2月以降で最も高い4,444円だったと発表しました。あまりの高さに、区内の米屋さんは、「新米が売れなくて困っている」とぼやいていました。 NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が今年6月に低所得世帯を対象に行った調査では、「過去1週間に、給食以外で子どもが十分な量の米を食べていると思うか」という問いに、「あまり食べていない」「ほとんど食べていない」と答えた家庭が43.3%に上りました。その理由の9割が「経済的な理由」つまり「お米を買うお金がない」というものでした。また、「給食以外の食事で米を食べる量が昨年より減った」と答えた家庭は、実に8割近くに上ったということです。 知人の40代のシングルマザーは、中学生1人と小学生2人の子どもを育てていますが、「食べ盛りの子どもたちの食費が大変。外食に行かなくなった」と話していました。 こうした状況のなか、台東区は、全世帯を対象に、1世帯4400円分、子育て世帯や世帯員数が3人以上の世帯には倍の8800円分の全国おこめギフト券の配布を実施しました。食品価格その他物価の高騰が継続する中で、家計への負担を軽減するため、区独自の生活支援策として決断したということです。また、北区では、ひとり親家庭等に対し、児童1人あたり4400円分のお米券配布を実施しました。 Q3 杉並区でも、子育て世帯や年金生活者、住民税非課税世帯などに対し、お米券の配布や給付金の支給などを実施する必要があるのではないでしょうか。 Q4 また、これから冬に向けて、暖房費の増加も懸念されます。国による電気代負担軽減策が9月で終了したことからも、低所得世帯に対し、電気、ガス、灯油代等への助成も必要と考えますが、いかがですか。 2つ目に、教育費の負担軽減についてです。 「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が行った調査では、入学時の悩みとして「親がお金のやりくりに苦労していた」が79.7%、次いで「制服の購入に苦労した」が59.5%でした。 在学中に保護者が負担に感じている費用については、「昼食代」が53.7%、「制服や学用品の購入」が51.5%と高い割合を示しました。さらに、「修学旅行の費用が高い」「学校に納める費用が高すぎる」といった声も寄せられており、教育にかかるさまざまな費用が家庭に大きな影響を与えていることがうかがえます。 わが党区議団のアンケートにも、「少なくとも義務教育期間は学校でかかる費用負担がなしだとよい。制服や修学旅行の補助をやってほしい」との要望が多く寄せられています。 23区では、葛飾区、品川区、墨田区、荒川区、足立区で、修学旅行の無償化に踏み出し、制服代や副教材費の補助を行う自治体も広がっています。中野区は、区立小中学校の修学旅行費や移動教室費、ドリルや理科実験材料などの教材費を含む「学校徴収金」の無償化を来年度から目指す方針を明らかにしました。 Q5 修学旅行費無償化について、先の第3回定例会のわが党区議団の質問に対し、「保護者から補助を求める声があることは認識しており、現在、「杉並区立学校宿泊行事のあり方検討委員会」において検討しており、このなかで保護者負担軽減策についても考えていく。検討結果は来年夏ごろに出す予定」と答弁がありました。しかし、これでは遅すぎます。保護者からの要望があることを認識しているのであれば、速やかに無償化に踏み出すべきではありませんか。 Q6 足立区では、多額の費用が発生する入学準備にかかる保護者負担を軽減するため、来年(2026年)4月に小・中学校の新1年生となる児童・生徒(私立も含む)を対象に、入学時に必要なランドセルや標準服などの購入費用として1人当たり10万円の入学準備金の支給を決定しました。区としても、入学準備にかかる保護者負担の軽減策を講じるよう求めますが、いかがですか。 3つ目は、高齢者への支援についてです。 物価高騰のなかで、賃貸住宅の家賃は家計に重くのしかかっています。節約しようにもできないもので、とりわけ、低年金の高齢者は大変です。 区内に住む82歳の女性は、月約6万円の国民年金で、7万1千円の家賃を負担しています。介護や後期高齢者医療保険料、水光熱費、生活費などの支出が加わり、預金を毎月15万円取り崩しながら生活していますが、預金がいつ底を突くかと常に不安が付きまとうと話しています。 また、60代後半の男性は、年金は月約9万円ですが、家賃は8万5千円で、これではとても暮らせないため、介護の仕事をしています。しかし、65歳以上ということもあり非正規でしか働けず、わずかな収入しか得られていません。病気を抱える息子さんも、短期のアルバイトをしながら必死に生計を支えています。 ふたりとも、家賃の負担が減れば助かると訴えています。 Q7 区は、低所得の住宅確保要配慮者については、区営住宅、セーフティーネット住宅、家賃助成などの様々な施策で総合的に支援していくとの認識を示し、今年度から、区営住宅の優遇抽選に落選したひとり親、多子世帯を対象に、民間賃貸住宅の家賃の一部助成を開始しました。重要な前進と評価するものですが、助成の対象を、低年金・低所得の高齢者にも拡大するよう検討を求めます。見解をうかがいます。 Q8 東京都のシルバーパスは高齢者の外出支援の一つとして重要な役割を果たしています。今年10月から住民税課税の方は2万510円から1万2千円に引き下げられました。荒川区では、高齢者の外出を促進し、健康寿命の延伸につなげるため、10月から、70歳以上の全区民が一律1000円の負担で取得できる補助を始めました。シルバーパスは、もともとは無料でしたから、本来は都が無料にもどすべきではありますが、高齢者の健康促進という観点からも、区としてシルバーパスの負担軽減を実施していただきたいと思います。いかがですか。 4つ目は、買い物への支援についてです。 区は、今年5月から6月にかけて、キャッシュレスポイント還元事業を実施しました。9月の区民生活委員会に報告された資料によると、前回(令和4年)実施時よりも、決済総額・決済回数は大幅に上回り、区内経済の循環促進が確認できた。業種別では、小売業の取引額は約2倍に拡大。キャンペーンに参加した店舗のうち、売り上げが増えた店舗は51%、来客数が増えた店舗は42%で、加盟店からは、キャンペーンは有効な支援になるのでまたやってほしい、利用者がついで買いをする傾向がうまれ、購買単価の上昇につながった、など、大きな成果があったことが記載されています。 Q9 区民の購買力の向上、商店の売り上げ増加につながる事業であり、再実施を求めますが、いかがですか。その際、紙のプレミアム商品券発行事業も検討していただきたいと思いますが、見解をうかがいます。 また、予算特別委員会でも提案しましたが、足立区で行った900円以上のレシートを登録店舗複数から9枚集めて送ると2,500円の区内共通商品券がもらえるレシートde商品券事業なども参考に、区民の購買力向上、商店支援に資する支援強化を求めますが、いかがですか。 5つ目は事業者への支援についてです。 先日、区内の事業者団体の方から、物価高騰で居酒屋など飲食業を中心に廃業が相次いでいるとの話を聞きました。配送料の値上げなども追い打ちをかけて「まるでコロナの時のような不景気だ」と言っていました。経営環境の厳しさが深刻になっています。 相談内容も切実で、「お金を借りたいが貸してくれるところがない」「税金や国保料を払えず滞納している。一括での納付を迫られている」など、切迫した相談が増えているそうです。 Q10 このような厳しい事業者の実態を、産業振興センターはどの程度把握していますか。事業者や関係団体、区職員が一堂に会し、地域経済の現状把握と有効な支援策を検討するための意見交換を行うことが必要ではないでしょうか。産業振興センターがイニシアチブを発揮し、実態に即した支援策を導き出すことが求められていると考えますが、見解を伺います。 光熱費の高騰は、あらゆる業種の経営を苦しめています。 区は一昨年度、区内事業者に向け、電気・ガス代等の光熱費の一部助成を実施しました。5,772事業者が利用し大きな効果を上げたことから、わが党区議団は、第2回定例会一般質問で再実施を求めましたが、「国において夏季期間に光熱費負担軽減策を実施することから、状況を注視する」という答弁でした。 Q11 国の支援は9月で終了しました。今後も光熱費高騰は、事業者の営業に多大な影響を及ぼします。区として、手続きを簡素化した光熱費助成を実施し、事業継続を支援することを求めますが、いかがですか。 6つ目は国保料の負担軽減についてです。 Q12 先の決算特別委員会では、東京都の医療給付費は全国で3番目に低いにもかかわらず、納付金と国保料については、ともに全国で最も高い水準にあることが示されました。こうした構造の矛盾について、区はどのような課題意識を持っていますか。 Q13 国保料の連続値上げは、区民のくらしに重い負担となってのしかかっています。区内の事業者団体から、自営業者が国保料を払えない、滞納して区の窓口に相談に行っても一括で払うようにと言われ困っている、との相談も多いと聞きました。高い保険料通知を受け取って精神的に追い詰められてしまう方も少なくないとのことです。 売り上げの激減や家計急変世帯に対する分割納付の相談など、区民に寄り添った対応を徹底していただきたいが、いかがですか。 Q14 国保料の値上げを抑えるために、国と都に財政責任を果たすよう迫るとともに、区として最大限の努力を行うこと、法定軽減制度には該当しない生活困窮世帯や多子世帯、ひとり親世帯などに対する区独自の減免制度の検討を求めますが、見解をうかがいます。 ●次に、西荻南区民集会所について質問します。 西荻南区民集会所は、前・田中区政時代の2022年(令和4年)4月までは西荻南3丁目の西荻南児童館と併設されており、地域住民にとって身近で利用しやすい施設でした。しかし、当時、西荻区民事務所が入居していた西荻窪駅前の民間ビルが、耐震基準を満たしていないことが明らかになり、同事務所が西荻南区民集会所の場所に移転することとなりました。その結果、区民集会所は「玉突き移転」の形で、2022年7月から西荻北1丁目の旧西荻北児童館へと移転を余儀なくされ、現在に至っています。前区政のもと、移転にあたっては、利用者や地域住民への説明会は一切行わず、突然の閉鎖・移転という非常に不透明で非民主的な進め方でした。区は「町会や商店会には理解を得た」と説明していましたが、地域住民からは「何の説明もなかった」「いきなり閉鎖された」と怒りの声が寄せられました。 Q1 まず伺いますが、この移転の決定に至った経緯、そして当時、利用者や地域住民にどのような説明を行ったのか、改めてうかがいます。 西荻南区民集会所は、西荻南地域で唯一の区立集会施設として、長年にわたり地域の活動と交流の拠点となってきました。西荻窪駅から近いため、西荻北側の住民の利用も多く、他の集会所と比べても利用率が高い施設でした。集会室だけでなく談話コーナーもあり、子どもたちや高齢者が気軽に集える場として親しまれていました。さらに、選挙の際には期日前投票所としても大切な役割を果たしていました。 現在、西荻南側の地域には区の集会施設が一つもなく、地域活動に大きな支障が生じています。北側に移転した現施設は駅から遠く、高齢者にとっては、なおのこと行きづらい場所です。実際に、「期日前投票に行けず、投票をあきらめた」という声も少なくありません。また、他施設への申し込みが増えたため、西荻地域区民センターの利用者からは「部屋が取りにくくなった」との苦情も寄せられています。 Q2 区は、こうした住民の声や現状を、どのように把握していますか。また、利便性の低下や住民活動への影響をどのように認識していますか。 区は移転当初、旧西荻北児童館への移転はあくまで「暫定的」であり、「早期に西荻南地域で適地を確保する」と説明していました。適地確保に向け、区としても努力されていることは承知していますが、移転から3年以上経過した現在も、南側地域での代替施設や新たな用地は示されていない状況です。さらに、現在の集会所施設は、2029年度(令和11年度)には、西荻北保育園の改築のための仮設園舎となる計画で「そのときまでに新たな移転先が見つからなければ集会所は無くなってしまうのではないか」と不安を募らせている方もいます。「集会所を早く西荻南地域に戻してほしい」という要望は、ますます高まり、住民有志の方々は、早期に集会所を南側に戻すことを求める要望書を、多数の署名を添えて区長に提出しました。 Q3 区は「早期に西荻南地域で適地を確保する」という約束をどのように認識し、西荻南地域における区民集会施設の再設置に向け、どのような検討を行い、いつまでに方向性を示していくのか、具体的に伺います。 新たな適地の確保が難航するなか、かつての配置に戻すという現実的な選択肢も検討すべきではないでしょうか。 2024年(令和6年)の予算特別委員会において、私は、新しい適地の見通しが立たない状況のもとで、現在の区民事務所を再び民間ビルに移転させ、区民集会所を元の場所に戻すという方針に転換することも検討すべきではないかと提案いたしました。 これに対し、区は「なかなか確保は難しいという状況のなかで、様々な可能性を含めて考えていかなければならないと考えている」と答弁しました。 その後、かつて区民事務所が入居していた駅前の民間ビルが取り壊され、新築工事が進められていることがわかりました。現在、その新築ビルの建設予定について案内が掲示されています。 Q4 そこで伺います。この新しく建設されるビルに、区民事務所を再び入居させることを検討し、区民集会所をもとの場所に戻す可能性を探ることはできないでしょうか。見解をうかがいます。 Q5 最後に、現集会所の設備改善についてうかがいます。 現在の集会所は土足での使用ができず履き替え用の靴を持参しなければなりません。区民から「上履きを忘れて靴下で入室せざるを得なかった。スリッパを用意してほしい」」との要望を受けました。また、「冬は寒い」などの苦情も寄せられています。区民が快適に利用できるよう、改善を求めますが、いかがですか。 西荻南区民集会所は、西荻南地域におけるコミュニティの要となるものでした。それを失ったまま3年以上が経過し、住民活動の停滞や、つながりが分断されています。西荻南地域の住民がふたたび身近な場所で活動できるよう、早期に適地を確保することを強く求め、質問を終わります。 以上 |
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