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2025年杉並区議会第2回定例会一般質問(山田耕平)(2025年6月2日) |
6月2日の本会議で山田耕平区議が一般質問に立ちました。その際の質問全文を掲載します。 答弁を含めた一般質問の様子は、以下のリンクからご覧になれます。 ★リンク ⇒ 本会議の録画中継 (会議終了からおおむね24時間後(土曜日・日曜日・祝日を除く)に、「速報版」をご覧になれます) 日本共産党杉並区議団を代表して、一般質問します。はじめに、都市計画道路と新たな「東京における都市計画道路の整備方針(仮称)」の策定について伺います。 1.都市計画道路について 【問1】1−1 新たな「東京における都市計画道路の整備方針(仮称)」について、現在の検討状況とスケジュール、情報公開のあり方 現在、新たな「東京における都市計画道路の整備方針(仮称)」の策定の検討に着手していますが、検討状況や今後のスケジュール等、進捗状況を伺います。 前回の第四次事業化計画時のスケジュールに照らせば、5〜6月には中間まとめを出し、パブリックコメントを実施する状況になると考えますが、区の認識を伺います。 【問2】1−2 情報公開のあり方 現在、検討状況の要旨が公開されていますが、断片的な情報しか明らかにされておらず、資料なども示されていません。情報公開を行なわない理由として、都は「※公開することにより、率直な意見の交換若しくは公平かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれ、都民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるため、会議は非公開とします。」としています。 本来、住民生活にも大きな影響を与える都市計画道路の検討にあたっては、住民への情報公開を徹底することが求められると考えますが、区の認識を伺います。 東京都の情報公開の取り組み姿勢が後ろ向きであり、杉並区の情報公開の姿勢とは大きな乖離があると考えますが、情報公開の改善に向けて、杉並区は意見等を上げているのか認識を伺います。 【問3】1−3 杉並区としての意見 第四次事業化計画の策定の際、当時の開示資料によれば、計画策定初期には、都として「策定の際のポイント」に「人口減少、交通量減少時代の到来に備えた道路整備のあり方」をあげていました。一方、当初掲げられた「交通量減少時代」という文言については、議論の過程で削除されています。 情報公開請求による資料では、「社会的に、道路はこれ以上不要なのではという意見につながりかねない部分」(都市整備局企画担当部長)、「『交通量減少時代の到来』という表現は、短絡的に読むと、道路整備は縮小なのかと言われるのではないか」「今後、公表する資料等には、誤解の無いように、もう少し配慮した表現で盛り込む方がよいのではないか」(他自治体の部長)等々、都や区の幹部職員から、道路不要の都民世論が引き起こらないよう、表現を変える意見が寄せられていたことが明らかになりました。 当時、東京都自身が「交通量減少時代の到来」という認識があり「策定の際のポイント」となるとしていたにもかかわらず、行政関係者の内部討議を通じて、都民から道路不要論が出てこないよう意識的に記述を削除していたならば、策定にあたっての基本姿勢として重大な問題があることを指摘するものです。 そもそも、「人口減少、交通量減少時代の到来」という文言は、今の社会情勢を現わしているものと考えますが、第四次事業化計画策定時から現在まで、交通量は減少しているのではないのか、区の認識を伺います。新たな「東京における都市計画道路の整備方針(仮称)」についても、将来交通量の減少や人口減少等も踏まえた検討が必要と考えますが認識を伺います。 【問4】1−4 都市計画道路の他自治体の実態 全国の自治体で都市計画道路の見直しが進んでいます。 東京都以外の道府県では、廃止、ルート変更、幅員変更など都市計画道路の変更を大幅に行っており、例えば、本年5月にも、奈良市において19の都市計画道路を廃止したことが報道されています。 現在、未整備となっている都内の都市計画道路は、そのほとんどが終戦直後に戦災復興計画として決定されたもの、または、高度成長期に都市の拡大を前提に決定されたものであり、決定後70年から半世紀以上が経過しているものです。まちの様相も社会経済状況も当時から大きく変貌しています。 他県他都市をみると、長期にわたり未整備となっている都市計画道路は大幅に見直し・廃止が進み、新規の大型道路予算を大幅に削減する流れが生まれています。一方、東京都では、豊富な財政力を背景に都市計画道路の見直しがほとんど進んでいません。これは、東京都の特異性でもあります。 新たな「東京における都市計画道路の整備方針(仮称)」の検討の中で、都市計画道路整備については、都民に必要な資料を示した上で、住民参加のもとで検証を行ない、他自治体のように思い切った見直しを行うことが必要と考えますが認識を伺います。 【問5】1−5 杉並区独自に実施した区内の都市計画道路の効果検証について 5月23日、杉並区独自の指標に基づいた都市計画道路の効果検証の結果が公表されました。 この効果検証については、都市計画道路の整備効果を評価(見える化)する取り組みとして、「防災」「環境」「活力」「暮らし」という分野について、25の評価指標に基づき、道路整備の効果を示しています。 効果検証の内容に関わる詳細な質疑は、委員会質疑に回しますが基本的な観点を伺います。 この間も指摘してきた通り、この評価指標に基づけば、都市計画道路の必要性を示す結果となりますが、一方で、地域の文化や歴史、商店街や閑静な住宅街等の街並み、地域コミュニティ等が喪失するリスク等を評価することは出来ません。 杉並区として、どのような目的を持って効果検証を実施したのか。また、都市計画道路の効果検証の結果はどのようなものとなったのか伺います。そして、今後、都市計画道路の検討の進め方について、区長はどのように考えているのかを伺います。 【問6】1−6 地域ごとの個別路線について伺います。 評価結果では、現在、未着手路線となっている補助132号線の五日市街道までの区間、補助133号線、補助227号線の評価点が高くなっていますが、次期事業化計画の検討に際し、どのように影響するのか認識を伺います。 また、効果検証の説明として「次期事業化計画における優先整備路線は、直ちに事業着手する路線というわけではなく、あくまで事業化を目指して取り組む路線であり、事業着手する際は、地元の機運醸成が大切と考えています。」とのことですが、この3路線についての区の認識を伺います。 特に、補助132号線は一部区間が事業認可されましたが、(仮称)デザイン会議を開催している真っ最中であり、補助133号線については事業認可されておらず、こちらも(仮称)デザイン会議を開催しています。227号線については、事実上凍結されているものと認識していますが、それらの点については変わることがないと考えて良いのか、確認するものです。 【問7】1−7 文化や街並みなど、費用対効果で把握が出来ない対応について この間、道路を整備することにより喪失してしまう閑静な住宅街、地域の文化、商店街等の街並み、地域コミュニティ等々もあることを指摘してきましたが、効果検証の説明において、区は「景観」「賑わい」「歴史・文化」「生態系」など、定量化が困難でも区民生活にとっては大切なテーマもある、としています。 それらの評価はどのように行われるのか認識を伺います。 【問8】1−8 仮称デザイン会議 地域の文化や街並み、地域コミュニティ等は、数値等で評価することは難しいものですが、長い年月をかけて住民が作り上げた、かけがえのないものと認識しています。(仮称)デザイン会議等の住民との対話の場面を活かし、地域の特性に応じた検討を進めるべきと考えますが、区の認識を伺います。 また、仮称デザイン会議で寄せられた意見は、都市計画道路事業の選定の際の参考意見とすべきですが、認識を伺います。 2.東京外かく環状道路をめぐる問題 【問9】2−1 外環道の進捗状況 外環道について伺います。 この間、オープンハウスでの住民への説明において、外環道シールドマシンは、本年2025年の夏頃には、シールドマシンが杉並区内に到達することが見込まれており、住民の不安の声が広がっています。特に、外環道については、現状の工事工程が明確化されておらず大きな問題と考えます。 はじめに、現在の掘進の進捗状況とシールドマシンの区内到達見通しを伺います。 【問10】2−2 計画沿線の家屋調査の実施状況 シールドマシンの杉並区内への到達が迫る中、現在、杉並区内において、外環道計画に関する家屋調査が実施されています。家屋調査の実施状況を伺います。 【問11】2−3 家屋調査の周知 杉並区では、前回家屋調査を実施してから7〜8年程度の期間が経過している住宅が多く、家屋調査の効果を心配する声が寄せられています。 家屋調査実施事業者への聞き取りでは、数年間経過している場合は家屋の経年劣化が発生するため、不安があれば再調査を申し出てほしいとのことです。 既に家屋調査を実施している場合でも、実施から数年が経過している場合は家屋調査を受けられるよう情報提供を徹底して頂きたいが、区の認識を伺います。 【問12】2−4 家屋調査報告書の掘進前の提供 さくら町会では家屋調査が未実施であったため、これから調査が開始されることになります。さくら町会での家屋調査の説明会としては、3月4日、4月5日、5月10日に実施されました。5月10日の説明会席上、家屋調査報告書の提供に時間がかかり、シールドマシン掘進後となることが示されました。 本来であれば、シールドマシンの掘進が開始される前に調査報告書の提供が求められますが、区の認識を伺います。区として掘進前に調査報告書を提供するよう求めて頂きたいが、認識を伺います。 【問13】2−5 カラッキィーの掘進速度が遅くなっている要因 4月中旬以降、区内に最初に到達すると見込まれるシールドマシン「カラッキィー」の掘進速度が遅くなっています。4月17日から5月25日時点で13m程度の掘進であり。ここ30日の平均掘進速度は1m未満となっています。 以前、カラッキィーについては、スクリューコンベヤ事故が発生し、工事が長期間停止しました。カラッキィーのスクリュー(螺旋状のコンベヤ)のたわみ(変形)により、駆動軸が破断、スクリューシャフトが抜け出して回転不能になったという事故です。このたわみは、掘削土砂排出に伴う鋼管やスクリュー羽根の摩耗が想定以上に進行し、自重でたわみが生じたためと考えられています。 なお、変状した箇所については補修工事が行なわれましたが、「補修した接合部を適切な時期に念のために更新する」とされており、あくまで応急的な補修工事となっています。 現在掘進している地点については、調布市のつつじが丘での陥没・空洞事故後の追加ボーリング結果で、事業者が事故の要因とした「特殊な地盤」に類似する地層とされている地域です。 この「特殊な地盤」とされる地層におけるカラッキィーによる掘進の遅れであり大変心配をしています。 現在の掘進地点は、調布市の陥没事故を受け、シールド掘進地盤の再確認が必要となり、追加ボーリング調査の実施地域「練馬区関町南1丁目7番」と重なるが、どのような要因により、掘進に遅れがでているのか伺います。 【問14】2−6 この地盤と同様に、追加ボーリング調査が必要となる同様の地盤は杉並区西荻北4丁目にも存在しますが、その付近は横連絡抗工事を実施することになります。 特に横連絡坑についてはシールドマシン同士を繋ぐ難工事となることも懸念されており、適切な情報提供が必要と考えますが区の認識を伺います。 【問15】2−7 横連絡抗の位置等の基礎的状況が非公開の理由 この間、国・事業者の情報公開に関する姿勢が極めて不誠実であることを指摘します。沿線自治体・議会・住民から出されている様々な質問や要望に対し、説明責任が果たされていません。杉並区からも再三に亘り、国・事業者への改善を求める意見を挙げていることが委員会質疑などでも話されています。 先程取り上げた、シールドトンネル同士を繋ぐ「横連絡坑」については、杉並区内にも設置することが示されていますが、全く情報が明らかにされていません。「横連絡坑」は外環道計画における避難路として極めて重要な工事個所となりますが、情報を開示しない理由も示されていません。 以前、杉並区議会では「首都高速中央環状品川線」のシールド工事現場の行政視察を実施しました。この工事は、2012年に深刻な出水事故が発生。シールドトンネルを外部につなぐ躯体の部分での重大事故となりました。現場担当者からは、トンネルと外部の接続部は難工事となることも示されています。 外環道計画においても、同様の難工事が想定されるトンネル接続部の「横連絡坑」の施工場所やそのリスクは基礎自治体にも示されるべき重要な情報です。杉並区としても、国・事業者に何度も情報を求めているとのことですが、特に理由も示されないまま、未だに情報が明らかにされていません。 改めて、杉並区における横連絡抗の位置をお聞きします。この間、このような基礎的情報が非公開とされている理由を伺います。 国・事業者の姿勢は、基礎自治体に対して説明責任を果たさない等、地方自治を蔑ろにする計画と指摘せざるを得ませんが区の認識を伺います。 【問16】2−8 議員23名による緊急要請 本年1月27日、杉並区議会の23名の議員が連名で、東京外かく環状国道事務所に緊急要請を行ない、シールドトンネル工事が杉並区内での掘進を開始する際、「外環道掘削工事等に関する相談コーナーを杉並区内に設置すること」「区内での掘進を開始する前に、情報の透明性確保に努め、オープンハウスとは別に地元説明会を開催すること」を求めました。この緊急要請についても、未だに回答がありません。 杉並区内での掘進を開始する際、「外環道掘削工事等に関する相談コーナーを杉並区内に設置すること」「区内での掘進を開始する前に、情報の透明性確保に努め、オープンハウスとは別に地元説明会を開催すること」の2点について、検討状況を把握しているのであれば、その内容を伺います。 【問17】2−9 委員会としての参考人招致への対応 本年3月3日に開催された杉並区議会道路交通対策特別委員会では、シールドマシンの区内到達が目前に迫る中で、私も含む担当委員から、杉並区議会が参考人として、国・事業者を委員会に呼ぶべき、との声が上げられました。 所管部長も「事業者をこの委員会の中に呼ぶ、そうしたことも場合によってはご検討頂ければと存じます」と明確に答弁しています。こうした委員会での声を受け、道路交通対策特別委員会委員長として東京外かく環状国道事務所に意思確認したそうですが「断られた」との報告を、先日、委員長より受けています。 区議会の担当委員会に対する説明責任を果たす機会を断ることなどあってはならないことと考えます。改めて、国・事業者が杉並区議会に対しても説明責任を果たすことが求められると考えますが、区の認識を伺います。 説明責任を果たさないまま、事業者が工事を進めることに道理はありません。 国・事業者の姿勢は、住民の生命と安全に責任を負う基礎自治体を軽視し、地方自治と地方分権を蔑ろにするものであることを指摘するものです。 【問18】2−10 大深度法に対して、基礎自治体として「疑義がある」との認識を再確認 2020年10月に発生した調布市の陥没、空洞発生を受け、杉並区は「大深度法の定義」や「通常使用されない40メートル以深に公共の利益のための使用権を設定しても損失の補償がない」ことに触れ「大深度法に疑義を感じざるを得ない」と答弁しています。 これまで国・事業者は、住民に対して大深度法によって大深度地下を使用しても地上には影響は無いと説明し続けてきました。 「東京外かく環状道路(関越〜東名) よくあるご質問」パンフレットの2015年初版では、問い11で「家屋事前調査を実施することは、工事にあたり、地上の建物に影響が出るということなのでしょうか。」との質問に対し「シールド工法を採用しており、地上への影響は生じないと考えております」と記載。 一方、調布市での陥没、空洞発生以降、2022年3月の改訂版のページの最後に突然「施工に課題があったことが確認されました。」と書かれ、従前のパンフレットの記載は「適切に工事が行われれば地上への影響は生じない」と変更。起こらないとされていた事故が発生し、これまでの住民への説明も大きく修正せざるを得ない状況となりました。 地上への影響を与えないとした大深度法の前提が崩れ、住民の安全を脅かしている現状について、改めて、大深度法への杉並区の見解を伺います。 外環道の事業は、2014年に大深度地下使用認可と都市計画事業承認・認可がされましたが、2020年10月の調布市における陥没事故に代表される様々な事故が発生し、工事が中断・延期されています。 地上に影響を与える大深度法の問題点と共に、度重なる事故などに伴い事業費は膨れ上がり、今回の事業再評価においては、前回B/Cの1.01を割り込むことは確実になる見通しです。 もはや、外環道は公共事業としては破綻しており、事業中止と大深度法の見直しを行う時期に来ているのではないでしょうか。 広島市でのシールドマシンによる陥没事故によって、住宅街でのシールドマシンのリスクが改めて明らかとなり、埼玉県八潮市の陥没事故によって地下インフラのリスクについては、数十年後のインフラ老朽化を見据えた地下開発は行なわれていないことも明らかになりました。 住民の命と安全を脅かしている外環道工事については、速やかに中止・見直しをすることを求めて、質問を終わります。 以上
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