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2025年杉並区議会第1回定例会一般質問(くすやま美紀)(2025年2月17日) |
2月17日の本会議でくすやま美紀区議が一般質問に立ちました。その際の質問全文を掲載します。 答弁を含めた一般質問の様子は、以下のリンクからご覧になれます。 ★リンク ⇒ 本会議の録画中継 (会議終了からおおむね24時間後(土曜日・日曜日・祝日を除く)に、「速報版」をご覧になれます) 日本共産党杉並区議団を代表して、高齢者への支援について質問します。 (1)高齢者の住宅問題について はじめに、住宅問題についてです。 日本共産党区議団が取り組んでいる「くらし・区政への要望アンケート」(以下、アンケートといいます)には、物価高騰のもとで、くらしの厳しさを訴える声が多数寄せられました。その中でも私が強く胸を痛めたのは高齢者の住宅問題です。 アンケートに寄せられた二人の声を紹介します。 70代1人暮しの年金生活の方「年金生活で一番困っていることは、賃貸マンション(1K)の家賃です。とても負担です。家賃が高く生活を圧迫しています」。 80代のパート職員という方は「わずかな貯金が毎月少なくなっている。何年か先は家賃が払えなくなりホームレスになる不安がある」と書いていました。 私はこうした記載を目にし、実態を確認したいと思い、区内に住む82歳の女性に話しを聞きました。 その方は、収入は国民年金、月額約6万円ですが、アパートの家賃は月7万1千円で、家賃が年金受給額を超えているのです。そこに、介護保険料、後期高齢者医療保険料などの負担、水光熱費、生活費などの支出が加わり、預金を毎月15万円取り崩しているそうです。「この先、いつまで持ちこたえられるのか・・・」と不安を訴えていました。 こうした事例は、一部のレアなケースではなく、多くの高齢者が直面している事態だと思います。 (深刻な事態への認識) Q1 そこで、私は、あらためて区民がどのくらいの家賃負担をしているのか、国の令和5年度の住宅・土地統計調査を調べてみました。私が分析したところでは、杉並区民で共同住宅(木造・非木造含め)入居者の家賃は、7万円以上の世帯が63%で約10万世帯、10万円以上の世帯は約4万5千世帯で28%でした。国民年金の平均月額は5万8千円といわれていますが、多くの人が年金を超える家賃負担を強いられているというのが実態ではないでしょうか。 区は、私が紹介した事例をどのように認識していますか。こうした深刻な事態にたいし、手立てを取る努力が求められていると思いますが、どのように考えていますか。 (高齢者への賃貸住宅提供計画) Q2 次に基本的対応についてお聞きします。 国は「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」略称住宅セーフティネット法を定め、「高齢者」を要配慮者の対象にしています。 法の第6条、市町村賃貸住宅供給促進計画では「区域内における住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給目標」を定めることを求めています。しかし、杉並区住宅マスタープランでは供給目標が掲げられていません。深刻な事態を打開するうえで、今からでも供給目標をもって取り組むことを求めますが、いかがですか。 Q3 さらに、住生活基本法に基づいた住生活基本計画では、最低居住面積水準を定めています。最低居住面積水準とは、健康で文化的な住生活を送るために必要不可欠な住宅の面積で、単身者の場合は25平米、2人世帯の場合は30平米です。 令和5年住宅・土地統計調査の住宅及び世帯に関する基本集計の地域区分「杉並」では、高齢世帯の借家の世帯数1万8740戸のうち、最低居住面積水準未満の借家世帯は6680戸、35%にも及んでいます。高齢借家世帯における最低居住面積水準未満の世帯割合が3割を超えている状況について区の問題意識を伺うとともに、健康で文化的な住生活を送るためにも早期の改善が求められると考えますが、区の認識はいかがですか。 次に、具体的な課題についてうかがっていきます。 (家賃低廉化補助制度) Q4 国は、住宅確保要配慮者への対策として、2017年、家賃低廉化補助制度を創設しました。私はそのことに着目し、一般質問などで実施を求めてきました。2022年の第3回定例会の一般質問では、区は、様々な困難を理由に、その時点では実績はない、と答弁しました。 その後、岸本区政のもとで、まだ第一歩ですが、これまでに16件の専用住宅の登録がされ、助成が始まっていることは重要な前進であり、区の努力に敬意を表したいと思います。 この事業を有効に活用すべきであり、今後、目標を持って取り組むよう求めますが、どのようにお考えでしょうか。 (高齢者特有の困難について) アンケートには、高齢であるが故の困難を訴える声も少なからず寄せられました。紹介します。 70代、年金生活の一人暮らしの方「住宅の引越しが迫っているが、あてがない。高齢者の一人暮しのため、住宅費の高い所はとても住めない」、60代の方「アパートの老朽化を理由として立ち退きを迫られているが、高齢者が入れるアパートがない。そのうえ、リストラで失業が確定している。探そうにも保証人を見つけられない」という声です。 Q5 こうした事例にたいし、区が居住支援協議会を核として、高齢者等アパートあっせんなどの事業に取り組んでいることは承知していますが、今後、いっそうの支援拡充が求められていると思います。取り組みの現状と、今後どのように強化を図っていくのか、お答えください。 (高齢の要配慮者への対応関連―配偶者とくに夫死亡の場合) Q6 さらに、アンケートで気にかかった記載がありました。配偶者、特に夫が亡くなった後の住宅問題です。2人の声を紹介します。 ひとりは、「夫が亡くなり年金が半分以下になったが、家賃はそのままで、年金額より家賃が高いが年齢が高いため引越しすることもできない」、もう一人は「夫が突然死して独り暮しになり、高齢なのでこれからのことがとても不安です。高齢者の独り住まいの人が安心して住める住宅の支援を希望します」という声です。 この2人の記述を見て、こうしたことは起こりうる問題であり、直面した方は大変な思いをされていることだと胸が痛みました。何らかの支援が必要と思いますが、区の認識をうかがいます。 (みどりの里の戸数増) 住宅問題に関し、アンケートへの記載で家賃助成とともに要望の強かったものは、都営、区営住宅への入居であり、公営住宅の整備でした。これは高齢者だけの課題ではありませんが、アンケートでは、多くの高齢者からの要望が目立ちました。 80代一人暮らし自営業の方は「年をとっているので住む部屋がないので都営住宅に入りたい。家賃のために働いているみたい」、60代一人暮らし嘱託の方は「住宅の取り壊しが今後あるので連日不安です。年金と預金だけでは生活は困難です。今後家賃を支払い続けられるか不安です」希望は高齢者への住宅」と記載しています。 また、80代夫婦世帯の方は、困っていることとして「家賃の負担」、希望することとして「都営住宅の増設」と書いています。70代の方は「公営住宅に入居したいのですが…。家賃が少ないところで生活出来ると安心ですが入居できずそれが一番の不安」と書いています。このように、公営住宅の整備を求める声は多数にのぼっています。 都営、区営住宅については、わが党の代表質問で触れましたので、高齢者住宅「みどりの里」に絞って質問します。 Q7 高齢世帯が増加するなか、みどりの里は、高齢者専用の公営住宅として大事な役割を担っており、要配慮者対策としても重要です。ところが、私が調べた限りでは、みどりの里の提供戸数は、高齢者人口が増加しているにもかかわらず、増えないどころか減少しているのです。2003年と2023年の老年人口、みどりの里の戸数の推移をうかがいます。 Q8 みどりの里の増設を強く求めます。墨田区では1棟まるごとでなく、個室を借り上げて高齢者に提供しています。大規模共同住宅の確保が困難であれば、こうした事例も選択肢の一つとして検討すべきではありませんか。高齢者の人口増に対応した戸数増加にむけ、目標を明確にし、努力することを求めますが、いかがですか。 住まいは生活の基本であり、憲法25条が保障する生存権の土台とも言うべきものです。住まいが権利であることは、世界人権宣言や日本政府も批准している国際人権規約も認めていますが、日本は、賃貸住宅への支援が乏しく国による家賃補助制度はありません。アメリカやイギリス、フランスをはじめOECD諸国の大半が家賃補助制度を整備していることと比べ立ち遅れた国になっています。 岸本区長が「住まいは権利である」という理念のもと、新年度予算に家賃助成制度の実施を盛り込んだことは重要な前進です。今後、低年金・低所得の高齢者も対象とするなど制度の拡充を図っていくことを求めるものです。 (2)一人暮らし高齢者対策について 次に、一人暮らし高齢者対策について質問します。 (高齢者の叫びと老人福祉法の理念) アンケートへの高齢者の回答で、住宅問題とともに、私が心を痛めたことは、一人暮らし高齢者からの切実な訴え、叫びでした。 3人の方の声を紹介します。一人目は「足腰が弱くなり買物が大変、しかし、自分の目で買い物がしたい」、二人目は「月に1度か2度、訪問での話し相手がほしい」。三人目は「体の具合が悪くなった時に頼れる人がいない。困りごとが起きたとき相談できる人がほしい」という声です。 老人福祉法第2条では、基本理念として「老人は多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識を有する者として敬愛されるとともに、生きがいが持てる安らかな生活を保障されるものとする」と明記されています。 Q9 「生きがいが持てる安らかな生活を保障」されるべき高齢者が、買い物したいが買物ができない、話し相手がいない、病気になっても頼れる人がいない、相談できる人が欲しい。一人暮らし高齢者がこうした孤独で悲しい状態におかれていることを、区はどう受け止めますか。 老人福祉法の理念からも解決の手、支援の手を差し伸べることが杉並区の責務であり課題だと思いますが、どのように認識し、対応していくのですか。 (対応が求められる増加する一人暮らし高齢者) 杉並区の統計をみても、65歳以上の一人暮らし世帯は、2012年の18,735世帯から2024年43,753世帯と2.34倍に増えています。一人暮らし高齢者への対応が重要な社会的課題になっているのではないでしょうか。 内閣府の高齢者白書では、後期高齢者が増大し、そのなかで一人暮らし高齢者も増大し、近所づきあいがほとんどない人は18.1%、親しい友人・仲間をもってないひとは24.7%という調査結果を紹介しています。 また、港区の一人暮らし高齢者の調査では、正月三が日を一人で過ごしたと回答した高齢者は33.4%、親しい友人がいないと回答した高齢者が「16.5%」という結果を発表しています。 Q10 杉並区の高齢者実態調査でも、寝込んだときに看病する人がいない、何かあったときに相談相手がいない、日中独りになることがよくあると回答した人が相当数あり、杉並区においても高齢者の孤独な実態が浮き彫りになったのではありませんか。どう認識していますか。 一人暮らし高齢者の実態を調査してきた港区政策創造研究所の報告では、「コミュニケーションの欠如、人間関係の悪化は、精神面に孤立感をもたらし、高齢者の生活機能の不活性化、ひいては高齢期の身体機能の低下や地域の中での孤立化の進行に影響する」として、「社会参加の促進が今後重要になるだろう」と指摘しています。 Q11 重要な分析だと思います。すべての高齢者が孤立から抜け出し、社会参加によって、生きがいをもった人生をおくれるよう、杉並区として支援を強化することを求めます。この問題の重要性の認識と基本姿勢についてお答えください。 Q12 また、一人暮らし高齢者対策を強化する前提として、実態把握と分析が重要と思います。港区では、一人暮らし高齢者の生活実態を1995年から2012年まで3回にわたって調査し、その分析を「買い物支援事業」の立案に結びつけています。 区長から、来年度実施する高齢者実態調査について、令和4年度に行った調査の対象や規模等を抜本的に見直し、より実効性を高めた内容にする、と表明がありましたが、その際に、一人暮らし高齢者対策に光をあてる調査も行うことを提案しますが、いかがですか。 (具体的対策について) 次に、アンケートに寄せられた声などにもとづき、具体的対策について伺います。 Q13 「定期的に見まわりをしてほしい」「月に1度か2度、訪問での話し相手がほしい」…こうした訪問、声かけ、話し相手を求める要望が少なからず寄せられました。 区は、「安心おたっしゃ訪問」「安心コール」「たすけあいネットワーク(地域の目)」等に取り組み努力していますが、あらためてこうした声が現実にある状況にたって、取組みの強化・拡充を求めますが、いかがですか。 Q14 「困りごとが起きたとき相談できる人がほしい」という声もありました。現在の取組みと今後の対策についてお答えください。 関連して「高齢者のしおり」では、利用できる施設やサービス等紹介していますが、困ったこと、要望したいこと、相談したいことなどの事項にそって、回答が導き出せるような編集も考えてみてはどうかと思います。今後の発行にあたって、ぜひ検討してはいかがでしょうか。 Q15 買い物への支援の要望も寄せられました。80代の方は「足腰が弱くなったが、自分で商品をみて買い物したい」と記載していました。もっともな願いだと思います。また「買い物をしてほしい」という要望もありました。区では、社会福祉協議会が行っている「ささえあいサービス」で買物の支援を実施していますが、こうした事業を知らない高齢者は多いのではないでしょうか。さらなるサービス向上のために、事業の周知強化や社会福祉協議会との情報連携・共有を求めますが、いかがでしょうか。 Q16 アンケートで「くらしで困っていることを具体的にお書きください」という問いに、たった一言「さびしい」と書いてきた方がいました。か細い字で書かれた文字を目にし、切なさがこみあげてきました。 私は、予算特別委員会などで、ひとり暮らし高齢者を誘っての食事会の取組みを繰返し求めてきました。現在、区内では、高齢者の食事会はどのように実施されていますか、また、食事会を行っている団体への支援や、食事会を広げていくために、区としてどのように取り組んでいるのか、お答えください。 Q17 最後に施設やサービスの利用についてです。港区での調査では、活動参加や施設利用をしない人にその理由を聞いています。回答では「体調がわるい」や「時間がない」とともに、「一緒に参加する仲間や友人がいない」「それらの活動を知らなかった」という理由があげられていました。活動への参加を促す取組みの強化が求められると思いますが、区の認識をうかがい、質問を終わります。 以上
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