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2024年杉並区議会第四回定例会一般質問(富田たく)(2024年11月19日) |
日本共産党杉並区議団の富田たくです。区議団を代表して、 1.深刻化する物価高騰から区民生活を守るための緊急対策について 2.杉並区内で発生しているPFAS汚染への対応について 一般質問いたします。 1.深刻化する物価高騰から区民生活を守るための緊急対策について (1)区として区民生活の実態把握をどう行っているのか 最初のテーマは、深刻化する物価高騰から区民生活を守るための緊急対策について、です。 本年10月25日に総務省が発表した消費者物価指数10月分中旬速報値では、生鮮食品を除く総合指数において、東京都区部は2020年を100として107.9となり、前年同月比で1.8%の上昇と深刻な物価高騰が継続しており、区民の生活と事業活動に大きなダメージを与えています。 なかでも食品類の高騰が激しく、前年同月比3.5%もの上昇。特に「穀類」では13.7%も上昇し、そのうちコシヒカリを除く「うるち米」では65.9%の上昇と、コメの価格が昨年に比べ1.6倍以上の値上げとなっています。 帝国データバンクの発表によると、主な食品メーカー195社が値上げした飲食料品は、2022年は2万5768品目で平均値上げ率14%、2023年では3万2396品目で15%の値上げ。さらに本年2024年では、11月までに1万1872品目で17%の値上げとなり、この3年で飲食料品の値上げは延べ7万品目を超える状況となりました。(毎日新聞/2024.9.11) 継続し、深刻化する物価高騰から、区民生活を守るためにどのような対策を進めるのかが、今まさに杉並区に問われており、その為にも区民の生活苦の実態をどのように把握していくのかが重要です。 【問1】 区として区民生活の実態をどう把握しているか 本年6月に区が発表した「令和7年度予算編成に関する基本方針」では、「区政の第一線で区民と接する各部門が、区民の視点に立って生活実態等の把握」に努めることが明記されています。区民生活を守るための予算を編成するためには大変重要な観点だと考えます。 具体的にどのような手法で、区民生活の実態把握を行っているのか。また、把握した実態をどのように分析しているのか、伺います。 東京都が実施している「都民生活に関する世論調査」では、毎年必ず「暮らし向きの変化」を質問しています。2023年・令和5年6月に行われた最新の調査では、この「暮らしむき変化」の質問に対し、「苦しくなった」との回答が49%と前年比8ポイントの増加です。一方、「変わらない」と答えた方は45%でした。暮らし向きが「苦しくなった」との回答数が「変わらない」と答えた方を上回ったのは、1989年・平成元年以来34年ぶりと、都の調査でもその深刻さがうかがえます。 【問2】 区民意向調査に生活の質問を このように、東京都は毎年の世論調査で都民の生活実態の把握を実施していますが、区が毎年行っている「区民意向調査」の設問には、生活が楽になったか、苦しくなったかといった設問はありません。杉並区が主体的に区民生活の実態を把握するためにも、東京都の「都民生活に関する世論調査」のように、暮らし向きの変化を設問に加えるべきと考えますが、如何でしょうか。 (2)【区民アンケートの結果より】生活苦の生の声 我が党区議団は本年9月から区民の生活実態を把握するために、区民アンケートに取り組んでいます。その中で、「物価高騰が続いていますが、昨年にくらべ、くらしはどうなりましたか」との質問に対し、「苦しくなった」と答えた方は50%、「苦しい状況が続いている」は32%と、「苦しくなった」、「苦しい状況が続いている」の2つを合わせると8割をこえました。 長期化し、深刻化する物価高騰によって、杉並区民の8割以上という大多数が、生活苦に直面するという、かつてない事態になっていることが、今回のアンケートから浮き彫りになりました。 「節約のために我慢していること」についての質問に対して、最も多かった回答は「食費」で68%。つづいて「旅行」52%、「衣服」52%でした。「困っていること」についての回答者のコメントには、次のようは悲痛な声が寄せられています。 「食費を抑えた生活をしているが健康に害をきたしそう。」 「野菜・肉・魚が買えない、菓子パンばかりで糖尿病になる。」 「節約しても節約しても厳しい状況が続いている。」 「物価高騰により食費の節約を続け、心身、身体的に元気がなくなった」 「水道代を節約するためにお風呂をシャワーのみにすることが多く健康的でない」 返信されたアンケートを確認しながら、回答してくださった方々の生活を想像するたびに、涙が出てきそうになります。 物価高騰によって多くの区民が、生活の根幹である食事すら削らざるをえないという深刻な事態に追い詰められていることが、今回のアンケートで浮き彫りになりました。 こうした状況は、憲法が保障した「健康で文化的な生活」が脅かされる事態を示すものです。 【問3】 緊急的な支援の必要性、財調基金の活用も 特に、ひとり親世帯、低年金世帯、子育て世帯、若者など、生活に苦しむ世帯への緊急的な支援が必要です。区としてその必要性をどのように認識しているか、伺います。 また、緊急的な対応だからこそ、財政調整基金も活用し、最大限の対策を行うことが求められると考えますが、区の認識を伺います。 (3)深刻な物価高騰に対し、ただちに生活苦の軽減対策を アンケートでは、生活苦を改善するために物価高騰対策をすぐにでも実施してほしいとの声があふれています。「給付金や、商品券など、直ちに使えるものが欲しい。」との声や、「電気代を下げてほしい、助成してほしい。」といった声。 「教育費や、通学費の無償化」、「家賃助成」についても、今まで以上に痛切な要求が届いています。 【問4】 プレミアム商品券 なかでも、くらしの支援策の要望では、プレミアム商品券の発行を要望する声が多数ありました。以前の商品券事業では、事業者の売り上げ増につながらなかったとの否定的な評価でしたが、区民にとっては生活苦を緩和するためにもメリットが大きく、物価高騰対策として重要な施策です。 杉並区商店会連合会とも協議し、連携しながら、プレミアム商品券の発行に取組むことを求めますが、如何でしょうか。 【問5】 主食である米の価格高騰 主食であるコメの価格高騰が区民の食生活に大きな影を落としています。新米が流通しても価格は高止まりで、先に示したようにコメの価格は前年に比べて1.6倍です。 日本人の主食であるコメが、買えない、食べれない、という事態の解決は急務であり、低所得世帯等に対する「お米券」の支給など、緊急対策を実施するべきと考えますが、区の見解を伺います。 【問6】 中小事業者への支援 中小事業者への支援も待ったなしです。消費者物価指数でも電気代は前年同月比4.0%の上昇と事業活動に大きな影響を与えています。区内の中小事業者への光熱費助成について、前回実施の経験を生かして、申請手続きを簡素化し、対象事業者を明確にして再実施することを求めますが、如何かでしょうか。 (4)税と社会障負担の軽減策 アンケートを集計していて改めて実感したのは、この間の物価高騰だけが生活苦の主な原因ではない、ということです。 アンケ―トへの回答では、生活苦の原因として、物価高騰とともに10%の消費税や国民健康保険料の値上げがあげられ、国保料に関する質問でも回答者の65%の人が「高すぎて生活を圧迫している」と答えています。また希望する対策でも「せめて食品だけでも消費税をゼロに」や「国保料を下げて」の声が多数寄せられました。 【問7】 日本の構造的な問題をどうとらえているか 働く方々も過酷な状況であり、2012年に自民党が政権復帰して以降の23年間で、大企業の内部留保は激増して539兆円に膨れ上がる一方で、労働者の実質賃金は年33万6000円も減少しています。その間、消費税の増税と、社会保険料の負担増が、家計を更に圧迫してきました。 そこに、物価高騰が追い打ちをかけているのが現状で、家計は2重苦、3重苦の状況です。こうした日本社会の構造的な問題の解消も急務であると考えますが、区はどの様に捉えているのか伺います。 日常生活のなかで消費税の負担感は深刻です。物価高騰により、価格が上がれば支払う消費税の額も引きあがり、ますます家計は苦しくなるばかりです。 緊急的に消費税を5%に軽減することや、ただちに食品への課税廃止など、区からも国に対して消費税負担の軽減を強く求めていただくよう要望いたします。 【問8】 国民健康保険料の負担軽減 国民健康保険料の負担軽減も強く求められています。アンケートでは、国保料が「高すぎて生活を圧迫」していると回答した方は65%に達しています。また、国保料の大幅値上げへの痛烈な批判の声も寄せられています。連続値上げで暮らしが脅かされ、悲痛な声があがる事態を、区はどう受け止めているのか、伺います。 国保料の連続大幅値上げは、国と東京都の責任が重大です。特に、東京都は保険者として中心的役割をはたす責務があります。来年度の値上げの抑制のために、杉並区は、国や東京都に対してどの様な対応をしてきたのか。また、これから行うのか、伺います。 また、区として、国保料の値上げを抑えるために力を尽くすとともに、子どもの均等割額軽減を拡大するなど、区独自の対応を求めますが、区の認識を伺います。 (5)住宅対策について 【問9】 家賃助成の早期実施を 物価高騰の中で、賃貸住宅の家賃が家計に重い負担となっています。アンケートの「希望する住宅対策」の設問では、「家賃助成」との回答が70%を占めています。 自由記述欄には「わずかな貯金を取り崩して家賃支払いに充てており、貯金が無くなったらホームレスになる。」との年金世帯の悲痛な声も届いています。 早急に家賃助成の実施に踏み切ることが求められており、とりわけ、ひとり親世帯、低年金世帯、困窮する若年世帯への対応が必要と考えますが、区の認識は如何でしょうか。 【問10】 公営住宅の拡充を アンケートでは家賃助成の他に「都営・区営住宅増設」を求める方が48%と半数近くに及びました。 都営住宅で建て替え事業などのために未使用となっている部屋についても、募集用に活用するよう東京都に求めるとともに、区として「みどりの里」の拡大を行うよう求めますが、如何でしょうか。 (6)子育て家庭の負担軽減 【問11】 義務教育費の負担軽減を 物価高騰のもとで、困窮する子育て世帯への支援として義務教育費の負担軽減などをこれまでも求めてきました。そうした下で、杉並区が昨年度から給食費の無償化の実施や、就学援助の認定基準額を生活保護基準の1.3倍へと拡充したことは、大変重要な前進と受け止めています。 しかし、就学援助の認定基準額については、前・田中区長に引き下げられる以前の水準へと回復させるためには、物価高騰分も加味して計算すると現状以上に引き上げることが求められています。 あらためて、認定基準額を生活保護基準の1.5倍に引き上げることや、支給費目の拡充、入学準備金の支給額引き上げなど、就学援助の拡充を図るとともに、対象世帯で申請をしていない世帯の抽出と、積極的な需給勧奨を実施することを求めますが、区の見解は如何でしょうか。 また、就学援助対象世帯以外の教育費の負担軽減策の実施、特に前・田中区長のもとで、令和2年をもって廃止された区立中学校修学旅行費補助金の再開を求めますが、区の見解をお聞きします。 【問12】 受験生チャレンジ支援貸付事業の拡充 あわせて、受験生チャレンジ支援貸付事業の収入基準額の引き上げによる対象者の拡大や、貸し付けではなく給付型への転換、中学3年生、高校3年生だけでなく1、2年生も対象とするなど、制度の拡充を求めますが、如何でしょうか。 【問13】 他自治体の事例・神戸市、高校生の定期券無償化 先日、神戸市が高校生の通学定期代を全額補助する、通学費用の「完全無償化」に踏み切ったとの報道がありました。子育て世帯の大きな負担となっている通学交通費などの負担軽減策についても、他自治体を参考に杉並区でも検討・実施を求めますが、如何でしょうか。 【問14】 子ども食堂への支援 子ども食堂など、非営利で困窮する子育て世帯を支援する団体も、この間の物価高騰で運営の継続が危ぶまれています。高騰する食料品の購入費の補助など、運営支援の強化を行うべきと考えますが、このテーマの最後に区の認識を伺い、次のテーマに移ります。 2.杉並区内で発生しているPFAS汚染への対応について (1)東京都の調査結果 二つ目のテーマは、杉並区内で発生している有機フッ素化合物・PFAS(ピーファス)汚染への対応についてです。 2022年に行われた東京都『水道局』の調査で、現在運用停止となっている善福寺浄水所の1号取水井戸で、有機フッ素化合物であるPFOS(ピーフォス)、PFOA(ピーフォア)が合わせて1リットル当たり210ナノグラムと、環境省が設定している指針値の1リットル当たり50ナノグラムに比べ4倍以上の高濃度で検出されていたことを、昨年の第2回定例会で取り上げました。 その後、東京都『環境局』が、令和3年度から令和5年度にかけて都内260カ所の地下水を調査した結果が発表されました。杉並区では、4カ所の調査地点すべてにおいて、指針値以下ではあるものの、PFOA、PFOSが検出されています。 【問15】 PFAS汚染について区としての問題意識 本来、自然界に存在せず、人工的に生成され、且つ人体に様々な悪影響を与えると国際的にも指摘されている「有機フッ素化合物・PFAS(ピーファス)」が区内4カ所の調査全てで検出されたことは、重大な環境汚染として受け止める必要があると考えます。区として現状の汚染についてどのような問題意識を持っているのか、伺います。 (2)【杉並区内の調査の必要性】 【問16】 対応の手引きに対する認識 2020年6月に環境省が自治体に送付したPFOS、PFOAに関する対応の手引では、「排出源の特定のための調査を実施し、濃度低減のために必要な措置を検討することが考えられる」として、各自治体に発生源の調査と必要な対応を行うよう指摘しています。 ここで指摘されている「排出源の特定のための調査の実施」「濃度低減のために必要な措置」とは、どのようなことを指していると区は認識しているのか、伺います。 【問17】 高濃度汚染の可能性についての区の認識 東京都・環境局の調査では、区内4カ所の調査で指針値以下での検出でしたが、先に指摘した通り、都・水道局の調査では杉並浄水所で指針値の4倍以上のPFASが検出されております。こうした状況を考えると、杉並浄水所以外でも高濃度のPFAS汚染地域が存在する可能性は否定できないと考えますが、区の認識は如何でしょうか。 【問18】 区独自調査が必要を求める 都の調査では、この広い杉並区内で4カ所での調査しか行われておりません。これでは、区内の汚染実態を把握することは困難であり、杉並区独自の調査を行うことが必要と考えます。まずは、指針値を超えている杉並浄水所近隣で地下水調査を行うことを提案しますが、如何でしょうか。 また、最終的には、地下水の汚染状況を詳細に把握することが必要であり、小中学校や公園、区立施設の井戸はもとより、区内で地下水を利用している民間事業所や住宅に設置されている防災井戸など、区内全域の調査を区として行うことが必要と考えますが、区の認識は如何でしょうか。 (3)【指針値を超えた場合は対応を】 【問19】 指針値を超えた場合はイオン交換樹脂や活性炭フィルター等の活用を 今後、調査を行って指針値を超えた場合、もしくは指針値に近い汚染状況の場合は、汚染物質であるPFASを取り除く必要も出てきます。 国内外では、イオン交換樹脂や活性炭フィルター等によるPFAS除去が行われており、区としてもそうした対応を行うことを検討、準備していくべきと考えますが、見解は如何でしょうか。 【問20】 使用済みフィルターの焼却は杉並清掃工場で可能か? 岡山県では、工場などで使用された活性炭フィルターが資材置き場に放置されたことによって、土壌やダム水等にPFASが流出し、飲み水まで汚染が広がったといった、2次汚染が発生している報道もあります。 このことからも、今後、PFAS除去のために活性炭フィルター等を利用した場合、使用済みフィルターの処理についても注意が必要です。 環境省はPFAS汚染物質の焼却処理を行う際、『PFOS含有廃棄物については、約850℃以上』、『PFOA含有廃棄物については約1,100℃以上を推奨』としています。 杉並清掃工場は、800度以上で焼却処理していると言われていますが、活性炭フィルターなどで吸着されたPFASを杉並清掃工場で焼却処理できるのか確認します。できない場合は、通常のごみ収集とは分けて回収し、処理する必要があると考えますが、如何でしょうか? (4)環境省の「PFOS等含有泡消火薬剤全国在庫量調査の結果」について 【問21】 「PFOS等含有泡消火薬剤全国在庫量調査の結果」について 環境省が「PFOS等含有泡消火薬剤全国在庫量調査の結果」を11月1日に発表しましたPFOS等を含んだ泡消火薬剤は、東京都全体では32万リットル以上で、その大半は駐車場でした。杉並区内の在庫量はどのくらいなのか、確認いたします。また、その量を把握していなければ環境省へ問合せするべきと考えますが、如何でしょうか。 (5)【PFOS等含有泡消火薬剤の転換促進事業】 【問22】 東京都のPFOS等含有泡消火薬剤の転換促進事業の広報を 東京都では、「全国初!! PFOS(ピーフォス)含有泡消火薬剤を交換する費用の補助を開始します!」と題して「PFOS等含有泡消火薬剤の転換促進事業」を本年7月から実施しています。補助対象は大企業、中小企業、マンション管理組合、その他公益法人、等です。 区内の民間駐車場などで、対象となる泡消火剤がのこっている場合、区から管理者に連絡を取り、東京都の「PFOS等含有泡消火薬剤の転換促進事業」の活用を積極的に呼びかけるべきと考えます。最後に、この点について区の見解をお聞きし、一般質問を終わります。 以上
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