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2024年杉並区議会第三回定例会一般質問(酒井まさえ)(2024年9月11日) |
日本共産党杉並区議団を代表して、 1.介護について 2.放課後等デイサービスについて 3.都市計画道路補助133号線について 質問します。 1.介護について (1)介護の人材不足に対する区の認識 最初に、介護について質問します。 介護保険制度は始まって24年が経過しました。 介護保険は、高齢者の介護を社会全体で支え合う「介護の社会化」として創設されましたが、介護報酬の連続削減、1割負担の利用料の2割・3割への引き上げ、介護施設の食費・居住費の負担増、要支援1・2の訪問・通所介護の保険給付外し、要介護1・2の特養入所からの締め出しなどの改悪が行われ、必要な人が必要なサービスを受けられない事態も発生しています。 さらに、今深刻なのが、介護現場の人手不足です。ホームヘルパーの年齢構成は60歳代以上が4割を占め、80歳代のヘルパーが現場の重要な戦力となる一方、20歳代のヘルパーは全体の4%に過ぎません。ケアマネージャーの資格試験の受験者は激減し、合格者は最高時の10分の1以下に減っています。こうした事態を引き起こしてきた最大の要因は、介護従事者の過酷な労働環境と低い処遇です。介護職の平均給与は全産業平均より「月8万円低い」とされる状況が続いています。 介護の根幹である人材不足を早急に解決しなければ、「保険あって介護なし」という深刻な事態に直面するのではないでしょうか。 【問1】 介護の人材不足について、区の問題意識 区は、介護の人材不足が、 公的介護制度の存廃を脅かす大問題となっていることに対し、どのような問題意識を持っているでしょうか。 (2)岸本区長が進める「ケアする人をケアすること」の重要性と今後の取り組み 介護分野での人材不足を解消するためには、介護従事者の処遇を改善することが急務だと思います。 そうした意味で、岸本区長が、本年2月の予算編成方針の説明や、議会質疑の答弁等で「ケアする人をケアする」取り組みを表明していることは重要です。 本年3月22日に更新された岸本区長のブログでも、「保育士や介護職員の社会的な評価や認知が追いついていない一つの表れが賃金の低さ」、とエッセンシャルワーカーの処遇の低さを指摘しながら、「施設等の介護職員の73.0%が女性であり、訪問介護員の88.6%は女性です」と、介護分野でのエッセンシャルワーカーの大半が女性職員であるという構造的問題にも言及し、共生社会を支えるのが介護などのケアーワーカーであることから、「ケアする人をケアするという視点を大切にしながら介護サービス基盤の充実に取り組みます。」と表明しています。 私も、訪問看護師、ケアマネージャーとして在宅介護、看護の仕事に長年たずさわってきました。 実際に見てきたなかで、家族が介護で仕事を止めざるを得ない家庭なども有りました。現場を知る一人として、岸本区長が進める「ケアする人をケアする」取り組みの重要性を痛感しています。 【問2】 「ケアする人をケアする」取り組みの意義と今後の展望について 改めて、岸本区長が進めている「ケアする人をケアする」取り組みの意義と今後の展望について伺います。 (3)「ケアする人をケアする」実際の取り組みと現場の声、今後のさらなる体制拡充について 高齢化が進む中、誰もが住み慣れた地域で安心して自分らしい暮らしができるようにするためには、地域包括支援センター(ケア24)の役割は重要です。ケア24は、地域包括ケアシステムの中核となるもので、専門人材の確保、定着など体制強化が重要ですが、財政的に困難な現状もあります。そうした中、区は、今年度ケア24に対して、委託費の増額を行いました。 あるケア24からは、「ケア24への支援は非常に助かっています。毎年赤字が当たり前でしたが、その分が無くなくなって利益が出ないが赤字にもならない事は、大きいです。ケア労働に関わる医療介護領域である報酬での人員換算があまりにも低い中で、杉並区からの今回の支援は職員にとって大きな励み(モチベーションアップ)になっています。職員は、現場の業務の大変さと共に、患者利用者としての地域住民の生活の大変さを、杉並区が気に掛けて手立てを取っていただいた事の社会や政治に対して諦めないで関わり、現場の実情を伝える大切さを再確認出来るきっかけにもなっています。本当にありがたいと思っています」と感謝の声が寄せられました。 【問3】 ケア24の委託費の増額について ケア24の委託費の増額について、どのような効果をあげていると考えていますか。また、各ケア24からは、どのような声が寄せられているのか伺います。今後も、区としてケア24の職員の声を丁寧に聞き取り、状況に応じて、さらなる支援を進めることを求めますが認識を伺います。 (4)他自治体の取組と、新たな取り組みの提案 杉並区内でも、介護人材不足が深刻になっている声を多く聞いています。特に在宅の介護事業所は深刻な状況になっていることが寄せられています。 介護現場で介護人材を確保するためには、低賃金という根本課題の解決が必須だと思います。 杉並区では研修費用の助成等を行っており、一定の負担軽減は行われているものの更なる取り組みが求められると考えます。 少なくない自治体で、介護職員に対するさまざまな負担軽減策を実施し、実質的に職員の手取りを保障する取り組みが進められています。 東京都でも介護職員等の処遇改善のため、国が必要な見直しを講じるまでの間、介護職員や介護支援専門員に対して居住支援特別手当を支給する介護保険サービス事業所を支援する「介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業」を実施しており、原則月額1万円、勤続5年目までの介護職員にはさらに1万円が加算されます。この取り組みを東京都の担当所管に確認したところ、この補助事業と自治体独自で行っている事業者や従事者への補助制度は、併用が可能とのことでした。 杉並区としても、都の補助制度の活用を各事業者へ働きかけるとともに、他自治体が行う独自の支援制度を大いに参考にすべきです。 ・家賃助成について 【問4】 介護従事者への家賃補助の実施 品川区では「慢性的に介護・福祉職員が不足している要因の一つに給与等処遇の課題が挙げられている。居住支援手当を支給することで、職員の定着を支援し、要介護高齢者・障害者へのサービス提供体制基盤の安定化に繋げることを目的とする。」として、「品川区介護職員居住支援手当および品川区障害福祉職員居住支援手当に係る補助事業」を創設し、今年8月から交付申請の受付を行っています。 手当は従業員一人当たり月額1万円で、事業者が区に申請し補助金を受け取り従業員に手当てを支払います。その際、事業者には手当分だけでなく、社会保険料雇用主負担額に相当する額として、手当支給額の15%分も事業者への補助金として支出されており、従業員にとっても事業者にとってもメリットのある制度となっています。 文京区でも実施しています。 区としても、介護人材の確保・定着を目的として、介護従事者に対する家賃補助事業や、居住支援手当支給補助事業を実施することが必要と考えますが、区の見解は如何ですか? ・奨学金支援助成 【問5】 介護従事者への奨学金支援助成 家賃負担の軽減以外にも、介護従事者の負担軽減を実施している自治体があります。 千代田区では、介護従事者の経済的負担を軽減することで離職を防ぎ人材の確保を図ることを目的に、「介護人材奨学金支援助成」を実施し、区内介護施設及び事業所に勤務する介護従事者が奨学 金を返済している場合に助成を行っています。 文京区でも実施予定です。 区としても、介護従事者の奨学金返済に助成を行うことは重要と考えますが、見解をうかがいます。 ・介護人材の緊急確保・定着奨励金 【問6】 介護人材の緊急確保・定着奨励金 江戸川区では人材の定着を促進することを目的に、「介護・福祉人材緊急確保・定着奨励金事業」として、区内の同一介護・障害福祉サービス事業所で3年間就労を継続した常勤職員に対して、年額10万円の奨励金を交付していいます。 他自治体では、継続して勤務した職員に対する表彰や記念品の贈呈に留まっているだけに、江戸川区の取組は、一定の効果があるのではないでしょうか。 区としても、介護人材の定着に向け、こうした事業も念頭に様々な取り組みを検討すべきと考えますが、認識は如何ですか? ・宿舎借上支援 【問7】 宿舎の借り上げ支援事業について 介護従事者の負担を軽減し、区内事業所で長く従事してもらうという意味では、事業所が行っている借り上げ宿舎に対する支援も効果的であると思います。23区調査では、半数近くの11区で実施しています。 他自治体の多くが行うこうした支援事業について、杉並区でも実施することが求められると考えますが、認識は如何ですか? 【問8】 就職相談・面接会について 大田区は、ハローワーク大森、大田区介護保険サービス団体連絡会と連携して、平成28年4月からハローワーク大森の会議室で定例的に介護保険事業者による就職相談・面接会を実施しています。年に9回行い、1回の参加事業者は6事業者としています。 事業所にとって、区が行う就職相談・面接会は、無料であり人材確保にとっては絶好のチャンスです。 区内の事業者からは「年に1回で、参加できる事業所は少なく参加できない。会場が狭い。大きな事業所は人事の担当がいるので参加しやすいが、小さな事業所はそこに行くだけで大変」という声が寄せられています。 就職相談・面接会は、希望する事業所が参加できるように、できるだけ広い会場で、回数も複数回にすることが必要でなないでしょうか?区の見解を伺います。 介護の魅力発信について 【問9】 介護の魅力発信について 介護の現場は、人手不足で重労働、賃金も安いので若い人からも敬遠されがちですが、介護労働は、その人の生活を支え、人が生きていく上でなくてはならない重要な仕事です。 多くの方に担ってもらうためには、介護の魅力を伝えることが必要で、他自治体では、そのための支援を行っています。文京区では介護の魅力発見映画上映会を行い、令和2年は156人の参加で、令和4年にはコロナ禍でも43人の参加でした。台東区は介護等就職フェア、大田区はおおた福祉フェス、世田谷区は福祉・介護お仕事フェアなど各区で行っています。 介護の魅力を発信するイベントはとても大事なことだと思います。杉並区も検討を求めますが、いかがですか? 【問10】 小・中・高校生に対して介護の魅力をつたえる取り組み 豊島区は、中・高校生向けに理解を深めるマンガでわかる!介護のお仕事パンフレットを作成し配布しています。パンフレットには、介護サービス事業所で働く職員のインタービューも掲載しています。 北区も、中学生にリーフレットを配布、江戸川区は、中学生向けの介護の魅力を伝える冊子作成と実際に学校訪問も行っています。こうした取り組みは将来に向けて大切なことです。 杉並区も、小・中・高校生に対して介護の魅力をつたえる取り組みの検討を求めますが。いかがですか? 【問11】 介護事業者の実態調査を 今月6日、東京商工リサーチは、今年1月から8月の全国の介護事業所の倒産が114事業所で、過去最多を記録したと公表しました。事業種類別では、今年4月から介護報酬が2〜3%引き下げられた「訪問介護」が55件と最多で、物価高によるコスト増の負担が重いデイサービスなど「通所・短期入所」が35件、「有料老人ホーム」が11件などです。介護報酬の引き下げが深刻な影響を及ぼしていることは明らかではないでしょうか。 杉並区には、現在150の訪問介護事業所があります。事業者からは「介護基本報酬が下がって、ますます経営は厳しくなる。募集しても人は入ってこない」と、また「訪問介護はいつも不安定。利用者は高齢なので、体調を崩して入院したり、入所し収入減となる。報酬引き下げでますます自転車操業になる。ヘルパーさんは高齢者が多くなり、募集しても入ってこない」などの声が届いています。 区として、事業者の実態を把握することは、事業所の支援のためにも重要と考えます。改めて事業者の実態調査を求めますが、区の認識を伺います。 2.放課後等デイサービスについて 次に、放課後等デイサービスについて質問します。 放課後等デイサービスは、小中学校・高校就学中の障害児に対して、放課後や夏休み等の長期休業中に、生活能力の向上のための訓練等を継続的に提供し、障害児の成長を支援するとともに、放課後等の居場所づくりを行う事業です。また、障害のある子どもたちの放課後の居場所を作ることで、仕事をしている保護者への支援にもなっています。 現在、区内の事業所は29カ所になりました。児童や保護者のニーズをふまえ、様々な内容の支援が行われています。 【問12】 事業所の増加についての区の認識 この間、放課後等デイサービスは令和4年4月から9事業所増えました。私も増設を求めてきた一人として大変うれしく感じています。保護者から私のもとにも喜びの声が寄せられていますが、区には、どのような声が届いているでしょうか。伺います。 【問13】 現状への整備状況への認識と今後の取り組み 放課後等デイサービス事業所は順調に増加していますが、杉並区の人口規模から見た場合、23区と比較しても、依然として事業所が少ない状況です。現在も多くの人が利用を希望しても、すぐには利用できない状況もあります。この実態に対する区の問題認識を伺います。 【問14】 中学生以降の放課後の居場所の検討状況について さらに、中学生以降の通所がまだ足りていません。区は、障害児の中学生以降の放課後の居場所について、組織横断的な検討を進め対応策を検討するとしていますが、現在の進捗状況をお聞きします。 【問15】 事業所への支援状況と、事業所からの声 この間、放課後等デイサービス事業所の開設促進と運営支援に向けた補助が拡充されています。重症心身障害児を対象とした事業所への支援や人員基準以上に職員を配置し手厚い支援を行っている事業者への運営費補助が実施されています。開設促進と安定した事業継続に向けて、重要な支援と認識しています。 この間の補助による効果について、区の受け止めを確認すると共に、事業所からはどのような声が届いているのか伺います。 ある放課後等デイサービス事業所の職員は、「非常に助かっている。杉並区は特に、事業所の賃借料が高いので助かっています」とのことでした。 引き続き、杉並区の放課後等デイサービス事業所の開設促進、質の高いサービスの安定した提供に向けた運営支援を求めます。 3.都市計画道路補助133号線について (1)「(仮称)デザイン会議」について 最後に、都市計画道路補助133号線について質問します。 岸本区長が就任してから、都市計画道路の優先整備路線がある西荻、高円寺、阿佐谷南地域で住民と区長の対話の場「さとことブレスト」が開かれました。今年度、さらに住民が主体となり道路やまちのことを継続して考え、区と協働する場として「(仮称)デザイン会議」が始まっています。 西荻・高円寺は都から事業認可が下りていますが、成田東の補助133号線は事業認可されておらず、また都施行の路線です。70年も前の計画道路が、突如2016年に都の第四次優先整備路線となりました。既存の道路がない場所に、中杉道路を延伸し閑静な住宅街を突っ切って100軒以上の住宅を立ち退かせて作る道路計画に、多くの住民が不安を抱えています。2018年にできた地域住民の会は、これまでも区に対し何度も道路計画に関する反対の要望を提出してきました。 岸本区長就任後、区長を交えての地域での現地歩きや懇談などが実現し、住民との対話の場が作られてきたことに、喜びや感謝の声が届いています。 【問16】 住民主体の協議体について しかし、2026年度の都の第5次優先整備路線の選定に向けて、どのような経過を経て選定されるのか、事業化されるのではないかと、不安の声も高まっています。近く補助133号線地域でも「(仮称)デザイン会議をおこなうこととなっています。特に、事業認可されていないこの路線では、どのような目的を持って住民主体の協議体を作っていこうと考えているのか、伺います。 133号線の地域住民からは、「(仮称)デザイン会議」で取り上げるテーマ、学識経験者など招く場合は、区が一方的に決めるのではなく、住民が主体となって運営を行いたいという要望が出ています。運営の工夫を要望します。 (2)東京都の用地収用制度について 【問17】 土地収用制度適用基準に基づく進め方への変更について 東京都は、都議会にかけることなく、3月29日付で「建設局土地収用制度適用基準」の運用を大きく変更しました。従来の「円満解決を原則とする」という文言を削除し、「事業の早期完成のため緊急を要する場合や事業効果の早期発現に支障がある場合には、建設局土地収用制度適用基準に基づき土地収用法に定める手続きを進める」としています。この変更にたいして、住民からは心配の声が寄せられています。 都からはどのような報告がありましたか。この件に関する区の認識を伺います。 (3)第5次優先整備路線について 【問18】 第5次優先整備路線に対する住民意見 第5次優先整備路線の選定に伴う区民意見について、今の暮らしと環境を守りたいと、これまでも住民は要望を出したり、積極的に対話の場に参加してきました。今後の「(仮称)デザイン会議」で住民から出る意見は、しっかり都に届けていただきたいと思います。 区の認識を伺い、質問を終わります。 以上
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