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2023年杉並区議会第四回定例会一般質問(酒井まさえ) |
日本共産党杉並区議団を代表して、認知症対策について、高齢者の聞こえの支援について、放課後等デイサービスについて質問します。 1.認知症対策について 最初に認知症対策についてです。 認知症は、何らかの病気や障害などの様々な原因によって、記憶や判断を行う脳の認知機能が低下し、日常生活や仕事に支障をきたした状態をいいます。 日本国内の認知症の人は、厚生労働省の研究班によれば、2020年時点で600万人と推計され、2025年には約700万人にのぼると見込まれています。これは65歳以上の5人に1人ということになります。 杉並区内でも認知症高齢者は増えており、区の推計で21,865人になり、65歳以上の5.5人に1人になります。認知症の人が増える中、認知症になっても尊厳を守り、安心して暮らせる社会をつくることが求められています。 私は議員になる前、看護師として、多くの認知症の方を支援してきました。 これまで、認知症になったら何もできなくなる、おかしな言動で周りの人が困る。自分で何も決められないなどの誤ったイメージがありましたが、最近は決してそうではなく、認知症になっても感情も残り、日常生活においてもできることがたくさんある。自分で決めることもできる。という新しい見方がされるようになっています。認知症の人が増えるもとで多くの人々が、認知症を理解し共に生活することが自然になる、そんな日本社会を私は目指しています。 こうしたもと、今年6月に国会で「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が全会一致で可決成立しました。 この法律は、認知症の人が尊厳を保持し希望を持って暮らすことができ、相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会の実現を図ることを目的としています。国にたいしては認知症施策の基本計画の策定を義務づけ、都道府県と市町村にたいしては推進計画策定の努力義務を課しています。また、交通機関や小売業者などには事業に支障のない範囲で認知症の人に必要な配慮をするよう求め、国民には、認知症に関する正しい知識を持つよう求めています。 Q1、基本法の制定は、認知症の人の個性や尊厳が保障され、希望をもって暮らせる社会づくりに向けた重 要な一歩だと思いますが、区として、法制定を受けてどのように認知症施策を発展・強化させていくのか、お答えください。 次に、この間の取組がどうであったか、伺っていきたいと思います。 まず、認知症サポーターの養成についてです。 認知症に関する正しい知識の普及啓発を図るための認知症サポーター養成講座は、ケア24、学校、職場などで開催されています。講座を受けると認知症サポーターとなり、地域ではサポーターがいる店舗、事業所にステッカーをはり、認知症サポート事業所として相談なども受けています。 講座を受けた方からは、認知症のことがわかり、認知症の人を温かくみ守ることができます。などの声を聴いています。 Q2、認知症サポーター養成は重要な施策ですが、目標に対し実績がどうだったのか、令和3年度から今年度までの3年間の推移をうかがいます。また、学校や職場での養成講座は、具体的にどのように行い、何名がサポーターとなったのか、伺います。 次に普及啓発事業についてです。 知人のAさんは80代で、4年前に認知症になりました。家族は同居の息子、遠方の娘がいます。 現在、介護保険でサービスを利用しています。認知症になっても、足腰はしっかりしていて、以前は散歩も良くしていました。最初のころ、曜日が分からなくなったAさんが、いつでもゴミを出してしまい近所の住民とトラブルになりました。息子やケアマネージャーや介護関係者などが、住民のみなさんにAさんの病気のことを話し理解してもらうと、支援をしてくれるようになりました。認知症のことを理解することで、周りの人に変化が見られました。 周りの人の理解があると、不安感、焦燥感などの周辺症状が出にくくなり、認知症の進行も遅らせることができます。こうしたことからも、認知症についての理解促進、普及啓発事業は重要です。 区は、認知症の理解を普及させるため、世界アルツハイマーデーのある9月を認知症理解の普及啓発月 間とし、パネル展示を区役所1階のロビーで行い、2022年には2日間で337名の区民が来場していま す。大事な取り組みですが、規模を広げることが必要ではないでしょうか。 その点で、足立区は、区内にある大型商業施設で年に1回、認知症予防に特化した「あだちの脳活フェスタ」を開催し、専門職による相談コーナーの他、体操ウオーキング教室、健康フラ体操などの運動関係や、専門医師の講話や介護の現場で活躍しているロボットとのふれあいや脳トレコーナー等、様々な催しを行っています。 1回の参加者は3300人で、区民が日頃集まるショッピングモールで行うことによって全世代の目にとまり、認知症に対する理解促進や「不安や心配があるけれど、どこに相談に行ったらわからない」といった方が気軽に相談ができる場となっているそうです。 Q3、啓発事業・イベントについて、杉並区も、多くの人が集う場所での開催など、より効果が上がるよう工夫してほしいと思いますが、いかがでしょか。 次に認知症安心ガイドブックについてです。 認知症安心ガイドブックは、物忘れが気になりだした方や家族の方がいつ、どこで、どのような医療や介護サービスを受ければいいか、地域資源はどこにあるかなどの情報を掲載したもので、より多くの区民が手にできるよう、配布場所を増やすことも重要です。 Q4、この間、認知症安心ガイドブックは、どの程度普及できたのでしょうか。過去3年間の目標と実績をうかがいます。また、区民一人ひとりが認知症を理解し、支援するためにも認知症安心ガイドブックは、誰もが手に入りやすくすることが大事です。現在は、区役所、ケア24、ゆうゆう館、図書館、もの忘れ予防検診受託医療機関等に置かれていますが、他の区立施設、コミュニティふらっとなども加えるべきと思いますが、いかがでしょうか。 次に、早期発見のうえで重要となるもの忘れ予防検診についてうかがいます。 杉並区は、2021年度からもの忘れ予防検診を行っています。対象者は70歳になる区民で、認知症予防に関する情報と「自分でできる認知症の気づきチェックリスト」を送付し、チェックリストの結果によって検診を勧めるというものです。 Q5、もの忘れ検診について、2021年度からの2年間の実績をうかがいます。対象者数、受診者数、認知機能障害を診断された人の数、医療機関に結びついた人数をお答えください。また、検診の効果をどのように評価しているのかお答えください。 私は、議会事務局を通じて、23区のもの忘れ予防検診の実施状況を調査しました。その結果、実施している区は12区で、1区が検討中でした。 品川区では、75歳の方4981人が対象で、受診した人は246人、受診率は4.9%です。一方、対象人数が同じ杉並区では、受診率は2.3%と、品川区の半数でした。 文京区は、55歳から5年刻みに75歳まで、江戸川区は65歳から2歳刻みに83歳までの人を対象としていました。70、75、80歳で行っている区もありました。 Q6、もの忘れ検診を行っている12区中9区が、認知症の普及啓発、医療機関への受診、多職種への繋がりを促すなど効果が見られたと回答しています。 今後、対象者を70歳だけでなく、65歳、75歳にも広げるなど、拡充と継続を求めますが、認識をうかがいます。 次に、認知症初期集中支援チームについてです。 もの忘れが気になりだしたら、専門医に相談したり、医療機関を受診することが必要になりますが、本人に診療を促しても拒否されるという問題があります。 私が看護師として働いている時、一番難しかったのは、物忘れが始まった初期の人を医療に結び付けることでした。 Q7、そうした時に、認知症初期集中支援チームが自宅を訪問し、生活状況や認知機能等の情報収集と評価を行い、適切な支援に結びつけています。現在のチーム数、体制と、目標と対応件数の実績について、また目標に対して実績が増えていないのであれば、その理由と今後の取組の工夫などお聞かせください。 次に、本人や家族を囲む認知症カフェ、サロンについてうかがいます。 私は、区内の認知症サロン、ウオーキングの会、介護者の会を視察させていただきました。 ウオーキングの会は、物忘れが始まった方を囲んで話をしながらゆっくり1時間ほど歩いていました。 サロンでは認知症予防で折り紙、編み物の作品を作っていました。介護者の会では、介護をする苦労話や悩みを話、支援員が励ましやアドバイスをしていました。認知症の人が住み慣れた地域で暮らしていくために、自宅以外の安心できる場所は必要と思います。地域の人との交流によって、認知症の人が不安感、焦燥感などの周辺症状が出にくくなり、認知症の進行を遅らせることにもなります。 Q8、区は、認知症カフェやサロン、介護者の会などが果たす役割、効果についてどう認識していますか。 Q9、運営にかかわっている方はボランティアで、会のメンバーからは「会を開く場所探しが大変。区が考えてくれるとありがたい。区立施設を優先して使わせてほしい。無料の場所があればいいが、有料であっても区からの補助金があればいい。ぜひ補助金がほしい」などの要望をお聞きしました。23区でも認知症カフェの運営に関し助成を行っている区がいくつかあります。目黒区のカフェなど東京都の高齢者施策区市町村包括補助事業補助金を使い助成しています。区としても運営に対する助成を検討してほしいと思いますが、いかがでしょうか。 次に、若年性認知症の人への支援についてです。 18歳から64歳までに発症した認知症を若年性認知症と呼んでいます。 働き盛りの世代が発症するため、高齢者以上に家庭や職場への影響が大きく、精神的、経済的負担も重く、「本人も周りも変化に気付いたが、受診してもわからず、診断が遅れた。症状が出て2年後に診断された」など、発見が遅れる傾向があります。また、若年性認知症の人は、身体は元気で社会参加への意欲が強い人が多いのが特徴です。そのため、高齢者のデイサービスに行っても話が合わない、なじめないなどの声も聞きます。 Q10、杉並区の若年性認知症の方は何人になりますか。伺います。 Q11、杉並区では、若年性認知症の相談窓口が開設され、若年性認知症の人がつどえるカフェも3か所ありますが、デイサービスはありません。区内在住の方が新宿区や目黒区のデイサービスに通っていたが、通うのが大変でやめてしまった人がいるとの声を知り合いのケアマネージャーから聞きました。以前の一般質問でも、若年認知症に対応したデイサービスを区内にも設置することを要望しましたが、改めて検討を求めます。区の認識をうかがいます。 Q12、認知症は誰もが起こりうる問題です。認知症になっても尊厳と希望を持ちながら住み慣れた地域で安心して暮らしていくために、一人一人の意識を高めることが大事です。世田谷区では、2020年に「認知症とともに生きる希望条例」を制定し、全区民の意識を高めています。ほかにも当区議会保健福祉委員会でも視察した福岡市の「認知症フレンドリー宣言」、名古屋市の「認知症の人と家族が安心して暮らせるまちづくり条例」など、現在20の自治体自治体が条例制定を行っています。杉並区でも、こうした自治体を参考に、条例制定や宣言を行うことを提案しますが、いかがでしょうか。 2.高齢者の聞こえの支援について 次に、高齢者の聞こえの支援について質問します。 70歳以上の高齢者の半数は加齢性難聴と推計されています。難聴になると、コミュニケーションがとりにくくなり、家庭のなかでも、社会的にも孤立しやすく、ひきこもったり、認知症にもなりやすくなります。 難聴の人への対処方法の一番は、補聴器をつけることです。 杉並区では、今年の6月から補聴器購入費助成制度が開始されました。住民税非課税世帯の方に上限で45,700円、課税世帯の方に上限で22,800円が助成されています。制度を利用する人が多く、区議会第3回定例会には追加予算も計上されました。わが党区議団も再三にわたり提案してきたことであり、多くの高齢者に活用されていることを嬉しく思います。 助成制度を利用して購入した人からは「テレビの音量を大きくしなくてもよくなり、人と話す時も聞こえるようになりました。認知症予防にもなります。大変感謝しています」との感謝の声が寄せられています。 補聴器助成は、多くの自治体に広がっています。 区議会事務局を通じ、23区の実施状況を調査した結果、補聴器購入費助成制度を実施している区は、17区となり、実施予定、検討している区は5区でした。助成の財源は、全ての区が都の高齢社会対策区市町村包括補助事業補助金を活用していました。 助成金額は、平均35,000円でした。1番高いのは港区で、137,000円、助成対象者を非課税世帯のみとしているのは、1区で板橋区、非課税世帯、課税世帯と分けているのが杉並区、豊島区で、他の区は非課税世帯、課税世帯一律の金額でした。また新宿区、江東区が現物支給でした。 杉並区は、非課税世帯、課税世帯にも助成し、非課税世帯への助成額上限は平均より高く、区民に喜ばれています。 一方、制度を利用して購入した区民からは、「補聴器を買ってもなかなか合わず慣れない。外している」という声も聞きます。 補聴器装着の支援は、認定補聴器技能者の調整・支援が重要です。 認定補聴器技能者の支援については、現物支給している新宿区、江東区で調整の支援を行っています。また、杉並を含めて5つの区は、購入の店舗を認定補聴器技能者がいるところを要件にしています。調整などの支援をするよう勧めています。板橋区は、購入後5週間は「アフターケア証」を発行し支援が受けられるようにしていました。これから始める中野区は、購入した店舗で4週間程度の調整・支援をするということでした。 Q1、耳鼻科医で補聴器装着を推進している慶応義塾大学名誉教授、オトクリニック東京の小川院長は、「補聴器に慣れるまでに3か月はかかる。その3か月を支援することが重要」と話しています。制度を使い購入した人が増える中で、杉並区も認定補聴器技能者の支援の継続を位置づけ、「アフターケア証」を発行するなどの検討を求めます。いかがでしょうか? 次に聴力検査についてです。 難聴の早期発見や補聴器装着のためにも、聴力を自ら知るのは大事なことです。 Q2、聴力検査を高齢者健診に入れている区は、北区、豊島区の2区で、中野区は実施予定となっていました。オトクリニックの小川院長も進めています。杉並区では、高齢者健診に聴力検査は含まれていません。難聴者の早期発見に向けて、杉並区でも聴力検査の実施を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 3.放課後等デイサービスについて 最後に、放課後等デイサービスについて質問します。 放課後等デイサービスは、小中学校・高校就学中の障害児に対して、放課後や夏休み等の長期休業中に、生活能力の向上のための訓練等を継続的に提供し、障害児の成長を支援するとともに、放課後等の居場所づくりを行う事業です。現在、区内には24カ所の事業所があります。デイサービスで行われるプログラムは主に生活力向上を目的としていますが、音楽療法士による音楽療法を使ったプログラムや運動を通して体を動かすなど、児童や保護者のニーズをふまえ、様々な内容の支援が行われています。また、障害のある子どもたちの放課後の居場所を作ることで、仕事をしている保護者への支援にもなっています。 私は、これまで何度も障害のある児童・生徒の成長・発達にとって重要な居場所になっていることをうったえてきました。 Q1、区は、放課後等デイサービスの役割と重要性について、どう認識していますか。伺います。 次に、通所の日数についてうかがいます。 国は、「原則として、各月の日数から8日を控除した日数を上限とする」とし最大で25日としています。杉並区は、通所日数の目安を「小学校1・2年生は週1〜2日まで最大月10日、3〜6年生は週2〜3回で最大15日、学童クラブ併用者は、週3回学童クラブに通うことが前提のため、週2回最大10日、中学〜高校生は週5日以内最大23日」としています。しかし、保護者からは、「通所の日数を増やしてほしい」「デイの回数は子どもの状況で決めるべきだが、すでに枠が決まっているというのはおかしい」「障害の状態で学童クラブには行けない。5日にしてほしい」などの声が寄せられています。また、事業所職員からは、「待機者がいつも30人〜40人います」と声が寄せられています。 小学生は、学童クラブとの併用もできますが、中学生以上になると、放課後等デイサービスだけになり、希望する日数でデイサービスに通えないのが現状です。 事業所の職員は、それを「中1の壁」と言っているそうです。 Q2、区は、事業所が足りなくて、待機者が大勢いる現状や、「中1の壁」と言われていることをどう受けとめていますか。伺います。 通所日数について、他区の状況はどのようになっているかを調べてみました。世田谷など近隣区7区の通所日の目安はなく、障害のある児童・生徒の状況で決めていました。杉並で通所日数の目安を作らなければならない大きな要因は、区内の事業所が少ないことです。 事業所の数は、中野区が28か所、世田谷区が48か所、杉並区と人口が同じ規模の板橋区は42か所で、多い区は、大田区で56か所でした。 Q3、杉並区の事業所は現在24か所となりましたが、いまだ不足している現状をどう認識していますか。 Q4、今回発表された実行計画改定案には、「放課後等デイサービスについても、区内の事業所が不足しているため新規開設を促進するとともに、事業所が事業継続できるよう運営を支援します」と明記されました。増設に期待するものですが、運営の支援とは具体的にどのようなことでしょうか。答弁を求めて質問を終わります。 以上
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