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2023年杉並区議会第三回定例会一般質問(和氣みき) |
わたくしは日本共産党杉並区議団を代表して 1.生活保護について 2.都立高井戸公園周辺の交通問題について 3.都立高井戸公園南地区野球場について 質問いたします。 1.生活保護について この4年間、世界中の人々がコロナ危機、価格高騰によって生活に大きな打撃を受けました。この日本でも経済的に困窮した人々が、行政の支援だけでは足りず、各地でおこなわれる民間などの支援に頼らざるを得なくなっています。毎週土曜日に都庁前で元日弁連会長 宇都宮健児さんが共同代表を務め、様々な団体が連携し食料配布などをおこなっている「新宿ごはんプラス」では、9月9日の食料受け取りに619人、相談40人が並んだと報告されていました。 杉並区内でも、子ども食堂や食料配布、生活相談が定期的に行われています。 生活保護は、憲法25条によって国民の生存権を保障する最後の砦です。生活保護を取りまく状況は、2013年から15年にかけて段階的に基準が引き下げられ、さらに消費税増税や価格高騰が追い打ちをかけ、保護受給者のくらしは一層厳しくなっています。 また、生活保護を受給する資格があり、実際に生活保護を受給している世帯の割合である「捕捉率」について、国際比較できる2010年の厚労省のデータでは、ドイツが6割、イギリスが4〜9割、フランスが9割、スウェーデンが8割であるのに対し、日本は約2割という低さであり、この国の福祉の向き合い方が問われるもので大きな問題です。 こうした捕捉率の低さの原因の一つに、保護申請を福祉事務所の窓口で追い返す「水際作戦」があげられるのではないでしょうか。2021年10月に、「生活保護問題対策全国会議」が水際作戦の対策についての公開質問状を送付し、回答した与野党6政党すべてが「水際作戦を根絶するための施策を講ずる必要がある」と答えています。 国で認めた保護受給を、「怠惰ゆえに税金を使っている」などの心無いバッシングも多発し、受給者の心身を疲弊させ、窮地に追い込んでいるのが現状であり、改善が必要であると考えます。 最初に生活保護制度に対する杉並区の認識について確認します。 問1 杉並区は社会保障としての生活保護をどう捉えているのでしょうか、区の基本的な姿勢をお聞きします。 申請時に問題となっているのが扶養照会です。本人の同意なく扶養照会が行われれば、「身内に保護受給を知られたくない」という思から生活保護の申請を躊躇し、あきらめてしまい、保護率をも低下させかねません。 このような懸念から、国や東京都からは扶養照会に関する事務連絡がたびたび出されています。2022年2月4日付で東京都福祉保健局が各自治体の生活保護担当課長宛てに発出した事務連絡「生活保護に係る扶養能力調査における留意事項について」では、「要保護者が扶養照会を拒否する場合は、理由を確認し、照会を一旦保留し理解を得るよう努めてください」とし、扶養照会の強要を止めるよう各自治体に連絡しています。 わが党区議団も無理な扶養紹介をおこなわないよう、申し入れや議会質疑で追及してきました。 今回、困窮者支援に従事されているつくろい東京ファンドの方々に協力いただき、杉並区民の方ではありませんが、扶養照会をされた渋谷区在住の当事者からお話を聞きました。 47歳男性の事例です。17歳でうつ病を発症し、病院の勧めで生活保護を受給しました。福祉事務所から「お母さん、お兄さんに必ず扶養照会しますよ」と告知されました。拒否すると、家庭訪問の度に「扶養照会をする」と言われ、「死にたくなるので止めてください」とうったえました。しかし、福祉事務所は「ケース会議にかけて勘案事項で保留となることもあると」言いながら、その後、一切の結果を伝えませんでした。「家族に生活保護を受給した自身の状況を知られているのではないかと、辛く、不安な日々を過ごした」といいます。 いったん保護を離れ、その後、再度保護を受給するに至った時も福祉事務所からは「平等性の観点でみんなやっているのだから80歳のおかあさんにも照会します」と言われたそうです。親戚からは、母親がアルツハイマーになってしまったと聞いていたことから、扶養照会は「やめてほしい」と福祉事務所に伝えても、「成年後見人を通してでも照会する」と迫られたといいます。 さらには「おかあさんが入院するような時は、関係も回復し、連絡を取りあうだろうから、おかあさんとの関係も回復したとみなして照会をします」とまで言われたそうです。 「扶養紹介をしてもいいですか?」と確認されたことはなく、数週間経っても照会の結果の報告はなかったそうです。 この男性に、扶養照会をどう思いますか、とお聞きすると、「恐怖でしかない、いらないものだと確信しています、どれだけ多くの人が苦しんでいるかと思うと、扶養照会はやめてほしいです」と胸の内を語っていらっしゃいました。 2022年9月8日、東京新聞は、都内28自治体「扶養照会」アンケートの結果を報道しました。 杉並区は2020年度、新規保護開始決定世帯659世帯に対し照会世帯数は624世帯、照会率は94.7%です。2021年度は、新規保護開始世帯679世帯に対し、照会世帯数545世帯で、照会率80.3%と、他の自治体を大きく上回るものでした。 扶養照会についての区の姿勢についてお聞きします。 問2 法律もなく制度の運用で人間を追い詰める扶養照会について、追い詰められ、恐怖や不安を抱いてしまった酷な状況を生み出さないために、区でどのような対策を講じているのか、また、この間の扶養照会の取り扱いについて変わっている部分があればお示しください。 今年度にはいり、福祉事務所の聞き取りで扶養照会の状況を確認したところ、4月から7月末までの期間において、減少傾向にあることがわかりました。 扶養照会の実施が一昨年度に比べて減少していることは重要であり、大きな前進と受け止めています。 その上で、あらためて直近の数字をお聞きします。 問3 今年度4月から8月末までに杉並区で新たに生活保護を開始した方の人数、及びそのうち扶養照会をおこなった方の人数とその割合を示してください。併せて、照会をおこなわなかった理由をお応えください。 次に、具体的な扶養照会の方法について確認します。 問4 事前の聞き取りでは、扶養照会の具体的な方法を変更したとの話もありました。以前までは、1枚の用紙で経済的支援、精神的支援のサポートの有無を確認する方法でしたが、今年度からは用紙を2枚に分けたとのことでした。その効果はどうだったのか確認します。 今回、ご協力いただいた、つくろい東京ファンドの方に扶養照会についてお聞きしたところ、次のようにお話しされました。 「生活保護受給の水際作戦のツールとして使われ、保護申請者にとって扶養照会は一番痛い弁慶の泣き所です。そこを無理に突いてしまうと、申請者とケースワーカーの良好な信頼関係は築くことができなくなってしまいます。申請者が照会によって病んだり躊躇することで、生活保護の使命である自立に結び付けることが遠くなり、制度本来の趣旨から逆行しています」と話してくれました。 あらためて、申請者の意にそぐわない扶養照会の強行は行わないよう求めるものです。 次に、生活保護制度の周知についてお聞きします。保護制度は、当事者以外にはなかなか分かりにくいものです。 問5 様々な事情を抱え、福祉事務所にやっとの思いでたどり着く人たちの心は、不安や失望、あきらめなど「どうしたら生きられるのか」との思いに埋め尽くされ、想像を絶する心境だと思います。 そうした方々が、申請窓口や区内の様々な場所で「生活保護の申請は権利です」と、大きな表示を見ることができたら、どんなに安堵するでしょうか。 こうした制度周知は、人生を立て直し、新たに出発する方々にとって最初の入り口になると思います。そうした思いで、以前からわが党区議団は、広く区民に制度の周知をおこなうよう提案してきました。 過酷な社会情勢が続く今だからこそ、この大切な文言が示される時であると考えます。見解を伺います。 次に、「生活保護のしおり」と「生活保護の制度のご案内」についてお聞きします。 問6 今年4月に改定された「生活保護のしおり」では、「扶養義務者の扶養について」、「DVや虐待・長期にわたって連絡を取っていない場合など特別な事情があると認められる場合は、照会を控えることがあります」と記述されています。 この間、原則、扶養照会への意思確認をした上で本人が拒否すれば行わない、など厚労省事務連絡等で通知されており、「生活保護のしおり」を正確にこうした記述に改定することは、これからの保護を申請することに対するハードルを大きく下げることにつながると思いますが、見解をお聞きします。 問7 2022年5月の「生活保護の制度」のご案内のパンフレットは「生活保護開始までのながれ」というページに「お住まいの福祉事務所にご予約の上、ご相談ください」とあります。 2021年10月のパンフレットには「予約」の文言はありませんでした。いつから予約制になったのでしょうか。セーフティーネットである生活保護の申請は当事者にとって緊急事案です。申請が必要な方は電話が止められている場合も少なくありません。予約せずに窓口に来ても相談ができるよう、改めるべきです。見解をお示しください。 次に、保護受給者の電気代についてお聞きします。 気候変動による異常気象によって今年も命に関わる猛暑日が続きました。 8月28日、異常気象分析検討会は、今夏の天候の特徴などの見解について「今夏の日本の平均地上気温が1898年の統計開始以降1位の高温となる見込みである」と発表しました。 東京都監察医務院のデータでは、2022年6月から9月までの東京都の熱中症死亡者数は206人、8月が最も多く、60代から80代に集中しているとあり、単身住まいの屋内死亡者数146人のうち、エアコンの設置があっても使用なしの死亡者が93人、設置なしが33人に及んでいます。 日本救急医学会2015年熱中症診療ガイドライン及び、2018年7月20日熱中症予防に関する緊急提言・熱中症に関する委員会によれば、熱中症について、屋内での発症頻度が増加しており、高齢者では男女ともに日常生活のなかで起こる非労作性熱中症が多く、最重症度のⅢ度は熱射病とされ、中枢神経症状、肝・腎機能障害、血液凝固異常、臓器障害が認められるとしています。 私が困窮者支援団体で活動していた当時、生活保護受給者で電気代を抑え熱中症で腎不全になった仲間を亡くしています。お見舞いに行きパンパンになった両足をみて、さすったものです。 4月、国会では熱中症対策が気候変動適応策の中でも、国民の命や健康に直結する重要な課題であると位置づけ、気候変動適応法の一部改正をおこないました。生活保護制度への夏季加算導入の必要性などが議論され、衆院・参院で、地方公共団体、生活困窮者や低所得者などへの支援などを含めた11項目の附帯決議が可決しています。 問8 保護受給者の電気代について、低所得者などの支援団体である「全国生活と健康を守る会」は、夏季加算などの必要性は緊急の問題と提起し、各地で夏季加算の申し入れをおこなっています。 エアコンがあっても、電気代を気にして使えない、扇風機などで過ごすうちに熱中症になるなど、命の危険にさらされています。本来は国や各都道府県が緊急に予算を組み、動き出さなければならない状況です。杉並区としての見解を問います。 次に、福祉事務所とケースワーカーについてお聞きします。 日本社会がおかれている現状は、8日厚労省が発表した7月毎月勤労統計調査において、実質賃金は2・5%減、16か月連続でマイナスであり物価高騰に賃金の伸びが追い付かない状況です。また、世界に比べて異常に高い教育費において奨学金の借金を背負い、非正規雇用の拡大で不安定な生活のため結婚・出産を躊躇する若い世代が増加、先行きを不安視した人たちが心の病で苦しんでいるのが実態です。 そういう現状において社会保障や福祉の充実が求められ、その役割はとても大きいと考えます。 厚労省のホームページでは、「福祉事務所とは、社会福祉法第14条に規定されている「福祉に関する事務所」をいい、福祉六法(生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法)に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務を司る第一線の社会福祉行政機関です」としています。 福祉事務所のケースワーカーの業務について、厚生労働省は病気や高齢、貧困で生活に困っている人々に対し、福祉事務所で一人ひとりの問題(ケース)について相談を受け、必要な支援を行うと説明しています。保護受給者の生活に寄り添う重要な仕事を担うケースワーカーですが、長年過重労働が社会問題となっています。 問9 杉並区のケースワーカーお一人が担当する生活保護世帯数を示してください。 中野区では前区長時代に職員を3000人から2000人と1000人削減したことにより、ケースワーカー業務をNPOに委託し大問題になりました。その後、ケースワーカーを増員しています。 7月には江戸川区のケースワーカーが、孤独死した保護受給者の遺体を放置していたことが問題となりました。その職員は「業務が立て込んで後回しにしてしまった、日がたつにつれ上司に言い出せなかった」と話していると報道されました。 こういった問題は、江戸川区だけの問題でしょうか。 社会福祉法では保護受給世帯80世帯あたりにケースワーカーを1人配置することを標準として定めています。 問10 低所得者の支援活動を行っている「杉並生活と健康を守る会」が区に対し、ケ―スワーカーが一人で担当する保護世帯数を確認した時には「80世帯を超えている」と返答があったとお聞きしました。 ケースワーカーの方々の過重負担を軽減させるために、一人で80世帯を担当するという状況の改善を国に求めるべきと考えますが、区の見解をお聞きします。 わたくしは、すべての困難を抱えた人々が、幸福追求、基本的人権の尊重、生存権を行使するための探求を止めてはならないと思うと同時に、身近な地域で大切に守られなければならないと考えます。 そのために必要なのは「第一線の社会福祉行政機関」に従事するケースワーカーの待遇改善と、福祉事務所の充実、それが「福祉は杉並」への近道だと考えます。 この生活保護問題の最後に、支援団体との懇談について一言要望させていただきます。 この間、区と困窮者の支援団体は継続的に懇談を行っておりました。コロナ禍で中断した時もあったようですが、団体のみなさんは果敢に要望を伝え続けておられます。 コロナの感染状況もありますが、支援団体とはできる限り対面での懇談を行っていただき、細かな意見も聞いて頂くよう要望いたしまして次の質問にうつります。 2.都立高井戸公園周辺の交通問題について 7月初旬、区民の方から都立高井戸公園の南地区前の放射5号線で交通事故が多発しているようだ、との問い合わせがあり、高井戸警察に事実確認をしたところ、2022年1月1日〜今年2023年7月3日までの間に、同じ場所で交通物件事故16件、交通人身事故3件の計19件の発生状況が報告され、7月7日、現場調査をおこないました。 へし折れたガードレールなど事故の残骸が放置され、スピードの出しすぎによる事故だということが明らかであると確認しました。 問1 問題は、その場所に都立高井戸公園南地区へ渡る横断歩道があり、子ども、学生も含めて地域住民が常時利用しているということ、高井戸公園の野球場に隣接する駐車場の出入り口が放射5号線に面しており、駐車場を出る車両と放射5号線を走行する車両が衝突する危険が考えられること、また、その事故現場から近い久我山1丁目1番先の横断歩道付近は、横断歩道の直前にある高速道路の橋脚によって見通しが悪く、事故が発生する危険性があります。 これらの多発事故や高井戸公園周辺の危険な状況を区は把握しているのかお聞きします。 8月17日、警視庁、高井戸警察署交通課総務係、交通規制係、東京都建設局に現場を検証していただき、地元地域の方と我が党の原田あきら都議会議員、居住の原口昭人元区議会議員と共に対策を要望し、改善を求めました。 早速、8月30日、警視庁から原田あきら都議会議員を通じて以下の回答を得ました。 ○要望1 久我山2丁目2番先「富士見ヶ丘運動場」交差点付近の交通対策として、下りへの転回路で、一時停止の停止線において止まっている車両に追突する車があるとの懸念について 見通しをよくするため植栽の伐採や樹木の移設の検討 ○要望2 高井戸公園駐車場出口からの車と放射5号線走行車との接触事故の対策について 駐車場出入口付近に注意喚起看板の設置を検討 ○要望3 久我山1丁目1番先横断歩道付近の交通対策について、歩行者や自転車の飛び出し防止策について 歩道上にポラード(ポストコーン)の設置を検討 ○要望4 車の運転席から横断歩道の人の存在がもっとわかるような対策について 車道に原則マーク及び赤色カラー舗装の検討 ○要望5 横断歩道標識の改良の検討について 警視庁が標識版を60センチの普通版から80センチの大型板への変更が可能か検討する 以上5項目を検討し対応するとのことです。 問2 2010年の「杉並区内交通事故発生箇所図」は、都市整備部で発行されていたものですが、警視庁のホームページで同様の情報が出されていることで発行を止めたとお聞きしました。事故の発生箇所が一目瞭然でみられる貴重な資料でした。 「事故発生箇所図」を作成することは、区の職員が杉並区内の交通事故の現状、情報を取得する上でも重要な機会であったのではないかと考えます。 警視庁のホームページの情報があっても、今回の高井戸公園周辺の多発事故は起き続けています。本来であれば、区内の事故発生状況を把握し、交通事故の防止対策を促していく必要があったと思いますが見解を聞きます。 問3 区内の都道や都立施設に関する交通事故は、杉並区民の社会生活に係る問題であり、区も把握していく必要があると考えます。区は東京都と警察署と連携して交通事故を防ぎ、対策を実施する必要があると考えますが、見解をお聞きします。 4.都立高井戸公園南地区野球場 最後に、都立高井戸公園南地区野球場についてです。 区民から届けられた切実な要望として、高井戸公園南地区野球場のフェンスが放射5号線に面した部分だけ低くなっているため、打球の危険から子どものみの使用になっており、社会人野球ができないため、おとなも草野球ができるよう改善してほしいとのことでした。 問1 7月19日、都庁に出向き、建設局に対し要望をお伝えしました。 高井戸公園のホームページを見ますと、2023年8月23日、野球場の使用休止のお知らせとあり、令和5年10月2日(月)から当面の間、場外飛球対策工事のため野球場の使用を休止します。防球ネットを設置するため、施設再開後にご予約の際は、事前に使用にあたっての注意事項をご確認ください。(詳細は別途お知らせします)再開日等につきましては、別途お知らせしますと告知されています。 飛球対策工事の工期と、野球場再開時期を示してください。また、再開後は中学生以上の学生や大人の利用はできるようになるのか、伺います。 文科省が掲げたスポーツ基本計画は、平成24年度からの第1期スポーツ基本計画から現在2026年度の第3期計画に入っています。スポーツ基本法に基づき策定され、計画の策定にあたっては「年齢や性別、障害等を問わず、広く人々が、関心、適性等に応じて スポーツに参画することができるスポーツ環境を整備し、住民が主体的に参画する地域のスポーツ環境の整備」とされています。 区と都や、国が連携し、これからも子どもから高齢者すべての区民が主体的に運動に参加できるような整備を改めて要望し、質問を終わります。 以上 |
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