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2023年杉並区議会第一回定例会予算特別委員会意見開陳(金子けんたろう) |
日本共産党杉並区議団を代表し、令和5年度杉並区各会計予算と付託議案に対する意見を述べます。 かつてない深刻な物価高騰のもとで、杉並区には、区民のくらしと営業を守るために総力をあげて取り組むことが求められています。 物価高騰対策として、今年度に引き続き、公衆浴場への燃料費補助や福祉施設等への食糧費・光熱費支援などが盛り込まれたことは重要です。わが党は、物価高騰が深刻化するもとで、家計支援の給付金や全中小業者対象の電気料金高騰分への支援助成を提案しました。 区長が、年度途中であっても「補正予算対応も含めてしっかりと対応する」「スピード感をもって対応していきたい」と答弁したことは極めて重要です。4月以降も物価高騰がさらに深刻化することは確実であり、緊急に対応することを求めておきます。 関連して、家賃助成について、区長が来年度検討、再来年度実施を表明したことも貴重です。わが党は、物価高騰が深刻な状況であり、緊急性の高い世帯に対し来年度中の実施を求め、区長も「緊急実施についても検討する」と答弁しました。一刻も早い実施を求めます。 教育費の保護者負担軽減について、区長が学校給食費の保護者負担を据え置くとしたこと、就学援助の認定対象者を拡大したことを評価します。 学校給食費の無償化について、23区では一部実施を含め9区に広がっています。区長は、「早急に検討を進め結論を出す」「スピード感をもって対応していきたい」と答弁し、教育委員会としても、今年度中に方向性を出し、新年度全庁的に検討とし早急に結論を出したいと答弁がありました。一刻も早く無償化に踏みだすことを求めます。 なお、他会派の質問に対し、この数年保護者から無償化の要望はなかったとの答弁がありましたが、平成27年杉並区ひとり親家庭実態調査、平成30年杉並区子育て家庭実態調査で、給食費の減額、給食費を無料にしてほしいという意見が出されたことが紹介されています。わが党は、こうした声や、わが党区議団が行っている区民アンケートに寄せられた声を受け、古くは平成20年第2回定例会で、近年では平成29年第1回定例会以降、一般質問などで取り上げ、平成31年の第1回定例会では助成条例も提案してきました。10年以上も前から区民、保護者の声を代弁してきたということを改めて述べておきます。 くらしが大変な時だけに福祉施策の拡充も求められます。この点で、高齢者の補聴器購入費助成の費用が、いよいよ来年度予算に計上されました。一貫して要求してきた党として、区民とともに歓迎するものです。 また、50歳からの帯状疱疹ワクチン助成、重度障害者の就労支援、子どもの貧困やヤングケアラーの実態調査等も重要であり、評価します。 次に、物価高騰対策に関連して、国民健康保険料について述べます。 議案第28号で、来年度の国保料について1人当たり1万791円の値上げとなる条例改正が提案されました。 国保料は毎年値上げされてきましたが、今回の値上げは2018年度の都道府県化以降最大で、1人当たりの年額保険料額は、18万2171円となります。 値上げの主な要因は、新型コロナ感染拡大による医療給付費の増によって東京都への納付金額が増えたことによるものですが、感染拡大は被保険者の責任ではなく、保険料に跳ね返らないように、本来、国や都が責任を果たすべきです。しかし、国も東京都も財政責任を果たさないどころか、自治体による一般会計からの法定外繰入の廃止を迫っていることは許せません。 区としては、新型コロナの感染症の影響による納付金の増大に対し、保険料にかける納付金額を7.6%減額し、一般会計の繰入を行うなど努力をしていることは理解します。 しかしながら、結果として、国保料が1人当り1万円もあがり、40歳夫婦と子ども2人世帯、年収400万円の場合、国保料が年額54万7507円、収入の13.7%も占めるという事態に目をむけると、さらなる努力が求められたと言わざるを得ません。よって、当該議案には反対します。 次に、児童館・ゆうゆう館の再編整備計画について述べます。 岸本区政のもとで、児童館・ゆうゆう館等の再編の検証が示されました。前区政のもと、住民不在で進められてきた結果、多くの問題を生じさせてきた児童館とゆうゆう館の廃止方針を見直すことは極めて重要です。検証にあたり、児童も含む施設利用住民との対話と協議を尽くし、児童館・ゆうゆう館を守り、生かす方向で、今後の方針を決定することを強く求めるものです。 なお、質疑でも取り上げましたが、国の「児童館のあり方に関する検討ワーキンググループ」では、児童館への期待と共に、子ども家庭庁として「児童館」を居場所として位置付け、推進するとしています。区としてもワーキンググループの観点も踏まえ、児童館の必要性と役割を検証することが示されたことは重要です。今後の機能向上、体制拡充等も含めて検討を進めることを要望します。 阿佐ヶ谷南児童館の再編について、当該地域には新たに代替となる施設を再配置するよう求めておきます。 ゆうゆう館については、老人福祉法13条に規定された「地方公共団体は、老人の心身の健康の保持に資するための教養講座、レクリエーションその他広く老人が自主的かつ積極的に参加することができる事業を実施するよう努めなければならない」とする役割を具体化するものです。今後、後退させることのないよう、施設規模を維持することを求めます。 個別施設については、跡地活用が未定で喫緊の行政需要がない、ゆうゆう高円寺南館の再編は停止し、ゆうゆう館として存置することを求めるものです。 ゆうゆう館に関連して、議案第13号で、ゆうゆう方南館について、喫緊の行政需要のために廃止・機能移転する条例改正が提案されましたが、住民説明会やパブリックコメントでは存続を求める意見が根強くありました。こうした意見を踏まえ、ゆうゆう館の代替機能をあらためてこの地域で確保することを強く求めるものです。当該議案については、住民意見を重く受け止め、反対いたします。 質疑では区立施設使用料についても取り上げました。前区政のもとで、大幅に値上げされた使用料は、集会施設、体育施設ともに近隣区の1.5倍から2倍以上高いことが質疑で明らかとなりました。物価高騰で区民生活に大きな影響が出ているもとで、区民が安心して利用できる使用料へ改定するよう強く求めるものです。 次に、まちづくりについて述べます。 岸本区政のもとで、杉並区まちづくり基本方針、杉並区都市計画マスタープランについて、骨子案の段階からの住民意見の反映など重要な修正が行われました。一方で、策定期間上の制約もあり、全ての点での見直しが完了したとは言えないと考えています。 質疑のなかで、状況の変化や区民意見を踏まえ、適宜、見直しを行うことが示されました。その際、自治基本条例に定められた手続きとして、住民の行政への参画と行政と住民との協働のもとで見直しを実施することが示されたことは重要です。これからの杉並区のまちづくりは、この姿勢を堅持することを求めるものです。 前区政のもとで、住民合意の無い都市計画道路整備が強行されました。特に、西荻地域の補助132号線、高円寺地域の補助221号線、南阿佐ヶ谷の補助133号線は近隣住民を中心に計画見直しを求める多くの声が寄せられています。 質疑では、来年度から検討を開始する見通しの第五次優先整備路線の選定において、選定の前の段階で住民との協議の上で選定に反映することを求めました。現在、社会経済情勢の変化により、交通量は減少を続け、財政状況も厳しくなるなか、東京都を除き、全国的にも都市計画道路の見直しが進んでいます。東京都においても都市計画道路整備方針を抜本的に見直すがこと必要です。 岸本区政のもとで、都市計画道路に関する住民との対話と熟議が始まっていることは重要です。今後、事業認可済み路線も含め、事業中止や計画変更も含め、見直しを検討することを求めるものです。 なお、他会派の委員から、西荻窪地域の再開発を巡る動向についての質疑がありました。昨年の第4回定例会一般質問でも詳細を取り上げましたが、大前提として、西荻窪地域の都市計画道路補助132号によって、駅南側の道路が11㍍から20㍍に拡幅されることになれば、まちづくりが大きく変わるのは確実です。杉並区の関与云々に関わらず、道路計画と一体の再開発を目指す取り組みがあったことは紛れも無い事実です。 昨日、質疑で取り上げられた団体は、区との協議の中で「団体としては、法定の再開発を目指す。小さい規模にすることもあり得るが、大きい再開発を目指す。」ことを明言しています。 当該用地には私書箱957、いわゆるタックスヘイブンに籍を置く法人が進出をしていることも、これまた事実です。 これらの西荻地域をめぐる事実経過を受けて、西荻地域の住民から再開発を懸念する声が上がるのは当然のことではないでしょうか。 区が実施している区民意向調査においても令和元年から4年にかけて、住民の懸念の声が相次いで寄せられています。道路計画と一体の再開発を懸念する民意が示されていることを重く受け止めるべきです。 阿佐ケ谷駅北東地区まちづくりについても、前区政下での計画の合意系形成や進め方に区民から疑問の声があがっていることを指摘してきました。 岸本区政に変わり、昨年行われた都市計画マスタープランの説明会でも、この地域の住民から事業見直しの声が多くあがったことを踏まえ、岸本区長が検証・検討していく姿勢を示したことは重要です。また、委員会質疑で住民の意見聴取を新年度前半に行うとの答弁があったことに期待するものです。今後、透明性を担保した住民参加でのまちづくりが行われるよう強く要望いたします。 なお、他会派委員の質問に対し拠点整備担当課長からは、この事業については「一方的にはやめられない」との答弁がありました。 一方、施工協定書の内容についてのわが党の質問に対し、事業調整担当課長からは「必要が生じれば変更することはある。(中略)その都度、施工者会の中で協議し、改めて協定の変更の有無というものを検討することになろうかと思われる。」との答弁がありました。 つまり、3者の協議によって変更されることは可能であることを、区自ら認めたということを、強調しておきます。 次に、情報公開とハラスメント対策について述べます。 岸本区長就任後の昨年9月、情報の原則公開を徹底するという庁内通知が出され、所管の尽力もあり、これまで前区政において黒塗りであった情報が、公開されたことを質疑で取り上げました。昨年、区長が「過去の事例を不問にしない」「前に進んでいく」と答弁したとおり、区政において前進していると考えるものであり、さらなる情報公開を進めるよう求めておきます。 区が昨年8月から9月にかけて行ったハラスメントに関する職員アンケートで、ハラスメントを受けたことがあると答えた職員が411人にも及んだことが明らかになりました。前区政のもとで、昨年4月に「ハラスメントのない職場をつくろう」との職員向けパンフレットが発行されたにもかかわらず、対策が徹底されてこなかった結果ではないかと指摘しました。区は、岸本区長のハラスメントゼロ宣言を皮切りに全庁あげて根絶に向けた対策をスタートした、ハラスメントが懲戒処分の対象となることを周知していく、区の諸規定の整備、内容の見直し検討を行っていくと答弁したことは重要です。区内最大の事業所である杉並区が模範となって、あらゆるハラスメントを根絶するために全力を尽くすよう求めます。 次に、議案第12号 杉並区性の多様性が尊重される地域社会を実現するための取組の推進に関する条例についてです。 当該議案は「性の多様性が尊重される地域社会の実現」のために、基本理念や性を理由とする差別等の禁止、パートナーシップ制度などの基本事項を定め、すべての区民が相互に人格と個性を尊重しあいながら共生する地域社会の実現に資することを目的としています。 特に差別の禁止では「性を理由とした」と定義することで、性的マイノリティ当事者への差別だけでなく、女性・男性とした性差による差別も禁止している点が重要です。 一部の政治家などから性犯罪者とトランスジェンダー当事者を同一視する発言や、性犯罪が増加するといった女性の不安を煽る発言がなされていることは問題です。男性優位の社会で様々な差別的扱いを受けてきた女性と、性的マイノリティ当事者に対立構造や分断を持ち込むことは許されません。区としても、女性の不安解消に向けた取り組みを求めます。 また、今後パートナーシップ制度の対象者に事実婚カップルを含めていくよう求め、当該議案には賛成いたします。 最後に、他会派から、わが党区議団が発行した、前区長の公用車の乱脈運用に関する記事を掲載した区政ニュースに対して、批判が展開されましたが、予算審議に臨む会派の姿勢が問われる行為ではないでしょうか。 しかも、前区長が年間80日も公用車を深夜まで乗り回したことは、区の答弁でも事実であることが、改めて確認されました。 あわせて、この問題に対する答弁も見過ごせません。答弁者は80日の深夜運行を事実と認めながら、「恣意的」と答弁し、事実上わが党の記載を批判しました。区職員は、服務宣誓書で「全体の奉仕者として、誠実かつ公正に職務を執行する」ことを誓っています。答弁した幹部の行為は、明らかに「公正」の原則に反し、公務員に求められる政治的中立、不偏不党の原則から逸脱する行為ではないでしょうか。反省を求めるものです。 以上、主な意見を述べてまいりました。 議案の賛否についてですが、予算については、議案第20号杉並区一般会計予算、22号介護保険事業会計予算、23号後期高齢者医療事業会計予算には賛成、議案第21号、国民健康保険事業会計には反対します。 付託議案については、議案第13号杉並区立コミュニティふらっと条例の一部を改正する条例、議案第28号杉並区国民健康保険条例の一部を改正する条例については反対、それ以外は賛成します。 結びにあたり、多くの資料を調製していただいた職員のみなさんに厚くお礼を申し上げ、意見開陳を終わります。 |
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