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2023年杉並区議会第一回定例会一般質問(野垣あきこ) |
日本共産党杉並区議団の野垣あきこです。党区議団を代表して、気候危機について、自転車対策について質問します。 1、気候危機について はじめに気候危機、気候変動対策についてです。主に策定中の地球温暖化対策実行計画の事務事業編、区域施策編について伺います。 気候危機、気候変動をめぐる今日の事態への認識についてです。区長は予算編成方針において、温室効果ガスの排出量を半減させなければ気候変動が不可逆的に進行する破壊的な転換点を過ぎた、という科学者たちの指摘を紹介しました。ニュースにもなりましたが、気候変動枠組条約事務局は昨年10月、各国の削減目標を合計しても2030年の世界の温室効果ガス排出量は2010年と比較して10・6%増えると試算したと発表しています。 Q1(深刻な事態を共通認識に) 私は、新たに策定される温暖化対策実行計画を全区民、オール杉並の取組にする必要があると考えます。そのためには、区長も紹介したような危機的な状況認識を共通のものとすることが、区域施策編ではとりわけ重要になると考えますが、いかがですか。 Q2(計画策定段階から区民事業者の参画を) そして区民と事業者の参画を促進するなら、区民と事業者にも実行を求める区域施策編について、計画の策定段階から区民参加をはかるべきですが、どのように進められてきたのでしょうか。計画案策定の最終局面でしょうが、パブリックコメントの実施だけでなく、区民、事業者から直接意見を聞き、議論する場を検討すべきではないでしょうか。区長の見解を伺います。 Q3(社会の方向性を示す) さらに区長は、「気候変動対策を通じて地域経済の活性化と雇用の創出に繋がる新たな脱炭素の地域社会の実現を図ることができると考えています」と、地域を豊かにする観点を強調しています。これは区長の政治姿勢でもあるミュニシュパリズムの実践でもあり、区民からも大きな関心が寄せられています。 そして私も、気候危機対策は区民に我慢を強いる節約型社会ではなく、歩行や自転車移動を通じた健康の増進、緑や樹木とのふれあいを通じた豊かな人間性の回復、浪費型ではない真の豊かさを感じられる生活など、新しい社会を開く前向きな方向性を区民に示すことも重要ではないかと考えますが、いかがですか。 Q4(総括を前提に①) 次に環境省の地方自治体向け計画策定マニュアルでは、計画改定の場合には、現行計画に基づく到達を明らかにし、その総括に基づいて改定計画を策定することを提案していると思います。当然のことかと思いますが、杉並区ではどう準備されているのでしょうか。 Q5(総括を前提に②) 総括の上で、わが党区議団が以前から指摘してきた両計画における目標設定について見過ごすことはできません。区域施策編のCO2削減目標では、「杉並区独自の削減目標については、次期環境基本計画を策定する際に改めて検討する」と記載されていました。例え電力あたりのCO2排出量が変動するとしても、独自の目標を示さないことには計画に値しません。これは温暖化防止への決意と姿勢が問われることでした。 これまでの事務事業編での削減目標は、エネルギー使用量もCO2排出量も、2010年度比で2021年度は12%の削減でしたが、両方とも2017年度の時点で既に達成されていました。ありえない目標設定です。前区政において、どうしてこうした目標だったのか、明確な総括を求めますが、いかがですか。 策定中の計画の目標については、既に環境基本計画で、2030年カーボンハーフ、2050年カーボン実質ゼロを区は掲げており、目標は明確です。なお、わが党区議団の調査では、他の多くの区が政府目標を引いたために、国連IPCCの目標より低い中で、杉並区の目標設定は評価できるものです。 Q6(事務事業編での区の目標は、より高く) 事務事業編は地方公共団体に策定が義務づけられているもので、文字通り区のイニシアチブが問われています。区は、最大の事業者として量的にCО2削減に貢献するとともに、目標設定や具体的計画において区内事業者をけん引する役割が課せられているのではないでしょうか。たとえば、CО2削減について区全体計画よりも高い設定を検討すべきと考えますが、如何でしょうか。 Q7(目標を明確に) しかし、重要なことは、事務事業編、区域施策編とも目標達成の裏付けとなる家庭、業務、輸送などの分野別、さらにCO2削減目標だけでなく、再生可能エネルギー導入目標など事業別の目標を明確にすることなしに、全体目標の達成は困難です。分野別、事業別の目標を明確にすることを求めますが、いかがですか。 Q8(区の再エネ電力) 関連して、施設数、電力使用量の多い杉並区で区立施設における電力の再生可能エネルギーへの切り替えは重要課題です。板橋区の最新の事務事業編では、2030年度までにすべての区立施設の電力を再生可能エネルギー100%にすることを視野に、2025年度までに64・35%にするという目標を掲げています。環境基本計画では「本庁舎等の電力調達における再生可能エネルギーの導入」と記載されています。事務事業編では、全ての区立施設での導入を目指し、年度計画をもって取り組むことを提案しますが、認識を伺います。 Q9(家庭部門) 次に区域施策編についてです。分野別では、CO2排出量で最も多いのは家庭部門で、全体排出量の50%を超えています。それだけに、家庭部門での取組は全体目標達成の上で決定的です。家庭部門の対策としては、省エネ・節約の努力、太陽光発電とその関連設備の普及促進、住宅の断熱化、さらに再生可能エネルギー電力への切り替え等の取組強化が求められますが、区は家庭部門でのCO2削減推進のためにどのような取組を準備しているのか伺います。 Q10(家庭での取り組みの促進) 家庭部門での取組強化の上で、区民の自覚的努力を促すことが重要だと思います。この点で、世田谷区が現在検討中の区域施策編の計画案で、家庭での一人当たりの削減目標、さらに家庭でのCO2排出・エネルギー消費削減に向けた努力をステップ1からステップ3までの三段階で示しています。こうした事例も参考になるのではないでしょうか。また、わが党が提案した家庭での省エネの取組とその効果を示す取組は、環境基本計画の末尾に紹介されていますが、広報すぎなみでのキャンペーンや家庭用のステッカー配布など、普及・広報活動をさらに強化すべきと思いますが、いかがですか。 Q11(事業者) 次にCO2排出量の第2位を占める事業所分野についてです。わが党は、2019年の第一次提言で、マンション共用部の照明のLED化助成、商店などの省エネ機器購入への助成を提案しましたが、昨年6月からマンション共用部とともに、商店をはじめ事業所への照明のLED化に30万円の助成を始めたことは重要です。第3回定例会の一般質問で、私がこのLED助成の継続・拡充を求めたのに対し、部長は「助成制度の利用状況を見ながら、より利用しやすい制度となるように見直し等を行っていくことに注力する」と答弁しました。「よりよい制度への見直し」とはどのような内容なのでしょうか。助成対象の拡大や助成額の引き上げを検討すべきではないでしょうか、いかがですか。 Q12(再エネ電力の普及) 次に再生可能エネルギー電力の普及促進についてです。過度な節約をすることなく、CO2を削減するには、CO2ゼロの再エネ電力への切り替えが重要です。杉並区は、太陽光発電設備導入容量として、2030年までに3万8千㎾を実行計画で示しましたが、東京都は再エネ電力の利用割合を50%にする目標を定め、中央区も同じ目標を設定しています。区はどう対応するのか、お答えください。 Q13(カーボンオフセット①) 気候危機対策の最後に、CO2を吸収する樹林対策について伺います。 我が党の第一次提言では、樹林対策について「交流自治体などと連携し区民参加で森林の育成を推進し、CO2吸収の促進を検討すること」と提案しました。区が、実行計画で「自治体によるカーボンオフセット事業の普及および体験型森林学習の検討・実施」を打ち出したことは重要な一歩です。青梅市で準備を検討しているようですが、現時点で想定される森林面積、推定CO2吸収量をお答えください。 Q14(カーボンオフセット②) また、森林が豊富な交流自治体としては、福島県北塩原村、新潟県の小千谷市、北海道名寄市などもあります。こうした自治体にも拡大を検討すべきではありませんか。 Q15(樹林対策①) 杉並区内における樹林対策についても伺います。そもそも杉並区は23区で唯一、樹木が区名に入っている自治体です。その杉並で樹林や屋敷林の面積が激減していることは憂うべき事態です。CO2の吸収促進のために、区内における樹木の保全と拡大の取組を強化することを求めますがいかがですか。 Q16(樹林対策②) 私はその対策として、一定の広さのある区立公園での樹木の植林に取り組むことを求めます。私が2020年9月の決算特別委員会で、阿佐谷駅北東地区の樹木の大量伐採を批判した際、当時の吉田副区長は気象研跡地での馬橋公園拡張計画で樹木の減少がカバーできるかのように述べ、複眼的、広い視野で見られた方がよい、と答弁しました。馬橋公園の拡張整備では阿佐ヶ谷けやき屋敷で伐採した62本に相当する樹木の植栽が予定されているのか、関連して確認しておきます。 Q17(樹林対策③) また、新しい実行計画では、「特別樹林候補地の検討」が3か年連続で記載されていますが、以前の実行計画では、3か年連続で「特別樹林候補地の選定・調整」と記載されていました。これは区内に特別樹林地を指定するということですか、明確にお答えください。 2、自転車対策について 次に、自転車対策について伺います。 Q18(アンケートの受け止め) 区は、地域公共交通計画策定にあたって区民アンケートを実施しましたが、その自由意見の中で、自転車に関する意見・要望は30件を超え、自転車をめぐる現状の深刻さを浮き彫りにしています。 例えば、自転車を運転する側からの声では、「自転車レーンを作ってもらいたいです。できれば歩行者と自転車をわけて。車道側は子どもを乗せているとき、もし倒れたらと思うと怖くて走れません」40代の女性からです。 次に、歩行者の声を紹介します。「自転車交通の改善に取り組んでもらいたい。歩道を猛スピードで飛ばす人や、信号無視が常態化している人など、…マナーが著しく悪い」 声の一部を紹介しましたが、アンケートの結果は歩行者にとっても自転車利用者にとっても、自転車対策は緊急の課題であることを浮き彫りにしていると思います。区はこの声をどのように受け止めているのでしょうか。 Q19(自転車事故の状況) さらに自転車事故についても、目を向ける必要があると思います。杉並区は23区の中でも自転車事故が多いとされています。①区内で自転車が関与した事故件数、②23区での杉並区の自転車事故件数の順位、併せて、③自転車が関与した死亡事故件数、それぞれ5年間の推移を示してください。 自転車事故が多発し、自転車利用者、歩行者の死亡や障害など、いたましい事態を解決するという視点からも、自転車対策の強化が求められていると思いますが、どのように対応しようとしているのでしょうか。 Q20(歩行者、自転車優先への転換) 事故を減らしていくうえでも、もちろん交通ルール、マナーの徹底など、いわゆるソフト面での対策の強化は重要です。しかし、それだけでは根本的解決には至らないと思います。区長は「さとこビジョン」で「クルマ社会から徒歩、自転車などで安全な移動が楽しめるまちづくりを目指す」と表明しています。私はそうした方向性を明確にするために、クルマ優先の道路やまちづくりそのものを大胆にかつ確実に見直していく努力が求められていると思います。それが、2030年カーボンハーフ、2050年カーボンゼロの実現につながっていくと思いますが、あらためて区長の見解を伺います。 Q21(まちづくりと区民の努力方向を明確に示す) 私は、その一歩としてまず、自転車利用者、歩行者が安心・安全に移動できる街をめざすことを区の重要方針としてかかげ、区民ぐるみで推進することを呼びかけるイニシアチブの発揮が求められていると思います。区は昭和40年に交通安全杉並区宣言を行っていますが、より歩行者と自転車を優先にした、たとえば「歩行者、自転車優先のまち宣言」とか、「自転車事故ゼロの杉並を」などのスローガンを掲げるような取組を提案しますが、いかがでしょうか。 Q22(都市マスでも自転車、歩行移動を保障し推進する方向を明確に) 自転車利用者、歩行者が安心・安全に移動できるまちづくりを推進し、自転車、徒歩での移動を推進するうえで、現在策定中の都市計画マスタープランが重要です。しかし、現在の都市マス案で、そうした視点が貫かれているでしょうか。自転車への言及や安全な移動空間という言葉はありますが、どう整備するのかは不明確です。また自動車交通を制御する都市構造をどうつくるのか、さらに検討が必要ではないでしょうか、見解を伺います。 Q23(都、警察との連携) 安全な徒歩移動と自転車移動を進めることは、区単独の努力では不可能です。区民と事業者の協力は当然ですが、道路整備にかかる東京都、交通安全に関わる警察の取組が不可欠となります。そのための連絡調整体制はどうなっているのでしょうか。 Q24(自転車移動空間の整備状況と対策①) 次に、「地域公共交通計画案」では、ハード面では「安全で快適な自転車走行空間を確保するため、自転車通行空間の整備」をすると記載されています。この通行空間の確保が最大の課題であり、容易ではない課題だと思います。 国土交通省道路局・警察庁が作成した「ガイドライン」では、自転車通行空間の整備形態を3つあげています。自転車と自動車を構造的に分離する場合は、「自動車道」、視覚的に分離する場合は「自転車専用通行帯」、青く帯を塗ったものです。そして自転車が車道と混在する場合は、注意喚起のための「矢羽根型路面表示」です。 まず、現状を確認したいと思いますが、区内の道路総延長、また自転車道、自転車専用通行帯、矢羽根型路面標示の整備状況。あわせて区道における整備種類とその延長、区内道路総延長における自転車走行空間の占める比率を明らかにしてください。 Q25(自転車移動空間の整備状況と対策②) 自転車道、自転車専用帯は、車道、歩道とも一定の幅がある青梅街道のような幹線道路での整備であり、主に国や都が管理者だと思いますが、国、都側の計画はどうなっているのでしょうか。さらなる整備促進を求めていただきたいと思いますが、いかがですか。 身近な例ですが、区役所前の青梅街道の場合、部分的には青いラインを引く自転車専用帯を引ける空間はあると思いますが、いかがでしょうか。 Q26(自転車移動空間の整備状況と対策③) 矢羽根型路面標示は主に区道であり、区の事業だと思います。今後どのような計画でこの表示を敷設していくのでしょうか。 先ほど紹介した「ガイドライン」では、細街路・狭い街路での整備について「細街路等では自動車の速度を抑制するための狭さく、ハンプの設置等を検討するとともに、自動車の一方通行規制や大型車の通行抑制等、自転車の安全確保に留意した総合的な観点から検討するものとする」と記載しています。重要な問題提起だと思いますが、どう具体化しようとしていますか。 Q27(中杉通りの歩道) また、身近な例ですが、JR阿佐ヶ谷駅から区役所に至る中杉通りの歩道についてです。この歩道は自転車の通行が認められていますが、時間帯によっては人と自転車が入り乱れながら移動するという状況があります。法令上、自転車通行帯の整備などは不可能だとしても、何らかの誘導する標示はできないのか、見解を伺います。 Q28(中杉通りのパーキングメーター) さらにクルマ優先からの転換という点で、具体的な問題提起をさせていただきます。例えば目の前の中杉通りを見ると、荷捌きスペースは一定必要ですが、一般車用のコインパーキングが阿佐ヶ谷駅から区役所までの短い間に34台分もあります。そのため、自転車は本来の車道を通行できず、歩道が人と自転車で混雑する結果となっています。しかも、34台ものパーキングは自動車利用を促す効果をもっています。こうした状態も再検討する時期に来ているのではないでしょうか。いかがですか。 Q29(交通法規の徹底を) 最後に、ソフト、交通マナーの徹底はもちろん重要な課題です。私自身、この質問準備で土木事務所から説明を受け、初めて知ったことが多くありました。例えば、青梅街道の区役所側と郵便局側をつなぐ横断歩道は歩行者と自転車がいつも込み合っていますが、横断歩道は歩行者用であり、自転車は降りて引いて渡ることがマナーとされていること。自転車の走行は車道が原則であり、「自転車通行可」の標識がない歩道は13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者などの条件を満たしていない場合は、自転車の走行をしてはならないことです。これまでも努力されていると思いますが、一般的なマナーとともに法令上の規制をきちんと普及することが必要だと痛感しました。これについて、区の認識を伺い質問を終わります。 |
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