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2022年杉並区議会第四回定例会一般質問(くすやま美紀) |
日本共産党杉並区議団を代表して、来年度の予算編成について質問します。 来年度予算は、区民が選んだ岸本区長のもとで初めて編成される予算であり、区民の願いがどのように予算に反映されるのか、期待と注目が高まっています。同時に、物価高騰によって区民生活がかつてなく深刻な事態に陥っているもとで、杉並区が区民のくらしと営業を守る予算を編成することがこれまで以上に求められています。 来年度の予算編成にあたり、日本共産党杉並区議団としての考えを示し、区長の見解を伺っていきたいと思います。 1.区民生活の実態把握 はじめに、予算編成の前提として、区民の生活実態の把握についてうかがいます。 岸本区長のもとで9月に策定された「令和5年度予算編成に関する基本方針」では、前区政にはなかった重要な方針が示されました。 それは、方針の前提として、「区民生活の実態の把握」をかかげ、「区民生活の実態や地域の実情を様々な機会を通じて十分に把握したうえで、時宜を逸することなく必要な施策展開を図ること」と明記したことです。 現在、わが党区議団は、区民生活の実態に関するアンケートに取り組んでいますが、その回答で浮き彫りになった特徴点を紹介します。ぜひ参考にしていただければと思います。 一点目は、異常な物価高騰、とりわけ食材や電気ガスなどの高騰によって、区民生活がかってない深刻な事態に陥っており、そうしたなかで、憲法が保障した健康で文化的な最低限度の生活すら維持できない世帯も生まれていることです。例えばアンケートには「最低限のくらしです、もう少しゆとりをもって暮らしたい」「非常に苦しい、食事はお金もなく何も買えない」など悲痛な叫びがつづられ、1日1食、2食という実態もつづられていました。さらに「家賃が払えない」「更新料の工面が大変」などの訴えもありました。 二点目は、生活苦の最大の理由は物価高騰ですが、同時に「税金の支払いがきつく、国保料が高い」という声や「賃金があがらず、年金が減らされる」などの声も寄せられていることです。それだけに、物価高騰への対策にとどまらず、社会保障負担のあり方も含めた対応が求められていると思います。 Q1.区長は、物価高騰のもとでの区民の生活実態をどう認識しておられるでしょうか。また、どのような対応が求められているとお考えでしょうか、お答えください。 2.提案要望 次に、予算編成にあたって、わが党の提案・要望に対する考えをうかがっていきます。 (1) 物価高騰対策、くらし支援を最重点に 来年度予算編成で第一に求めたいことは、いうまでもなく物価高騰対策、くらし応援の施策の強化です。 10月分の東京都区部消費者物価指数は、前年同月比で3.5%の上昇で、今年最大の伸びでした。品目の68.2%、約7割が上昇となりました。電気、ガス代以外でも、生鮮食品9.3%、パンなどの穀類10.5%、油脂・調味料7.8%など、生活に不可欠な品目が大きく上昇しています。しかも賃金は上がっておらず、年金は削減されています。 その結果、区民はかってない生活の危機に直面しています。わが党のアンケートにも「食べ物の値上げが一番家計に響いています」「食事は2食で我慢しています」「家賃、光熱費以外だと2、3万円しか残らず苦しい、もうだめだ」など悲痛な叫びが書かれています。 Q2.区長は、現在の物価高騰という事態をどう認識していますか、来年度予算編成の最重点、最優先課題として、物価高騰対策に取組むことを求めますが、どうお考えでしょうか。 Q3.物価高騰対策は何よりも国の責任です。しかし、政府が10月末に発表した総合経済対策は、電気ガス代の抑制が柱で、一人ひとりのふところを温める支援になっていません。部分的な個別品目の支援策では、深刻な事態を打開することはできません。最大の物価対策は消費税税率の引き下げです。わが党のアンケートでも、要望の1位が消費税率の引き下げでした。税率を下げれば、すべての商品、サービスの価格を下げることができるのです。区長として、国に消費税率の引き下げを強く求めることを要請します。いかがでしょうか。 次に区の対策についてです。 Q4.区は、これまで補正予算で、学校給食費の保護者負担引き下げ、公衆浴場への燃料費助成、低所得世帯への区独自の給付金の支給、文化活動への支援、またプレミアム付き商品券の発行支援などを盛り込んだことは重要でした。ただ、これらの事業の財源は国の臨時交付金であり、単年度事業です。しかし、支援の多くは、来年度も継続、拡充が求められる事業ではないでしょうか。お答えください。 わが党のアンケートで、物価高騰対策に関して特徴的なことは、低所得層への支援の強化を求める声、例えば「一時的なバラマキでなく本当に困っている人に持続的な対策を」などの要望が複数あったことです。同時に、「対象の条件を設けず一律という形で対応を」、あるいは「子どもばかりでなく高齢者にも」という要望も記載されていました。両側面での対応が区に求められると思います。 Q5.低所得層対策では、アンケートの回答にあった「1日1食や2食におさえる、米さえ買えないときがある」などの世帯への支援は優先課題だと思います。区として、深刻な状況にある低所得層に対し、どのように対応していくのでしょうか。 とりわけ、ひとり親世帯、低額の年金のみで賃貸住宅にすむ高齢者のみ世帯などへの区独自の給付金やお米など食料支援の検討を求めますが、いかがでしょうか。 Q6.「支援対象を低所得層や子どもに限定せずに」という要望に関しては、給付的事業とともに、プレミアム付き商品券は有力な購買支援です。また区立施設使用料の引き下げ、学校給食費への支援の継続や保育料の値上げをしないことも重要だと思います。見解をうかがいます。 Q7.さらに、生活保護が必要であるにもかかわらず、制度に結びついていない人が多数存在している現状があります。区は、様々な媒体を活用し、生活保護制度の周知を積極的に行っていると答えていますが極めて不十分です。中野区では、「生活保護は権利です。ためらわずにご相談ください」というポスターを区の施設に貼りだしています。区長も選挙公約で、生活に困窮している人に生活保護制度の利用を促すため、ポスターを作成するなど、積極的な広報を行うことを掲げています。 ポスターの作成をはじめ、積極的な生活保護制度の周知、生活に困窮する人への働きかけを求めますが、いかがですか。 Q8.また、国民健康保険料は区の責任が問われる課題です。物価高騰で区民が大変なときに国民健康保険料の大幅値上げは許されません。抑制のために最大限の努力をすることを求めます。いかがですか。 (2) 公約にかかげた区民生活支援の第一歩となる予算 予算編成に対する提案要望の二つ目は、公約にかかげた区民生活支援の第一歩となる予算とすることです。 Q9.来年度予算には、岸本区長が公約や所信表明で示した施策、さらに第3回定例会の答弁で表明した施策が盛り込まれることが求められており、区民も期待しています。しかし、現実的には、準備や財政上の調整などの制約、さらに物価高騰対策に全力をつくさなければならない状況もあり、実施の緊急性や優先性も判断が必要かと思います。 区長は、こうした点をどう調整し、予算案の作成をすすめるのでしょうか。うかがいます。 私は、公約等のなかでも物価高騰対策として緊急性が求められる施策については、優先的に予算化をはかるべきだと思います。また、すでに多くの区で実施されているにもかかわらず、前区政では背を向けていたために実施にいたってない事業もすみやかに実施にむけ努力すべきだと思います。見解をうかがいます。 Q10.その具体例の一つが、家賃助成です。わが党のアンケ―トのなかでも、家賃の支払いに苦しむ声が多くよせられました。60代の自営業者の方は「売上げ減少、生活にならないレベル、家賃が苦しい」と記載していました。20代のパート・アルバイト労働者も「家賃負担が大変、2年ごとの更新料を工面するのも大変」と訴えています。23区ではすでに多くの区が家賃助成を実施しています。第3回定例会では、区長も私の質問に「多くの区で実施している家賃助成制度を実施してまいりたい」と答弁し、担当部長は「一段階あげて検討を行ってまいりたい」と答弁しました。最も深刻な方への緊急的な対応として、家賃助成を予算化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 Q11.多くの区で実施し、杉並区で遅れているもう一つの具体例は、高齢者の補聴器購入費への助成制度です。決算特別委員会での区長の助成実施表明に高齢者から歓迎と期待の声があがりました。ぜひ来年度から実施できるよう準備を急いでいただきたいと思いますが、いかがですか。 Q12.さらに、物価高騰下での低所得の子育て家庭への支援として、就学援助の拡充も急がれています。区長は、公約で「学用品の購入助成で子どもをサポート」を掲げています。決算特別委員会で、わが党の富田議員が杉並区の認定率が23区中19位と低く、認定基準が厳しいことを指摘し、改善を求めました。区は、認定率が比較的低い区であることを認め、保護者負担の軽減のあり方を「至急検討を進めていきたい」と答弁しました。物価高騰下で保護者負担の軽減がはかられるよう、来年度から改定を実施することを求めますが、いかがでしょうか。 Q13.学校給食費の保護者負担は、杉並区の場合、小学校低学年で年額約5万円、中学校では年額約6万2千円と大変重い負担です。東京都内では、すでに1町4村が学校給食費を無償にしており、葛飾区も来年度から無償化に踏み出します。また、23区では5区で、第3子以降の給食費を無償にするなど、何らかの制度を設けています。本来、地方自治体の取組に依拠するのではなく「義務教育は無償」と定めた憲法26条に即し、国が一気に無償化を進めるべきです。区長は公約で、給食費の無償化をめざすとしており、実施に向けた具体的な検討に入ることを求めますが、いかがですか。 (3)区民の声が生かされる予算 予算編成にあたって第3に要望したいことは、区民の声・要望が生かされることです。区長は、「区民の声に真摯に耳を傾けることを大切にしたい」と発言しました。来年度予算にどう区民の声が生かされるのか、区民は期待し注目しています。 Q14.区長は、来年度予算の編成に、区民の声・要望をいかすために、どのように取り組んでいくのでしょうか。基本的姿勢についてまず伺います。 Q15.区民の声・要望を区が把握し公表している仕組みの一つとして、毎年度行っている区民意向調査があります。先の決算特別委員会で、その中の「自由意見」欄は、具体性のある要望を把握するためのもので、施策へ反映し有効に利用していると答弁がありました。しかし、前区政において本当に施策に反映されてきたのでしょうか。 例えば昨年度実施された調査で、子育て支援に関する自由意見で一番多かったのは、子育て応援券に関する要望で6件でした。日用品の購入や、健診に利用するタクシー代にも応援券を利用できるようにしてほしいなどでした。この要望は今年度の調査でも4件あり、「共働きには使いしづらい」「使い道が少ない」など厳しい意見が寄せられました。 また、防災無線が聞こえず不安になるという要望も、一昨年度は4件、昨年度は5件、そして今年度は2件ありました。 時間の関係で2件のみを紹介しましたが、こうした要望は施策にどう反映されたのでしょうか。住民自治の原則にたてば、区民要望は尊重され、予算に反映されるべきと思います。いかがでしょうか。 Q16.また、今年度の自由意見欄では、前区長がすすめてきた児童館の廃止、西荻窪駅前再開発や道路計画に厳しい批判意見が多数寄せられたことが注目されます。児童館の廃止反対、復活要望の意見が5件、まちづくりでは記載件数22件のうち、8件が再開発、道路計画反対の意見でした。来年度予算編成を検討するにあたって、こうした区民意見を受け止めるべきと思いますが、いかがですか。 (4)時代の流れに即した予算編成へ 第4に要望したいことは、予算編成方針では触れられていませんが、世界的な気候危機への対応やジェンダー平等の実現に向けて、区の取組を加速させていくことです。 Q17.とりわけ気候危機への対応では、環境基本計画改定後初の予算編成であり、来年度は国の地球温暖化対策推進法にもとづく杉並区地球温暖化対策実行計画地域施策編、同事務事業編の策定実施の初年度になると思われます。しかも来年度は、2030年度カーボンハーフ・二酸化炭素排出量の半減達成まであと7年という時点での取組です。 第3回定例会でのわが党の一般質問、決算特別委員会での質問に区は積極的姿勢を示しました。区は、来年度どのような削減目標をかかげ、どう取り組んでいくのか、また気候市民会議はいつからスタートするのか、うかがいます。 Q18.関連して、今年度中に策定される地域公共交通計画についても、一点述べておきます。電気自動車など、環境にやさしい多様な交通手段の活用は当然のことですが、多くの区民が親しみを持ち、利用している南北バス「すぎ丸」の拡充こそ重要課題ではないでしょうか。 日本共産党東京都議団は、都下自治体でのコミュ二テイバスの運行状況、区市町村の財政補填額などを調査しました。その結果、運行距離においても、財政補填でも、杉並区以上に努力している自治体があることが確認できました。運行距離は行政面積を考慮する必要がありますが、杉並区の12キロに対し、面積が杉並区よりも狭い中央区21.6キロ、港区は80.6キロ、文京区が30、97キロ、台東区50キロでした。 補填額は、杉並区は決算未確定として回答がありませんでしたが、台東区は約2億6千万円、渋谷区は約2億1千万円でした。杉並区の昨年度の補填額はいくらだったのですか。運行距離においても、補填額においても、杉並区以上の取組が他区でなされていることを直視し、すぎ丸運行事業の拡充を求めます。いかがですか。 3.税金の使い方 最後に、予算編成の基本方針に関して意見を述べます。 Q19.まずなによりも強調したいことは、区民生活最優先を貫いてほしいということです。前区政では、高齢者の福祉用具給付の予算はわずか10万7千円など軽視されてきました。また体育施設でいえば、区民一人当たりの体育館面積は23区で最下位です。予算編成に臨む区長の基本姿勢を改めてうかがいます。 Q20.区民施策の充実をはかるためにも、税金の使い方について、精査すべきはきちんと精査することを求めたいと思います。とりわけ、都市開発関係の税金投入です。例えば、荻窪駅周辺地域に関しては、南北移動の改善などは遅々として進まないにもかかわらず、3年間連続で計画策定費などに毎年1千万円を超える税金が投入されました。しかも都市再生事業の名目で、荻窪のロゴマーク作成に270万円余も税金を投入しています。同様な傾向は、阿佐ヶ谷駅北東地区でも、西荻窪駅周辺まちづくり事業でもみられます。しかも阿佐ヶ谷駅北東地区では、特定の企業に連続して計画策定を委託し続けてきました。都市整備に係る継続的な事業であっても、改めてその必要性、緊急性、妥当性を厳しく精査することを求めます。見解をうかがいます。 Q21.さらに懸念されることは、都市計画道路の整備に関してです。都市計画道路の整備に関する決算額は年々増加し、昨年度決算では1億3千万円余ですが、これは主に測量や試掘等の調査委託費です。用地買収等の事業化を進めれば、莫大な財政負担となり、最優先すべき区民施策に深刻な影響が及ぶことは明らかです。財政的観点からも、道路計画は再検討すべきです。見解をうかがいます。 Q22.昨年度の決算は、実質単年度収支93億円の黒字で、財政調整基金は新型コロナ対策などで133億円を取り崩しましたが、211億円を積み立て、実質77億円余を積み増す結果となりました。この積み増し額は、23区で最高ではないでしょうか。その結果、財政調整基金残高は486億円となり、財政健全化と財政運営確保のルールで定めた年度末残高350億円維持の目標を大幅に超えました。財調基金の積み増しではなく、当初予算から新型コロナ感染拡大と異常な物価高騰から区民生活を守るために財政投入を図るべきですが、いかがですか。答弁を求め、質問を終わります。 |
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