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2022年杉並区議会第三回定例会決算特別委員会意見開陳(金子けんたろう) |
10月18日に金子けんたろう議員が決算特別委員会の意見開陳を行いました。 日本共産党杉並区議団を代表し、認定第1号、令和3年度杉並区一般会計歳入歳出決算、ほか認定第2号から認定第4号までについて意見を述べます。 当該決算年度は、年度当初から、新型コロナウイルス感染症の拡大が区民と区内事業者を直撃し、2度緊急事態宣言が出された年度でした。こうした事態に対し、区民の命と健康、暮らしと営業を守り抜くために、区が自治体としての責任をどう果たすのかが問われました。特に前・田中区政の3期12年目の決算でもあり、前区政における問題点も含めて審査を行ないました。 我が党区議団は、これらの視点に立ち、本決算の審査を進めてきた結果、認定第1号一般会計歳入歳出決算ほか、認定第2号から4号までの特別会計決算の認定について不認定、反対いたします。以下、その主な理由について述べます。 第1に新型コロナウイルスの感染拡大が区民生活や区内事業者を直撃する下で、国保料の値上げなど負担増が行なわれたことです 区民の負担増) コロナ過での減収、物価⾼騰によるさらなる負担増で区⺠⽣活は本当に厳しい状況です。こういう時だからこそ、杉並区が基礎⾃治体として、区⺠⽣活を守るためにどのような区政運営をしてきたかが問われます。当該年度の予算編成⽅針では、「100億円を超える減収」の可能性に⾔及し「区を挙げて歳出削減」に取り組む必要があるとしていました。 また、「必ず事業の⾒直し・廃⽌・整理統合・縮⼩を検討」、「新規事業を計上する場合は、必ず規定事業を⾒直し(廃⽌・縮⼩)を⾏」うなど、厳しい緊縮財政を⽅針としていたことが分かります。具体的には、当初予算編成段階で「中学校の修学旅⾏費保護者負担軽減」事業や「前⽴腺がんの検診」事業廃⽌、区⽴学校の警備員など様々な事業の予算が縮⼩されました。⻑年、税と社会保険料の負担増が区⺠⽣活を苦しめているうえ、コロナ禍と物価⾼騰が追い打ちをかけている現状で、様々な区⺠サービスが縮⼩削減されています。 一方、当該年度の財政指標は、十数年来で最高の状況となり、財政調整金の積立額は23区でもトップとなる77億円、実質収支比率も適当と言われる3〜5%を超える10.3%となりました。区民の暮らしの実態と比較をすれば、極めて異常な状況であり、23区でも突出しています。 実質収⽀⽐率の適当と⾔われる割合を超えた67億円とともに、単年度で過去最⾼額まで積み増した財政調整基⾦の77億円の積み立て額については、今後、区⺠福祉の拡充と、負担軽減に積極的に活⽤するべきとあらためて指摘するものです。 国保) 国民健康保険をめぐる状況は、年金生活の高齢者や非正規労働者をはじめ、低所得の被保険者が多いのにもかかわらず保険料の連続値上げが続き、高い保険料負担が生活を脅かす事態となっています。当該年度は、コロナ禍であるのにも関わらず、国保料の連続値上げが行なわれました。これ以上の保険料負担増は限界です。 質疑でも述べましたが、コロナ禍と物価高騰という状況下において、従来にもまして国保料の負担軽減が重要課題と考えます。既にコロナ禍による医療費増加という事態であり、国、都に従来を超える財政支援を求めることが決定的です。 この点で、来年度については区長会として、早い段階から、国・都に対し国保料負担軽減のための財政支援を働きかけるべきです。そのために、連絡を取れる区長とは、積極的な意見交換等の取組を改めて求めるものです。また、子どもの均等割り額の軽減など、区として負担軽減に向けたあらゆる手立てを尽くすべきです。 第2に暮らしへの支援の姿勢が極めて弱かったことです 住宅施策、家賃助成) 杉並区は住宅都市をうたっていますが、住宅をめぐる状況は決して良好ではありません。賃貸住宅居住者が過半数を占め、コロナ禍による失業や収入の激減、物価高騰のもとで、賃貸住宅に住む方から、家賃の負担が重いなど切迫した声が寄せられています。 当該年度、党区議団は、住民生活を守るべく家賃助成制度の創設を求めてきましたが、前区政では一向に進められませんでした。現在、23区において家賃助成を実施している区は19区にも及ぶなかで、杉並区の遅れは深刻です。近隣区に学び直ちに家賃助成を開始するべきです。 岸本区長に変わり「民間住宅の空き家も増えており、活用策として多くの区で行っている家賃助成制度を実施してきたい」と述べ、本決算特別委員会で所管課長も「実施に向けた検討をする、早ければ6年度実施」と答弁したことは重要です。わが党区議団も提案しましたが、「住まいは権利」という立場に立ち、年金生活の高齢者やひとり親世帯など、他区の事例も参考に実施に向け、着実に進めていただくよう改めて求めるものです。 補聴器購入助成) わが党区議団は、高齢者日常生活用具給付が他区と比較しても異常に遅れている実態を指摘しました。改善を求めるとともに、東京都の補助金を活用し高齢者の補聴器購入助成制度を実施するよう繰り返し求めてきましたが、前区政は、区民から強い要望があったにもかかわらず、背を向け続けたことは容認できません。 本委員会でわが党区議団の質問に対し岸本区長は「今のコロナ禍、物価高騰の中で考えていかなければならない」「検討だけでなく実施に繋げていきたい」と答弁し、所管課長も「実施に向けて検討する」と答弁したことは重要です。高齢者施策を前進するよう重ねて求めるものです。 使用料) 我が党区議団は、区の施設使用料が他区と比べても利用者負担が高く、区民活動に影響を与えていることを指摘し、見直しを求めてきました。公共施設は住民福祉の増進のために設置されているものであり、施設は住民の財産でもあります。質疑でも述べたように、他自治体の事例では、減価償却費を使用料算定に加えていないケースもあり、今後の使用料の見直しにおいては、その是非について検証すべきと考えます。また、これらの実態を調査・分析し、使用料の引き下げ及び登録団体減額制度復活等の検討を求めるものです。 区立施設を区民が利用することで、文化活動や趣味活動を通してコミュニティが形成され、スポーツなどを通じて健康が増進されるという視点に立ち、区民の誰もが利用しやすい使用料設定にすることを求めておきます。 第3に児童館・ゆうゆう館の廃止等の再編整備計画が強行されたことです 児童館) 当該年度は、善福寺児童館、西荻北児童館が廃止され、機能移転されました。どちらも住民合意を得ていたとは言い難いものです。西荻北については桃三小や近隣小学校のPTA、学童クラブ父母会から計画の見直しを求める要望が寄せられ、善福寺児童館は計画見直しを求める851筆の署名や同じくPTAからも様々な要望が寄せられました。質疑でも明らかになりましたが、児童館の居場所を失った小学生の活動場所が縮小される一方、乳幼児のプラザは、特に放課後利用も僅かです。 これらの実態は小学生児童や保護者にとっては、認めがたいことです。子ども子育てプラザにおけるタイムシェア等を検討し、小学生の居場所としての利用も検討することを改めて求めます。また、杉並区として、これまでの児童館再編を巡る状況を検証し、児童館の廃止、民間委託を止めるよう求めるものです。 ゆうゆう館) 当該年度、ゆうゆう浜田山館が廃止・機能移転されました。代表質問でも取り上げましたが、ゆうゆう館を利用していた高齢者団体にとってコミュニティふらっとの利用には様々な課題があります。特に当該年度の実施されたパブリックコメントでは、ゆうゆう館の存続を求める声が多数寄せられました。これらの声を真摯に受け止めるべきです。 ゆうゆう館での協働事業は「いきがい学び」「ふれあい交流」「健康づくり」などについて、創意ある取り組みが実施されてきました。各ゆうゆう館の施設運営業務を担う、NPO法人などの地域の公益団体が運営する事業であり、低廉な価格で利用することも出来ました。 これらが、コミュニティふらっとで同様の高齢者向け事業を、これまでの回数や手法などで実施出来ているのか、検証すべきです。特に、先の第2回定例会では、所管部長は「コミュニティふらっとに対する高齢者部門の関わりが薄かったような気もいたします」と答弁がありました。コミュニティふらっとの所管が地域課となり、そもそも保健福祉委員会で質疑することも出来ない状況です。機能継承が適切になされているのか、現場を利用する高齢者や団体への意見聴取も含め実態把握に努めるべきです。岸本区政のもとで、ゆうゆう館の再編の実態を検証し、廃止方針を撤回することを求めます。 第4にコロナ禍の下で、都市計画道路整備や駅前再開発が進められたことについてです 都市計画道路) 前区政のもと、都市計画道路整備事業は、近隣住民との合意形成なく進められてきました。計画の多くは、70数年前に決定されたもので、現在では住宅街や商店街が立ち並び、計画が決定された当時とは状況が全く違っています。住民に立ち退きを迫り、暮らしや営業、地域のコミュニティを壊す道路計画に、理解や納得が得られないのは当然のことだと思います、財政の面で莫大な税金が投入される点でも重大です。補助132号線では250億円以上、補助221号線では50億円以上等々、コロナ禍や物価高騰のもとで、莫大な税金を投入することは認められません。 岸本区政のもとで住民との対話による事業の検証が示されたことは重要です。住民合意の無い、道路整備計画は凍結・見直しを進めることを求めるものです。 阿佐ヶ谷駅北東まちづくりについて) 当該年度、前区長のもとで、阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくり計画に基づく、区画整理事業の実施において、特定の事業者の主導で進められてきました。北東地区のこの先の新たな計画まで、事業者に計画策定を依頼したことは見過ごせません。質疑でも指摘しましたが、当該事業者との長期にわたる一体的関係について、立ち止まって総括すべきです。岸本区長は当該事業について、杉並区が関わっている事業であり「適切に情報公開していく」と述べられたことは重要です。今後、住民への情報提供と丁寧な意見聴取の機会を確保するよう改めて求めるものです。 第5に教育問題についてです ・就学援助)この間のコロナ禍の⻑期化に加え物価⾼騰が、低所得の⼦育て世帯に⼤きく影響を与えています。⼦どもの貧困の解消を進めるために、⼦育て世帯の教育にかかる負担の軽減を求める⽴場から、杉並区の就学援助の拡充について質疑で取り上げました。 前区政のもと就学援助の認定基準が2012年を境に引き下げられ、厳しくなりました。その結果就学援助の認定率が減少していることが、わが党区議団の質疑で浮き彫りになり、区は「杉並区は他区と比較しても(認定率が)低い」と答弁しました。2012年改正前に戻すべきではないかというわが党区議団の提案について「公費負担、保護者負担の在り方、研究検討したい」「費目認定も検討したい」としたことは重要です。他区事例も参考に就学援助の拡充を求めるものです。 トイレ洋式化)区立小中学校トイレの洋式化についても述べておきます。本委員会において、当該年度の23区比較で、杉並区が22位となり学校トイレ洋式化で取り残されていること指摘しました。区は「一体的、効率的」に整備すると繰り返し答弁していますが、国や都の補助金は部分改修も可能であることは承知かと思います。改めて、教育環境の改善と震災救援所の機能強化を早期に進めるため、改修の年次計画を⽴て80%達成を早期に⽬指すべきことを求めます。 第6に地球温暖化対策、環境対策が不十分であったことです 当該年度、杉並区は、環境省にゼロカーボンシティ宣言の届けを出し、環境省のホームページにも公表されました。前区政下では、当該年度11月の全員協議会での発言をもってゼロカーボンシティ宣言を行ったように言っていましたが、これは前区長の発言ではありません。本年7月1日にようやく区ホームページにゼロカーボンシティ宣言を掲載したことは重要です。杉並区は区内最大の事業所であり、二酸化炭素排出量も業務部門のなかで断トツです。それだけに、区自らの取組が、2030年度のカーボンハーフ、2050年度にカーボンゼロの目標達成を左右するといっても過言ではありません。 わが党区議団は今年1月に提出した気候危機打開のための提言で、温暖化対策実行計画事務事業編改定にむけた提案をしました。岸本区長におかれましては、2030年度カーボンハーフを達成するため、取組の抜本強化をしていただくこと。杉並区として区内最大の事業所の先導役を果たしていただくこと。部門等の目標を明確にし、取組を推進すべきことを改めて求めるものです。 第7に前区政の下で区政私物化、情報隠し等の不公正な区政運営が行われたことです 情報公開追加)岸本区長は所信表明において「情報公開制度は区民の知る権利を保障する要」であるとし、「非開示決定の場合には、その理由や考え方について説明を尽くすこと、また開示期限については14日以内が原則であることを改めて徹底し、区長として責任をもって対応」と表明しました。また、非開示などに関して過去を精査し「杉並区情報公開・個人情報保護制度事務手引」を抜本改定すると述べられたことは重要です。わが党区議団は当決算特別委員会において、当該年度における、前区政下での情報公開の異常な延長、非公開など具体的な事例を示してきました。 情報公開における杉並区の課題は条例や手引きではなく、執行、実際の運用に問題があると指摘せざるを得ません。非開示や期間延長についての実態、恣意的な乱用をどう防ぐかが問われています。質疑では岸本区長から「これまでの対応を不問しない」との答弁がありました。これまでを総括し運用の具体的指針等を策定することをあらためて求めるものです。 田中前区長のゴルフ) 当該年度2021年7月14日、緊急事態宣言下に、田中区長が公用車で軽井沢高原ゴルフ場で行われた東京商工会議者杉並支部の幹部会議に参加し、飲酒、宿泊していたことがわが党区議団の調査で明らかになりました。その後、翌日には同行した区幹部職員が商工会議所のメンバーとゴルフ行い、そのなかには区と利害関係のある事業者が含まれていたことも判明しました。当該年度を含め、区の事業にかかわる利害関係者と幹部職員との宿泊懇親会、ゴルフプレイは常態化しており、移動費用、参加費が税金から支出されていたことは到底容認できるものではありません。 国家公務員倫理規定で、利害関係者とゴルフや旅行などを禁止する厳しい規制を設けているのは、公務員が国民全体の奉仕者として公正な職務の遂行が求められるからであり、国民から疑惑や不信を招いてはならないという精神からです。しかし、前区政は、そうした指摘は国家公務員に限ったものとし、区政においては特段問題はない旨の答弁を繰り返してきました。 今年度の東商杉並支部の幹部会には、岸本区長はオンラインで参加したことは適切な判断です。区民に不信を抱かせないためにも、今後は区職員が幹部会議のゴルフコンペに参加しないと決断することを改めて求めるものです。 以上、意見を述べてまいりました。多くの資料、準備していただいた職員の皆さんに厚くお礼を申し上げ、意見の開陳を終わります。 ダウンロード用のPDFファイルはこちらです。 (2022年杉並区議会第三回定例会決算特別委員会意見開陳(金子けんたろう)) |
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