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2022年杉並区議会第三回定例会一般質問(野垣あきこ) |
1、気候危機について 日本共産党杉並区議団の野垣あきこです。党区議団を代表して、気候危機について、地域公共交通計画について、質問します。 ・温暖化対策実行計画について 今年の夏も世界中で、異常気候による熱波や洪水が深刻な災害を引き起こしています。物価高騰とともに、食生活や農林水産業への影響も深刻になっており、区内農業への影響も懸念されます。人類と地球の未来を左右するともいえる、地球温暖化による気候危機を打開することは、現代に生きる私たちの責務です。 杉並区も、私たち議会の要望をうけ、国際的な共通目標である2050年カーボンゼロ、ゼロカーボンシティ宣言を行いました。岸本区長もこの取組を重視していることは、大変頼もしいことです。 わが党区議団はこれまでも気候危機の打開を求め、2度にわたって区に提言を提出するとともに、本会議や委員会でも繰り返し取り上げてきました。その結果、友好自治体の森林を活用したカーボンオフセット事業の実施、マンション及び事業者へのLED化助成、さらに都外区有地での太陽光発電の準備など、新たな取り組みを始めようとすることを歓迎するものです。 Q1―1【区長認識】 はじめに、ゼロカーボン実現にむけた、区長の認識と決意を伺いたいと思います。 2050年度にCO2排出量実質ゼロ、そして2030年度に半減という目標は、これまでの延長線上の取組では到底達成できるものではないと思います。 区が環境基本計画で打ち出した2030年度にCО2発生量を82万7千tにするためには、10年間であと68万4千tの削減が必要です。しかし、2020年度までの10年間の削減量は、11万2千tにすぎません。今の6倍の努力が求められているのです。 私は、従来の発想を転換し、ライフスタイルの見直し、区長が強調する自転車交通の重視など、街や交通のあり方も含め、ゼロカーボンシティの実現に向け、勇気ある改革を進めることが求められていると思います。区長はどのようにお考えでしょうか。 いま、杉並区は、国が定めた地球温暖化対策実行計画の地域施策編及び区自身の事業に対する計画である事務事業編の改定作業を進めている段階だと思います。私は、この2つの計画の改定に向けて、何点か提案しますので、ご検討いただきたいと思います。 Q1―2【意義と方向性】 その一つは、2050年度カーボンゼロのために、2030年度のカーボンハーフの達成がいかに重要なことか、方向性としてはどのような生活スタイルと地域をつくることが求められているのか明確に示していただきたいということです。いかがですか。 それは、区民、事業者あげたオール杉並での努力が求められており、意義と方向性を明確にすることが出発点だと思うからです。 他区の最新計画も読んでみましたが、大変参考になるものがありました。それは、私たちが目指す脱炭素社会を、生活や行動が制約されるような負のとらえ方でなく、自然の豊かな力を生かした、より人間的な新しい社会を切り開くような積極性が強調されていたことです。こうした視点も大事なことだと思います。 Q1―3【家庭部門】 次に、家庭部門での取組についてです。杉並におけるCО2発生量を部門別に見ると、一番多いのが家庭部門です。「みどり東京・温暖化防止プロジェクト」のデータでは、2019年度(R1)は、杉並区の家庭部門での排出量は77万2千tで、全排出量の52.8%を占めています。だからといって、家庭での電気やガスの使用量を今すぐ半減せよ、というのは現実的ではないと思います。重要なことは、省エネや節電、太陽光発電の促進、蓄電池などの機器の普及への支援を強化することだと考えます。 同時に、再生可能エネルギーによる電力の購入促進、卒FIT施策を新たに重視すべきと考えますが、いかがですか。世田谷区などではこの点を重視していることに注目すべきです。区は、家庭部門でのCО2削減をどのように進めようとしていますか、お答えください。 Q1―4【都制度】 家庭での削減推進のカギは、区民のみなさんが、主体的に考え行動することだと思います。この点で、区民への周知とともに、過去にも提案した、節電の努力がCО2発生をどれだけ削減するのかなどをわかりやすく示すことが重要です。 さらに、東京都では、希望する家庭や町会等を訪問して、省エネの助言をする「家庭の省エネアドバイザー制度」が行われていました。また、水量節約のための節湯型シャワーヘッド等を補助する「簡易な省エネ改修(DIY)促進事業」、省エネエアコンや洗濯機のリユースの購入費や設置費を補助する「省エネ家電リユース促進事業」など地元事業者の仕事確保にもつながる制度がありますが、認識していますか。これらも大いに活用すべきではないかと考えますが、いかがですか。 Q1―5【事業者支援】 次に小売業、飲食業、事業所等での対策です。区全体のCO2排出量に占める比率は23.3%で家庭に次ぐ2位です。事業所でのCО2排出削減のカギは、消費電力の削減とともに再生可能エネルギーへの転換の促進だと思います。 この点では6月から事業所に対し、LED照明への助成をはじめたことは重要です。この制度を継続し拡充するとともに、都が実施している冷凍、冷蔵施設等の省エネ機器切り替えへの支援の検討を求めます。 さらに、事業活動で過度に電力を削減することは困難ですが、それであれば再生可能エネルギ―の活用が求められるのではないでしょうか。 小売り事業所の売り場面積に着目すると、大規模小売店にどれだけ削減に協力してもらうかが重要になっています。この点で、千葉県柏市では温暖化対策条例にもとづき、大型店の出店や事業活動におけるCО2削減計画の提出を求めていることは参考にすべきと考えますが、いかがでしょうか。 Q1―6【交通】 次に交通とまちづくりについてです。CO2排出量比の第3位は自動車で、14、7%になります。 最近策定した他区の計画で共通していることは、ZEV(ゼロエミッション・ビークル)、走行時にCO2等を排出しない電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)への切り替えの促進です。同時に共通しているのが、地域公共交通の重視であり、自転車、徒歩での移動の推奨です。まちづくりも幹線道路優先ではなく、自転車や徒歩での移動優先への転換が必要だと思います。区長も自転車での移動を重視していますが、この点はどのようにお考えですか。 Q1―7【まちづくり】 まちづくりで他区の計画でも重視されているのが、CO2を吸収する緑を守り拡大するまちづくりであり、とりわけCO2吸収の効果がある樹木の重視です。ところが、杉並区では樹木や屋敷林の減少が急速に進んでおり、危機的状況にあります。 以前の質問でも取り上げましたが、区の「みどりの実態調査」では屋敷林は平成24年から平成29年の5年で半減していることが紹介されています。今はそこからさらに5年が経過しており、屋敷林の減少に歯止めがかからない状況だと思います。こうした樹木や樹林地の減少・後退は、区民の潤いのある生活にとっても、CO2の削減にとっても、極めて深刻な状況です。 区は、この樹木減少の事態をどう認識していますか。CO2吸収の上でも、保全と拡大に向けた抜本強化策を今後の計画に明記することを求めます。その際、樹木の減少でCO2吸収力がどれだけ後退したのか、数値で区民に示すことを求めますが、いかがですか。 Q1―8【屋敷林】 この点で私は、杉並区が自ら保全してきた阿佐谷駅北東地区の貴重な屋敷林を、区が主導して伐採推進したことを絶対に許すことはできません。貴重な保護樹林の伐採計画を作成したのは杉並区です。そして、その了承を都に迫り交渉したのも地権者ではなく杉並区です。残念ながら62本もの樹木の伐採が強行されますが、今後のためにも、この区の対応は厳しく批判されるべきだと思います。前区長の行ったことでありますが、岸本区長はどのように受け止めますか。 Q1―9【世田谷RE100】 CO2削減のうえで、火力発電による電力から再生可能エネルギーによる電力にどれだけ切り替えられるかは、極めて決定的です。 世田谷区では「せたがや版RE100」事業という、事業者、区民が自ら消費する電力を100%再エネ由来にしようとよびかける運動を実施しています。世田谷区はその先頭に立ち、区立施設では再エネ100%電力への切り替え、交流自治体で作られた再エネ電力の区民への普及、三浦市の区有地での発電事業、蓄電池導入促進の助成などに取り組んでいます。 杉並区も、区庁舎等での再エネ電力の使用や、南伊豆等での区有地を利用した発電事業の準備など始めていることは重要ですが、他自治体の取組も参考に、再エネ電力の普及目標を明確にし、取組を抜本強化することが求められていると思います。いかがですか。 ・気候市民会議について カーボンゼロの杉並を実現するには、区、区民、事業者の総力をあげた取り組みが決定的です。そのためには、区長も提案している気候市民会議の組織と運営がきわめて重要だと思います。 8月24日、ゼロカーボンシティ宣言を求めてきた市民団体の主催で、気候市民会議をテーマにしたオンライン学習会が開催され、私も参加しました。研究者や市民など120名が参加し、ここに岸本区長と所管職員が出席したことを、わが党区議団は大きく評価するものです。 気候市民会議の開催については、国内ではまだ実践例が多くないだけに、住民の期待は高く、世界的にも注目されています。そこで何点か伺いますので、イメージをお聞かせください。 Q1―11【意義と目的】 まず始めに、気候市民会議とは、様々な立場の一般の市民が気候変動対策について話し合う会議体で、その結果を自治体の政策に活用するものだと認識していますが、相違ないでしょうか。重ねて、意義や目的などについて区長の認識を伺います。 また、国内では何自治体が開催しているのかお答えください。 Q1―12、【参加者の構成】 気候市民会議の開催については、どの自治体においても、多世代、そして様々な立場の市民の参加が求められ、実践の努力がされています。2020年に札幌市で行われた会議では参加者は無作為抽出でしたが、参加した主婦は「場違いな場所に来てしまったのかなと思ったけれど、断熱のこととか待機電力のこととか、あとEVやFCVの話とか、結構自分たちの生活に関係することが多くて勉強になって、今までこういうこと考えずに生活してきたので、率直に参加して良かったと思いました。」と前向きな感想を語っています。 専門家の他にも、未来を担う若者や学生、区内事業者、市民団体、外国籍の方等からの参加も検討していただけたらと思います。また、参加者の男女比率についても十分に配慮するよう要望しますが、いかがですか。 コロナ禍がいつまで続くのかは不明ですが、リアルでの会場参加とオンライン参加の両方を保障するハイブリッドでの開催の検討も重要です。また、広報やメディア対応についても、従来以上に積極的、効果的に行っていただくよう要望します。 そして、開催については一過性のイベントではなく、ある程度の期間の開催や継続的な開催となることを期待するものです。 区長もお聞きになったと思いますが、24日の学習会の最後に、フランスで気候市民会議の開催に関わったメンバーが「とても有望で挑戦的で、要求の高い経験になること思いますが、実施する価値があることです。民主主義の機能を補足するための需要な作業だと思います。〜中略〜成功を祈っています。どのような市民会議になるか、拝見するのを楽しみにしています。」とビデオメッセージを寄せていました。気候市民会議は民主主義そのものであり、杉並区での開催を市民とともに進めながら、ゼロカーボンを実現していく立場で、わが党区議団も全力を尽くす決意です。 2、地域公共交通計画について 次に、地域公共交通計画について質問します。わが党区議団は、2018年の第4回定例会で、独自に作成した区内の交通不便地域を示す地図を紹介しながら、交通不便地域の解消、地域公共交通の整備拡充を求めて質問しました。その後、区として地域公共交通計画の策定準備に入ったことは、評価するものです。 Q2―1、【計画の機軸】 はじめに基本的な立脚点について伺います。前回質問でも紹介しましたが、フランスの交通法典では第1条で「すべての個人が移動する権利、交通手段選択の自由が保障されなければならない」と宣言しています。国内でも、福岡市では公共交通空白地域等及び移動制約者に係る生活交通の確保に関する条例を制定しています。こうした先進例にも学び、区民だれもが、経済的負担への配慮も含め、安心して移動できることを、計画の機軸にすべきと思いますが、区長いかがですか。 Q2―2、【交通不便地域①】 次に、交通不便地域対策について伺います。第一に、公共交通不便地域の設定についてです。前回(今年3月の予特)のわが党の質問にたいし、区は「交通不便地域はおおむね解消していると認識」と答弁し、区として不便地域とその世帯数などを示すことはありませんでした。しかし、今回の協議会資料で交通不便地域を地図に示したことは重要な前進です。ただし、不便地域の条件を狭めました。従来は鉄道駅からの距離は500m以上のところを800m以上に拡大。バス停から300mのところを、バス路線から200mに変更しました。 私は、高齢者、とりわけ後期高齢者が増加するもとで、不便地域を狭めようとするのは逆行していると思います。今回の変更の根拠を示してください。また、800mは徒歩10分程度を目安にとしていますが、高齢者も配慮しての設定なのでしょうか。なぜバス停からであった距離をバス路線からに変えたのですか。都の指標などもバス路線とはしていません。変更の結果、従来の規定の不便地域はどれだけ除外されたのか、お答えください。 Q2―3、【交通不便地域②】 第2に、計画に交通不便地域ごとの対策を明記することを求めます。練馬区は平成21年(2009年)に「公共交通空白地域改善計画」を策定し、段階的に空白地域を解消しようとしていますが、13カ所の空白地域ごとに道路条件や採算の見通しなどを考慮して、どのような改善策をとるのかが計画に示され、これにもとづいて進捗状況が報告されています。今回の計画策定にあたって、地域ごとの対策及びスケジュールなど示すことを求めますが、いかがでしょうか。 Q2―4、【交通不便地域③】 あわせて、協議会に提出された資料「地域別の公共交通不便地域や移動の課題」には、気になる記載があります。公共交通が利用できる地域であっても、移動を不便と感じている等の潜在的な課題がある」として「それぞれの地域の需要や実態にあわせてきめ細かな検討をしていくことが必要」という記載です。そして、地域ごとの住民の声が紹介されています。国の公共交通計画策定の手引きでは、作成する際には、まず住民の声を聴くことと記載されています。 区が今回設定した不便地域の線引きは狭められたものであり、機械的に不便地域か否かで分けるのでなく、地域住民の年齢構成なども配慮し、住民の声にもとづいて対策をとることを求めますが、いかがでしょうか。 Q2―5、【すぎ丸①】 次に、コミュニティバスすぎ丸についてです。わが党区議団は今までも、南荻窪地域の住民や視覚障害者団体から、あいプラザ等をルートとする廃止されたバス路線の復活を求める要望が寄せられていることを何度も紹介してきました。 道路状況や需要見通しの判断は必要ですが、交通不便地域解消の柱はすぎ丸だと思います。7月の第2回協議会に提出された資料では、目標④の1に「すぎ丸の再設計(計画・協定・運賃の見直し)」が提案されています。区外を含む隣接駅の乗り合い検討や、すぎ丸による福祉や商業など様々な分野への波及効果の検討などは積極的に行うべきと考えますが、区民にとって最も身近な問題は、運行計画と運賃だと思います。 まず運行路線についての基礎的な状況を確認します。2018年4定での金子質問に対し、区はコミュニティバスの運行距離に関して、杉並区は約11キロで、23区でコミバスを運行している17区中14番目と答弁しています。最新の杉並区と他区の状況、杉並区の順位はどうなっていますか。この状況を改善することが求められていると思いますが、いかがですか。お答えください。 Q2―6【すぎ丸②】 路線の延伸等は地域ごとにありますが、共通した要望は、運行時間の拡充ではないでしょうか。空間としては不便地域でなくても、運行時間や本数が少なければ、時間的不便地域ともいえるのではないでしょうか。ぜひ運行時間の拡充を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 Q2―7、【すぎ丸③】 次に運賃の見直しについてです。運賃の見直しをあげたのは、どのような理由からでしょうか。それは運賃の値上げを意図したものでしょうか。お答えください。 金子議員が行った2019年の3定での質問で、検討にあたっての要望として述べたのは、運行本数や時間帯の拡充、検討の場への住民代表の参加、そして負担への配慮でした。この負担に関して当時の部長は「利用者の負担感を少なくしてまいりたい」と答弁しました。当然のことですが、この答弁は守られなければなりませんが、いかがですか。 Q2―8、【すぎ丸④】 関連して、すぎ丸の運行への一般会計からの運行補助額について伺います。2018年の質問では、平成28年度の一般会計からの繰入額・補填額は2991万円余と紹介しましたが、昨年度までの推移と、その要因について伺います。 前回の質問のときも他区の補填額を紹介しましたが、港区と練馬区の令和2年度の決算額を調べてみました。港区では3億9967万円、練馬区は2億1788万円でした。この2区に比べると杉並区の繰入額は低いのですが、区民の移動の権利を保障するという重要な事業に一定の財政負担が生じるのは当然のことだと思います。 ちなみに、港区のコミバスは「ちいばす」という名称ですが、高齢者、障害者、妊産婦等には無料乗車券を発行しているそうです。これも参考にすべきではないでしょうか。 Q2―9、【新たな交通手段】 このテーマの最後に運行車両に関して伺います。協議会資料では、新たな交通手段としてグリーンスローモビリティーが地域に密着した小型モビリテイーとして打ち出されています。これについては、私も今後勉強してみたいと思いますが、国土交通省の地域交通計画策定の手引きで主に紹介されていたのは、自家用有償旅客運送の活用ではないでしょうか。ワゴン車であれば狭隘道路も運行が可能であり、かつNP0でも運行が可能、機能的には路線バスと変わらない役割を果たしていると思います。当たり前ですが、全天候時への対応が求められますし、再エネ電力を使用すればゼロカーボンにもつながります。この自家用有償旅客運送については、どのように検討したのか、ご説明ください。 関連して、グリーンスローモビリティーとともに、同じ資料で電動キックボードが紹介されていますが、高齢者が増加するなかで、高齢者を意識した検討が求められているのではないでしょうか。いかがですか。 区の地域的課題を直視し、誰もが安全に移動する権利が保障される計画とすることを求め、私の質問を終わります。 |
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